説明

難燃バイオプラスチック樹脂組成物

【課題】高い難燃性(V−0)、耐水性、耐湿性に優れ、ハロゲン系ガス、ホルムアルデヒドガスを発生しない難燃バイオプラスチック樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)バイオプラスチック:100質量部、
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上:1〜200質量部、
を含有してなる難燃バイオプラスチック樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物由来の樹脂を主原料とし、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子を難燃剤とする難燃樹脂組成物に関し、更に詳述すると、ハロゲン系ガスやホルマリンの発生がなく、リン酸エステルや赤リンの溶出がないために安全性が高く、難燃剤であるリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子の表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆することにより湿気によるリン酸の溶出をなくし、樹脂の加水分解が抑えられた環境保全型の難燃バイオプラスチック樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
安全性、石油資源枯渇や地球温暖化の防止対策といった地球環境への長期的な保全の観点から、近年バイオプラスチック(生分解性プラスチック)の開発、利用が進められている。また、以下に挙げるような化合物を使用した製品の代替が進められている。
(1)臭素系や塩素系難燃剤を配合したハロゲン系ガスを発生するもの。これらは難燃性が高く、小量配合で済むため、組成物の機械強度等も優れている。しかし、火災の際に大量にハロゲンガスを発生するため、建物内にいる人が呼吸困難となり、死に至ることが問題となっている。
(2)ポリリン酸アンモニウムなどは、メラミン−ホルマリン樹脂で被覆され使用される場合があり、該メラミン−ホルマリン樹脂は、経時でホルマリンを発生するため、自動車内や家屋の内装用途への使用は好ましくない。
(3)リン酸エステルは、樹脂表面より溶出しやすく、自然界に流出した際の毒性や変異原性が懸念されている。
(4)赤リンは、リン濃度が高いため難燃性も高いが、不完全燃焼の際は毒性の強いホスフィンガスを発生し、また摩擦や衝撃で赤リン自身が発火する危険を有する。
【0003】
バイオプラスチックは、植物や微生物生産物といった天然物から造られる。代表的なものとして、脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられ、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合、ラクトン類の開環重合、脂肪族ジオールとジカルボン酸の脱水縮合等により製造されている。
【0004】
これらバイオプラスチックは、電子機器用の耐久材として利用が始まっているが、難燃性を付与することが難しく、下記に挙げたさまざまな開発が進められているが、未だ十分な難燃効果を有するバイオプラスチックベースの難燃組成物は開発されていない。
【0005】
1)生分解性樹脂と生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有する生分解性樹脂組成物(特開2004−75772号公報:特許文献1)。
2)ポリ乳酸とシリコーン系分散剤と乳酸系ポリエステルを含有する生分解性樹脂組成物
(特開2004−131671号公報:特許文献2)。
3)ポリ乳酸とポリ乳酸以外の生分解性樹脂とシリコーン系添加剤と乳酸系ポリエステルとを含有する生分解性樹脂組成物(特開2004−161790号公報:特許文献3)。
4)ポリ乳酸樹脂と臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤から選択される、少なくとも2種の難燃剤を含有してなる樹脂組成物(特開2004−190025号公報:特許文献4)。
環境や生命体に対する安全性を考えると、難燃剤は金属水酸化物、シリコーン系難燃剤、リン及び窒素を含有する難燃剤に絞られてくる。
【0006】
上記した4つの組成物は、いずれも共通した2つの問題を有している。1つはバイオプラスチックにシリコーン系難燃剤や金属水酸化物を添加しても難燃性は不十分であること、もう1つはバイオプラスチックにリン及び窒素を含有する難燃剤を添加しても、表面処理がされていない場合では樹脂中での分散が悪く、加えて耐水性耐湿性に劣るため、リン酸が溶出し、経時での劣化が早く進んでしまうことである。一般に行われているメラミン−ホルマリン被覆は、ホルマリンが除放されるため好ましくない。また、シランカップリング剤やチタン系カップリング剤、アルミ系カップリング剤は、リン及び窒素を含有する難燃剤表面全体を被覆することが難しいため、分散性、耐水性、耐湿性は十分ではない。
【0007】
リン及び窒素を含有する難燃剤は、高いリン含有量を有すると同時に、リンと相乗効果を有すると言われている窒素原子を分子内に有するため、各種樹脂組成物に添加した場合、高い難燃性の付与が期待される上、それ自体では有毒ガスの発生がなく、また溶出しにくいことから安全性の高い化合物であると考えられている。
【0008】
しかしながら、リン及び窒素を含有する難燃剤は耐水性、耐湿性に問題があり、樹脂組成物においては高温多湿の条件下におかれた場合、ブリードを生じる、電気特性が著しく低下する等の問題点を生じる。また、繊維表面に処理する場合、通常エマルジョン液でコーティングするが、吸湿による凝集により不均一に処理されるため、難燃性が発現しにくいといった問題点があった。この問題点を解決するために様々な検討が行われている。
