説明

難燃性熱可塑性エラストマー

本開示は、熱可塑性エラストマーと金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルから成る難燃剤とを含む組成物を提供する。金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比は、1.45:1より大きい。本組成物は、被覆ワイヤー又は被覆ケーブルなどの物品の成分であり得、この場合は該被覆物中に本組成物が存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、難燃性熱可塑性エラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルクロライド(PVC)などのハロゲン含有材料は、ワイヤー及びケーブル用途で広範に使用されている。エコロジー及び健康意識により、PVCの実行可能な代替物を見つける努力を迫られている。熱可塑性エラストマーとPVCは、多くの物理的及び機械的態様が似ているので、熱可塑性エラストマーは、PVCのハロゲン不含代替物になる可能性のあるものとみられている。しかし、ワイヤー及びケーブル用途には難燃性が求められる。熱可塑性エラストマーへの難燃剤の添加は、多くの場合、その熱可塑性エラストマーの望ましい物理的及び機械的特性を低下させる。
【0003】
ワイヤー及びケーブル用途ならびに特に可撓性ワイヤー/ケーブルに適する機械的及び物理的特性を有するハロゲン不含難燃性熱可塑性エラストマーが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、組成物を提供する。ある実施形態において、組成物を提供し、該組成物は、約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマー及び約48重量%から約75重量%の難燃剤を含む。前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比は、1.45:1より大きい。
【0005】
本開示は、別の組成物を提供する。ある実施形態において、組成物を提供し、該組成物は、熱可塑性エラストマー、極性オレフィン系ポリマー及び難燃剤を含む。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。
【0006】
本開示は、物品を提供する。ある実施形態において、物品を提供し、該物品は、熱可塑性エラストマーと難燃剤とを含む組成物から成る少なくとも1つの構成要素を含む。前記熱可塑性エラストマーは、50未満のショアー硬度を有する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。金属水和物の有機ホスフェートに対する重量比は、約1.45:1より大きい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施形態において、前記物品は、金属導体及び該金属導体上の被覆物を含む。前記被覆物は、前記組成物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本開示のある実施形態によるワイヤー成形機の概略図である。図中、「GROOVED MOLDING PLATE」は溝付成形プレート、「FRAME MOLD」は型枠である。
【0009】
【図2】本開示のある実施形態による燃焼試験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
元素の周期表へのすべての言及は、CRC Pres,Inc.が2003年に発行し、著作権を有する元素の周期表を指す。また、族(単数又は複数)へのいずれの言及も、族の番号付けにIUPACシステムを用いてこの元素の周期表に表されている族(単数又は複数)であるものとする。相反する明言がない限り、文脈からの暗示が無い限り又は当分野において通例でない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づくものであり、すべての試験法は、本開示の出願日現在のものである。米国特許実務のために、一切の参照特許、特許出願又は出版物の内容は、特に、合成技術、生成物及び加工計画、ポリマー、触媒、定義(本開示に具体的に提供する任意の定義と矛盾のない程度に)及び当分野における一般知識に関して、それら全体が参照により組み込まれる(又はその対応US版は、同じように参照により組み込まれる)。
【0011】
本開示における数値範囲は近似であり、従って、別の指示が無い限りその範囲外の値を含み得る。数値範囲は、低位値から、この低位値を含めて、高位値までのすべての値を1単位刻みで含むが、但し、任意の低位値と任意の高位値の間が少なくとも2単位離れていることを条件とする。例として、組成的、物理的又は他の特性、例えば分子量、メルトインデックスなど、が100から1,000である場合には、その意図は、すべての個々の値、例えば100、101、102など、及び部分範囲、例えば100から144、155から170、197から200などを明確に列挙することである。1未満である値を含有する又は1より大きい分数(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲については、1単位を、適宜、0.0001、0.001、0.01又は0.1であると考える。10未満の1桁数字を含有する範囲(例えば1から5)については、概して1単位を0.1であると考えられる。これらは、具体的に意図されていることの単なる例であり、列挙されている最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組み合わせが本開示において明確に述べられていると考えるべきである。数ある中でも、組成物中の熱可塑性エラストマー、難燃剤、UV安定剤、添加剤及び様々な他の成分の量、ならびにこれらの成分を規定する様々な特徴及び特性についての数値範囲を、本開示の中で提供する。
【0012】
化合物に関して用いる場合、特に別の指示がない限り、単数形の語は、すべての異性体形態を含み、逆もまた同じである(例えば、「ヘキサン」は、ヘキサンのすべての異性体を個々に又は集合的に含む)。用語「化合物」及び「複合体」は、有機、無機及び有機金属化合物を指すために同義で用いている。用語「原子」は、元素の最小構成要素を、イオン状態にかかわらず、すなわち、それが電荷もしくは部分電荷を持っていても、持っていなくても、又は別の原子に結合していても、していなくても、指す。用語「非晶質」は、示差走査熱分析(DSC)又は等価の技術によって判定して結晶融点のないポリマーを指す。
【0013】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの派生語は、任意の追加の成分、工程又は手順を、それが具体的に開示されていようといまいと、除外することを意図したものではない。一切の疑いを避けるために、用語「含む(comprising)」を用いることにより特許請求の範囲に記載するすべての組成物は、相反する言明が無い限り、任意の追加の添加剤、アジュバント又は化合物を、ポリマーであろうと、そうでないものであろうと、含み(include)得る。対照的に、用語「から本質的に成る」は、後に続く一切の詳説から、一切の他の成分、工程、手順を除外し、従って、実施可能性に本質的でないものを除く。用語「から成る」は、具体的に詳述されていない又は挙げられていない一切の成分、工程又は手順を除外する。用語「又は」は、別の言明がない限り、挙げられている要素を個々に及び任意の組み合わせで指す。
【0014】
「組成物」及びこれに類する用語は、2つ又はそれ以上の成分の混合物又はブレンドを意味する。
【0015】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」及びこれらに類する用語は、2つ又はそれ以上のポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性であることもあり、ないこともある。そのようなブレンドは、相分離していることもあり、していないこともある。そのようなブレンドは、透過型電子顕微鏡法、光散乱、X酸散乱、及び当分野において公知の任意の他の方法から判定して、1つ又はそれ以上のドメイン配置を有することもあり、有さないこともある。
