説明

電力変換装置

【課題】与えられた有効電力指令値および無効電力指令値を、電力変換装置で規定された運転可能範囲を考慮して制限する場合、無効電力指令値の制限量を極力小さくして交流系統の電圧変動の抑制効果を最大限に活かすことができる電力変換装置を得ることを目的とする。
【解決手段】運転可能範囲および有効電力指令値Prefの範囲内でその絶対値が最大となるよう無効電力指令値Qrefに制限を加えて無効電力指令制限値Qref*を出力するQリミッタ1と、運転可能範囲およびQref*の範囲内でその値が最大となるようPrefに制限を加えて有効電力指令制限値Pref*を出力するPリミッタ1および2とからなる出力制限回路9を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関し、特に、規定された運転可能範囲において電力の変換を行う電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電システム内で発電した直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を、発電システム外部の交流系統にシステム出力として出力する電力変換装置であって、前記システム出力の出力電流を検出する出力電流検出手段と、前記システム出力の出力電圧を検出する出力電圧検出手段とを備え、所定の有効電力指令値および無効電力指令値に基づき、前記検出手段にて検出した出力電流および出力電圧から求められるシステム出力の有効電力および無効電力を制御することで、交流系統の電圧変動を抑制することができる電力変換装置が紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−177882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電力変換装置において、与えられた有効電力指令値および無効電力指令値にそのまま追従制御するのではなく、電力変換装置で規定された運転可能範囲内での制御が要求される場合がある。この場合、従来の電力変換装置においては、無効電力指令値が出力可能な無効電力範囲内の任意の値に制限されることで、出力する無効電力が必要以上に抑えられ、結果として、交流系統の電圧変動抑制の効果が低減する場合があった。
【0005】
この発明は、上記のような従来の問題点を改善するためになされたもので、与えられた有効電力指令値および無効電力指令値を、電力変換装置で規定された運転可能範囲を考慮して制限する場合、無効電力指令値の制限量を極力小さくして交流系統の電圧変動の抑制効果を最大限に活かすことができる電力変換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力変換装置は、有効電力指令値および無効電力指令値に基づき電源からの電力を変換して電力系統へ出力する電力変換装置であって、
有効電力指令値および無効電力指令値を入力し電力変換装置の規定された運転可能範囲を満たすよう有効電力指令値および無効電力指令値に制限を加える出力制限回路を備え、出力制限回路により制限が加えられた有効電力指令制限値および無効電力指令制限値に基づき電源からの電力を変換して電力系統へ出力する電力変換装置において、
出力制限回路は、運転可能範囲および有効電力指令値の範囲内でその絶対値が最大となるよう無効電力指令値に制限を加えて無効電力指令制限値を出力する無効電力指令値制限回路、および運転可能範囲および無効電力指令制限値の範囲内でその値が最大となるよう有効電力指令値に制限を加えて有効電力指令制限値を出力する有効電力指令値制限回路を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る電力変換装置の出力制限回路においては、その無効電力指令値制限回路において、無効電力指令値を、運転可能範囲と有効電力指令値の範囲のみを考慮しその範囲内で絶対値が最大となるよう制限して無効電力指令制限値を出力するので、特に無効電力指令値の制限量が優先的に小さく抑えられ、電力系統の電圧変動の抑制効果を最大限に活かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電力変換装置の出力制限回路9の内部構成の一例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による電力変換装置の出力制限回路9の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1による電力変換装置の規定された運転可能範囲の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による電力変換装置の出