電力用半導体装置
【課題】ブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる電力用半導体装置を得る。
【解決手段】ブートストラップコンデンサCbsの一端が、トーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点に接続され、他端がハイサイド駆動回路10aの電源端子に接続されている。ブートストラップダイオードDbsは、ローサイド駆動電源LVからの電流をブートストラップコンデンサCbsの他端に供給する。ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合に、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端に、高圧側電位を基準電位とするフローティング電源FVからの電流を供給する。
【解決手段】ブートストラップコンデンサCbsの一端が、トーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点に接続され、他端がハイサイド駆動回路10aの電源端子に接続されている。ブートストラップダイオードDbsは、ローサイド駆動電源LVからの電流をブートストラップコンデンサCbsの他端に供給する。ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合に、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端に、高圧側電位を基準電位とするフローティング電源FVからの電流を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子を駆動する駆動回路を備える電力用半導体装置に関し、特にブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる電力用半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路には、主電源より高い駆動電圧が必要である。そこで、ローサイド駆動電源からブートストラップコンデンサに充電して、この駆動電圧を得ることが知られている。ただし、ハイサイドスイッチング素子がON状態の場合、ブートストラップコンデンサの一端の電位が高くなり、ブートストラップコンデンサの他端に充電できない。従って、ハイサイドスイッチング素子がON状態を継続すると、ブートストラップコンデンサを十分に充電できないという問題があった。
【0003】
この問題を解決するため、ブートストラップコンデンサのリフレッシュ回路を設けた電力用半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1の図2参照)。このリフレッシュ回路は、スイッチSW1,SW2を切り替えることで、ハイサイドスイッチング素子のON/OFF状態に依らずにブートストラップコンデンサの一端の電位をGNDにして、充電経路を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−520190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリフレッシュ回路のスイッチSW1,SW2は高耐圧素子でなければならない。また、スイッチSW1,SW2を駆動する信号は、低圧側から高圧側へ、及び高圧側から低圧側へ伝達する必要がある。即ち、レベルシフト及び逆レベルシフトを用いる必要がある。よって、回路が複雑になり、かつ大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、ブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる電力用半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、アノードが電源に接続され、カソードが前記ブートストラップコンデンサの前記他端に接続され、前記電源からの電流を前記ブートストラップコンデンサの前記他端に供給するブートストラップダイオードと、前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備えることを特徴とする電力用半導体装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図2】実施の形態1に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】実施の形態2に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図4】実施の形態3に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図5】実施の形態4に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図6】実施の形態5に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図7】実施の形態6に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図8】実施の形態7に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図9】実施の形態7に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】実施の形態8に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図11】比較例に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図12】実施の形態8に係る電力用半導体装置の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る電力用半導体装置について図面を参照して説明する。同じ構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力用半導体装置を示す回路図である。主電源HVの高圧側電位(600V)と低圧側電位(0V)との間に、高圧側から順にハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2がトーテムポール接続されている。ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2はN型半導体スイッチング素子である。ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2に還流ダイオードDf1,Df2がそれぞれ逆並列接続されている。
【0012】
駆動回路10は、ハイサイドスイッチング素子M1を駆動するハイサイド駆動回路10aと、ローサイドスイッチング素子M2を駆動するローサイド駆動回路10bとを有する。駆動回路10のVB端子はハイサイド駆動回路10aの電源端子である。VCC端子はローサイド駆動回路10bの電源端子であり、ローサイド駆動電源LVに接続されている。GND端子はGND(接地点)に接続されている。HIN端子からハイサイド駆動回路10aを制御する信号が入力され、LIN端子からローサイド駆動回路10bを制御する信号が入力される。HO端子からハイサイド駆動回路10aのハイサイドスイッチング素子M1に対するON/OFF指令が出力され、LO端子からローサイド駆動回路10bのローサイドスイッチング素子M2に対するON/OFF指令が出力される。VS端子は、ハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点に接続されている。
【0013】
ここで、ハイサイドスイッチング素子M1のエミッタ(VS端子)の電位(VS電位)は、ローサイドスイッチング素子M2のON/OFF状態や、負荷に流れる電流の還流などによって、GND電位(0V)から主電源HVの高圧側電位の間で変化する。このため、ハイサイド駆動回路10aは、VS電位を基準として動作し、GNDに対して電位的にフローティング構造である(絶縁されている)。このような構造はPN接合分離構造やSOI(semiconductor-on-insulator)構造により実現される。
【0014】