【0016】
用語「ポリマー」(及びこれに類する用語)は、同じ又は異なるタイプのモノマーの反応(すなわち重合)により調製される高分子化合物である。「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマーを含む。
【0017】
ある実施形態において、組成物を提供する。前記組成物は、熱可塑性エラストマー及び難燃剤を含む。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルから成る。金属水和物の有機ホスフェートに対する重量比は、約1.45:1より大きい。前記重量比は、前記組成物の総重量に基づく。
【0018】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。
【0019】
「熱可塑性エラストマー」は、本明細書において用いる場合、(1)その原長より大きく伸長し、解放されると実質的にその原長に収縮する能力を有する及び(2)熱に曝露されると軟化し、室温に冷却されると実質的にその原状態に戻るポリマーである。本熱可塑性エラストマーは、架橋されておらず、又は、別の言い方をすると、本熱可塑性エラストマーには架橋がない。本熱可塑性エラストマーは、加熱されたときに不可逆的に凝固又は「硬化」する「熱硬化性ポリマー」とは異なる、及び該「熱硬化性ポリマー」を含まない。適する熱可塑性エラストマーの非限定的な例としては、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、ポリアミドエラストマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0020】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、非極性オレフィン系ポリマー、例えば非極性エチレン系ポリマー及び非極性プロピレン系ポリマーを含まない。
【0021】
「熱可塑性ポリウレタン」(又は「TPU」)は、本明細書において用いる場合、ポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリマージオールと場合により1つ又はそれ以上の二官能性連鎖延長剤との反応生成物である。TPUは、プレポリマー、準プレポリマー又はワンショット法によって調製することができる。
【0022】
前記ポリイソシアネートは、ジ−イソシアネートであり得る。ジ−イソシアネートは、TPU中のハードセグメントを構成し、芳香族、脂肪族及び環状脂肪族ジ−イソシアネートならびにこれらの化合物の2つ又はそれ以上のものの組み合わせであり得る。ジ−イソシアネート(OCN−R−NCO)から誘導される構造単位の非限定的な例は、下の式(I)によって表される:
【0023】
【化1】

【0024】
(式中、Rは、アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基である)。これらのジ イソシアネートの代表的な例は、米国特許第4,385,133号、同第4,522,975号及び同第5,167,899号において見つけることができる。適するジ−イソシアネート非限定的な例としては、4,4’−ジ−イソシアナトジフェニルメタン、p−フェニレンジ−イソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ジ−イソシアナト−シクロヘキサン、ヘキサメチレンジ−イソシアネート、1,5−ナフタレンジ−イソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジ−イソシアネート、4,4’−ジ−イソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、2,4−トルエンジ−イソシアネート、及び4,4’ジ−イソシアナト−ジフェニルメタンが挙げられる。
【0025】
前記ポリマージオールは、結果として得られるTPU中のソフトセグメントを構成する。前記ポリマージオールは、200から10,000g/molの範囲の分子量(数平均)を有する。1つより多くのポリマージオールを用いることができる。適するポリマージオールの非限定的な例としては、ポリエーテルジオール(「ポリエーテルTPU」を生じさせる);ポリエステルジオール(「ポリエステルTPU」を生じさせる);ヒドロキシ末端ポリカーボネート(「ポリカーボネートTPU」を生じさせる);ヒドロキシ末端ポリブタジエン;ヒドロキシ末端ポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー;ジアルキルシロキサンとアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドのヒドロキシ末端コポリマー;天然ジオール、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。上述のポリマージオールの1つ又はそれ以上をアミン末端ポリエーテル及び/又はアミノ末端ポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーと混合してもよい。
【0026】
前記二官能性連鎖延長剤は、2から10個(両端の数値を含む)の炭素原子を鎖内に有する脂肪族直鎖及び分岐鎖ジオールであり得る。そのようなジオールの例示となるものは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど;1,4−シクロヘキサンジメタノール;ヒドロキノンビス−(ヒドロキシエチル)エーテル;シクロへキシレンジオール(1,4−、1,3−、及び1,2−異性体)、イソプロピリデンビス(シクロヘキサノール);ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミンなど;ならびに上記のものの任意の混合物である。前に述べたように、場合により、結果として生ずる熱可塑性を損なうことなく小率(約20当量パーセント(equivalent percent)未満)の二官能性連鎖延長剤の代わりに三官能性連鎖延長剤を用いることができる;そのような連鎖延長剤の例示となるものは、グリセロール、トリメチロールプロパンなどである。
【0027】
前記連鎖延長剤は、具体的な反応成分、所望されるハード及びソフトセグメント量、ならびに良好な機械的特性、例えば弾性率及び引裂強度引裂強度をもたらすために十分な指数の選択により決定される量で、ポリウレタンに添合される。本開示の実施の際に使用されるポリウレタン組成物は、2から25、又は3から20、又は4から18重量%の連鎖延長剤成分を含有し得る。
【0028】
場合により、少量のモノヒドロキシル官能性又はモノアミノ官能性化合物(多くの場合、「連鎖停止剤」と呼ばれる)を使用して、分子量を制御することができる。そのような連鎖停止剤の例示となるものは、プロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノールである。使用する場合、連鎖停止剤は、ポリウレタン組成物をもたらす反応混合物全体に対して0.1から2重量パーセントの少量で概して存在する。
【0029】
ポリマージオールの前記連鎖延長剤に対する当量割合は、TPU製品について望まれる硬度に依存して相当様々であり得る。一般的に言うと、前記当量割合は、約1:1から約1:20、又は約1:2から約1:10のそれぞれの範囲内に入る。同時に、イソシアネート当量の活性水素含有材料の当量に対する総合的比率は、0.90:1から1.10:1、又は0.95:1から1.05:1の範囲内である。
【0030】
