電力変換装置
【課題】電力損失が小さな電力変換装置を提供する。
【解決手段】この電力変換装置では、マイクロコンピュータ20は、NチャネルMOSトランジスタ42,43の飽和電圧がIGBT6,9の飽和電圧よりも低くなる低電流域では、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、IGBT6,9の飽和電圧がNチャネルMOSトランジスタ42,43の飽和電圧よりも低くなる高電流域では、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。したがって、トランジスタの直流損失を低減できる。
【解決手段】この電力変換装置では、マイクロコンピュータ20は、NチャネルMOSトランジスタ42,43の飽和電圧がIGBT6,9の飽和電圧よりも低くなる低電流域では、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、IGBT6,9の飽和電圧がNチャネルMOSトランジスタ42,43の飽和電圧よりも低くなる高電流域では、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。したがって、トランジスタの直流損失を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に関し、特に、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽電池で発生した直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換して家庭用電気機器に供給するシステムである。太陽電池の発電効率は高くないので、太陽電池で発生した電力をパワーコンディショナで効率良く交流電力に変換する必要がある。パワーコンディショナにはIPM(Intelligent Power Module)が使用されており、IPMにおける電力損失の低減化が図られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−79475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のIPMの電力損失は未だ大きかった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、電力損失が小さな電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に並列接続される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、それぞれ第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードと、負荷電流を検出する電流検出器と、制御回路とを備えたものである。制御回路は、負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、MOSトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御し、負荷に流れる電流がしきい値電流よりも高い場合は、第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第2の周波数でオン/オフ制御する。したがって、負荷電流に応じて、第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタのうちの飽和電圧が低い方のトランジスタを使用するので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0006】
また、この発明に係る他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に並列接続され、ともに第1の周波数でオン/オフ制御される複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1のダイオードと、第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備えたものである。したがって、低速側アームにおいて複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを並列接続したので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0007】
また、この発明に係るさらに他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、各々が第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された複数の第1のダイオードと、第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備えたものである。したがって、低速側アームにおいて複数の第1のダイオードを並列接続したので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0008】
また、この発明に係るさらに他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、それぞれ第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードとを備えたものである。第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧は第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧よりも低く設定されている。したがって、低速側アームにおいて第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの直流損失を小さくするとともに、高速側アームにおいて第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのスイッチング損失を小さくすることができ、電力損失の低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、電力変換装置の電力損失の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の基礎となる電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示した電力変換装置の他の部分を示す回路ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図4】図3に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図5】図4に示した抵抗素子およびフィルタ回路の動作を示す図である。
【図6】図4に示したIGBTとNチャネルMOSトランジスタの電流−飽和電圧特性を示す図である。
【図7】実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図9】図8に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図10】図9に示したIGBTおよびダイオードの電流−電圧特性を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図12】図11に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図13】図12に示したIGBTの飽和電圧およびターンオフ損失を示す図である。