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【図6】条件が異なる場合の、図5と同様、出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【図7】条件が異なる場合の、図5と同様、出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【図8】条件が異なる場合の、図5と同様、出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【図9】条件が異なる場合の、図5と同様、出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【図10】条件が異なる場合の、図5と同様、出力制限回路9の入出力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置を図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成図である。
電力変換装置1は、電源としての直流電源2からの直流電力を交流電力に変換して、電力系統である交流系統3および負荷となる機器4に供給するインバータ5と、インバータ5の出力電圧を検出する出力電圧検出回路6と、出力電流を検出する出力電流検出回路7と、出力電圧検出回路6と出力電流検出回路7の出力に応じてインバータ5を制御することで、交流系統3へ出力する有効電力および無効電力を制御する制御装置8と、外部から入力される有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefを電力変換装置1の規定された運転可能範囲に基づいて制限し有効電力指令制限値Pref*および無効電力指令制限値Qref*として制御装置8に出力する出力制限回路9とから構成される。
【0010】
但し、直流電源2は、例えば太陽電池、燃料電池などで構成される。また、有効電力指令値Prefは、%で表示すると、0〜100%、無効電力指令値Qrefは、−100〜100%を入力範囲とする。−(マイナス)は遅れ無効電力、プラスは進み無効電力を示す。
【0011】
図2は、図1の出力制限回路9の内部構成を示す図である。なお、ここでは、規定された運転可能範囲として、有効電力がPlim以下、皮相電力がSlim以下、および力率がcosθlim以上であることと設定されているものとする。図2において、第1の制限回路であるPリミッタ1は、運転可能範囲の範囲内でその値が最大となるよう有効電力指令値Prefに制限を加えて第1の有効電力指令制限値Pref’を出力する。無効電力指令値制限回路であるQリミッタ1は、運転可能範囲および第1の有効電力指令制限値Pref’の範囲内でその絶対値が最大となるよう無効電力指令値Qrefに制限を加えて無効電力指令制限値Qref*を出力する。第2の制限回路であるPリミッタ2は、運転可能範囲および無効電力指令制限値Qref*の範囲内でその値が最大となるよう第1の有効電力指令制限値Pref’に制限を加えて有効電力指令制限値Pref*を出力する。
なお、Pリミッタ1(第1の制限回路)とPリミッタ2(第2の制限回路)とで、有効電力指令値制限回路を構成する。
【0012】
図3は、出力制限回路9の動作を示したフローチャートである。以下、図2をも参照して出力制限回路9の動作を説明する。
ステップS1では、外部(制御系の上位)からの有効電力指令値Pref、無効電力指令値Qrefを入力する。ステップS2では、規定された運転可能範囲を特定する、ここでは、既述したように、有効電力、皮相電力、力率の範囲を示す制限値Plim、Slim、θlimを作成する。
【0013】
ステップS3は、Pリミッタ1の動作を示し、Plim以下でその値が最大となるようPrefに制限を加えてPref’を出力する、即ち、PrefとPlimを比較し小さい方をPref’として出力する。ステップS4では、Pref’≦Slim・cosθlim?の判別を行う。具体的には、図2の比較器10がこの判別を行い、このため比較器10の+端にはPリミッタ1からのPref’が入力され、−端にはSlimとcosθlimとを乗算器11で乗算したSlim・cosθlimを入力する。
【0014】
ステップS4での判別がYesのときは、ステップS5に進み、Pref’・tanθlimを制限値Qlim1としてステップS7に進む。図2では、比較器10の出力で動作する切替スイッチ12が「0」側を閉とし、Pref’とtanθlimとを乗算器13で乗算したPref’・tanθlimがQlim1として切替スイッチ12を介してQリミッタ1に出力される。なお、このtanθlimは、cosθlimを乗算器14で2乗した値を減算器15で1から差し引き、更に演算器16で平方根をとることでsinθlimを求め、更に、除算器17により、このsinθlimをcosθlimで除算することで得られる。
