離型剤塗布装置及び離型剤塗布方法
【課題】型表面に対する離型剤の塗布状態を均一化する。
【解決手段】中空のハウジング1を型開きした状態の上下各金型3,5相互間に挿入した状態で、複数の離型剤吐出ノズル11から離型剤を型表面3a,5aに向けて吐出する。離型剤吐出ノズル11からは、ハウジング1の一方の端部に設けてある溶液供給部7内の離型剤と、同エア供給部9内のエアとを混合した離型剤を吐出する。溶液供給部7と複数の離型剤吐出ノズル11とを接続する複数の溶液配管11の通路断面積及び通路長を互いに同等とし、エア供給部9と複数の離型剤吐出ノズル11とを接続する複数のエア配管15の通路長及び通路断面積を互いに同等とする。
【解決手段】中空のハウジング1を型開きした状態の上下各金型3,5相互間に挿入した状態で、複数の離型剤吐出ノズル11から離型剤を型表面3a,5aに向けて吐出する。離型剤吐出ノズル11からは、ハウジング1の一方の端部に設けてある溶液供給部7内の離型剤と、同エア供給部9内のエアとを混合した離型剤を吐出する。溶液供給部7と複数の離型剤吐出ノズル11とを接続する複数の溶液配管11の通路断面積及び通路長を互いに同等とし、エア供給部9と複数の離型剤吐出ノズル11とを接続する複数のエア配管15の通路長及び通路断面積を互いに同等とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布装置及び離型剤塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱間鍛造や温間鍛造成形加工においては、鍛造加工前のワークを高温に加熱していることから、金型の温度が上昇するが、この際金型からの鍛造物の離型性や潤滑性が低下するのを防止するとともに、金型の冷却を行うために、金型表面に離型剤を塗布することが行われている。
【0003】
その際、下記特許文献1では、離型剤を収容する充填室を備えた箱型のスプレヘッダーを型開きした金型の間に挿入し、スプレヘッダーに設けた複数のノズルから、型表面に向けて離型剤を噴射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−110350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、離型剤を型表面に塗布する際には、作業効率の点などから、塗布作業のための専用の時間を設けることなく、プレス作業の1サイクルの中で離型剤を塗布する必要があり、できるだけ短時間で塗布を完了させることが要求されている。
【0006】
ところが、上記した従来の離型剤塗布装置では、箱型のスプレヘッダーの充填室に離型剤が充満するまでに時間がかかる上、スプレヘッダーに対する離型剤の供給口から複数のノズルまでの充填室内での距離が互いに異なるので、各ノズルによる噴射時期や噴射圧力にばらつきを生じ、型表面の部位によって塗布状態が不均一になり、型冷却が適正になされず、潤滑・離型性の悪化を招くものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、型表面に対する離型剤の塗布状態を均一化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、離型剤を型表面に向けて吐出する複数の離型剤吐出部と、この複数の離型剤吐出部に離型剤を供給する離型剤供給部と、この離型剤供給部から複数の離型剤吐出部に向けて離型剤がそれぞれ個別に流れる複数の離型剤通路部と、を本体部に設け、離型剤供給部から離型剤通路部を経て離型剤吐出部までを含む内部の容積を、複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、離型剤が離型剤供給部から複数の離型剤通路部を経て各離型剤吐出部に達するまでの時間がほぼ同等となり、複数の離型剤吐出部による離型剤の噴射時期や噴射圧力がほぼ同等となって、型表面に対する離型剤の塗布状態を均一化することができ、型冷却を適正に行って、潤滑・離型性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図である。
【図2】図1の離型剤塗布装置の斜視図である。
【図3】図1の離型剤塗布装置における離型剤吐出ノズルの断面図である。
【図4】(a)は本発明の第2の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図、(b)はその溶液供給部(エア供給部)の拡大した断面図である。
【図5】(a)は本発明の第3の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図、(b)はその溶液供給部(エア供給部)の拡大した断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係わる離型剤塗布装置は、図1に示すように、本体部としての中空のヘッダ部となるハウジング1を備えている。このハウジング1は、型開きした状態の上下各金型3,5の相互間に挿入できるように、扁平な例えば四角形状を呈しており、一方の端壁部1aに、溶液供給部7とエア供給部9とを取り付けてある。
【0013】
溶液供給部7には離型剤の溶液を収容し、エア供給部9には離型剤の溶液に混合させるエアを収容する。これら溶液供給部7及びエア供給部9には、ハウジング1の外部に位置する溶液供給口7a及びエア供給口9aを通して、離型剤の溶液及びエアを図示しない溶液供給源及びエア供給源からそれぞれ送り込む。上記した溶液供給部7及びエア供給部9は、離型剤供給部を構成している。