【0009】
その解決方法の一つに、メラミン系化合物でポリリン酸アンモニウム粉体表面を被覆等の処理をすることによる改善が提案されている(特公昭53−15478号公報、特公昭52−39930号公報、特開昭61−103962号公報、特開平8−183876号公報:特許文献5〜8等)。しかし、これらの方法は、製法が困難で粒子同士の凝集が起こってしまったり、耐水性が依然不十分であったり、ホルムアルデヒドが発生したり、またメラミン系化合物は各種樹脂への分散性に問題があるため、メラミン系化合物被覆ポリリン酸アンモニウムの樹脂への分散性が低下するといった問題点を有している。
【0010】
リン及び窒素を含有する難燃剤の耐水性、耐湿性や分散性を改善する手段として、シラン系のカップリング剤で処理することによる提案もなされている(特公平6−6655号公報、特公平6−4735号公報、特公平6−18944号公報:特許文献9〜11等)。しかし、これらの方法による処理も、表面を十分に覆いきれず、耐水性が不十分であり、電気特性の低下等の諸問題を解決するのには不十分であった。
【0011】
更に、シリコーンオイルで表面被覆された微粉末シリカで改質したポリリン酸アンモニウムが提案されている(特開平8−134455号公報:特許文献12)。しかし、この方法による処理も耐水性が不十分であった。この理由ははっきりしていないが、シリコーンオイルによりシリカがポリリン酸アンモニウム表面にくい込みにくくなっていることが考えられる。
【0012】
また、熱可塑性樹脂にシリコーンオイル及び/又はシリコーン樹脂とポリリン酸アンモニウムを別々に添加する方法も提案されている(特開昭64−14277号公報、特開平5−39394号公報、特公平6−43558号公報:特許文献13〜15等)。しかし、これらの方法では、やはりポリリン酸アンモニウムが吸湿により表面に析出し、樹脂の物性を損なう問題があった。
【0013】
【特許文献1】特開2004−75772号公報
【特許文献2】特開2004−131671号公報
【特許文献3】特開2004−161790号公報
【特許文献4】特開2004−190025号公報
【特許文献5】特公昭53−15478号公報
【特許文献6】特公昭52−39930号公報
【特許文献7】特開昭61−103962号公報
【特許文献8】特開平8−183876号公報
【特許文献9】特公平6−6655号公報
【特許文献10】特公平6−4735号公報
【特許文献11】特公平6−18944号公報
【特許文献12】特開平8−134455号公報
【特許文献13】特開昭64−14277号公報
【特許文献14】特開平5−39394号公報
【特許文献15】特公平6−43558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高い難燃性(V−0)、耐水性、耐湿性に優れ、ハロゲン系ガス、ホルムアルデヒドガスを発生しない難燃バイオプラスチック樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、リン及び窒素を含有する難燃剤の表面処理について検討を進めた結果、下記に表される有機ケイ素化合物0.2〜20質量%で表面処理することにより、耐水性に優れ、樹脂中への分散性に優れた表面被覆ポリリン酸アンモニウムを製造することに成功し、これについて提案している(特願2004−076090号)。
(i)下記一般式(1)
(R1b(OR2cSiO(4-b-c)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、bは0.75〜1.5、cは0.2〜3で、かつ0.9<b+c≦4を満足する正数である。)
で示される有機ケイ素化合物100質量部と、
(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49質量部と
を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物、
又は、
上記(i)成分100質量部、(ii)成分0.5〜49質量部と、
(iii)無機酸化物微粒子0.1〜10質量部及び/又は
(iv)下記一般式(3)
(R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
(但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは2価の有機基、−(OSi(R72mO−基又は−R8−(SiR72O)m−SiR72−R8−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、R8は炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは1〜3の整数である。)
で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物0.1〜20質量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物を含むシリコーン系撥水処理剤。
【0016】
しかし、上記有機ケイ素化合物で表面処理されたポリリン酸アンモニウムは、アクリルエマルジョン等に配合し、繊維に処理するバッキング剤用途に対しては問題ないが、熱可塑性樹脂に配合した場合、高温高湿下における耐湿性が不十分となる場合があった。
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するために更なる検討を重ねた結果、
(A)バイオプラスチック:100質量部、
