説明

難燃性ポリエステルフィルム

【課題】 非ハロゲン系難燃剤として無機化合物の1種である酸化鉄を用いることにより難燃性に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルを主たる樹脂成分とする層を少なくとも1層含むフィルムであって、該層が平均一次粒径10〜50nmの酸化鉄粒子を3〜30重量%含有する難燃性ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃性を有するポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、酸化鉄粒子を含み、非ハロゲン系難燃剤による難燃性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルムおよび保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
【0003】
一方、近年、製造物責任法の施行に伴い、火災に対する安全性を確保するため、樹脂の難燃化が強く要望されている。例えば、携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと略記することがある)の需要が急激に伸びている。従来、FPC用途には銅箔張り合わせのポリイミドフィルムが使用されている。しかしながら、ポリイミドは、その素材の性質上フィルム化や薄膜化が困難であり、また素材自体も非常に高価で、さらに比較的吸水しやすく、吸水による寸法変化や形状変化が生じる。そこで、ポリイミド代替としてポリエチレンナフタレートフィルムが検討されるようになってきたが、近年、FPCが搭載される電子機器に用いられる樹脂についても、難燃化が求められている。
【0004】
樹脂の難燃化方法としては、難燃性の元素を含有する、いわゆる難燃剤を配合する方法が一般的である。難燃剤としては、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物、有機リン化合物、赤リンに代表される無機リン化合物、水酸化マグネシウムに代表される無機化合物等が挙げられる。
【0005】
有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物等のハロゲン系難燃剤は、難燃効果は高いものの、成形・加工時にハロゲンが遊離し、腐食性のハロゲン化水素ガスを発生して、成形・加工機器を腐食させ、また作業環境を悪化させる可能性が指摘されている。また、前記難燃剤は、火災などの燃焼に際して、ハロゲン化水素等のガスを発生するという報告もある。そのため、ハロゲン系難燃剤に替わり、ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが検討されている。
【0006】
ハロゲンを含まない難燃剤として、前記無機リン化合物、その他の無機化合物等の無機系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤のような毒性はないものの、樹脂との相溶性に乏しく、また、ポリエステル樹脂に添加した場合の難燃性は十分満足できるものではない。樹脂組成物の分野においては種々の検討が行われており、例えば特許文献1には、燃焼時に酸を生成するリンを含む難燃性脱水剤、無機酸が担持された金属酸化物に加えて、多価アルコール、発泡剤など種々の添加剤を併用することによって難燃性を獲得している。また、特許文献2において、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物に対し、安定化赤燐を難燃剤として含み、該難燃剤を含むことによる耐湿熱分解性の改良を目的として無機化合物を併用することが開示されている。
しかしながら無機化合物を主難燃剤としたポリエステルフィルムの難燃化は未だ実現していないのが現状である。
【0007】
ところで、フィルム分野では、難燃性向上以外の目的で上記無機化合物が配合されることがあり、例えば特許文献3ではヤング率を高める目的で針状酸化鉄をポリエステル樹脂組成物に配合することが提案されている。また着色顔料として酸化鉄をフィルムに含有することが特許文献4に開示されており、特許文献5には滑剤の1種として酸化鉄などのようなモース硬度の高い粒子を少量含有することが開示されている。しかしながら、いずれの文献も無機化合物により難燃性が高まることな何ら言及していない。
【0008】
【特許文献1】特開2002−80729号公報
【特許文献2】特開2002−60611号公報
【特許文献3】特開2005−97465号公報
【特許文献4】特開平11−268215号公報
【特許文献5】特開平9−95601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、非ハロゲン系難燃剤として無機化合物の1種である酸化鉄を用いることにより難燃性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、平均一次粒径が小さい酸化鉄粒子をポリエステルフィルム中に含有させることで、少ない含有量でも比表面積が大きいため効果的に難燃効果を発現させることが可能となり、無機化合物によるポリエステルフィルムの難燃化が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層を少なくとも1層含むフィルムであって、該層が平均一次粒径10〜50nmの酸化鉄粒子を3〜30重量%含有することで達成される。
また、本発明の難燃ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、酸化鉄の含有量と比表面積が下記式(1)の関係を満たすこと、
1≦S・C≦20 ・・・(1)
(上式(1)中、Sは酸化鉄粒子の比表面積(m/g)、Cは酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量(g/cm)をそれぞれ表す)
酸化鉄粒子の主たる成分が、α型酸化鉄であること、フィルムの燃焼発熱速度が100〜300KW/mであること、フィルム中にハロゲン系難燃剤を含有しないこと、ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであること、の少なくともいずれか1つを具備するものを包含する。
また本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、フレキシブルプリント回路基板に用いられることを包含する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、平均一次粒径が10〜50nmと粒径の小さい酸化鉄粒子をフィルム中に含有することによって、ハロゲン系化合物を含有させることなく高い難燃性を備えることから、難燃性が求められる各種用途に好適に用いることができ、例えばフレキシブルプリント回路基板に好適な難燃性ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳しく説明する。
<ポリエステル>
本発明のポリエステルフィルムは、ジカルボン酸とグリコールとの縮重合によって得られるポリエステルによって形成される。ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が例示され、グリコール成分としてエチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが例示される。
【0014】
これらの成分によって得られるポリエステルの中でも特に、主たる成分がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが好ましく、かかるポリエステルの中でも難燃化しやすさの点でポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが最も好ましい。かかるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコールとからなる。ここで「主たる」とは、ポリマー成分のうち、全繰り返し構造単位の80モル%以上であることを意味する。本発明のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、全繰返し単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、エチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、エチレン−1,5−ナフタレンジカルボキシレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであることが好ましい。更に好ましくは全繰返し単位の85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであることが好ましい。
【0015】
本発明におけるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、単独でも他のポリエステルとの共重合体、2種以上のポリエステル混合体のいずれであってもかまわない。例えばポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合体または混合体における他の成分は、繰返し構造単位の全モル数を基準として20mol%以下が好ましく、より好ましくは15mol%以下、特に好ましくは10mol%以下である。共重合体である場合、共重合体を構成する共重合成分として、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如き2価アルコールを好ましく用いることができる。
【0016】
これらの化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いることができる。またこれらの中で好ましくは酸成分として、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、グリコール成分としてトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
【0017】
また、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに混合できるポリエステル或いはポリエステル以外の有機高分子として、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステルを挙げることができ、これらの中でポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが挙げられる。これらのポリエステルまたはポリエステル以外の有機高分子は、1種であっても2種以上を併用してもよい。
【0018】
また、本発明におけるポリエステルは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってよく、また極く少量の例えばグリセリン、ペンタエリスリトールの如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
【0019】
本発明のポリエステルは、一般に知られたポリエステル組成物の製造方法によって製造できる。例えば、ジカルボン酸とグリコールとを反応させて、直接、低重合度ポリエステルを得て、この低重合度ポリエステルを重合触媒の存在下で更に重合させてポリエステルを得る方法、或いはジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応で低重合度ポリエステルを得て、この低重合度ポリエステルを重合触媒の存在下で更に重合させてポリエステルを得る方法で製造することができる。
【0020】
本発明のポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上0.90dl/g以下であることが好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では工程切断が多発することがある。また固有粘度が0.9dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出が困難であるうえ、重合時間が長く不経済である。
【0021】
<酸化鉄粒子>
本発明における難燃性ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層において平均一次粒径が10〜50nmである酸化鉄粒子を3〜30重量%含有することが必要である。通常、滑剤や着色顔料などとして用いられる場合よりも小さい平均一次粒径を有する酸化鉄粒子をフィルム中に含有することにより、少ない含有量でも比表面積が大きいため効果的に難燃効果を発現させることができる。
【0022】
本発明の酸化鉄粒子は平均一次粒径が10〜50nmであることが必要である。ここで平均一次粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)により10万倍で観察し、100個の酸化鉄粒子について円相当径を測定し、それらを平均して求めた値である。酸化鉄粒子の平均一次粒径の上限は、好ましくは45nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは35nm以下である。また酸化鉄粒子の平均一次粒径の下限は、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。平均一次粒径が下限に満たない場合、粒子の分散性が悪く難燃性向上効果が得られない。一方、平均一次粒径が上限を超える場合、酸化鉄粒子の比表面積が十分大きくないために難燃性向上効果が小さく、難燃性効果を発現させるために過剰の酸化鉄粒子の添加が必要となり、フィルムの製膜工程が不安定になる。
