説明

難溶性化合物の改良されたナノ粒子組成物

本発明はナノ粒子医薬組成物の製造方法に関する。本方法は、a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を液体分散媒中に懸濁する工程、b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の有効成分または懸濁液を、第一の高分子電解質または高分子電解質複合体と接触させる工程、d)任意に、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程、e)任意に、前記の懸濁液を乾燥する工程を含む。本発明は本発明の方法により得られた医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製剤分野におけるものである。特に、本発明は、難溶性化合物の改良されたナノ粒子組成物の製造方法およびナノ粒子医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水に難溶性の薬物の適用は、薬剤学における一般的な問題である。難溶性は、とりわけ、これの薬物のバイオアベイラビリティーが低いことにつながる。一般的に、有効成分のバイオアベイラビリティーは、粒子表面が増すこと、例えばこれらの有効成分の小さな粒子(即ち、マイクロまたはナノ粒子の医薬組成物)を提供することによって、向上し得る。もう1つの問題は、医薬組成物の安定化である。医薬組成物の溶解性および安定性は、界面活性剤(洗浄剤)等の添加剤の添加によって調節されることがある。難溶性薬物は、例えば、国際特許WO2004/030649A2号または同WO2007/031345A2号に記載された通りの高分子電解質の層でコートしてもよい。難溶性薬物の表面に結合する表面改質剤を含む医薬組成物、およびそのような医薬組成物を得る方法は、例えば、欧州特許EP0644755B1号および同EP1490025B1号に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、難溶性化合物のナノ粒子組成物の製造過程の間、洗浄剤の使用を回避する、難溶性化合物の改良されたナノ粒子組成物を提供することであった。また、難溶性化合物の改良されたナノ粒子組成物の製造方法を提供することも、本発明の目的であった。特に、本発明は、以下の工程を含む、有効成分を含むナノ粒子医薬組成物の製造方法を提供する:
a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を水中に懸濁する工程、
b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、
c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の有効成分または懸濁液を、第一の高分子電解質または高分子電解質複合体と接触させる工程、
d)任意に、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程、および
e)任意に、前記の懸濁液を乾燥する工程。
【0004】
本発明の主題は、以下の工程を含む、有効成分を含むナノ粒子医薬組成物の製造方法である:
a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を液体分散媒中に懸濁する工程、
b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満、好ましくは約4000 nm未満、より好ましくは約3000 nm未満、さらにより好ましくは約1000 nm未満および最も好ましくは約800 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、
c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の有効成分または懸濁液を、第一の高分子電解質または高分子電解質複合体と接触させる工程、
d)任意に、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程、および
e)任意に、前記の懸濁液を乾燥する工程。
【0005】
1つの特に好ましい態様では、本発明は、以下の工程を含む、有効成分を含むナノ粒子医薬組成物の製造方法に関する:
a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を液体分散媒中に懸濁する工程、
b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満、好ましくは約4000 nm未満、より好ましくは約3000 nm未満、さらにより好ましくは約1000 nm未満および最も好ましくは約800 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、
c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の有効成分または懸濁液を、第一の高分子電解質と接触させる工程、
d)任意に、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程、および
e)任意に、前記の懸濁液を乾燥する工程。
【0006】
本発明の好ましい態様において、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程は、必須である。従って、この好ましい態様は、以下の工程を含む、有効成分を含むナノ粒子医薬組成物の製造方法に関する:
a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を液体分散媒中に懸濁する工程、
b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、
c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の有効成分または懸濁液を、第一の高分子電解質または電解質複合体と接触させる工程、および
d)機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程。
【0007】
難溶性の有効成分は、好ましくは溶解度が、液体分散媒中、例えば水中で、処理温度、例えば室温で、10 g/L未満、好ましくは1 g/L、より好ましくは約250 mg/L未満、最も好ましくは100 mg/L未満である。好ましい液体分散媒は水であるが、有効成分が難溶性かつ分散性である他の液体媒質として、水性塩溶液または、エタノール、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、クロロブタノール、グリセリン、チオグリセロールおよびポリエチレングリコール等の溶媒の水性混合物が挙げられる。水性分散媒のpHは、当業界で知られている技術によって調節し得る。