また、ハイサイドスイッチング素子M1を駆動するには、そのゲートにエミッタより高い電位を印加する必要がある。ハイサイドスイッチング素子M1がONしている場合、エミッタ電位(VS電位)は主電源HVの高圧側電位にほぼ等しくなる。従って、ハイサイドスイッチング素子M1をON状態に保ち続けるには、高圧側電位600V+ゲート駆動電圧15V=615Vをゲートに印加する必要がある。このため、ハイサイド駆動回路10aの動作電圧を主電源HVの電位より高くする必要がある。
【0015】
そこで、ブートストラップコンデンサCbsとブートストラップダイオードDbsを設けている。ブートストラップコンデンサCbsの一端はVS端子に接続され、他端はVB端子に接続されている。ブートストラップコンデンサCbsは、VB端子を介してハイサイド駆動回路10aに駆動電圧を供給する。ブートストラップダイオードDbsのアノードが15Vのローサイド駆動電源LVに接続され、カソードがブートストラップコンデンサCbsの他端に接続されている。ブートストラップダイオードDbsは、ローサイド駆動電源LVからの電流をブートストラップコンデンサCbsの他端に供給して、ブートストラップコンデンサCbsを充電する。この充電電圧をハイサイドスイッチング素子M1のエミッタ電位(VS電位)に加算することで、ハイサイド駆動回路10aの動作電圧を得ることができる。
【0016】
さらに、本実施の形態では、フローティング電源FVとブートストラップ補償回路12が設けられている。15Vのフローティング電源FVは、主電源HVの高圧側電位を基準電位とする。ブートストラップ補償回路12のHV端子は主電源HVの高圧側に接続されている。HV15端子はフローティング電源FVの高圧側に接続され、その電位は600V+15V=615Vである。ブートストラップ補償回路12の出力端子であるHVO端子はブートストラップコンデンサCbsの他端に接続されている。
【0017】
実施の形態1では、ブートストラップ補償回路12の入力端子であるHVC端子は、駆動回路10のハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点(VS端子)に接続されている。これにより、ブートストラップ補償回路12はVS電位をモニターし、VS電位が所定値より大きい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。
【0018】
ブートストラップ補償回路12内において、制御トランジスタTr1はPMOS(p-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、メイントランジスタTr2は高耐圧のHVPMOS(High Voltage p-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。制御トランジスタTr1のゲートは、HV15端子とHV端子の間に直列接続された抵抗R1,R2の接続点に接続されている。制御トランジスタTr1のドレインは抵抗R3を介してHV端子に接続されている。
【0019】
制御トランジスタTr1は、HVC端子の電位(本実施の形態ではVS電位)に応じてON又はOFFする。メイントランジスタTr2は、制御トランジスタTr1に制御されてHVO端子から電流を供給する。メイントランジスタTr2が電流供給を行わない場合に制御トランジスタTr1がONする必要があるため、制御トランジスタTr1のゲート電圧がツェナーダイオードD1,D2によりクランプされている。メイントランジスタTr2に寄生ダイオードD3(高圧リサーフダイオード)が逆並列接続されている。
【0020】
抵抗R1と抵抗R2の接続点の電位Vaは下記の式で表される。
Va=R2/(R1+R2)×(HV15−VS)+VS
ここで、R1,R2は抵抗R1,R2の抵抗値、HV15はHV15端子の電位(HV15電位)、VSはVS端子の電位(VS電位)である。さらに、制御トランジスタTr1のソース・ゲート間電圧VGS1は下記の式で表される。
VGS1=HV15−Va=R1/(R1+R2)×(HV15−VS)
ここで、HV15電位は615V、制御トランジスタTr1の閾値電圧は1.0Vである。例えばR1を500kΩ、R2を1MΩに設定すると、VS電位がLOW(0V)の場合にVGS1は29.3Vとなり、制御トランジスタTr1はONする。一方、VS電位がHIGH(600V)の場合にVGS1は0.71Vとなり、制御トランジスタTr1はOFFする。
【0021】
このように、実施の形態1では、VS電位がLOWの場合に制御トランジスタTr1がONし、VS電位がHIGHの場合に制御トランジスタTr1がOFFするように、抵抗R1,R2の抵抗値を設定する。ただし、HV15端子とHVC端子の間に高電圧がかかるため、抵抗R1,R2として高耐圧抵抗を用いる。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。図中で、VS電位はVS端子の電位、VGS1は制御トランジスタTr1のソース・ゲート間電圧、VGS2はメイントランジスタTr2のソース・ゲート間電圧である。
【0023】
ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をOFFにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をONにする場合に、VS電位はGND電位になる。この場合には、ブートストラップダイオードDbsは順バイアスされるため、ブートストラップダイオードDbsの充電電流が流れる。一方、ブートストラップ補償回路12の制御トランジスタTr1がONし、メイントランジスタTr2はOFFするため、ブートストラップ補償回路12は充電電流を供給しない。
【0024】
ここで、VS電位がGND電位の場合に、HV15端子とVS端子の電位差が最高になる。この場合にメイントランジスタTr2がONすると消費電力が大きくなるため、メイントランジスタTr2はOFFしている必要がある。また、常に高電位の主電源HVに接続されたHV端子とHVO端子の間は高電圧がかかるため、メイントランジスタTr2が電流を供給し続けると熱損失が増大し、メイントランジスタTr2が熱破壊を生じてしまう場合もある。従って、VS電位がGND電位の場合にメイントランジスタTr2をOFFにする。
【0025】
また、ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合に、VS電位はHV電位まで上昇する。この場合には、ブートストラップダイオードDbsは逆バイアスされるため、ブートストラップダイオードDbsの充電電流は流れない。一方、ブートストラップ補償回路12のTr1はOFFし、メイントランジスタTr2はONするため、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの充電電流を供給する。
【0026】
なお、負荷がモータなどの誘導性負荷の場合には、ローサイドスイッチング素子M2がOFFしても、負荷は自身に直前まで流れていた電流を流し続けようとする。このため、ローサイドスイッチング素子M2がOFFし、ハイサイドスイッチング素子M1がまだONしていない状態で、負荷からの電流が還流ダイオードDf1を介して主電源HVの高圧側に流れる(還流モード)。この場合に、VS電位はHV電位+Vf2となる。ここでVf2は還流ダイオードDf1のカソードとアノードの間の電位差である。実施の形態1では、このような還流モードでもブートストラップ補償回路12は充電電流を供給する。
【0027】
以上説明したように、ブートストラップダイオードDbsが動作できない場合にブートストラップ補償回路12が動作するため、VS電位の変化に拠らずにVB端子とVS端子の間の電圧はほぼ一定になる。従って、ブートストラップコンデンサCbsを十分に充電することができる。よって、ハイサイドスイッチング素子M1がON状態を維持した場合でも、ハイサイド駆動回路10aの駆動電圧を確保できる。また、従来の回路に比べて、回路を簡略化及び小型化することができる。
【0028】
また、本実施の形態ではブートストラップ補償回路12がVS電位をモニターするため、ブートストラップ補償回路12のモニター用のHVC端子と出力用のHVD端子を共通化できる。従って、装置を小型化できるという利点もある。