【0014】
また、ハウジング1の上下両壁部1b,1cには、離型剤吐出部としての離型剤吐出ノズル11をそれぞれ複数取り付けてある。これら離型剤吐出ノズル11から、離型剤の溶液とエアとを混合した離型剤となる混合液を上下各金型3,5の型表面3a,5aに向けて吐出する。
【0015】
離型剤吐出ノズル11は、図3に拡大して示すように、全体として中空の円筒形状であって内部に離型剤の溶液及びエアが流入するノズル空間11aを備え、ハウジング1の外部に位置する先端面に離型剤の吐出口11bを設けてある。また、離型剤吐出ノズル11のハウジング1の内部に位置する基端面には溶液流入口11cを、同内部に位置する側面には、エア流入口11dをそれぞれ設けてある。
【0016】
そして、前記図1における溶液供給部7の溶液供給口7aと反対側のハウジング1内に開口する溶液放出口7bと、上記図3に示した溶液流入口11cとを、溶液配管15によって接続する。一方、前記したエア供給部9のエア供給口9aと反対側のハウジング1内に開口するエア放出口9bと、上記図3に示したエア流入口11dとを、エア配管17によって接続する。上記した溶液配管15及びエア配管17は、離型剤通路部を構成している。
【0017】
なお、図1では、ハウジング1の一方の端壁部1aから最も遠い位置の図1中で左側の端部に位置する離型剤吐出ノズル11と、ハウジング1の近傍に位置する離型剤吐出ノズル11にのみ、溶液配管15及びエア配管17を接続した図としているが、他のすべての離型剤吐出ノズル11にも、溶液配管15及びエア配管17を同様に接続しているものとする。
【0018】
ただし、その際、各離型剤吐出ノズル11において、複数の溶液配管15は、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とし、エア配管17についても、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とする。これにより、溶液供給部7から溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、前記複数の溶液配管15相互間でほぼ同等となる。同様にして、エア供給部9からエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、前記複数のエア配管17相互間でほぼ同等一となる。
【0019】
なお、溶液配管15とエア配管17との間でも、通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長がほぼ同等としてもよい。
【0020】
また、溶液供給部7の溶液供給口7aは、図1中で紙面に直交する方向や上下方向もしくは上下両面などに溶液配管15の数に対応して設けてあり、エア供給部9のエア供給口9aも、同様にエア配管17の数に対応して設けてあるものとする。
【0021】
次に作用を説明する。図1のように鍛造プレス加工などでの型開きした状態で、ハウジング1を上下各金型3,5の相互間に挿入配置する。この状態で、溶液供給部7及びエア供給部9にそれぞれ送り込んだ溶液及びエアは、溶液配管15及びエア配管17を通って離型剤吐出ノズル11に達する。各離型剤吐出ノズル11内では、溶液とエアとが混合して離型剤となり、該離型剤を吐出口11bから吐出して上下各金型3,5の型表面3a,5aに噴き付ける。
【0022】
このとき、本実施形態では、各離型剤吐出ノズル11において、溶液配管15同士は、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とし、エア配管17同士についても、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等としている。
【0023】
このため、溶液供給部7から各離型剤吐出ノズル11には、溶液が各離型剤吐出ノズル11相互間でほぼ同時に流入し、またエア供給部9から各離型剤吐出ノズル11にも、エアが各離型剤吐出ノズル11相互間でほぼ同時に流入することになる。
【0024】
この結果、各離型剤吐出ノズル11による離型剤の噴射時期や噴射圧力がほぼ同等となって、型表面3a,5aに対する離型剤の塗布状態を均一化することができ、型冷却を適正に行って、潤滑・離型性を高めることができる。
【0025】
また、本実施形態では、ハウジング1内には、溶液配管15及びエア配管17を収容しており、溶液やエアを直接充填するものではないので、各離型剤吐出ノズル11への溶液やエアの到達時間を短縮でき、プレス作業の1サイクルの中で離型剤を塗布するのに有効である。
【0026】
なお、上記した第1の実施形態では、溶液配管15は、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7との直線距離が短い(近い)ものほど、その直線距離よりも長さがより長いものとしている。つまり、溶液配管15は、対応する離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7との直線距離が短いものほど、その直線距離よりも通路長を長くする度合いを大きくしている。同様にして、エア配管17は、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9との直線距離が短い(近い)ものほどその直線距離よりも長さがより長いものとしている。これにより、溶液供給部7から溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積を、複数の溶液配管15同士でほぼ同等に近付けることができるとともに、エア供給部9からエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積を、複数のエア配管17同士でほぼ同等に近付けることができる。
