説明

難燃剤組成物

本発明は、テトラブロモビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させることにより得られるエポキシドおよびその末端キャップされた誘導体である、式(1)により表わされる1種以上の難燃剤を含む、液状難燃剤組成物を提供する。この液状組成物はとりわけ硬質ポリウレタンフォームの製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラブロモビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させることにより得られるエポキシドおよびその末端キャップされた誘導体である、式(1)により表わされる1種以上の難燃剤を含む、液状難燃剤組成物に関する。この液状組成物はとりわけ硬質ポリウレタンフォームの製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
容易には溶解しない固体またはワックス様の難燃剤を液状のポリウレタンフォーム前駆体中に均質にブレンドする方法は、典型的には加熱して行う必要がある。予め調製した液状組成物の形態の難燃剤を用意すると、ポリウレタンフォームのブレンド工程を加熱下で行う必要がなくなり、フォームの製造法をかなり簡略化できるので有利である。これは、ポリウレタンフォームの調製が屋外で、例えば建築現場で、行われることが非常に多いという事実からみて、特に有用である。
【0003】
前記の問題を解決する試みはWO 03/060000およびUS 4,717,509に記載されており、これらはそれぞれテトラブロモビスフェノールAおよびトリブロモネオペンチルアルコールの硬質ポリウレタンフォーム用難燃剤としての使用に関する。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、テトラブロモビスフェノールA(化学的名称:4,4'-イソプロピリデン-ビス(2,6-ジブロモフェノール)をエピクロロヒドリン(化学的名称:クロロメチルオキシラン)と反応させることによって得られる種類の難燃剤に関する。テトラブロモビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応が高臭素含量を有する様々な反応性エポキシドをもたらすことは公知であり、かかる反応性エポキシドはそのままで、または末端がキャップされた誘導体の形態で、ポリマー組成物中の難燃剤として利用することができる。前記エポキシドおよびその末端がキャップされた誘導体は、式(1):
【化1】

【0005】
[式中、nは重合度であって、0〜5の範囲、さらに好ましくは0〜4の範囲の整数であり、R1およびR2は独立して次の1価の基:
【化2】

【0006】
からなる群より選択される]
により表される。
【0007】
式(1)の化合物は、JP 64-074262およびJP 64-074263において、熱可塑性ポリウレタンに関係した使用が提案されている。
【0008】
このたび、前記固体または高粘性のエポキシドおよびその末端キャップした誘導体を発泡段階に先立って反応混合物中に組み込むことにより、硬質ポリウレタンフォームの燃焼特性を好ましいように改変できることが見いだされた。また、1種以上の前記固体または高粘性の難燃剤およびその構造類似体のかなりの量を、ポリオールもしくはリン酸エステルまたは前記2種の液体の混合物である液体に溶解して、安定な液状組成物を得ることができ、その組成物からの前記難燃剤の沈降が周囲温度での長期貯蔵中に実質的に防止されることも見いだされた。得られる安定な液状組成物は、発泡系に難燃剤を供給するのに都合よく利用することができ、硬質ポリウレタンフォームへの難燃剤の組込みを可能にする。
【0009】
従って、本発明は液状難燃剤組成物を提供し、前記組成物は、
A) 次の構造式(1):
【化3】

【0010】
[式中、nは重合度であって、0〜5の範囲、さらに好ましくは0〜4の範囲の整数であり、R1およびR2は独立して次の1価の基:
【化4】


【0011】
からなる群より選択される]
で表わされる1種以上の難燃剤、および
B) ポリオールおよびリン酸エステルからなる群より選択される1種以上の液体、
を含んでなる。
【0012】
好ましくは、前記液状組成物は次式(1'):
【化5】

【0013】
[式中、mは重量平均重合度であって、0.05〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.05〜0.7の範囲にあり、そしてR1およびR2は先に定義した通りである]
により表わされる難燃剤を含む。式(1)の範囲に包含される、特に好ましい難燃剤は、次式(1a):
【化6】

【0014】
[式中、mは重量平均重合度であって、0.05〜0.5の範囲にある]
により表わされる対称エポキシ樹脂を含む混合物である。さらに具体的には、式(1a)により表わされる、エポキシ末端基を有する難燃剤は、平均エポキシ当量が350g/eq以上(この場合、mは0.063に等しい)、さらに好ましくは370g/eq以上(この場合、mは0.113に等しい)、より一層好ましくは380〜420g/eqの範囲である。エポキシ当量(epoxy equivalent weight: EEW)は、その物質の分子量を、そこに含まれるエポキシ基の数で除した値として定義され、当技術分野で公知の方法(例えば、"Encyclopedia of polymer science and engineering" John Wiley & Sons, Vol. 6 (1986))により測定することができる。
【0015】
従って、式(1a)により同定される難燃剤は、次のエポキシドを含む混合物の形態で提供される:
(1a-I) 式(1)においてnが0に等しく、R1とR2が共にグリシジル基である、次式(1a-I):
【化7】

【0016】
で示されるテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの単量体。前記単量体のエポキシ当量は328g/eqである。
【0017】
(1a-II) 式(1)においてnが1に等しく、R1とR2が共にグリシジル基である、次式(1a-II):
【化8】

