説明

集電装置の接触力制御構造

【課題】 集電装置のすり板と電車線との間に作用する接触力を簡単な構造によって制御することができる集電装置の接触力制御構造を提供する。
【解決手段】 (A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、加圧部18が集電舟8と一体となって上昇し、加圧部18と加圧部17との間で流路16が圧縮されて流路16の断面積が減少する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが低下して接触力Cが低下する。一方、(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、加圧部18が集電舟8と一体となって下降し、加圧部18と加圧部17との間隔が広くなり流路16の断面積が増加する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが増加して、接触力Cが増加し接触力Cが略一定に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、集電装置のすり板とこのすり板が接触する電車線との間に作用する接触力を制御する集電装置の接触力制御構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集電装置の接触力制御構造は、集電舟の前縁部の上側に形成された上側空気孔と、集電舟の前縁部の下側に形成された下側空気孔と、上側空気孔と接続する上側空気管と、下側空気孔と接続する下側空気管と、上側空気管からの空気の吐き出し量及び吸い込み量を調整する上側絞り弁と、下側空気管からの空気の吐出し量及び吸い込み量を調整する下側絞り弁と、上側空気管及び下側空気管に接続される空気だめと、上側空気管及び下側空気管に圧縮空気を供給するとともに上側空気管及び下側空気管から空気を吸い込むコンプレッサなどを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の集電舟の揚力制御構造では、集電舟に作用する揚力を減少させるときには、下側空気孔からの空気の吐き出し量を増加させるか、上側空気孔からの空気の吸い込み量を減少させている。一方、このような従来の集電舟の揚力制御構造では、集電舟に作用する揚力を増加させるときには、上側空気孔からの空気の吐き出し量を増加させるか、下側空気孔からの空気の吸い込み量を減少させている。
【0003】
【特許文献1】特開2000-270403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の集電装置の接触力制御構造では、上側空気孔や下側空気孔から吐き出す圧縮空気によって、集電舟の周囲の空気の流れを制御する必要がある。このため、上側空気孔や下側空気孔に外部からの空気を供給する空気だめやコンプレッサなどを設置する場所を確保する必要があるとともに、機構が複雑になってしまう問題点があった。また、コンプレッサから空気孔へ集電装置に沿って空気管路を配管しこれらの部材を電気的に絶縁する必要があり、配管作業や設置作業に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
この発明の課題は、集電装置のすり板と電車線との間に作用する接触力を簡単な構造によって制御することができる集電装置の接触力制御構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、集電装置(3)のすり板(7)とこのすり板が接触する電車線(1)との間に作用する接触力(C)を制御する集電装置の接触力制御構造であって、前記すり板を弾性支持する弾性支持部(9)の変位量(Δ)に応じて、前記集電装置の集電舟(8)に作用する揚力(L)を可変する揚力可変部(15)を備えることを特徴とする集電装置の接触力制御構造(10)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記集電舟から上方及び/又は下方に向かって空気を排出する空気排出口(12;27,28)を備え、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて前記空気排出口から排出する空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記空気排出口(12)に空気を導く圧縮変形可能な流路(16)を備え、前記流路は、圧縮変形することによって空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路(19)に開度が変化する開閉弁(20)を備え、前記開閉弁は、前記開度を変化させて空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路(19)に回転角が変化する回転弁(21)を備え、前記回転弁は、前記回転角を変化させて空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路(19)に絞り径(d)が変化するオリフィス(22)を備え、前記オリフィスは、前記絞り径を変化させて空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0012】
請求項7の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路(19)に挿入量が変化する仕切板(25)を備え、前記仕切板は、前記挿入量を変化させて空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0013】
請求項8の発明は、請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記集電舟から上方に向かって空気を排出する上側空気排出口(27)と、前記集電舟から下方に向かって空気を排出する下側空気排出口(28)と、前記上側空気排出口に空気を導く上側流路(29)と、前記下側空気排出口に空気を導く下側流路(30)とを備え、前記揚力可変部は、前記上側流路と前記下側流路とに空気を導く流路にこの上側流路とこの下側流路への分岐量が変化する分岐弁(33)を備え、前記分岐弁は、前記分岐量を変化させて空気の流量を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の空気排出口(12)から排出する空気の排出方向を調整することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記集電舟の上方又は下方に向かって空気を排出するノズル部(35)を備え、前記ノズル部は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときには上方に向き、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときには下方に向くことを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0016】
請求項11の発明は、請求項9に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記集電舟の上方又は下方に向かって空気を排出する羽根板(37)を備え、前記羽根板は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときには上方に向き、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときには下方に向くことを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の迎角(θ)を可変することを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記集電舟を長手方向の軸線(O2)回りに回転させる回転機構部(38)を備え、前記回転機構部は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときにはこの集電舟の迎角を減少させ、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときにはこの集電舟の迎角を増加させることを特徴としている集電装置の接触力制御構造である。
【0019】
請求項14の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟を昇降させるフラップ部(39)を備えることを特徴としている集電装置の接触力制御構造である。
【0020】