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上:1〜200質量部
を配合した組成物が、ハロゲン系ガス、ホルムアルデヒドガスを発生せず、UL−94 V−0をクリアーする高い難燃性、耐水性を有し、外観(樹脂中への分散性)に優れることを知見した。
更に、(C)難燃助剤:0.1〜150質量部を配合した組成物は、難燃性がより向上することを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
従って、本発明は、
(A)バイオプラスチック:100質量部、
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上:1〜200質量部、
を含有してなる難燃バイオプラスチック樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の難燃バイオプラスチック樹脂組成物は、安全性が高く、優れた難燃性、耐水性、樹脂中における分散性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明における(A)成分のバイオプラスチックとしては、天然物由来の脂肪族ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。ここで、天然物とは、トウモロコシ等の植物由来のでんぷんや糖類、キトサン、セルロース等が挙げられる。このような天然物由来の脂肪族ポリエステル樹脂としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合重合体、ラクトン類の開環重合体、脂肪族ジオールとジカルボン酸の脱水縮合重合体等が挙げられる。
【0021】
ここで、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合重合物は、−(R10−CO−O)n−構造(R10は炭素数1〜6の置換又は非置換の2価炭化水素基、nは10≦n≦50,000である。)で表されるものである。具体例としては、
乳酸の脱水縮合重合体(ポリ乳酸):−(CH(CH3)−CO−O)n−、
グリコール酸の脱水縮合重合体:−(CH2−CO−O)n
(nは上記と同じ)
等が挙げられるが、本発明は上記の構造例に限定されるものではない。
特に、−(CH(CH3)−CO−O)n−構造物が、ポリリン酸アンモニウムと組み合わせた場合、最も難燃性に優れているために好ましい。
【0022】
脂肪族ジオールとジカルボン酸の脱水縮合重合体は、
−(O−R11−O−CO−R12−CO)n−構造(R11及びR12は炭素数1〜12の置換又は非置換の2価炭化水素基、nは上記と同じである。)で表される。具体例としては、
エチレングリコールとコハク酸の脱水縮合重合体:
−(O−(CH22−O−CO−(CH22−CO)n−、
エチレングリコールとアジピン酸の脱水縮合重合体:
−(O−(CH22−O−CO−(CH24−CO)n−、
ブタンジオールとコハク酸の脱水縮合重合体:
−(O−(CH24−O−CO−(CH22−CO)n−、
ブタンジオールとアジピン酸の脱水縮合重合体:
−(O−(CH24−O−CO−(CH24−CO)n
(nは上記と同じ)
等を挙げることができるが、本発明は上記の構造例に限定されるものではない。
【0023】
ラクトン類の開環重合体は、下記(式a)あるいは(式b)
−(O−CHR13−CO−O−CHR14−CO)n−構造 (式a)
〔R13及びR14は水素原子、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の1価炭化水素基、又は−(CH2pCOOR15(R15は炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基、pは1〜5の整数)で示される基、nは上記と同じである。〕
−(R16−CO−O)n−構造 (式b)
〔R16は炭素数1〜12の置換もしくは非置換の2価炭化水素基、又は−CH(COOR15)−(CH2q−(R15は上記と同じ、qは1〜5の整数)で示される基、nは上記と同じである。〕
で表される。
【0024】
(式a)の具体例としては、
グリコリド由来の−(O−CH2−CO−O−CH2−CO)n−、
ラクチド由来の−(O−CHCH3−CO−O−CHCH3−CO)n−、
ポリマライドベンジルエステル由来の
−(O−CHCH2COOCH2Ph−CO−O−CHCH2COOCH2Ph−CO)n−、
2−〔(ベンジルオキシカルボニル)メチル〕−1,4−ジオキサン2,5−ジオン由来の−(O−CH2−CO−O−CHCH2COOCH2Ph−CO)n
(nは上記と同じ、Phはフェニル基を表す。)
等を挙げることができるが、本発明は上記の構造例に限定されるものではない。
【0025】
また(式b)の具体例としては、
βプロピオラクトン由来の−((CH22−CO−O)n−、
βブチロラクトン由来の−(CH(CH3)CH2−CO−O)n−、
ピバロラクトン由来の−(CH2−CO−O)n−、
βベンジルマロラクトナート由来の−(CH(COOCH2Ph)CH2−CO−O)n−、
γブチロラクトン由来の−((CH23−CO−O)n−、
γバレロラクトン由来の−(CH(CH3)CH2CH2−CO−O)n−、
σバレロラクトン由来の−((CH24−CO−O)n−、
εカプロラクトン由来の−((CH25−CO−O)n
(nは上記と同じ、Phはフェニル基を表す。)
等を挙げることができるが、本発明は上記の構造例に限定されるものではない。
【0026】