添加剤を使用して、本開示の実施の際に使用されるポリウレタンの特性を改質することができる。添加剤は、当分野及び文献において既知の従来の量で含めることができる。通常、添加剤、例えば様々な酸化防止剤、紫外線抑制剤、ワックス、増粘剤及びフィラーを使用して、ポリウレタンに特定の望ましい特性をもたらす。フィラーが使用されるとき、それらは有機物であることもあり、無機物であることもあるが、一般には無機物、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカなどである。また、繊維添加剤、例えばガラス又は炭素繊維を使用して一定の特性を付与することができる。
【0031】
1つの実施形態において、前記TPUは、0.90g/ccより大きいもしくは0.90g/ccに等しい、又は0.95g/ccより大きいもしくは0.95g/ccに等しい、又は1.00g/ccより大きいもしくは1.00g/ccに等しい密度を有する。もう1つの実施形態において、前記TPUは、1.30g/cc未満のもしくは1.30g/ccに等しい、又は1.25g/cc未満のもしくは1.25g/ccに等しい、及び又は1.20g/cc未満のもしくは1.20g/ccに等しい密度を有する。もう1つの実施形態において、前記TPUは、0.90g/ccから1.30g/cc、又は0.95g/ccから1.25g/cc、又は1.00g/ccから1.20g/ccの密度を有する。
【0032】
1つの実施形態において、前記TPUは、(ASTM D−1238−04、190℃、8.7kgによって測定して)0.1g/10分より大きいもしくは0.1g/10分に等しい、又は0.5g/10分より大きいもしくは0.5g/10分に等しい、又は1g/10分より大きいもしくは1g/10分に等しいメルトインデックスを有する。もう1つの実施形態において、前記TPUは、100g/10分未満のもしくは100g/10分に等しい、又は50g/10分未満のもしくは50g/10分に等しい、又は20g/10分未満のもしくは20g/10分に等しいメルトインデックス(ASTM D−1238−04、190℃、8.7kg)を有する。もう1つの実施形態において、前記TPUは、0.1g/10分から100g/10分、又は0.5g/10分ぁら50g/10分、又は1g/10分から20g/10分のメルトインデックスを有する。
【0033】
適するTPUの非限定的な例としては、Lubrizol Advanced Materialsから入手できる、PELLETHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOFLEX(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPLAST(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPHILIC(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、ESTANE(商標)熱可塑性ポリウレタンエラストマー、及びISOPLAST(商標)熱可塑性ポリウレタン;Noveonから入手できるCARBOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン;BASFから入手できるELASTOLLAN(商標)熱可塑性ポリウレタン及び他の熱可塑性ポリウレタン;ならびにBayer、Huntsman、及びMerquinsaから入手できる市販熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
【0034】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、約60Aから50D未満のショアー硬度値を有するTPUである。ショアー硬度は、ASTM D2240に従って測定される。
【0035】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)を含む。「熱可塑性ポリエステルエラストマー」は、本明細書において用いる場合、ポリエステルハードセグメントとポリオキシアルキレングリコールソフトセグメントとを含む熱可塑性エラストマーである。適するハードセグメントの非限定的な例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリブチレンナフタレート(PBN)が挙げられる。適するソフトセグメントの非限定的な例としては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリカプロラクトン(PCL)、及びポリブチレンジアジペート(PBA)が挙げられる。TPEEは、25Dから50D未満の範囲のショアー硬度値を有する。市販のTPEEの非限定的な例としては、DSMからのARNITEL(商標)、及びDu PontからのHYTREL(商標)が挙げられる。
【0036】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、ポリアミドエラストマーを含む。「ポリアミドエラストマー」は、本明細書において用いる場合、ポリアミドハードセグメントとポリエーテル及び/又はポリエステルであるソフトセグメントとを含む熱可塑性エラストマーである。前記ポリアミドエステルは、80Aから50D未満のショアー硬度値を有する。適するポリアミドエラストマーの非限定的な例としては、ArkemaからのPEBAX(商標)が挙げられる。
【0037】
前記組成物は、1つの、又は1つより多くの、熱可塑性エラストマーを含有し得る。ある実施形態において、前記組成物は、第一の熱可塑性エラストマー及び第二の熱可塑性エラストマーを含み、該第二の熱可塑性エラストマーは、該第一の熱可塑性エラストマーとは異なる。
【0038】
ある実施形態において、本組成物は、前記熱可塑性エラストマーを約48重量%又は約50重量%又は約55重量%の低位量で含み、及び約75重量%又は約70重量%又は約65重量%又は約60重量%の高位量の該熱可塑性エラストマーを含む。重量パーセントは、その組成物の総重量に基づく。
【0039】
本組成物は、難燃剤を含む。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルから成る。ある実施形態において、前記難燃剤は、膨張性難燃剤である。「膨張性難燃剤」は、火に曝されている間にポリマー材料の表面で発泡炭を形成させる難燃剤である。
【0040】
前記難燃剤は、金属水和物を含む。特定の理論によって拘束されないが、金属水酸化物は、本組成物の燃焼中に発泡を生じさせるような水発生(又は水蒸気発生)剤である。適する金属水和物の非限定的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ一水和物、ハイドロマグネサイト、ホウ酸亜鉛水和物、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0041】
前記難燃剤は、1つの、又は1つより多くの、金属水和物を含有し得る。ある実施形態において、前記難燃剤は、第一の金属水和物及び第二の金属水和物を含み、該第二の金属水和物は、該第一の金属水和物とは異なる。
【0042】
ある実施形態において、前記金属水和物は、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムである。
【0043】
前記金属水和物は、約30重量%又は約35重量%又は約37重量%の低位量で、及び約60重量%又は約50重量%又は約45重量%の高位量で前記組成物中に存在する。重量パーセントは、その組成物の総重量に基づく。
【0044】
前記難燃剤は、オリゴマーリン酸エステル(OPE)も含む。「オリゴマーリン酸エステル」は、本明細書において用いる場合、構造(II)の化合物であり:
【0045】
【化2】

【0046】
