説明

電力モード制御システム、装置及び方法

【課題】各ユーザの利用状況を分析して自動的にグループ化を行い、グループ単位で省電力モードへの移行時間の変更を行えるようにする。
【解決手段】本発明の電力モード制御システムは、自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置に対して、電力モード制御装置が省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御システムにおいて、電力モード制御装置は、各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信手段と、各制御対象装置の未入力時間に応じて、複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類手段と、電力制御手段の省電力モード移行制御設定をグループ単位で行う制御設定手段と、グループ毎の省電力モード移行制御設定に関する情報を各制御対象装置に与え、それぞれの省電力制御手段に設定させる送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力モード制御システム、装置及び方法に関し、例えば、ユーザの使用状況に応じて制御対象装置の省電力化を制御するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、省電力機能を備えたパーソナルコンピュータや周辺機器等が存在する。これらの機器は、一定時間ユーザからの入力がない場合に、通常の動作モードから電源オフとする省電力モードに切り替えることで省電化を行っている。
【0003】
特許文献1には、電力モード制御装置が、ユーザのPC起動回数や省電力モードからの復帰時間を取得し、省電力モードへの移行時間を自動的に最適な値へと設定することにより、ユーザが意識することなく、自動的に省電力モードへの移行時間を適切な長さに設定して、ユーザの利便性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−195161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、個別のユーザ単位で起動回数や省電力モードからの復帰時間に基づいて省電力モードへの移行時間を設定しているが、例えばオフィスにおける省電力化対策を行う場合、管理者は職場単位やフロア単位の省エネルギー(以下、省エネ)状況を把握し、省エネ計画を立案・実施する必要がある。
【0006】
しかし、職場単位やフロア単位のグループ化は人事異動の度に更新が必要であるため、その管理が煩雑であり、またユーザの利用状況に応じて省電力モードへの移行時間をどの程度変更すれば省電力化の目標値を達成できるか、といった省エネ計画の立案・実施を行うことは困難である。
【0007】
そのため、各ユーザの利用状況を分析して自動的にグループ化を行い、管理者が利用状況に応じた省エネ状況を把握することを容易にし、また利用状況に応じたグループ単位で省電力モードへの移行時間の変更を行うことで、省エネ計画の立案・実施を容易にすることができる電力モード制御システム、装置及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の電力モード制御システムは、自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置に対して、電力モード制御装置が省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御システムにおいて、電力モード制御装置は、(1)各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信手段と、(2)各制御対象装置の未入力時間に応じて、複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類手段と、(3)電力制御手段の省電力モード移行制御設定をグループ単位で行う制御設定手段と、(4)制御設定手段により設定されたグループ毎の省電力モード移行制御設定に関する情報を各制御対象装置に与え、それぞれの省電力制御手段に設定させる送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の電力モード制御装置は、自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置の、省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御装置において、(1)各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信手段と、(2)各制御対象装置の未入力時間に応じて、複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類手段と、(3)電力制御手段の省電力モード移行制御設定をグループ単位で行う制御設定手段と、(4)制御設定手段により設定されたグループ毎の省電力モード移行制御設定に関する情報を各制御対象装置に与え、それぞれの省電力制御手段に設定させる送信手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