【図14】図12に示したIGBTの直流損失およびターンオフ損失を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態について説明する前に、本願発明の基礎となる電力変換装置について説明する。図1に示すように、この電力変換装置はIPM1を備える。IPM1は、複数の端子T1〜T26と、高耐圧のHVIC2〜4、低耐圧のLVIC5、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)6〜11、およびフリー・ホイーリング・ダイオード(Free Wheeling Diode)12〜17を含む。
【0012】
バイアス端子T1,T5,T9は、それぞれバイアス電圧VB1〜VB3を受け、それぞれHVIC2〜4のバイアス端子(VB)に接続される。ソース端子T2,T6,T10は、それぞれソース電圧VS1〜VS3を受け、それぞれHVIC2〜4のソース端子(VS)に接続される。HVIC2〜4のソース端子(VS)は、それぞれ交流出力端子T23〜T25に接続される。
【0013】
電源端子T3,T7,T11は、ともに直流電源電圧VCC(たとえば15V)を受け、それぞれHVIC2〜4の電源端子(VCC)に接続される。信号入力端子T4,T8,T12は、それぞれ制御信号φUP,φVP,φWPを受け、それぞれHVIC2〜4の信号入力端子(IN)に接続される。共通端子T13は、基準電圧VNCを受け、HVIC2〜4の共通端子(COM)に接続される。
【0014】
電源端子T14は、直流電源電圧VCCを受け、LVIC5の電源端子(VCC)に接続される。信号入力端子T15〜T17は、それぞれ制御信号φUN,φVN,φWNを受け、それぞれLVIC5の信号入力端子(UN,VN,WN)に接続される。信号出力端子T18,T20には、LVIC5から所定の信号FO,CFOがそれぞれ出力される。共通端子T19は、基準電圧VNCを受け、LVIC5の接地端子(GND)および基準電圧端子(VNO)に接続される。信号入力端子T21には、たとえば負荷電流のレベルを示す信号CINが入力される。
【0015】
正電圧端子T22には、太陽電池で生成された正の直流電圧VPが印加される。負電圧端子T26には、太陽電池で生成された負の直流電圧VNが印加される。交流出力端子T23〜T25には、三相交流電圧VU,VV,VWが出力され、たとえば三相モータが接続される。
【0016】
IGBT6〜8のコレクタは正電圧端子T22に接続され、それらのゲートはそれぞれHVIC2〜4の出力端子(HO)に接続され、それらのエミッタはそれぞれ交流出力端子T23〜T25に接続される。IGBT9〜11のコレクタはそれぞれ交流出力端子T23〜T25に接続され、それらのゲートはそれぞれLVIC5の信号出力端子(UO,VO,WO)に接続され、それらのエミッタはともに負電圧端子T26に接続される。ダイオード12〜17は、それぞれIGBT6〜11に逆並列に接続される。
【0017】
また、この電力変換装置は、図2に示すように、マイクロコンピュータ20、ダイオード21,26,31、抵抗素子22,27,32,36、コンデンサ23〜25,28〜30,33〜35,37,39、および直流電源38を備える。
【0018】
マイクロコンピュータ20は、制御信号φUP,φVP,φWP,φUN,φVN,φWNを生成して信号入力端子T4,T8,T12,T15〜T17に与える。直流電源38は、電源端子T3,T7,T11,T14に電源電圧VCCを供給する。電源端子T3,T7,T11,T14は、それぞれコンデンサ25,30,35,37を介して接地される。
【0019】
ダイオード21および抵抗素子22は、電源電圧VCCのライン(直流電源38の正極)とバイアス端子T1に直列接続される。コンデンサ23,24は、端子T1,T2間に並列接続される。ダイオード26および抵抗素子27は、電源電圧VCCのラインとバイアス端子T5との間に直列接続される。コンデンサ28,29は、端子T5,T6間に並列接続される。ダイオード31および抵抗素子32は、電源電圧VCCのラインとバイアス端子T9との間に直列接続される。コンデンサ33,34は、端子T9,T10間に並列接続される。
【0020】
共通端子T13,T19は、直流電源38の負極に接続されるとともに、マイクロコンピュータ20の共通端子に接続される。信号出力端子T18は、抵抗素子36を介して電源電圧Vdd(たとえば5V)のラインに接続されるとともに、マイクロコンピュータ20に接続される。
【0021】
このように接続することにより、マイクロコンピュータ20は、IGBT6〜11をオン/オフ制御し、直流電圧VP,VNに基づいて三相交流電圧VU,VV,VWを生成し、三相交流モータのような負荷を駆動することが可能となる。しかし、このような電力変換装置では、電力損失が大きかった。
【0022】
[実施の形態1]
図3は、この発明の実施の形態1による電力変換装置のIPM41の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図3において、このIPM41が図1のIPM1と異なる点は、IGBT8,11がそれぞれNチャネルMOSトランジスタ42,43で置換され、交流出力端子T25が除去されている点である。
【0023】
トランジスタ42のドレインは正電圧端子T22に接続され、そのゲートはHVIC4の出力端子(HO)に接続され、そのソースは交流出力端子T23に接続される。トランジスタ43のドレインは交流出力端子T23に接続され、そのゲートはLVIC5の出力端子(WO)に接続され、そのソースは負電圧端子T26に接続される。すなわち、トランジスタ42,43は、それぞれIGBT6,9に並列接続される。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0024】
図4は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図4において、この電力変換装置は、IPM41の他に、コンデンサ44、抵抗素子45、フィルタ回路46、およびマイクロコンピュータ20を備える。
【0025】
コンデンサ44の一方端子は正電圧端子T22に接続され、その他方端子は接地される。コンデンサ44は、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。抵抗素子45の一方端子は負電圧端子T26に接続され、その他方端子は接地される。したがって、抵抗素子45には、負荷電流に応じたレベルの母線電流Iが流れ、負電圧端子T26には、母線電流Iに応じたレベルの電圧VDが発生する。図5に示すように、母線電流Iにはパルス状のスパイク電流が含まれ、電圧VDにはパルス状のスパイク電圧が含まれる。フィルタ回路46は、その電圧VDからスパイク電圧を除去する低域フィルタである。フィルタ回路46の出力電圧VDFは、マイクロコンピュータ20に与えられる。
【0026】
図6は、IGBTの各々の電流−飽和電圧特性とNチャネルMOSトランジスタの各々の電流−飽和電圧特性とを比較する図である。図6に示すように、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも小さい場合は、NチャネルMOSトランジスタの飽和電圧はIGBTの飽和電圧よりも低く、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも大きい場合は、IGBTの飽和電圧はNチャネルMOSトランジスタの飽和電圧よりも低い。したがって、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも低い低電流域ではNチャネルMOSトランジスタを使用し、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも高い高電流域ではIGBTを使用することにより、トランジスタで発生する直流損失を低減化することができる。
