説明

電力変換装置

【課題】装置の大型化を抑えるとともに、制御基板の振動を抑制できる電圧変換装置を提供すること。
【解決手段】パワーモジュール13と、このパワーモジュール13を冷却するヒートシンク11と、パワーモジュール13を覆うカバー体15とを備える電力変換装置10において、パワーモジュール13は、ヒートシンク11上の載置される半導体モジュール20と、この半導体モジュール20を制御するための電気部品が実装されて当該半導体モジュール20の上部に配置される制御基板30とを備え、この制御基板30をカバー体15の天井部15Aから吊り下げて支持したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源から供給される直流電流を交流電流に変換する電力変換装置に係り、特に、当該電力変換装置のレイアウト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電車や自動車等の車両には、直流電源の直流電流を交流電流に変換し、駆動源たるモータ等の負荷に供給する電力変換装置が搭載されている。この種の電力変換装置では一般的に、半導体モジュール及び制御基板を有するパワーモジュールと、このパワーモジュールを冷却するヒートシンクとを備えて構成されており、自動車等の振動が大きく、設置スペースの限られた車両に搭載される場合には、制御基板への振動を抑制するとともに、装置の小型化を実現するレイアウト構造が模索されている。
このため、従来、ヒートシンク上に半導体モジュールを載置するとともに、ヒートシンクに立設された複数の制御基板支持台に制御基板を支持することで、この制御基板を半導体モジュールの上方に配置した技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−050494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成では、制御基板がヒートシンク上に立設された複数の制御基板支持台により半導体モジュールの上方に配置されるため、これら制御基板支持台は、それぞれ半導体モジュールの外側位置に立設されることになる。このため、制御基板の面積は、制御基板支持台が取り付けられる取付部を設ける分、半導体モジュールよりも大きくなることにより、電力変換装置全体が大型化するといった問題がある。
更に、従来の構成では、制御基板支持台が立設される位置は、半導体モジュールの形状や接続端子の位置等により制約を受けるため、制御基板の振動を抑制する最適な位置で当該制御基板を支持することが難しく、制御基板の振動を十分に抑制することが困難であった。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みたものであり、装置の小型化を図るとともに、制御基板の振動を抑制できる電圧変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、パワーモジュールと、このパワーモジュールを冷却するヒートシンクと、前記パワーモジュールを覆うカバー体とを備える電力変換装置において、前記パワーモジュールは、前記ヒートシンク上の載置される半導体モジュールと、この半導体モジュールを制御するための電気部品が実装されて当該半導体モジュールの上部に配置される制御基板とを備え、この制御基板を前記カバー体の天井部から吊り下げて支持したことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、制御基板をカバー体の天井部から吊り下げて支持しているため、この制御基板を半導体モジュールよりも大きく形成する必要はなく、その分、装置の小型化を図ることが可能となる。さらに、制御基板を支持する際に半導体モジュールの形状等による制約を受けないので、振動を抑える最適な位置で制御基板を自在に支持することができ、従って、制御基板の振動を抑制することができる。
【0007】
この構成において、本発明は、前記制御基板上に実装される重量の重い前記電気部品に近接した位置を支持したことを特徴とする。この構成によれば、重量の重い電気部品に近接した位置を支持することで当該電気部品の共振を抑制することができ、制御基板の振動をより効果的に抑制できる。
【0008】