この式中、Rは、独立して、二価C−C200線状、分岐もしくは環状アルキレンもしくはアルキリデンラジカル、又は1つもしくはそれ以上の芳香族核を有する二価C−C30アリーレンラジカル、又はそれらのいずれかの置換誘導体であり;Zは、独立して、(i)一価C−C20線状、分岐もしくは環状アルキレンもしくはアルキリデンラジカル、(ii)1つもしくはそれ以上の芳香族核を有する一価C−C30アリーレンラジカル、又はそれらのいずれかの置換誘導体、又は(iii)水素ラジカルから成る群より選択され;各mは、独立してゼロ又は1、好ましくは1であり;及びnは、約1から約10(両端の値を含む)、又はその任意のサブセット、又は約1から7、又は約1から3である。用語、n、は、芳香族リン酸エステルオリゴマーについての繰り返し単位の平均数を表し、この場合の芳香族リン酸エステルオリゴマー組成物は、オリゴマー化プロセスからの典型的な結果としてリン酸化合物の統計分布を有する。結果として、nは、特定の芳香族リン酸エステルオリゴマー組成物については整数である必要はない。
【0047】
R及びZにおける代表的な一又は二価アリーレンラジカルは、フェニレン、ビフェニレン、2,2−ジフェニルプロパン、ナフタレニレン、アントラセニレン、及びこれらの置換誘導体、ならびにこれらに類するものに基づく、及びそれらを含む。R又はZを誘導することができるアリーレンラジカルの非限定的な例としては、レゾルシノール、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(「ビスフェノール−AP」又は「Bis−AP」)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(fluorine)(「BHPF」)又はビスフェノールAの残部である。ある実施形態において、Rは、二価C−C20線状、分岐もしくは環状アルキレンもしくはアルキリデンラジカル、又は1つもしくはそれ以上の芳香族核を有する二価C−C30アリーレンラジカル、又はこれらのいずれかの置換誘導体から選択され;Zは、一価Cアリーレンラジカルであり、各mは、1であり、及びnは、約1から約3である。
【0048】
適するオリゴマーリン酸エステルの非限定的な例としては、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート、ビス−フェノールAテトラフェニルジホスフェート、レゾルシノールジホスフェート、レゾルシノールジフェニルホスフェート(RDP)、ビスフェノールAポリホスフェート(BAPP)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(BPADP)、ビスフェノールAジホスフェート(BADP)、(2,6−ジメチルフェニル)1,3−フェニレンビスホスフェート、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0049】
前記難燃剤は、1つの、又は1つより多くの、オリゴマーリン酸エステルを含有し得る。ある実施形態において、前記難燃剤は、1つより多くのOPE、例えば第一のOPE及び第二のOPEを含み、該第二のOPEは、該第一のOPEとは異なる。
【0050】
前記OPEは、約5重量%又は約10重量%又は約15重量%の低位量で、及び約35重量%又は約30重量%又は約25重量%の高位量で、前記組成物中に存在する。重量パーセントは、本組成物の総重量に基づく。
【0051】
ある実施形態において、前記難燃剤にはハロゲンが無く、又は、別の言い方をすると、前記難燃剤はハロゲン不含である。
【0052】
ある実施形態において、前記難燃剤には窒素が無く、又は、別の言い方をすると、前記難燃剤は窒素不含である。
【0053】
ある実施形態において、前記OPEにはハロゲンが無く、又は、別の言い方をすると、前記OPEはハロゲン不含である。
【0054】
ある実施形態において、前記OPEには窒素が無く、又は、別の言い方をすると、前記OPEは窒素不含である。
【0055】
前記難燃剤は、1.45:1より大きい、又は1.45より上〜12.0:1、又は1.5〜9.0:1、又は1.7〜6:1、又は2.0〜4.0:1の、金属水和物対有機ホスフェートの重量比を有する。難燃剤成分及び難燃剤全負荷量についての重量比の非限定的な例を下の表1に提供する。
【0056】
【表1】

【0057】
本出願人は、驚くべきことに、(1)前記難燃剤負荷量及び(2)1.45:1よりMH:OPE重量比を有する組成物が、ワイヤー及びケーブル用途についての厳しいVW−1試験に合格する難燃性熱可塑性エラストマー組成物を意外にも生じさせることを発見した。加えて、この組成物は、有利なことに、UL−94に基づきV−1又はそれ以上の等級を有する。
【0058】
ある実施形態において、前記組成物は、約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマー、及び約48重量%から約75重量%の難燃剤を含有する。加えて、前記難燃剤は、約30重量%から約60重量%の金属水和物(MH)及び約5重量%から約35重量%のオリゴマーリン酸エステル(OPE)を含む。MH:OPEの重量比は、1.45:1より大きい。
【0059】
ある実施形態において、前記難燃剤は、金属水和物(1つ又はそれ以上)及びオリゴマーリン酸エステル(1つ又はそれ以上)からもっぱら成る。言い換えると、前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルのみから成る。
【0060】
ある実施形態では、前記組成物をプラークにする。前記プラークは、約2.5MPaから約10MPaの引張強度を有する。引張強度は、ASTM D638に従って測定される。
【0061】
ある実施形態では、前記組成物をプラークにする。前記プラークは、ASTM D638に従って測定して、約200%から約700%、又は約300%から650%の引張破断伸度を有する。本出願人は、驚くべきことに、50D未満のショアー硬度を有する熱可塑性エラストマーの供給が、優れた可撓性、すなわち約200%から約700%の引張破断伸度を有する組成物を意外にも生じさせることを発見した。さらなる実施形態において、前記組成物は、50D未満のショアー硬度を有する。
【0062】
本出願は、別の組成物を提供する。ある実施形態において、熱可塑性エラストマーと極性オレフィン系ポリマーと難燃剤とを含む組成物を提供する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。前記熱可塑性エラストマー及び前記難燃剤は、本明細書に開示するような任意のそれぞれの熱可塑性エラストマー及び難燃剤であり得る。
【0063】
ある実施形態において、前記金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比は、1.45:1より大きい。
【0064】
本明細書において用いる場合、「オレフィン系ポリマー」は、ポリマーの全重量に基づき大部分である重量パーセントのオレフィン、例えばエチレン又はプロピレンを重合形態で含有するポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーが挙げられる。「極性オレフィン系ポリマー」は、1つ又はそれ以上の極性基(時として極性官能基と呼ばれる)を含有するオレフィン系ポリマーである。「極性基」は、本明細書において用いる場合、そうでなければ本質的に非極性オレフィン分子に結合双極子モーメントを付与する任意の基である。例示的極性基としては、カルボニル、カルボン酸基、無水カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、スルホニル基、ニトリル基、アミド基、シラン基などが挙げられ、これらの基をグラフト又は共重合によりオレフィン系ポリマーに導入することができる。
【0065】