【0027】
そこで、マイクロコンピュータ20は、フィルタ回路46を通過した電圧VDFが予め定められたしきい値電圧VTHよりも低い場合は、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも高い場合は、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。
【0028】
すなわち、電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも低い場合は、IGBT6,9がオフ状態に固定され、負荷に正電流を供給する期間は、トランジスタ42がオンされるとともにIGBT10がキャリア周波数(たとえば、15kHz以上)でオン/オフ制御され、負荷に負電流を供給する期間は、トランジスタ43がオンされるとともにIGBT7がキャリア周波数でオン/オフ制御される。なお、トランジスタ42,43は、商用周波数(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0029】
電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも高い場合は、トランジスタ42,43がオフ状態に固定され、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6がオンされるとともにIGBT10がキャリア周波数でオン/オフ制御され、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9がオンされるとともにIGBT7がキャリア周波数でオン/オフ制御される。なお、IGBT6,9は、商用周波数でオン/オフ制御される。
【0030】
この実施の形態1では、負荷電流がしきい値電流ITHよりも低い場合はNチャネルMOSトランジスタ42,43を使用し、負荷電流がしきい値電流ITHよりも高い場合はIGBT6,9を使用するので、トランジスタで発生する直流損失を低減することができ、IPM41における電力損失の低減化を図ることができる。
【0031】
なお、この実施の形態1では、低速側のIGBT6,9のみにNチャネルMOSトランジスタ42,43を並列接続し、負荷電流に応じてIGBT6,9とNチャネルMOSトランジスタ42,43を使い分けたが、高速側のIGBT7,10の各々にもNチャネルMOSトランジスタを並列接続し、負荷電流に応じてIGBT7,10とNチャネルMOSトランジスタを使い分けてもよい。ただし、低速側のトランジスタでは、低速(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御するので、全損失の99%以上が直流損失となるが、高速側のトランジスタでは、高速(15kHz以上)でオン/オフ制御するので、全損失の30%が直流損失となり、70%がスイッチング損失となる。したがって、高速側のIGBT7,10の各々にNチャネルMOSトランジスタを並列接続して使い分ける効果は、低速側のIGBT6,9にNチャネルMOSトランジスタ42,43を並列接続して使い分ける効果に比べて小さい。
【0032】
また、図7は、この実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図7において、この電力変換装置が図4の電力変換装置と異なる点は、抵抗素子45およびフィルタ回路46が電流センサ47および電流検出回路48で置換されている点である。電流センサ47は、負荷電流に応じたレベルの信号を出力する。電流検出回路48は、電流センサ47の出力信号に基づいて、負荷電流のレベルを示す信号をマイクロコンピュータ20に与える。マイクロコンピュータ20は、負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、負荷電流がしきい値電流よりも高い場合は、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。この変更例でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0033】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による電力変換装置のIPM51の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図8において、このIPM51が図1のIPM1と異なる点は、IGBT8のエミッタ、ダイオード14のアノード、IGBT11のコレクタ、およびダイオード17のカソードがともに交流出力端子T23に接続され、交流出力端子T25が除去されている点である。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0034】
図9は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図9において、この電力変換装置は、IPM51の他に、コンデンサ44およびマイクロコンピュータ20を備える。コンデンサ44は、正電圧端子T22と負電圧端子T26の間に接続され、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。
【0035】
マイクロコンピュータ20は、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6,8をオンするとともにIGBT10をキャリア周波数でオン/オフ制御し、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9,11をオンするとともにIGBT7をキャリア周波数でオン/オフ制御する。なお、IGBT6,8,9,11は、商用周波数でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0036】
図10(a)は、1つのIGBT6のコレクタ電流−飽和電圧特性(点線)と2つのIGBT6,8の並列接続体のコレクタ電流−飽和電圧特性(実線)とを比較する図である。また、図10(b)は、1つのダイオード12の順方向電流−順方向電圧特性(点線)と2つのダイオード12,14の並列接続体の順方向電流−順方向電圧特性(実線)とを比較する図である。図10(a)(b)から分かるように、1つのIGBT6よりも2つのIGBT6,8の方が飽和電圧が低くなり、1つのダイオード12よりも2つのダイオード12,14の方が順方向電圧が低くなる。
【0037】
したがって、この実施の形態2では、低速側のIGBTで発生する直流損失を低減することができ、IPMにおける電力損失の低減化を図ることができる。
【0038】
なお、この実施の形態2では、低速側では複数のIGBTの並列接続体を使用し、高速側では1つのIGBTを使用したが、高速側でも複数のIGBTの並列接続体を使用してもよい。ただし、低速側のIGBTでは、低速(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御するので、全損失の99%以上が直流損失となるが、高速側のIGBTでは、高速(15kHz以上)でオン/オフ制御するので、全損失の30%が直流損失となり、70%がスイッチング損失となる。したがって、高速側で複数のIGBTの並列接続体を使用する効果は、低速側で複数のIGBTの並列接続体を使用する効果に比べて小さい。