また、本発明は、前記カバー体の天井部から下方に延びる複数の支柱と、前記制御基板の下面に当接配置されて前記半導体モジュールから発生される電磁波を遮蔽するための遮蔽板とを備え、この遮蔽板と前記支柱とで前記制御基板を挟持したことを特徴とする。この構成によれば、制御基板が遮蔽板と密着して支持されることにより、この制御基板の剛性が向上するため、当該制御基板の振動を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、前記遮蔽板を前記カバー体に固定したことを特徴とする。この構成によれば、制御基板を支持するカバー体及び遮蔽板の剛性を向上させることができ、制御基板の振動をより効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御基板をカバー体の天井部から吊り下げて支持しているため、この制御基板を半導体モジュールよりも大きく形成する必要はなく、その分、装置の小型化を図ることが可能となる。さらに、制御基板を支持する際に半導体モジュールの形状等による制約を受けないので、振動を抑える最適な位置で制御基板を自在に支持することができ、従って、制御基板の振動を抑制することができる。
また、本発明によれば、重量の重い電気部品に近接した位置を支持することで当該電気部品の共振を抑制することができ、制御基板の振動をより効果的に抑制できる。
また、本発明によれば、制御基板が遮蔽板と密着して支持されることにより、この制御基板の剛性が向上するため、当該制御基板の振動を抑制することができる。
また、本発明によれば、制御基板を支持するカバー体及び遮蔽板の剛性を向上させることができ、制御基板の振動をより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態にかかる電力変換装置の側断面図である。
【図2】半導体モジュールを示す平面図である。
【図3】Aは、制御基板の上面を示す平面図、Bは、制御基板の下面を示す平面図である。
【図4】A〜Cは、電力変換装置の組付手順を説明する図である。
【図5】電力変換装置の変形例を示す側断面図である。
【図6】電力変換装置の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る電力変換装置10の側断面図である。
電力変換装置10は、電車や自動車等の車両に搭載された直流電源の直流電流を交流電流に変換し、当該車両に搭載された動力源としての三相誘導モータ(図示略)に供給して駆動する車載用の装置であり、図1に示すように、ヒートシンク11と、このヒートシンク11上に載置されるパワーモジュール13と、このパワーモジュール13を覆うカバー体15とを備える。
このカバー体15は、ヒートシンク11と協同してパワーモジュール13の電気回路部分へのゴミや塵の入り込みを防止するものであり、耐熱性及び絶縁性を有する樹脂材から形成されている。カバー体15は、天井部15Aと側壁部15Bとを備え、底面が開放した箱状に形成されている。また、側壁部15Bの下端には、上記天井部15Aと略水平に外方に延出するフランジ部15Cを一体に備え、このフランジ部15Cがねじ17によりヒートシンク11に取り付けられている。
【0013】
ヒートシンク11は、パワーモジュール13が発生する熱を外部に放出して当該パワーモジュール13を冷却する機能と、電力変換装置10のベースプレートとしての機能とを有し、ボルト固定用の孔部(図示略)にボルトを通して車両に固定可能に構成されている。ヒートシンク11は、例えば銅やアルミニウムなどの高熱伝導性を有する金属材料で構成されているが、熱伝導性が高く、パワーモジュール13の重量に耐え得る剛性を実現できれば任意の材質を用いることができる。また、ヒートシンク11の上面寸法は、パワーモジュール13の底面よりも大きい寸法に設定され、この底面全体が接するに必要十分な大きさとされている。なお、ヒートシンク11の下面に多数の放熱フィンを形成する構成としても良い。
【0014】
パワーモジュール13は、直流/交流変換をする電気回路を納めたモジュールであり、ヒートシンク11上に載置されて当該ヒートシンク11により冷却される半導体モジュール20と、この半導体モジュール20の上部に間隔を開けて配置され、当該半導体モジュールを駆動制御するための電気回路または電気部品が実装された制御基板30とを備える。
半導体モジュール20は、図2に示すように、耐熱性及び絶縁性を有する樹脂材から形成されるケーシング21を備え、このケーシング21には当該ケーシング21をヒートシンク11に固定するための孔部21Aと、横並びに3つの収容部21Bとが形成されている。これら収容部21Bには、それぞれスイッチング素子22及びフライホイールダイオード23が収容されており、各収容部21Bに交流出力一相分の回路が形成される。本実施形態では、収容部21Bが3つ設けられているため、半導体モジュール20は三相インバータ回路を構成する。
また、各収容部21Bに収容されたスイッチング素子22及びフライホイールダイオード23は樹脂材(図示略)により封止され、水分の浸入が防止されている。なお、スイッチング素子22には、IGBTやMOSFET等を用いることができる。