【0027】
なお、上記した複数の溶液配管15及びエア配管17について、通路断面積がほぼ同等で、通路長もほぼ同等としているが、通路断面積を同一で、通路長も同一としてもよい。
【0028】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、図4に示すように、前記図1に示した第1の実施形態に対し、溶液供給部7A及びエア供給部9Aの形状を異ならせている。すなわち、第2の実施形態による溶液供給部7A及びエア供給部9Aは、全体として球形状としてある。
【0029】
図4(b)は溶液供給部7A(エア供給部9A)の断面図であり、内部の溶液収容空間7c(エア収容空間9c)を球形としてある。すなわち、この場合、複数の溶液配管15(エア配管17)が連通する内部の空間となる溶液収容空間7c(エア収容空間9c)の内面7d(9d)が球面である。
【0030】
上記した複数の溶液配管15(エア配管17)は、溶液供給部7A(エア供給部9A)の外周面に分散して接続してあり、溶液収容空間7c(エア収容空間9c)への連通口15a(17a)には、球形の溶液収容空間7c(エア収容空間9c)からほぼ均一な液体(気体)の圧力が付与されることになる。したがって、各離型剤吐出ノズル11による離型剤の噴射時期や噴射圧力をより一層同等に近付けることができる。
【0031】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、図5に示すように、前記図4に示した第2の実施形態に対し、溶液供給部7B及びエア供給部9Bの外観形状が球状である点は同等であるが、図4の球面とした溶液収容空間7c(エア収容空間9c)の内面7d(9d)の内側の中心に、球体19を収容配置している。すなわち、球体19の外周面19aが、内面7d(9d)に対向する内側壁面を構成しており、該内側壁面となる外周面19aと前記内面7d(9d)との間に溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)を形成している。
【0032】
なお、球体19は、特に図示していないが、内面7d(9d)に対し、適宜支持アームなどの支持部材によって支持させる。
【0033】
第3の実施形態は、前記した第2の実施形態と同様の効果を有するほか、溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)を第2の実施形態に比較して小さくできるので、溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)に溶液(エア)を充満させるまでの時間を短縮でき、離型剤の塗布作業時間をさらに短縮することができる。
【0034】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態は、図6に示すように、前記図1に示した第1の実施形態に対し、溶液供給部7C及びエア供給部9Cのハウジング1内の部分を長く形成し、該溶液供給部7C及びエア供給部9Cを、複数の離型剤吐出ノズル11を設けた領域のほぼ半分の領域にてその配列方向に沿って配置している。
【0035】
この際、本実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある離型剤吐出ノズル11については、図6中で最も右側に位置する離型剤吐出ノズル11で示すように、溶液配管15及びエア配管17の通路長を短く、かつ、通路面積を大きくしている。
【0036】
上記溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置から外れた位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17については、溶液供給部7C及びエア供給部9Cと、離型剤吐出ノズル11との直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。
【0037】
これら溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置から外れた位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17に対し、前記した溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17は、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。また、これら溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある複数の離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17は、通路面積及び通路長を互いにほぼ同等としている。
【0038】
すなわち、本実施形態では、溶液配管15が、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7Cとの直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。同様にして、エア配管17についても、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9Cとの直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。