【0018】
で示されるテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの二量体。前記二量体のエポキシ当量は628g/eqである。
【0019】
(1a-III) 式(1)においてnが2に等しく、R1とR2が共にグリシジル基である、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの三量体。前記三量体のエポキシ当量は928g/eqである。
【0020】
最も好ましくは、式(1a)により表される好ましい難燃剤は385〜415g/eqの範囲の平均エポキシ当量を有する混合物であり、前記混合物は式(1a-I)の単量体と式(1a-II)の二量体から主に構成され、三量体(1a-III)と、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルのより高次のオリゴマーは15%を超えない合計量で存在する。式(1a)の難燃剤を構成する各種エポキシ樹脂の分子量分布の好ましいプロファイルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により確認できるように、次の通りである(範囲は式(1a)の難燃剤の全重量に対する重量パーセントとして示される):
(1a-I)として同定された単量体:55〜70%
(1a-II)として同定された二量体:20〜35%
(1a-III)として同定された三量体:5〜10%
高次オリゴマー:5%未満。
【0021】
式(1a)で表わされる難燃剤は当技術分野で公知の方法により調製することができ、市販もされている。例えば、約400g/eqの平均エポキシ当量を有する式(1a)の難燃剤は、商標名F-2001(Dead Sea Bromine Group)のもとで市販されている。以後、「F-2001」は上記の同定された混合物をさすために用いる。式(1a)の難燃剤を製造するには、典型的には、テトラブロモビスフェノールAをエピクロロヒドリンと、場合によりトルエンまたはメチルイソブチルケトンなどの不活性溶媒中で、塩基(例えば、水酸化ナトリウムの水溶液)の存在下に加熱しながら反応させる。相分離の後に、生成物を含有する有機相を水により洗浄して、残留する塩を除去し、有機溶媒を蒸留することにより生成物を最終的に回収する。生成物の平均エポキシ当量、すなわち、生成混合物に含まれる式(1a-I)、(1a-II)および(1a-III)の各種エポキシ樹脂の分布は、諸反応物の比を変えることによりコントロールすることができる。用いるエピクロロヒドリンの濃度が低いほど、得られる混合物のエポキシ当量は高くなる。
【0022】
式(1)の範囲に包含される難燃剤の別の好ましいサブクラスには、トリブロモフェノール末端を有する誘導体が含まれ、ここで、両方の末端ユニットR1およびR2は次の意味:
【化9】

【0023】
を有する。
【0024】
従って、本発明に従って用いられる好ましい難燃剤は、式(1b):
【化10】

【0025】
[式中、nは0〜5の範囲、さらに好ましくは0〜4の範囲の整数である]
により表わされる1種以上のトリブロモフェノール末端を有する化合物を含む。さらに具体的には、本発明に従って用いられる難燃剤は、ビス(2,4,6-トリブロモフェニルエーテル)末端を有するテトラブロモビスフェノールA-エピクロロヒドリン樹脂であり、前記樹脂は式(1b):
【化11】

【0026】
[式中、nは0、1および2に等しい]
により表わされる個々の誘導体を含む様々な混合物の形態で提供される。以後、これらの個々の化合物はそれぞれ、式(1b)の単量体、略語(1b-I);式(1b)の二量体、略語(1b-II)、および式(1b)の三量体、略語(1b-III)として識別される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記樹脂は本質的に次の通りに構成される混合物の形態で提供される(混合物の組成はGPCにより決定することができ、その範囲は混合物の全重量に対する個々の化合物の重量パーセントとして示される):
単量体(1b-I):55〜70%、好ましくは約65〜70%;
二量体(1b-II):20〜35%、好ましくは約25〜30%;
三量体およびより高次のオリゴマー(1b-III):5〜15%、好ましくは約5〜10%。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、前記樹脂は本質的に次を含む混合物の形態で提供される:
単量体(1b-I):30〜55%、好ましくは約35〜45%;
二量体(1b-II):5〜15%、好ましくは約7〜13%;
三量体(1b-III):5〜20%、好ましくは約10〜15%;
より高次のオリゴマー:20〜40%、好ましくは25〜35%;および
末端ユニットR1とR2が異なる式(1)の化合物:10%未満。
【0029】
式(1b):
【化12】