ケーシング21には、各収容部21Bにそれぞれ隣接する位置に一対の電極24と、信号ピン25とが設けられている。これら信号ピン25は、図1に示すように、制御基板30を貫通し、この制御基板30上の電気回路(図示略)と電気的に接続されている。
【0015】
制御基板30は、図3A及び図3Bに示すように、この制御基板30の上面30A及び30Bにそれぞれ電気部品が実装されて電気回路が形成されるプリント基板である。具体的には、制御基板30の上面30Aには、上記電気部品として、外部機器との通信をするための通信線が接続されるコネクタ31と、この制御基板30内の電源を構成するトランス32及び電解コンデンサ33A、33Bと、半導体モジュール20のスイッチング素子22を駆動制御させるために、これらスイッチング素子22との信号の送受信を司る制御IC34A〜34Cが実装されている。これら制御IC34A〜34Cは、車両側に搭載されているモータECU(electronic control unit)が出力する制御信号に基づいて、スイッチング素子22をスイッチング動作させる駆動回路を制御する。制御基板30の下面30Bには、各種抵抗器35、36に加え、他の電気部品37、38が実装されている。
また、制御基板30には、この制御基板30を固定するための孔部30Cと、上述した信号ピン25が貫通する貫通孔30Dとが形成されている。この図3A、Bでは、貫通孔30Dの位置及び数についての記載を一部省略している。
制御基板30は、半導体モジュール20との制御信号の受け渡しをするために、半導体モジュール20の信号ピン25の先端25Aを当該制御基板30の電気回路と、はんだ等の導電性接合材で連結している。また、制御基板30は、信号ピン25を通じて、外部から電圧を印加させている半導体モジュール20を制御し、電流を交流電流へ変換することで車両に搭載された三相誘導モータの運転を制御している。
【0016】
ところで、電力変換装置10は、自動車のように振動が大きく、設置スペースの限られた車両に搭載されることが多い。制御基板30は、振動に弱いため、この制御基板30への振動を抑制するとともに、電力変換装置10の小型化を実現するレイアウト構造が模索されている。
本実施形態では、制御基板30は、図1に示すように、半導体モジュール20の上方位置でカバー体15の天井部15Aから吊り下げられて支持されている。具体的には、カバー体15の天井部15Aには、この天井部15Aから下方に延びる複数の支柱40が設けられ、この支柱40に制御基板30及び当該制御基板30の下面30Bに配置される遮蔽板50とが支持されている。この遮蔽板50は、半導体モジュール20のスイッチング素子22が動作する際に発生する電磁波を遮蔽するためのものであり、少なくとも制御基板30と略同一の大きさを有する。なお、遮蔽板50には、上記した信号ピン25が当該遮蔽板50に触れない程度の大きさの貫通孔(図示略)が形成されている。
【0017】
支柱40の上端には雌ねじ部(図示略)が形成されており、この雌ねじ部にカバー体15の天井部15Aを貫通したねじ41が取り付けられることで、支柱40がカバー体15の天井部15Aに固定される。また、支柱40の下端には、支柱40よりも縮径したねじ部40Aが形成されている。
一方、遮蔽板50には、上記した支柱40と対応する吊り下げ位置に、ねじ部40Aが貫通する貫通孔(図示略)が形成されるとともに、遮蔽板50の下面に当該ねじ部40Aがねじ止めされるナット55がロウ付け等によって固着されている。このため、遮蔽板50に設けたナット55に支柱40のねじ部40Aをねじ込むことにより、制御基板30は、支柱40と遮蔽板50とで挟持され、カバー体15の天井部15Aから吊り下げられて支持される。
【0018】
この構成によれば、制御基板30をカバー体15の天井部15Aから吊り下げて支持しているため、半導体モジュールの外側位置でヒートシンクに立設した支持台に制御基板を支持させる構成と比べて、この制御基板を半導体モジュールよりも大きく形成する必要はない。従って、電力変換装置10自体の小型化を図ることが可能となる。
更に、制御基板30をカバー体15の天井部15Aから吊り下げる構成では、この制御基板30の下方に位置する半導体モジュール20の形状等による制約を受けることなく、制御基板30の吊り下げ位置を決定することができる。
ここで、制御基板30は、上述したように、各種の電気部品を実装して形成されている。この種の制御基板では、重量の重い電気部品が実装されている部分ほど共振が大きく、振動による影響が大きい。本構成では、図1に示すように、重量の重いトランス32に近接した位置を支柱40によって自在に支持することができるため、このトランス32の共振を抑制することができ、制御基板30の振動をより効果的に抑制できる。支柱40とトランス32との距離L1、L2は、近いほど振動を抑制する効果が高いため、本実施形態では、支柱40は、トランス32と短絡を生じさせない最短の距離位置で制御基板30を支持している。