【0023】
また本発明の酸化鉄粒子は、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層中に、該層の重量を基準として3〜30重量%含有することが必要である。酸化鉄粒子の含有量の下限は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また酸化鉄粒子の含有量の上限は、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。酸化鉄粒子の含有量が下限に満たない場合、十分な難燃性向上効果が得られない。一方、酸化鉄粒子の含有量が上限を超えると、フィルム表面が粗面化するほか、フィルムの製膜工程が不安定になる。
【0024】
本発明の酸化鉄粒子は、含有量と比表面積が下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
1≦S・C≦20 ・・・(1)
(上式(1)中、Sは酸化鉄粒子の比表面積(m/g)、Cは酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量(g/cm)をそれぞれ表す)
ここで、(1)式はフィルム中に占める酸化鉄粒子の総表面積を表しており、この値が下限に満たないと、十分な難燃性向上効果が得られず、一方上限を超えると、フィルム表面が粗面化あるいは、フィルム製膜工程が不安定になる。(1)式で表される値は、より好ましくは3〜18、さらに好ましくは5〜15の範囲である。
なお、(1)式中、酸化鉄粒子の比表面積Sは、ユアサアイオニックス社製の比表面積/細孔分布測定装置(NOVA1000)を用いて窒素ガスを使用したガス吸着法(BET多点法比表面積測定法)より測定して得られた値を指す。
【0025】
また酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量Cは、酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量(g/cm)で表され、下記式(2)により求められる値である。
C(g/cm)={A(g/g)% × フィルム比重(g/cm)}/100 ・・・(2)
(上式(2)中、Aはフィルム1gあたりの酸化鉄樹脂粒子の重量を表す)
酸化鉄粒子の比表面積は、酸化鉄粒子の平均一次粒径を小さくするに伴って増加する特性である。従って(1)式で表される数値は、酸化鉄粒子の平均一次粒径を大きくするか、酸化鉄粒子の含有量を少なくすることにより、より減少する。また(1)式で表される数値は、酸化鉄粒子の平均一次粒径を小さくするか、酸化鉄粒子の含有量を多くすることにより、より増加する。酸化鉄粒子の平均一次粒径の範囲及び含有量範囲は既述のとおりである。
【0026】
酸化鉄粒子は、前記の特性を満足するものであれば種類は特に限定はされないが、α型の酸化鉄(III)(Fe)であることが好ましい。
酸化鉄粒子をポリエステルフィルムに分散含有させる方法は特に制限されず、例えば、酸化鉄粒子をエチレングリコール中に分散させたスラリーとして、ポリエステル製造工程中に添加する方法、単軸や二軸の混練押出機を用いて、重縮合して得られたポリエステルに酸化鉄粒子を直接添加し混練分散させる方法、前記いずれかの方法で高濃度の酸化鉄粒子を含有するポリエステルを作成し、単軸や二軸の混練押出機を用いて粒子を含有しないポリエステルと混合混練し、任意の濃度のポリエステル組成物を得る方法などが挙げられる。酸化鉄粒子はポリエステルの製造において触媒活性を示すことがあることから、それらを考慮した上で添加方法を選択することが好ましく、重縮合過程で触媒活性を示す場合は、フィルム製膜時に添加することが好ましい。
【0027】
<他添加剤>
本発明の難燃性ポリステルフィルムには、フィルムの取り扱い性を向上させるため、発明の効果を損なわない範囲で不活性粒子などが添加されていても良い。不活性粒子としては、たとえば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、などの無機粒子、シリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などからなる有機粒子、硫酸バリウム、酸化チタン等の顔料が挙げられ、単独あるいは2種以上添加しても良い。
【0028】
本発明の難燃性ポリステルフィルムには、必要に応じて更に熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。なお本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、非ハロゲン系難燃剤によって難燃性を発現させる技術課題を有するため、フィルム中に、ハロゲン系難燃剤を含有しないことが好ましい。ここで、フィルム中にハロゲン系難燃剤を含有しないとは、フィルム重量を基準として、ハロゲン系難燃剤の含有量が1重量%未満、さらには0.5重量%未満であることを指す。
本発明におけるこれら添加剤は、難燃性ポリエステルフィルムが2層以上の積層構造を有する場合、いずれの層に配合されても構わない。
【0029】
<塗膜層>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、フィルム表面に各種の機能を付与するため、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層の少なくとも一方の面に塗膜層を設けてもよい。
塗膜層を形成するバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を用いることができる。たとえばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、およびポリオレフィン、ならびにこれらの共重合体やブレンド物が挙げられる。なかでもポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンが好ましく例示される。かかるバインダー樹脂は、更に架橋剤を加えて架橋されたものでも良い。
【0030】