【0008】
本発明による洗浄剤は、物質の表面張力を減じる両親媒性非ポリイオン性化合物と定義される。
【0009】
粒子の平均サイズは、好ましくは約5000 nm未満であり、より好ましくは約3000 nm未満、さらにより好ましくは約1000 nm未満、最も好ましくは約800 nm未満である。
【0010】
粒子の平均サイズは、以下の手順によって測定する:予測される平均サイズが3μm未満では、光子相関分光法(PCS)、またはより大きい粒子サイズが予測される場合はレーザー回折法(LD)。
【0011】
本発明による高分子電解質は、その繰り返し単位が電解質基を有するポリマーである。これらの基は、水溶液中で解離して、ポリマーを荷電させるであろう。
【0012】
代表的な湿式ミル形態としては、高せん断ミキサー(ULTRA-TURRAX(登録商標)およびIKA(登録商標)のミル、ヴェルケ社(Werke GmbH&Co.KG))によって循環されるスラリー、またはビーズまたはバスケットミルの使用(DISPERMAT(登録商標)およびTOROUSMILL(登録商標)、VMA-ゲッツマン社(VMA-Getzmann GmbH))、または回転速度1100 rpm以下でのプラネタリーマイクロミル(PULVERISETTE 7, 6, 5, 4, 0, クラシックライン/プレミアムライン、フリッチュ社(Fritsch GmbH))が挙げられる。好ましい態様において、2.5 mm酸化ジルコニウム粉砕ビーズ、2.0 mm酸化ジルコニウム粉砕ビーズ、1.8 mm酸化ジルコニウム粉砕ビーズ、1.5 mm酸化ジルコニウム粉砕ビーズおよび/または0.5 mm酸化ジルコニウム粉砕ビーズを使用する(ビーズの直径)。好ましくは、約1.5 mm〜約1.8 mmの直径の粉砕ビーズを使用する。粉砕の間、ビーズを交換してもよく、例えば、さらなる(例えば第二の)高分子電解質を添加する際に、ビーズを2.5 mmジルコニウムビーズから0.5 mmジルコニウムビーズに変える。別の好ましい態様では、粉砕ビーズは粉砕過程の間、交換しない。粉砕時間は変えてもよい。好ましい粉砕時間は、例えば、各粉砕工程で独立に、10、20、30、40、50または60分である。
【0013】
本発明の方法において、機械的処理の前または機械的処理の間に、懸濁液を第一の高分子電解質と接触させ、機械的処理の間に、懸濁液を第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させることが好ましい。懸濁液を第一のおよび/または第二のまたはさらなる高分子電解質とそれぞれ接触させる際に、前記の高分子電解質を水溶液に溶解すること、即ち、高分子電解質の水溶液を懸濁液に添加することが好ましい。別の好ましい態様において、第一の高分子電解質は、粉砕の前に、水溶液として、粉末形態の有効成分に直接添加し、それにより、前記の難溶性の有効成分を懸濁する。好ましくは、その後、逆に荷電した第二の高分子電解質を、粉砕の間に懸濁液に添加する。
【0014】
第一のおよびさらなる(例えば第二の)高分子電解質が、本発明の方法の間、高分子電解質複合体を形成することが好ましく、従って、本発明の医薬組成物は、好ましくは高分子電解質複合体を含む。
【0015】
好ましくは、本発明による方法は、あらゆる中間の洗浄工程を行わずに実施される。本発明によるナノ粒子医薬組成物の製造方法の好ましい態様において、この方法は、製造過程の最後に希釈工程を含み、形成したスラリーを得る。
【0016】
本発明による好ましい方法では、難溶性有効成分を懸濁する工程a)は、洗浄剤の存在なしに実施される。
【0017】
本発明による方法の好ましい態様において、方法は、石ケン、脂肪酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、および他のアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム(別称ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、アルキルベンゼンスルホン酸塩、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)別称臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシネート;オクチルグルコシド、デシルマルトシドおよびコカミドMEA、コカミドDEA等のアルキルポリグリコシドを含む群から選択される洗浄剤の存在なしに実施される。
【0018】
本発明による方法の別の好ましい態様では、機械的処理は、湿式粉砕、高せん断混合および高圧ホモジネーションを含む群から選択される。
【0019】
機械的処理として、湿式粉砕が最も好ましい。本発明では、以下に概説する通り、いくつかの改良を粉砕過程に適用してもよい。
【0020】
粉砕の間の流体力学は、高分子電解質の添加により影響され得るが、粉砕収率、およびそれによる粒子サイズの制御が向上する。高分子電解質は、粉砕の間、さらなるナノ粒子研磨剤として働いていてもよい。粉砕過程の間、高分子電解質の存在は、粒、ミルの壁および研磨ボールそれぞれの暫定的コーティングとなり、それにより、研磨過程および粉砕結果が向上する。また、高分子電解質は、粉砕の間、滑沢剤としても働き、粉砕装置の磨耗を減じ、粒の汚濁を減少させる。
【0021】
本発明による方法の好ましい態様において、第一の高分子電解質は、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ポリアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩を含む群から選択される。最も好ましい第一の高分子電解質は、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット(例えばオイドラギットS、オイドラギットE)、プロタミン、アルブミン(例えばヒトまたは仔牛血清アルブミン(HASまたはBSA))、カゼイン、ゼラチン(例えばゼラチンA、ゼラチンB)、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化(例えばエーテル化、エステル化)された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される。
【0022】