また、本実施形態では、半導体モジュール20から制御基板30に延びる信号ピン25をトランス32に近接した位置に配置することで、制御基板30の振動抑制の向上を図っている。
【0019】
また、遮蔽板50は、制御基板30と略平行に延びて当該制御基板30に当接する当接部54を備え、この当接部54と支柱40とで制御基板30を狭持している。このため、制御基板30は、遮蔽板50の当接部54と当接する部分で厚みが厚くなることで剛性が向上するため、制御基板30の振動を抑制することができる。なお、遮蔽板50は、制御基板30の下面30Bの電気部品が設けられた位置と対応する位置に、当接部54よりも高さ方向に低くへこんだ凹部51が形成されている。この凹部51は、制御基板30の下面30Bの電気部品との干渉を避ける部位であり、プレス加工により一体に形成されている。本構成では、凹部51を設けることにより、遮蔽板50の強度を保持したまま板圧を薄くすることができるため、電力変換装置10の軽量化を図ることが可能となる。
また、遮蔽板50は、上記したカバー体15に固定されている。具体的には、図1に示すように、遮蔽板50は、側壁部52と、この側壁部52の下端から当接部54と略水平に外方に延出するフランジ部53とを一体に備えており、このフランジ部53がカバー体15とともにヒートシンク11に固定されている。これにより、制御基板30を支持するカバー体15と遮蔽板50とが支柱40及びねじ17により一体に形成されるため、これらカバー体15及び遮蔽板の剛性を向上させることができ、制御基板30の振動をより効果的に抑制することができる。この場合、側壁部52は、カバー体15の側壁部15Bに沿って配置することにより、側壁部52の剛性が向上し、制御基板30の振動をより一層抑制することができる。
【0020】
次に、図4を参照して、電力変換装置10の組付手順を説明する。
まず、図4Aに示すように、各収容部21Bにスイッチング素子22及びフライホイールダイオード23を収容するとともに、これらスイッチング素子22及びフライホイールダイオード23に電気的に接続される信号ピン25を配置し、収容部21Bに樹脂材を流入させて封止して半導体モジュール20を形成する。そして、この半導体モジュール20をヒートシンク11上にボルト(図示略)にて固定する。
次に、図4Bに示すように、ヒートシンク11上に遮蔽板50を載せる。この場合、遮蔽板50は、フランジ部53によって高さ方向の位置決めがなされ、水平方向の位置決めは、貫通孔に信号ピン25を貫通させることで実行される。さらに、この遮蔽板50の上に制御基板30を載せ、この制御基板30を貫通した信号ピン25の先端25Aをはんだ等により制御基板30の電気回路に接続する。
次に、図4Cに示すように、支柱40を制御基板30及び遮蔽板50を貫通させた後、遮蔽板50に設けられたナット55にねじ込むことにより取り付ける。最後に、カバー体15を遮蔽板50の側壁部52に沿って被せ、このカバー体15と支柱40とをねじ41で固定するとともに、当該カバー体15のフランジ部15C及び遮蔽板50のフランジ部53をヒートシンク11にねじ17で固定する。
【0021】
以上、説明したように、本実施形態によれば、パワーモジュール13と、このパワーモジュール13を冷却するヒートシンク11と、パワーモジュール13を覆うカバー体15とを備える電力変換装置10において、パワーモジュール13は、ヒートシンク11上の載置される半導体モジュール20と、この半導体モジュール20を制御するための電気部品が実装されて当該半導体モジュール20の上部に配置される制御基板30とを備え、この制御基板30をカバー体15の天井部15Aから吊り下げて支持したため、この制御基板30を半導体モジュール20よりも大きく形成する必要はなく、その分、電力変換装置10の小型化を図ることが可能となる。さらに、制御基板30を吊り下げる際に半導体モジュール20の形状による制約を受けないので、振動を抑える最適な位置で制御基板30を自在に支持することができ、従って、制御基板30の振動を抑制することができる。
【0022】
また、本実施形態によれば、制御基板30上に実装される重量の重いトランス32に近接した位置を支持したため、このトランス32の共振を抑制することができ、制御基板30の振動をより効果的に抑制できる。
【0023】