【0039】
逆に言えば、溶液配管1は、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7Cとの直線距離が長いものほど、通路面積が小さく、かつ、通路長が長くなっている。同様にして、エア配管17についても、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9Cとの直線距離が長いものほど、通路面積が小さく、かつ、通路長が長くなっている。
【0040】
これにより、溶液供給部7Cから溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、複数の溶液配管15同士でほぼ同等となる。同様にして、エア供給部9Cからエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、複数のエア配管17同士でほぼ同等となる。
【0041】
上記第4の実施形態によれば、溶液配管15及びエア配管17は、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに近い離型剤吐出ノズル11に対応するものほど通路長を短くできるので、ハウジング1内の配管レイアウトが容易となる。
【0042】
また、本実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cを、複数の離型剤吐出ノズル11を設けた領域のほぼ半分の領域にてその配列方向に沿って配置しているので、溶液配管15及びエア配管17の通路長が短いものを多用でき、ハウジング1内の配管レイアウトがより容易となる。
【0043】
なお、上記第4の実施形態における溶液配管15及びエア配管17について、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに近い離型剤吐出ノズル11に対応するものほど通路断面積を大きくして通路長を短くする構成は、前記した第1〜第3の各実施形態に適用してもよい。
【0044】
また、第4の実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cは、図6中で紙面に直交する方向の長さが、ハウジング1の同方向長さより充分短く形成してあり、これにより、溶液配管15及びエア配管17を溶液供給部7C及びエア供給部9Cの側方を通してその上面あるいは下面もしくは側面に接続することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウジング(本体部)
3a,5a 型表面
7,7A,7B,7C 溶液供給部
7c 溶液収容空間(内部の空間)
7c1 溶液収容空間(内側壁面と内面との間の空間)
7d 溶液収容空間の内面(内部の空間の内面)
9,9A,9B,9C エア供給部(離型剤収容部)
9c エア収容空間(内部の空間)
9c1 エア収容空間(内側壁面と内面との間の空間)
9d エア収容空間の内面(内部の空間の内面)
11 離型剤吐出ノズル(離型剤吐出部)
15 溶液配管(離型剤通路部)
17 エア配管(離型剤通路部)
19a 球体の外周面(内面に対向する内側壁面)
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布装置及び離型剤塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱間鍛造や温間鍛造成形加工においては、鍛造加工前のワークを高温に加熱していることから、金型の温度が上昇するが、この際金型からの鍛造物の離型性や潤滑性が低下するのを防止するとともに、金型の冷却を行うために、金型表面に離型剤を塗布することが行われている。
【0003】
その際、下記特許文献1では、離型剤を収容する充填室を備えた箱型のスプレヘッダーを型開きした金型の間に挿入し、スプレヘッダーに設けた複数のノズルから、型表面に向けて離型剤を噴射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−110350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、離型剤を型表面に塗布する際には、作業効率の点などから、塗布作業のための専用の時間を設けることなく、プレス作業の1サイクルの中で離型剤を塗布する必要があり、できるだけ短時間で塗布を完了させることが要求されている。
【0006】
ところが、上記した従来の離型剤塗布装置では、箱型のスプレヘッダーの充填室に離型剤が充満するまでに時間がかかる上、スプレヘッダーに対する離型剤の供給口から複数のノズルまでの充填室内での距離が互いに異なるので、各ノズルによる噴射時期や噴射圧力にばらつきを生じ、型表面の部位によって塗布状態が不均一になり、型冷却が適正になされず、潤滑・離型性の悪化を招くものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、型表面に対する離型剤の塗布状態を均一化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、離型剤を型表面に向けて吐出する複数の離型剤吐出部と、この複数の離型剤吐出部に離型剤を供給する離型剤供給部と、この離型剤供給部から複数の離型剤吐出部に向けて離型剤がそれぞれ個別に流れる複数の離型剤通路部と、を本体部に設け、離型剤供給部から離型剤通路部を経て離型剤吐出部までを含む内部の容積を、複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、離型剤が離型剤供給部から複数の離型剤通路部を経て各離型剤吐出部に達するまでの時間がほぼ同等となり、複数の離型剤吐出部による離型剤の噴射時期や噴射圧力がほぼ同等となって、型表面に対する離型剤の塗布状態を均一化することができ、型冷却を適正に行って、潤滑・離型性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図である。
