説明

集魚用調合剤、集魚用仕掛け、集魚用仕掛けの製造方法

【課題】 対象魚が好む味及び/又は匂いを持つ集魚成分を水中で長く発散し、対象魚に対する誘引度を持続させることのできる、疑似餌、釣餌、錘等の集魚用仕掛け、及び、この為の集魚用調合剤を提供する。
【解決手段】 対象魚が好む集魚成分を集魚用仕掛けに担持させるための集魚用調合剤において、その集魚成分と、その集魚成分の担持及び/又は発散を制御する補助成分とを含有することを特徴とする集魚用調合剤。この集魚用調合剤を仕掛け本体に、浸漬し、塗料として塗布し、又は、混合して成形加工することにより担持されたことを特徴とする集魚用仕掛け。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象魚が好む集魚成分を集魚用仕掛けに担持させるための集魚用調合剤に関する。また、本発明はその集魚用調合剤が担持された集魚用仕掛けであって、魚釣りの際に道糸の先に設けられる疑似餌(ルアーとも呼ばれる)、釣餌(ウドン、煉餌等とも呼ばれる)、錘、浮き、天秤、針、糸等、又は、漁業用に用いられる引き網、巻き網、被(かぶ)せ網、建て網、刺し網、敷き網、置き網等の漁網、その他の集魚用仕掛け、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−60363号公報
【特許文献2】WO01/095712号公報
【0003】
釣果を上げる為古来より、疑似餌、釣餌、等の集魚用仕掛けにより集魚効果を上げることが研究されてきた。例えば、釣り用疑似餌は、本物の餌に似せてつくることでルアー対象魚(淡水魚のバス、マスや海水魚のスズキ、メバル等のフィッシュイーター)にアピールし捕食させようとしており、その種類は極めて多い。ここでは、その疑似餌の色、形、動作によって対象魚に捕食させようとしているが、疑似餌を小魚或いは水中小動物等に似せた形態にし、できる限り本物と同様な動作をするように様々な工夫が施されている。また、釣人がこの種の疑似餌を使用する時においては、対象魚に疑似餌又は釣餌と見破られないように動作を与え続け、かつ口に入れたと同時に鉤掛りさせる必要がある。
【0004】
疑似餌に匂いや味の工夫が付与されていない場合、対象魚が疑似餌に接近すると、その疑似餌の人工的な匂い・味を、嗅覚・味覚によって、異臭・異味として感じ取って、捕食行動を中止、或いは口に入れても異物として認識し吐き出してしまうケースが多々見られる。また、対象魚は疑似餌を迫尾して来るが捕食しない、疑似餌を無視する、疑似餌を見ると逃げ出すなどの場合も多い。
【0005】
また、釣餌においても、時間経過により乾燥硬化や腐敗による異臭・異味が発生する為、同様に、捕食行動を中止する、或いは口に入れても異物として認識し吐き出してしまうケースが多々見られる。例えば、へラブナ等の草食魚、雑食魚の釣餌では、特に時間経過により硬化や腐敗が発生し易く、釣果低下の原因となる。その結果、釣果は釣人の技能に大きく左右され、かつ、へラブナ等草食魚、雑食魚の餌釣り(ウドン、煉餌と呼ばれる餌を使用)では、餌の鮮度も釣果を左右する。
【0006】
そこで、疑似餌に対して、匂いや味の集魚成分を含有させたり付着させたりして担持させ、水中でこれを発散させて魚を誘引する工夫が種々試みられている(特許文献1、特許文献2等)。しかし、集魚成分を付着させることのできるのは少量であるか、多量に集魚成分を担持させることができたとしても発散の制御が難しく、水中で長く発散することのできる疑似餌は提供できていない。
【0007】
また、対象魚が好む集魚成分を疑似餌等に担持させるための集魚用調合剤(フォーミュラ)が市販されているが、一般に油性成分を疑似餌表面に付着させるものであり、使用中すぐに表面から剥離し効果が持続しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、対象魚が好む味及び/又は匂いを持つ集魚成分を水中で長く発散し、対象魚に対する誘引度を持続させることのできる、疑似餌、釣餌、錘等の集魚用仕掛け、及び、この為の集魚用調合剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、疑似餌に、動物、植物由来の匂いや味を持つ集魚成分を付着させて疑似餌に対する対象魚の捕食行動を持続させ、かつ対象魚が疑似餌に接近しても違和感を与えず捕食するようにさせれば、経験上捕獲率が向上することを知り、この知見に基づいて、匂いや味を持つ集魚成分の発散が持続する時間を長くすることに鋭意努力した結果、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明の集魚用調合剤は、対象魚が好む集魚成分を集魚用仕掛けに担持させるための集魚用調合剤であって、その集魚成分と、その集魚成分の担持及び/又は発散を制御する補助成分とを含有することを特徴とする。
【0011】