極性オレフィンポリマーの非限定的な例としては、エチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン/メタクリル酸(EMA)、エチレン/アクリレート又はメタクリレート、エチレン/ビニルアセテート(EVA)、ポリ(エチレン−co ビニルトリメトキシシラン)コポリマー、無水マレイン酸グラフト又はシラングラフトオレフィンポリマー、ポリ(テトラフルオロエチレン−alt−エチレン)(ETFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロ−プロピレン)(FEP)、ポリ(エチレン−co−テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロピレン(EFEP)、ポリ(ビニリデンフルオライド)(PVDF)、ポリ(ビニルフルオライド)(PVF)などが挙げられる。極性オレフィン系ポリマーの市販の実施形態としては、DuPont ELVAX(商標)エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、The Dow Chemical CompanyからのAMPLIFY(商標)エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、The Dow Chemical CompanyからのPRIMACOR(商標)エチレン/アクリル酸コポリマー、及びThe Dow Chemical CompanyからのからのSI−LINK(商標)ポリ(エチレン−co−ビニルトリメトキシシラン)コポリマーが挙げられる。
【0066】
ある実施形態において、前記極性オレフィン系ポリマーは、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)である。前記EVAは、EVAの総重量に基づき約3重量%から約45重量%のビニルアセテート含量を有する。前記EVAは、前記熱可塑性エラストマーと連続相(もしくはマトリックス)又は共連続相を形成し得る。前記難燃剤は、前記連続相及び/又は共連続相全体にわたって分散される。
【0067】
ある実施形態において、前記EVAは、約1重量%又は約5重量%又は約10重量%の低位量で、及び約30重量%又は約25重量%又は約20重量%の高位量で前記組成物中に存在する。さらなる実施形態において、前記組成物は、10重量%から15重量%のEVAを含有する。重量パーセントは、その組成物の総重量に基づく。
【0068】
ある実施形態において、前記組成物は、約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマー、約1重量%から約30重量%のEVA、及び約48重量%から約75重量%の難燃剤を含有する。加えて、前記難燃剤は、約30重量%から約60重量%の金属水和物、及び約5重量%から約35重量%のオリゴマーリン酸エステルを含む。金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する比率は、本明細書において前に開示したような任意の比率、又は任意の比率範囲であり得る。前記難燃剤量及び前記MH:OPE重量比により、UL−94に従って判定してV−1又はそれ以上の等級を有する組成物を得ることができる。
【0069】
ある実施形態では、前記組成物をプラークにする。前記プラークは、約2.5MPaから約10MPaの引張強度を有する。引張強度は、ASTM D638に従って測定される。
【0070】
ある実施形態では、前記組成物をプラークにする。前記プラークは、ASTM D638に従って測定して、約200%から約700%、又は約300%から約650%の引張破断伸度を有する。
【0071】
ある実施形態において、前記極性オレフィン系ポリマーを有する組成物は、50D未満のショアー硬度を有する。
【0072】
上述のいずれの組成物も、以下の添加剤の1つ又はそれ以上を含み得る:アンチドリップ剤、ヒンダードアミン系光安定剤(少なくとも1つの第二又は第三アミン基を有する)(「HALS」)、UV線吸収剤(例えば、o−ヒドロキシフェニルトリアジン)、酸化防止剤、硬化剤、起泡増進剤及び遅延剤、加工助剤、フィラー、カップリング剤、静電防止剤、成核剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度調節剤、粘着性付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸掃去剤、金属不活性化剤、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0073】
ある実施形態において、前記組成物は、ドリップフリーである。本明細書において用いる場合、「ドリップフリー組成物」は、熱又は炎に曝露されたとき、その組成物の下にある綿を発火させる溶融粒子の垂直落下を生じさせない組成物である。
【0074】
ある実施形態において、本組成物は、アンチドリップ剤を含む。前記アンチドリップ剤は、炎に曝露されたとき、前記組成物が滴下するのを防ぐ。前記アンチドリップ剤は、当分野において公知のいずれのアンチドリップ剤であってもよい。適するアンチドリップ剤の非限定的な例としては、フッ素樹脂、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリビニリデンフルオライド又はテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー及びエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー、テフロン(登録商標)グラフトスチレン−アクリロニトリルコポリマー(T−SAN)、フッ素化ポリオレフィン;1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート又は1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホネート(1,1,2,3,3,3−hexafluoropropanedulfonate)のリチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム塩が挙げられる。適するアンチドリップ剤のさらなる非限定的な例としては、シリコーン樹脂、シリコーン油、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、次リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸(hexanetaphosphoric acid)、チオリン酸、フルオロリン酸、ジフルオロリン酸、フルオロ亜リン酸、ジフルオロ亜リン酸、フルオロ次亜リン酸及びフルオロ次リン酸が挙げられる。前記アンチドリップ剤は、上述のアンチドリップ剤のいずれかの1つ又はそれ以上であり得る。ある実施形態において、前記アンチドリップ剤は、ハロゲン不含である。
【0075】
ある実施形態において、本組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含む。適するHALSの非限定的な例としては、TINUVIN(登録商標)770(ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート)、TINUVIN(登録商標)144(ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−n−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート)、及びSANDUVOR(登録商標)PR−31(プロパン二酸,[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル)が挙げられる。
【0076】
ある実施形態において、本組成物は、酸化防止剤を含む。適する酸化防止剤の非限定的な例としては、ヒンダードフェノール、例えばテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン;ビス[(ベータ−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート;ホスファイト及びホスホナイト、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト;チオ化合物、例えばジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネート;様々なシロキサン;重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、及び他のヒンダードアミン系劣化防止剤又は安定剤が挙げられる。酸化防止剤は、前記組成物の重量に基づき、0.1から5重量%の量で使用することができる。