【0030】
[式中、nは0〜5の範囲、さらに好ましくは0〜4の範囲の整数である]
により表わされる、1種以上のトリブロモフェノール末端化合物を含む前記サブクラスの難燃剤は、当技術分野で公知の方法により調製することができ、市販もされている(例えば、F-3014およびF-3020はDead Sea Bromine Groupが製造しており、これらはそれぞれ上で同定した組成をもつ第1および第2の混合物に相当する)。式(1b)のトリブロモフェノール末端樹脂はまた、式(1a)により同定したエポキシ樹脂の混合物をトリブロモフェノールと、場合により溶媒中で、反応させることにより得ることができる。この反応は加熱下で触媒(例えば、Li系触媒)、または水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような無機塩基、または三級アミン、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩のような有機塩基の存在のもとで行われる。代表的な手順を以下に説明する。
【0031】
本発明に従って用いる難燃剤は対称および非対称の両誘導体(式(1)のR1およびR2がそれぞれ同じであるか、または異なる)を含みうることに留意すべきである。
【0032】
上で説明した通り、本発明は、前記式(1)により、さらに具体的には式(1a)および(1b)により、同定される難燃剤を含有する液状組成物を提供する。この液状組成物は本質的に均質であるので、前記構造式により表わされる難燃剤を含有する分離相の液体媒体からの形成が実質的に防止される。これに関連して、「実質的に防止される」という用語は、前記液状組成物が透明な安定した溶液の形態で存在するか、または前記組成物中の難燃剤の全重量の5%を超えない量の難燃剤を含有する第2相(例えば、沈降物)が形成される組成物として存在する、ことを示すために用いられる。
【0033】
好ましくは、本発明の組成物中に含まれる式(1)の難燃剤の重量濃度は10〜60%の範囲、さらに好ましくは20〜45%の範囲にあるため、本発明により提供される組成物の臭素含量は5%以上、好ましくは15%(w/w)以上である。さらに好ましくは、臭素含量は25%(w/w)以上である。
【0034】
式(1)の難燃剤の溶解を可能にする本発明の組成物で用いる液体成分は、ポリオールもしくはリン酸のエステル(リン酸エステル)のいずれか、またはそれらの混合物である。
【0035】
本明細書で用いる「ポリオール」とは、2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物、好ましくはヒドロキシル基を含有するポリエーテルまたはポリエステルであるヒドロキシル含有ポリマーを意味する。ポリオールとしては、ヒドロキシル基の数が3以上であるポリオール、またはかかるポリオールの混合物を用いることが好ましい。一実施形態において、本発明に従って用いるポリオールは、ポリエーテルポリオールである。このクラスのポリオールは、1種以上のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)と、アルコール、アミンおよび酸のような活性水素原子を含有する好適な反応物との開環付加反応により得られ、さらに具体的には、前記反応物はジオール、トリール、ノボラック樹脂、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどからなる群より選択される。ポリエステル-ポリオールも本発明で用いることができ、このクラスのポリオールはアジピン酸、フタル酸などのジカルボン酸(またはポリカルボン酸)と、ジオールおよびトリール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなど)との縮合反応により得られる。本発明で用いるのに特に好ましいポリオールはグリセロール系のポリエーテルポリオールである。ポリオールのヒドロキシル価は好ましくは150〜850mg KOH/gの範囲、さらに好ましくは200〜600mg KOH/gの範囲である。用語「ヒドロキシル価」とは、反応に利用される反応性ヒドロキシル基の数を示し、サンプル1グラムのヒドロキシル含量に等しい水酸化カリウムのミリグラム数として表わされる。
【0036】
本発明で用いるポリオールは非ハロゲン化ポリオール、またはハロゲン化ポリオール、またはそれらの混合物とすることができる。例えば、ハロゲン化ポリオールは、本明細書に参考として組み入れるUS 4,067,911に記載されている。しかし、より好ましいのは非ハロゲン化ポリオールである。
【0037】
組成物の全重量に対するポリオールの重量濃度は好ましくは10〜70%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは40〜60%である。
【0038】
リンの5価酸のエステル、すなわちリン酸のエステルとしては、ハロゲン化された、さらに具体的には塩素化された、アルキルリン酸エステルを用いることが好ましい。特に好ましいのは、トリエステル、すなわちリン酸トリアルキル、例えばリン酸トリ(モノクロロアルキル)またはリン酸トリ(ジクロロアルキル)であり、リン酸トリス(2-クロロプロピル)がとりわけ好ましい。用語「アルキル」は好ましくはC1〜C5アルキルを意味する。リン酸のエステルは、同一のまたは異なるアルキル基を含有する、それぞれ対称または非対称でありうることに留意すべきである。
【0039】
組成物の全重量に対するリン酸エステルの重量濃度は、好ましくは10〜70%、さらに好ましくは20〜60%、そして最も好ましくは40〜60%である。
【0040】
本発明による組成物は、適量の式(1)の難燃剤を、ポリオールまたはリンの5価酸のエステルまたはそれらの混合物である液体成分と一緒に、透明な溶液が得られるまで、好ましくは攪拌下で、加熱することにより調製し、その後その液状組成物を冷却して、使用するまで貯蔵する。
【0041】
さらに好ましくは、本発明による組成物は、好適な容器中に液体成分を入れて50〜60℃の範囲の第1の温度にて加熱し、前記容器中に、好ましくは攪拌下で、式(1)の難燃剤を加え、得られる混合物を65〜100℃の範囲の第2の温度に加熱することにより調製する。通常、前記第2の温度での約60〜120分の加熱期間の後に透明な溶液が得られる。その混合物を次いで冷却すると、本発明の液状難燃剤組成物が透明な安定した溶液の形態で得られる。
【0042】
この液状組成物は周囲温度で50日間以上、さらに好ましくは70日間以上、なお一層好ましくは90日間以上、安定な溶液の形態を保持することができる。この規格のために、周囲温度は20〜25℃である。他の実施形態によれば、液状組成物は安定な溶液の形態を-18℃にて少なくとも3日間保持することができる。前記安定性試験を実施するには、本組成物による液状難燃剤を調製し、前記難燃剤を適切な条件下で貯蔵し、上に明記した待機期間の後に、その組成物を観察して沈降物の有無を確認する。
【0043】
さらに、トリブロモネオペンチルアルコール、すなわち式2:
【化13】