請求項15の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟からの突出量が変化する突出部(41)を備えることを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【0021】
請求項16の発明は、請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の外観形状が変化する形状変化部(42)を備えることを特徴とする集電装置の接触力制御構造である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、集電装置のすり板と電車線との間に作用する接触力を簡単な構造によって制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を備える集電装置を模式的に示す構成図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を空気排出口側から見た正面図である。図3は、図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図であり、図3(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図3(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図4は、図3のIV-IV線で切断した状態を示す断面図であり、図4(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図4(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【0024】
図1〜図4に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線であり、所定の間隔をあけて支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置3のすり板7が接触する電線であり、集電装置3のすり板7が接触移動することによって車両2に負荷電流を供給する。車両2は、電車や電気機関車などの電気車であり、例えば高速で走行する新幹線などの鉄道車両である。車体2aは、乗客を積載し輸送するための構造物である。
【0025】
図1に示す集電装置3は、トロリ線1aから電力を車両2に導くための装置であり、台枠4と、枠組5と、舟支え機構部6と、すり板7と、集電舟(舟体)8と、すり板支持部9と、接触力制御構造10などを備えている。台枠4は、枠組5を支持して車体2aの屋根上のがい子に設置される部分であり、枠組5は集電舟8を支持した状態で上下方向に動作可能なリンク機構である。舟支え機構部6は、集電舟8を架線1に対して水平に押上げるとともに、図示しないばねによる緩衝作用を与える機構部であり、台枠4が備える図示しない押上げ用ばねによって上方に押上げられる。図1に示す集電装置3は、車両2の進行方向に対して非対称であり、空力的性能から高速使用時には一方向だけで使用可能なシングルアーム式パンタグラフの例である。
【0026】
すり板7は、集電舟8に取り付けられトロリ線1aと接触する部材である。すり板7は、図1〜図4に示すように、車両2の進行方向と直交する方向に伸びた金属製又は炭素製の板状部材であり、図2及び図3に示すように集電舟8の上部にすり板支持部9を介して取り付けられ支持されている。
【0027】
集電舟8は、すり板7及びすり板支持部9を取り付ける部分である。集電舟8は、一般にトロリ線1aと直交する方向に伸びた弓形で細長い金属製の部材であり、軌道面と平行に配置され架線1の長さ方向と直交して配置されている。集電舟8には、図1に示すように、この集電舟8を上昇させる方向を正とする揚力L、又はこの集電舟8を下降させる方向を負とする揚力−Lが作用する。集電舟8は、図1〜図4に示すように、接触力制御構造10を備えており、集電舟8の上面には図2〜図4に示すように凹状の収容部(凹部)8aが形成されている。
【0028】
すり板支持部9は、すり板7を弾性支持する部分である。すり板支持部9は、すり板7と集電舟8との間に配置されており、集電舟8の収容部8aに収容されている。すり板支持部9は、すり板7と集電舟8とが相対変位可能なように集電舟8にすり板7を支持するばねなどの弾性体であり、すり板7とトロリ線1aとの間に作用する接触力Cが予め定められた標準値である時に中立位置になるように設定されている。すり板支持部9は、図3(A)及び図4(A)に示すように、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも大きくなると縮み、図3(B)及び図4(B)に示すように集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも小さくなると伸びる。
【0029】
図1〜図4に示す接触力制御構造10は、トロリ線1aとすり板7との間に作用する接触力Cを制御する構造である。接触力制御構造10は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8に作用する揚力Lを変化させ集電装置3の接触力Cを制御する。接触力制御構造10は、図1〜図4に示すように、空気取入口11と、空気排出口12と、流路13,14と、揚力可変部15とを備えている。接触力制御構造10は、図3に示すように、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも大きくなったときには、この集電舟8から下方に向かって噴出する空気の流量を減少させ、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも小さくなったときには、この集電舟8から下方に向かって噴出する空気の流量を増加させる。
【0030】
図1〜図3に示す空気取入口11は、集電舟8の前方の空気をこの集電舟8に取り入れる取入口であり、集電舟8の前部から空気を取り入れる。空気取入口11は、集電舟8の前方の淀み点付近に形成されており、集電舟8の前縁部の長さ方向(車両2の幅方向)に沿って間隔をあけて多数形成されている。
【0031】
図1〜図4に示す空気排出口12は、空気取入口11から取り入れた空気を集電舟8から下方に向かって排出する排出口である。空気排出口12は、すり板7の後方に形成されており、図2に示すように集電舟8の下面(後縁部近傍)に長さ方向に沿って多数形成されている。
【0032】
図1及び図3に示す流路13は、空気取入口11から流路16に向かって空気が流れる管路であり、上流側の端部が空気取入口11に接続され、下流側の端部が流路16に接続されている。流路14は、流路16から空気排出口12に向かって空気が流れる管路であり、上流側の端部が流路16に接続され、下流側の端部が空気排出口12に接続されている。流路13,14は、集電舟8の内部に配管されている。
【0033】
図3及び図4に示す揚力可変部15は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8に作用する揚力Lを可変する部分であり、流路16の弾性変形を利用して空気排出口12から排出する空気の流量を制御し揚力Lを制御する。揚力可変部15は、図3(A)及び図4(A)に示すように、すり板支持部9の変位量Δに応じて流路16を圧縮して、空気排出口12から排出する空気の流量を調整する。揚力可変部15は、図3及び図4に示すように、流路16と加圧部17,18とを備えている。
【0034】
図1〜図4に示す流路16は、空気排出口12に空気を導く圧縮変形可能な管路であり、圧縮変形することによって空気の流量を調整する。流路16は、上流側の端部が流路13に接続され、下流側の端部が流路14に接続されている。流路16は、例えば、可撓性の弾性変形可能なゴム製のチューブであり、集電舟8の内部に配管されている。
【0035】
加圧部17は、流路16を加圧してこの流路16の断面積を変化させる部分である。加圧部17は、すり板7側に固定されており、図3及び図4に示すように上端部がすり板7の下面に連結され、下端部が流路16と接触するように配置されている。加圧部17は、図4に示すように、各流路16を同時に加圧可能なように板状部材に形成されており、各流路16の長さ方向と直交する方向にこの加圧部17の長さ方向が一致するように配置されている。加圧部17は、図3(A)及び図4(A)に示すように、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも大きくなると、加圧部17の下端部が加圧部18の上端部との間で流路16を加圧して圧縮し、この流路16の断面積を減少させて流量を減少させ、集電舟8に作用する揚力Lを低下させる。一方、加圧部17は、図3(B)及び図4(B)に示すように、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも小さくなると、加圧部17の下端部が加圧部18の上端部から離間して、この流路16の断面積を増加させて流量を増加させ、集電舟8に作用する揚力Lを増加させる。