集魚成分は動物由来成分及び/又は植物由来成分であり、水中に匂い及び/又は味として発散されることが好ましく、炭水化物、脂質、タンパク質、若しくは繊維質、又はそれらの分解物であることがより好ましい。
【0012】
また、補助成分は、脂肪酸エステル類、二塩基酸エステル類、三塩基酸エステル類、芳香族酸エステル類及びリン酸エステル類からなる群から選択されるエステル類であることが好ましく、集魚成分(A)と補助成分(B)との質量比(A/B)が0.01〜2.5の範囲であることが好ましい。また、集魚成分及び補助成分に加えて、食用油を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の集魚用仕掛けは、対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有し、上記いずれかに記載の集魚用調合剤が仕掛け本体に担持されたことを特徴とする。本発明の集魚用仕掛けにおいて、仕掛け本体は合成樹脂、木材、金属、無機物、若しくは鉱物、又はこれらの混合物からなることが好ましく、補助成分は、集魚成分と仕掛け本体の双方に対して親和性を有する成分であることが好ましい。
【0014】
本発明の集魚用仕掛けは、仕掛け本体中に樹脂成分を有し、集魚成分が動物由来及び/又は植物由来の油性成分であり、補助成分が仕掛け本体中の樹脂成分と親和性を有する樹脂添加用の可塑剤であることが好ましい。
【0015】
本発明の集魚用仕掛けとして、疑似餌、釣餌、サルカン、錘、浮き、天秤、釣針、若しくは釣糸、又は漁網を例示することができる。また、本発明の集魚用仕掛けとして、仕掛け本体が合成樹脂製の疑似餌を例示することができ、この場合において、集魚成分は釣り対象魚が疑似餌を捕食した際に匂い及び/又は昧として感じられる成分であることが好ましい。また、本発明の集魚用仕掛けとして、仕掛け本体が無機物又は金属を含有する合成樹脂製である錘を例示することができる。
【0016】
本発明の集魚用仕掛けの製造方法の一の態様は、上記いずれかに記載の集魚用調合剤を含む浸漬液を調製し、該浸漬液に仕掛け本体を浸漬して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に浸透させ担持することを特徴とする。
【0017】
本発明の集魚用仕掛けの製造方法の他の態様は、上記いずれかに記載の集魚用調合剤を含む塗料を調製し、該塗料を仕掛け本体に塗布し、乾燥して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に担持することを特徴とする。
【0018】
本発明の集魚用仕掛けの製造方法の他の態様は、上記いずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットとを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することを特徴とする。
【0019】
本発明の集魚用仕掛けの製造方法の他の態様は、上記いずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットと無機物又は金属とを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の集魚用調合剤を担持させた集魚用仕掛けは、対象魚が好む味又は匂いを持つ集魚成分を水中に長期に発散し拡散させて、対象魚に対する誘引度を長期に持続させることができる。例えば、疑似餌であれば、その集魚成分の働きによって、生命感を与え、異物感を与えない為、対象魚に対する捕食性を大幅に高めることができ、より高い釣果が得られる。また、本発明の集魚用調合剤によれば、集魚用仕掛け本体に対して集魚成分をより高い濃度でより多量に担持することが可能となり、対象魚を匂いや味で惹き寄せる効果を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明において、集魚成分は、脊椎動物、原索動物、棘皮動物、軟体動物、節足動物、環形動物、輪形動物、線形動物、刺胞動物等の動物由来成分、又は、菌類、藻類、種子植物、シダ植物、コケ植物等の種物由来成分であることが好ましく、炭水化物、脂質、タンパク質、若しくは繊維質、又はそれらの分解物であることがより好ましい。植物由来成分としては、菌体、根、茎、葉、花、果肉、種子等から取り出した匂いや、味を有する成分であることが好ましい。
【0022】
