説明

電力系統管理図面の描画方法

【課題】必要な情報が適正かつ合理的に描画された電力系統管理図面を自動的に描画することができる描画方法を提供する。
【解決手段】電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面を描画する方法において、電力系統管理図面用の回路内区分設備のシンボルに、予めシンボルごとにシンボル形状境界と接続点候補(複数)を設定しておき、電力用系統制御システムから取得した描画情報のシンボルとラインを電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換える工程と、対象シンボルに接続するラインを全て抽出する工程と、前記対象シンボルの基準点及び切断点を算出する工程と、切断点に基づき接続点候補の中から接続点を決定する工程と、前記接続点に新たなシンボルを追加する工程と、接続点と追加したシンボルの基準点とを経由するようラインを補正する工程とから、電力系統管理図面用の描画情報を生成し、電力系統管理図面を描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電力系統制御システムの描画情報をもとに電力系統管理図面を描画する方法に関し、特に回路内区分設備の描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力事業の電力系統図面管理において、実作業地等で使用する電力系統管理図面のデータと、制御用電力系統図のデータとの間で、各データを相互利用する電力系統図面管理方法が知られている。(特許文献1を参照)
図1に示す電力系統図面編集システムは、配電線、制御機器、配電機器、開閉器類等の制御用電力系統図データを保存・管理するとともに前記各配線及び機器を制御する電力系統制御システム1に、ネットワークを介して図面編集装置2を付設し、前記電力系統制御システム1に保存されているデータ(描画情報)をもとに電力系統管理図面を描画するものである。
【0003】
電力系統制御システム1のデータベースには、電力系統制御システムの表示装置1aに制御用電力系等図のデータを表示するための描画情報(電力線(ライン)、設備(シンボル)、地図等)が保存・管理されている。
そして図面編集装置2は、前記電力系統制御システム1のデータベースから前記描画情報(電力線(ライン)、設備(シンボル)、地図等)取得し、当該描画情報をもとに電力系統管理図面を描画する。しかしながら、電力系統制御システムの表示装置1aに表示される制御用電力系統図と、電力系統管理図面とでは描画方式が同じでないため、表記が異なる設備(以下、シンボルという)や電力線(以下、ラインという)を電力系統管理図面用に置き換えたり、電力系統管理図面に必要な情報(電力系統制御システムでは表示されないシンボルなど)を新たに追加することによって、電力系統管理図面の描画情報を生成し、電力系統管理図面を描画していた。
例えば、図面編集装置2において電力系統制御システム1のデータベースから取得した描画情報をもとに、電力系統管理図面における回路内区分設備を自動的描画する場合、表記が異なるラインやシンボルを電力系統管理図面用のシンボルやラインに置き換えた後、回路内区分設備(例えば、高圧自動キャビネット)のシンボルの近辺に、電力系統制御システムでは表示されない制御装置(例えば、地中機器内開閉器)のシンボルを新たに追加し、電力系統管理図面の描画情報を生成する。
【特許文献1】特願2001−005384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図面編集装置2において電力系統制御システム1から取得した描画情報をもとに、従来の描画方法で自動描画した電力系統管理図面では、シンボルやラインの配置が適切でなく、オペレータによる修正が必要であった。
特に、電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面における回路内区分設備を自動描画した場合、従来の描画方法によって描画した電力系統管理図面では、シンボルやラインとの関係が視覚的に不合理な図面になってしまい、その都度オペレータが図面編集装置2の表示装置2aに表示された電力系統管理図面を見ながら、図面編集装置2に接続された入力装置2bによって、自動描画された電力系統管理図面を補正していた。
【0005】