また、本実施形態によれば、カバー体15の天井部15Aから下方に延びる複数の支柱40と、制御基板30の下面30Bに当接配置されて半導体モジュール20から発生される電磁波を遮蔽するための遮蔽板50とを備え、この遮蔽板50と支柱40とで制御基板30を挟持したため、制御基板30が遮蔽板50と密着して支持されることにより、この制御基板30の剛性が向上し、当該制御基板30の振動を抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、遮蔽板50をカバー体15に固定したため、制御基板30を支持するカバー体15及び遮蔽板50の剛性を向上させることができ、制御基板30の振動をより効果的に抑制できる。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。例えば、図5に示すように、制御基板30を支柱40に変えてボルト44で吊り下げても良い。この図5の電力変換装置70では、上記ボルト44を介して、カバー体15の天井部15Aから制御基板30が吊り下げられる点、制御基板30に実装される部品(例えばトランス32)の高さが低い点が、上記実施形態と異なり、それ以外は同一の構成を有するため、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
この変形例では、カバー体15の天井部15Aからボルト44を介して制御基板30を吊り下げているため、ボルト44の締め込み量によって、制御基板30と天井部15Aとの高さhを適宜調整することができ、この高さhが低い場合に特に有効となる。また、支柱40及びねじ41を使用しないことにより、部品点数が減り、組立て工数も削減でき、軽量かつ安価に製造することができる。
【0026】
また、図6に別の変形例にかかる電力変換装置80を示す。この変形例では、遮蔽板50にナット55を設ける代わりにねじ部56を一体に形成した点で上記実施形態と異なる。上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
このねじ部56は、遮蔽板50に貫通孔をプレス加工する際に、遮蔽板50の厚み方向に突出させた突出部を形成し、この突出部にねじを形成したものである。この構成では、突出部は貫通孔と同時にプレス加工で形成することができるため、ナット55を遮蔽板50に取り付けるものと比べて、部品点数が削減できるとともに組立て工数も削減でき、軽量かつ安価に製造することができる。さらに、ねじ部56が形成される突出部を遮蔽板50と一体に形成するため、この遮蔽板50の剛性が向上し、ひいては、制御基板30の振動抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0027】
10、70、80 電力変換装置
11 ヒートシンク
13 パワーモジュール
15 カバー体
15A 天井部
15B 側壁部
15C フランジ部
20 半導体モジュール
21B 収容部
22 スイッチング素子
23 フライホイールダイオード
25 信号ピン
25A 先端
30 制御基板
30A 上面
30B 下面
32 トランス(電気部品)
40 支柱
50 遮蔽板
51 凹部
52 側壁部
53 フランジ部
54 当接部
L1、L2 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールと、このパワーモジュールを冷却するヒートシンクと、前記パワーモジュールを覆うカバー体とを備える電力変換装置において、
前記パワーモジュールは、前記ヒートシンク上の載置される半導体モジュールと、この半導体モジュールを制御するための電気部品が実装されて当該半導体モジュールの上部に配置される制御基板とを備え、この制御基板を前記カバー体の天井部から吊り下げて支持したことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記制御基板上に実装される重量の重い前記電気部品に近接した位置を支持したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記カバー体の天井部から下方に延びる複数の支柱と、前記制御基板の下面に当接配置されて前記半導体モジュールから発生される電磁波を遮蔽するための遮蔽板とを備え、この遮蔽板と前記支柱とで前記制御基板を挟持したことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記遮蔽板を前記カバー体に固定したことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−105418(P2012−105418A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250792(P2010−250792)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】