説明

電力回収装置

【課題】電池の残存電力を可及的に多く回収することが可能な電力回収装置を提供する。
【解決手段】制御部3がメモリ4の接続候補表を参照し所定の入力電源を選択してDC−DCコンバータ2に接続し、次に前記入力電源の電力供給能力と充電条件あるいは負荷条件を比較し、電力供給能力が充電条件あるいは負荷条件より大きい場合は前記入力電源による充電を開始し、所定時間経過後の前記入力電源の電圧あるいは電力を入力してメモリ4に記憶された充電停止条件によって充電の停止の要否を判断し、充電を停止すべきと判断した場合にはメモリ4に記憶された回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照して前記入力電源の回復時間を決定して当該入力電源を回復のための休止状態に付し、メモリ4の接続候補表を参照し次の接続可能な入力電源を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力回収装置に関し、例えば、使用済みの一次電池や二次電池の有する残存電力を可及的に多く回収する電力回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル機器は、従来のアナログ機器と異なり、電源電圧がデジタル回路の要求する値を下回ると全く作動しなくなる。例えば、単三形乾電池の場合、出力電圧が1.3Vを下回るとデジタル機器は作動しない。このような場合、乾電池は使用済みとしてそのまま廃棄されることが多い。
【0003】
しかし、このように廃棄された電池であっても残存電力を有している。近年、携帯電話や携帯型音楽プレーヤー等のデジタル機器が爆発的に普及していることから、使用済みとされた電池の残存電力を回収することは、エネルギーの節約および環境負荷低減の観点から極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電池の残存電力を可及的に多く回収することが可能な電力回収装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用済みの電池から残存電力を可及的に多く回収するために、電池を休ませることにより出力が回復する特性(以下、「電池出力回復性」という。)を利用する。この電池出力回復性は、電池が放電している間は化学反応により内部抵抗が大きくなり出力電圧が低下するのに対し、電池の放電を停止させると内部抵抗が小さくなり、出力電圧が高くなることによる。
【0006】
本発明の一つの態様による電力回収装置は、
入力された直流電圧を昇圧または降圧して出力するDC−DCコンバータと、
残存電力を有する電池を含む複数の入力電源が接続可能であり、切り換えにより前記入力電源のうちいずれかを前記DC−DCコンバータに電気的に接続するスイッチ部と、
接続された入力電源の回復完了の有無と廃棄の要否の情報を含み接続可能な入力電源を判別できる接続候補表と、充電される二次電池の充電条件あるいは電気的負荷を駆動するための負荷条件と、前記入力電源による充電を停止するための充電停止条件と、充電停止後に前記充電条件あるいは負荷条件を満たすようになるまでの電池の回復時間を求めるための回復時間テーブルあるいは近似関係式と、電池の廃棄の可否を決定するための廃棄基準表とを格納したメモリと、
前記メモリの接続候補表を参照し接続可能な入力電源の中から所定の入力電源を選択し、前記スイッチ部を制御して前記入力電源を前記DC−DCコンバータに接続し、次に前記入力電源の電力供給能力を入力して前記メモリの充電条件あるいは負荷条件と比較し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件より大きい場合は前記入力電源による充電を開始し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件を満たない場合には前記メモリの廃棄基準表を参照して前記入力電源の廃棄の可否を判断し、前記入力電源による充電を開始した場合は所定時間経過後の前記入力電源の電圧を入力して前記メモリに記憶された充電停止条件によって前記入力電源による充電の停止の要否を判断し、前記入力電源による充電を停止すべきと判断した場合には前記メモリに記憶された前記回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照して前記入力電源の回復時間を決定して当該入力電源を回復のための休止状態に付し、前記メモリの接続候補表を参照し次の接続可能な入力電源を検索する、制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記メモリに記憶された前記入力電源の回復時間テーブルあるいは近似関係式は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点までの経過時間及び前記経過時間における電圧と、前記充電条件および前記充電される二次電池の蓄電状態あるいは負荷条件による補正値と、回復時間との対応を電池の種類ごとに定めたテーブルあるいは近似関係式からなり、前記制御部は、充電を行っている入力電源について実際に計測した電圧降下開始点までの経過時間及び前記経過時間における電圧を入力し、前記回復時間テーブルあるいは近似関係式から当該入力電源の回復時間を決定するようにすることができる。
【0008】
また、前記メモリに記憶された前記入力電源の回復時間テーブルあるいは近似関係式は、前記充電条件あるいは負荷条件を基準に定めた基準値より電圧あるいは電力が低下する充電停止点までの経過時間と、前記充電条件および前記充電される二次電池の蓄電状態あるいは負荷条件による補正値と、回復時間との対応を電池の種類ごとに定めたテーブルあるいは近似関係式からなり、前記制御部は、充電を行っている入力電源について実際に計測した充電停止点までの経過時間を入力し、前記回復時間テーブルあるいは近似関係式から当該入力電源の回復時間を決定するようにすることができる。
【0009】
また、前記接続候補表は、回復時間が経過した電池についてはただちに回復済みの状態に更新し、前記制御部は回復済みの入力電源の中から前記DC−DCコンバータに接続すべき入力電源を選択するようにすることができる。
【0010】