【0015】
ステップS4での判別がNoのときは、ステップS6に進み、Slim・sinθlimを制限値Qlim1としてステップS7に進む。図2では、比較器10の出力で動作する切替スイッチ12が「1」側を閉とし、Slimとsinθlimとを乗算器18で乗算したSlim・sinθlimがQlim1として切替スイッチ12を介してQリミッタ1に出力される。
【0016】
なお、ステップS5およびステップS6で求める制限値Qlim1は、運転可能範囲(Plim、Slim、cosθlim)および有効電力指令値(Pref、Pref’)の両者を考慮した範囲を示す制限値に相当する。
【0017】
ステップS7は、Qリミッタ1の動作を示し、Qlim1以下でその絶対値が最大となるようQrefに制限を加えてQref*を出力する。即ち、QrefとQlim1を比較しその絶対値が小さい方をQref*とする。ステップS8では、√(Slim−Qref*)を演算し、これを制限値Plim2として出力する。図2では、Slimを乗算器19で2乗した値から、Qref*を乗算器20で2乗した値を減算器21で減算し、更に演算器22で平方根をとることで制限値Plim2を求め、Pリミッタ2へ出力される。
【0018】
なお、この制限値Plim2は、運転可能範囲(Plim、Slim、cosθlim)および無効電力指令制限値(Qref*)の両者を考慮した範囲を示す制限値に相当する。
【0019】
ステップS9は、Pリミッタ2の動作を示し、Plim2以下でその値が最大となるようPref’に制限を加えてPref*を出力する。即ち、Pref’とPlim2を比較し小さい方をPref*とする。
ステップS10では、以上で演算されたPref*およびQref*を制御装置8へ出力する。
【0020】
制御装置8は、出力制限回路9で制限された有効電力指令制限値Pref*および無効電力指令制限値Qref*に基づいて、両検出回路6、7にて検出した出力電圧および出力電流から求められるシステム出力の有効電力および無効電力を制御する。
【0021】
図4は、電力変換装置の規定された運転可能範囲の一例を示した図である。横軸が有効電力P(%)、縦軸が無効電力Q(%)を示している。(4−1)は、無効電力指令値が正(Qref>0)、即ち、進み無効電力、(4−2)は、無効電力指令値が負(Qref≦0)、即ち、遅れ無効電力を出力する場合である。また、灰色に塗りつぶした領域がこの運転可能範囲を示している。
【0022】
ここで、有効電力制限値Plimは、例えば、直流電源2の発電電力や、直流電流の装置仕様などによって定まり、皮相電力制限値Slimは、例えば、交流電流実効値の装置仕様によって定まり、力率制限値cosθlimは、例えば、制御装置8の制御仕様によって定まる。
【0023】
次に、出力制限回路9の入出力の関係、即ち、与えられた有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefを、有効電力指令制限値Pref*および無効電力指令制限値Qref*に制限する態様について説明する。なお、この制限動作の態様は、与えられるPrefおよびQrefの大きさと運転可能範囲を示すPlim、Slim、cosθlimの大きさとの関係によって異なるため、以下、図5〜図10により順次説明する。各図において、横軸が有効電力、縦軸が無効電力を示している。また、灰色の領域が運転可能範囲、有効電力軸上の矢印で示すベクトルが出力するPref*を、無効電力軸上のベクトルが出力するQref*を示している。但し、いずれも、Qref>0の場合について説明している。
【0024】
先ず、Plim≦Slimの場合を、図5〜7を参照して説明する。
図5(5−1)は、与えられたPrefおよびQrefが、共に運転可能範囲内に十分はいるほど小さい場合に相当し、PrefおよびQrefが、実質制限されることなくそのままの値がPref*およびQref*となって出力される。図5(5−2)は、Qref>Pref・tanθlimの場合で、Qリミッタ1により、QrefがPref・tanθlim=Qlim1に制限されQref*として出力される(図3のステップS4→S5→S7参照)。
【0025】
図6(6−1)は、与えられたPrefおよびQrefがそのままPref*およびQref*として出力される。図6(6−2)は、PrefはPlim以下であるが、Qrefの関係で、Pリミッタ2により、√(Slim−Qref)=Plim2に制限されPref*として出力される(図3のステップS8、S9参照)。従って、このケースは、Slimに基づく最終的な制限は、もっぱらPref側で担い、Qrefは極力大きな値を保持してQref*として出力するもので、本願発明が特に意図する効果が発揮されているケースと言える。