本発明において、補助成分は、脂肪酸グリセリンエステル類等の脂肪酸エステル類、アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHA)、アジピン酸ジ-n-アルキル(C=6、8、10)(DAA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)等のアジピン酸エステル類、セバシン酸ジブチル(DBS)等のセバシン酸エステル類等を含む二塩基酸エステル類、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、クエン酸トリエチル(TEC)等のクエン酸エステル類を含む三塩基酸エステル類、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ-n-プロピル(DPrP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジ-n-ペンチル(DPeP)、フタル酸ジ-n-ヘキシル(DHexP)、フタル酸-n-ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、フタル酸ジ-n-オクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル酸エステル類を含む芳香族酸エステル類及びリン酸エステル類等のエステル類を例示することができる。また、環境・安全性を考慮して、食品添加物の規格に適合する安全性の高い化合物が好ましく、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のアセチル化モノグリセライドが特に好ましい。また、適応性が拡がる観点から、上記のうちから複数の補助成分を含むことが好ましい。
【0023】
本発明において、集魚成分(A)と補助成分(B)との質量比(A/B)は0.01〜2.5の範囲であることが好ましく、0.05〜0.18の範囲であることがより好ましい。
【0024】
本発明において、集魚用調合剤は、集魚成分及び複数の補助成分に加えて、食用油を含むことが好ましい。複数の補助成分と食用油を含むことにより合成樹脂等の仕掛け本体の時間経過による外形的変化を抑えることができ、対象魚に異臭・異味として感じさせることもない。さらに、仕掛け本体に生分解性プラスチック材料を用いた場合には、その材料の腐敗により魚が嫌う味や腐敗臭の発生があるが、複数の補助成分と食用油との混合物にはこれらを防止する働きがある。食用油としては、大豆油、なたね油、綿実油、紅花油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、落花生油、マーガリン、ラード、ヘット、ショートニング、バター等を例示することができる。また、集魚成分(A)と食用油(C)との質量比(A/C)は0.5〜10の範囲であることが好ましく、1〜5の範囲であることがより好ましい。
【0025】
本発明の集魚用仕掛けは、上記いずれかに記載の集魚用調合剤を含む浸漬液を調製し、該浸漬液に仕掛け本体を浸漬して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に浸透させ担持することにより製造することができる。ここで、仕掛け本体は、ポリ乳酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、PET、エラストマー、天然ゴム、若しくはシリコンゴム、又はこれらの混合物の樹脂製、無機物若しくは金属を含む合成樹脂製、又は合成樹脂塗装された木製等とすることができ、無機物若しくは金属としては、金、銀、プラチナ、銅、鉄、鉛、錫、ビスマス、タングステン、トルマリン、若しくはガラス、又はこれらの粉末を混合したものを用いることができる。このとき、本発明の集魚用仕掛けとしての疑似餌の種類については、塩化ピニール等軟質合成樹脂を使用した、ワームと呼ばれるソフトルアー(環形動物、節足動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などの形を模したもの、ストレートワーム、クリンクルカットワーム、ホッグワーム、カーリーテイルワーム、クローワーム、グラブ等)、ABS樹脂等硬質合成樹脂製のブラグと呼ばれるハードルアー(環形動物、節足動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などの形を模したもの、ホッパー、スイッシャー、ペンシル、ノイジー、クランクベイト、ジグ、ミノー、シャッド、バイブレーション)、合成樹脂に無機物又は金属を混合した、シンカー(ラウンドシンカー、バレットシンカー、ティアドロップシンカー)、ジグヘッド、ラバージグ、ジグ、スプーン、ウィードレススプーン、スピナー、スピナーベイト、バズベイト、フロッグ等を例示することができる。
【0026】