【0029】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態2では、実施の形態1と異なり、ブートストラップ補償回路12のHVC端子にブートストラップコンデンサCbsの他端(VB端子)が接続されている。そして、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端のVB電位をモニターし、このVB電位が所定値より大きい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、ブートストラップ補償回路12がVB電位をモニターするため、ブートストラップ補償回路12のモニター用のHVC端子と出力用のHVD端子を共通化できる。従って、実施の形態1よりも更に装置を小型化できる。ただし、VB電位はブートストラップコンデンサCbsの充電電圧に依存するため、例えば充電電圧が低い場合にブートストラップ補償回路12をオンするタイミングが遅れてしまう。一方、VS電位をモニターする実施の形態1では、ブートストラップ補償回路12をオンするタイミングが充電電圧に依存しない。
【0031】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態3では、実施の形態1と異なり、ハイサイド駆動回路10aが逆レベルシフト回路14及びレベルシフト回路16を介してブートストラップ補償回路12のHVC端子に接続されている。
【0032】
ここで、ハイサイド駆動回路10a内の信号はVS端子の電位(VS電位)が基準となっているため、VS電位の変動によって絶対値が0Vから600+15Vまで変動する。一方、ブートストラップ補償回路12内の信号はHV端子の電位(HV電位)が基準となっている。そこで、ハイサイド駆動回路10a内の信号を逆レベルシフト回路14によりGND基準にレベルシフトし、更に逆レベルシフト回路14の出力をレベルシフト回路16によりHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0033】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ハイサイド駆動回路10aのハイサイドスイッチング素子M1に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がON指令(HO端子の電位がHIGH(HV+15V))の場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
なお、実施の形態3では、実施の形態1と異なり、還流モードではブートストラップ補償回路12の充電電流は流れない。これにより、ブートストラップ補償回路12がONするのが早過ぎてブートストラップコンデンサCbsの充電電圧が高くなり過ぎるのを防ぐことができる。
【0035】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態4では、実施の形態1と異なり、ローサイド駆動回路10bがレベルシフト回路18を介してブートストラップ補償回路12のHVC端子に接続されている。このレベルシフト回路18によりローサイド駆動回路10bの信号をHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0036】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ローサイド駆動回路10bのローサイドスイッチング素子M2に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がOFF指令(LO端子の電位がLOW)の場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5に係る電力用半導体装置を示す回路図である。ブートストラップダイオードDbsによりローサイド駆動電源LVからブートストラップコンデンサCbsの他端に流れる電流を検知する電流測定部20が設けられている。電流測定部20の出力はアナログ変換回路22によりアナログ信号に変換され、コンパレータ24の−端子に入力される。コンパレータ24の+端子は、VB端子とVS端子の間に直列接続された抵抗26,28の接続点に接続されている。
【0038】
ここで、コンパレータ24の出力(デジタル値)はVS電位が基準である。一方、ブートストラップ補償回路12内の信号はHV電位が基準となっている。そこで、コンパレータ24の出力を逆レベルシフト回路30によりGND基準にレベルシフトし、更に逆レベルシフト回路30の出力をレベルシフト回路32によりHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0039】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、電流測定部20により測定された電流が所定値より小さい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。従って、ブートストラップダイオードDbsが逆バイアス状態となりブートストラップコンデンサCbsに電流を供給できない状態を検知し、ブートストラップ補償回路12がブートストラップコンデンサCbsに電流を供給することができる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ブートストラップコンデンサCbsへの供給電流を一定に保つことができる。
【0040】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態6は、実施の形態5と異なり、電流測定部20とアナログ変換回路22が無く、コンパレータ24の−端子に電源34の高電圧側が接続され、電源34の低電圧側がVS端子に接続されている。
【0041】
このコンパレータ24、電源34、及び抵抗26,28は、ブートストラップコンデンサCbsの両端の電位差(VB端子とVS端子の電位差)を測定する電位差測定部36を構成する。
【0042】
ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36により測定された電位差が所定値より小さい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。一方、電位差が所定値より大きくて充電の必要が無い場合には、フローティング電源FVからの電流の供給をストップする。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ブートストラップコンデンサCbsへの供給電流を一定に保つことができる。
【0043】
実施の形態7.
図8は、実施の形態7に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態7は、実施の形態6と異なり、ブートストラップダイオードDbsが設けられていない。そして、ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36の出力と制御トランジスタTr1の出力をAND演算するAND回路38と、AND回路38の出力に応じて動作する発振器40とを更に有する。
【0044】
図9は、実施の形態7に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合は、VS端子は高電位になる。この場合、実施の形態1〜6と同様に、本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を継続的に供給する。
【0045】
ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をOFFにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をONにする場合、VS端子はGNDになる。この場合、実施の形態1〜6では、ブートストラップダイオードDbsが充電電流を供給し、ブートストラップ補償回路12は充電電流の供給をストップする。一方、本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、この場合でも充電電流を間欠的に供給する。従って、実施の形態1〜6のブートストラップダイオードDbsを省略することができる。
【0046】
また、ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36により測定された電位差(VB端子とVS端子の電位差)が大きくなるほど、間欠的に供給する充電電流の間隔を長くする。これにより、無駄な充電電流を削減することができる。
【0047】
実施の形態8.