上記脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合重合体、ラクトン類の開環重合体及び脂肪族ジオールとジカルボン酸の脱水縮合重合体は、いずれも着火し分解する際にアルコールやカルボン酸となり、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤と反応し、粘稠なチャーを形成し、炎を鎮火するものと考えられる。
【0027】
本発明において、天然物由来の脂肪族ポリエステル樹脂は、他の熱可塑性樹脂又はエラストマー中に配合して使用することも可能である。このような熱可塑性樹脂、エラストマーとしては、ブロー、押出及び射出成形が可能な熱可塑性樹脂、エラストマーが包含される。特にこれらの樹脂、エラストマーとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン系エラストマー、ポリスチレン、ポリスチレン系エラストマー、ABS樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸アミド共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン無水マレイン酸、アイオノマー樹脂等、各種熱可塑性樹脂、エラストマーなどが含まれる。また、これらは単独でも2種以上の併用でもかまわない。
【0028】
この場合、他の熱可塑性樹脂又はエラストマーの配合量としては、上記天然物由来の脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部、特に1〜20質量部添加することが好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物には、(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤を配合する。上記リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を、疎水性無機酸化物微粒子で被覆することにより、良好な撥水性が発現するという効果が得られるものである。
【0030】
ここで、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子としては、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム、ケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウム等の難燃剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用される。好ましくはポリリン酸アンモニウム、メラミンで表面を被覆したポリリン酸アンモニウム、シランカップリング剤等のケイ素化合物で表面を被覆したポリリン酸アンモニウムが用いられ、より好ましくはポリリン酸アンモニウムが用いられる。なお、ポリリン酸アンモニウムとしては市販品を使用することができる。
【0031】
これら難燃剤粒子としては、平均粒子径3〜25μm、特に5〜18μmのものを用いることが好ましい。なお、本発明において、平均粒子径は、例えばレーザー光回折法などにより粒度分布測定装置等を用いて、重量平均値(又はメジアン径)などとして求めることができる(以下、同様)。
【0032】
また、本発明で使用される疎水性無機酸化物微粒子は、疎水性の無機酸化物であれば特に限定されないが、例えば、疎水性の酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム等が挙げられる。特に、疎水性の酸化ケイ素(シリカ)がコスト面や性能の面で最も好ましい。
【0033】
シリカには、大別してハロゲン化ケイ素の分解により得る方法やケイ砂を加熱還元した後、空気により酸化して得る方法等に代表される乾式法シリカと、ケイ酸ナトリウムを硫酸等の鉱酸により直接分解して得る方法に代表される湿式法シリカの2種類がある。また、アルコキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法シリカもあるが、本発明においては、メチル基やアルキル基等の疎水基を持っていれば、どのシリカでもよい。
【0034】
疎水性の酸化ケイ素の平均粒子径は、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子を十分コーティングする大きさがよく、0.001〜5μmの範囲が好ましい。更には0.001〜1μmの範囲がより好ましく、その形状は真球状でも不定形状でもよく、特に限定はされない。
【0035】
また、ノンハロゲン系難燃剤粒子への疎水性無機酸化物微粒子の被覆方法としては、ノンハロゲン系難燃剤粒子100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の疎水性無機酸化物微粒子を、ボールミル、V型混合機、リボン型混合機、スクリュウ混合機等の混合機を利用した高速撹拌手段によりノンハロゲン系難燃剤粒子の表面に疎水性無機酸化物微粒子を被覆させる方法が好適に用いられる。
【0036】
疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤は、平均粒子径が1〜35μm、特に5〜30μmであることが好ましい。平均粒子径が1μm未満ではノンハロゲン系難燃剤粒子への疎水性無機酸化物微粒子の被覆が不十分な場合があり、35μmより大きいとバイオプラスチック樹脂に対し均一な分散ができない場合がある。
また、本発明においては上記疎水性無機酸化物微粒子被覆ノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上を使用することができる。
【0037】
疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤(B)の配合量は、バイオプラスチック100質量部に対して1〜200質量部が好ましく、更に好ましくは5〜100質量部である。1質量部未満の場合、十分な難燃効果が得られず、また200質量部を超える場合、組成物が脆くなり使用に適さない。
【0038】
本発明においては、(C)難燃助剤を配合することが好ましい。難燃助剤としては、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールやその誘導体、タルク、膨張黒鉛、有機窒素化合物及び下記式(I)
aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、Rは水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、酸素原子もしくは窒素原子を含有する有機基から選ばれる基であり、aは1.9≦a≦2.1の正数である。)
で表されるシリコーン化合物、ノボラックフェノール樹脂、スルホン酸金属塩などを挙げることができる。上記難燃助剤は、単独でも2種以上を併用しても構わない。
【0039】
上記式中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、水酸基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基等のアクリル基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基などが挙げられる。
【0040】
難燃助剤(C)の配合量は、いずれもバイオプラスチック100質量部に対して0.1〜150質量部が好ましく、5〜80質量部が更に好ましい。150質量部より多い配合では引張強度や伸びが大幅に低下してしまう場合がある。また0.1質量部未満の配合では難燃性が向上しないおそれがある。
【0041】
本発明の組成物には、その特性を阻害しない範囲で、その目的に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、光安定剤、相溶化剤、他種のノンハロゲン難燃剤、滑剤、充填剤、接着助剤、防錆剤等を挙げることができる。
【0042】
本発明において使用可能な酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−メチルフェノール)、4,4−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,5,7,8−テトラメチル−2(4,8,12−トリメチルデシル)クロマン−2−オール、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、テトラキス(メチレン)−3−(ドデシルチオプロピオネート)メタン等が挙げられる。
【0043】
本発明において使用可能な安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の各種金属せっけん系安定剤、ラウレート系、マレート系やメルカプト系各種有機錫系安定剤、ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の各種鉛系安定剤、エポキシ化植物油等のエポキシ化合物、アルキルアリルホスファイト、トリアルキルホスファイト等のホスファイト化合物、ジベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン化合物、ハイドロタルサイト類やゼオライト類などを挙げることができる。
【0044】
本発明において使用可能な光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0045】
本発明において使用可能な相溶化剤としては、アクリルオルガノポリシロキサン共重合体、シリカとオルガノポリシロキサンの部分架橋物、シリコーンパウダー、無水マレイン化グラフト変性ポリオレフィン、カルボン酸化グラフト変性ポリオレフィン、ポリオレフィングラフト変性オルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
また、本発明において使用可能な接着助剤としては、各種アルコキシシラン等を挙げることができる。
【0046】
本発明において使用可能な、他のノンハロゲン難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、光酸化チタン、各種金属水酸化物等を挙げることができる。また、充填剤としては、ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、カオリンクレー、焼成クレー、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、バライト等を挙げることができる。
【0047】
本発明の難燃バイオプラスチック樹脂組成物は、上述した各成分を常法に準じて混合することにより製造することができる。また、得られた難燃バイオプラスチック樹脂組成物の成形方法は、公知の方法を採用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を調製例及び実施例と比較例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、平均粒径はレーザー回折型粒度分布測定装置(メタノール溶媒)により測定した値を示す。
【0049】
[調製例1]
[疎水性シリカの調製]
BET比表面積120m2/gの乾式法シリカを、窒素と水蒸気で希釈した状態のジメチルジクロロシランと500℃で接触させ、疎水性シリカを製造した。
