説明

電力線搬送通信システム

【課題】長距離配線されたダクトであっても、良好な通信品質で電力線搬送通信を行える電力線搬送通信システムを提供する。
【解決手段】結合器16を用いて第1電力線搬送通信系統2に接続された端末装置100と、第2電力線搬送通信系統3に接続された端末装置100との間で相互に電力線搬送通信可能に構成されている。結合器16は、電力線ダクト10,11と接続されるダクト接続部161,162と自動利得可変増幅部163とを有し、自動利得可変増幅部163は、一方のダクト接続部から入力される電力線搬送通信信号を増幅するとともに、その増幅率(利得)が前記電力線搬送通信信号の信号レベルに応じて可変とされ、一方のダクト接続部から入力される電力線搬送通信信号をその信号レベルに対応する利得により一定の信号レベルまで増幅し、他のダクト接続部へ出力する双方向型の自動利得可変増幅部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線に通信信号を重畳することにより電力線を用いて通信を行うシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住戸やオフィスビルを始めとして、様々な場所に電力供給のために電力線が布設されている。近年、この電力線を伝送路に用いた電力線搬送通信(Power Line Communication;以下、PLCという)が確立されつつある。このPLCは、既設の電力線を用いて機器同士の通信が実現されるため、専用の通信線を新たに導入及び施工することなく機器同士のネットワーク化が可能である。
【0003】
一方、特許文献1には、電力線ダクトの電路ブレーカが収納された分電盤と、電力線ダクトと分電盤との間に設置された信号漏洩阻止フィルタと、電気器具を電力線ダクトに接続するためのプラグと、受信機を内蔵する集中監視盤と、送信機を内蔵する操作スイッチとを備え、プラグにそれぞれ接続された操作スイッチの送信機と集中監視盤の受信機との間で前記電力線ダクトを伝送媒体とする電力線搬送通信を行うシステムが開示されている。
【特許文献1】特開昭53−84195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、異なる電力線ダクトにそれぞれ接続された端末装置間で電力線搬送通信を行えるようにするために、電力線ダクト同士を結合部材により接合することが行われる。
【0005】
しかしながら、このように電力線ダクト同士を接合すると、電力線ダクトの長さが非常に長くなる場合があり、このような電力線ダクトを介して長距離離間した2点間で通信を行ったときに、送受信される電力線搬送通信信号が減衰し、通信品質が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、長距離配線されたダクトであっても、良好な通信品質で電力線搬送通信を行える電力線搬送通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電力線としての導体を備えた電力線ダクトと、前記電力線ダクト及び端末装置を電気的に接続し、前記端末装置から送信された通信データを電力線搬送通信信号に変調して前記電力線ダクトの導体に出力すると共に、前記電力線ダクトの導体を伝播する電力線搬送通信信号を受信し、受信した電力線搬送通信信号を復調して前記端末装置に送信するPLCプラグと、複数の電力線ダクト間に接続される結合器とを備え、前記結合器は、1の電力線ダクトから受信した電力線搬送通信信号を再生中継して他の電力線ダクトに出力するリピータ部を有する電力線搬送システムである。
【0008】
この発明によれば、PLCプラグは、端末装置から出力された通信データを電力線搬送通信信号に変調して電力線ダクトの導体に送信し、該電力線搬送通信信号はこの電力線ダクトの導体に接続された結合器の或る入出力部に入力される。結合器に入力された前記電力線搬送通信信号は、リピータ部により再生中継された後、他の電力線ダクトに出力される。そして、前記他の電力線ダクトに接続されたPLCプラグは、当該他の電力線ダクトの導体から電力線搬送通信信号を受信し、受信した電力線搬送通信信号を復調して端末装置に送信する。
【0009】
このように、本発明によれば、或る電力線ダクトの導体から他の電力線ダクトの導体に電力線搬送通信信号が出力される際に、リピータ部により再生中継するようにしたので、異なる電力線ダクトに接続された端末装置間で、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力線搬送通信システムにおいて、前記リピータ部は、少なくとも2個の電力線搬送通信信号の入出力部と、前記入出力部のうち1つの入出力部から入力される電力線搬送通信信号をその信号レベルに応じた利得により一定の信号レベルまで増幅した後、他の入出力部へ出力する双方向型の自動利得可変増幅部とを備えているものである。
【0011】