【0044】
の構造により表わされる室温で固体の難燃剤もまた、本発明により提供される液状組成物中に、該組成物の安定性を変えることなく、うまく溶解させることができ、そして得られる組成物は長期貯蔵期間にわたり周囲温度で溶液の形態を保持することが見出された。さらに、本発明の液状組成物中の式(1)の難燃剤とトリブロモネオペンチルアルコールとの組合わせは、以下でさらに詳しく考察し例証するように、意図するポリウレタンフォームの用途に関してとりわけ有用であることが見出された。好ましくは、トリブロモネオペンチルアルコールの重量濃度は、組成物の全重量に対して10〜50%の範囲にあり、そしてさらに好ましくは20〜40%の範囲にある。トリブロモネオペンチルアルコールを含む組成物を調製する場合、前記の調製手順に従うが、その際、式(1)の難燃剤の添加前または添加後に、トリブロモネオペンチルアルコールを液体に導入する。トリブロモネオペンチルアルコールはDead Sea Bromine Groupから商標名FR-513として市販されている。トリブロモネオペンチルアルコールを調製する方法はUS 3,932,541に記載されている。
【0045】
特に好ましい本発明の液状難燃剤組成物は、式(1)の、さらに好ましくは先に定義した通りの式(1a)または(1b)の難燃剤20〜40wt%、およびトリブロモネオペンチルアルコール20〜40wt%を1種以上の溶媒に溶解した溶液であり、前記溶媒は、非ハロゲン化ポリエーテル-ポリオール、さらに具体的にはグリセロール系のポリエーテル-ポリオール(例えば、Alcupol C-5710)、およびリン酸のハロゲン含有エステル、さらに具体的にはリン酸トリス(2-クロロプロピル)からなる群より選択される。前記重量パーセントは組成物の全重量に対する値である。
【0046】
液状組成物は、難燃剤組成物の意図した用途、すなわち硬質ポリウレタンフォームの調製のために、通常有用であるさらなる成分を含有しうることに留意すべきである。例えば、本組成物は、組成物中に存在するポリオール溶媒を安定化するために利用される抗酸化剤を、好ましくは2000ppmまでの濃度で、含みうる。最も好ましいのはフェノール系抗酸化剤であり、これらは2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)および3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸オクタデシル、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0047】
本発明の新規組成物は、ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォーム用の難燃剤として特に有用である。先に説明したように、本発明が提供する液状組成物は、式(1)の、さらに好ましくは式(1a)および(1b)の難燃剤を、場合によりトリブロモネオペンチルアルコールと組合わせて、溶質として含有する溶液であり、従ってポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォームの調製に用いられる反応物の混合液に直接加えることができ、それにより、前記混合物のブレンド操作がかなり簡略化され、かつ反応成分の均一な分布が前記混合物中に容易に得られる。
【0048】
このように、本発明の新しい難燃剤組成物は、硬質ポリウレタンフォーム(連続法、不連続法またはスプレー法による)またはポリイソシアヌレートフォームを得るために好適である標準処方物に加えることができる。従って、他の態様において、本発明は、
式(1)の、さらに好ましくは式(1a)または式(1b)の難燃剤を含む予め調製した液状組成物を用意すること、ここにおいて、前記難燃剤は1種以上のポリオールおよび/または1種以上のリン酸エステルを含む液体に溶解され、好ましくは前記液状組成物中にトリブロモネオペンチルアルコールが存在すること、ならびに
前記液状組成物を追加量の1種以上のポリオールと混合し、それによりポリウレタンまたはポリイソシアネートフォームを調製するのに好適なポリオール成分を提供すること、
を含んでなる方法を提供する。
【0049】
用語「ポリオール成分」とは、フォームを得るために反応させるのに必要なポリオールの総量を意味する。通常、本発明の難燃剤液状組成物は約10〜40重量%のポリオール成分により構成される。このポリオール成分を次いで発泡剤および触媒の存在のもとでイソシアネート成分と反応させると、ポリウレタンまたはポリイソシアネートフォームが得られる。
【0050】
式(1)の難燃剤を、好ましくはトリブロモネオペンチルアルコールと一緒に、含有する液状組成物は、最終フォームがDIN 4102 B2試験の要件を満たすことができるように十分な量で使用される。最終フォームの臭素含量は典型的には1%以上である。好ましくは、本発明の液状組成物の量を調節して、最終フォームの臭素含量がフォームの総重量に対して1〜15%の範囲に、さらに好ましくは2〜10%の範囲に、最も好ましくは2〜5%の範囲になるようにする。
【0051】
所望によっては、ポリオール成分を調製するための本発明による方法は現場で行うのが好都合である。式(1)の難燃剤を、好ましくはトリブロモネオペンチルアルコールと一緒に、含有する予め調製した液状組成物を、1種以上のポリオール(例えば、先に挙げたポリエーテル-ポリオールおよびポリエステル-ポリオール)と現場で混合してフォームのポリオール成分を得て、次いで発泡剤および触媒を、場合によっては界面活性剤も、前記ポリオール成分に添加する。混合工程を作業現場の環境温度にて現場で実施して、均一に分布した難燃剤を含有するポリオール成分を得るということは、本発明の重要な利点である。
【0052】
本発明で用いるのに好適な発泡剤は当技術分野において周知であり、例えば、水(イソシアネートとの反応で二酸化炭素を生成する)および低沸点の有機液体、例えばペンタンまたはハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)が含まれる。発泡剤の量は広範囲で変わりうる。
【0053】
ポリオール成分とジイソシアネート成分との反応を促進することを意図した反応触媒として、芳香族および/または脂肪族アミン、または有機金属塩、またはそれらの混合物を用いるのが普通である。アミン触媒はトリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、およびトリエチルアミン(TEA)からなる群より選択しうる。有機金属塩は好ましくは次の金属に基づくものである:スズ、亜鉛、マンガン、マグネシウム、ビスマス、アンチモン、鉛およびカルシウム。特に好ましいのは第一スズ化合物、例えばオクタン酸第一スズおよびジブチルスズジラウリン酸第一スズである。好ましくは、ポリオール成分に対する触媒の重量濃度は1〜5%(wt%)の範囲にある。
【0054】
ポリウレタンフォームの調製において、少量(ポリオール成分の重量の2%まで)の界面活性剤を用いることも普通のことである。この目的にはシリコーンを用いることができる。
【0055】
ポリオール成分(その中に溶解した前記触媒、発泡剤および界面活性剤を含有する)を調製したら、そのポリオール成分をイソシアネート成分と反応させて所望のフォームを得る。本発明で使用する好適なイソシアネートは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、芳香族またはヘテロ環式のポリイソシアネート、例えば4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、イソプロピルジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択することができる。フォームの調製に必要とされるジイソシアネートの量は、ポリオール成分のヒドロキシル価および存在する他のいずれかの反応性水素含有化合物に従って計算する。わずかに過剰のジイソシアネートを用いることも可能である。
【0056】
硬質ポリウレタンフォームは連続法、不連続法またはスプレー法により調製することができ、これらは当技術分野において周知である。
【0057】
不連続法では、全成分を混合して型(通常は木製または金属製)に注ぎ込み、フォームを形成させる。適当な期間(発泡系および型のサイズにより変わる)の後に、フォームを型からブロックとして取り出す。そのブロックを養生させ、次いでパネル、ハーフシェルまたはその他の形状に切断する。
【0058】
連続法では、反応混合物を横断ヘッドからコンベヤー(フォームの剥離を容易にするため紙で覆う)上に放散させる。フォームの膨張中、両側を垂直コンベヤーにより支える。フォーム形成ラインの終わりに、フォームをバン(bun)に切断し、所定の時間貯蔵する。その後、フォームを所要の形状に切断する。
【0059】
スプレー法は、型およびパネルに充填するため、また、フォームを平面に塗布するために用いる。スプレー法は、タンクまたは建造物の壁などの広い面積が関係する用途において特に有用である。スプレーされた硬質フォームコーティングは物理的強度と改善された断熱性の両方をもたらす。
【0060】
先に示したように、式1の化合物は、硬質ポリウレタンフォームの燃焼性を低下させることについて、今まで提案されたことがなかった。従って、本発明はまた、難燃性硬質ポリウレタンフォームを調製する方法に関し、この方法は、先の式(1)、さらに好ましくは式(1a)または(1b)により表わされる1種以上の難燃剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の界面活性剤および少なくとも1種のリン酸エステルの存在のもとで、ポリオール成分とジイソシアネート成分を前記の通り反応させることを含んでなる。得られる硬質ポリウレタンフォームは、式(1a)または(1b)の難燃剤(好ましくはフォームの総重量に対して1〜5%の濃度)に対応する構造ユニットにより特徴付けられ、この硬質ポリウレタンフォームが本発明の他の態様を構成する。
【0061】
次の調製実施例は本発明の好ましい実施形態を例示するものである。
【実施例】
【0062】
調製例1
式1(b)の難燃剤の調製
攪拌機、電熱マントル、温度計および還流コンデンサーを備えた1リットルガラス製ケトルに、100gの臭素化エポキシ樹脂(F-2001として市販、特性:EEW=1モル当たり398グラム、臭素含量=49%(w/w))、300gのメチルイソブチルケトン、および155gのトリブロモフェノールを加えた。その混合物を、全固体が溶解するまで攪拌し、次いで0.75gのトリブチルアミンを加えた。反応混合物を徐々に還流まで加熱し、反応を6時間続けた。
【0063】
室温に冷却後、反応混合物を蒸留水で3回洗浄し、次いで水相を分離した。最後に、メチルイソブチルケトンを真空下160℃にて留去した。
【0064】
式(1b)で表わされる樹脂が250g得られたが、これは次の特性を示した:
軟化点:101℃
平均分子量(GPCにより測定):1460
臭素含量:59wt%。
【0065】
異なる式(1b)の樹脂(すなわち、単量体(1b-I)、式(1b-II)の二量体、式(1b-III)の三量体、より高次のオリゴマーを異なる割合で含む混合物)を得るために、反応物の重量比を変える(例えば、574gのYDB400またはF-2001、294.6gのトリブロモフェノールおよび127gのテトラブロモビスフェノールAを反応させる)ことにより、前記手順を改変することができる。
【0066】
実施例1〜6
式(1a)のエポキシ樹脂を含有する液状難燃剤組成物
表1は、数種の本発明の液状難燃剤処方物の組成、およびそれらについて行った安定性試験をまとめたものであり、前記組成物は式(1a)の難燃剤、またはそれとトリブロモネオペンチルアルコールとの組合わせに基づく。一般的な調製手順は次の通りである:
機械的攪拌機、温度計および還流コンデンサーを備えた0.5リットル反応器に液体成分(非ハロゲン化ポリエーテルポリオール、すなわちAlcupol C-5710;またはハロゲン置換した有機リン酸エステル、すなわちリン酸トリス(2-クロロプロピル)(TCPP)、またはそれらの混合物)を投入し、60℃に加熱した。難燃剤(F-2001、またはF-2001とその後にFR-513、またはその逆)を次いで反応器に加え、その後、温度を70〜100℃に上昇させた。生じた混合物を、透明な溶液が得られるまで約2時間、70〜100℃で加熱した。室温に冷却した後、安定な溶液を得た。
【表1】