また、前記メモリに記憶された前記入力電源の充電停止条件は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点、または前記充電条件あるいは負荷条件を基準として定めた基準値より電圧または電力が低下した充電停止点を充電停止の条件とし、前記制御部は、充電を行っている入力電源の電圧あるいは電圧と電流を所定時間ごとに入力し、前記入力電源が前記電圧降下開始点または前記充電停止点を時間的に経過したときに、当該入力電源の充電を停止させるようにすることができる。
【0011】
また、前記廃棄基準表は、判断対象の入力電源について、(a)回復時間の総和が上限値に達したこと、(b)所定回数の回復期を経たこと、(c)放電期における初期の出力電圧が所定値より低いこと、(d)放電期における初期の出力電圧の持続時間が所定値より短いこと、(e)回復時間が所定値よりも長いこと、(f)放電期の出力電圧の低下速度が所定値よりも大きいこと、又は(g)回収された電力が所定値に達しないことを廃棄基準とし、前記制御部は、前記DC−DCコンバータに初回接続された入力電源を除き、前記廃棄基準のいずれかまたは複数の組合せに該当する入力電源について廃棄すべきと判断し、廃棄の信号を出力するようにすることができる。
【0012】
また、前記入力電源は補完用電源を含み、前記制御部は、接続可能な入力電源がすべて接続候補の条件を満たしていなくなり、且つ、充電すべき二次電池に蓄積された電力が蓄電容量に達していないときに、前記スイッチ部を制御して前記補完用電源をDC−DCコンバータに接続させ、前記補完用電源によって前記二次電池を充電するようにすることができる。
【0013】
本発明の他の態様による電力回収装置は、
入力された直流電圧を昇圧または降圧して出力するDC−DCコンバータと、
残存電力を有する電池を含む複数の入力電源が接続可能であり、切り換えにより前記入力電源のうちいずれかを前記DC−DCコンバータに電気的に接続するスイッチ部と、
接続された入力電源の回復完了の有無と廃棄の要否の情報を含み接続可能な入力電源を判別できる接続候補表と、充電される二次電池の充電条件あるいは電気的負荷を駆動するための負荷条件と、前記入力電源による充電を停止するための充電停止条件と、電池の廃棄の可否を決定するための廃棄基準表とを格納したメモリと、
前記メモリの接続候補表を参照し接続可能な入力電源の中から所定の入力電源を選択し、前記スイッチ部を制御して前記入力電源を前記DC−DCコンバータに接続し、次に前記入力電源の電力供給能力を入力して前記メモリの充電条件あるいは負荷条件と比較し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件より大きい場合は前記入力電源による充電を開始し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件を満たない場合には前記メモリの廃棄基準表を参照して前記入力電源の廃棄の可否を判断し、前記入力電源による充電を開始した場合は所定時間経過後の前記入力電源の電圧を入力して前記メモリに記憶された充電停止条件によって前記入力電源による充電の停止の要否を判断し、前記入力電源による充電を停止すべきと判断した場合には当該入力電源を回復のための休止状態に付し、前記メモリの接続候補表を参照し所定の順番にもとづいて次の接続可能な入力電源を検索する、制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前記メモリに記憶された前記入力電源の充電停止条件は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点、または前記充電条件あるいは負荷条件を基準として定めた基準値より電圧または電力が低下した充電停止点を充電停止の条件とし、前記制御部は、充電を行っている入力電源の電圧あるいは電圧と電流を所定時間ごとに入力し、前記入力電源が前記電圧降下開始点または前記充電停止点を時間的に経過したときに、当該入力電源の充電を停止させるようにすることができる。
【0015】
また、前記廃棄基準表は、判断対象の入力電源について、(a)回復時間の総和が上限値に達したこと、(b)所定回数の回復期を経たこと、(c)放電期における初期の出力電圧が所定値より低いこと、(d)放電期における初期の出力電圧の持続時間が所定値より短いこと、(e)回復時間が所定値よりも長いこと、(f)放電期の出力電圧の低下速度が所定値よりも大きいこと、又は(g)回収された電力が所定値に達しないことを廃棄基準とし、前記制御部は、前記DC−DCコンバータに初回接続された入力電源を除き、前記廃棄基準のいずれかまたは複数の組合せに該当する入力電源について廃棄すべきと判断し、廃棄の信号を出力するようにすることができる。
【0016】
また、前記入力電源は補完用電源を含み、前記制御部は、接続可能な入力電源がすべて接続候補の条件を満たしていなくなり、且つ、充電すべき二次電池に蓄積された電力が蓄電容量に達していないときに、前記スイッチ部を制御して前記補完用電源をDC−DCコンバータに接続させ、前記補完用電源によって前記二次電池を充電するようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の一つの態様による電力回収装置は、制御部が、電力供給能力が充電条件あるいは負荷条件より大きい入力電源に充電を開始させ、所定時間経過後の前記入力電源の電圧を入力してメモリに記憶された充電停止条件によって前記入力電源による充電の停止の要否を判断し、前記入力電源による充電を停止すべきと判断した場合には前記メモリに記憶された回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照して前記入力電源の回復時間を決定して当該入力電源を回復のための休止状態に付し、前記メモリの接続候補表を参照し次の接続可能な入力電源を検索する。
【0018】
このように、本願発明の一つの態様による電力回収装置によれば、充電条件あるいは負荷条件を満たす入力電源に充電を開始させ、当該入力電源の充電能力が低下すると休止させ、その間に他の使用可能な入力電源を検索して充電させ、前者の入力電源が休止によって回復したときに、再び当該入力電源を検索して充電させる。このように、本願発明によれば、電池の電力を休止によって繰り返し回復させて充電にあて、その間は回復した他の電池によって充電することができるので、電池の残存電力を無駄なく利用して効率よく二次電池の充電や電気的負荷を駆動することができる。
【0019】