【図2】図1の離型剤塗布装置の斜視図である。
【図3】図1の離型剤塗布装置における離型剤吐出ノズルの断面図である。
【図4】(a)は本発明の第2の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図、(b)はその溶液供給部(エア供給部)の拡大した断面図である。
【図5】(a)は本発明の第3の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図、(b)はその溶液供給部(エア供給部)の拡大した断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係わる離型剤塗布装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係わる離型剤塗布装置は、図1に示すように、本体部としての中空のヘッダ部となるハウジング1を備えている。このハウジング1は、型開きした状態の上下各金型3,5の相互間に挿入できるように、扁平な例えば四角形状を呈しており、一方の端壁部1aに、溶液供給部7とエア供給部9とを取り付けてある。
【0013】
溶液供給部7には離型剤の溶液を収容し、エア供給部9には離型剤の溶液に混合させるエアを収容する。これら溶液供給部7及びエア供給部9には、ハウジング1の外部に位置する溶液供給口7a及びエア供給口9aを通して、離型剤の溶液及びエアを図示しない溶液供給源及びエア供給源からそれぞれ送り込む。上記した溶液供給部7及びエア供給部9は、離型剤供給部を構成している。
【0014】
また、ハウジング1の上下両壁部1b,1cには、離型剤吐出部としての離型剤吐出ノズル11をそれぞれ複数取り付けてある。これら離型剤吐出ノズル11から、離型剤の溶液とエアとを混合した離型剤となる混合液を上下各金型3,5の型表面3a,5aに向けて吐出する。
【0015】
離型剤吐出ノズル11は、図3に拡大して示すように、全体として中空の円筒形状であって内部に離型剤の溶液及びエアが流入するノズル空間11aを備え、ハウジング1の外部に位置する先端面に離型剤の吐出口11bを設けてある。また、離型剤吐出ノズル11のハウジング1の内部に位置する基端面には溶液流入口11cを、同内部に位置する側面には、エア流入口11dをそれぞれ設けてある。
【0016】
そして、前記図1における溶液供給部7の溶液供給口7aと反対側のハウジング1内に開口する溶液放出口7bと、上記図3に示した溶液流入口11cとを、溶液配管15によって接続する。一方、前記したエア供給部9のエア供給口9aと反対側のハウジング1内に開口するエア放出口9bと、上記図3に示したエア流入口11dとを、エア配管17によって接続する。上記した溶液配管15及びエア配管17は、離型剤通路部を構成している。
【0017】
なお、図1では、ハウジング1の一方の端壁部1aから最も遠い位置の図1中で左側の端部に位置する離型剤吐出ノズル11と、ハウジング1の近傍に位置する離型剤吐出ノズル11にのみ、溶液配管15及びエア配管17を接続した図としているが、他のすべての離型剤吐出ノズル11にも、溶液配管15及びエア配管17を同様に接続しているものとする。
【0018】
ただし、その際、各離型剤吐出ノズル11において、複数の溶液配管15は、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とし、エア配管17についても、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とする。これにより、溶液供給部7から溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、前記複数の溶液配管15相互間でほぼ同等となる。同様にして、エア供給部9からエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、前記複数のエア配管17相互間でほぼ同等一となる。
【0019】
なお、溶液配管15とエア配管17との間でも、通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長がほぼ同等としてもよい。
【0020】
また、溶液供給部7の溶液供給口7aは、図1中で紙面に直交する方向や上下方向もしくは上下両面などに溶液配管15の数に対応して設けてあり、エア供給部9のエア供給口9aも、同様にエア配管17の数に対応して設けてあるものとする。
【0021】
次に作用を説明する。図1のように鍛造プレス加工などでの型開きした状態で、ハウジング1を上下各金型3,5の相互間に挿入配置する。この状態で、溶液供給部7及びエア供給部9にそれぞれ送り込んだ溶液及びエアは、溶液配管15及びエア配管17を通って離型剤吐出ノズル11に達する。各離型剤吐出ノズル11内では、溶液とエアとが混合して離型剤となり、該離型剤を吐出口11bから吐出して上下各金型3,5の型表面3a,5aに噴き付ける。