【0036】
加圧部18は、加圧部17との間で流路16を加圧してこの流路16の断面積を変化させる部分である。加圧部18は、集電舟8側に固定されており、図3及び図4に示すように上端部が流路16を加圧するように、この流路16を挟み加圧部17と対向して配置されている。
【0037】
次に、この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図1に示すように、車両2がA方向に走行して、図3(A)及び図4(A)に示すように集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも大きくなると、すり板支持部9が変位量Δだけ縮み、すり板7の下面と集電舟8の上面との間の間隔が狭くなり接触力Cが増加する。すり板7に対して集電舟8が上昇すると加圧部18が集電舟8と一体となって上昇して、加圧部17の下端部と加圧部18の上端部との間で流路16が圧縮されて流路16の断面積が減少する。このため、空気取入口11から流入し空気排出口12から噴出する集電舟8の前方から導入させる空気の流量が減少する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが低下して、接触力Cが低下し接触力Cが略一定に保たれる。
【0038】
一方、図3(B)及び図4(B)に示すように、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも小さくなると、すり板支持部9が変位量Δだけ伸び、すり板7の下面と集電舟8の上面との間の間隔が広くなる。すり板7に対して集電舟8が下降すると加圧部18が集電舟8と一体となって下降して、加圧部17の下端部と加圧部18の上端部との間隔が広くなり流路16の断面積が増加する。このため、空気取入口11から流入し空気排出口12から排出する集電舟8の前方から導入させる空気の流量が増加して、集電舟8の下方の空気圧が上昇する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが増加して、接触力Cが増加し接触力Cが略一定に保たれる。
【0039】
この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、すり板支持部9の変位量Δに応じて、集電舟8に作用する揚力Lを揚力可変部15が可変する。このため、トロリ線1aとすり板7との間に作用する接触力Cを略一定に保つことができる。
【0040】
(2) この第1実施形態では、集電舟8から下方に向かって空気排出口12が空気を排出し、すり板支持部9の変位量Δに応じて空気排出口12から排出する空気の流量を揚力可変部15が調整する。このため、空気の流量を可変することによって集電舟8に作用する揚力Lを簡単に制御することができる。また、従来の集電装置の接触力制御構造のようなコンプレッサなどを集電舟8の外部に設置してこのコンプレッサから集電舟8まで配管する必要がなくなる。このため、集電舟8の内部に簡単な機械的構造の揚力可変部15を設置するだけでよく、構造が簡単になり安価に製造することができる。
【0041】
(3) この第1実施形態では、空気排出口12に空気を導く流路16が圧縮変形可能であり、この流路16が圧縮変形することによって空気の流量を調整する。その結果、弾性変形可能な流路16の断面積を変化させることによって、空気排出口12から排出する空気の流量を簡単に調整することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図5は、この発明の第2実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図5(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図5(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図6は、図5のVI-VI線で切断した状態を示す断面図であり、図6(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図6(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図5及び図6に示す揚力可変部15は、流路19に開度が変化する開閉弁20を備えている。流路19は、空気取入口11から空気排出口12に空気を導く管路である。開閉弁20は、開度を変化させて空気排出口12から排出する空気の流量を調整する弁であり、弁体20aと、弁座20bと、弁棒20cと、すべり軸受20dとを備えている。弁体20aは、流路19を開閉する部材である。弁座20bは、弁体20aが接触及び離間する部材であり、流路19内に形成されている。弁棒20cは、弁体20aの上部とすり板7の下部とを連結する部材であり、すべり軸受20dは弁棒20cを移動自在にガイドするとともに弁棒20cと流路19との隙間から空気が漏れるのを防止する部材である。この第2実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0044】
次に、この発明の第2実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図5(A)及び図6(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、弁座20bが集電舟8と一体となって上昇して、弁体20aと弁座20bとの間の隙間が小さくなる。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から噴出する空気の流量が減少するため、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図5(B)及び図6(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、弁座20bが集電舟8と一体となって下降して、弁体20aと弁座20bとの間の隙間が大きくなる。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から排出する空気の流量が増加するため、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0045】
(第3実施形態)
図7は、この発明の第3実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図7(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図7(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図8は、図7のVIII-VIII線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、図8(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図8(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【0046】
図7及び図8に示す揚力可変部15は、流路19に回転角が変化する回転弁21を備えている。回転弁21は、回転角を変化させて空気排出口12から排出する空気の流量を調整する弁であり、弁体21aと、支持軸21bと、軸受21cと、ピニオン21dと、ラック21eとを備えている。弁体21aは、流路19内で回転して流路19を開閉する板状の部材である。図8に示す支持軸21bは流路19を貫通して弁体21aを支持する部材であり、軸受21cは支持軸21bを回転自在にガイドするとともに支持軸21bと流路19との隙間から空気が漏れるのを防止する部材である。図7及び図8に示すピニオン21dは支持軸21bと一体となって回転する歯車である。ラック21eは、ピニオン21dと噛み合う歯であり、上端部がすり板7の下部に連結されている。ピニオン21d及びラック21eには、弁体21aの回転角が0°〜90°の範囲内で変化するような長さの歯が形成されており、これらが互いに噛み合う範囲が制限されている。この第3実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0047】