【0050】
[調製例2]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム1の調製]
ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製:ペコフレームTC204P、平均粒子径8μm)100質量部と上記で製造した疎水性シリカ10質量部をリボン型混合機に入れて1分間高速で撹拌混合処理を行った。その処理操作によりシリカで被覆された平均粒径10μmの表面処理ポリリン酸アンモニウム1を得た。この表面処理ポリリン酸アンモニウム1をSEMにより観察したところ、シリカがポリリン酸アンモニウム粒子表面上に密に付着し、被覆されていることが確認できた。
【0051】
[調製例3]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム2の調製]
調製例1の疎水性シリカ10質量部を5質量部に変えた以外は同様に処理してシリカで被覆された平均粒径9μmの表面処理ポリリン酸アンモニウム2を得た。この表面処理ポリリン酸アンモニウムをSEMにより観察したところ、シリカがポリリン酸アンモニウム粒子表面上に密に付着し、被覆されていることが確認できた。
【0052】
[調製例4]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム3の調製]
メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(BUDENHEIM社製:TERRAJU C−30、平均粒子径7μm)100質量部と上記で製造した疎水性シリカ10質量部をリボン型混合機に入れて1分間高速で撹拌混合処理を行った。その処理操作によりシリカで被覆された平均粒子径9μmの表面処理ポリリン酸アンモニウム3を得た。この表面処理ポリリン酸アンモニウムをSEMにより観察したところ、シリカがメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム粒子表面上に密に付着し、被覆されていることが確認できた。
【0053】
[調製例5]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム4の調製]
シランカップリング剤処理ポリリン酸アンモニウム(BUDENHEIM社製:FR CROS 486、平均粒子径18μm)100質量部と上記で製造した疎水性シリカ10質量部をリボン型混合機に入れて1分間高速で撹拌混合処理を行った。その処理操作によりシリカで被覆された平均粒子径20μmの表面処理ポリリン酸アンモニウム4を得た。この表面処理ポリリン酸アンモニウムをSEMにより観察したところ、シリカがシランカップリング剤処理ポリリン酸アンモニウム粒子表面上に密に付着し、被覆されていることが確認できた。
【0054】
[調製例6]
[シリコーン系撥水処理剤1の調製]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに、水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、JIS K2283に基づき測定した粘度71mm2/s(25℃)の薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5質量%であった(シリコーン系撥水処理剤1)。
【0055】
[調製例7]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム5の調製]
ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製:ペコフレームTC204P、平均粒径8μm)100質量部に、上記のシリコーン系撥水処理剤1を10質量部、エタノールを100質量部加え、これらを30分撹拌した後、減圧下でエタノールを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmのシリコーン表面処理ポリリン酸アンモニウム5を得た。
【0056】
[調製例8]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム6の調製]
有効容積3Lのリボンミキサーにシリカ(エロジルA300)を300g充填し、120rpmで撹拌しながらメチルハイドロジェンシロキサン75gを添加し、1時間混合処理を行った。その後、乾燥機中で130℃、3時間熱処理を行い、シリコーン処理シリカを調製した。ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製:ペコフレームTC204P、平均粒径8μm)100質量部に上記シリコーン処理シリカを5質量部添加し、ボールミルで1時間混合し、平均粒径14μmの表面処理ポリリン酸アンモニウム6を得た。
【0057】
[調製例9]
[表面処理ポリリン酸アンモニウム7の調製]
ポリリン酸アンモニウム(BUDENHEIM社製:FR CROS S 10、平均粒子径8μm)100質量部に、直鎖のシリコーンオイル(信越化学工業(株)製:KF−96H)5質量部、トルエン100質量部を加え、これらを30分撹拌した後、減圧下でトルエンを除去し、粉砕器で粉砕して、平均粒子径10μmのシリコーン表面処理ポリリン酸アンモニウム7を得た。
【0058】
[実施例1〜10、比較例1〜7]