の電力制御方法は、自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置に対して、電力モード制御装置が省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御方法において、電力モード制御装置が、(1)各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信工程と、(2)各制御対象装置の未入力時間に応じて、複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類工程と、(3)電力制御手段の省電力モード移行制御設定をグループ単位で行う制御設定工程と、(4)制御設定手段により設定されたグループ毎の省電力モード移行制御設定に関する情報を各制御対象装置に与え、それぞれの省電力制御手段に設定させる送信工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御対象装置の利用状況を分析して自動的にグループ化を行うことができ、グループ単位で省電力モードへの移行時間を設定・変更することができる。そのため、管理者は、制御対象装置の利用状況に応じた省エネ状況を個別又はグループ単位で把握することができ、省エネ計画の立案や実施を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の電力モード制御システムの構成と、制御対象装置及び電力モード制御装置の内部構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態の離席時間に基づく省エネ制御処理及び離席時間の取得処理のフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の離席時間のグループ化による省エネ制御設定の更新処理のフローチャートである。
【図4】第1の実施形態のユーザグループへの分類方法を説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態の省エネ制御設定テーブルの構成を示す構成図である。
【図6】第1の実施形態の利便性テーブルの構成を示す構成図である。
【図7】第1の実施形態の利便性テーブルを利用した省エネ制御設定テーブルの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(A)実施形態
以下では、本発明の電力モード制御システム、装置及び方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
この実施形態は、例えば企業ネットワークに本発明を適用して、複数の情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ等)の利用状況に応じて自動的にグループ化を行い、グループ単位で電力モードを制御する場合を例示して説明する。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の電力モード制御システム1の全体構成と、このシステム1を構成する制御対象装置100及び電力制御装置120の内部構成とを示す構成図である。
【0016】
電力モード制御システム1は、接続回線を通じて制御対象装置100及び電力モード制御装置120を有して構成される。接続回線は、有線回線、無線回線又はこれらの結合回線のいずれも適用することができる。また通信プロトコルも特に限定されず広く適用でき、例えばIP(インタネットプロトコル)を利用できる。
【0017】
制御対象装置100は、省電力モード機能を有する装置(例えば、パーソナルコンピュータ、コピー機(複合機を含む)、PC周辺機器等)を広く適用することができ、この実施形態では、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を適用する。図1では、1台の制御対象装置100を示すが、複数台の制御対象装置100を制御対象とする。
【0018】
また制御対象装置100は、ユーザによる入力の有無に基づき離席時間(未入力時間ともいう)を計測し、この離席時間を電力モード制御装置120に送信する。また、電力モード制御装置120から省エネ制御設定情報を受信すると、制御対象装置100は、これに従って省エネ制御設定を行い、省電力モードへの移行時間を制御する。つまり、制御対象装置100は、表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115等の電源をオフにする省電力モードへの移行制御を行う。
【0019】
図1に示すように、この制御対象装置100は、入力手段101、入力検出部102、離席判定部103、離席時間計測部104、離席時間データベース(DB)更新部105、離席時間データベース106、離席時間送信部107、省エネ制御設定受信部108、省エネ制御設定更新部109、省エネ制御設定データベース110、省エネ制御部111、表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115を有する。
【0020】
入力手段101は、例えばキーボードやマウスなどのユーザ操作によって、ユーザからの入力を受け付けるものである。
【0021】
入力検出部102は、入力手段101からの入力を検出する処理又は装置である。