休止させるときに回復時間を定める発明においては特に、電池の種類により、または電池の消耗の度合いにより、または充電条件等もしくは負荷条件により回復時間が変化する電池に対して、予想される充電に十分な状態になるまでの時間を予め定め、その回復時間が経過した電池は直ちに充電のために使用することができ、これによってきわめて高効率な電力回収を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電力回収装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】入力電池の電圧変化の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電力回収装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】接続候補の条件を満たす入力電源の有無を判定する接続候補表の一例である。
【図5】電池の電圧降下と時間の関係を概念的に示したグラフであって、本願発明による充電停止の条件を定める方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電力回収装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る電力回収装置の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る3つの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力回収装置の構成図である。本実施形態に係る電力回収装置10は、スイッチ部1と、DC−DCコンバータ2と、制御部3と、メモリ4とを備える。
【0023】
電力回収装置10(スイッチ部1)の入力には、入力電源20が接続され、電力回収装置10(DC−DCコンバータ2)の出力には二次電池30が接続される。二次電池30は他の装置の入力電源として接続されていても良いし、取り出して単独で使用できるようになっていても良い。図1に示す例では、入力電源20a、20b、20c、20dおよび20eの5つの入力電源が電力回収装置10に接続されている。
【0024】
入力電源20a、20b、20c、20dおよび20eは、限定されることなく使用された結果電圧が低下したが残存電力をなお有している電池を含む。また、入力電源は、前記電池で二次電池30を充電しきれない場合に補完的に二次電池30を充電する補完用電源を含むようにすることができる。本実施形態は補完用電源を含む例で説明する。
【0025】
スイッチ部1は、入力電源と接続可能な複数の入力端子と、DC−DCコンバータ2の入力端と接続された出力端子を有する。このスイッチ部1は、入力端子に接続された入力電源のうちいずれかをDC−DCコンバータ2に接続する。なお、スイッチ部1の各入力端子は、所定の種類、例えば単一電池、単二電池や水銀電池など所定種類の電池を収容する電池ソケットと接続されていてもよい。特定の入力電源が特定種類の電池のための電池ソケットを有することにより、スイッチ部1の各入力端子は、入力電源の種類と対応付けられ、電力回収装置10は入力電源の種類を識別することができ、各種類の電池の基準となる電圧や放電特性から電池の消耗の判別基準を予め設定することができる。
【0026】
DC−DCコンバータ2は、入力された直流電圧を昇圧または降圧して出力する。このDC−DCコンバータ2は、所定の電圧を出力するためのフィードバック制御機構を有してもよい。このフィードバック制御機構は、DC−DCコンバータ2の出力電圧をフィードバックして昇降圧制御に反映させる。
【0027】
制御部3は、装置全体の動作を制御する機能を有し、特に、接続候補の条件を満たす入力電源の中からDC−DCコンバータ2に接続する入力電源を選択し、選択した入力電源とDC−DCコンバータ2とを接続するようにスイッチ部1を制御する機能と、充電中の入力電源の充電の停止を決定する機能と、入力電源の各々に対して回復時間を決定する機能と、所定の入力電源の廃棄の可否を判定する機能と、補完用電源による充電を行うか否かを判定制御する機能と、を有している。ここで、補完用電源とは、他の入力電池が全て接続候補の条件を満たさず使用できないときに、二次電池30を充電するための補完用の電源である。この補完用電源を用いることにより、二次電池30の蓄電容量まで充電するのに入力電池の残存電力が足りない場合や、急いで二次電池30を充電する必要があり回復期の経過を待てない場合にも対応することができる。なお、補完用電源としては、例えば、充電済みの二次電池、または電源アダプタ(入力AC100V、出力DC12V)を使用することができる。後者の場合、スイッチ部1の補完用電源の入力端子は、電池ソケットではなく、電源アダプタ用のソケットに接続される。
【0028】
また、制御部3はDC−DCコンバータ2の出力電圧を測定し、測定値をメモリ4に格納するが、DC−DCコンバータ2の出力電圧は、本発明の装置とは別個の機器(図示せず)により測定し、本発明の制御部3は前記機器から測定情報を受信するようにしてもよい。
【0029】
メモリ4は、制御部3により書き込み・読み出しされる。メモリ4に格納される情報として、後述する電圧降下開始点までの経過時間および該経過時間における電圧(または充電停止点までの経過時間)とそれらに対応する回復時間とを示した回復時間テーブル、各入力電源の電力供給能力(DC−DCコンバータ2の出力電圧の測定値など)、充電を停止する条件、回復時間、電池の廃棄の可否を決定するための基準値を有する廃棄基準表、および後述の図4の接続候補表に関する情報がある。
【0030】
次に、ある入力電源の放電と回復の電圧の時間変化の詳細について説明する。図2は、ある入力電源(入力電源20aとする。)の放電と回復の電圧変化の一例を示している。図2において、放電期IおよびIIは、入力電源20aがDC−DCコンバータ2に接続され、放電している期間を示し、回復期Iは、入力電源20aがDC−DCコンバータ2に接続されず、放電していない期間を示している。
【0031】
図2に示すように、放電期Iの間、入力電源20aの電圧は、当初の電圧V0から降下し続け、時刻t1のとき電圧V1まで低下する。電圧V1は二次電池30の充電に必要な最小電圧であるため、制御部3は、接続候補から他の入力電源を選択し、選択した入力電源に切替えるようにスイッチ部1を制御する。
【0032】
入力電源20aは充電を停止すると電池内部の化学反応により回復期に入り、電池出力回復性により電圧はV1からV2まで緩やかに回復する。回復期の期間(回復時間)Tが経過すると、入力電源20aは再び接続候補の一つとなる。なお、回復時間は、入力電源が利用する化学反応などにより異なる。