図10は、実施の形態8に係る電力用半導体装置を示す回路図である。この電力用半導体装置は、ハイサイドスイッチング素子M1、ローサイドスイッチング素子M2、駆動回路10、ブートストラップコンデンサCbs、及び、ブートストラップ補償回路12を含むユニットを3つ備える3相フルブリッジインバータである。3つのユニットに対して1つのフローティング電源FVが共用されている。なお、ブートストラップダイオードDbsが駆動回路10に内蔵されているが、ブートストラップダイオードDbsを外付けにしても良い。
【0048】
本実施の形態の効果について比較例と比較しながら説明する。図11は、比較例に係る電力用半導体装置を示す回路図である。比較例では、ブートストラップ補償回路12は設けられておらず、駆動回路10のハイサイド駆動回路10aに駆動電圧を供給するために、各ユニットにそれぞれフローティング電源FVを設けている。従って、3個のフローティング電源FVが必要である。一方、本実施の形態では、ブートストラップ補償回路12を用いることで単電源化が可能である。
【0049】
また、比較例の場合、スイッチング素子のオン/オフに伴うVS電位の変動によるdV/dtノイズがフローティング電源FVの高圧側に伝播してしまう。一方、本実施の形態のフローティング電源FVは固定電位である主電源HVの高圧側電位を基準電位としているため、フローティング電源FVがスイッチングノイズの影響を受けることはない。
【0050】
図12は、実施の形態8に係る電力用半導体装置の変形例を示す回路図である。この回路は、図10の回路のハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2をIGBTからSiC製のMOSFET(SiCデバイス)に変更し、かつ還流ダイオードDf1,Df2をSiCデバイスにしたものである。
【0051】
ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2をSiC製のMOSFETにすることで電力損失が低減されるため、装置の効率及び特性を向上させることができる。また、還流ダイオードDf1,Df2をSiCデバイスとすることで放熱性及び耐熱性が向上するため、放熱部を簡素化できる。具体的には、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や水冷部の高効率化が可能となる。よって、装置を小型化することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、駆動回路10及びブートストラップ補償回路12は実施の形態1の構成であるが、これに限らず実施の形態2〜7の何れかの構成にしてもよい。また、ユニット数は3つに限らず、2つでも、4つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0053】
10a ハイサイド駆動回路
10b ローサイド駆動回路
12 ブートストラップ補償回路
20 電流測定部
36 電位差測定部
Cbs ブートストラップコンデンサ
Dbs ブートストラップダイオード
FV フローティング電源
LV ローサイド駆動電源(電源)
M1 ハイサイドスイッチング素子
M2 ローサイドスイッチング素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子を駆動する駆動回路を備える電力用半導体装置に関し、特にブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる電力用半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路には、主電源より高い駆動電圧が必要である。そこで、ローサイド駆動電源からブートストラップコンデンサに充電して、この駆動電圧を得ることが知られている。ただし、ハイサイドスイッチング素子がON状態の場合、ブートストラップコンデンサの一端の電位が高くなり、ブートストラップコンデンサの他端に充電できない。従って、ハイサイドスイッチング素子がON状態を継続すると、ブートストラップコンデンサを十分に充電できないという問題があった。
【0003】
この問題を解決するため、ブートストラップコンデンサのリフレッシュ回路を設けた電力用半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1の図2参照)。このリフレッシュ回路は、スイッチSW1,SW2を切り替えることで、ハイサイドスイッチング素子のON/OFF状態に依らずにブートストラップコンデンサの一端の電位をGNDにして、充電経路を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−520190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリフレッシュ回路のスイッチSW1,SW2は高耐圧素子でなければならない。また、スイッチSW1,SW2を駆動する信号は、低圧側から高圧側へ、及び高圧側から低圧側へ伝達する必要がある。即ち、レベルシフト及び逆レベルシフトを用いる必要がある。よって、回路が複雑になり、かつ大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、ブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる電力用半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、アノードが電源に接続され、カソードが前記ブートストラップコンデンサの前記他端に接続され、前記電源からの電流を前記ブートストラップコンデンサの前記他端に供給するブートストラップダイオードと、前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備えることを特徴とする電力用半導体装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ブートストラップコンデンサを十分に充電することができ、かつ回路を簡略化及び小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図2】実施の形態1に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】実施の形態2に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図4】実施の形態3に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図5】実施の形態4に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図6】実施の形態5に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図7】実施の形態6に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図8】実施の形態7に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図9】実施の形態7に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】実施の形態8に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図11】比較例に係る電力用半導体装置を示す回路図である。
【図12】実施の形態8に係る電力用半導体装置の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る電力用半導体装置について図面を参照して説明する。同じ構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力用半導体装置を示す回路図である。主電源HVの高圧側電位(600V)と低圧側電位(0V)との間に、高圧側から順にハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2がトーテムポール接続されている。ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2はN型半導体スイッチング素子である。ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2に還流ダイオードDf1,Df2がそれぞれ逆並列接続されている。