かかる塗膜層は、例えばコーティングによって形成することができる。コーティング塗剤の溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が使用でき、更に水を溶媒としてもよい。本発明の塗膜層は、塗膜を形成する成分として、さらにポリアルキレンオキサイドなどの界面活性剤および不活性粒子を含んでいてもよい。また、本発明においては塗膜を形成する成分として、本発明の目的を損ねない範囲で上記成分以外にメラミン樹脂等の上述以外の樹脂、軟質重合体、フィラー、熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤、硬化剤、難燃剤などを配合してもよい。
【0031】
本発明においては、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層の少なくとも一方の面に前記成分からなる塗膜を積層してもよく、例えば延伸可能なポリエステルフィルムに塗膜を形成する成分を含む水溶液を塗布した後、乾燥、延伸し必要に応じて熱処理することにより積層することが出来る。
上記の延伸可能なポリエステルフィルムとは、未延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムであり、これらの中でもフィルムの押出し方向(縦方向または長手方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0032】
ポリエステルフィルムへ水溶液(塗剤)を塗布する場合は、通常の塗工工程、すなわち二軸延伸後、熱固定したポリエステルフィルムに該フィルムの製造工程と切り離した工程で行うと埃、ちり等を巻き込み易い。かかる観点よりクリーンな雰囲気での塗布、すなわちフィルムの製造工程での塗布が好ましい。そして、この塗布によれば、塗膜のポリエステルフィルムへの密着性が更に向上する。
塗布方法としては、公知の任意の塗布方法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることが出来る。
【0033】
<フィルムの燃焼発熱速度>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、燃焼発熱速度が100〜300KW/m2であることが好ましい。本発明における燃焼発熱速度とは、ISO5660に準拠してコーンカロリーメーター(東洋精機製作所製、コーンカロリーメータIII装置)を用いて測定される、燃焼時時間と発熱速度との関係によって求められる。具体的にはISO5660に準拠して加熱強度50kW/m2で加熱したときのコーンカロリーメーター(東洋精機製作所製、コーンカロリーメータIII装置)による最大発熱速度(kW/m2)を測定することによって求められる。
【0034】
かかる燃焼発熱速度は、より好ましくは120〜250KW/m2、さらに好ましくは130〜200KW/m2である。フィルムの燃焼発熱速度は、より小さいが好ましいものの、酸化鉄粒子の含有量の上限を超える範囲で添加した場合、フィルムの製膜工程が不安定なものとなることから、燃焼発熱速度の下限は上記に記載の範囲内であることが好ましい。一方、フィルムの燃焼発熱速度の上限を超える場合、酸化鉄粒子の添加による難燃性向上効果が十分ではない。かかる燃焼発熱速度は、平均一次粒径および含有量が本発明で規定される範囲内にある酸化鉄粒子を用いることによって達成される。
【0035】
<熱収縮率>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、200℃で10分間処理した際の熱収縮率が、フィルムの長手方向(以下、フィルム連続性膜方法、縦方向、またはMD方向と称することがある)、幅方向(以下、横方向またはTD方向と称することがある)のいずれも−3〜3%であることが好ましい。また本発明のフィルムの熱収縮率は、好ましくは−1.5〜1.5%、特に好ましくは−1〜1%である。
【0036】
フィルムの熱収縮率が下限に満たない場合あるいは上限を超える場合は、例えば回路基板を形成する工程においてフィルムの熱収縮が大きいため、良好な回路が形成できない場合がある。
かかる熱収縮率は、ポリエステルとしてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂を用いることによって達成され、より好ましくは(Tm−100℃)以上、特に好ましくは220℃〜250℃の条件で熱固定処理を施すことによって達成される。また、該熱固定の後、オフライン工程にて150〜220℃で1〜60秒間熱処理し、50〜80℃で除冷するアニール処理を施してもよい。
【0037】
<フィルム製膜方法>
本発明における難燃性ポリエステルフィルムは、少なくとも1軸に延伸されていることが必要であるが、フィルムの厚薄斑良化などの観点から、2軸延伸されたポリエステルフィルムが好ましい。延伸方法としては、テンター法、インフレーション法等の従来知られている製膜方法を用いて製造することができる。
【0038】
例えば、予め乾燥したポリエステル樹脂を加熱された押出機に供給し、Tダイによりシート状に成形する。ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂の場合は300℃に加熱された押出機に供給するのが好ましい。
このTダイより押し出されたシート状成形物を表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化し、この未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。かかる延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。縦延伸倍率は、使用する用途の要求に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは2.5倍以上4.0倍以下、更に好ましくは2.8倍以上3.9倍以下である。縦延伸倍率が下限に満たないと、フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られない場合がある。また、縦延伸倍率が上限を超えると所望の熱収縮率を得られないことがある。
【0039】
得られた縦延伸フィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これらの処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より20℃高い温度から始め、ポリエステルの融点(Tm)より(120〜20)℃低い温度まで昇温しながら行う。この横延伸開始温度は(Tg+40)℃以下であることが好ましい。また横延伸最高温度は、Tmより(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムに破れが生じやすい。また横延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いと、得られたフィルムの熱収縮率が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下しやすい。一方横延伸最高温度が(Tm−20)℃より高いと、フィルムが柔らかくなりすぎ、製膜中にフィルムの破れが起こり易い。