次に、この発明の第3実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図7(A)及び図8(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、ピニオン21dが集電舟8と一体となって上昇して、ラック21eと噛み合いながらピニオン21dが図7(A)に示すB1方向に回転し、流路19と弁体21aとの間の隙間が小さくなる。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から噴出する空気の流量が減少するため、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図7(B)及び図8(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、ピニオン21dが集電舟8と一体となって下降して、ラック21eと噛み合いながらピニオン21dが図7(B)に示すB1方向とは逆方向のB2方向に回転し、流路19と弁体21aとの間の隙間が大きくなる。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から排出する空気の流量が増加するため、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0048】
(第4実施形態)
図9は、この発明の第4実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図9(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図9(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図10は、図9のX-X線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、図10(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図10(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【0049】
図9及び図10に示す揚力可変部15は、流路19に絞り径dが変化するオリフィス22を備えている。オリフィス22は、絞り径dを変化させて空気排出口12から排出する空気の流量を調整する装置であり、絞り機構部22aと、ピニオン22bと、ラック22cとを備えている。図9に示す絞り機構部22aは、絞り径dを連続的に変化させる部分であり、カメラなどの撮影装置の絞り装置に近似した構造を備えている。図10に示すピニオン22bは、絞り径dを変化させるために必要な力を絞り機構部22aに伝達する歯車である。図9及び図10に示すラック22cは、ピニオン22bと噛み合う歯であり、上端部がすり板7の下部に連結されている。この第4実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0050】
次に、この発明の第4実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図9(A)及び図10(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、ピニオン22bが集電舟8と一体となって上昇して、ラック22cと噛み合いながらピニオン22bが図10(A)に示すB1方向に回転し、絞り機構部22aが絞り径dを小さくして流路19の断面積が減少する。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から噴出する空気の流量が減少するため、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図9(B)及び図10(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、ピニオン22bが集電舟8と一体となって下降して、ラック22cと噛み合いながらピニオン22bが図10(B)に示すB2方向に回転し、絞り機構部22aが絞り径dを大きくして流路19の断面積が増加する。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から排出する空気の流量が増加するため、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0051】
(第5実施形態)
図11は、この発明の第5実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図11(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図11(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図12は、図11のXII-XII線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、図12(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、図12(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【0052】
図11及び図12に示す接触力制御構造10は、ガイド部23,24を備えている。揚力可変部15は、流路19に挿入量が変化する仕切板25を備えており、この仕切板25は挿入量を変化させて空気排出口12から排出する空気の流量を調整する部材である。ガイド部23,24は、仕切板25を移動自在にガイドするとともに、流路19と仕切板25との隙間から空気が漏れるのを防止する部材である。仕切板25は、図11に示すように、ガイド部23とガイド部24との間に移動自在に挟み込まれており、図11及び図12に示すように流路19内を流れる空気が通過する貫通孔25aを備えている。貫通孔25aは、図12に示すように、流路19の内径と同一の大きさに形成されており、貫通孔25aと流路19との相対位置が変化すると、流路19の断面積が増減し流路19を流れる空気の流量が変化する。この第5実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0053】
次に、この発明の第5実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図11(A)及び図12(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、流路19が集電舟8と一体となって上昇して、貫通孔25aが流路19から退出し流路19の断面積が減少する。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から噴出する空気の流量が減少するため、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図11(B)及び図12(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、流路19が集電舟8と一体となって下降して、貫通孔25aが流路19に進入し流路19の断面積が増加する。その結果、空気取入口11から流入し空気排出口12から排出する空気の流量が増加するため、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0054】
(第6実施形態)
図13は、この発明の第6実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図13(A)は上側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示し、図13(B)は下側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。図14は、図13のXIV-XIV線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、図14(A)は上側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示し、図14(B)は下側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【0055】