【0033】
次に、第1の実施形態に係る電力回収装置10の動作を図3のフローチャートに沿って説明する。
【0034】
(1)本実施形態の電力回収装置10による電力回収は、まず、使用された結果電圧が低下しなお残存電力を有する電池を電池ソケットに装着することから始まる(ステップS10)。入力電源中には補完用電源も含まれているものとする。
【0035】
(2)電池ソケットに電池を装着すると、制御部3が、接続候補の条件を満たす入力電源の中からいずれかを選択し、DC−DCコンバータ2に接続する(ステップS11)。
【0036】
接続候補の条件を満たす入力電源を選択する方法は種々可能であるが、本実施形態の例は図4に示す接続候補表を用いて選択する。
【0037】
図4の接続候補表は、“入力電源”、“未接続”、“回復時間”および“廃棄”の各フィールドが設けられている。“入力電源”フィールドは、電力回収装置10に接続された入力電源を示す。補完用電源はこの接続候補表の接続候補の入力電源には含まれていない。“未接続”フィールドには、入力電源がDC−DCコンバータ2に接続されていない場合に“1”が格納され、接続された場合に“0”が格納される。“回復時間”フィールドには、入力電源がDC−DCコンバータ2から切断されてから回復時間以上待機している場合に“1”が格納され、未だ回復時間が経過していない場合に“0”が格納される。すなわち、回復時間経過後の電池については直ちに回復済みの状態に更新する。“廃棄”フィールドには、入力電源が廃棄基準を満たさない場合に“1”が格納され、廃棄基準を満たす場合“0”が格納される。なお、図4(a)に示すように、未接続の場合には、“回復時間”フィールドには“0”が格納され、“廃棄”フィールドには“1”が格納される。
【0038】
図4(a)は、電力回収装置10に接続された入力電源がいずれも未だDC−DCコンバータ2に接続されていない初期状態を示している。この場合、全ての入力電源が接続候補となる。すべての入力電源がいずれも未だDC−DCコンバータ2に接続されていないときは、たとえば入力電源20a,20b,・・・の順に選択していけばよい。
【0039】
図4(b)は、数巡を経て、入力電源20bから別の入力電源に切替える場合を示している。図4(b)の例では、入力電源20a及び20cは回復時間が経過していないため接続候補にならない。また、その次の入力電源20dは廃棄基準に達しているため接続候補にならない。よって、この場合、入力電源20eのみが接続候補の条件を満たしているため、スイッチ部1によってDC−DCコンバータ2に接続される。
【0040】
このように、制御部3は電池ソケットに接続された入力電源に対して、所定の順番で図4のような接続候補表をチェックし、最初に接続候補の条件を満たす入力電源を選択してDC−DCコンバータ2に接続する。
【0041】
(3)次に、本願装置は、二次電池30に対して充電可能か否かを判断する情報とするため、DC−DCコンバータ2に接続された入力電源の電力供給能力を測定する(ステップS12)。
【0042】
DC−DCコンバータ2に接続された入力電源の電力供給能力は、例えばDC−DCコンバータ2の出力電圧を測定することにより、測定することができる。また、出力電圧Vおよび出力電流Iを測定し、電力P(=I・V)を計算してもよい。
【0043】
(4)次に、ステップS12で測定した入力電源の電力供給能力が、二次電池30に応じて決まる充電条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。
【0044】
これは二次電池30の種類により充電するための電力供給能力が異なるためであり、例えば二次電池30がリチウムイオン電池の場合、DC−DCコンバータ2の出力電圧が3.7V以上であることが充電条件となる。DC−DCコンバータ2により電圧の昇降圧が可能であるが、充電するためには所定の大きさの電流も必要であるため、DC−DCコンバータ2によっても二次電池30の充電条件を満たさない場合があり、充電条件を満たすか否かを判断する必要がある。二次電池30の充電条件はメモリ4に格納しておくようにする。なお、本ステップS13において、電力回収装置10の出力に二次電池ではなくモータ等の電気的負荷が接続される場合には、入力電源の電力供給能力が該電気的負荷を駆動するための負荷条件を満たすか否かを判定する。
【0045】
電力供給能力が充電条件(あるいは負荷条件)を上回った場合には充電の処理に進み、反対に、電力供給能力が充電条件を下回った場合には当該電池の廃棄の可否の判定に進む。電池の廃棄の可否の判定については後述する。
【0046】
(5)電力供給能力が充電条件を上回った場合の充電の処理について以下に説明する。
【0047】
ステップS13において、入力電源の電力供給能力が二次電池30の充電条件を上回っていると判断された場合(ステップS13;Y)には、当該入力電源により二次電池30の充電を開始する(ステップS14)。
【0048】
上記入力電源により二次電池30の充電を開始した後は、制御部3は前記入力電源の所定時間経過後の電圧を入力し、当該入力電源の充電を停止すべきか否かを判定する(ステップS15)。
【0049】
ここで、充電停止の判定の方法について図5を用いて説明する。図5のグラフは電池によって二次電池30を充電する時の当該電池の電圧降下と時間の関係を概念的に示したものである。一般的に、電池による入力電源は充電を開始した後は、一定時間ほぼ横ばいに電圧を維持し、ある時点から電圧が大きく降下し、一定の電圧まで低下すると、電圧降下の度合いが少なくなり、その後は徐々に電圧が低下する。
【0050】
上記電池による入力電源の充電停止の時点を判断するために、本実施形態では、入力電源による二次電池30の充電が開始されると、所定の時間を経過するごとに、時間(t,t,t,・・・)とそれぞれに対応する電圧(V,V,V,・・・)を測定する。
【0051】
計測間隔(Δt)が既知であるため、電圧の差分(ΔV)をとることにより、電圧低下速度(|ΔV/Δt|)を算出することができる。これにより、電圧低下速度(|ΔV/Δt|)が急激に大きくなる点は図5に示すような「電圧降下開始点」として検知することができる。電圧降下開始点を検知すると、当該入力電源による充電を停止すべきと判定する(ステップS15;Y)。電圧降下開始点の時間と電圧(図5の例では(t,V))は当該電池の回復時間の決定のためにメモリ4に記録する。
【0052】