【0022】
このとき、本実施形態では、各離型剤吐出ノズル11において、溶液配管15同士は、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等とし、エア配管17同士についても、すべて通路断面積がほぼ同等で、かつ、通路長もほぼ同等としている。
【0023】
このため、溶液供給部7から各離型剤吐出ノズル11には、溶液が各離型剤吐出ノズル11相互間でほぼ同時に流入し、またエア供給部9から各離型剤吐出ノズル11にも、エアが各離型剤吐出ノズル11相互間でほぼ同時に流入することになる。
【0024】
この結果、各離型剤吐出ノズル11による離型剤の噴射時期や噴射圧力がほぼ同等となって、型表面3a,5aに対する離型剤の塗布状態を均一化することができ、型冷却を適正に行って、潤滑・離型性を高めることができる。
【0025】
また、本実施形態では、ハウジング1内には、溶液配管15及びエア配管17を収容しており、溶液やエアを直接充填するものではないので、各離型剤吐出ノズル11への溶液やエアの到達時間を短縮でき、プレス作業の1サイクルの中で離型剤を塗布するのに有効である。
【0026】
なお、上記した第1の実施形態では、溶液配管15は、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7との直線距離が短い(近い)ものほど、その直線距離よりも長さがより長いものとしている。つまり、溶液配管15は、対応する離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7との直線距離が短いものほど、その直線距離よりも通路長を長くする度合いを大きくしている。同様にして、エア配管17は、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9との直線距離が短い(近い)ものほどその直線距離よりも長さがより長いものとしている。これにより、溶液供給部7から溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積を、複数の溶液配管15同士でほぼ同等に近付けることができるとともに、エア供給部9からエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積を、複数のエア配管17同士でほぼ同等に近付けることができる。
【0027】
なお、上記した複数の溶液配管15及びエア配管17について、通路断面積がほぼ同等で、通路長もほぼ同等としているが、通路断面積を同一で、通路長も同一としてもよい。
【0028】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、図4に示すように、前記図1に示した第1の実施形態に対し、溶液供給部7A及びエア供給部9Aの形状を異ならせている。すなわち、第2の実施形態による溶液供給部7A及びエア供給部9Aは、全体として球形状としてある。
【0029】
図4(b)は溶液供給部7A(エア供給部9A)の断面図であり、内部の溶液収容空間7c(エア収容空間9c)を球形としてある。すなわち、この場合、複数の溶液配管15(エア配管17)が連通する内部の空間となる溶液収容空間7c(エア収容空間9c)の内面7d(9d)が球面である。
【0030】
上記した複数の溶液配管15(エア配管17)は、溶液供給部7A(エア供給部9A)の外周面に分散して接続してあり、溶液収容空間7c(エア収容空間9c)への連通口15a(17a)には、球形の溶液収容空間7c(エア収容空間9c)からほぼ均一な液体(気体)の圧力が付与されることになる。したがって、各離型剤吐出ノズル11による離型剤の噴射時期や噴射圧力をより一層同等に近付けることができる。
【0031】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、図5に示すように、前記図4に示した第2の実施形態に対し、溶液供給部7B及びエア供給部9Bの外観形状が球状である点は同等であるが、図4の球面とした溶液収容空間7c(エア収容空間9c)の内面7d(9d)の内側の中心に、球体19を収容配置している。すなわち、球体19の外周面19aが、内面7d(9d)に対向する内側壁面を構成しており、該内側壁面となる外周面19aと前記内面7d(9d)との間に溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)を形成している。
【0032】
なお、球体19は、特に図示していないが、内面7d(9d)に対し、適宜支持アームなどの支持部材によって支持させる。
【0033】
第3の実施形態は、前記した第2の実施形態と同様の効果を有するほか、溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)を第2の実施形態に比較して小さくできるので、溶液収容空間7c1(エア収容空間9c1)に溶液(エア)を充満させるまでの時間を短縮でき、離型剤の塗布作業時間をさらに短縮することができる。
【0034】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態は、図6に示すように、前記図1に示した第1の実施形態に対し、溶液供給部7C及びエア供給部9Cのハウジング1内の部分を長く形成し、該溶液供給部7C及びエア供給部9Cを、複数の離型剤吐出ノズル11を設けた領域のほぼ半分の領域にてその配列方向に沿って配置している。
【0035】