【0040】
横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常は逐次的に昇温する。例えばステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸倍率は、この用途の要求特性にもよるが2.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.8倍以上3.9倍以下である。横延伸倍率を2.5倍に満たないとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがあり、一方4.0倍を超えると所望の熱収縮率を得られないことがある。
【0041】
なお、2軸延伸されたフィルムには、その後熱固定処理が施されることが好ましい。熱固定を施すことにより、フィルムの熱寸法安定性が向上し、具体的には本熱固定処理を(Tm−100℃)以上で行うことが好ましく、さらに好ましくは220℃〜250℃の温度条件で施すことが好ましい。また、更に熱収縮を抑えるために、フィルムを例えばオフライン工程にて150〜220℃で1〜60秒間熱処理し、50〜80℃で除冷するアニール処理を施してもよい。
【0042】
上述の方法によって得られた延伸ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが3〜125μmであることが好ましく、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは7〜75μmの範囲である。本発明のポリエステルフィルムが積層構成を有する場合も、前記フィルム厚みの範囲であることが好ましい。
【0043】
<フィルム層構成>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層を少なくとも1層含むフィルムであり、一例として、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層1層からなるポリエステルフィルム、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層の少なくとも片面に塗膜層が形成されたポリエステルフィルムが挙げられるが、これらの層構成に限定されない。
【0044】
<フレキシブルプリント回路基板>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、他の機能を付与する目的で片面または両面に、さらに他層を積層した積層体としてもよい。ここでいう他の層とは、例えば透明なポリエステルフィルム、金属箔、ハードコート層が挙げられる。
前記金属箔を積層する場合、難燃性ポリエステルフィルムの一方の面に金属箔が積層され、フレキシブルプリント回路基板として用いられることが好ましい。本発明におけるフレキシブルプリント回路基板は、場合に応じて難燃性ポリエステルフィルムと金属箔との間にさらに接着層を有してもよい。本発明において用いられる金属箔としては銅箔が例示される。金属箔の接合手段や形状の具体的手段としては特に制限はなく、例えば金属箔を難燃性ポリエステルフィルムに貼り合せた後、金属箔をパターンエッチングするいわゆるサブトラクティブ法、難燃性ポリエステルフィルム上に銅などをパターン状にメッキするアディティブ法、パターン状に打ち抜いた金属箔を難燃性ポリエステルフィルムに貼り合せるスタンピングホイルなどを利用することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の%は、特に断らない限り、重量%を意味する。
【0046】
1.酸化鉄粒子の平均一次粒径
酸化鉄粒子の平均一次粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)により10万倍で観察し、100個の酸化鉄粒子について円相当径を測定して、それらを平均して求めた。
【0047】
2.酸化鉄粒子の含有量
ポリエステルフィルム中の酸化鉄粒子の含有量は、樹脂を溶解させる溶媒を選択し、遠心分離により粒子を抽出して、乾燥した後、ポリエステルを主たる樹脂成分とする層の重量を基準とした含有量を求める。その他の不活性粒子も含む場合は、必要に応じて蛍光X線による測定を併用することができる。
【0048】
3.酸化鉄粒子の比表面積(S)
酸化鉄粒子の比表面積は、ユアサアイオニックス社製の比表面積/細孔分布測定装置(NOVA1000)を用いて、窒素ガスを使用したガス吸着法(BET多点法比表面積測定法)により測定して求めた。
【0049】
4.酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量(C)
酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量C(g/cm)は、下記式(2)により求めた。
C(g/cm)={A(g/g)% × フィルム比重(g/cm)}/100 ・・・(2)
(上式(2)中、Aはフィルム1gあたりの酸化鉄樹脂粒子の重量を表す)
【0050】
5.フィルムの燃焼発熱速度
ISO5660に準拠して加熱強度50kW/m2で加熱したときのコーンカロリーメーター(東洋精機製作所製、コーンカロリーメータIII装置)による最大発熱速度(kW/m2)を測定することによって求めた。本測定のフィルムサンプルは、サンプル面積0.008800m2であり、またサンプル厚さは1mm厚みとなるようフィルムを重ね合わせた。
【0051】
6.熱収縮率
得られたフィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに200℃のオーブンで10分間熱処理を実施し、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルム長手方向(MD方向)と、幅方向(TD方向)において、下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)={(熱処理前標点間距離−熱処理後標点間距離)/熱処理前標点間距離}×100
【0052】
7.UL燃焼性