【0067】
安定性について記載した数値は、組成物が周囲温度条件下で沈降物の形成なしに貯蔵された期間の長さを表す。試験は継続中であり、従って記載した値は安定性の限界ではない。
【0068】
本発明の液状組成物を、硬質ポリウレタンフォーム用の標準処方物中で難燃剤として使用した。フォームは連続法または不連続法(それぞれ、以下の実施例7〜11および実施例12〜16)により調製した。
【0069】
ポリウレタンフォームの調製においては、本発明の液状難燃剤組成物のほかに、次の材料を使用した:
連続的製造に用いたポリオール:
1.Terol 516 − ヒドロキシル価305mg KOH/gを有するポリエステルポリオール
2.Fox-O-Pol M530 − ヒドロキシル価530mg KOH/gを有するポリオール
3.グリセロール
【0070】
不連続的製造に用いたポリオール:
1.Alcupol R-2510 − ヒドロキシル価250mg KOH/gを有するグリセロール開始ポリエーテルポリオール
2.Alcupol C-5710 − ヒドロキシル価570mg KOH/gを有するグリセロール開始ポリエーテルポリオール
3.Alcupol R-4720 − ヒドロキシル価475mg KOH/gを有するソルビトール開始ポリエーテルポリオール
【0071】
補助的化学薬品
DMCHA: ジメチルシクロヘキシルアミン
AM 58: 三量体化触媒
DC 193: シリコーン界面活性剤
TCPP: リン酸トリス(クロロプロピル)
TEP: リン酸トリエチレン
ペンタン: 発泡剤
イソシアネート
MDI: 高分子量(polymeric)ジフェニルメタンジイソシアネート
【0072】
実施例7〜11
F-2001に基づいた液状難燃剤組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製するための連続系
フォームの調製手順は次の通りである:
ポリオール、水、界面活性剤、実施例2〜6のF-2001に基づいた難燃剤組成物(下記の表2では「実施例XのFR」と略記した)、リン酸エステルおよび触媒を秤量して混合ビーカーに入れ、混合して均質な溶液とした。この溶液にペンタンを加え、さらに混合した後に、高分子量イソシアネートを加えた。この混合物を3000rpmで6秒間攪拌し、別のビーカー中に注いだ。形成したフォームを少なくとも24時間、室温に保持し、次いでビーカーから取り出して試験標本に鋸で切断した。次いでサンプルをDIN 4102 B2試験法(火炎の高さ15.0cm以下は、フォームがこの試験に合格したことを意味する)に従って可燃性について試験した。フォーム調製用の成分およびパラメーター、ならびにフォームの試験結果を表2にまとめてある。
【表2】