この際、本実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある離型剤吐出ノズル11については、図6中で最も右側に位置する離型剤吐出ノズル11で示すように、溶液配管15及びエア配管17の通路長を短く、かつ、通路面積を大きくしている。
【0036】
上記溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置から外れた位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17については、溶液供給部7C及びエア供給部9Cと、離型剤吐出ノズル11との直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。
【0037】
これら溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置から外れた位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17に対し、前記した溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17は、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。また、これら溶液供給部7C及びエア供給部9Cに対応する位置にある複数の離型剤吐出ノズル11の溶液配管15及びエア配管17は、通路面積及び通路長を互いにほぼ同等としている。
【0038】
すなわち、本実施形態では、溶液配管15が、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7Cとの直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。同様にして、エア配管17についても、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9Cとの直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短くなっている。
【0039】
逆に言えば、溶液配管1は、該溶液配管15に接続される離型剤吐出ノズル11と溶液供給部7Cとの直線距離が長いものほど、通路面積が小さく、かつ、通路長が長くなっている。同様にして、エア配管17についても、該エア配管17に接続される離型剤吐出ノズル11とエア供給部9Cとの直線距離が長いものほど、通路面積が小さく、かつ、通路長が長くなっている。
【0040】
これにより、溶液供給部7Cから溶液配管15を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、複数の溶液配管15同士でほぼ同等となる。同様にして、エア供給部9Cからエア配管17を経て離型剤吐出ノズル11までを含む内部の容積が、複数のエア配管17同士でほぼ同等となる。
【0041】
上記第4の実施形態によれば、溶液配管15及びエア配管17は、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに近い離型剤吐出ノズル11に対応するものほど通路長を短くできるので、ハウジング1内の配管レイアウトが容易となる。
【0042】
また、本実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cを、複数の離型剤吐出ノズル11を設けた領域のほぼ半分の領域にてその配列方向に沿って配置しているので、溶液配管15及びエア配管17の通路長が短いものを多用でき、ハウジング1内の配管レイアウトがより容易となる。
【0043】
なお、上記第4の実施形態における溶液配管15及びエア配管17について、溶液供給部7C及びエア供給部9Cに近い離型剤吐出ノズル11に対応するものほど通路断面積を大きくして通路長を短くする構成は、前記した第1〜第3の各実施形態に適用してもよい。
【0044】
また、第4の実施形態では、溶液供給部7C及びエア供給部9Cは、図6中で紙面に直交する方向の長さが、ハウジング1の同方向長さより充分短く形成してあり、これにより、溶液配管15及びエア配管17を溶液供給部7C及びエア供給部9Cの側方を通してその上面あるいは下面もしくは側面に接続することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウジング(本体部)
3a,5a 型表面
7,7A,7B,7C 溶液供給部
7c 溶液収容空間(内部の空間)
7c1 溶液収容空間(内側壁面と内面との間の空間)
7d 溶液収容空間の内面(内部の空間の内面)
9,9A,9B,9C エア供給部(離型剤収容部)
9c エア収容空間(内部の空間)
9c1 エア収容空間(内側壁面と内面との間の空間)
9d エア収容空間の内面(内部の空間の内面)
11 離型剤吐出ノズル(離型剤吐出部)
15 溶液配管(離型剤通路部)
17 エア配管(離型剤通路部)
19a 球体の外周面(内面に対向する内側壁面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布装置において、前記離型剤を前記型表面に向けて吐出する複数の離型剤吐出部と、この複数の離型剤吐出部に離型剤を供給する離型剤供給部と、この離型剤供給部から前記複数の離型剤吐出部に向けて離型剤がそれぞれ個別に流れる複数の離型剤通路部と、これら離型剤吐出部,離型剤供給部及び離型剤通路部をそれぞれ有する本体部と、を備え、前記離型剤供給部から前記離型剤通路部を経て前記離型剤吐出部までを含む内部の容積を、前記複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等としたことを特徴とする離型剤塗布装置。