また、電圧降下開始点によって充電停止を決定する代わりに、二次電池30の充電条件(図5の場合は電圧)、あるいは当該充電条件の電圧より所定の電圧だけ高い電圧(これらをまとめて充電条件の「基準値」という。なお、電気的負荷の場合は「負荷条件の基準値」という。)と比較し、入力電源の電圧が前記二次電池の充電条件の基準値より低下したときは、充電を停止すべきと判定することもできる(ステップS15;Y)。充電条件または負荷条件の基準値は、電圧の代わりに電力としても良い。
【0053】
ステップS15において、入力電源による充電を停止すべきと判定した場合(ステップS15;Y)は、回復時間の決定の処理に進み、反対に、充電を停止しなくてもよいと判定した場合(ステップS15;N)は、ステップS13に戻って充電条件と比較し、充電を継続する。
【0054】
(6)入力電源による充電を停止すべきと判定した場合は、以下のように当該入力電源の回復時間を決定し、入力電源を休ませて回復させる。
【0055】
図5に示した電圧降下開始点(t,V)は、入力電源の残存電力と、充電する二次電池の充電条件および蓄電状態とに大きく関係している。ここで、tは充電開始からの経過時間であり、Vは経過時間tにおける電圧である。蓄電状態は、二次電池の蓄電容量に対して電力が二次電池にどの程度蓄積されているかを示す。
【0056】
すなわち、充電を開始した直後の電圧Vは、充電を行う電池の種類に応じて上限があり、その範囲内で残存電力の量に応じて大きさが変化する。充電を開始した直後の電圧Vに近似する電圧降下開始点の電圧Vも残存電力の量と関係している。電圧Vの値が小さければ小さいほど、より長い回復時間を決定する。
【0057】
また、図5に示すように、電圧降下開始点の充電開始からの経過時間tは、充電を開始した直後の電圧Vを維持できる時間を示している。この経過時間tも入力側の電池の残存電力の量に応じて変化する。電圧降下開始点の充電開始からの経過時間tが短ければ短いほど、より長い回復時間を決定する。
【0058】
また、電圧降下開始点(t,V)は、充電される二次電池30の充電条件および蓄電状態にも影響される。すなわち、二次電池30が小容量のものである、若しくはほぼ蓄電されているために二次電池30への充電が小電力Pである場合には、電圧降下開始点の充電開始からの経過時間tは長くなる。このため、回復時間は、二次電池30の充電条件および蓄電状態による補正値を加味して決定することが好ましい。
【0059】
メモリ4には、電池の種類(単一、単二、・・、水銀電池、リチウムイオン電池、マンガン電池等)ごとに、電圧降下開始点(t,V)と二次電池の充電条件および蓄電状態による補正値と回復時間との対応を示した、回復時間テーブルあるいは回復時間の近似関係式が格納される。この回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照することにより、実際に計測した電圧降下開始点(t,V)から電池の回復時間を決定する(ステップS16)。回復時間テーブルあるいは回復時間の近似関係式は、経験あるいは実験値により得ることができる。
【0060】
一方、「二次電池の充電条件の基準値」と比較して充電の停止を決定する場合は、充電停止点に至るまでの時間t5’も、電池の残存電力と、二次電池の充電条件および蓄電状態に影響されて長さが変化する。
【0061】
この場合も、メモリ4に、電池の種類(単一、単二、・・、水銀電池、リチウムイオン電池、マンガン電池等)ごとに、充電停止点までの経過時間t5’と二次電池の充電条件および蓄電状態による補正値と回復時間との対応を示した、回復時間テーブルあるいは近似関係式を格納しておき、この回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照することにより、実際に計測した充電停止点までの経過時間t5’から電池の回復時間を決定する(ステップS16)。
【0062】
上記のように、それぞれの入力電源に関して回復時間を決定することにより、無駄な待機時間を省き、回復した電池を直ちに充電に使用することができ、効率的な充電を行うことができる。
【0063】
回復時間を決定した後、充電を停止した入力電源は回復を開始する(ステップS17)。
【0064】
(7)次に、制御部3は前述したメモリ4の接続候補表(図4)を参照し、接続候補となる入力電源が存在するか否かを検索する(ステップS18)。
【0065】
接続候補の条件を満たす入力電源の有無は、入力電源の各々について判別式を用いることにより、判断することができる。判別式として、式(1)を用いることができる。D=1であれば接続候補の条件を満たし、D=0であれば接続候補の条件を満たさない。
D=(A+B)・C ・・・(1)
ここで、A:未接続フィールドの値、B:回復時間フィールドの値、C:廃棄フィールドの値である。なお、式(1)に代えて、式(2)の判別式を用いてもよい。
D=A+(B・C) ・・・(2)
接続候補となる入力電源が存在すれば(ステップS18;Y)、ステップS11の処理に戻って、その接続候補の入力電源をDC−DCコンバータ2に接続し、前記入力電源によって続いて二次電池の充電を行う。
【0066】
接続候補となる入力電源が存在しなければ(ステップS18;N)、充電完了か否かの判断を行う(ステップS19)。
【0067】
充電が完了していると判断した場合、すなわち二次電池30が蓄電しておける容量にまで達していれば、本願装置による電力回収の処理を終了する(ステップS21)。二次電池30の電力が蓄電容量に達したか否かは図示しない公知の装置によって計測し、その情報を制御部3に入力するようにしても良いし、制御部3が二次電池30に蓄積された電力を計測するようにしても良い。
【0068】
充電が完了していないと判断した場合、すなわち二次電池30に蓄積された電力が蓄電容量にまで達していないと判断した場合(ステップS19;N)、制御部3はスイッチ部1を制御し補完用電源をDC−DCコンバータ2に接続し、補完用電源によって二次電池30を蓄電容量一杯になるまで充電し、しかる後に本願装置による電力回収の処理を終了する(ステップS21)。
【0069】
むろん、自動的に補完用電源による充電を行うのではなく、単に接続候補の入力電源がないアラームを出力し、電池の入れ替えを促すようにしても良い。
【0070】
(8)最後に、ステップ13における、DC−DCコンバータ2に接続された入力電源の電力供給能力が充電条件より大きいか否かの判断において、前記入力電源の電力供給能力が充電条件を満たしていないと判断された場合(ステップS13;N)について説明する。
【0071】