【0073】
表2において(そしてまた下記の表3および5においても)、フォーム調製に関するパラメーターは次のように定義される:
クリーム時間:混合ビーカーからのフォーム成分の排出から、フォームの膨張開始までの時間;
ゲル時間:混合ビーカーからのフォーム成分の排出から、フォームが挿入したプローブに付着しかつプローブを引き抜くと糸を引く時点までの時間;
タックフリー時間:混合ビーカーからのフォーム成分の排出から、フォーム塊の外皮がその粘着性または接着性を失う時点までの時間;
養生時間:所望のポリマー特性、例えば強度、寸法安定性、伸びなどを発現するのに十分な反応を完了するために必要な時間。
【0074】
実施例12〜16
F-2001に基づいた液状難燃剤組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製するための不連続系
フォームの調製手順は次の通りである:
ポリオール、水、界面活性剤、実施例2〜6のF-2001に基づいた難燃剤組成物(下記の表3では「実施例XのFR」と略記した)、リン酸エステルおよび触媒を評量し、混合ビーカーに入れ、混合して均質な溶液とした。この溶液に高分子量イソシアネートを加え、次いでその混合物を3000rpmで15秒間攪拌し、別のビーカー中に注いだ。形成したフォームを少なくとも24時間、室温で保持し、次いでビーカーから取り出し、試験標本に鋸で切断した。次いでサンプルをDIN 4102 B2試験法(火炎高さ15.0cm以下は、フォームがこの試験に合格したことを意味する)に従って可燃性について試験した。表3にフォーム調製用の成分およびパラメーターならびにフォームの試験結果をまとめてある。
【表3】