そこで本発明による電力系統管理図面の描画方法は、上記の問題点を解決し、オペレータの補正作業の手間をなくし、必要な情報が適正かつ合理的に描画された電力系統管理図面を自動的に描画することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこでこの発明は、ネットワークを介して電力系統制御システムに接続した図面編集装置において、前記電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面を描画する方法において、電力系統管理図面用の回路内区分設備のシンボルに、予めシンボルごとにシンボル形状境界と接続点候補(複数)を設定しておき、電力用系統制御システムから取得した描画情報のシンボルとラインを電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換える工程と、新たなシンボルを追加すべき対象となる回路内区分設備のシンボル(対象シンボル)に接続するラインを全て抽出する工程と、前記対象シンボルの基準点及びそれぞれのラインとシンボル形状境界による切断点を算出する工程と、接続点候補が重複せず、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度の総和が最も小さくなる接続点候補を接続点として決定する工程と、前記接続点に新たなシンボルを追加する工程と、接続点と追加したシンボルの基準点とを経由するようラインを補正する工程とから、電力系統管理図面用の描画情報を生成し、電力系統管理図面を描画する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面における回路内区分設備を描画するにあたって、電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換えるとともに、電力系統管理図面に必要なシンボルを新たに追加して電力系統管理図面を描画するにあたって、シンボルとラインを最適位置に描画することができるため、オペレータによる補正を伴うことなく、必要な情報が適正かつ合理的に描画された電力系統管理図面を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明による電力系統管理図面の描画方法について図1乃至図10を参照して説明する。
【0009】
本発明による電力系統管理図面の描画方法は、図1に示すように、ネットワークを介して電力系統制御システム1に接続された図面編集装置2において、前記電力系統制御システム1から取得した描画情報をもとに電力系統管理図面を描画するものである。
つまり図面編集装置2は、前記電力系統制御システム1の描画情報(電力線(ライン)、設備(シンボル)、地図等)をもとに電力系統管理図面の描画情報を生成し、電力系統管理図面の描画情報を生成し、電力系統管理図面を自動描画する。そして自動描画された電力系統管理図面は、図面編集装置2の表示装置2aに表示されたり、印刷装置3に出力されたりする。
【0010】
また電力系統制御システム1から取得した描画情報をもとに図面編集装置2で電力系統管理図面を描画するにあたって、電力系統制御システムの表示装置1aに表示される制御用電力系統図と、電力系統管理図面とでは描画方式が同じでないため、電力系統制御システムから取得した描画情報のシンボルとラインを電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換えるとともに、電力系統制御システムでは表示されないが電力系統管理図面には必要な情報(電力系統制御システムでは表示されない制御装置などのシンボル)を追加する。
【0011】
図2は、電力系統制御システムの描画情報における設備(シンボル)と、電力系統管理図面の描画情報における設備(シンボル)とを表わすものである。
電力系統制御システムと電力系統管理図面とでは描画方式が同じではないため、図2(a)に示すように、同じ設備(シンボル)に対して異なる表記が採用されるものがある。
そこで図面編集装置2では、例えば図面編集装置2のデータベースで電力系統管理図面用のシンボルやラインを保存・管理し、前記データベースに基づき、電力系統制御システム1から取得した描画情報のシンボルやラインを電力系統管理図面の表記に変換する。
【0012】
そして本発明による電力系統管理図面の描画方法では、図面編集装置2のデータベースで電力系統管理図面用のシンボルを保存・管理するにあたって、図2(b)に示すように、電力系統管理図面用の回路内区分設備のシンボルに、予めシンボルごとにシンボル形状境界と複数の接続点候補を設定しておく。
【0013】
また本発明では、ネットワークを介して電力系統制御システム1に接続された図面編集装置2において、前記電力系統制御システム1から取得した描画情報をもとに電力系統管理図面の描画情報を生成し、電力系統管理図面を描画するにあたって、図3のフローチャートに示すように、電力用系統制御システムから取得した描画情報のシンボルとラインを電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換える工程と(ステップS1)、新たなシンボルを追加すべき対象となる回路内区分設備のシンボル(対象シンボル)に接続するラインを全て抽出する工程と(ステップS2)、対象シンボルの基準点及びそれぞれのラインとシンボル形状境界による切断点を算出する工程(ステップS3)と、接続点候補が重複せず、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度の総和が最も小さくなる接続点候補を接続点として決定する工程(ステップS4)と、接続点に新たなシンボルを追加する工程(ステップS5)と、接続点と追加したシンボルの基準点を経由するようラインを補正する工程(ステップS6)とから、電力系統管理図面用の描画情報を生成し(ステップS7)、電力系統管理図面を描画する(ステップS8)。