【0022】
離席判定部103は、入力手段101から一定時間以上入力が無かった場合を未入力(離席)と判定する処理又は装置である。
【0023】
ここで、未入力とは、制御対象装置100への入力が無い状態をいい、例えば入力が無い時間が閾値を超えた場合に未入力と判断する。この実施形態では、この未入力を「離席」と表記する。
【0024】
離席時間計測部104は、離席判定部103で離席と判定された場合に、入力手段101からの入力が無かった時間を離席時間(未入力時間)として計測する処理又は装置である。
【0025】
離席時間データベース更新部105は、離席時間計測部104で計測した離席時間を、時間帯別に離席時間DB更新部105に格納したり、所定の集計処理を行うものである。
【0026】
時間帯別の離席時間は、管理者等が決定することができるが、例えば、午前(8:00〜12:00)/昼休み(12:00〜13:00)/午後(13:00〜17:00)/夜間(17:00〜22:00)のような時間帯で区別する。
【0027】
また所定の集計処理については、例えば所定単位毎の離席時間を集計する処理を適用でき、例えば1日、1週間、1ヶ月単位の離席時間を集計したり、また所定単位期間の平均離席時間などを算出することができる。
【0028】
離席時間データベース106は、離席時間計測部104で計測した離席時間を、例えば午前(8:00〜12:00)/昼休み(12:00〜13:00)/午後(13:00〜17:00)/夜間(17:00〜22:00)のように時間帯別に保持する。また例えば1日/1週間/1ヶ月単位などで集計した離席時間の単位時間当たりの平均時間などを算出し、これらの算出結果を保持するものである。
【0029】
離席時間送信部107は、離席時間データベース106に保持した離席時間に関する情報を、接続回線を通じて電力モード制御装置120に送信する処理又は装置である。
【0030】
省エネ制御設定受信部108は、電力モード制御装置120から送信された省エネ制御設定情報を、接続回線を通じて受信する処理又は装置である。
【0031】
省エネ制御設定更新部109は、電力モード制御装置120から送信された省エネ制御設定情報を、省エネ制御設定データベース110に格納する処理又は装置である。
【0032】
省エネ制御設定データベース110は、省エネ制御設定部109から送信された省エネ制御設定情報を保持する装置である。これにより、省電力モードの省エネ制御設定を行うことができる。
【0033】
省エネ制御部111は、省エネ制御設定に従って、例えば表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115などの電源をオフにする省電力モードに移行させる省エネ制御を行う処理又は装置である。
【0034】
この省エネ制御設定では、省電力モードへの移行時間が設定されており、離席時間計測部104からの離席時間が移行時間を超えた場合に、省エネ制御部111が省電力モードへの移行を行い、例えば表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115などの電源をオフにする。
【0035】
また、省エネ制御部111は、離席判定後に入力があった旨を離席判定部103から通知されると、省電力モードを解除するものである。
【0036】
省エネ制御部111による省電力化の対象要素は、特に限定されるものではないが、この実施形態では説明便宜のために、例えば表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115として説明する。また、ユーザの利用上の便宜を考慮して、表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115の順に電源をオフにする。
【0037】
表示装置112は、省エネ制御対象装置100の入出力結果を表示する表示装置である。表示装置112は、省エネ制御部111による省電力モードへの移行によって電源がオフにされる。
【0038】
記憶装置113は、省エネ制御対象装置100に内蔵された記憶装置である。記憶装置113は、省エネ制御部111による省電力モードへの移行によって電源がオフにされる。
【0039】
CPU114は、省エネ制御対象装置100に内蔵されたCPUである。CPU114は、省エネ制御部111による省電力モードへの移行によって電源がオフにされる。
【0040】
RAM115は、省エネ制御対象装置100に内蔵されたRAMである。RAM115は、省エネ制御部111による省電力モードへの移行によって電源がオフにされる。
【0041】
電力モード制御装置120は、複数の制御対象装置100の省電力モードの設定を制御するものである。電力モード制御装置120は、複数の制御対象装置100から離席時間に関する情報を受け取り、各制御対象装置100の離席時間を分析してグループ分類を行う。さらに、電力モード制御装置120は、各グループ単位で省エネ制御設定を決定し、その省エネ制御設定情報を各制御対象装置100に送信するものである。
【0042】
この電力モード制御装置120は、離席時間受信部121、離席時間データベース(DB)更新部122、離席時間データベース(DB)123、離席時間分析部124、ユーザグループ更新部125、ユーザグループデータベース(DB)126、省エネ制御設定更新部127、省エネ制御設定データベース(DB)128、省エネ制御設定送信部129を有する。