本発明の集魚用仕掛けは、上記いずれかに記載の集魚用調合剤を含む塗料を調製し、該塗料を仕掛け本体に塗布し、乾燥して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に担持することにより製造することができる。ここで、仕掛け本体は、樹脂製、木製、金属製、無機物若しくは金属を含む樹脂製等とすることができ、樹脂としては、ポリ乳酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーポネート、PET、エラストマー、天然ゴム、若しくはシリコンゴム、又はこれらの混合物のペレットを用いることができ、無機物若しくは金属としては、金、銀、プラチナ、銅、鉄、鉛、錫、ビスマス、タングステン、トルマリン、若しくはガラス、又はこれらの粉末を混合したものを用いることができ、塗料としては、油性塗料(乾性油又は改質乾性油)、酒精塗料(天然樹脂)、セルロース系塗料(セルロース誘導体)、合成樹脂系塗料(フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ケイ素樹脂ゴム誘導体、石油樹脂)、水性塗料(ポリピニルアルコール、カゼイン、CMC‐可溶性デンプン等の、水溶性結合剤)、漆等を用いることができる。このとき、本発明の集魚用仕掛けとしての疑似餌の種類については、ポリ塩化ビニル等軟質合成樹脂を使用した、ワームと呼ばれるソフトルアー(環形動物、節足動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などの形を模したもの、ストレートワーム、クリンクルカットワーム、ホッグワーム、カーリーテイルワーム、クローワーム、グラブ等)、ABS樹脂等硬質合成樹脂製や木製の、プラグと呼ばれるハードルアー(環形動物、節昆動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などの形を模したもの、ホッパー、スイッシャー、ペンシル、ノイジー、クランクベイト、ジグ、ジグヘッド、ミノー、シャッド、バイブレーション、ラバージグ)、合成樹脂に、無機物又は金属を混合した、シンカー(ラウンドシンカー、バレットシンカー、ティアドロップシンカー)、ジグヘッド、ラバージグ、ジグ、スプーン、ウィードレススプーン、スピナー、スピナーベイト、バズベイト、フロッグ等を例示することができる。
【0027】
本発明の集魚用仕掛けは、上記いずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットとを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することにより製造することができる。ここで、樹脂ペレットとしては、ポリ乳酸樹脂、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーポネート、PET、エラストマー、天然ゴム、若しくはシリコンゴム、又はこれらの混合物のペレットを用いることができる。また、成形加工としては、圧縮成形、トランスファ成形、射出成形、押出成形等の方法を用いることができる。このとき、本発明の集魚用仕掛けとしての疑似餌の種類については、ABS樹脂等硬質合成樹脂製の、プラグと呼はれるハードルアー(環形動物、節足動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などの形を模したもの、ホッパー、スイッシャー、ペンシル、ノイジー、クランクベイト、ジグ、ミノー、シャッド、バイプレーション)や、ラバージグ、バズベイト、スピナーベイト、ジグヘッド、ラウンドシンカー、バレットシンカー、ティアドロップシンカー、フロッグ等を例示することができる。
【0028】
本発明の集魚用仕掛けは、上記いずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットと無機物又は金属とを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することにより製造することができる。ここで、樹脂ペレットとしては、ポリ乳酸樹脂、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーポネート、PET、エラストマー、天然ゴム、若しくはシリコンゴム、又はこれらの混合物のペレットを用いることができ、無機物又は金属としては、金、銀、プラチナ、銅、鉄、鉛、錫、ビスマス、タングステン、トルマリン、若しくはガラス、又はこれらの粉末を混合したものを用いることができる。また、成形加工としては、圧縮成形、トランスファ成形、射出成形、押出成形等の方法を用いることができる。このとき、本発明の集魚用仕掛けとしての疑似餌の種類については、シンカー(ラウンドシンカー、バレットシンカー、ティアドロップシンカー)、ジグヘッド、ラバージグ、ジグ、スプーン、ウィードレススプーン、スピナー、スピナーベイト、バズベイト、フロッグ等を例示することができる。
【0029】
以下に、本発明の実施の形態を具体的な実施例にて説明する。本発明は、ここで説明する実施の形態のみに限定されるものではなく、その本質から逸脱しない範囲で、他の色々な変形例が可能であることは言うまでもない。合成樹脂や塗料の種類も、これに限定されるものではなく、今後開発される合成樹脂や塗料に対して必要に応じて適宜変更可能である。
【実施例1】
【0030】