本発明による方法の好ましい態様において、第二のまたはさらなる高分子電解質は、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ポリアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩を含む群から選択される。最も好ましい第二のまたはさらなる高分子電解質は、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット(例えばオイドラギットS、オイドラギットE)、プロタミン、アルブミン(例えばHSAまたはBSA)、カゼイン、ゼラチン(例えばゼラチンA、ゼラチンB)、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化(例えばエーテル化、エステル化)された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される。最も好ましくは、第二の高分子電解質は、第一の高分子電解質と反対に荷電しているが、即ち、第一の高分子電解質がポリアニオンである場合は、第二の高分子電解質はポリカチオンであり、逆の場合も同様である。2つ以上のさらなる高分子電解質を使用する場合、第一のおよび第三の(および適用可能である場合、他の奇数番目の高分子電解質)高分子電解質は同じ荷電を有し、第二の(および適用可能である場合、他の偶数番目の高分子電解質)は、第一の高分子電解質と反対の荷電を有する。1つの好ましい態様において、懸濁液は第二の高分子電解質と接触させ、さらなる高分子電解質と接触させない。最も好ましくは、第二の高分子電解質は、第一の高分子電解質と反対に荷電する。
【0023】
1つの好ましい態様において、第一の高分子電解質は、オイドラギットEであり、第二の高分子電解質はオイドラギットSである。別の好ましい態様において、第一の高分子電解質はオイドラギットSであり、第二の高分子電解質はオイドラギットEである。さらに別の好ましい態様において第一の高分子電解質はプロタミンであり、第二の高分子電解質はカルボキシメチルセルロースである。さらに別の好ましい態様において、第一の高分子電解質は硫酸プロタミンであり、第二の高分子電解質は硫酸コンドロイチンである。
【0024】
本発明による方法の別の好ましい態様において、乾燥は、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発、加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を含む。本発明の好ましい態様において、乾燥工程は必須である。好ましくは、本発明の方法は、前記の懸濁液の乾燥工程を含む。
【0025】
本発明による方法の別の好ましい態様において、前記の懸濁液中には、約2%未満、最も好ましくは約1%未満の濃度の可溶化剤が存在する。好ましくは、可溶化剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、ベンジルアルコール、エタノール、ポリビニルアルコール、リポイド、オレイン酸エチル、トランスクトール、グリコフロール、ミグリオールを含む群から選択される。
【0026】
本発明による方法の別の好ましい態様において、難溶性有効成分は、生物薬剤学分類システム(BCS)(FDA)のII群またはIV群による難溶性薬剤である。
【0027】
有効成分は、例えば、以下を含む群から選択してもよい:
− アトルバスタチン、アミオダロン、カンデサルタン・シレキセチル、カルベジロール、クロピドグレル二硫酸塩、ジピリダモール、メシル酸エプロサルタン、エピエレノン(epierenone)、エゼチミブ、フェロジピン、フロセミド、イスラジピン、ロバスタチン、メトラゾン、ニカルジピン、ニソルジピン、オルメサルタン・メドキソミル、塩酸プロパフェノン、キナプリル、ラミプリル、シンバスタチン、テルミサルタン、トランドラプリル、バルサルタンおよび他の心血管系薬物;
− アシクロビル、アデホビル、ジピボキシル、アムホテリシン、アンプレナビル、セフィキシム、セフタジジム、クラリスロマイシン、クロトリマゾール、エファビレンツ、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、ナイスタチン、リトナビル、サキナビルおよび、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および駆虫薬を含む他の抗感染症薬;
− シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、エトポシド、エキセメスタン、イダルビシン、イリノテカン、メルファラン、メルカプトプリン、ミトタン、パクリタキセル、バルルビシン、ビンクリスチンおよび腫瘍学において使用される他の薬剤;
− アザチオプリン、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムスおよび他の免疫抑制剤;
− クロザピン、エンタカポン、フルフェナジン、イミプラミン、ネファゾドン、オランザピン、パロキセチン、ピモジド、セルトラリン、トリアゾラム、ザレプロン、ジプラシドンおよび、リスペリドン、カルバマゼピンおよび他のCNS適応症用薬剤;
− ダナゾール、デュタステリド、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ラロキシフェン、シルデナフィル、タダラフィル、テストステロン、バルデナフィルおよび、リプロダクティブ・ヘルスに使用される他の薬剤;
− セレコキシブ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、酒石酸エルゴタミン、ナブメトン、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよび他の消炎鎮痛剤;
− ボセンタン、ブデソニド、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フルチカゾン、ロラタジン、モメタゾン、キシナホ酸サルメテロール、トリアムシノロン・アセトニド、ザフィルルカストおよび、他の呼吸器系適応症用薬剤;および
− ドロナビノール、ファモチジン、グリブリド、ヒヨスチアミン、イソトレチノイン、メゲストロール、メサラミン、モダフィニル、モサプリド、ニモジピン、ペルフェナジン、プロポフォール、スクラルフェート、サリドマイド、塩酸トリザニジン(Trizaidine)、および、特に胃腸障害、糖尿病および皮膚科学適応症を含む、種々の適応症用の他の薬剤。
【0028】