得られたフィルムをUL−94VTM法に準拠して評価した。サンプルを20cm×5cmにカットし、23±2℃、50±5%RH中で48時間放置し、その後、試料下端をバーナーから10mm上方に離し垂直に保持した。該試料の下端を内径9.5mm、炎長19mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、3秒間接炎した。VTM−0,VTM−1,VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価した。
【0053】
[実施例1]
まず、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエステル100重量部、エチレングリコール60重量部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023重量部を添加して実質的にエステル交換反応を停止させ、エチレングリコールに分散させた平均粒径0.3μmの球状シリカを表1に示す割合で添加した。ついで、三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.61dl/g、DEG共重合量1.3モル%のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
【0054】
上記ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを180℃ドライヤーで6時間乾燥後、押出機に投入し、そこへα型酸化鉄粒子(アルドリッチ社製、ナノパウダー、酸化鉄(III)、製品番号544884)を20重量%添加し、295℃で溶融混練し、290℃のダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.1倍で延伸し、60℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に3.3倍で延伸した。その後テンタ−内で240℃の熱固定を行い、200℃で3%の弛緩後、均一に除冷して室温まで冷やし、50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性に優れ、さらに高温での寸法安定性も高く、フレキシブルプリント回路基板に用いるのに適したものであった。
【0055】
[実施例2]
酸化鉄粒子の添加量を10重量%に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性に優れ、さらに高温での寸法安定性も高く、フレキシブルプリント回路基板に用いるのに適したものであった。
【0056】
[実施例3]
酸化鉄粒子の添加量を5重量%に変更した以外は実施例3と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、燃焼は燃焼発熱速度が多少低下し、燃焼性がVTM=1であった。また高温での寸法安定性も高く、フレキシブルプリント回路基板に用いるのに適したものであった。
【0057】
[実施例4]
酸化鉄粒子の平均一次粒径を表1に示すように36nmのものに変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、含有量が同一で粒径が異なる実施例3よりも燃焼発熱速度、UL燃焼性ともに低下傾向にあった。
【0058】
[比較例1]
酸化鉄粒子として、表1に示すように、平均一次粒径を95nmのものに変更し、添加量を5重量%にした以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本比較例のフィルムは難燃性が十分ではなかった。
【0059】
[比較例2]
酸化鉄粒子の添加量を1重量%に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本比較例のフィルムは難燃性が十分ではなかった。
【0060】
[比較例3]
酸化鉄粒子の添加量を35重量%に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得ようとしたが、押出し時に気泡が発生し安定して製膜することが困難であった。
【0061】
[比較例4]
酸化鉄粒子を添加しない以外は実施例1と同様の操作を繰り返して50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムは難燃性が不十分であった。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、平均一次粒径が10〜50nmと粒径の小さい酸化鉄粒子をフィルム中に含有することによって、ハロゲン系化合物を含有させることなく高い難燃性を備えることから、難燃性が求められる各種用途に好適に用いることができ、例えばフレキシブルプリント回路基板に好適な難燃性ポリエステルフィルムを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを主たる樹脂成分とする層を少なくとも1層含むフィルムであって、該層が平均一次粒径10〜50nmの酸化鉄粒子を3〜30重量%含有することを特徴とする難燃性ポリエステルフィルム。
【請求項2】
酸化鉄の含有量と比表面積が下記式(1)の関係を満たす、請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
1≦S・C≦20 ・・・(1)
(上式(1)中、Sは酸化鉄粒子の比表面積(m/g)、Cは酸化鉄粒子のフィルム単位体積あたりの含有量(g/cm)をそれぞれ表す)
【請求項3】
酸化鉄粒子の主たる成分が、α型酸化鉄である請求項1または2に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
【請求項4】
フィルムの燃焼発熱速度が100〜300KW/mである請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。
【請求項5】
フィルム中にハロゲン系難燃剤を含有しない、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。
【請求項6】
ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。
【請求項7】
フレキシブルプリント回路基板に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2009−79123(P2009−79123A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249228(P2007−249228)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】