【0014】
図4は、電力系統制御システム1の描画情報を例示するものであり、回路内区分設備の一つである多回路設備を示すものである。
図4(a)は、電力系統制御システムの表示装置1aに表示された多回路設備の図を示すものであり、多回路設備を表わすシンボルと、当該シンボルに接続される2本のラインとが表示される。
なお実際のデータ(電力系統制御システムの描画情報)は、図4(b)に示すように、シンボル内で2本のラインが分岐するようにして引かれているとともに、当該ラインの分岐点(回路分岐点)にシンボルの基準点が合致するようにしてシンボルが配置されている。
表示装置1aに表示された多回路設備は、シンボルの背面に描画されているライン(図4(b)に示す点線部分)はシンボルに隠れて見えず、図4(a)に示すように、シンボルの下から2本のラインが延びるようにして表示される。
【0015】
図5は、従来技術による電力系統管理図面の描画方法を示す図である。
図4(b)に示す回路内区分設備の図(電力系統制御システムの描画情報)をもとに電力系統図面における回路内区分設備を描画するにあたって、まず電力系統制御システムのシンボルとラインを電力系統管理図面のシンボルとラインに置き換える。
図5(a)に示す図は、高圧自動キャビネットのシンボルを電力系統管理図面用のシンボルに置き換えたものである。このとき、2本のラインの分岐点(回路分岐点)に、置換するシンボル(高圧自動キャビネット)の基準点が合致するよう、高圧自動キャビネットのシンボルを配置する(シンボルを置き換える)。
【0016】
また図4(b)に示す回路内区分設備の図(電力系統制御システムの描画情報)をもとに電力系統図面における回路内区分設備を描画するにあたって、電力系統制御システムでは表示されないが電力系統管理図面には必要な情報(電力系統制御システムでは表示されない制御装置などのシンボル)を追加する。
図5(b)に示す図は、電力系統制御システム1の表示装置1aには表示されていなかった地中機器内開閉器のシンボルを、高圧自動キャビネットのシンボルの近辺に新たに追加したものである。なお従来の描画方法では、回路分岐点から一定距離位置に地中機器内開閉器などの新たなシンボルが配置されるよう予め設定しておき、新たなシンボルの追加を行う。
そして電力系統制御システムの描画情報をもとに生成された電力系統管理図面の描画情報に従って、図5(c)に示すように、電力系統管理図面における回路内区分設備を描画する。
【0017】
しかしながら従来の描画方法によって自動描画した電力系統管理図面は、図6に示すように、シンボルの大きさや、ラインとシンボルの位置関係などによって、シンボルやラインとの関係が視覚的に不合理な図面になってしまう。
【0018】
例えば図6(a)に示すように、新たに追加するシンボルの配設位置を比較的小さなシンボルを基準に、回路分岐点から一定距離位置に配置するよう設定した場合(左図を参照)、基準としたシンボルよりも大きなシンボル(対象シンボル)の近辺に追加した新たなシンボルは、対象シンボルと重なってしまう(右図を参照)。
一方、例えば図6(b)に示すように、新たに追加するシンボルの配設位置を比較的大きなシンボルを基準に、回路分岐点から一定距離位置に配置するよう設定した場合(左図を参照)、基準としたシンボルよりも小さな対象シンボルの近辺に追加した新たなシンボルは、対象シンボルと離れてしまう(右図を参照)。
【0019】
また、新たに追加するシンボルの配設位置を回路分岐点から一定距離位置に配置するよう設定した場合、図6(c)に示すように、対象シンボルとラインの配置関係によって、追加した新たなシンボルの一方が、対象シンボルと重なってしまう。
さらに図6(d)に示すように、ラインとの関係によって、追加した新たなシンボル同士が重なってしまう。
【0020】
これに対し、本発明による電力系統管理図面の描画方法を採用することによって、ネットワークを介して電力系統制御システム1に接続した図面編集装置2において、前記電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面を自動描画したとき、シンボルやラインが適正かつ合理的に描画された電力系統管理図面を描画することができる。
本発明による電力管理図面の描画方法について、図7及び図8を参照して説明する。
【0021】
図4(b)に示す回路内区分設備の図(電力系統制御システムの描画情報)をもとに電力系統図面における回路内区分設備を描画するにあたって、従来技術と同様に、まず電力系統制御システムのシンボルとラインを電力系統管理図面のシンボルとラインに置き換える。