本発明による方法の別の好ましい態様では、液体媒質中の難溶性有効成分の濃度は、約0.1%より高く、好ましくは約1%より高く、さらにより好ましくは約5%より高く、最も好ましくは約10%より高く約65%以下である(w/w)。
【0029】
本発明では、本発明によるナノ粒子医薬組成物の製造方法にいくつかの改良を適用してもよい。
【0030】
粒子の製造の間、高分子電解質の存在により、オストワルド熟成に対する懸濁液の安定性が向上する。
【0031】
有効成分の個々の粒子間の平均距離は、薬物表面に吸着した高分子電解質複合体および分散媒中の高分子電解質複合体の存在により大きくなり、それにより粒子の表面安定性が高くなり、凝集を防ぐ。また、懸濁液の安定性は、高分子電解質が存在する場合、殺菌処理(例えばオートクレーブ処理、γ線処理)および乾燥処理(例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥および熱乾燥)の間に向上する。
【0032】
加えて、ナノ粒子医薬組成物の乾燥粉末のレオロジー特性は、高分子電解質の存在により向上し、それにより、容量投薬、固体投与形態へのさらなる最適化(galenic)処理(例えばカプセル剤中への充填、錠剤中への圧縮、および固体マトリックス中への取り込み)が促進される。同様に、本発明のナノ粒子医薬組成物の、不均一系(例えば乳剤、ヒドロゲル、クリーム)の親水相中への取り込みが、高分子電解質の存在により促進される。
【0033】
本発明の方法によって得られる医薬組成物は、
a.難溶性有効成分、
b.第一の高分子電解質、および
c.1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質
を含み、この医薬組成物は洗浄剤を含まず、かつ、この医薬組成物は、有効平均粒子サイズが約5000 nm未満、好ましくは約4000 nm未満、より好ましくは約3000 nm未満、さらにより好ましくは約1000 nm未満および最も好ましくは約800 nm未満のナノ粒子形態であり、有効成分は粒子のコアを形成し、かつ、第一のおよび任意にさらなる高分子電解質は、有効成分の周りに反対の荷電を有する高分子電解質の交互の層に配置され、高分子電解質複合体の構造は前記の医薬組成物の表面上に形成される。
【0034】
高分子電解質複合体は、反対に荷電した高分子電解質の間の非晶質塩である。これらの高分子電解質複合体は、前記の医薬組成物の表面上に形成されていてもよい。
【0035】
医薬組成物の好ましい態様において、第一の高分子電解質は、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ポリアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩を含む群から選択される。最も好ましい第一の高分子電解質は、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット(例えばオイドラギットS、オイドラギットE)、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン(例えばゼラチンA、ゼラチンB)、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化(例えばエーテル化、エステル化)された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される。
【0036】
医薬組成物の好ましい態様において、第二のまたはさらなる高分子電解質は、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ポリアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩を含む群から選択される。最も好ましい第一の高分子電解質は、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット(例えばオイドラギットS、オイドラギットE)、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン(例えばゼラチンA、ゼラチンB)、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化(例えばエーテル化、エステル化)された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される。
【0037】
負に荷電した高分子電解質は、例えば、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、カルボキシメチルセルロース、ゼラチンB、コラーゲン、オイドラギットSおよびポリリン酸エステルを含む群から選択してもよい。
【0038】
正に荷電した高分子電解質は、例えば、ポリ-L-リシン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、プロタミン(硫酸エステル)、ゼラチンA、オイドラギットE、カゼイン、核酸(例えばDNA、RNA、LNAまたはPNA)およびアミノ化ペクチンを含む群から選択してもよい。
【0039】
好ましい高分子電解質複合体は、例えば、プロタミン/カルボキシメチルセルロース、プロタミン/ゼラチンB、プロタミン/硫酸コンドロイチン、プロタミン/HAS、プロタミン/アルギン酸塩、プロタミン/カラゲネート、プロタミン/オイドラギットS、HSA/ゼラチン、オイドラギットE/オイドラギットS、オイドラギットE/カルボキシメチルセルロース、オイドラギットE/硫酸コンドロイチン、オイドラギットE/カラゲネート、オイドラギットE/アルギン酸塩、キトサン/カルボキシメチルセルロース、キトサン/硫酸コンドロイチン、キトサン/アルギン酸塩、キトサン/カラゲネート、キトサン/ゼラチンを含む群から選択してもよい。
【0040】
医薬組成物の好ましい態様において、難溶性有効成分は、生物薬剤学分類システム(BCS)(FDA)のII群またはIV群による難溶性薬剤である。有効成分は、例えば、以下を含む群から選択してもよい:
− アトルバスタチン、アミオダロン、カンデサルタン・シレキセチル、カルベジロール、クロピドグレル二硫酸塩、ジピリダモール、メシル酸エプロサルタン、エピエレノン(epierenone)、エゼチミブ、フェロジピン、フロセミド、イスラジピン、ロバスタチン、メトラゾン、ニカルジピン、ニソルジピン、オルメサルタン・メドキソミル、塩酸プロパフェノン、キナプリル、ラミプリル、シンバスタチン、テルミサルタン、トランドラプリル、バルサルタンおよび他の心血管系薬物;