【0012】
駆動回路10は、ハイサイドスイッチング素子M1を駆動するハイサイド駆動回路10aと、ローサイドスイッチング素子M2を駆動するローサイド駆動回路10bとを有する。駆動回路10のVB端子はハイサイド駆動回路10aの電源端子である。VCC端子はローサイド駆動回路10bの電源端子であり、ローサイド駆動電源LVに接続されている。GND端子はGND(接地点)に接続されている。HIN端子からハイサイド駆動回路10aを制御する信号が入力され、LIN端子からローサイド駆動回路10bを制御する信号が入力される。HO端子からハイサイド駆動回路10aのハイサイドスイッチング素子M1に対するON/OFF指令が出力され、LO端子からローサイド駆動回路10bのローサイドスイッチング素子M2に対するON/OFF指令が出力される。VS端子は、ハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点に接続されている。
【0013】
ここで、ハイサイドスイッチング素子M1のエミッタ(VS端子)の電位(VS電位)は、ローサイドスイッチング素子M2のON/OFF状態や、負荷に流れる電流の還流などによって、GND電位(0V)から主電源HVの高圧側電位の間で変化する。このため、ハイサイド駆動回路10aは、VS電位を基準として動作し、GNDに対して電位的にフローティング構造である(絶縁されている)。このような構造はPN接合分離構造やSOI(semiconductor-on-insulator)構造により実現される。
【0014】
また、ハイサイドスイッチング素子M1を駆動するには、そのゲートにエミッタより高い電位を印加する必要がある。ハイサイドスイッチング素子M1がONしている場合、エミッタ電位(VS電位)は主電源HVの高圧側電位にほぼ等しくなる。従って、ハイサイドスイッチング素子M1をON状態に保ち続けるには、高圧側電位600V+ゲート駆動電圧15V=615Vをゲートに印加する必要がある。このため、ハイサイド駆動回路10aの動作電圧を主電源HVの電位より高くする必要がある。
【0015】
そこで、ブートストラップコンデンサCbsとブートストラップダイオードDbsを設けている。ブートストラップコンデンサCbsの一端はVS端子に接続され、他端はVB端子に接続されている。ブートストラップコンデンサCbsは、VB端子を介してハイサイド駆動回路10aに駆動電圧を供給する。ブートストラップダイオードDbsのアノードが15Vのローサイド駆動電源LVに接続され、カソードがブートストラップコンデンサCbsの他端に接続されている。ブートストラップダイオードDbsは、ローサイド駆動電源LVからの電流をブートストラップコンデンサCbsの他端に供給して、ブートストラップコンデンサCbsを充電する。この充電電圧をハイサイドスイッチング素子M1のエミッタ電位(VS電位)に加算することで、ハイサイド駆動回路10aの動作電圧を得ることができる。
【0016】
さらに、本実施の形態では、フローティング電源FVとブートストラップ補償回路12が設けられている。15Vのフローティング電源FVは、主電源HVの高圧側電位を基準電位とする。ブートストラップ補償回路12のHV端子は主電源HVの高圧側に接続されている。HV15端子はフローティング電源FVの高圧側に接続され、その電位は600V+15V=615Vである。ブートストラップ補償回路12の出力端子であるHVO端子はブートストラップコンデンサCbsの他端に接続されている。
【0017】
実施の形態1では、ブートストラップ補償回路12の入力端子であるHVC端子は、駆動回路10のハイサイドスイッチング素子M1とローサイドスイッチング素子M2の接続点(VS端子)に接続されている。これにより、ブートストラップ補償回路12はVS電位をモニターし、VS電位が所定値より大きい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。
【0018】
ブートストラップ補償回路12内において、制御トランジスタTr1はPMOS(p-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、メイントランジスタTr2は高耐圧のHVPMOS(High Voltage p-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。制御トランジスタTr1のゲートは、HV15端子とHV端子の間に直列接続された抵抗R1,R2の接続点に接続されている。制御トランジスタTr1のドレインは抵抗R3を介してHV端子に接続されている。
【0019】
制御トランジスタTr1は、HVC端子の電位(本実施の形態ではVS電位)に応じてON又はOFFする。メイントランジスタTr2は、制御トランジスタTr1に制御されてHVO端子から電流を供給する。メイントランジスタTr2が電流供給を行わない場合に制御トランジスタTr1がONする必要があるため、制御トランジスタTr1のゲート電圧がツェナーダイオードD1,D2によりクランプされている。メイントランジスタTr2に寄生ダイオードD3(高圧リサーフダイオード)が逆並列接続されている。
【0020】
抵抗R1と抵抗R2の接続点の電位Vaは下記の式で表される。
Va=R2/(R1+R2)×(HV15−VS)+VS
ここで、R1,R2は抵抗R1,R2の抵抗値、HV15はHV15端子の電位(HV15電位)、VSはVS端子の電位(VS電位)である。さらに、制御トランジスタTr1のソース・ゲート間電圧VGS1は下記の式で表される。
VGS1=HV15−Va=R1/(R1+R2)×(HV15−VS)
ここで、HV15電位は615V、制御トランジスタTr1の閾値電圧は1.0Vである。例えばR1を500kΩ、R2を1MΩに設定すると、VS電位がLOW(0V)の場合にVGS1は29.3Vとなり、制御トランジスタTr1はONする。一方、VS電位がHIGH(600V)の場合にVGS1は0.71Vとなり、制御トランジスタTr1はOFFする。
【0021】
このように、実施の形態1では、VS電位がLOWの場合に制御トランジスタTr1がONし、VS電位がHIGHの場合に制御トランジスタTr1がOFFするように、抵抗R1,R2の抵抗値を設定する。ただし、HV15端子とHVC端子の間に高電圧がかかるため、抵抗R1,R2として高耐圧抵抗を用いる。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。図中で、VS電位はVS端子の電位、VGS1は制御トランジスタTr1のソース・ゲート間電圧、VGS2はメイントランジスタTr2のソース・ゲート間電圧である。
【0023】
ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をOFFにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をONにする場合に、VS電位はGND電位になる。この場合には、ブートストラップダイオードDbsは順バイアスされるため、ブートストラップダイオードDbsの充電電流が流れる。一方、ブートストラップ補償回路12の制御トランジスタTr1がONし、メイントランジスタTr2はOFFするため、ブートストラップ補償回路12は充電電流を供給しない。
【0024】
ここで、VS電位がGND電位の場合に、HV15端子とVS端子の電位差が最高になる。この場合にメイントランジスタTr2がONすると消費電力が大きくなるため、メイントランジスタTr2はOFFしている必要がある。また、常に高電位の主電源HVに接続されたHV端子とHVO端子の間は高電圧がかかるため、メイントランジスタTr2が電流を供給し続けると熱損失が増大し、メイントランジスタTr2が熱破壊を生じてしまう場合もある。従って、VS電位がGND電位の場合にメイントランジスタTr2をOFFにする。
【0025】
また、ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合に、VS電位はHV電位まで上昇する。この場合には、ブートストラップダイオードDbsは逆バイアスされるため、ブートストラップダイオードDbsの充電電流は流れない。一方、ブートストラップ補償回路12のTr1はOFFし、メイントランジスタTr2はONするため、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの充電電流を供給する。