入力電源の電力供給能力が二次電池の充電条件を満たしていないと判断された場合(ステップS13;N)、その電池を廃棄すべきか否かの判断を行う(ステップS23)。
【0072】
電池を廃棄すべきか否かは廃棄基準を参照して決定するが、廃棄基準は種々の事象を用いて設定することができる。
【0073】
例えば、(a)回復時間の総和が上限値に達したこと、(b)所定回数の回復期を経たこと、(c)放電期における初期の出力電圧が所定値より低いこと、(d)放電期における初期の出力電圧の持続時間が所定値より短いこと、(e)回復時間が所定値よりも長いこと、(f)放電期の出力電圧の低下速度(|ΔV/Δt|)が所定値よりも大きいこと、又は(g)二次電池30に回収された電力が所定値に達しないこと等の事象を廃棄基準とすることができる。これらの事象を任意に組み合わせて廃棄基準としてもよい。
【0074】
なお、事象(a)の回復時間の総和の上限値など上記の廃棄基準は、入力側の電池の種類ごとに決めることが好ましい。
【0075】
また、上記の廃棄基準は、厳密には、入力側の電池の種類だけでなく、充電する二次電池の蓄電状態にも影響される。このため、メモリ4には、入力側の電池の種類ごとに、二次電池の蓄電状態による補正値を加味した上記事象(a)〜(g)の各基準値を格納した廃棄基準表を記憶させておくのが好ましい。
【0076】
DC−DCコンバータ2に接続された入力電源が、その電力供給能力が二次電池の充電条件を満たしていないと判断された場合(ステップS13;N)は、制御部3はメモリ4の前記廃棄基準表を参照し、接続された入力電源が廃棄基準のいずれか、あるいは複数の廃棄基準の組合せに該当するか否かを判断し、廃棄すべきであると判断した場合には、当該入力電源について廃棄の信号を出力する(ステップS24)。
【0077】
はじめてDC−DCコンバータ2に接続された入力電源(初回接続された入力電源)に関しては、事象(b)の回復期の回数が0であり、この場合は例外として事象(c)〜(g)の各基準値に該当しても、回復の処理(ステップS16)すなわち休止状態に付すようにする。
【0078】
接続された入力電源がすでに数巡の回復を行っており、且つ、廃棄基準(a)〜(g)のいずれにも該当しなければ、ステップS16以下の電池の回復処理を行う。
【0079】
上記のように、本実施形態では、電池出力回復性を考慮して、入力電源から繰り返し残存電力を回収して二次電池30の充電に使用する。これにより、本実施形態によれば、入力電池の残存電力を可及的に多く回収することができる。その結果、例えば、一般家庭などから廃棄される乾電池等の電池の残存電力を効率よく回収することができる。
【0080】
なお、電力回収装置10は、DC−DCコンバータ2からの出力電流を所望の電流値にして出力する電流調整回路をさらに備えてもよい。この電流調整回路は、例えばカレントミラー回路を用いて構成される。電流調整回路を備えることで、電力回収装置10は二次電池30に応じた電流を出力することができる。例えば、二次電池30がリチウムイオン電池の場合、電力回収装置10の出力電流を50mAとして充電効率を高めることができる。さらに、前述のDC−DCコンバータ2のフィードバック制御機構および電流調整回路の両方を備えた電力回収装置によれば、リチウムイオン電池のように安全に充電するために厳しい条件の課せられる二次電池の充電にも十分に対応することができる。
【0081】
また、電力回収装置10は、入力電源が廃棄基準に達していることをユーザに伝えて、入力電源の交換を促すための手段(LEDランプ等)をさらに備えてもよい。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る電力回収装置について説明する。第2の実施形態は、充電を停止した電池の回復時間を一々決定することなく、一定の順番で接続候補となる入力電源を走査すること、充電停止の判断と、電力供給能力の判断の組合せによって装置の処理を簡略化したものである。
【0083】
第2の実施形態による電力回収装置の構成は、図1と同様である。図6に第2の実施形態による処理フローを示す。図6の処理フローは図3のステップS16,S17がないことを除いて、図3の処理フローと同一のものである。
【0084】
第2の実施形態によれば、電池ソケットに電池が装着されると、制御部3が、接続候補の条件を満たす入力電源の中からいずれかを選択し、DC−DCコンバータ2に接続する(ステップS11)。
【0085】
次に、DC−DCコンバータ2に接続された入力電源の電力供給能力を測定する(ステップS12)。この測定では、第1の実施形態と同様にDC−DCコンバータ2の出力電圧、あるいは出力電圧Vおよび出力電流I、あるいは電力P(=I・V)を測定する。
【0086】
次に、ステップS12で測定した入力電源の電力供給能力が、二次電池30に応じて決まる充電条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。
【0087】
ステップS13において、入力電源の電力供給能力が二次電池30の充電条件を上回っていると判断された場合(ステップS13;Y)には、当該入力電源により二次電池30の充電を開始する(ステップS14)。
【0088】
続いて所定時間経過後に当該入力電源の充電を停止すべきか否かを判定する(ステップS15)。充電停止の判定の方法は第1の実施形態と同様である。
【0089】
前記入力電源による充電を停止すべきと判定した場合(ステップS15;Y)は、接続候補となる入力電源が存在するか否かの判断の処理に進み、反対に、充電を停止しなくてもよいと判定した場合(ステップS15;N)は、ステップS13に戻って充電条件と比較し、充電を継続する。
【0090】
本実施形態の接続候補となる入力電源が存在するか否かの判断は、接続可能な入力電源を走査し、廃棄が決定された入力電源を除いて所定の順番にしたがってまだ使用可能な入力電源をDC−DCコンバータ2に接続し、当該入力電源の電力供給能力を測定し(ステップS12)、二次電池30の充電条件と比較し(ステップS13)、電力供給能力が二次電池30の充電条件より大きければ充電を開始し(ステップS14)、小さければ廃棄の判定を行い(ステップS23)、また次の使用可能な入力電源を探すようにする。
【0091】
すべての入力電源が廃棄決定された場合、及び、すべての入力電源を所定回数以上走査した場合に、ステップS19の充電完了の判断を行う。
【0092】
第2の実施形態によれば、各電池の回復時間を決定することなく、使用可能な電池を順番に検索し、充電可能であれば充電するという単純な処理により、処理の単純化をはかることができる。