【0075】
実施例17〜27
式(1b)のトリブロモフェノール末端樹脂を含有する液状難燃剤組成物
表4は、本発明のいくつかの液状難燃剤組成物の組成、およびそれぞれに対して実施した安定性試験をまとめたものであり、前記組成物は式(1b)の難燃剤、またはそれとトリブロモネオペンチルアルコールとの組合わせに基づくものである。一般的な調製手順は次の通りであった:
機械式攪拌機、温度計および還流コンデンサーを備えた0.5リットル反応器に液体成分(非ハロゲン化ポリエーテルポリオール、すなわちAlcupol C-5710;またはハロゲン置換した有機リン酸エステル、すなわちリン酸トリス(2-クロロプロピル)(TCPP)、またはそれらの混合物)を投入し、60℃に加熱した。難燃剤(F-3014、またはF-3014とその後にFR-513、またはその逆)を次いで反応器に加え、その後、温度を65〜100℃に上昇させた。生じた混合物を、透明な溶液が得られるまで約2時間、65〜100℃で加熱した。室温に冷却した後、安定な溶液を得た。
【表4】

【0076】
安定性について記載した数値は、組成物が周囲温度条件下で沈降物の形成なしに貯蔵された期間の長さを表す。試験は継続中であり、従って記載した値は安定性の限度ではない。
【0077】
実施例28〜38
F-3014に基づいた液状難燃剤組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製するための連続系
実施例17〜27の組成物を次の手順に従って硬質ポリウレタンフォームを調製するために用いた。
【0078】
ポリオール、水、界面活性剤、実施例17〜27のF-3014に基づいた難燃剤組成物(下記の表5では「実施例XのFR」と略記した)、リン酸エステルおよび触媒を秤量して混合ビーカーに入れ、混合して均一な溶液とした。この溶液にペンタンを加え、さらに混合した後に高分子量イソシアネートを加えた。この混合物を3000rpmで6秒間攪拌し、そして別のビーカー中に注いだ。形成したフォームを少なくとも24時間室温で保持し、次いでビーカーから取り出し、試験標本に鋸で切断した。次いでサンプルをDIN 4102 B2試験法(火炎高さ15.0cm以下は、フォームがこの試験に合格したことを意味する)に従って可燃性について試験した。表5にフォーム調製用の成分およびパラメーターならびにフォームの試験結果をまとめてある。
【表5】


【0079】
実施例39〜42
式(1b)のトリブロモフェノール末端樹脂を含有する液状難燃剤組成物
表6は、式(1b)の難燃剤またはそれとトリブロモネオペンチルアルコールとの組合わせに基づく数種の本発明の液状難燃剤組成物の諸成分、およびそれぞれについて実施した安定性試験を示す。これらの組成物は、諸成分を70℃〜90℃で混合し、次いで冷却することにより得た。
【表6】

【0080】
*安定性について記載した数値は、組成物が周囲温度条件下で沈降物の形成なしに貯蔵された期間の長さを表す。試験は継続中であり、従って記載した値は安定性の限界ではない。
【0081】
実施例43〜46
F-3014および/またはF-3020に基づいた液状難燃剤組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製するための連続系
実施例39〜42の組成物を先に記載した手順に従って硬質ポリウレタンフォームを調製するために用いた。表7にフォーム調製用の成分およびパラメーターならびにフォームの試験結果をまとめてある。
【表7】

【0082】
実施例47(比較例)
各種の難燃剤の溶解性の比較
式1aの難燃剤の類似体を得るために、テトラブロモビスフェノールAの構造類似体であるテトラブロモビスフェノールS(この場合、硫黄結合が2つの芳香環を連結している)をイソプロパノール中でエピクロロヒドリンと反応させた。得られる反応生成物(その構造は1HNMRにより確認した)は、メチルイソブチルケトンにも、ポリオールとリン酸エステルの混合液にも非常に低い溶解性を示し、その結果、この反応生成物は末端キャップされた誘導体(式1bの類似体)に変換することができず、また容易にポリウレタンフォーム発泡系に供給することもできない。
【0083】
実施例48〜49(比較例)
実施例20に従う組成物、すなわちポリオールC5710中の20% F-3014および30% FR-513の溶液(臭素含量34%)を、ポリオールC5710中のFR-513の50%溶液(臭素含量ほぼ37%)と、硬質ポリウレタンフォームにおけるそれらの難燃効果について比較した。この目的のために、2つの組成物を、ペンタンでブローされる連続発泡系に組み込んで、下記の表8に記載したフォームを得た。
【表8】