37質量%のアセチル化モノグリセライド(理研ビタミン社製リケマールPL019)と、33質量%のグリセリンジアセトモノラウレート(理研ビタミン社製G002)と、23質量%の植物油(大豆白締油)と、7質量%の魚油(エビオイル、集魚成分)とを混合・分散して集魚用調合剤を調製した。次に、三井化学株式会社製Aタイプのポリ乳酸樹脂を用いて成型して得られた疑似餌本体をこの集魚用調合剤に20分間浸漬し、各成分をこの疑似餌本体に担持させて、実施例1の疑似餌ワーム(グラブ)を得た。
【0031】
この実施例1の疑似餌について、次の匂い持続評価の実験を実施した。すなわち、長さ35cm、幅25cm、高さ15cmの水槽に、水を満水になるまで満たし、これに実施例1の疑似餌を浸漬して、流量3.2L/minで流水させた。その結果、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【0032】
(変形例1)
疑似餌本体として、市販のポリ塩化ビニル樹脂製グラブ(ゲーリーヤマモト社製)を用いた他は、実施例1と同様にして、変形例1の疑似餌を得た。この変形例1の疑似餌について、実施例1と同様にして匂い持続評価の実験を実施した。その結果、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【0033】
(変形例2)
疑似餌本体として、ポリ乳酸樹脂とポリ塩化ビニル樹脂とのブレンド樹脂からなる市販のストレートワーム(Fecoワーム)を用いた他は、実施例1と同様にして、変形例2の疑似餌を得た。この変形例2の疑似餌について、実施例1と同様にして匂い持続評価の実験を実施した。その結果、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【0034】
(変形例3)
疑似餌本体として、市販のABS樹脂製ハードルアー(ラッキークラフト社製ミノー)を用いた他は、実施例1と同様にして、変形例1の疑似餌を得た。この変形例1の疑似餌について、実施例1と同様にして匂い持続評価の実験を実施した。その結果、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【0035】
(比較例1)
市販の集魚用調合剤(キャスティング社製、商品名「キッカーフォーミュラ」)を塗布した疑似餌について、実施例1と同様の匂い持続評価の実験を実施した。その結果、3分20秒程の流水中で浸漬した後取出したところ、匂いは感じられなくなっていた。
【実施例2】
【0036】
塗膜形成成分としてのアクリル酸樹脂と、塗膜性能向上成分としてのニトロセルロースと、顔料としてのチタン白とからなる市販の塗料(10g、田宮模型社製、商品名「タミヤカラー」)に、実施例1で調製した集魚用調合剤(2g)、及び、溶剤としてのトルエン(1g)を加え、混合し希釈した。硬質合成樹脂製の疑似餌本体に、これを塗布し、乾燥して、実施例2の疑似餌(ホッパー)を得た。
【0037】
実施例1と同様の匂い持続評価の実験を実施したところ、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【実施例3】
【0038】
透明グレードABS樹脂(小林樹脂工業社製)95質量部と、集魚用調合剤(実施例1で調製したもの)5質量部とを混合して射出成形材料とし、射出成形機(HAITIAN社製、HTF58X)を用いて、ABS樹脂製のハードルアー(ミノー、115mm)を成形した。成形条件としては、型締力100トン、射出時間10秒、保圧5秒、冷却20秒、ノズル部温度230℃、スクリュー温度(ノズル部に近い方から)230℃、215℃、190℃、スクリュー位置30mm、射出圧力は、最大圧力1600kgf/cm2として、0〜10mmで95%、10〜30mmで90%とした。
【0039】
実施例1と同様の匂い持続評価の実験を実施したところ、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。
【実施例4】
【0040】
透明グレードABS樹脂(小林樹脂工業社製)19質量部と、集魚用調合剤(実施例1で調製したもの)3質量部と、予めカップリング処理(カップリング剤種類:アミノシラン系、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、SH6020、添加量0.5%)を施したタングステン粉末(アライドマテリアル社製、平均粒径20μm)78質量部と、顔料とを攪拌混合して成形材料とし、射出成形機(HAITIAN社製HTF58X)を用いて、ABS樹脂製のハードルアー(ジグヘッド、7g、フック#1)を成形した。
【0041】
実施例1と同様の匂い持続評価の実験を実施したところ、24時間以上流水中で浸漬した後取出しても、匂いが持続していた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象魚が好む集魚成分を集魚用仕掛けに担持させるための集魚用調合剤において、その集魚成分と、その集魚成分の担持及び/又は発散を制御する補助成分とを含有することを特徴とする集魚用調合剤。