【0026】
図6(6−3)も同(6−2)と同様、本願発明の効果が発揮されているケースであるが、与えられたQrefが大きく、Qrefについても、Qリミッタ1により、Slim・sinθlim=Qlim1に最小限制限されQref*として出力される(図3のステップS4→S6→S7参照)。
【0027】
図7(7−1)は、PrefがPlimより大きく、Pリミッタ1によりPlimに制限されPref*として出力される(図3のステップS3参照)。図7(7−2)は、PrefがPリミッタ1で実質制限されると共に、Qrefの関係で、更に、Pリミッタ2により、√(Slim−Qref)=Plim2に制限されPref*として出力される。このケースも、Slimに基づく最終的な制限は、もっぱらPref側で担い、Qrefは極力大きな値を保持してQref*として出力するという点で、本願発明が特に意図する効果が発揮されているケースと言える。
【0028】
図7(7−3)は、与えられたQrefも大きく、Qリミッタ1により、Slim・sinθlim=Qlim1に最小限制限されQref*として出力されるが、本願発明の効果が発揮されているケースであるという点で先の同(7−2)のケースと変わりがない。
【0029】
次に、Plim>Slimの場合を、図8〜10を参照して説明する。
図8(8−1)は、与えられたPrefおよびQrefが、共に運転可能範囲内に十分はいるほど小さい場合に相当し、PrefおよびQrefが、実質制限されることなくそのままの値がPref*およびQref*として出力される点で、先の図5(5−1)と同様である。図8(8−2)は、与えられたQrefが大きく、Qリミッタ1により、Pref・tanθlim=Qlim1に制限されQref*として出力される点で、先の図5(5−2)と同様である。
【0030】
図9(9−1)は、与えられたPrefおよびQrefがそのままPref*およびQref*として出力される。図9(9−2)は、PrefはPlim以下であるが、Qrefの関係で、Pリミッタ2により、√(Slim−Qref)=Plim2に制限されPref*として出力され、従って、このケースは、先の図6(6−2)のケースと同様、Slimに基づく最終的な制限は、もっぱらPref側で担い、Qrefは極力大きな値を保持してQref*として出力するもので、本願発明が特に意図する効果が発揮されているケースと言える。
【0031】
図10(10−1)は、PrefはPlimより小さいためPリミッタ1では実質制限されないが、QrefとSlimの関係で、Pリミッタ2により、√(Slim−Qref)=Plim2に制限されPref*として出力される。従って、このケースも、本願発明の効果が発揮されているケースと言える。図10(10−2)は、Qrefが大きく、Qリミッタ1により、Slim・sinθlim=Qlim1に最小限制限されQref*として出力されるが、Prefは、この制限されたQref*とSlimの関係で、√(Slim−Qref*)=Plim2に制限されPref*として出力される。従って、このケースも本願発明の効果が発揮されているケースと言える。
なお、Qref≦0の場合の説明は省略したが、出力制限回路9は、以上で説明したQref>0の場合と同様の要領で動作し、上述した本願発明の意図する効果を得ることができる。
【0032】
以上のように、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、外部から入力される有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefに対し、電力変換装置の運転可能範囲で制限する場合、PrefよりQrefを優先してその絶対値が最大となるように制限することによって、交流系統3の電圧変動の抑制効果を最大限に活かすことができ、交流系統3の安定性が向上し、交流系統3に連系する機器4が電圧変動でトリップする可能性を軽減することができる。さらに、この運転可能範囲で有効電力および無効電力を制限するため、電力変換装置のトリップを防止することができ、発電電力量を損なう可能性が軽減される。
【0033】
なお、本実施の形態による電力変換装置では、外部からPrefおよびQrefが入力される構成としたが、電力変換装置の内部でPrefおよびQrefを作成する機能を持った構成としてもよい。
また、本実施の形態による電力変換装置では、交流系統3に一つの電力変換装置が連系している構成としたが、交流系統3に複数の電力変換装置が連系して、それぞれ外部から入力されるPrefおよびQref、ならびに電力変換装置の運転可能範囲に基づいて、有効電力および無効電力を出力する構成としてもよい。
【0034】