【0084】
表8のデータが示すように、本発明の組成物は、FR-513のみに基づくFR組成物の臭素含量がより高いにもかかわらず、FR-513に基づくFR組成物(火炎高さ11.8cm)より良好な難燃性(火炎高さ11.4cm)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)構造式(1):
【化1】

[式中、nは重合度であって、0〜5の範囲の整数であり、R1およびR2は独立して次の1価の基:
【化2】

からなる群より選択される]
で表わされる1種以上の難燃剤、および
B)ポリオールおよびリン酸エステルからなる群より選択される1種以上の液体、
を含む液状難燃剤組成物。
【請求項2】
難燃剤が式(1'):
【化3】

[式中、mは重量平均重合度であって、0.05〜1.0の範囲にあり、R1およびR2は請求項1に定義した通りである]
により表わされる、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項3】
難燃剤が式(1a):
【化4】

[式中、mは0.05〜0.5の範囲にある]
により表わされるエポキシ樹脂である、請求項2に記載の液状組成物。
【請求項4】
難燃剤の平均エポキシ当量が370g/eq以上である、請求項3に記載の液状組成物。
【請求項5】
平均エポキシ当量が380〜420g/eqである、請求項4に記載の液状組成物。
【請求項6】
次のエポキシ樹脂:
(1a-I)テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの単量体:
【化5】

(1a-II)テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの二量体:
【化6】

(1a-III)テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルの三量体[式(1)においてnが2に等しい]
を含む混合物である、請求項5に記載の液状組成物。
【請求項7】
難燃剤が式(1b):
【化7】

[式中、nは請求項1に定義した通りである]
により表わされる1種以上のトリブロモフェノール末端を有する化合物を含む、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項8】
難燃剤が式(1b)[式中、nは0、1および2である]により表わされるトリブロモフェノール末端化合物を含む混合物である、請求項7に記載の液状組成物。
【請求項9】
式(1b)[式中、nは0である]および式(1b)[式中、nは1である]により表わされるトリブロモフェノール末端化合物の重量濃度が、式(1b)の難燃剤の総重量に対して、それぞれ55〜70%および20〜35%の範囲にある、請求項8に記載の液状組成物。
【請求項10】
常温で溶液の形態である、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項11】
式(1)の難燃剤の重量濃度が10〜60%(w/w)である、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項12】
ポリオールがポリエーテル-ポリオールである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液状組成物。
【請求項13】
ポリエーテル-ポリオールがハロゲン化されておらず、かつ3個以上のヒドロキシル基を有する、請求項12に記載の液状組成物。
【請求項14】
リン酸エステルがハロゲン原子により置換されている、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項15】
リン酸エステルがリン酸トリス(2-クロロプロピル)である、請求項14に記載の液状組成物。
【請求項16】
トリブロモネオペンチルアルコールをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の液状組成物。
【請求項17】
ポリエーテル-ポリオールおよびハロゲン含有リン酸エステルからなる群より選択される1種以上の溶媒に溶解した、式(1)の難燃剤20〜40wt%およびトリブロモネオペンチルアルコール20〜40wt%を含む溶液である、請求項16に記載の液状難燃剤組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の液状組成物を調製する方法であって、請求項1に定義した式(1)の難燃剤を、ポリオールおよびリン酸エステルから成る群より選択される少なくとも1種の液体成分と一緒に、透明な溶液が得られるまで加熱し、次いで液状組成物を冷却し、使用まで貯蔵することを含んでなる上記方法。
【請求項19】
難燃性硬質ポリウレタンフォームを調製する方法であって、ポリオール成分とジイソシアネート成分を、式1:
【化8】

[式中、nは重合度であって、0〜5の範囲の整数であり、R1およびR2は独立して次の1価の基:
【化9】

からなる群より選択される]
により表される1種以上の難燃剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および任意に少なくとも1種の界面活性剤の存在のもとで、反応させることを含んでなる上記方法。
【請求項20】
難燃剤が式(1b):
【化10】

[式中、nは0、1および2に等しい]
により表される個々の化合物を含む混合物である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に定義した式(1)の難燃剤が1種以上のポリオールおよび/または1種以上のリン酸エステルを含む液体に溶解している、予め調製した液状組成物を用意すること、および
前記予め調製した液状組成物を、追加量の1種以上のポリオールと、任意に少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および少なくとも1種の界面活性剤と、混合し、それによりポリウレタンまたはポリイソシアネートフォームを調製するのに好適なポリオール成分を提供すること、
を含んでなる方法。
【請求項22】
予め調製した液状組成物がトリブロモネオペンチルアルコールをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリオール成分をジイソシアネート成分と、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の界面活性剤および少なくとも1種のリン酸エステルの存在のもとで、反応させてポリウレタンまたはポリイソシアネートフォームを得ることをさらに含んでなる、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
作業場の環境温度にて現場で行う、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記予め調製した液状組成物が請求項7、8または9に定義した組成物であり、かつ溶液の形態である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
式(1b):
【化11】

[式中、nは0、1および2に等しい]
により表される1種以上の化合物に対応する構造ユニットを含む、請求項20または23に記載の方法により得られる硬質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2009−537651(P2009−537651A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510616(P2009−510616)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000589
【国際公開番号】WO2007/132463
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(501364081)ブロマイン コンパウンズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】