【請求項2】
前記複数の離型剤通路部は、通路断面積が互いにほぼ同等で、かつ、前記離型剤供給部から前記複数の離型剤吐出部までの長さが互いにほぼ同等であることを特徴とする請求項1に記載の離型剤塗布装置。
【請求項3】
前記離型剤通路部は、前記離型剤供給部と前記離型剤吐出部との直線距離が短いものほど、その直線距離に対する長さがより長いことを特徴とする請求項1または2に記載の離型剤塗布装置。
【請求項4】
前記離型剤通路部は、前記離型剤供給部と前記離型剤吐出部との直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短いことを特徴とする請求項1に記載の離型剤塗布装置。
【請求項5】
前記離型剤供給部は、前記複数の離型剤通路部が連通する内部の空間の内面が球面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の離型剤塗布装置。
【請求項6】
前記離型剤供給部の内部の前記空間は球形であることを特徴とする請求項5に記載の離型剤塗布装置。
【請求項7】
前記内部の空間の前記球面とした内面の内側に、該内面に対向する内側壁面を設け、該内側壁面と前記内面との間に前記空間を形成していることを特徴とする請求項5に記載の離型剤塗布装置。
【請求項8】
前記離型剤供給部を前記複数の離型剤吐出部の少なくとも一部の配列方向に沿って配置したことを特徴とする請求項4に記載の離型剤塗布装置。
【請求項9】
離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布方法において、離型剤供給部に収容してある離型剤を、複数の離型剤吐出部から対応する複数の離型剤通路部を経て前記型表面に向けてそれぞれ個別に吐出する際に、前記離型剤供給部から前記離型剤通路部を経て前記離型剤吐出部までを含む内部の容積を、前記複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等とした状態で、前記離型剤供給部内の離型剤を、前記複数の離型剤通路部を経て前記複数の離型剤吐出部まで供給することを特徴とする離型剤塗布方法。
【請求項1】
離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布装置において、前記離型剤を前記型表面に向けて吐出する複数の離型剤吐出部と、この複数の離型剤吐出部に離型剤を供給する離型剤供給部と、この離型剤供給部から前記複数の離型剤吐出部に向けて離型剤がそれぞれ個別に流れる複数の離型剤通路部と、これら離型剤吐出部,離型剤供給部及び離型剤通路部をそれぞれ有する本体部と、を備え、前記離型剤供給部から前記離型剤通路部を経て前記離型剤吐出部までを含む内部の容積を、前記複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等としたことを特徴とする離型剤塗布装置。
【請求項2】
前記複数の離型剤通路部は、通路断面積が互いにほぼ同等で、かつ、前記離型剤供給部から前記複数の離型剤吐出部までの長さが互いにほぼ同等であることを特徴とする請求項1に記載の離型剤塗布装置。
【請求項3】
前記離型剤通路部は、前記離型剤供給部と前記離型剤吐出部との直線距離が短いものほど、その直線距離に対する長さがより長いことを特徴とする請求項1または2に記載の離型剤塗布装置。
【請求項4】
前記離型剤通路部は、前記離型剤供給部と前記離型剤吐出部との直線距離が短いものほど、通路面積が大きく、かつ、通路長が短いことを特徴とする請求項1に記載の離型剤塗布装置。
【請求項5】
前記離型剤供給部は、前記複数の離型剤通路部が連通する内部の空間の内面が球面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の離型剤塗布装置。
【請求項6】
前記離型剤供給部の内部の前記空間は球形であることを特徴とする請求項5に記載の離型剤塗布装置。
【請求項7】
前記内部の空間の前記球面とした内面の内側に、該内面に対向する内側壁面を設け、該内側壁面と前記内面との間に前記空間を形成していることを特徴とする請求項5に記載の離型剤塗布装置。
【請求項8】
前記離型剤供給部を前記複数の離型剤吐出部の少なくとも一部の配列方向に沿って配置したことを特徴とする請求項4に記載の離型剤塗布装置。
【請求項9】
離型剤を型表面に塗布する離型剤塗布方法において、離型剤供給部に収容してある離型剤を、複数の離型剤吐出部から対応する複数の離型剤通路部を経て前記型表面に向けてそれぞれ個別に吐出する際に、前記離型剤供給部から前記離型剤通路部を経て前記離型剤吐出部までを含む内部の容積を、前記複数の離型剤通路部相互間でほぼ同等とした状態で、前記離型剤供給部内の離型剤を、前記複数の離型剤通路部を経て前記複数の離型剤吐出部まで供給することを特徴とする離型剤塗布方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−207828(P2010−207828A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53874(P2009−53874)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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