【0039】
[実施の形態3]
図11は、この発明の実施の形態3による電力変換装置のIPM55の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図11において、このIPM55が図1のIPM1と異なる点は、HVIC4、IGBT8,11、ダイオード14,17、および端子T9〜T12,T25が除去されている点である。また、低速側のIGBT6,9の各々にはターンオフ速度が遅いが飽和電圧の低い低速仕様のIGBTが使用され、高速側のIGBT7,10の各々にはターンオフ速度が速いが飽和電圧の高い高速仕様のIGBTが使用されている。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T8,T13〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0040】
図12は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図12において、この電力変換装置は、IPM55の他に、コンデンサ44およびマイクロコンピュータ20を備える。コンデンサ44は、正電圧端子T22と負電圧端子T26の間に接続され、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。
【0041】
マイクロコンピュータ20は、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6をオンするとともにIGBT10をキャリア周波数でオン/オフ制御し、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9をオンするとともにIGBT7をキャリア周波数でオン/オフ制御する。なお、IGBT6,9は、商用周波数でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0042】
ここで、IGBTの電力損失について説明する。IGBTの電力損失は、直流損失とスイッチ損失の和である。直流損失は、IGBTの飽和電圧とコレクタ電流の積である。スイッチ損失は、ターンオン損失とターンオフ損失の和である。
【0043】
図13は、IGBT6,7の各々の飽和電圧とターンオフ損失を示す図である。図13に示すように、低速仕様のIGBT6の飽和電圧V1は高速仕様のIGBT7の飽和電圧V2よりも小さいが、IGBT6で発生するターンオフ損失W1はIGBT7で発生するターンオフ損失W2よりも大きい。このように、IGBTの飽和電圧とターンオフ損失はトレードオフの関係にある。
【0044】
また、図14(a)は低速仕様のIGBT6のコレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Ic、直流損失、およびターンオフ損失を示す図であり、図14(b)は高速仕様のIGBT7のコレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Ic、直流損失、およびターンオフ損失を示す図である。
【0045】
図14(a)(b)から分かるように、低速仕様のIGBT6の飽和電圧は高速仕様のIGBT7の飽和電圧よりも小さいので、IGBT6の直流損失はIGBT7の直流損失よりも小さくなる。一方、低速仕様のIGBT6のターンオフ速度は高速仕様のIGBT7のターンオフ速度よりも遅いので、IGBT6のターンオフ損失はIGBT7のターンオフ損失よりも大きくなる。
【0046】
低速側のIGBT6,9は低い周波数(50Hzまたは60Hz)でオン/オフされるので、IGBT6,9の損失の99%以上が直流損失となる。したがって、低速側のIGBT6,9としては、高速仕様のIGBTを使用するよりも低速仕様のIGBTを使用した方がIGBT6,9における損失は小さくなる。
【0047】
これに対して、高速側のIGBT7,10は高い周波数(15kHz以上)でオン/オフされるので、IGBT7,10の損失の約70%以上がスイッチ損失となる。したがって、高速側のIGBT7,10としては、低速仕様のIGBTを使用するよりも高速仕様のIGBTを使用した方がIGBT7,10における損失は小さくなる。
【0048】
したがって、この実施の形態3では、IGBT6,7,9,10で発生する電力損失を小さくすることができ、IPM55における電力損失の低減化を図ることができる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
T1〜T26 端子、1,41,51,55 IPM、2〜4 HVIC、5 LVIC、6〜11 IGBT、12〜17,21,26,31 ダイオード、20 マイクロコンピュータ、22,27,32,36,45 抵抗素子、23〜25,28〜30,33〜35,37,39,44 コンデンサ、42,43 NチャネルMOSトランジスタ、46 フィルタ回路、47 電流センサ、48 電流検出回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に関し、特に、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽電池で発生した直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換して家庭用電気機器に供給するシステムである。太陽電池の発電効率は高くないので、太陽電池で発生した電力をパワーコンディショナで効率良く交流電力に変換する必要がある。パワーコンディショナにはIPM(Intelligent Power Module)が使用されており、IPMにおける電力損失の低減化が図られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−79475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のIPMの電力損失は未だ大きかった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、電力損失が小さな電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に並列接続される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、それぞれ第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードと、負荷電流を検出する電流検出器と、制御回路とを備えたものである。制御回路は、負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、MOSトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御し、負荷に流れる電流がしきい値電流よりも高い場合は、第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを第2の周波数でオン/オフ制御する。したがって、負荷電流に応じて、第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタのうちの飽和電圧が低い方のトランジスタを使用するので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0006】