図13及び図14に示す接触力制御構造10は、流路26と、空気排出口27,28と、流路29,30と、ガイド部31,32とを備えている。揚力可変部15は、流路26に流路29,30への分岐量が変化する分岐弁33を備えており、この分岐弁33は分岐量を変化させて空気排出口12から排出する空気の流量を調整する弁である。揚力可変部15は、空気排出口27,28から排出する空気の流量を制御するとともに、これらの空気の排出方向も制御して揚力Lを制御する。図13に示す流路26は、流路29,30に空気を導く管路であり、空気取入口11から空気を導入する。空気排出口27,28は、集電舟8から上方及び/又は下方に向かって空気を排出する排出口である。空気排出口27は、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも増加したときに、空気取入口11からの空気を集電舟8の上方に向かって集電舟8の上部から排出する。空気排出口28は、集電舟8に作用する接触力Cが標準値よりも減少したときに、空気取入口11からの空気をこの集電舟8の下方に向かってこの集電舟8の下部から排出する。流路29は、空気取入口11から空気排出口27に空気を導く管路であり、流路30は空気取入口11から空気排出口28に空気を導く管路である。ガイド部31,32は、分岐弁33を移動自在にガイドするとともに、流路19,29,30と分岐弁33との隙間から空気が漏れるのを防止する部材である。
【0056】
分岐弁33は、ガイド部31とガイド部32との間に移動自在に挟み込まれる板状部材であり、流路26内を流れる空気が通過する二股式の貫通孔33a,33baを備えている。貫通孔33a,33bは、例えば、流路26,29,30の内径と同一の大きさに形成されており、貫通孔33a,33bのいずれか一方が流路26と接続するときに他方が流路26と接続しないように、貫通孔33a,33bの間隔は流路26の内径分だけ離れて設定されている。分岐弁33は、貫通孔33a,33bと流路26,29,30との相対位置を変化させて、流路19から流路29,30に流れる空気の流量を変化させる。この第6実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0057】
次に、この発明の第6実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図13(A)及び図14(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、流路26,29,30が集電舟8と一体となって上昇して、貫通孔33aが流路19と流路29とを接続し貫通孔33bが流路19と流路30とを遮断する。その結果、空気排出口27から集電舟8の上方に向かって噴出する空気の流量が増加して、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図13(B)及び図14(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、流路26,29,30が集電舟8と一体となって下降して、貫通孔33aが流路19と流路29とを遮断し貫通孔33bが流路19と流路30とを接続する。その結果、空気排出口28から集電舟8の下方に向かって噴出する空気の流量が増加して、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。なお、この第6実施形態では、すり板支持部9のばねがが中立位置にあり接触力Cが標準値であるときには、流路26と流路29,30とが貫通孔33a,33bによって遮断されるためいずれの空気排出口27,28からも空気が噴出されない。
【0058】
(第7実施形態)
図15は、この発明の第7実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図15(A)は空気の排出方向を上向きにしたときの状態を示し、図15(B)は空気の排出方向を下向きにしたときの状態を示す。
図15に示す接触力制御構造10は、空気取入口11から空気を導入してノズル部35にこの空気を導く流路34を備えている。揚力可変部15は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8の空気排出口12から排出する空気の排出方向を調整する部分であり、ノズル部35の噴射角度を変化させて空気排出口12から排出する空気の噴き出し方向を制御し揚力Lを制御する。揚力可変部15は、ノズル部35と方向切替部36とを備えている。
【0059】
ノズル部35は、集電舟8の上方又は下方に向かって空気を排出する部分であり、図15(A)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が小さくなったとき(すり板支持部9のばねが圧縮したとき)には上方に向き、図15(B)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が大きくなったとき(すり板支持部9のばねが伸長したとき)には下方に向く。ノズル部35は、上流側の端部が流路34の下流側の端部に回転自在に連結されており、ノズル部35の先端部には噴射口となる空気排出口12が形成されている。方向切替部36は、集電舟8の昇降動作に連動してノズル部35からの空気の噴射方向を切り替える部分である。方向切替部36は、上端部がすり板7の下面に連結されたリンク部材36aと、下端部がノズル部35に回転自在に連結されたリンク部材36bと、一方の端部にリンク部材36aの下端部が回転自在に連結され、他方の端部にリンク部材36bの上端部が回転自在に連結されており、支点O1を回転中心として集電舟8に回転自在に連結されたリンク部材36cとを備えており、リンク部材36a〜36cがてこ機構部を構成している。
【0060】
次に、この発明の第7実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図15(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、リンク部材36cの支点O1が集電舟8と一体となって上昇して、リンク部材36cが支点O1を中心としてB2方向に回転しリンク部材36bがノズル部35を上方に向ける。その結果、空気排出口12から集電舟8の上方に向かって空気が噴出して、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図15(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、リンク部材36cの支点O1が集電舟8と一体となって下降して、リンク部材36cが支点O1を中心としてB1方向に回転しリンク部材36bがノズル部35を下方に向ける。その結果、空気排出口12から集電舟8の下方に向かって空気が噴出して、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0061】
この発明の第7実施形態に係る集電装置の接触力制御構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第7実施形態では、すり板支持部9の変位量Δに応じて、集電舟8の空気排出口12から排出する空気の排出方向を揚力可変部15が調整する。このため、空気の排出方向を可変することによって集電舟8に作用する揚力Lを簡単に制御することができる。
【0062】
(2) この第7実施形態では、集電舟8の上方又は下方に向かってノズル部35が空気を排出し、すり板7と集電舟8との相対変位が小さくなったときにはノズル部35が上方に向き、すり板7と集電舟8との相対変位が大きくなったときにはノズル部35が下方に向く。その結果、ノズル部35の噴射方向を変化させることによって、空気排出口12から排出する空気の排出方向を簡単に調整することができる。
【0063】
(第8実施形態)
図16は、この発明の第8実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図16(A)は空気の排出方向を上向きにしたときの状態を示し、図16(B)は空気の排出方向を下向きにしたときの状態を示す。
図16に示す接触力制御構造10は、空気取入口11から空気を導入して羽根板(ルーバー)37にこの空気を導く流路34を備えている。揚力可変部15は、集電舟8の上方又は下方に向かって空気を排出する羽根板37を備えており、流路34内の空気排出口12近傍に配置されている。羽根板37は、図16(A)に示すように、すり板7と集電舟8との相対変位が小さくなったときには方向切替部36によって上方に向き、図16(B)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が大きくなったときには方向切替部36によって下方に向く。この第8実施形態には、第7実施形態と同様の効果がある。
【0064】
次に、この発明の第8実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図16(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、リンク部材36cの支点O1が集電舟8と一体となって上昇して、リンク部材36cが支点O1を中心としてB2方向に回転しリンク部材36bが羽根板37を上方に向ける。その結果、空気排出口12から集電舟8の上方に向かって空気が噴出して、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図16(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、リンク部材36cの支点O1が集電舟8と一体となって下降して、リンク部材36cが支点O1を中心としてB1方向に回転しリンク部材36bが羽根板37を下方に向ける。その結果、空気排出口12から集電舟8の下方に向かって空気が噴出して、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0065】