【請求項2】
集魚成分が動物由来成分及び/又は植物由来成分であり、水中に匂い及び/又は味として発散されることを特徴とする、請求項1に記載の集魚用仕掛け。
【請求項3】
集魚成分が炭水化物、脂質、タンパク質、若しくは繊維質、又はそれらの分解物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の集魚用調合剤。
【請求項4】
補助成分が、脂肪酸エステル類、二塩基酸エステル類、三塩基酸エステル類、芳香族酸エステル類及びリン酸エステル類からなる群から選択されるエステル類であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の集魚用調合剤。
【請求項5】
集魚成分(A)と補助成分(B)との質量比(A/B)が0.01〜2.5の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の集魚用調合剤。
【請求項6】
集魚成分及び補助成分に加えて、食用油を含む請求項1〜5のいずれかに記載の集魚用調合剤。
【請求項7】
対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有する仕掛けにおいて、請求項1〜6のいずれかに記載の集魚用調合剤が仕掛け本体に担持されたことを特徴とする集魚用仕掛け。
【請求項8】
仕掛け本体が合成樹脂、木材、金属、無機物、若しくは鉱物、又はこれらの混合物からなることを特徴とする、請求項7に記載の集魚用仕掛け。
【請求項9】
補助成分は、集魚成分と仕掛け本体の双方に対して親和性を有する成分である請求項7又は8に記載の集魚用仕掛け。
【請求項10】
仕掛け本体中に樹脂成分を有し、集魚成分が動物由来及び/又は植物由来の油性成分であり、補助成分が仕掛け本体中の樹脂成分と親和性を有する樹脂添加用の可塑剤である請求項7〜9のいずれかに記載の集魚用仕掛け。
【請求項11】
仕掛けが疑似餌、釣餌、サルカン、錘、浮き、天秤、釣針、若しくは釣糸、又は漁網であることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の集魚用仕掛け。
【請求項12】
仕掛け本体が合成樹脂製であり、仕掛けが疑似餌であることを特徴とする、請求項11に記載の集魚用仕掛け。
【請求項13】
集魚成分は、釣り対象魚が疑似餌を捕食した際に匂い及び/又は昧として感じられる成分である請求項12に記載の集魚用仕掛け。
【請求項14】
仕掛け本体が無機物又は金属を含有する合成樹脂製であり、仕掛けが錘であることを特徴とする、請求項11に記載の集魚用仕掛け。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれかに記載の集魚用調合剤を含む浸漬液を調製し、該浸漬液に仕掛け本体を浸漬して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に浸透させ担持することを特徴とする、対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有する集魚用仕掛けの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれかに記載の集魚用調合剤を含む塗料を調製し、該塗料を仕掛け本体に塗布し、乾燥して集魚成分と補助成分とを仕掛け本体に担持することを特徴とする、対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有する集魚用仕掛けの製造方法。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットとを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することを特徴とする、対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有する集魚用仕掛けの製造方法。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれかに記載の集魚用調合剤と樹脂ペレットと無機物又は金属とを混合して仕掛け本体用成形材料を調製し、該成形材料を仕掛け本体の形状に成形化工することを特徴とする、対象魚が好む集魚成分を水中に発散することによる集魚効果を有する集魚用仕掛けの製造方法。


【公開番号】特開2006−121963(P2006−121963A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313729(P2004−313729)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504147988)
【Fターム(参考)】