【0043】
離席時間受信部121は、省エネ制御対象装置100から送信された離席時間に関する情報を、接続回線を通じて受信する処理又は装置である。
【0044】
離席時間データベース更新部122は、省エネ制御対象装置100から送信された離席時間を、離席時間データベース123に格納する処理又は装置である。
【0045】
このとき、例えば、午前(8:00〜12:00)/昼休み(12:00〜13:00)/午後(13:00〜17:00)/夜間(17:00〜22:00)のように時間帯別の離席時間を離席時間データベース123に格納したり、また例えば、1日/1週間/1ヶ月単位などで集計結果や平均時間などを離席時間データベース123に格納する。
【0046】
離席時間データベース123に格納する際、離席時間データベース更新部122は、制御対象装置100毎に格納する。例えば、制御対象装置100の識別情報(例えば、識別番号、アドレス情報等)をキーとすることができる。
【0047】
離席時間データベース123は、省エネ制御対象装置100から送信された離席時間を、例えば時間帯別に保持するとともに、例えば1日単位/1週間単位/1ヶ月単位などの所定単位毎で集計した平均時間などを保持するものである。
【0048】
離席時間分析部124は、離席時間データベース123に保持された離席時間を用いて、ユーザの利用状況を分析し、この利用状況に応じてユーザ(制御対象装置100)をユーザグループに分類する処理又は装置である。このユーザグループの分類方法としては、例えば、K平均法(K-means法)等のクラスタリング手法を用いることができる。例えば所定数のグループに分類し、これらのグループ毎の離席時間の平均値に最も近い値となるように再グループ化を繰り返してグループ分類を行う。
【0049】
ユーザグループ更新部125は、離席時間分析部124によって分類されたユーザグループを、ユーザグループデータベース126に登録又は更新する処理又は装置。
【0050】
ユーザグループデータベース126は、離席時間分析部124及び又はユーザグループ更新部125によって分類されたユーザグループを保持するものである。
【0051】
省エネ制御設定更新部127は、ユーザグループデータベース126に保持されたユーザグループ毎に省エネ制御設定を生成し、これを省エネ制御設定データベース128に登録又は更新する処理又は装置である。
【0052】
省エネ制御設定データベース128は、ユーザグループ毎の省エネ制御設定を保持するものである。
【0053】
省エネ制御設定送信部129は、省エネ制御設定データベース128に保持された省エネ制御設定を省エネ制御設定情報として、接続回線を通じて省エネ制御対象装置100に送信する処理又は装置である。
【0054】
(A−2)実施形態の動作
次に、この実施形態の電力モード制御システム1における電力モード制御方法の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図2は、離席時間に基づく省エネ制御と離席時間の取得処理の動作を示すフローチャートである。また、図3は、離席時間のグループ化による省エネ制御設定の更新処理の動作を示すフローチャートである。
【0056】
(A−2−1)離席時間に基づく省エネ制御及び離席時間の取得処理
制御対象装置100において、ユーザは入力手段101を用いて入力を行う。まず入力検出部102は入力手段101からの入力を検出し、離席判定部103が離席を判定する。ここで、離席判定は、入力が無い時間(未入力時間)が判定閾値を超えた場合を離席と判定し、そうでない場合には処理を終了する(ステップS101)。
【0057】
次に、入力判定部103により離席が判定されると、離席時間計測部104が離席時間の計測を開始する(ステップS102)。
【0058】
離席時間の計測開始後、入力検出部102は入力手段101からの入力を検出すると、その入力検出までの計測時間(離席時間)を離席時間データベース106に保存する(ステップS110)。
【0059】
ここで、離席時間データベース106に離席時間を保存する際、離席時間DB更新部105が離席時間を時間帯別に格納する。例えば、午前(8:00〜12:00)/昼休み(12:00〜13:00)/午後(13:00〜17:00)/夜間(17:00〜22:00)のように時間帯別に離席時間データベースに格納する。
【0060】
また、離席時間DB更新部105は、例えば1日/1週間/1ヶ月単位などで離席時間を集計し、各単位時間当たりの平均時間(平均離席時間)の算出などを行い、これらの算出結果を離席時間データベース106に格納する。
【0061】
一方、入力検出部102が入力を検出しない場合、省エネ制御部111は、この離席時間が省電力モードの移行時間を超えたか否かを判定する(ステップS104)。
【0062】
そして、離席時間が省電力モードの移行時間を超えていない場合には、ステップS103に戻って処理を繰り返し、超えている場合には、省エネモードに移行して、省エネ制御部111が、表示装置112、記憶装置113、CPU114、RAM115の電源オフにする(ステップS105)。
【0063】
ここで、省エネモードの移行順序について、この実施形態では、「表示装置112電源オフ」→「記憶装置113電源オフ」→「CPU114電源オフ(スタンバイ)」→「RAM115電源オフ(休止)」の順に省電力モードを移行するものとする。