また、この発明に係る他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に並列接続され、ともに第1の周波数でオン/オフ制御される複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1のダイオードと、第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備えたものである。したがって、低速側アームにおいて複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを並列接続したので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0007】
また、この発明に係るさらに他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、各々が第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された複数の第1のダイオードと、第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備えたものである。したがって、低速側アームにおいて複数の第1のダイオードを並列接続したので、電力損失の低減化を図ることができる。
【0008】
また、この発明に係るさらに他の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と負荷の他方端子との間に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、それぞれ第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードとを備えたものである。第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧は第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧よりも低く設定されている。したがって、低速側アームにおいて第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの直流損失を小さくするとともに、高速側アームにおいて第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのスイッチング損失を小さくすることができ、電力損失の低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、電力変換装置の電力損失の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の基礎となる電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示した電力変換装置の他の部分を示す回路ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図4】図3に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図5】図4に示した抵抗素子およびフィルタ回路の動作を示す図である。
【図6】図4に示したIGBTとNチャネルMOSトランジスタの電流−飽和電圧特性を示す図である。
【図7】実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図9】図8に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図10】図9に示したIGBTおよびダイオードの電流−電圧特性を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3による電力変換装置のIPMの構成を示す回路ブロック図である。
【図12】図11に示したIPMを備えた電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図13】図12に示したIGBTの飽和電圧およびターンオフ損失を示す図である。
【図14】図12に示したIGBTの直流損失およびターンオフ損失を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態について説明する前に、本願発明の基礎となる電力変換装置について説明する。図1に示すように、この電力変換装置はIPM1を備える。IPM1は、複数の端子T1〜T26と、高耐圧のHVIC2〜4、低耐圧のLVIC5、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)6〜11、およびフリー・ホイーリング・ダイオード(Free Wheeling Diode)12〜17を含む。
【0012】
バイアス端子T1,T5,T9は、それぞれバイアス電圧VB1〜VB3を受け、それぞれHVIC2〜4のバイアス端子(VB)に接続される。ソース端子T2,T6,T10は、それぞれソース電圧VS1〜VS3を受け、それぞれHVIC2〜4のソース端子(VS)に接続される。HVIC2〜4のソース端子(VS)は、それぞれ交流出力端子T23〜T25に接続される。
【0013】
電源端子T3,T7,T11は、ともに直流電源電圧VCC(たとえば15V)を受け、それぞれHVIC2〜4の電源端子(VCC)に接続される。信号入力端子T4,T8,T12は、それぞれ制御信号φUP,φVP,φWPを受け、それぞれHVIC2〜4の信号入力端子(IN)に接続される。共通端子T13は、基準電圧VNCを受け、HVIC2〜4の共通端子(COM)に接続される。
【0014】
電源端子T14は、直流電源電圧VCCを受け、LVIC5の電源端子(VCC)に接続される。信号入力端子T15〜T17は、それぞれ制御信号φUN,φVN,φWNを受け、それぞれLVIC5の信号入力端子(UN,VN,WN)に接続される。信号出力端子T18,T20には、LVIC5から所定の信号FO,CFOがそれぞれ出力される。共通端子T19は、基準電圧VNCを受け、LVIC5の接地端子(GND)および基準電圧端子(VNO)に接続される。信号入力端子T21には、たとえば負荷電流のレベルを示す信号CINが入力される。
【0015】
正電圧端子T22には、太陽電池で生成された正の直流電圧VPが印加される。負電圧端子T26には、太陽電池で生成された負の直流電圧VNが印加される。交流出力端子T23〜T25には、三相交流電圧VU,VV,VWが出力され、たとえば三相モータが接続される。
【0016】
IGBT6〜8のコレクタは正電圧端子T22に接続され、それらのゲートはそれぞれHVIC2〜4の出力端子(HO)に接続され、それらのエミッタはそれぞれ交流出力端子T23〜T25に接続される。IGBT9〜11のコレクタはそれぞれ交流出力端子T23〜T25に接続され、それらのゲートはそれぞれLVIC5の信号出力端子(UO,VO,WO)に接続され、それらのエミッタはともに負電圧端子T26に接続される。ダイオード12〜17は、それぞれIGBT6〜11に逆並列に接続される。
【0017】
また、この電力変換装置は、図2に示すように、マイクロコンピュータ20、ダイオード21,26,31、抵抗素子22,27,32,36、コンデンサ23〜25,28〜30,33〜35,37,39、および直流電源38を備える。
【0018】
マイクロコンピュータ20は、制御信号φUP,φVP,φWP,φUN,φVN,φWNを生成して信号入力端子T4,T8,T12,T15〜T17に与える。直流電源38は、電源端子T3,T7,T11,T14に電源電圧VCCを供給する。電源端子T3,T7,T11,T14は、それぞれコンデンサ25,30,35,37を介して接地される。
【0019】