下記表1〜5の成分を下記表1〜5に記載の配合量で、ラボプラストミルR60ミキサー(東洋精機社製)にて190℃,30rpm,2分混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物の難燃性、ホルムアルデヒド発生の有無、耐水性及び耐湿性を下記試験方法に従って評価し、結果を表1〜5に併記した。なお、難燃樹脂組成物の成形は、50T三段プレス機(庄司鉄工(株)製)を用いて圧力40MPa,温度200℃の条件で行った。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
〔原材料の説明〕
(1)ポリ乳酸:レイシア H−100J、三井化学株式会社製
(2)ペンタエリスリトール:和光純薬工業株式会社製
(3)X−21−3153:両末端シラノール基封鎖シリコーンオイル、信越化学工業株
式会社製、動粘度21mm2/s、OH価0.6mol/100g
(4)トリアジン系化合物:ノンネンR014−2、丸菱油化工業株式会社製
(5)PHタルク:竹原化学株式会社製
(6)膨張黒鉛:SYZR2002、三洋貿易株式会社製
(7)ペコフレームTC204P:未処理ポリリン酸アンモニウム、クラリアントジャパ
ン株式会社製平均粒径8μm
(8)TERRAJU C−60:メラミン−ホルマリン処理ポリリン酸アンモニウム、
ブーデンハイム株式会社製
【0065】
〔試験方法の説明〕
《難燃性》
UL−94に基づき試験を行った。試験片の厚みは1.6mm
【0066】
《ホルムアルデヒド発生の有無》
2Lのテドラーバッグ(tedlar bag:デュポン社の商品名)に50cm2の供試体を入れ、テドラーバッグ内部を窒素置換した後、密封する。このテドラーバッグを65℃の雰囲気中に2Hr放置した後、ガス検知管(ガステック社製:91L)でホルムアルデヒド発生の有無を測定する。
*判定基準
○:ホルムアルデヒドの発生無し
×:ホルムアルデヒドの発生有り
【0067】
《耐水性(25℃)》
10cm×10cm×3mm厚のプレス成型板を、水を入れたバットの中に置き、重りを乗せ固定する。24時間後取り出し、表面にぬめりがあるか否かを確認する。
○:ぬめり無し
×:ぬめり有り
【0068】
《耐湿性(80℃、90%RH)》
10cm×10cm×3mm厚のプレス成型板を80℃、90%RHの高温高湿機中に24時間洗濯ばさみで吊るした後、取り出し、表面にぬめりがあるか否かを確認する。
○:ぬめり無し
×:ぬめり有り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バイオプラスチック:100質量部、
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子表面を疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤の1種又は2種以上:1〜200質量部、
を含有してなる難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項2】
更に、(C)難燃助剤:0.1〜150質量部を含有してなる請求項1記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項3】
(A)バイオプラスチックが、天然物由来の脂肪族ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項4】
脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項3記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項5】
(B)成分のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤粒子が、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム及びケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項6】
(B)成分の疎水性無機酸化物微粒子が、疎水性のシリカ微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項7】
(B)成分の疎水性無機酸化物微粒子で被覆したノンハロゲン系難燃剤の平均粒子径が3〜35μmである請求項1〜6のいずれか1項記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項8】
(C)難燃助剤が、多価アルコールもしくはその誘導体、タルク、膨張黒鉛、有機窒素化合物、下記式(I)
aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、Rは水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、酸素原子もしくは窒素原子を含有する有機基から選ばれる基であり、aは1.9≦a≦2.1の正数である。)
で表されるシリコーン化合物から選ばれる1種又は2種以上である請求項2〜7のいずれか1項記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。
【請求項9】
(C)難燃助剤が、ペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール誘導体である請求項8記載の難燃バイオプラスチック樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−231184(P2007−231184A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55819(P2006−55819)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】