【0064】
また、省電力モードの移行時間については、「表示装置112電源オフの移行時間」<「記憶装置113電源オフの移行時間」<「CPU114電源オフ(スタンバイ)の移行時間」<「RAM115電源オフ(休止)の移行時間」の順の大きさで、省エネ制御設定データベース110に保持されており、省エネ制御部111が各々の移行時間と計測時間(離席時間)との比較により、それぞれの移行時間を超えた場合に該当する省電力モードに移行する。
【0065】
(A−2−2)離席時間のグループ化による省エネ制御設定の処理
図2のようにして、各制御対象装置100は離席時間を離席時間データベース106に保持する。制御対象装置100の離席時間送信部107は、接続回線を通じて、離席時間データベース106に保持する離席時間を電力モード制御装置120に送信する(ステップS120)。
【0066】
ここで、離席時間送信部107は、定期的に離席時間を送信するようにしてもよいし、電力モード制御装置120からの要求に応じて離席時間を送信するようにしてもよい。
【0067】
電力モード制御装置120において、制御対象装置100から離席時間を受信すると(ステップS121)、受信した離席時間を離席時間データベース123に保持する(ステップS122)。
【0068】
このとき、離席時間DB更新部122は、制御対象装置100毎に離席時間を保存する。また、離席時間DB更新部122は、例えば午前(8:00〜12:00)/昼休み(12:00〜13:00)/午後(13:00〜17:00)/夜間(17:00〜22:00)のように時間帯別に離席時間データベース123に格納する。さらに、離席時間DB更新部122は、例えば1日/1週間/1ヶ月単位などで離席時間を集計し、その単位時間当たりの平均時間などを算出し、その算出結果を離席時間データベース123に格納する。これにより、各ユーザ(制御対象装置100)の各々の時間帯での利用状況や、それぞれの統計的な利用状況を把握することができる。
【0069】
電力モード制御装置120では、離席時間分析部124が、離席時間データベース123に保存される時間帯別の離席時間から、例えばK平均法(k-means法)などのクラスタリング手法を用いて、制御対象装置100をユーザグループに分類する(ステップS123)。これにより、各ユーザの各々の利用状況に応じたグループ分類を行うことができる。
【0070】
図4は、クラスタリング方法の一例を説明する説明図である。図4では、30台の制御対象装置100を制御対象とする場合であり、それぞれユーザNo.1〜No.30とする。またグループ化に利用する時間帯は、午前(8:00〜12:00)及び午後(13:00〜17:00)の業務時間(8時間)とする。
【0071】
まず、複数のユーザ(制御対象装置100)を、ユーザNo.の順に従って3つのグループに分類する(ステップS201)。
【0072】
例えば、図4では、「ユーザNo.1〜No.10」、「ユーザNo.11〜No.20」、「ユーザNo.21〜No.30」の3つのグループに分類する。ここでのグループ化は、任意に所定数のグループに分類できればよいので、2つ又は4つ以上のグループであってもよいし、各グループのユーザ数が均等でなくてもよいし、またユーザNo.順でなくてもよい。
【0073】
次に、3つのグループから任意の1データを抽出する(ステップS202)。例えば図4では、各グループのユーザNo.の中心に位置するユーザ(ユーザNo.5、15、25)の値(離席時間(min)「304」、「69」、「128」)を抽出する。
【0074】
そして、各グループから抽出したデータに最も近い値で再グループ化する(ステップS203)。例えば図4で抽出した各データが「304」、「69」、「128」であるから、各ユーザの離席時間が各抽出データのうち最も近いデータを選んで、そのデータに基づくグループ化を行う。
【0075】
その再グループ化をした各グループにおいて、各離席時間に基づく平均値を計算する(ステップS204)。例えば抽出データ「304」に基づいて再グループ化したグループについて、離席時間の平均化を行うと「287」となる。
【0076】
そして、再グループ化したグループの各離席時間の平均値に基づいて更に再グループ化を行う(ステップS205)。
【0077】
その後、ステップS204及びS205を繰り返して、再グループ化したグループ構成が変化しなくなったら、ユーザグループの分類処理は終了する(ステップS206)。
【0078】
ステップS123において、離席時間分析部124がユーザグループの分析を行うと、ユーザグループ更新部125は、この分類されたユーザグループをユーザグループデータベース126に登録又は更新する(ステップS124)。つまり、初期状態の場合、分類したユーザグループをユーザグループデータベース126に登録し、その後の場合、分類したユーザグループの更新を行う。
【0079】
省エネ制御設定更新部127は、ユーザグループデータベース126に登録(又は更新)されたユーザグループの分類に基づき、各ユーザグループの省エネ制御設定情報を省エネ制御設定データベース128に登録又は更新する(ステップS125)。つまり、初期状態の場合には、各ユーザグループの省エネ制御設定情報を登録し、その後の場合には、各ユーザグループの省エネ制御設定情報を更新する。