【0077】
ある実施形態において、本組成物は、加工助剤を含む。適する加工助剤の非限定的な例としては、カルボン酸の金属塩、例えばステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム;脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸又はエルカ酸;脂肪アミン、例えばステアラミド、オレアミド、エルカミド又はN,N’−エチレンビス−ステアラミド;ポリエチレンワックス;酸化ポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;植物ろう;石油ろう;非イオン性界面活性剤;及びポリシロキサンが挙げられる。加工助剤は、前記組成物の重量に基づき、0.05から5重量%の量で使用することができる。
【0078】
ある実施形態において、前記組成物にはハロゲンが無く、又は、別の言い方をすると、前記組成物はハロゲン不含である。
【0079】
本組成物(単数又は複数)は、本明細書に開示する2つ又はそれ以上の実施形態を含み得る。
【0080】
本開示は、物品を提供する。ある実施形態において、本組成物を含む構成要素を含む物品を提供する。詳細には、前記物品は、熱可塑性エラストマーと、難燃剤と、場合により極性オレフィン系ポリマーとを含む組成物から成る構成要素を含む。前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含み、1.45:1より大きいMH:OPE重量比を有する。前記組成物中のそれぞれの個々の成分の重量パーセントは、本明細書において前に開示したような任意の値又は範囲であり得る。
【0081】
ある実施形態において、前記物品は、金属導体及び該金属導体上の被覆物を含む。これは、被覆金属導体である。「金属導体」は、本明細書において用いる場合、少なくとも1つの金属ワイヤー及び/又は少なくとも1つの金属ケーブルである。前記被覆金属導体は、可撓性である場合もあり、半硬質である場合もあり、又は硬質である場合もある。
【0082】
被覆物(「ジャケット」又は「シース」とも呼ばれる)が前記金属導体上にある。前記被覆物は、前記組成物を含む。前記組成物は、本明細書に開示するような任意の組成物であり得る。本明細書において用いる場合、「上に」は、前記被覆物と前記金属導体との直接接触又は間接接触を含む。「直接接触」は、前記被覆物が前記金属導体に直に接触している配置であり、前記被覆物と前記金属導体の間に介在層(単数もしくは複数)が無い、及び/又は介在材料(単数もしくは複数)が無い。「間接接触」は、介在層(単数もしくは複数)及び/又は介在構造(単数もしくは複数)及び/又はが介在材料(単数もしくは複数)が前記金属導体と前記被覆物の間にある配置である。前記被覆物は、前記金属導体を完全に又は部分的に被覆又は別様に包囲もしくは包み得る。前記被覆物は、前記金属導体を包囲する唯一の構成要素であり得る。あるいは、前記被覆物は、前記金属導体を包む多層ジャケット又はシースの一層であり得る。
【0083】
ある実施形態において、前記物品は、被覆金属導体である。本出願人は、驚くべきことに、本組成物から成るワイヤージャケット又は被覆物が、可撓性ワイヤー用途のための強い難燃性及び(高い引張破断伸度範囲によって証明されるように)優れた可撓性を示すことを発見した。適する被覆金属導体の非限定的な例としては、フレキシブル配線、例えば、大量消費電子製品用のフレキシブル配線、電源ケーブル、携帯電話及び/又はコンピュータ用の電源充電器線、コンピュータ・データ・コード、電源コード、機器用配線材、ならびに大量消費電子製品付属コードが挙げられる。
【0084】
ある実施形態において、前記被覆金属導体は、UL−1581の方法1080に従って判定してVW−1等級を有する。
【0085】
前記物品は、本明細書に開示する2つ又はそれ以上の実施形態を含むことがある。
【0086】
配合
【0087】
本組成物を、個々の成分を配合することにより、調製することができる。適する配合装置の非限定的な例としては、密閉式回分ミキサー、例えば、Haake Rheometerミキサー、Banbury(商標)又はBolling(商標)密閉式ミキサーが挙げられる。あるいは、連続一軸又は二軸スクリューミキサー、例えばFarrel(商標)連続ミキサー、Werner and Pfleiderer(商標)二軸スクリューミキサー、又はBuss(商標)混練連続押出機を使用することができる。利用するミキサーのタイプ、及びそのミキサーの動作条件は、前記組成物の特性、例えば粘度、体積抵抗率、及び押出面平滑度に影響を及ぼすであろう。
【0088】
スクリューミキサーを使用するとき、メインホッパー、サイドフィーダー又はこれらの組み合わせによって、個々の成分をそのスクリューミキサーに導入することができる。
【0089】
ある実施形態では、金属水和物を2つの部分に分け、第一の部分を熱可塑性エラストマーと(及び場合により極性オレフィン系ポリマーと)混合し、メインホッパーからスクリューミキサーに導入する。第二の部分は、サイドフィーダーからそのスクリューミキサーに導入する。
【0090】
ある実施形態では、金属水和物の一部分を極性オレフィン系ポリマーと共にメインホッパーからスクリューミキサーに導入する。その金属水和物の別の部分を熱可塑性エラストマーと混合し、サイドフィーダーによってそのスクリューミキサーに導入する。
【0091】
ある実施形態では、金属水和物を極性オレフィン系ポリマーと混合してマスターバッチを作る。その後、その作ったマスターバッチと熱可塑性エラストマー及び有機ホスフェートを混合する。
【0092】
本明細書に開示する組成物を含む絶縁層及び/又はジャケットを有する被覆ワイヤー又は被覆ケーブルなどの物品を、様々なタイプ、例えば一軸又は二軸スクリュータイプの押出機を用いて作製することができる。従来の押出機の説明は、米国特許第4,857,600号において見つけることができる。共押出機及び押出機の例は、米国特許第5,575,965号において見つけることができる。典型的な押出機は、その上流端部にホッパー及びその下流端部にダイを有する。ホッパーによって、スクリューを有するバレルに供給される。そのスクリューの端部とダイの間の下流端部に、スクリーンパック及びブレーカープレートがある。前記押出機のスクリュー部分は、3部、すなわち供給部と圧縮部と計量部、及び2ゾーン、すなわち背面加熱ゾーンと前面加熱ゾーンに分けられており、これらの部及びゾーンが上流から下流へと続いていると考えられる。代替実施形態では、多数の(2つより多くの)加熱ゾーンが軸に沿って上流から下流へと続いている場合がある。1つより多くのバレルを有する場合、それらのバレルは直列に接続されている。各バレルの長さ対直径比は、約15:1から約30:1の範囲である。押出後にポリマー絶縁材が架橋される電信被覆の場合、そのケーブルは、押出ダイの下流の熱加硫ゾーンに直接進むことが多い。この熱硬化ゾーンを、約200℃から約350℃の範囲の、又は約170℃から約250℃の範囲の温度で維持することができる。この熱ゾーンを、加圧水蒸気によって又は誘導加熱加圧窒素ガスによって加熱することができる。
【0093】
本開示のワイヤー及びケーブル構造体(すなわち、被覆金属導体)は、絶縁導体の束の上に本組成物を押出して、該絶縁導体の周囲に被覆物(又はジャケット)を形成することにより作ることができる。前記ジャケットの厚みは、所望の最終使用用途の要件に依存する。前記ジャケットの典型的な厚みは、約0.010インチから約0.200インチ、又は約0.020インチから約0.050インチである。本組成物を、前に作った組成物から前記ジャケットに押出すことができる。通常、本組成物は、押出機への容易な供給のためにペレットの形態である。本組成物をペレット化する別工程を通らずに、前記ワイヤー及びケーブルジャケットを配合押出機から直接押出すことができる。この一工程配合/押出プロセスは、前記組成物についての1つの熱履歴工程を無くす。