ダイオード21および抵抗素子22は、電源電圧VCCのライン(直流電源38の正極)とバイアス端子T1に直列接続される。コンデンサ23,24は、端子T1,T2間に並列接続される。ダイオード26および抵抗素子27は、電源電圧VCCのラインとバイアス端子T5との間に直列接続される。コンデンサ28,29は、端子T5,T6間に並列接続される。ダイオード31および抵抗素子32は、電源電圧VCCのラインとバイアス端子T9との間に直列接続される。コンデンサ33,34は、端子T9,T10間に並列接続される。
【0020】
共通端子T13,T19は、直流電源38の負極に接続されるとともに、マイクロコンピュータ20の共通端子に接続される。信号出力端子T18は、抵抗素子36を介して電源電圧Vdd(たとえば5V)のラインに接続されるとともに、マイクロコンピュータ20に接続される。
【0021】
このように接続することにより、マイクロコンピュータ20は、IGBT6〜11をオン/オフ制御し、直流電圧VP,VNに基づいて三相交流電圧VU,VV,VWを生成し、三相交流モータのような負荷を駆動することが可能となる。しかし、このような電力変換装置では、電力損失が大きかった。
【0022】
[実施の形態1]
図3は、この発明の実施の形態1による電力変換装置のIPM41の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図3において、このIPM41が図1のIPM1と異なる点は、IGBT8,11がそれぞれNチャネルMOSトランジスタ42,43で置換され、交流出力端子T25が除去されている点である。
【0023】
トランジスタ42のドレインは正電圧端子T22に接続され、そのゲートはHVIC4の出力端子(HO)に接続され、そのソースは交流出力端子T23に接続される。トランジスタ43のドレインは交流出力端子T23に接続され、そのゲートはLVIC5の出力端子(WO)に接続され、そのソースは負電圧端子T26に接続される。すなわち、トランジスタ42,43は、それぞれIGBT6,9に並列接続される。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0024】
図4は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図4において、この電力変換装置は、IPM41の他に、コンデンサ44、抵抗素子45、フィルタ回路46、およびマイクロコンピュータ20を備える。
【0025】
コンデンサ44の一方端子は正電圧端子T22に接続され、その他方端子は接地される。コンデンサ44は、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。抵抗素子45の一方端子は負電圧端子T26に接続され、その他方端子は接地される。したがって、抵抗素子45には、負荷電流に応じたレベルの母線電流Iが流れ、負電圧端子T26には、母線電流Iに応じたレベルの電圧VDが発生する。図5に示すように、母線電流Iにはパルス状のスパイク電流が含まれ、電圧VDにはパルス状のスパイク電圧が含まれる。フィルタ回路46は、その電圧VDからスパイク電圧を除去する低域フィルタである。フィルタ回路46の出力電圧VDFは、マイクロコンピュータ20に与えられる。
【0026】
図6は、IGBTの各々の電流−飽和電圧特性とNチャネルMOSトランジスタの各々の電流−飽和電圧特性とを比較する図である。図6に示すように、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも小さい場合は、NチャネルMOSトランジスタの飽和電圧はIGBTの飽和電圧よりも低く、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも大きい場合は、IGBTの飽和電圧はNチャネルMOSトランジスタの飽和電圧よりも低い。したがって、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも低い低電流域ではNチャネルMOSトランジスタを使用し、トランジスタに流れる電流Iがしきい値電流ITHよりも高い高電流域ではIGBTを使用することにより、トランジスタで発生する直流損失を低減化することができる。
【0027】
そこで、マイクロコンピュータ20は、フィルタ回路46を通過した電圧VDFが予め定められたしきい値電圧VTHよりも低い場合は、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも高い場合は、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。
【0028】
すなわち、電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも低い場合は、IGBT6,9がオフ状態に固定され、負荷に正電流を供給する期間は、トランジスタ42がオンされるとともにIGBT10がキャリア周波数(たとえば、15kHz以上)でオン/オフ制御され、負荷に負電流を供給する期間は、トランジスタ43がオンされるとともにIGBT7がキャリア周波数でオン/オフ制御される。なお、トランジスタ42,43は、商用周波数(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0029】
電圧VDFがしきい値電圧VTHよりも高い場合は、トランジスタ42,43がオフ状態に固定され、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6がオンされるとともにIGBT10がキャリア周波数でオン/オフ制御され、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9がオンされるとともにIGBT7がキャリア周波数でオン/オフ制御される。なお、IGBT6,9は、商用周波数でオン/オフ制御される。
【0030】
この実施の形態1では、負荷電流がしきい値電流ITHよりも低い場合はNチャネルMOSトランジスタ42,43を使用し、負荷電流がしきい値電流ITHよりも高い場合はIGBT6,9を使用するので、トランジスタで発生する直流損失を低減することができ、IPM41における電力損失の低減化を図ることができる。
【0031】
なお、この実施の形態1では、低速側のIGBT6,9のみにNチャネルMOSトランジスタ42,43を並列接続し、負荷電流に応じてIGBT6,9とNチャネルMOSトランジスタ42,43を使い分けたが、高速側のIGBT7,10の各々にもNチャネルMOSトランジスタを並列接続し、負荷電流に応じてIGBT7,10とNチャネルMOSトランジスタを使い分けてもよい。ただし、低速側のトランジスタでは、低速(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御するので、全損失の99%以上が直流損失となるが、高速側のトランジスタでは、高速(15kHz以上)でオン/オフ制御するので、全損失の30%が直流損失となり、70%がスイッチング損失となる。したがって、高速側のIGBT7,10の各々にNチャネルMOSトランジスタを並列接続して使い分ける効果は、低速側のIGBT6,9にNチャネルMOSトランジスタ42,43を並列接続して使い分ける効果に比べて小さい。
【0032】