− アシクロビル、アデホビル、ジピボキシル、アムホテリシン、アンプレナビル、セフィキシム、セフタジジム、クラリスロマイシン、クロトリマゾール、エファビレンツ、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、ナイスタチン、リトナビル、サキナビルおよび、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および駆虫薬を含む他の抗感染症薬;
− シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、エトポシド、エキセメスタン、イダルビシン、イリノテカン、メルファラン、メルカプトプリン、ミトタン、パクリタキセル、バルルビシン、ビンクリスチンおよび腫瘍学において使用される他の薬剤;
− アザチオプリン、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムスおよび他の免疫抑制剤;
− クロザピン、エンタカポン、フルフェナジン、イミプラミン、ネファゾドン、オランザピン、パロキセチン、ピモジド、セルトラリン、トリアゾラム、ザレプロン、ジプラシドンおよび、リスペリドン、カルバマゼピンおよび他のCNS適応症用薬剤;
− ダナゾール、デュタステリド、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ラロキシフェン、シルデナフィル、タダラフィル、テストステロン、バルデナフィルおよび、リプロダクティブ・ヘルスに使用される他の薬剤;
− セレコキシブ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、酒石酸エルゴタミン、ナブメトン、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよび他の消炎鎮痛剤;
− ボセンタン、ブデソニド、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フルテカゾン、ロラタジン、モメタゾン、キシナホ酸サルメテロール、トリアムシノロン・アセトニド、ザフィルルカストおよび、他の呼吸器系適応症用薬剤;および
− ドロナビノール、ファモチジン、グリブリド、ヒヨスチアミン、イソトレチノイン、メゲストロール、メサラミン、モダフィニル、モサプリド、ニモジピン、ペルフェナジン、プロポフォール、スクラルフェート、サリドマイド、塩酸トリザニジン(Trizaidine)、および、特に胃腸障害、糖尿病および皮膚科学適応症を含む、種々の適応症用の他の薬剤。
【0041】
医薬組成物の好ましい態様において、難溶性有効成分の含有量は、液体系では65%未満であり、または、乾燥系では98%未満である。
【0042】
本発明の医薬組成物の利点としては、高分子電解質を含まない医薬組成物と比較して、懸濁液の投与形態の安定性が増すことが挙げられる。使用する高分子電解質の選択により、例えば走査電子顕微鏡(SEM)画像の分析によって、例えば、表面粗度のような構造の特徴を比較することにより、本発明の医薬組成物を他の組成物(例えば偽造医薬品)と区別することが可能になる。
【0043】
また、例えば標的化、粘膜接着の媒介および透過亢進のために選択された高分子電解質の特性によって、薬物粒子の機能化も可能である。好ましい態様において、最も外側の高分子電解質(即ち最後に添加された高分子電解質)は、硫酸コンドロイチン、カラギーナン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびキトサンの群から選択される。これは、粘膜接着の媒介および透過亢進に役立つ。
【0044】
また、本発明の医薬組成物のイオン導入法の適用を可能にするために、高分子電解質を取り込むことによっても、荷電した基を有する薬物粒子の表面が機能化され得る。
【0045】
さらに、医薬組成物に含まれる高分子電解質複合体は、水分を結合する吸湿剤として作用してもよく、それにより、例えば加水分解から、潜在的に敏感な活性薬剤を保護する。本発明の医薬組成物に含まれる高分子電解質は、殺生物特性も有していてもよく、例えば、PPS、カラギーナンおよびキトサンは抗菌性を有する。
【0046】
本発明による医薬組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、心臓内、髄腔内、頭蓋内、膀胱内、滑液嚢内、眼球内、硝子体内および関節内注射またはインプラント;静脈内点滴;経口、口腔内、舌下、歯周、膣内、子宮内、直腸内、肺内、鼻腔内、吸入、眼球内、眼内、耳内、経皮的および局所適用のために調製してもよい。本発明の医薬組成物の好ましい適用は、経口、皮下、筋肉内、静脈内およびイオン導入適用である。
【0047】
本発明の医薬組成物は、医薬品として使用してもよい。本発明は、別の特別な様相において、医薬品としての使用のための、本発明による医薬組成物に関し、ここで、組成物は、経口的、皮下、筋肉内または静脈内に適用される。本発明は、別の特別な様相において、医薬品としての使用のための本発明による医薬組成物に関し、ここで、組成物は、イオン導入法で適用または送達される。従って、本発明の医薬組成物は、特別な態様において、イオン導入法で適用してもよい。
【0048】
通常、荷電した有効成分のみがイオン導入法で送達され得る。難溶性化合物は、本発明の方法で処理されない限り、中性であるので、添加した高分子電解質はナノ粒子医薬組成物の表面に電荷を与えていてもよく、これにより、このようなナノ粒子医薬組成物がイオン導入法によって送達されてもよい。
【実施例】
【0049】
実施例1
この実施例の目的は、反対に荷電したメタクリレート高分子電解質によってのみ安定化されたカンデサルタン・シレキセチルのナノ粒子懸濁液を調製することであった。具体的には、官能基としてメタクリル酸ジメチルアミノエチルを有するカチオン性ポリマーであるオイドラギットE、および官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーであるオイドラギットSを、サイズ縮小のための機械的処理の間、薬物懸濁液に取り込ませた。カンデサルタン・シレキセチルは、高血圧の治療に適応される、選択的AT1サブタイプのアンジオテンシンII受容体アンタゴニストであり、実質的に非水溶性である。
【0050】