【0093】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る電力回収装置について説明する。図7は、第3の実施形態に係る電力回収装置100の概略的な構成を示している。図7に示すように、電力回収装置100は、複数の電力回収装置10A,10B,10Cと、電力回収装置10A,10B,10Cの各々の出力端に接続された整流素子110と、を備える。
【0094】
電力回収装置10A,10B,10Cは、第1,第2の実施形態に係る電力回収装置10と同じ構成を有するが、各々が有するDC−DCコンバータ2はフィードバック制御機構を有し、出力電圧はいずれも等しい。
【0095】
整流素子110は、電力回収装置10A,10Bまたは10Cの出力端と、電力回収装置100の出力端との間に設けられている。図7に示すように、整流素子110は、電力回収装置10A,10Bまたは10Cから電力回収装置100の出力端に順方向電流が流れるように設けられている。即ち、整流素子110は、一端が電力回収装置10A,10Bまたは10Cの出力端に接続され、電力回収装置10A,10Bまたは10Cからの電力を供給する方向を順方向とする。
【0096】
上記の構成により、各電力回収装置10A,10B,10Cからそれぞれ出力された直流電流I,I,Iは合算されて電流I(=I+I+I)となり、電力回収装置100の出力端から出力される。
【0097】
よって、第3の実施形態によれば、第1,第2の実施形態と同様に入力電源20の残存電力を可及的に多く回収することができ、さらに、出力電流を増加させることができる。これにより、例えば、二次電池30の充電時間を短縮することができる。
【0098】
なお、電力回収装置100は、合算された電流Iを所望の電流値に調整する電流調整回路120をさらに備えてもよい。このような構成によれば、電力回収装置100の出力端に接続された電気的負荷に応じた電流を出力することができる。これにより、例えば、二次電池30の充電効率を高めることができる。
【0099】
以上、本発明に係る3つの実施形態について説明したが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0100】
例えば、上記の実施形態では、電力回収装置の出力端には二次電池が接続されていたが、電力回収装置10,100の出力に接続されるものは、これに限らず、他の電気的負荷(例えば、モータ、電球等)でもよい。
【0101】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 スイッチ部
2 DC/DCコンバータ
3 制御部
4 メモリ
10,10A,10B,10C,100 電力回収装置
20,20a,20b,20c,20d,20e 入力電源
30 二次電池
110 整流素子
120 電流調整回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された直流電圧を昇圧または降圧して出力するDC−DCコンバータと、
残存電力を有する電池を含む複数の入力電源が接続可能であり、切り換えにより前記入力電源のうちいずれかを前記DC−DCコンバータに電気的に接続するスイッチ部と、
接続された入力電源の回復完了の有無と廃棄の要否の情報を含み接続可能な入力電源を判別できる接続候補表と、充電される二次電池の充電条件あるいは電気的負荷を駆動するための負荷条件と、前記入力電源による充電を停止するための充電停止条件と、充電停止後に前記充電条件あるいは負荷条件を満たすようになるまでの電池の回復時間を求めるための回復時間テーブルあるいは近似関係式と、電池の廃棄の可否を決定するための廃棄基準表とを格納したメモリと、
前記メモリの接続候補表を参照し接続可能な入力電源の中から所定の入力電源を選択し、前記スイッチ部を制御して前記入力電源を前記DC−DCコンバータに接続し、次に前記入力電源の電力供給能力を入力して前記メモリの充電条件あるいは負荷条件と比較し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件より大きい場合は前記入力電源による充電を開始し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件を満たない場合には前記メモリの廃棄基準表を参照して前記入力電源の廃棄の可否を判断し、前記入力電源による充電を開始した場合は所定時間経過後の前記入力電源の電圧あるいは電力を入力して前記メモリに記憶された充電停止条件によって前記入力電源による充電の停止の要否を判断し、前記入力電源による充電を停止すべきと判断した場合には前記メモリに記憶された前記回復時間テーブルあるいは近似関係式を参照して前記入力電源の回復時間を決定して当該入力電源を回復のための休止状態に付し、前記メモリの接続候補表を参照し次の接続可能な入力電源を検索する、制御部と、
を備えることを特徴とする電力回収装置。
【請求項2】
前記メモリに記憶された前記入力電源の回復時間テーブルあるいは近似関係式は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点までの経過時間及び前記経過時間における電圧と、前記充電条件および前記充電される二次電池の蓄電状態あるいは負荷条件による補正値と、回復時間との対応を電池の種類ごとに定めたテーブルあるいは近似関係式からなり、
前記制御部は、充電を行っている入力電源について実際に計測した電圧降下開始点までの経過時間及び前記経過時間における電圧を入力し、前記回復時間テーブルあるいは近似関係式から当該入力電源の回復時間を決定することを特徴とする請求項1記載の電力回収装置。
【請求項3】
前記メモリに記憶された前記入力電源の回復時間テーブルあるいは近似関係式は、前記充電条件あるいは負荷条件を基準に定めた基準値より電圧あるいは電力が低下する充電停止点までの経過時間と、前記充電条件および前記充電される二次電池の蓄電状態あるいは負荷条件による補正値と、回復時間との対応を電池の種類ごとに定めたテーブルあるいは近似関係式からなり、
前記制御部は、充電を行っている入力電源について実際に計測した充電停止点までの経過時間を入力し、前記回復時間テーブルあるいは近似関係式から当該入力電源の回復時間を決定することを特徴とする請求項1記載の電力回収装置。
【請求項4】