(第9実施形態)
図17は、この発明の第9実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図17(A)は集電舟の迎角を減少させたときの状態を示し、図17(B)は集電舟の迎角を増加させたときの状態を示す。
図17に示す揚力可変部15は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8の迎角θを可変する。揚力可変部15は、集電舟8を長手方向の軸線(例えば、集電舟8の重心を通過する中心線)O2回りに回転させる回転機構部38を備えている。回転機構部38は、上端部がすり板7の下面に連結されたリンク部材38aと、集電舟8に固定されこの集電舟8一体となって軸線O2回りに回転する回転軸38bと、一方の端部がリンク部材38aの下端部に回転自在に連結され、他方の端部が回転軸38bに固定されたリンク部材38cとを備えている。回転機構部38は、図17(A)に示すように、すり板7と集電舟8との相対変位が小さくなったときには集電舟8の迎角θを減少させ、図17(B)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が大きくなったときには集電舟8の迎角θを増加させる。
【0066】
次に、この発明の第9実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図17(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、回転軸38b及びリンク部材38cが一体となって軸線O2を回転中心としてB2方向に回転して、集電舟8の前縁部側が下方に傾斜して迎角θが減少する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが低下し接触力Cが低下する。一方、図17(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、回転軸38b及びリンク部材38cが一体となって軸線O2を回転中心としてB1方向に回転して、集電舟8の前縁部側が上方に傾斜して迎角θが増加する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0067】
この発明の第9実施形態では、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8の迎角θを揚力可変部15が変化させる。このため、集電舟8の迎角θを変化させるて集電舟8に作用する揚力Lを簡単に制御することができる。
【0068】
(第10実施形態)
図18は、この発明の第10実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図18(A)はフラップ部の後縁部を上げたときの状態を示し、図18(B)はフラップ部の後縁部を下げたときの状態を示す。図19は、この発明の第10実施形態に係る集電装置の接触力制御構造をフラップ部の後縁部側から見た正面図である。
【0069】
図18及び図19に示す揚力可変部15は、フラップ部39と昇降機構部40とを備えている。フラップ部39は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8を昇降させる部分である。フラップ部39は、集電舟8の後縁部に配置されており、支点O3を回転中心として集電舟8に回転自在に連結されている。昇降機構部40は、集電舟8の昇降動作に連動してフラップ部39を昇降させる棒状部材であり、上端部がすり板7の下面に連結され、下端部がフラップ部39の端部に回転自在に連結されている。昇降機構部40は、図18(A)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が小さくなったときにはフラップ部39の後縁部を上げ、図18(B)に示すようにすり板7と集電舟8との相対変位が大きくなったときにはフラップ部39の後縁部を下げる。この第10実施形態には、第9実施形態と同様の効果がある。
【0070】
次に、この発明の第10実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図18(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、フラップ部39が支点O3を回転中心としてB2方向に回転して、フラップ部39の後縁部側が上方に傾斜する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが減少し接触力Cが低下する。一方、図18(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、フラップ部39が支点O3を回転中心としてB1方向に回転して、フラップ部39の後縁部側が下方に傾斜する。その結果、集電舟8に作用する揚力Lが増加し接触力Cが増加する。
【0071】
(第11実施形態)
図20は、この発明の第11実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図20(A)は突起部の突出量を増加させたときの状態を示し、図20(B)は突出部の突出量を減少させたときの状態を示す。図21は、この発明の第11実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を集電舟の後縁部側から見た正面図である。
【0072】
図20及び図21に示す揚力可変部15は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8からの突出量が変化する突出部41を備えている。突出部41は、集電舟8の一部から突出して乱流を促進させ剥離位置を遅らせる(下流側に移動させる)ことによって揚力Lを制御する。突出部41は、例えば、航空機の剥離防止などに使用される突起状の渦発生装置(ボルテックス・ジェネレータ(Vortex Generator))であり、渦流を積極的に発生させて境界層における剥離を発生し難くする機能を有する。突出部41は、例えば、下端部が集電舟8から進退可能な棒状部材又は板状部材であり、下端部が球状に形成されている。突出部41は、図20に示すように、集電舟8の前縁寄りの集電舟8の下面に配置されており、上端部がすり板7の下面に連結されている。この発明の第11実施形態には、第9実施形態及び第10実施形態と同様の効果がある。
【0073】
次に、この発明の第11実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図20(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、突出部41の下端部が集電舟8の下面から進出し、集電舟8に作用する揚力Lが減少して接触力Cが低下する。一方、図20(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、突出部41の下端部が集電舟8の下面から後退し、集電舟8に作用する揚力Lが増加して接触力Cが増加する。
【0074】
(第12実施形態)
図22は、この発明の第12実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、図22(A)は突起部の突出量を増加させたときの状態を示し、図22(B)は突出部の突出量を減少させたときの状態を示す。図23は、この発明の第12実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を集電舟の後縁部側から見た正面図である。
【0075】
図22及び図23に示す揚力可変部15は、形状変化部42と加圧部43とを備えている。形状変化部42は、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8の外観形状が変化する部分であり、集電舟8の一部を変形させて揚力Lを制御する。形状変化部42は、図22に示すように、集電舟8の下面の略中央に集電舟8と一体に形成されており、この集電舟8の下面の形状を可変する可撓性で膜状の弾性体などである。加圧部43は、形状変化部42を加圧する部材であり、上端部がすり板7の下面に連結され、下端部が形状変化部42を押圧可能な棒状部材である。この第12実施形態には、第9実施形態〜第11実施形態と同様の効果がある。