また、図7は、この実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図7において、この電力変換装置が図4の電力変換装置と異なる点は、抵抗素子45およびフィルタ回路46が電流センサ47および電流検出回路48で置換されている点である。電流センサ47は、負荷電流に応じたレベルの信号を出力する。電流検出回路48は、電流センサ47の出力信号に基づいて、負荷電流のレベルを示す信号をマイクロコンピュータ20に与える。マイクロコンピュータ20は、負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、NチャネルMOSトランジスタ42,43およびIGBT7,10をオン/オフ制御し、負荷電流がしきい値電流よりも高い場合は、IGBT6,7,9,10をオン/オフ制御する。この変更例でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0033】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による電力変換装置のIPM51の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図8において、このIPM51が図1のIPM1と異なる点は、IGBT8のエミッタ、ダイオード14のアノード、IGBT11のコレクタ、およびダイオード17のカソードがともに交流出力端子T23に接続され、交流出力端子T25が除去されている点である。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0034】
図9は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図9において、この電力変換装置は、IPM51の他に、コンデンサ44およびマイクロコンピュータ20を備える。コンデンサ44は、正電圧端子T22と負電圧端子T26の間に接続され、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。
【0035】
マイクロコンピュータ20は、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6,8をオンするとともにIGBT10をキャリア周波数でオン/オフ制御し、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9,11をオンするとともにIGBT7をキャリア周波数でオン/オフ制御する。なお、IGBT6,8,9,11は、商用周波数でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0036】
図10(a)は、1つのIGBT6のコレクタ電流−飽和電圧特性(点線)と2つのIGBT6,8の並列接続体のコレクタ電流−飽和電圧特性(実線)とを比較する図である。また、図10(b)は、1つのダイオード12の順方向電流−順方向電圧特性(点線)と2つのダイオード12,14の並列接続体の順方向電流−順方向電圧特性(実線)とを比較する図である。図10(a)(b)から分かるように、1つのIGBT6よりも2つのIGBT6,8の方が飽和電圧が低くなり、1つのダイオード12よりも2つのダイオード12,14の方が順方向電圧が低くなる。
【0037】
したがって、この実施の形態2では、低速側のIGBTで発生する直流損失を低減することができ、IPMにおける電力損失の低減化を図ることができる。
【0038】
なお、この実施の形態2では、低速側では複数のIGBTの並列接続体を使用し、高速側では1つのIGBTを使用したが、高速側でも複数のIGBTの並列接続体を使用してもよい。ただし、低速側のIGBTでは、低速(50Hzまたは60Hz)でオン/オフ制御するので、全損失の99%以上が直流損失となるが、高速側のIGBTでは、高速(15kHz以上)でオン/オフ制御するので、全損失の30%が直流損失となり、70%がスイッチング損失となる。したがって、高速側で複数のIGBTの並列接続体を使用する効果は、低速側で複数のIGBTの並列接続体を使用する効果に比べて小さい。
【0039】
[実施の形態3]
図11は、この発明の実施の形態3による電力変換装置のIPM55の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図11において、このIPM55が図1のIPM1と異なる点は、HVIC4、IGBT8,11、ダイオード14,17、および端子T9〜T12,T25が除去されている点である。また、低速側のIGBT6,9の各々にはターンオフ速度が遅いが飽和電圧の低い低速仕様のIGBTが使用され、高速側のIGBT7,10の各々にはターンオフ速度が速いが飽和電圧の高い高速仕様のIGBTが使用されている。交流出力端子T23,T24間には、単相の交流電圧VACが出力され、家庭用電気機器が接続される。端子T1〜T8,T13〜T19には、図2で示したように、電源電圧VCCなどが供給される。
【0040】
図12は、この電力変換装置の全体構成を示す回路ブロック図である。図12において、この電力変換装置は、IPM55の他に、コンデンサ44およびマイクロコンピュータ20を備える。コンデンサ44は、正電圧端子T22と負電圧端子T26の間に接続され、太陽電池で生成された直流電圧に充電される。
【0041】
マイクロコンピュータ20は、負荷に正電流を供給する期間は、IGBT6をオンするとともにIGBT10をキャリア周波数でオン/オフ制御し、負荷に負電流を供給する期間は、IGBT9をオンするとともにIGBT7をキャリア周波数でオン/オフ制御する。なお、IGBT6,9は、商用周波数でオン/オフ制御される。また、負荷に正弦波状の電流が流れるように、IGBT7,10のゲート電圧はパルス幅変調される。
【0042】
ここで、IGBTの電力損失について説明する。IGBTの電力損失は、直流損失とスイッチ損失の和である。直流損失は、IGBTの飽和電圧とコレクタ電流の積である。スイッチ損失は、ターンオン損失とターンオフ損失の和である。
【0043】
図13は、IGBT6,7の各々の飽和電圧とターンオフ損失を示す図である。図13に示すように、低速仕様のIGBT6の飽和電圧V1は高速仕様のIGBT7の飽和電圧V2よりも小さいが、IGBT6で発生するターンオフ損失W1はIGBT7で発生するターンオフ損失W2よりも大きい。このように、IGBTの飽和電圧とターンオフ損失はトレードオフの関係にある。
【0044】
また、図14(a)は低速仕様のIGBT6のコレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Ic、直流損失、およびターンオフ損失を示す図であり、図14(b)は高速仕様のIGBT7のコレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Ic、直流損失、およびターンオフ損失を示す図である。
【0045】
図14(a)(b)から分かるように、低速仕様のIGBT6の飽和電圧は高速仕様のIGBT7の飽和電圧よりも小さいので、IGBT6の直流損失はIGBT7の直流損失よりも小さくなる。一方、低速仕様のIGBT6のターンオフ速度は高速仕様のIGBT7のターンオフ速度よりも遅いので、IGBT6のターンオフ損失はIGBT7のターンオフ損失よりも大きくなる。
【0046】
低速側のIGBT6,9は低い周波数(50Hzまたは60Hz)でオン/オフされるので、IGBT6,9の損失の99%以上が直流損失となる。したがって、低速側のIGBT6,9としては、高速仕様のIGBTを使用するよりも低速仕様のIGBTを使用した方がIGBT6,9における損失は小さくなる。
【0047】
これに対して、高速側のIGBT7,10は高い周波数(15kHz以上)でオン/オフされるので、IGBT7,10の損失の約70%以上がスイッチ損失となる。したがって、高速側のIGBT7,10としては、低速仕様のIGBTを使用するよりも高速仕様のIGBTを使用した方がIGBT7,10における損失は小さくなる。
【0048】