前記接続候補表は、回復時間が経過した電池についてはただちに回復済みの状態に更新し、前記制御部は回復済みの入力電源の中から前記DC−DCコンバータに接続すべき入力電源を選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力回収装置。
【請求項5】
前記メモリに記憶された前記入力電源の充電停止条件は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点、または前記充電条件あるいは負荷条件を基準として定めた基準値より電圧または電力が低下した充電停止点を充電停止の条件とし、
前記制御部は、充電を行っている入力電源の電圧あるいは電圧と電流を所定時間ごとに入力し、前記入力電源が前記電圧降下開始点または前記充電停止点を時間的に経過したときに、当該入力電源の充電を停止させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力回収装置。
【請求項6】
前記廃棄基準表は、判断対象の入力電源について、(a)回復時間の総和が上限値に達したこと、(b)所定回数の回復期を経たこと、(c)放電期における初期の出力電圧が所定値より低いこと、(d)放電期における初期の出力電圧の持続時間が所定値より短いこと、(e)回復時間が所定値よりも長いこと、(f)放電期の出力電圧の低下速度が所定値よりも大きいこと、又は(g)回収された電力が所定値に達しないことを廃棄基準とし、
前記制御部は、前記DC−DCコンバータに初回接続された入力電源を除き、前記廃棄基準のいずれかまたは複数の組合せに該当する入力電源について廃棄すべきと判断し、廃棄の信号を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力回収装置。
【請求項7】
前記入力電源は補完用電源を含み、
前記制御部は、接続可能な入力電源がすべて接続候補の条件を満たしていなくなり、且つ、充電すべき二次電池に蓄積された電力が蓄電容量に達していないときに、前記スイッチ部を制御して前記補完用電源をDC−DCコンバータに接続させ、前記補完用電源によって前記二次電池を充電することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電力回収装置。
【請求項8】
入力された直流電圧を昇圧または降圧して出力するDC−DCコンバータと、
残存電力を有する電池を含む複数の入力電源が接続可能であり、切り換えにより前記入力電源のうちいずれかを前記DC−DCコンバータに電気的に接続するスイッチ部と、
接続された入力電源の回復完了の有無と廃棄の要否の情報を含み接続可能な入力電源を判別できる接続候補表と、充電される二次電池の充電条件あるいは電気的負荷を駆動するための負荷条件と、前記入力電源による充電を停止するための充電停止条件と、電池の廃棄の可否を決定するための廃棄基準表とを格納したメモリと、
前記メモリの接続候補表を参照し接続可能な入力電源の中から所定の入力電源を選択し、前記スイッチ部を制御して前記入力電源を前記DC−DCコンバータに接続し、次に前記入力電源の電力供給能力を入力して前記メモリの充電条件あるいは負荷条件と比較し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件より大きい場合は前記入力電源による充電を開始し、前記入力電源の電力供給能力が前記充電条件あるいは負荷条件を満たない場合には前記メモリの廃棄基準表を参照して前記入力電源の廃棄の可否を判断し、前記入力電源による充電を開始した場合は所定時間経過後の前記入力電源の電圧を入力して前記メモリに記憶された充電停止条件によって前記入力電源による充電の停止の要否を判断し、前記入力電源による充電を停止すべきと判断した場合には当該入力電源を回復のための休止状態に付し、前記メモリの接続候補表を参照し所定の順番にもとづいて次の接続可能な入力電源を検索する、制御部と、
を備えることを特徴とする電力回収装置。
【請求項9】
前記メモリに記憶された前記入力電源の充電停止条件は、電圧低下速度が所定値より大きくなる電圧降下開始点、または前記充電条件あるいは負荷条件を基準として定めた基準値より電圧または電力が低下した充電停止点を充電停止の条件とし、
前記制御部は、充電を行っている入力電源の電圧あるいは電圧と電流を所定時間ごとに入力し、前記入力電源が前記電圧降下開始点または前記充電停止点を時間的に経過したときに、当該入力電源の充電を停止させることを特徴とする請求項8に記載の電力回収装置。
【請求項10】
前記廃棄基準表は、判断対象の入力電源について、(a)回復時間の総和が上限値に達したこと、(b)所定回数の回復期を経たこと、(c)放電期における初期の出力電圧が所定値より低いこと、(d)放電期における初期の出力電圧の持続時間が所定値より短いこと、(e)回復時間が所定値よりも長いこと、(f)放電期の出力電圧の低下速度が所定値よりも大きいこと、又は(g)回収された電力が所定値に達しないことを廃棄基準とし、
前記制御部は、前記DC−DCコンバータに初回接続された入力電源を除き、前記廃棄基準のいずれかまたは複数の組合せに該当する入力電源について廃棄すべきと判断し、廃棄の信号を出力することを特徴とする請求項8または9に記載の電力回収装置。
【請求項11】
前記入力電源は補完用電源を含み、
前記制御部は、接続可能な入力電源がすべて接続候補の条件を満たしていなくなり、且つ、充電すべき二次電池に蓄積された電力が蓄電容量に達していないときに、前記スイッチ部を制御して前記補完用電源をDC−DCコンバータに接続させ、前記補完用電源によって前記二次電池を充電することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の電力回収装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電力回収装置を複数備えるとともに、一端が前記複数の電力回収装置の出力端に接続され、前記複数の電力回収装置からの電力を供給する方向を順方向とする整流素子を備えることを特徴とする電力回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230819(P2012−230819A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98275(P2011−98275)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(502360341)株式会社 ケイ・エム・アールシステムズ (1)
【Fターム(参考)】