1%オイドラギットEのわずかに酸性の水溶液を、pH 4の水中で調製した。1%オイドラギットSのアルカリ性の水溶液を、pH 8の水中で調製した。150 mgのカンデサルタン・シレキセチルを、遊星ミル(Pulverisette-7、フリッチュ社(Fritsch GmbH)製)の20 mlのチャンバー中、3 mlの1%オイドラギットE溶液と混合し、2.5 mmの酸化ジルコニウムビーズと共に、800 rpmで20分間粉砕した。その後、ビーズを0.5 mm酸化ジルコニウムビーズと交換し、3 mlの1%オイドラギットS溶液が系に取り込まれる間、粉砕を800 rpmでさらに20分間継続した。得られた分散液は、0.1N HClまたはpH 7.4のリン酸緩衝液に加えた場合、および室温で保存した場合に安定であった。光子相関分光法で測定した平均粒子サイズは275.5 nmであり、粒子は-28.1 mVの負のゼータ電位を示した。
【0051】
実施例2
高分子電解質溶液を加える順序を逆にした以外は、実施例1を繰り返した。即ち、オイドラギットS溶液を粉砕過程の初期段階で添加し、オイドラギットE溶液を粉砕ビーズを交換した後に添加した。得られた分散液は、0.1N HClまたはpH 7.4のリン酸緩衝液に加えた場合、および室温で保存した場合に安定であった。光子相関分光法で測定した平均粒子サイズは334.8 nmであり、粒子は+1.2 mVの正のゼータ電位を示した。
【0052】
実施例3
系内全体の固体含量を増やした以外は、実施例1を繰り返した。3750 mgのカンデサルタン・シレキセチルを、遊星ミル(Pulverisette-7、フリッチュ社(Fritsch GmbH)製)の45 mlのチャンバー中、7.5 mlのpH 4の5%オイドラギットE溶液と混合し、1.5 mmの酸化ジルコニウムビーズと共に、800 rpmで20分間粉砕した。その後、7.5 mlのpH 8の5%オイドラギットS溶液を系内に取り込ませ、粉砕を800 rpmで40分間継続した。得られた分散液は、0.1N HClまたはpH 7.4のリン酸緩衝液に加えた場合、および室温で保存した場合に安定であった。光子相関分光法で測定した平均粒子サイズは597 nmであった。
【0053】
実施例4
この実施例の目的は、反対の電荷を有する自然発生高分子電解質によってのみ安定化された、カンデサルタン・シレキセチルのナノ粒子懸濁液を調製することであった。具体的には、カチオン性富アルギニンペプチドであるプロタミンおよびアニオン性高分子電解質であるカルボキシメチルセルロースを、サイズ縮小のための機械的処理の間、薬物懸濁液に取り込ませた。
【0054】
1670 mgのカンデサルタン・シレキセチルを、遊星ミル(Pulverisette-7、フリッチュ社(Fritsch GmbH)製)の20 mlのチャンバー中、2 mlの0.67%硫酸プロタミン水溶液と混合し、2.5 mmの酸化ジルコニウムビーズと共に、800 rpmで20分間粉砕した。その後、2 mlの3.3%カルボキシメチルセルロース水溶液を系中に取り込ませ、さらに20分またはさらに40分、800 rpmで粉砕を継続した。分散液の平均粒子サイズは、粉砕性能を向上させた安定化した高分子電解質複合体の形成により、第二の高分子電解質を添加した後より長い粉砕時間で向上した。光子相関分光法で測定した分散液の平均粒子サイズは、第二の高分子電解質の添加から20分の粉砕時間の後、1073 nmであり、第二の高分子電解質の添加から40分の粉砕時間の後、582 nmであった。得られた分散液は、室温で保存した場合、噴霧乾燥で乾燥した場合、および0.1N HCl溶液またはpH 7.4のリン酸緩衝液に加えた場合、安定であった。分散液中の粒子は、-42.7 mVの負のゼータ電位を示した。
【0055】
実施例5
使用したポリアニオン性物質が硫酸コンドロイチンであったこと以外は、実施例4を繰り返した。1670 mgのカンデサルタン・シレキセチルを、遊星ミル(Pulverisette-7、フリッチュ社(Fritsch GmbH)製)の20 mlのチャンバー中で、2 mlの0.67%硫酸プロタミン水溶液と混合し、2.5 mmの酸化ジルコニウムビーズと共に、800 rpmで20分間粉砕した。その後、2 mlの3.3%硫酸コンドロイチン水溶液を系中に取り込ませ、さらに40分、800 rpmで粉砕を継続した。分散液の平均粒子サイズは、第二の高分子電解質を添加した後、粉砕性能を向上させた安定化した高分子電解質複合体の形成により向上した。分散液の平均粒子サイズは、903 nmであり、ゼータ電位は-44.5 mVであった。
【0056】
実施例6
前記の実施例で述べたものと同様に、カンデサルタン・シレキセチルの種々のナノ粒子懸濁液を、オイドラギットEおよびオイドラギットS、またはプロタミンおよびカルボキシメチルセルロース、またはプロタミンおよび硫酸コンドロイチンを用いて調合する。これらの調合製剤を、ウィスター系雄ラットに経口投与し、対照のカンデサルタン・シレキセチル製剤の成績と比較する。固体および液体形態での経口投与について、薬物動態学的評価を実施する。
【0057】
実施例7
前記の実施例で述べたものと同様に、カンデサルタン・シレキセチルの種々のナノ粒子懸濁液を、プロタミンおよびカルボキシメチルセルロース、またはプロタミンおよび硫酸コンドロイチンを用いて調合する。ナノ懸濁液製剤を、ウィスター系雄ラットに静脈内投与する。カンデサルタン・シレキセチルの高分子電解質複合体安定化ナノ懸濁液の静脈内投与の際の薬物動態学的および生物内分布評価を実施し、カンデサルタン・シレキセチルの対照溶液の成績を、最新の賦形剤と比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、有効成分を含むナノ粒子医薬組成物の製造方法である:
a)洗浄剤の存在なしに、難溶性有効成分を液体分散媒中に懸濁する工程、
b)前記の懸濁液を機械的に処理して、有効平均サイズが約5000 nm未満である有効成分を含む粒子を得る工程、
c)機械的に処理する間および/または機械的に処理する前に、前記の懸濁液を、第一の高分子電解質または高分子電解質複合体と接触させる工程、
d)任意に、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程。
【請求項2】
前記懸濁液が、機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させられ、第二の高分子電解質が、第一の高分子電解質と逆に荷電している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
機械的に処理する間、機械的に処理する前および/または機械的に処理した後に、前記の懸濁液を1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質と接触させる工程が、必須である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