【0076】
次に、この発明の第12実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の作用を説明する。
図22(A)に示すように、接触力Cが増加してすり板7に対して集電舟8が上昇すると、加圧部43の下端部が形状変化部42を加圧する加圧力が増加するため集電舟8の下面が凸状に突出して形状が変化し、集電舟8に作用する揚力Lが低減して接触力Cが低下する。一方、図22(B)に示すように、接触力Cが減少してすり板7に対して集電舟8が下降すると、加圧部43の下端部が形状変化部42を加圧する加圧力が低下するため集電舟8の下面が後退し形状が変化し、集電舟8に作用する揚力Lが増加して接触力Cが増加する。
【0077】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、車両2がA方向に移動する場合を例に挙げて説明したが、車両2がA方向とは逆方向に移動する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、集電装置3としてシングルアーム式パンタグラフを例に挙げて説明したが、菱型パンタグラフなどの他の形式のパンタグラフ、第三軌条方式の集電装置などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、電車線として架空式電車線路を例に挙げて説明したが、導電性レールを使用する第三軌条式(サードレール式)電車線路についてもこの発明を適用することができる。
【0078】
(2) この実施形態では、すり板支持部9の変位量Δに応じて集電舟8に作用する揚力Lを機械的に制御しているが、この揚力Lを電気的に制御することもできる。例えば、すり板支持部9の変位量Δを検出する変位量検出部の検出結果に基づいて、空気排出口12,27,28から排出する空気の流量及び/又は排出方向などを揚力可変部15によって調整することもできる。また、この第1実施形態〜第5実施形態では、下側の空気排出口12から下方に空気を排出する場合を例に挙げて説明したが、空気排出口を上側に設けてこの空気排出口から上方に空気を排出したり、空気排出口を上側及び下側に設けてそれぞれの空気排出口から空気を上方又は下方に排出したりすることもできる。さらに、この実施形態では、車両2の進行方向と直交する1枚のすり板7を例に挙げて説明したが、このような構造のすり板7に限定するものではない。例えば、車両2の進行方向と直交する方向に複数分割された構造のすり板についてもこの発明を適用することができる。この場合には、それぞれのすり板を支持するすり板支持部の変位量のうち最大の変位量に応じて、空気の流量及び/又は排出方向などを揚力可変部15によって調整することもできる。
【0079】
(3) この第5実施形態では、貫通孔25aによって流路19の断面積を変化させて空気の流量を調整しているが、貫通孔25aを省略し仕切板25のみによって流路19の断面積を変化させて空気の流量を調整することもできる。また、この第6実施形態では、すり板支持部9のばねがが中立位置にあり接触力Cが標準値であるときには、空気排出口27,28から空気が噴出されないような構造の分岐弁33を例に挙げて説明したが、このような構造に限定するものではない。例えば、すり板支持部9のばねがが中立位置にあり接触力Cが標準値であるときには、空気排出口27,28から空気が同程度ずつ噴き出すような構造の分岐弁についてもこの発明を適用することができる。この場合には、集電舟8の後方に存在する交番渦を崩壊させてエオルス音を低減することができる。
【0080】
(4) この第11実施形態では、集電舟8の下面に突出部41を配置する場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、揚力Lの増減とすり板支持部9の変位量Δとの関係は変化するが、集電舟8の前縁部、後縁部又は下面に突出部41を配置することもできる。また、この第12実施形態では、集電舟8の下面の形状を形状変化部42によって変化させる場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、集電舟8の形状によって揚力Lの増減が変化するが、集電舟8の前縁部、後縁部又は下面の形状を形状変化部42によって変化させることもできる。さらに、この第1実施形態〜第6実施形態では、すり板7の変位量Δと揚力可変部15の作動量とが一対一である場合を例に挙げて説明したがこの場合に限定するものではない。例えば、この第2実施形態では、すり板7が変位量Δだけ変位すると弁体20aも変位量Δと同じ量だけ昇降する場合を例に挙げて説明したが、てこ機構などを利用してすり板7の変位量Δに比例して任意に弁体20aを移動させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を備える集電装置を模式的に示す構成図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を空気排出口側から見た正面図である。
【図3】図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図4】図3のIV-IV線で切断した状態を示す断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図5】この発明の第2実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図6】図5のVI-VI線で切断した状態を示す断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図7】この発明の第3実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図8】図7のVIII-VIII線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図9】この発明の第4実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図10】図9のX-X線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、図(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図11】この発明の第5実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図12】図11のXII-XII線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、(A)は空気排出口から排出する空気の流量が減少したときの状態を示し、(B)は空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図13】この発明の第6実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は上側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示し、(B)は下側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図14】図13のXIV-XIV線で切断した状態を拡大して示す部分断面図であり、(A)は上側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示し、(B)は下側の空気排出口から排出する空気の流量が増加したときの状態を示す。
【図15】この発明の第7実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気の排出方向を上向きにしたときの状態を示し、(B)は空気の排出方向を下向きにしたときの状態を示す。
【図16】この発明の第8実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は空気の排出方向を上向きにしたときの状態を示し、(B)は空気の排出方向を下向きにしたときの状態を示す。
【図17】この発明の第9実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は集電舟の迎角を減少させたときの状態を示し、(B)は集電舟の迎角を増加させたときの状態を示す。
【図18】この発明の第10実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)はフラップ部の後縁部を上げたときの状態を示し、(B)はフラップ部の後縁部を下げたときの状態を示す。