【0026】
なお、負荷がモータなどの誘導性負荷の場合には、ローサイドスイッチング素子M2がOFFしても、負荷は自身に直前まで流れていた電流を流し続けようとする。このため、ローサイドスイッチング素子M2がOFFし、ハイサイドスイッチング素子M1がまだONしていない状態で、負荷からの電流が還流ダイオードDf1を介して主電源HVの高圧側に流れる(還流モード)。この場合に、VS電位はHV電位+Vf2となる。ここでVf2は還流ダイオードDf1のカソードとアノードの間の電位差である。実施の形態1では、このような還流モードでもブートストラップ補償回路12は充電電流を供給する。
【0027】
以上説明したように、ブートストラップダイオードDbsが動作できない場合にブートストラップ補償回路12が動作するため、VS電位の変化に拠らずにVB端子とVS端子の間の電圧はほぼ一定になる。従って、ブートストラップコンデンサCbsを十分に充電することができる。よって、ハイサイドスイッチング素子M1がON状態を維持した場合でも、ハイサイド駆動回路10aの駆動電圧を確保できる。また、従来の回路に比べて、回路を簡略化及び小型化することができる。
【0028】
また、本実施の形態ではブートストラップ補償回路12がVS電位をモニターするため、ブートストラップ補償回路12のモニター用のHVC端子と出力用のHVD端子を共通化できる。従って、装置を小型化できるという利点もある。
【0029】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態2では、実施の形態1と異なり、ブートストラップ補償回路12のHVC端子にブートストラップコンデンサCbsの他端(VB端子)が接続されている。そして、ブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端のVB電位をモニターし、このVB電位が所定値より大きい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、ブートストラップ補償回路12がVB電位をモニターするため、ブートストラップ補償回路12のモニター用のHVC端子と出力用のHVD端子を共通化できる。従って、実施の形態1よりも更に装置を小型化できる。ただし、VB電位はブートストラップコンデンサCbsの充電電圧に依存するため、例えば充電電圧が低い場合にブートストラップ補償回路12をオンするタイミングが遅れてしまう。一方、VS電位をモニターする実施の形態1では、ブートストラップ補償回路12をオンするタイミングが充電電圧に依存しない。
【0031】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態3では、実施の形態1と異なり、ハイサイド駆動回路10aが逆レベルシフト回路14及びレベルシフト回路16を介してブートストラップ補償回路12のHVC端子に接続されている。
【0032】
ここで、ハイサイド駆動回路10a内の信号はVS端子の電位(VS電位)が基準となっているため、VS電位の変動によって絶対値が0Vから600+15Vまで変動する。一方、ブートストラップ補償回路12内の信号はHV端子の電位(HV電位)が基準となっている。そこで、ハイサイド駆動回路10a内の信号を逆レベルシフト回路14によりGND基準にレベルシフトし、更に逆レベルシフト回路14の出力をレベルシフト回路16によりHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0033】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ハイサイド駆動回路10aのハイサイドスイッチング素子M1に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がON指令(HO端子の電位がHIGH(HV+15V))の場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
なお、実施の形態3では、実施の形態1と異なり、還流モードではブートストラップ補償回路12の充電電流は流れない。これにより、ブートストラップ補償回路12がONするのが早過ぎてブートストラップコンデンサCbsの充電電圧が高くなり過ぎるのを防ぐことができる。
【0035】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態4では、実施の形態1と異なり、ローサイド駆動回路10bがレベルシフト回路18を介してブートストラップ補償回路12のHVC端子に接続されている。このレベルシフト回路18によりローサイド駆動回路10bの信号をHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0036】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ローサイド駆動回路10bのローサイドスイッチング素子M2に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がOFF指令(LO端子の電位がLOW)の場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5に係る電力用半導体装置を示す回路図である。ブートストラップダイオードDbsによりローサイド駆動電源LVからブートストラップコンデンサCbsの他端に流れる電流を検知する電流測定部20が設けられている。電流測定部20の出力はアナログ変換回路22によりアナログ信号に変換され、コンパレータ24の−端子に入力される。コンパレータ24の+端子は、VB端子とVS端子の間に直列接続された抵抗26,28の接続点に接続されている。
【0038】
ここで、コンパレータ24の出力(デジタル値)はVS電位が基準である。一方、ブートストラップ補償回路12内の信号はHV電位が基準となっている。そこで、コンパレータ24の出力を逆レベルシフト回路30によりGND基準にレベルシフトし、更に逆レベルシフト回路30の出力をレベルシフト回路32によりHV電位基準にレベルシフトしてから、ブートストラップ補償回路12のHVC端子に入力させる。
【0039】
本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、電流測定部20により測定された電流が所定値より小さい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。従って、ブートストラップダイオードDbsが逆バイアス状態となりブートストラップコンデンサCbsに電流を供給できない状態を検知し、ブートストラップ補償回路12がブートストラップコンデンサCbsに電流を供給することができる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ブートストラップコンデンサCbsへの供給電流を一定に保つことができる。
【0040】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態6は、実施の形態5と異なり、電流測定部20とアナログ変換回路22が無く、コンパレータ24の−端子に電源34の高電圧側が接続され、電源34の低電圧側がVS端子に接続されている。
【0041】
このコンパレータ24、電源34、及び抵抗26,28は、ブートストラップコンデンサCbsの両端の電位差(VB端子とVS端子の電位差)を測定する電位差測定部36を構成する。
【0042】
ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36により測定された電位差が所定値より小さい場合に、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を供給する。一方、電位差が所定値より大きくて充電の必要が無い場合には、フローティング電源FVからの電流の供給をストップする。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ブートストラップコンデンサCbsへの供給電流を一定に保つことができる。
【0043】
実施の形態7.