液体分散媒が水、水性塩溶液、および、エタノール、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、クロロブタノール、グリセリン、チオグリセロールおよびポリエチレングリコール等の溶媒の水性混合物を含む群から選択される請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
前記の懸濁液を乾燥する工程をさらに含む請求項1〜4に記載の方法。
【請求項6】
前記の難溶性の有効成分の水中の溶解度が10 g/L未満である請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
方法が、石ケン、脂肪酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、および他のアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム(別称ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、アルキルベンゼンスルホン酸塩、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)別称臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシネート;オクチルグルコシド、デシルマルトシドおよびコカミドMEA、コカミドDEA等のアルキルポリグリコシドを含む群から選択される洗浄剤の存在なしに実施される請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
機械的処理が、湿式粉砕、高せん断混合および高圧ホモジネーションを含む群から選択される請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
第一の高分子電解質が、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される請求項1〜8に記載の方法。
【請求項10】
第二のまたはさらなる高分子電解質が、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される請求項1〜9に記載の方法。
【請求項11】
前記の懸濁液中にポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、ベンジルアルコール、エタノール、ポリビニルアルコール、リポイド、オレイン酸エチル、トランスクトール、グリコフロール、ミグリオールを含む群から選択される可溶化剤が存在する請求項1〜10に記載の方法。
【請求項12】
難溶性有効成分が
− アトルバスタチン、アミオダロン、カンデサルタン・シレキセチル、カルベジロール、クロピドグレル二硫酸塩、ジピリダモール、メシル酸エプロサルタン、エピエレノン(epierenone)、エゼチミブ、フェロジピン、フロセミド、イスラジピン、ロバスタチン、メトラゾン、ニカルジピン、ニソルジピン、オルメサルタン・メドキソミル、塩酸プロパフェノン、キナプリル、ラミプリル、シンバスタチン、テルミサルタン、トランドラプリル、バルサルタンおよび他の心血管系薬物;
− シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、エトポシド、および癌の治療に用いられる他の抗腫瘍性化合物;
− アシクロビル、アデホビル、ジピボキシル、アムホテリシン、アンプレナビル、セフィキシム、セフタジジム、クラリスロマイシン、クロトリマゾール、エファビレンツ、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、ナイスタチン リトナビル、サキナビルおよび、抗菌剤、抗真菌剤および駆虫薬を含む他の抗感染症薬;
− シスプラチン、ドセタキセル、エトポシド、エキセメスタン、イダルビシン、イリノテカン、メルファラン、メルカプトプリン、ミトタン、パクリタキセル、バルルビシン、および腫瘍学において使用される他の薬剤;
− アザチオプリン、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムスおよび他の免疫抑制剤;
− クロザピン、エンタカポン、フルフェナジン、イミプラミン、ネファゾドン、オランザピン、パロキセチン、ピモジド、セルトラリン、トリアゾラム、ザレプロン、ジプラシドンおよび、リスペリドン、カルバマゼピンおよび他のCNS適応症用薬剤;
− ダナゾール、デュタステリド、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ラロキシフェン、シルデナフィル、タダラフィル、テストステロン、バルデナフィルおよび、リプロダクティブ・ヘルスに使用される他の薬剤;
− セレコキシブ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、酒石酸エルゴタミン、ナブメトン、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよび他の消炎鎮痛剤;
− ボセンタン、ブデソニド、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フルチカゾン、ロラタジン、モメタゾン、キシナホ酸サルメテロール、トリアムシノロン・アセトニド、ザフィルルカストおよび、他の呼吸器系適応症用薬剤;および
− ドロナビノール、ファモチジン、グリブリド、ヒヨスチアミン、イソトレチノイン、メゲストロール、メサラミン、モダフィニル、モサプリド、ニモジピン、ペルフェナジン、プロポフォール、スクラルフェート、サリドマイド、塩酸トリザニジン(Trizaidine)、および、特に胃腸障害、糖尿病および皮膚科学適応症を含む、種々の適応症用の他の薬剤
を含む群から選択される請求項1〜11に記載の方法。
【請求項13】
液体媒質中の難溶性有効成分の濃度が、約0.1%(w/w)より高い請求項1〜12に記載の方法。
【請求項14】
a.難溶性有効成分、
b.第一の高分子電解質、および
c.1以上の第二のまたはさらなる高分子電解質
を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって得られる医薬組成物であって、
該医薬組成物は洗浄剤を含まず、かつ、該医薬組成物は、有効平均粒子サイズが約5000 nm未満のナノ粒子形態であり、有効成分は粒子のコアを形成し、かつ、第一のおよび任意にさらなる高分子電解質は、有効成分の周りに反対の荷電を有する高分子電解質の交互の層に配置され、高分子電解質複合体の構造は前記の医薬組成物の表面上に形成される医薬組成物。
【請求項15】