【図19】この発明の第10実施形態に係る集電装置の接触力制御構造をフラップ部の後縁部側から見た正面図である。
【図20】この発明の第11実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は突起部の突出量を増加させたときの状態を示し、(B)は突出部の突出量を減少させたときの状態を示す。
【図21】この発明の第11実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を集電舟の後縁部側から見た正面図である。
【図22】この発明の第12実施形態に係る集電装置の接触力制御構造の断面図であり、(A)は突起部の突出量を増加させたときの状態を示し、(B)は突出部の突出量を減少させたときの状態を示す。
【図23】この発明の第12実施形態に係る集電装置の接触力制御構造を集電舟の後縁部側から見た正面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 架線(電車線)
1a トロリ線
2 車両
3 集電装置
7 すり板
8 集電舟
9 すり板支持部(弾性支持部)
10 接触力制御構造
11 空気取入口
12 空気排出口
13,14,16 流路
15 揚力可変部
17,18 加圧部
19 流路
20 開閉弁
21 回転弁
22 オリフィス
22a 絞り機構部
25 仕切板
25a 貫通孔
26 流路
27 空気排出口(上側空気排出口)
28 空気排出口(下側空気排出口)
29 流路(上側流路)
30 流路(下側流路)
33 分岐弁
33a,33b 貫通孔
34 流路
35 ノズル部
36 方向切替部
37 羽根板
38 回転機構部
39 フラップ部
41 突出部
42 形状変化部
43 加圧部
Δ 変位量
L 揚力
C 接触力
d 絞り径
θ 迎角
1,O3 支点
2 軸線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電装置のすり板とこのすり板が接触する電車線との間に作用する接触力を制御する集電装置の接触力制御構造であって、
前記すり板を弾性支持する弾性支持部の変位量に応じて、前記集電装置の集電舟に作用する揚力を可変する揚力可変部を備えること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項2】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記集電舟から上方及び/又は下方に向かって空気を排出する空気排出口を備え、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて前記空気排出口から排出する空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項3】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く圧縮変形可能な流路を備え、
前記流路は、圧縮変形することによって空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項4】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路に開度が変化する開閉弁を備え、
前記開閉弁は、前記開度を変化させて空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項5】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路に回転角が変化する回転弁を備え、
前記回転弁は、前記回転角を変化させて空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項6】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路に絞り径が変化するオリフィスを備え、
前記オリフィスは、前記絞り径を変化させて空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項7】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記空気排出口に空気を導く流路に挿入量が変化する仕切板を備え、
前記仕切板は、前記挿入量を変化させて空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項8】
請求項2に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記集電舟から上方に向かって空気を排出する上側空気排出口と、
前記集電舟から下方に向かって空気を排出する下側空気排出口と、
前記上側空気排出口に空気を導く上側流路と、
前記下側空気排出口に空気を導く下側流路とを備え、
前記揚力可変部は、前記上側流路と前記下側流路とに空気を導く流路にこの上側流路とこの下側流路への分岐量が変化する分岐弁を備え、
前記分岐弁は、前記分岐量を変化させて空気の流量を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項9】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の空気排出口から排出する空気の排出方向を調整すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項10】
請求項9に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記集電舟の上方又は下方に向かって空気を排出するノズル部を備え、
前記ノズル部は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときには上方に向き、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときには下方に向くこと、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項11】
請求項9に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記集電舟の上方又は下方に向かって空気を排出する羽根板を備え、
前記羽根板は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときには上方に向き、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときには下方に向くこと、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項12】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の迎角を可変すること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項13】
請求項12に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記集電舟を長手方向の軸線回りに回転させる回転機構部を備え、
前記回転機構部は、前記すり板と前記集電舟との相対変位が小さくなったときにはこの集電舟の迎角を減少させ、前記すり板と前記集電舟との相対変位が大きくなったときにはこの集電舟の迎角を増加させること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項14】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟を昇降させるフラップ部を備えること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項15】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟からの突出量が変化する突出部を備えること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。
【請求項16】
請求項1に記載の集電装置の接触力制御構造において、
前記揚力可変部は、前記弾性支持部の変位量に応じて、前記集電舟の外観形状が変化する形状変化部を備えること、
を特徴とする集電装置の接触力制御構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−197728(P2006−197728A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6836(P2005−6836)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】