【0080】
ここで、省エネ制御設定の決定方法としては、種々の方法を適用することができる。例えば、この実施形態では、省エネ制御設定更新部127が、図5に示すような省エネ制御設定テーブル128aを有しており、これらの省エネ制御設定テーブル128aを参照しながら、各ユーザグループの省エネ制御設定を選択して決定する。
【0081】
例えば、図5(A)〜図5(C)の省エネ制御設定テーブルは、離席時間の長さに応じて、短時間/中程度/長時間の3つに分類した省エネ制御設定テーブル128aであり、離席時間が長時間になるにつれて、省電力モードの移行時間が短くなるように設定されており、逆に離席時間が短時間になるにつれて、省電力モードの移行時間が長くなるように設定されている。
【0082】
また、時間帯毎に省電力モードの移行時間が設定されている。これにより、例えばユーザの利用機会が少ないと考えられる昼休み(12:00〜13:00)や夜間(17:00〜22:00)の時間帯では、他の時間帯よりも省電力モードへの移行時間を短く設定することができる等のきめ細かい調整ができる。
【0083】
なお、図5(A)は、離席時間が短時間又は初期値の場合の省エネ制御設定テーブルであり、図5(B)は、離席時間が中程度の場合の省エネ制御設定テーブルであり、図5(C)は、離席時間が長時間の場合の省エネ制御設定テーブルである。
【0084】
例えば、図4において、再グループ化したグループの平均値が「63min」のグループは図5(A)を選択し、平均値が「152min」のグループは図5(B)を選択し、平均値が「287min」のグループは図5(C)を選択して、省エネ制御設定データベース128に登録又は更新する。
【0085】
さらに、省エネ制御設定更新部127は、図6に示すような省電力モードの移行時間を、利便性1〜10の利便性テーブル128bとして定義しておき、この利便性テーブル128bを利用して省エネ制御設定テーブルを作成又は変更することができる。
【0086】
例えば、図7は、利便性テーブル128bを利用した省エネ制御設定テーブル128cである。図6の利便性テーブル128bには、各省電力モード毎に、省電力モードへの移行時間を複数段階で表示す番号(図6では利便性と表記)が設けられている。そして、管理者が、省エネ制御設定テーブル128cを作成又は変更する際に、図6に示す各省電力モードの利便性(番号)を選択するだけで、容易にグループ単位で省エネ制御設定を変更できるようになる。
【0087】
例えば、図7において、「省エネ制御設定 1:短時間」の「8−12時」の設定値が「5」になっている。これを図6を参照すると、「設定値:5」は、「モニタオフ:10分、HDDオフ:15分、スタンバイ:30分、休止:45分」であるから、この設定が適用される。これにより、管理者は、簡単に省エネ制御の設定・変更が可能となる。つまり、図5(A)、(B)、(C)では、(4つの省電力モード)×(4つの時間帯区分)×(3グループ)=48箇所の設定が必要となるが、図7では、(4つの時間帯区分)×(3グループ)=12箇所の利便性の設定を行うだけでよくなるからである。
【0088】
ステップS125で各ユーザグループの省エネ制御設定が更新されると、省エネ制御設定送信部129が、省エネ制御設定データベース128に保存されている省エネ制御設定情報を、接続回線を通じて対応する制御対象装置100に送信する(ステップS126)。
【0089】
なお、電力モード制御装置120には、各制御対象装置100のアドレスが登録されており、このアドレスを参照して送信先ユーザに対して省エネ制御設定情報を送信する。
【0090】
そして、各制御対象装置100の省エネ制御設定受信部108が省エネ制御設定情報を受信すると(ステップS127)、省エネ制御設定更新部109が省エネ制御設定情報を省エネ制御設定データベース110に設定する(ステップS128)。
【0091】
これにより、省エネ制御部111は、この省エネ制御設定更新部109に登録又は更新された省エネ制御設定(省電力モードへの移行時間の設定)を参照して、省エネ制御を行う。
【0092】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、各ユーザ(制御対象装置)の単位時間(例えば1日、1週間、1ヶ月など)当たりの離席時間のクラスタリング分析を行い、分析の結果からユーザグループの分類を行い、ユーザグループ毎の省電力モードの移行時間を設定することができる。そのため、管理者が省エネ計画の立案・実施を利用状況に応じたグループ単位で容易に行えるようになる。
【0093】
(B)他の実施形態
上述した実施形態では、コンピュータ等を制御対象装置として説明したが、省電力モード機能を有するものであれば、例えば工業や倉庫などにある装置(例えば製造装置、冷蔵庫、冷凍庫など)なども適用できる。
【0094】
制御対象装置の離席時間(未入力時間)の収集方法は、種々の方法を適用できる。例えば、各制御対象装置がそれぞれ電力モード制御装置に対して送信するようにしても良いし、また例えば、複数の制御対象装置からの情報を収集する収集装置をエリア毎に設け、この収集装置を介して電力モード制御装置が離席時間を収集するようにしてもよい。なお、省エネ制御設定情報の授受に関しても上記と同様の変形例を適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1…電力モード制御システム、