【0094】
前記組成物及び前記物品の非限定的な実施形態を下に提供する。
【0095】
本開示は、組成物を提供する。ある実施形態において、約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマーと約48重量%から約75重量%の難燃剤とを含む組成物を提供する。前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比は、1.45:1より大きい。
【0096】
ある実施形態において、前記組成物の熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0097】
ある実施形態において、前記難燃剤のオリゴマーリン酸エステルは、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAポリホスフェート及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0098】
ある実施形態において、前記組成物は、約30重量%から約60重量%の金属水和物及び約5重量%から約35重量%のオリゴマーリン酸エステルを含む。
【0099】
ある実施形態において、金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する比率は、1.5〜12.0:1である。
【0100】
ある実施形態において、前記組成物は、第二の熱可塑性エラストマーを含む。
【0101】
ある実施形態において、前記組成物は、酸化防止剤、加工助剤及びこれらの組み合わせから成る群より選択される成分を含む。
【0102】
ある実施形態において、前記組成物は、50D未満のショアー硬度を有する。
【0103】
ある実施形態において、前記組成物は、UL−94燃焼試験に従って判定して、V−1又はそれ以上の等級を有する。
【0104】
ある実施形態において、前記組成物は、ASTM D638に従って測定して、約2.5MPaから約10MPaの引張強度を有するプラークである。
【0105】
ある実施形態において、前記組成物は、ASTM D638に従って測定して、約200%から約700%の引張破断伸度を有する。
【0106】
本開示は、別の組成物を提供する。ある実施形態において、組成物を提供し、該組成物は、熱可塑性エラストマー、極性オレフィン系ポリマー及び難燃剤を含む。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。
【0107】
ある実施形態において、金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比は、1.45:1より大きい。
【0108】
ある実施形態において、前記組成物は、約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマー、約1重量%から約30重量%のエチレンビニルアセテートコポリマー、約48重量%から約75重量%の難燃剤、約30重量%約45重量%の金属水和物、及び約5重量%から約35重量%のオリゴマーリン酸エステルを含む。
【0109】
ある実施形態において、前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。
【0110】
ある実施形態において、前記組成物は、酸化防止剤、加工助剤及びこれらの組み合わせから成る群より選択される成分を含む。
【0111】
ある実施形態において、前記組成物は、UL−94燃焼試験に従って判定して、V−1又はそれ以上の等級を有する。
【0112】
本開示は、物品を提供する。ある実施形態において、物品を提供し、該物品は、熱可塑性エラストマーと難燃剤とを含む組成物から成る少なくとも1つの構成要素を含む。前記熱可塑性エラストマーは、50D未満のショアー硬度を有する。前記難燃剤は、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む。金属水和物の有機ホスフェートに対する重量比は、1.45:1より大きい。
【0113】
ある実施形態において、前記物品中の組成物は、極性オレフィン系ポリマーを含む。
【0114】
ある実施形態において、前記物品中に存在するオリゴマーリン酸エステルは、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAポリホスフェート及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0115】
ある実施形態において、前記物品は、金属導体及び該金属導体上の被覆物を含む。前記被覆物は、前記組成物を含む。
【0116】
ある実施形態において、前記被覆物は、50D未満のショアー硬度を有する。
【0117】
ある実施形態において、前記被覆物は、ASTM D638に従って測定して、約200%から約700%の引張破断強度を有する。
【0118】
ある実施形態において、前記被覆金属導体は、可撓性ワイヤー、電源ケーブル、機器用配線材、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0119】
ある実施形態において、前記被覆金属導体は、UL−1581の方法1080に従って判定してVW−1等級を有する。
【0120】
試験法
【0121】
引張破断伸度は、ASTM D638に従って測定する。クロスヘッド速度を50mm/分に設定することにより引張伸度を測定し、方法としてはASTM D638に従って、伸度計を使用して25mm初期ゲージ長で破断するまで歪を測定することにより%伸度を測定し、荷重及び試験片断面積を用いる標準計算により引張特性を計算する。
【0122】
引張破断強度は、ASTM D638に従って測定する。
【0123】
2%正割弾性率は、ASTM D638に従って測定する。正割弾性率については、58mm(2.25”)初期ジョー離隔距離を用い、50mm/分(2.0ipm)試験速度を用いて、約100%/分の試験片歪速度を得る。方法としてはASTM D638に従って1%歪(0.01分=0.6秒たわみ)でのクロスヘッド変位法を用いて1%正割弾性率データを決定する。
【0124】
UL−94は、Underwriters’ Laboratory(UL)Bulletin 94 「Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances」である。試験した材料は、下記の場合にはUL−94 V−0に分類される:
5つの試験片のうち、バーナーの炎をはずしたときにいつでも10秒にわたって燃えるものがない。
10回の発火試験の合計燃焼時間が50秒を超えない。
炎ででもアフターグローででもクランプまで燃える試験片がない。
いずれの試験片からも下の綿を発火させる燃焼滴下物の落下がない。
いずれの試験片のアフターグロー燃焼も30秒を超えない。
試験した材料は、下記の場合にはUL 94 V−1に分類される:
5つの試験片のうち、バーナーの炎をはずしたときにいつでも30秒にわたって燃えるものがない。
10回の発火試験の合計燃焼時間が250秒を超えない。
炎ででもアフターグローででもクランプまで燃える試験片がない。
いずれの試験片からも下の綿を発火させる燃焼滴下物の落下がない。
いずれの試験片のアフターグロー燃焼も60秒を超えない。
試験した材料は、下記の場合にはUL 94 V−2に分類される:
5つの試験片のうち、バーナーの炎をはずしたときにいつでも30秒にわたって燃えるものがない。
10回の発火試験の合計燃焼時間が250秒を超えない。
炎ででもアフターグローででもクランプまで燃える試験片がない。
一瞬しか燃えない、及びそれらのうちの幾つかが下の綿を発火させる、そのような燃焼片のみが、試験片から落下し得る。
いずれの試験片のアフターグロー燃焼も60秒を超えない。
【0125】