この発明によれば、PLCプラグは、端末装置から出力された通信データを電力線搬送通信信号に変調して電力線ダクトの導体に送信し、該電力線搬送通信信号はこの電力線ダクトの導体に接続された結合器の或る入出力部に入力される。結合器に入力された前記電力線搬送通信信号はその入力レベルに応じた利得により一定の信号レベルまで増幅され、その後、他の入出力部を介して他の電力線ダクトに出力される。そして、前記他の電力線ダクトに接続されたPLCプラグにより、当該他の電力線ダクトの導体から電力線搬送通信信号が受信され、受信された電力線搬送通信信号が復調されて端末装置に送信される。
【0012】
このように、本発明によれば、電力線搬送通信信号をその信号レベルに応じた利得により一定の信号レベルまで増幅するため、電力線搬送通信信号の減衰が回復される。これにより、異なる電力線ダクトに接続された端末装置間で、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電力線搬送通信システムにおいて、前記リピータ部は、少なくとも2個の電力線搬送通信信号の入出力部と、前記入出力部のうち1つの入出力部から入力された電力線搬送通信信号を復調してその信号の内容を解釈し、該内容と同一の内容の電力線搬送通信信号に変調して他の入出力部へ出力する電力線搬送通信信号生成部とを備えるものである。
【0014】
この発明によれば、PLCプラグは、端末装置から出力された通信データを電力線搬送通信信号に変調して電力線ダクトの導体に送信し、該電力線搬送通信変調信号はこの電力線ダクトの導体に接続された結合器の或る入出力部に入力される。結合器に入力された電力線搬送通信変調信号は、電力線搬送通信信号生成部により復調されてデータ内容が解釈される。その後、電力線搬送通信信号生成部により、前記データ内容と同一の内容を示す電力線搬送通信信号が生成され、他の入出力部を介して他の電力線ダクトに出力される。そして、前記他の電力線ダクトに接続されたPLCプラグにより、当該他の電力線ダクトの導体から電力線搬送通信信号が受信され、受信された電力線搬送通信信号が復調され、この復調後の電力線搬送通信信号が端末装置に送信される。
【0015】
このように、本発明によれば、電力線搬送通信信号が途中で減衰しても電力線搬送通信信号生成部により該信号と同一内容の電力線搬送通信信号が生成されるため、異なる電力線ダクトに接続された端末装置間で、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長距離配線された電力線ダクトであっても、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことのできる電力線搬送通信システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る電力線搬送通信システムの実施形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る電力線搬送通信システムの第1の実施形態を示す図である。図1に示す電力線搬送通信システム1は、例えば、工場、店舗、事務所等の屋内に設置される。本実施形態の電力線搬送通信システム1は、異なる複数の各分電盤よりそれぞれ配電される複数の電力線搬送通信系統を備えて構成されている。図1に示す例では、電力線搬送通信システム1は、分電盤4により配電される第1電力線搬送通信系統2と、分電盤5により配電される第2電力線搬送通信系統3との2系統が構成されている。
【0019】
第1電力線搬送通信系統2は、分電盤4、入線部材6及び電力線ダクト10を備え、分電盤4には、単相3線式の商用電源ACからの2本の活線と1本の中性線が導入されている。分電盤4は、図略の主幹ブレーカや分岐ブレーカを搭載し、前記活線及び中性線がこれらのブレーカを介して一対の電力ケーブル線8として当該分電盤4から導出されている。なお、前記商用電源ACは、例えば3相3線式のものでもよい。
【0020】
電力線ダクト10は、例えば屋内の天井面、壁面、床面等に設置され、長尺形状を有する一対の導体10a,10bを内蔵する。前記一対の電力ケーブル線8は、それぞれ入線部材6により電力線ダクト10内に入線され、前記導体10a,10bに接続されている。したがって、この導体10a,10bは電力を供給するための電力線として機能する。すなわち、導体10aには、2本のL1相及びL2相の活線のうち一方の活線が接続され、導体10bには、前記中性線が接続される。電力線ダクト10には、照明機器等の電力機器に電力のみを供給するための電力プラグ50と、電力線搬送通信を行うためのPLCプラグ12とが接続され得る。
【0021】
図2は、電力線ダクト10の外観構成図を示し、図3は、電力線ダクト10が備えるプラグ接続部74の断面図を示している。図2に示すように電力線ダクト10は、導体10a,10bの配線方向を長手方向とする細長い形状を有する中空のケース23を備えている。ケース23の下部には、導体10a,10bの配線方向に延びる開口部24が形成され、電力プラグ50及びPLCプラグ12を着脱可能に接続するためのプラグ接続部74が形成されている。また、ケース23の端部は開口形状をなし、入線部材6を接続するための入線部材接続部25とされている。また、ケース23は、左右両側の各内壁に導体10a,10bが配設されている。
【0022】