図8は、実施の形態7に係る電力用半導体装置を示す回路図である。実施の形態7は、実施の形態6と異なり、ブートストラップダイオードDbsが設けられていない。そして、ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36の出力と制御トランジスタTr1の出力をAND演算するAND回路38と、AND回路38の出力に応じて動作する発振器40とを更に有する。
【0044】
図9は、実施の形態7に係る電力用半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をONにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をOFFにする場合は、VS端子は高電位になる。この場合、実施の形態1〜6と同様に、本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、ブートストラップコンデンサCbsの他端にフローティング電源FVからの電流を継続的に供給する。
【0045】
ハイサイド駆動回路10aがハイサイドスイッチング素子M1をOFFにし、ローサイド駆動回路10bがローサイドスイッチング素子M2をONにする場合、VS端子はGNDになる。この場合、実施の形態1〜6では、ブートストラップダイオードDbsが充電電流を供給し、ブートストラップ補償回路12は充電電流の供給をストップする。一方、本実施の形態のブートストラップ補償回路12は、この場合でも充電電流を間欠的に供給する。従って、実施の形態1〜6のブートストラップダイオードDbsを省略することができる。
【0046】
また、ブートストラップ補償回路12は、電位差測定部36により測定された電位差(VB端子とVS端子の電位差)が大きくなるほど、間欠的に供給する充電電流の間隔を長くする。これにより、無駄な充電電流を削減することができる。
【0047】
実施の形態8.
図10は、実施の形態8に係る電力用半導体装置を示す回路図である。この電力用半導体装置は、ハイサイドスイッチング素子M1、ローサイドスイッチング素子M2、駆動回路10、ブートストラップコンデンサCbs、及び、ブートストラップ補償回路12を含むユニットを3つ備える3相フルブリッジインバータである。3つのユニットに対して1つのフローティング電源FVが共用されている。なお、ブートストラップダイオードDbsが駆動回路10に内蔵されているが、ブートストラップダイオードDbsを外付けにしても良い。
【0048】
本実施の形態の効果について比較例と比較しながら説明する。図11は、比較例に係る電力用半導体装置を示す回路図である。比較例では、ブートストラップ補償回路12は設けられておらず、駆動回路10のハイサイド駆動回路10aに駆動電圧を供給するために、各ユニットにそれぞれフローティング電源FVを設けている。従って、3個のフローティング電源FVが必要である。一方、本実施の形態では、ブートストラップ補償回路12を用いることで単電源化が可能である。
【0049】
また、比較例の場合、スイッチング素子のオン/オフに伴うVS電位の変動によるdV/dtノイズがフローティング電源FVの高圧側に伝播してしまう。一方、本実施の形態のフローティング電源FVは固定電位である主電源HVの高圧側電位を基準電位としているため、フローティング電源FVがスイッチングノイズの影響を受けることはない。
【0050】
図12は、実施の形態8に係る電力用半導体装置の変形例を示す回路図である。この回路は、図10の回路のハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2をIGBTからSiC製のMOSFET(SiCデバイス)に変更し、かつ還流ダイオードDf1,Df2をSiCデバイスにしたものである。
【0051】
ハイサイドスイッチング素子M1及びローサイドスイッチング素子M2をSiC製のMOSFETにすることで電力損失が低減されるため、装置の効率及び特性を向上させることができる。また、還流ダイオードDf1,Df2をSiCデバイスとすることで放熱性及び耐熱性が向上するため、放熱部を簡素化できる。具体的には、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や水冷部の高効率化が可能となる。よって、装置を小型化することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、駆動回路10及びブートストラップ補償回路12は実施の形態1の構成であるが、これに限らず実施の形態2〜7の何れかの構成にしてもよい。また、ユニット数は3つに限らず、2つでも、4つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0053】
10a ハイサイド駆動回路
10b ローサイド駆動回路
12 ブートストラップ補償回路
20 電流測定部
36 電位差測定部
Cbs ブートストラップコンデンサ
Dbs ブートストラップダイオード
FV フローティング電源
LV ローサイド駆動電源(電源)
M1 ハイサイドスイッチング素子
M2 ローサイドスイッチング素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、
一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、
アノードが電源に接続され、カソードが前記ブートストラップコンデンサの前記他端に接続され、前記電源からの電流を前記ブートストラップコンデンサの前記他端に供給するブートストラップダイオードと、
前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備えることを特徴とする電力用半導体装置。
【請求項2】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点の電位をモニターし、この電位が所定値より大きい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項3】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端の電位をモニターし、この電位が所定値より大きい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項4】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ハイサイド駆動回路の前記ハイサイドスイッチング素子に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がON指令の場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項5】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ローサイド駆動回路の前記ローサイドスイッチング素子に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がOFF指令の場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項6】
前記ブートストラップダイオードにより前記電源から前記ブートストラップコンデンサの前記他端に流れる電流を検知する電流測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電流測定部により測定された電流が所定値より小さい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項7】
前記ブートストラップコンデンサの両端の電位差を測定する電位差測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電位差測定部により測定された電位差が所定値より小さい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項8】
高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、
一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、
前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、
前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備え、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を継続的に供給し、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をOFFにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をONにする場合に、前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を間欠的に供給することを特徴とする電力用半導体装置。