図7(a)に示す図は、高圧自動キャビネットのシンボルを電力系統管理図面用のシンボルに置き換えたものである。このとき、2本のラインの分岐点(回路分岐点)に、置換するシンボル(高圧自動キャビネット)の基準点が合致するよう、高圧自動キャビネットのシンボルを配置する(シンボルを置き換える)。
なお本発明では、電力系統管理図面用の回路内区分設備のシンボルに、予めシンボルごとにシンボル形状境界(シンボルの外形)と接続点候補とを設定してある。
【0022】
次に、電力系統制御システムでは表示されないが電力系統管理図面には必要な情報(電力系統制御システムでは表示されない制御装置などのシンボル)を追加するため、新たなシンボルを追加すべき対象となる回路内区分設備のシンボル(対象シンボル)に接続するラインを全て抽出する。
電力系統制御システムの表示装置1aには表示されていなかった地中機器内開閉器のシンボルを、高圧自動キャビネットのシンボルの近辺に新たに追加するため、図7(b)に示す図では、高圧自動キャビネットのシンボル(対象シンボル)に接続する2本のラインを抽出した。
そして、電力系統管理図面用に置き換えられたシンボル(高圧自動キャビネット)のシンボル形状境界と、抽出したラインとに基づき、図7(c)に示すように、ラインとシンボル形状境界による切断点を算出する。この実施例では2つの切断点(切断点a,切断点b)が算出される。
【0023】
続いて、算出された各切断点(切断点a,切断点b)と、予めシンボルに設定されている複数の接続点候補とに基づき、接続点(接続点a´,接続点b´)を決定する。
図8(a)に示すように、各切断点(切断点a,切断点b)における、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度の総和が最も小さくなる接続点候補(重複しない接続点候補)を選択し、それぞれ接続点(接続点a´,接続点b´)として決定する。
【0024】
その後、図8(b)に示すように、接続点候補の中から決定した接続点に、新たなシンボル(地中機器内開閉器のシンボル)が外接するよう、対象シンボル(高圧自動キャビネットのシンボル)に対して新たなシンボル(地中機器内開閉器のシンボル)を追加する。
また図8(c)に示すように、回路分岐点から延びる2本のラインを、前記接続点と、新たに追加したシンボルの基準点とを経由するように、それぞれ補正する。
【0025】
これによって、図8(d)に示すように、対象シンボル(高圧自動キャビネットのシンボル)に対して最適な位置に新たなシンボル(地中機器内開閉器のシンボル)が追加されるとともに、追加された新たなシンボル(地中機器内開閉器のシンボル)に対してラインが適正かつ合理的に引かれた電力系統管理図面の描画情報を生成することができる。
そして図8(e)に示すように、ラインが適正かつ合理的に描画された電力系統管理図面を取得することができる。
【0026】
次に、図9及び図10を参照して、電力系統管理図面用のシンボルに予め設定されている接続点候補の中から接続点を決定する方法を詳細に説明する。
【0027】
図7(c)に示すように、対象シンボル上に2つの切断点(切断点a,切断点b)が算出された場合、接続点候補の中から切断点aに基づき1つの接続点候補を選択するとともに、同じく接続点候補の中から切断点bに基づき1つの接続点候補を選択し、2つの接続点(接続点a´,接続点b´)を決定する。なお各切断点(切断点a,切断点b)において選択した接続点候補が重複せず、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度の総和が最も小さくなる接続点候補を、それぞれ接続点(接続点a´,接続点b´)として決定する。
【0028】
例えば、図9(a)に示すように、切断点aに基づいて、シンボルの基準点Oと切断点aのなす線分(ベクトルOa)と、シンボルの基準点Oと接続点候補Aのなす線分(ベクトルOA)とがなす角度θを求めるとともに、同様にして切断点bに基づいて角度θを求め、これら角度θの総和が最も小さくなる組合せ(重複しない2つの接続点候補)を検索することによって、接続点候補の中から接続点(接続点a´,接続点b´)を決定する。
シンボルの基準点Oと切断点aのなす線分(ベクトルOa)と、シンボルの基準点Oと接続点候補Aのなす線分(ベクトルOA)とがなす角度θを算出するための計算式を数1に示す。同様にして、切断点bに基づく角度θも算出する。
【0029】
【数1】

【0030】
しかしながら、シンボルの基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度θを実際に算出し(数1を参照)、各切断点(切断点a,切断点b)における角度θの総和が最も小さくなる組合せ(重複しない2つの接続点候補)を検索したのでは、計算量が多く計算に時間がかかってしまう。
そこで本発明では、接続点を決定するための計算量を減らして処理を高速化するため、角度θを計算する代わりに、各切断点(切断点a,切断点b)における接続点候補の差分ベクトルの大きさ(差分ベクトルの大きさの二乗)を求め、この差分ベクトルの大きさの総和が最も小さくなる組合せ(重複しない2つの接続点候補)を検索し、接続点(接続点a´,接続点b´)を決定した。