第一の高分子電解質が、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
第二のまたはさらなる高分子電解質が、水溶性カチオンまたはアニオン多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸およびそれらの対応する塩、ポリ硫酸キシラン、硫酸デキストラン、ポリアスパラギン酸、ポリアルギニン、ポリリシンまたはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸、でんぷん加水分解物の硫酸エステル等の多糖類ポリ硫酸エステル、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステル、オイドラギット、プロタミン、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、オリゴヌクレオチド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ポリ-α,β-(2-ジメチルアミノエチル)-D,L-アスパルトアミド、キトサン、リシンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストリン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチン、ポリスチレンスルホネートおよびその対応する塩、および、各場合において部分的に疎水化された、ポリ硫酸キシランの誘導体、例えばでんぷん加水分解物、イヌリン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン等の他の多糖類のポリ硫酸エステルの誘導体;ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸等のポリアミノ酸のポリ硫酸エステルの誘導体、および多糖類ポリスルホン酸エステル、多糖類ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルの誘導体を含む群から選択される請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
難溶性有効成分が
− アトルバスタチン、アミオダロン、カンデサルタン・シレキセチル、カルベジロール、クロピドグレル二硫酸塩、ジピリダモール、メシル酸エプロサルタン、エピエレノン(epierenone)、エゼチミブ、フェロジピン、フロセミド、イスラジピン、ロバスタチン、メトラゾン、ニカルジピン、ニソルジピン、オルメサルタン・メドキソミル、塩酸プロパフェノン、キナプリル、ラミプリル、シンバスタチン、テルミサルタン、トランドラプリル、バルサルタンおよび他の心血管系薬物;
− シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、エトポシド、および癌の治療に用いられる他の抗腫瘍性化合物;
− アシクロビル、アデホビル、ジピボキシル、アムホテリシン、アンプレナビル、セフィキシム、セフタジジム、クラリスロマイシン、クロトリマゾール、エファビレンツ、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、ナイスタチン リトナビル、サキナビルおよび、抗菌剤、抗真菌剤および駆虫薬を含む他の抗感染症薬;
− シスプラチン、ドセタキセル、エトポシド、エキセメスタン、イダルビシン、イリノテカン、メルファラン、メルカプトプリン、ミトタン、パクリタキセル、バルルビシン、および腫瘍学において使用される他の薬剤;
− アザチオプリン、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムスおよび他の免疫抑制剤;
− クロザピン、エンタカポン、フルフェナジン、イミプラミン、ネファゾドン、オランザピン、パロキセチン、ピモジド、セルトラリン、トリアゾラム、ザレプロン、ジプラシドンおよび、リスペリドン、カルバマゼピンおよび他のCNS適応症用薬剤;
− ダナゾール、デュタステリド、メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ラロキシフェン、シルデナフィル、タダラフィル、テストステロン、バルデナフィルおよび、リプロダクティブ・ヘルスに使用される他の薬剤;
− セレコキシブ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、酒石酸エルゴタミン、ナブメトン、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよび他の消炎鎮痛剤;
− ボセンタン、ブデソニド、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フルチカゾン、ロラタジン、モメタゾン、キシナホ酸サルメテロール、トリアムシノロン・アセトニド、ザフィルルカストおよび、他の呼吸器系適応症用薬剤;および
− ドロナビノール、ファモチジン、グリブリド、ヒヨスチアミン、イソトレチノイン、メゲストロール、メサラミン、モダフィニル、モサプリド、ニモジピン、ペルフェナジン、プロポフォール、スクラルフェート、サリドマイド、塩酸トリザニジン(Trizaidine)、および、特に胃腸障害、糖尿病および皮膚科学適応症を含む、種々の適応症用の他の薬剤
を含む群から選択される請求項14〜16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
難溶性有効成分の濃度が、約0.1%(w/w)より高い請求項14〜17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
組成物が、イオン導入法で適用または送達される医薬品としての使用のための、請求項14〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2012−504568(P2012−504568A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529488(P2011−529488)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007274
【国際公開番号】WO2010/037566
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511083835)カプサルーション ファルマ アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】