図3に示すように、プラグ接続部74は、ケース23の左右両側の各内壁においてケース23の中心に対向するように形成された一対のホルダ731を備え、ホルダ731の内部に、導体10a,10bが配設されている。ホルダ731の頂部は開口形状をなし、電力プラグ50及びPLCプラグ12が備える端子部がこの開口部分に挿入されて、電力プラグ50及びPLCプラグ12と電力線ダクト10とが電気的に接続される。
【0023】
電力プラグ50は、電力線ダクト10のプラグ接続部74に接続可能な端子部を備え、電力線ダクト10の底面の任意の位置に接続可能であり、電力線ダクト10に供給される電力を、蛍光灯、電球、発光ダイオード等の照明器具や、テレビ受像器や洗濯機等の家庭用電化製品等の電力機器101に供給する。
【0024】
PLCプラグ12は、電力線ダクト10のプラグ接続部74に接続可能な端子部を有し、図略のLAN入出力部と電力線搬送通信モデムとを備えている。LAN入出力部は、10Base−Tや100Base−T等の通信規格に基づくLAN端子を備えて構成され、LANケーブルを介して端末装置100と接続される。電力線搬送通信モデムは、LAN入出力部により受信されたLAN信号をPLC信号に変調して電力線(導体10a,10b)に出力すると共に、前記電力線を伝播するPLC信号を受信し、受信したPLC信号をLAN信号に復調し、端末装置100に送信する。
【0025】
図4は、電力プラグ50及びPLCプラグ12の端子部を示した図であり、(a)は上面図、(b)はa−a断面図、(c)は前面図を示している。なお、図4(a)〜(c)において、xは奥行方向、yは幅方向、zは高さ方向を示している。図4(a)〜(c)に示すように端子部は、電力プラグ50及びPLCプラグ12の本体部52の上方向側に配設され、z方向を長手方向とする円筒部55と、円筒部55の側面においてy,−y方向側に突出する一対の突出部53と、円筒部55の側面においてy,−y方向側に突出する一対の電極54とを備えている。突出部53は平板形状を有し、円筒部55と一体形成されている。電極54は金属から構成された平板形状を有する部材から構成され、本体部52内に配設された電路と電気的に接続されている。
【0026】
電力線ダクト10の開口部24に電極54及び突出部53が挿入され、電力プラグ50及びPLCプラグ12がz方向を中心として90度回転されると、突出部53が開口部24の両脇に設けられた底面とホルダ731(図3参照)との間に嵌合される共に、電極54がホルダ731の内部に挿入され、電力プラグ50及びPLCプラグ12が電力線ダクト10の導体10a,10bと電気的に接続される。一方、電力線ダクト10の導体10a,10bに接続された電力プラグ50及びPLCプラグ12がz方向を中心として90度回転されると、突出部53の嵌合が解除されると共に、電極54とホルダ731との接続が解除され、電力プラグ50及びPLCプラグ12を電力線ダクト10から取り外すことができる。以上のような構成により、PLCプラグ12は、電力線ダクト10の底面の任意の位置に接続可能とされている。
【0027】
端末装置100は、LANケーブルを介してPLCプラグ12に接続されたパーソナルコンピュータや画像配信可能なネットワークカメラ等であり、端末装置100がパーソナルコンピュータである場合には、該端末装置100は、例えば通信データをLANの通信プロトコルに準拠したLAN信号として、他の電力線ダクト10に接続された端末装置100に送信すると共に、他の電力線ダクト10に接続された端末装置100から送信された通信データを受信する。
【0028】
図5に示すように、終端器14は、一対の導体10a,10bの終端間に設置されており、電力線搬送通信信号の反射を防止するための、コンデンサCwと抵抗素子Rwとの直列回路を有して構成されている。終端器14は、そのインピーダンスが前記導体10a,10b等で構成される電力線路の特性インピーダンスに整合するように設計されている。
【0029】
第2電力線搬送通信系統3は、分電盤5、入線部材7、電力ケーブル線9、電力線ダクト11、導体11a,11b、PLCプラグ13、電力プラグ51及び終端器15を備えており、分電盤5、入線部材7、電力ケーブル線9、電力線ダクト11、導体11a,11b、PLCプラグ13、電力プラグ51及び終端器15は、第1電力線搬送通信系統2における、分電盤4、入線部材6、電力ケーブル線8、電力線ダクト10、導体10a,10b、PLCプラグ12、電力プラグ50及び終端器14にそれぞれ対応して、これらの部材や機器によって第1電力線搬送通信系統2と同様の構成を有している。
【0030】
以上のような構成を有する電力線搬送通信システム1においては、次のような構成を有する結合器16を用いて、第1電力線搬送通信系統2に接続された端末装置100と、第2電力線搬送通信系統3に接続された端末装置100との間で相互に電力線搬送通信可能に構成されている。
【0031】