【0031】
図9(b)に示すように、切断点aに基づいて、シンボルの基準点Oと切断点aのなす線分(ベクトルOa)と、シンボルの基準点Oと接続点候補Aのなす線分(ベクトルOA)とがなす差分ベクトル(ベクトルaA)の大きさを求める。なお計算の簡略化のため、各切断点(切断点a,切断点b)における接続候補点の差分ベクトルの大きさの二乗L(接続点と接続候補点の距離の二乗)をそれぞれ計算する。
シンボルの基準点Oと切断点aのなす線分(ベクトルOa)と、シンボルの基準点Oと接続点候補Aのなす線分(ベクトルOA)とがなす差分ベクトル(ベクトルaA)の大きさの二乗Lを算出するための計算式を数2に示す。同様にして、切断点bに基づく差分ベクトルの大きさの二乗も算出する。
【0032】
【数2】

【0033】
図10を参照して、差分ベクトルの大きさを代用し、接続点候補の中から接続点を決定する方法を説明する。
図10(a)に示すように、切断点aにおける接続点候補の差分ベクトルの大きさ(切断点aと接続点候補の距離の二乗)を求めるとともに、図10(b)に示すように、切断点bにおける接続点候補の差分ベクトルの大きさ(切断点bと接続点候補の距離の二乗)を求めた後、図10(c)に示すように、各切断点における差分ベクトルの大きさの総和が最も小さくなる組合せ(重複しない2つの接続点候補)を検索することによって、接続点候補の中から接続点(接続点a´,接続点b´)を決定する。
つまり接続点候補が重複しない(ベクトルの終点が異なる)ように、各切断点(切断点a,切断点b)における差分ベクトルをそれぞれ抽出し、前記差分ベクトルの大きさの総和が最小になる組合せ(重複しない2つの接続点候補)を検索し、接続点(接続点a´,接続点b´)を決定する。差分ベクトルの大きさを代用することによって、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度θを実際に算出して接続点を検索するよりも計算量を減少でき、処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】電力系統図面編集システムの構成を説明する図である。
【図2】電力系統制御システムと電力系統管理図面とにおけるシンボルを例示する図である。
【図3】この発明による電力系統管理図面の描画方法を示すフローチャートである。
【図4】電力系統制御システムの描画情報を例示した図である。
【図5】従来技術による電力系統管理図面の描画方法を説明する図である。
【図6】従来の描画方法で生成した電力系統管理図面の描画情報を示す図である。
【図7】本発明による電力系統管理図面の描画方法を説明する第1図である。
【図8】本発明による電力系統管理図面の描画方法を説明する第2図である。
【図9】接続点の決定方法を説明する第1図である。
【図10】接続点の決定方法を説明する第2図である。
【符号の説明】
【0035】
1 電力系統制御システム
1a 表示装置
2 図面編集装置
2a 表示装置
2b 入力装置
3 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して電力系統制御システム(1)に接続した図面編集装置(2)において、前記電力系統制御システムから取得した描画情報をもとに電力系統管理図面を描画する方法において、
電力系統管理図面用の回路内区分設備のシンボルに、予めシンボルごとにシンボル形状境界と接続点候補(複数)を設定しておき、
電力用系統制御システムから取得した描画情報のシンボルとラインを電力系統管理図面用のシンボルとラインに置き換える工程と、
新たなシンボルを追加すべき対象となる回路内区分設備のシンボル(対象シンボル)に接続するラインを全て抽出する工程と、
前記対象シンボルの基準点及びそれぞれのラインとシンボル形状境界による切断点を算出する工程と、
接続点候補が重複せず、基準点と切断点のなす線分と、基準点と接続点候補のなす線分とがなす角度の総和が最も小さくなる接続点候補を接続点として決定する工程と、
前記接続点に新たなシンボルを追加する工程と、
接続点と追加したシンボルの基準点とを経由するようラインを補正する工程とから、
電力系統管理図面用の描画情報を生成し、電力系統管理図面を描画することを特徴とする電力系統管理図面の描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−152638(P2008−152638A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341522(P2006−341522)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(501464255)株式会社テプコシステムズ (17)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】