更に、本実施の形態による電力変換装置では、電力変換装置の運転可能範囲として、有効電力、皮相電力、力率の制限を想定しているが、有効電力の制限が不要な場合は有効電力制限値100%、皮相電力の制限が不要な場合は皮相電力制限値100%、力率の制限が不要な場合は力率制限値1としてもよい。また、無効電力の制限が必要な場合は、Qリミッタ1の前段に無効電力制限値で制限するリミッタを備えてもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 電力変換装置、2 直流電源、3 交流系統、4 機器、5 インバータ、
6 出力電圧検出回路、7 出力電流検出回路、8 制御装置、9 出力制限回路、
Pref 有効電力指令値、Qref 無効電力指令値、
Pref* 有効電力指令制限値、Qref* 無効電力指令制限値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効電力指令値および無効電力指令値に基づき電源からの電力を変換して電力系統へ出力する電力変換装置であって、
前記有効電力指令値および前記無効電力指令値を入力し前記電力変換装置の規定された運転可能範囲を満たすよう前記有効電力指令値および前記無効電力指令値に制限を加える出力制限回路を備え、前記出力制限回路により制限が加えられた有効電力指令制限値および無効電力指令制限値に基づき前記電源からの電力を変換して前記電力系統へ出力する電力変換装置において、
前記出力制限回路は、前記運転可能範囲および前記有効電力指令値の範囲内でその絶対値が最大となるよう前記無効電力指令値に制限を加えて前記無効電力指令制限値を出力する無効電力指令値制限回路、および前記運転可能範囲および前記無効電力指令制限値の範囲内でその値が最大となるよう前記有効電力指令値に制限を加えて前記有効電力指令制限値を出力する有効電力指令値制限回路を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記有効電力指令値制限回路は、第1の制限回路および第2の制限回路を備え、
前記第1の制限回路は、前記運転可能範囲の範囲内でその値が最大となるよう前記有効電力指令値に制限を加えて第1の有効電力指令制限値を出力し、前記無効電力指令値制限回路は、前記運転可能範囲および前記第1の有効電力指令制限値の範囲内でその絶対値が最大となるよう前記無効電力指令値に制限を加えて前記無効電力指令制限値を出力し、前記第2の制限回路は、前記運転可能範囲および前記無効電力指令制限値の範囲内でその値が最大となるよう前記第1の有効電力指令制限値に制限を加えて前記有効電力指令制限値を出力することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記運転可能範囲は、有効電力、無効電力、皮相電力、および力率のいずれか1個以上の項目について設定するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記運転可能範囲として、有効電力がPlim以下、皮相電力がSlim以下、および力率がcosθlim以上であることと設定される場合、
前記第1の制限回路は、前記有効電力指令値Prefと前記Plimとを比較し、その値が小さい方を前記第1の有効電力指令制限値Pref’として出力し、
前記無効電力指令値制限回路は、Pref’≦Slim・cosθlimのときは、Qlim1=Pref’・tanθlim 、Pref’>Slim・cosθlimのときは、Qlim1=Slim・sinθlimとして求めた制限値Qlim1と前記無効電力指令値Qrefとを比較し、その絶対値が小さい方を無効電力指令制限値Qref*として出力し、
前記第2の制限回路は、Plim2=√(Slim−Qref*)として求めた制限値Plim2と前記Pref’とを比較し、その値が小さい方を有効電力指令制限値Pref*として出力することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電源からの直流電力を交流電力に変換するインバータ、および前記インバータの出力電圧を検出する出力電圧検出回路、前記インバータの出力電流を検出する出力電流検出回路、および前記出力電圧検出回路と前記出力電流検出回路と前記出力制限回路との出力に基づき前記インバータを制御することにより前記電力系統に出力する有効電力および無効電力を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93982(P2013−93982A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234749(P2011−234749)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】