図6に示すように、結合器16は、電力線ダクト10,11と接続されるダクト接続部161,162と、自動利得可変増幅部163とを有し、自動利得可変増幅部163は、ダクト接続部161,162に接続されている。ダクト接続部161,162は、電力線搬送通信信号の入出力動作を行う機能を有する。自動利得可変増幅部163は、前記ダクト接続部161,162のうち一方のダクト接続部から入力される電力線搬送通信信号を増幅するとともに、その増幅率(利得)が前記電力線搬送通信信号の信号レベルに応じて可変とされており、前記一方のダクト接続部から入力される電力線搬送通信信号をその信号レベルに対応する利得により一定の信号レベルまで増幅し、他のダクト接続部へ出力する双方向型の自動利得可変増幅部である。ダクト接続部161,162及び自動利得可変増幅部163により前記リピータ部が構成される。
【0032】
このような構成を有する結合器16によって電力線ダクト10,11が連結されることにより、例えば、第1電力線搬送通信系統2において電力線ダクト10に接続された端末装置100から通信データがLAN信号として送信されると、その端末装置100が接続されたPLCプラグ12は、受信したLAN信号をPLC信号に変調して電力線ダクト10の導体10a,10bに出力する。電力線ダクト10の導体10a,10bを伝播するPLC信号は、ダクト接続部161を介して前記結合器16に入力される。
【0033】
ここで、結合器16の自動利得可変増幅部163により、前記PLC信号(電力線搬送通信信号)がその信号レベルに対応する利得により一定の信号レベルまで増幅され、ダクト接続部162へ出力される。例えば、電力線ダクト10でのPLC信号の減衰が大きい場合には自動利得可変増幅部163により大きな利得で増幅される一方、前記PLC信号の減衰が小さい場合には自動利得可変増幅部163により小さい利得で増幅され、自動利得可変増幅部163から一定レベルのPLC信号がダクト接続部162に出力される。
【0034】
そして、ダクト接続部162を介してPLC信号が第2電力線搬送通信系統3における電力線ダクト11の導体11a,11bに流れ、この導体11a,11bに接続されたPLCプラグ13は、導体11a,11bを伝播するPLC信号を受信し、このPLC信号をLAN信号に復調して端末装置100に送信する。
【0035】
以上のように、本実施形態では、異なる系統の分電盤から配線された電力線ダクトの導体同士を接続して電力線搬送通信信号の送受信を行うことができる。その結果、第1電力線搬送通信系統2に接続された端末装置として例えばパーソナルコンピュータが、また、第2電力線搬送通信系統3に接続された端末装置としてネットワークカメラが採用されているとき、電力線搬送通信により、例えば、パーソナルコンピュータがネットワークカメラからの画像の配信を受けて、パーソナルコンピュータのモニタに表示される画像を視認して、前記ネットワークカメラの撮像領域の監視を行うという利用形態が実現される。
【0036】
特に本実施形態によれば、電力線ダクト10,11同士を接合したことにより非常に長くなった接合後の電力線ダクト上の長距離離間した2点間で通信を行う場合であっても、自動利得可変増幅部163の動作により電力線搬送通信信号の減衰が回復されるため、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことができる。
【0037】
(第2の実施形態)
本実施形態は、結合器の構造が第1の実施形態と異なるものであり、それ以外の構成については前記第1の実施形態と略同様であるから、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成を有する部材や構成等については、同一の番号を付して説明を行う。
【0038】
本実施形態における結合器16’は、電力線ダクト10,11と接続されるダクト接続部164,165と、電力線搬送通信モデム部166,167と、通信CPU168とを有し、ダクト接続部164は電力線搬送通信モデム部166に接続されており、ダクト接続部165は電力線搬送通信モデム部167に接続されており、通信CPU168は、電力線搬送通信モデム部166,167に接続されている。
【0039】
ダクト接続部164,165は、電力線搬送通信信号の入出力動作を行う機能を有する。
【0040】
電力線搬送通信モデム部166,167は、接続関係にあるダクト接続部から入力したPLC信号を通信CPU168が取り扱い可能な形式の通信データに復調したり、通信CPU168から出力される通信データを電力線ダクト10,11に出力できるように変調したりするものである。
【0041】
通信CPU168は、電力線搬送通信モデム部166,167のうち一方の電力線搬送通信モデム部から出力されたPLC信号の内容を解釈し、その内容と同一内容の通信データを生成して他方の電力線搬送通信モデム部に出力する。電力線搬送通信モデム部166,167及び通信CPU168により前記電力線搬送通信信号生成部を構成し、この電力線搬送通信信号生成部及び前記ダクト接続部164,165により前記リピータ部が構成される。
【0042】
このような構成を有する結合器16によって電力線ダクト10,11が連結されることにより、例えば、第1電力線搬送通信系統2において電力線ダクト10に接続された端末装置100から通信データがLAN信号として送信されると、その端末装置100が接続されたPLCプラグ12は、受信したLAN信号をPLC信号に変調して電力線ダクト10の導体10a,10bに出力する。電力線ダクト10の導体10a,10bを伝播するPLC信号は、ダクト接続部164を介して前記結合器16に入力される。