100…制御対象装置、101…入力手段、102…入力検出部、103…離席判定部、
104…離席時間計測部、105…離席時間DB更新部、106…離席時間DB、
107…離席時間送信部、108…省エネ制御設定受信部、
109…省エネ制御設定更新部、110…省エネ制御設定DB、111…省エネ制御部、
112…表示装置、113…記憶装置、114…CPU、115…RAM、
120…電力モード制御装置、121…離席時間受信部、122…離席時間DB更新部、
123…離席時間DB、124…離席時間分析部、125…ユーザグループ更新部、
126…ユーザグループDB、127…省エネ制御設定更新部、
128…省エネ制御設定DB、129…省エネ制御設定送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置に対して、電力モード制御装置が上記省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御システムにおいて、
上記電力モード制御装置は、
上記各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信手段と、
上記各制御対象装置の未入力時間に応じて、上記複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類手段と、
上記電力制御手段の省電力モード移行制御設定を上記グループ単位で行う制御設定手段と、
上記制御設定手段により設定された上記グループ毎の上記省電力モード移行制御設定に関する情報を上記各制御対象装置に与え、それぞれの上記省電力制御手段に設定させる送信手段と
を備えることを特徴とする電力モード制御システム。
【請求項2】
上記グループ分類手段が、上記各制御対象装置の未入力時間を所定数のグループに分類し、これらグループ毎の未入力時間の平均値に最も近い値となるように、再グループ化を繰り返してグループ分類を行うことを特徴とする請求項1に記載の電力モード制御システム。
【請求項3】
上記制御設定手段は、未入力時間の長いグループに対しては、上記省電力モードへの移行時間が短くなるように設定し、未入力時間の短いグループに対しては、上記省電力モードへの移行時間が長くなるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力モード制御システム。
【請求項4】
上記制御設定手段が、未入力時間の長さに応じて設定された省電力モード移行制御設定テーブルを用いて省電力移行制御設定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力モード制御システム。
【請求項5】
上記制御設定手段が、省電力モードへの移行時間を複数の段階表示で示した利便性テーブルを用いて、上記省電力モード移行制御設定テーブルの作成又は変更を可能とすることを特徴とする請求項4に記載の電力モード制御システム。
【請求項6】
上記各制御対象装置が、
自装置における未入力時間を計測管理する未入力時間計測管理手段と、
上記電力モード装置に自装置の未入力時間を送信する送信手段と
を備え、
上記未入力時間計測管理手段が、所定の時間帯別の未入力時間を計測管理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力モード制御システム。
【請求項7】
自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置の、上記省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御装置において、
上記各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信手段と、
上記各制御対象装置の未入力時間に応じて、上記複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類手段と、
上記電力制御手段の省電力モード移行制御設定を上記グループ単位で行う制御設定手段と、
上記制御設定手段により設定された上記グループ毎の上記省電力モード移行制御設定に関する情報を上記各制御対象装置に与え、それぞれの上記省電力制御手段に設定させる送信手段と
を備えることを特徴とする電力モード制御装置。
【請求項8】
自装置への未入力時間に基づき、自装置を省電力モードに移行させる省電力制御手段を備える複数の制御対象装置に対して、電力モード制御装置が上記省電力制御手段の省電力モード移行制御を行う電力モード制御方法において、
上記電力モード制御装置が、
上記各制御対象装置からの未入力時間を受信する受信工程と、
上記各制御対象装置の未入力時間に応じて、上記複数の制御対象装置を複数のグループに分類するグループ分類工程と、
上記電力制御手段の省電力モード移行制御設定を上記グループ単位で行う制御設定工程と、
上記制御設定手段により設定された上記グループ毎の上記省電力モード移行制御設定に関する情報を上記各制御対象装置に与え、それぞれの上記省電力制御手段に設定させる送信工程と
を有することを特徴とする電力モード制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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