【請求項9】
前記ブートストラップコンデンサの両端の電位差を測定する電位差測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電位差測定部により測定された電位差が大きくなるほど、間欠的に供給する電流の間隔を長くすることを特徴とする請求項8に記載の電力用半導体装置。
【請求項10】
前記ハイサイドスイッチング素子、前記ローサイドスイッチング素子、前記ハイサイド駆動回路、前記ローサイド駆動回路、前記ブートストラップコンデンサ、前記ブートストラップダイオード、及び、前記ブートストラップ補償回路を含むユニットを複数備え、
前記複数のユニットに対して、1つの前記フローティング電源が共用されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項11】
前記ハイサイドスイッチング素子、前記ローサイドスイッチング素子、前記ハイサイド駆動回路、前記ローサイド駆動回路、前記ブートストラップコンデンサ、及び、前記ブートストラップ補償回路を含むユニットを複数備え、
前記複数のユニットに対して、1つの前記フローティング電源が共用されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の電力用半導体装置。
【請求項12】
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子はSiCデバイスであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項13】
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子にそれぞれ逆並列接続された還流ダイオードを更に備え、
前記還流ダイオードはSiCデバイスであることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項1】
高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、
一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、
アノードが電源に接続され、カソードが前記ブートストラップコンデンサの前記他端に接続され、前記電源からの電流を前記ブートストラップコンデンサの前記他端に供給するブートストラップダイオードと、
前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備えることを特徴とする電力用半導体装置。
【請求項2】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点の電位をモニターし、この電位が所定値より大きい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項3】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端の電位をモニターし、この電位が所定値より大きい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項4】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ハイサイド駆動回路の前記ハイサイドスイッチング素子に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がON指令の場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項5】
前記ブートストラップ補償回路は、前記ローサイド駆動回路の前記ローサイドスイッチング素子に対するON/OFF指令をモニターし、この指令がOFF指令の場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項6】
前記ブートストラップダイオードにより前記電源から前記ブートストラップコンデンサの前記他端に流れる電流を検知する電流測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電流測定部により測定された電流が所定値より小さい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項7】
前記ブートストラップコンデンサの両端の電位差を測定する電位差測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電位差測定部により測定された電位差が所定値より小さい場合に、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項8】
高圧側電位と低圧側電位との間に高圧側から順にトーテムポール接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
前記ローサイドスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路と、
一端が前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記ハイサイド駆動回路の電源端子に接続され、前記ハイサイド駆動回路に駆動電圧を供給するブートストラップコンデンサと、
前記高圧側電位を基準電位とするフローティング電源と、
前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を供給するブートストラップ補償回路とを備え、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をONにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をOFFにする場合に、前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を継続的に供給し、
前記ハイサイド駆動回路が前記ハイサイドスイッチング素子をOFFにし、前記ローサイド駆動回路が前記ローサイドスイッチング素子をONにする場合に、前記ブートストラップ補償回路は、前記ブートストラップコンデンサの前記他端に前記フローティング電源からの電流を間欠的に供給することを特徴とする電力用半導体装置。
【請求項9】
前記ブートストラップコンデンサの両端の電位差を測定する電位差測定部を更に備え、
前記ブートストラップ補償回路は、前記電位差測定部により測定された電位差が大きくなるほど、間欠的に供給する電流の間隔を長くすることを特徴とする請求項8に記載の電力用半導体装置。
【請求項10】
前記ハイサイドスイッチング素子、前記ローサイドスイッチング素子、前記ハイサイド駆動回路、前記ローサイド駆動回路、前記ブートストラップコンデンサ、前記ブートストラップダイオード、及び、前記ブートストラップ補償回路を含むユニットを複数備え、
前記複数のユニットに対して、1つの前記フローティング電源が共用されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項11】
前記ハイサイドスイッチング素子、前記ローサイドスイッチング素子、前記ハイサイド駆動回路、前記ローサイド駆動回路、前記ブートストラップコンデンサ、及び、前記ブートストラップ補償回路を含むユニットを複数備え、
前記複数のユニットに対して、1つの前記フローティング電源が共用されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の電力用半導体装置。
【請求項12】
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子はSiCデバイスであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項13】
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子にそれぞれ逆並列接続された還流ダイオードを更に備え、
前記還流ダイオードはSiCデバイスであることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の電力用半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−234430(P2011−234430A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99788(P2010−99788)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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