VW−1は、ワイヤー及びスリービングについてのUnderwriters’ Laboratory(UL)難燃性等級である。これは、UL 1441規格のもとで得ることができるワイヤー及びスリーブの最高難燃性等級である「垂直燃焼試験、クラス1(Vertical Wire,Class 1)」を示す。この試験は、垂直位置にワイヤー又はスリーブを配置することによって行われる。その下に炎をある期間にわたって置き、その後、はずす。その後、スリーブの特徴を書き留める。VW−1燃焼試験は、UL−1581の方法1080に従って判定される。
【0126】
例として、限定としてではなく、本開示の実施例を提供する。
【0127】
実施例
【0128】
材料
【表2】

【0129】
加工
【0130】
表2に示した組成物を使用して、実験室用Haakeミキサーを使用して表3の組成物を調製する。モデル番号は、HAAKE Rheomix 600OSであり、Polylab Drive RheoDrive7として駆動システムを有する。これはThermo Scientificによって製造されている。混合温度を185℃に設定する。
【0131】
10RPMのローター速度でローラーローターを用いて、成分A及び/又は成分Bを混合ボールに加え、2分間混合して均質溶融状態にする。次に、成分C及び成分Dをそのボールに2分以内に加え、その後、55rpmで5分混合する。混合後、その複合材を混合ボールから取り出し、室温に冷却する。
【0132】
185℃での圧縮成形により、圧縮成形プラークを作製する。予熱時間は約3分であり、その後、15Mpa下で2分プレスする。そのプラークを室温に冷却し、ASTM D−638 タイプIV引張試験に合う試験片に切断する。
【0133】
模擬VW−1試験のためのワイヤーを圧縮成形によって作製する。図1は、成形機の概略構造を示すものである。0.5mmの直径を有する単一の銅導体を各ノッチの中央に置く。ホットプレッサー温度を185℃に設定する。予熱時間は約3分であり、その後、13MPa下で2分プレスする。そのプラークを室温に冷却し、ストリップワイヤー(203mm×2.5mm×2mm)に切断し、23±2℃及び50±2パーセントの相対湿度で少なくとも24時間アニールした後、難燃性試験を行う。
【0134】
試験
【0135】
引張試験は、ASTM D638に従ってInstron(商標)引張試験機(Instronからのモデル5565)で行う。
【0136】
ショアー硬度試験は、ASTM D2240に従って行う。
【0137】
模擬VW−1 FR試験は、標準UL94チャンバにおいて、105mL/分のメタンガス流量、10mm未満の水の背圧を用いて行う。バーナーの先端が黄色い青色炎は、20±1mmの高さである。バーナー角度は、燃焼中にバーナーチューブへの滴下を避けるために、45°である。試験スケッチを図2に示す。ワイヤーストリップをクランプで吊り下げ、低端に50gの加重をかけることにより縦軸を垂直にする。1つのペーパーフラッグ(2cm×0.5cm)をそのワイヤーの頂部につける。炎底部(バーナーオラクル(burner oracle)の最高点)からフラッグの底部までの距離は18cmである。炎を45秒間、継続的に接触させる。残炎時間(AFT)、未炭化ワイヤー長(UCL)及び未炭化フラッグ面積百分率(Flag未炭化)を、燃焼中及び後に記録する。各配合物につき4つ又は5つの試験片を試験する。
【0138】
表3に示すように(表3中の成分割合は、全組成物に対する重量%である)、48%より高いATH+RDP、及び1.45:1(重量)より大きいATH/RDPを有する、実施例1から実施例9のすべての配合物が、実施例1、1−1、2もしくは7におけるTPU/EVAブレンドであろうと、実施例3、4、5、6、8、9におけるポリマー材料としてのTPUであろうと、模擬VW−1試験を容易に合格する。酸化防止剤及び加工安定剤の添加は、FR性能を低下させない。9つすべての実施例において、残炎時間(AFT)は短く、ストリップワイヤー上の未炭化長(UCL)は、炎が試験片の頂部のフラッグに触れる機会が殆ど無いほど長い。炎のもとで試験片の大きな膨大が観察され、これは実施例1〜9についての非常に効果的な膨張を示す。
【0139】
比較例2に示すように、オリゴマーリン酸エステルが無いと、試験片全体が頂部のフラッグと共に焼損する。燃焼後の残留ワイヤーは、まさしく金属酸化物であり、視覚的なサイズは発火前と同じであり、これは膨張がないことを示す。比較例1の場合のように、金属水和物/オリゴマーリン酸エステル比が約1.45:1以下であるとき、難燃性は、模擬VW−1試験を合格するには不十分である。
【0140】
【表3A】

【0141】
【表3B】

【0142】
本開示は、本明細書に含まれている実施形態及び例示に限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内に入るような、実施形態の部分を含む及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、それらの実施形態の修飾形態を含むことが明確に意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマーであって、ASTM D2240に従って測定して50D未満のショアー硬度を有する熱可塑性エラストマーと、
約48重量%から約75重量%の難燃剤であって、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含み、金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比が1.45:1より大きい難燃剤と
を含む組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オリゴマーリン酸エステルが、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAポリホスフェート及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーと、
極性オレフィン系ポリマーと、
金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを含む難燃剤と
を含む組成物。
【請求項5】
金属水和物のオリゴマーリン酸エステルに対する重量比が、1.45:1より大きい、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
約12重量%から約50重量%の熱可塑性エラストマーと、
約1重量%から約30重量%のエチレンビニルアセテートコポリマーと、
約48重量%から約75重量%の難燃剤と、
約30重量%から約45重量%の金属水和物と、
約5重量%から約35重量%のオリゴマーリン酸エステルと
を含む、請求項4から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
50D未満のショアー硬度を有する熱可塑性エラストマーと、金属水和物及びオリゴマーリン酸エステルを有する難燃剤とを含む組成物から成る少なくとも1つの構成要素を含む物品であって、
該金属水和物の該有機ホスフェートに対する重量比が約1.45:1より大きい、物品。
【請求項8】
前記組成物が極性オレフィン系ポリマーを含む、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
金属導体と該金属導体上の被覆物とを含み、該被覆物が前記組成物を含む、請求項7から8のいずれかに記載の物品。
【請求項10】
前記被覆金属導体が、UL−1581の方法1080に従って判定してVW−1等級を有する、請求項9に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−501081(P2013−501081A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521924(P2012−521924)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/CN2009/073020
【国際公開番号】WO2011/011921
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】