【0043】
結合器16の電力線搬送通信モデム部166により前記PLC信号(電力線搬送通信変調信号)が復調され、通信CPU168へ出力され、通信CPU168により、この復調後の通信データの内容が解釈された後、その内容と同一内容の通信データが電力線搬送通信モデム部167に出力される。
【0044】
そして、電力線搬送通信モデム部167により通信CPU168から受信した通信データが変調され、この変調後のPLC信号がダクト接続部165を介して第2電力線搬送通信系統3における電力線ダクト11の導体11a,11bを伝播する。この導体11a,11bに接続されたPLCプラグ13は、導体11a,11bを伝播するPLC信号を受信し、このPLC信号をLAN信号に復調して端末装置100に送信する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、電力線搬送通信信号が途中で減衰しても通信CPU168により該信号と同一内容の通信データが生成されるため、電力線ダクト10,11同士を接合したことにより非常に長くなった接合後の電力線ダクト上の長距離離間した2点間で通信を行う場合であっても、良好な通信品質で電力線搬送通信を行うことができる。
【0046】
その結果、第1電力線搬送通信系統2に接続された端末装置として例えばパーソナルコンピュータが、また、第2電力線搬送通信系統3に接続された端末装置としてネットワークカメラが採用されているとき、電力線搬送通信により、例えば、パーソナルコンピュータがネットワークカメラからの画像の配信を受けて、パーソナルコンピュータのモニタに表示される画像を視認して、前記ネットワークカメラの撮像領域の監視を行うという利用形態が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る電力線搬送通信システムの第1の実施形態を示す図である。
【図2】電力線ダクトの外観構成図を示す図である。
【図3】電力線ダクトが備えるプラグ接続部の断面図を示す図である。
【図4】電力プラグ50及びPLCプラグ12の端子部を示した図であり、(a)は上面図、(b)はa−a断面図、(c)は前面図を示す図である。
【図5】第1の実施形態における終端器の構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態における結合器の構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態における結合器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 電力線搬送通信システム
4,5 分電盤
6,7 入線部材
8,9 電力ケーブル線
10,11 電力線ダクト
10a,10b,11a,11b 導体
12,13 PLCプラグ
14,15 終端器
16 結合器
23 ケース
50,51 電力プラグ
74 プラグ接続部
100 端末装置
101 電力機器
161,162,164,165 ダクト接続部
163 自動利得可変増幅部
166,167 電力線搬送通信モデム部
168 通信CPU
731 ホルダ
AC 商用電源
Cw コンデンサ
Rw 抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線としての導体を備えた電力線ダクトと、
前記電力線ダクト及び端末装置を電気的に接続し、前記端末装置から送信された通信データを電力線搬送通信信号に変調して前記電力線ダクトの導体に出力すると共に、前記電力線ダクトの導体を伝播する電力線搬送通信信号を受信し、受信した電力線搬送通信信号を復調して前記端末装置に送信するPLCプラグと、
複数の電力線ダクト間に接続される結合器とを備え、
前記結合器は、1の電力線ダクトから受信した電力線搬送通信信号を再生中継して他の電力線ダクトに出力するリピータ部を有する電力線搬送通信システム。
【請求項2】
前記リピータ部は、
少なくとも2個の電力線搬送通信信号の入出力部と、
前記入出力部のうち1つの入出力部から入力される電力線搬送通信信号をその信号レベルに応じた利得により一定の信号レベルまで増幅した後、他の入出力部へ出力する双方向型の自動利得可変増幅部と
を備えている請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項3】
前記リピータ部は、
少なくとも2個の電力線搬送通信信号の入出力部と、
前記入出力部のうち1つの入出力部から入力された電力線搬送通信信号を復調してその信号の内容を解釈し、該内容と同一の内容の電力線搬送通信信号に変調して他の入出力部へ出力する電力線搬送通信信号生成部と
を備える請求項1に記載の電力線搬送通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−187278(P2008−187278A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16907(P2007−16907)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】