したがって、この実施の形態3では、IGBT6,7,9,10で発生する電力損失を小さくすることができ、IPM55における電力損失の低減化を図ることができる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
T1〜T26 端子、1,41,51,55 IPM、2〜4 HVIC、5 LVIC、6〜11 IGBT、12〜17,21,26,31 ダイオード、20 マイクロコンピュータ、22,27,32,36,45 抵抗素子、23〜25,28〜30,33〜35,37,39,44 コンデンサ、42,43 NチャネルMOSトランジスタ、46 フィルタ回路、47 電流センサ、48 電流検出回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に並列接続される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
それぞれ前記第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードと、
負荷電流を検出する電流検出器と、
前記負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、前記MOSトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御し、前記負荷に流れる電流が前記しきい値電流よりも高い場合は、前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第1の周波数でオン/オフ制御するとともに前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第2の周波数でオン/オフ制御する制御回路とを備える、電力変換装置。
【請求項2】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に並列接続され、ともに第1の周波数でオン/オフ制御される複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1のダイオードと、
前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備える、電力変換装置。
【請求項3】
前記第1のダイオードは複数設けられている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
各々が前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された複数の第1のダイオードと、
前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備える、電力変換装置。
【請求項5】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
それぞれ前記第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードとを備え、
前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧は前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧よりも低く設定されている、電力変換装置。
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に並列接続される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタおよびMOSトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
それぞれ前記第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードと、
負荷電流を検出する電流検出器と、
前記負荷電流が予め定められたしきい値電流よりも低い場合は、前記MOSトランジスタを第1の周波数でオン/オフ制御するとともに前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御し、前記負荷に流れる電流が前記しきい値電流よりも高い場合は、前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第1の周波数でオン/オフ制御するとともに前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを前記第2の周波数でオン/オフ制御する制御回路とを備える、電力変換装置。
【請求項2】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に並列接続され、ともに第1の周波数でオン/オフ制御される複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記複数の第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1のダイオードと、
前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備える、電力変換装置。
【請求項3】
前記第1のダイオードは複数設けられている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
各々が前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された複数の第1のダイオードと、
前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第2のダイオードとを備える、電力変換装置。
【請求項5】
直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置であって、
第1の直流電圧を受ける第1の電源端子と前記負荷の一方端子との間に接続され、第1の周波数でオン/オフ制御される第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧を受ける第2の電源端子と前記負荷の他方端子との間に接続され、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数でオン/オフ制御される第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
それぞれ前記第1および第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに逆並列に接続された第1および第2のダイオードとを備え、
前記第1の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧は前記第2の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの飽和電圧よりも低く設定されている、電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−279193(P2010−279193A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130089(P2009−130089)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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