説明

電動工具

【課題】駆動モータを冷却するモータ冷却風として電動工具の内部に吸引される外気を除塵することができつつ、吸気部分における粉塵の付着および粉塵の堆積を避けて長期間に亘ってモータ冷却風としての風量を維持できるようにする。
【解決手段】駆動モータを内装するモータハウジングの外気吸引側に分離装置40が設けられている。この分離装置40は、ディスクグラインダの内部に吸引される外気を綺麗なモータ冷却風として利用できるように、吸引される外気を駆動モータを冷却するためのモータ冷却風として遠心分離する。また、外気に混ざっていた粉塵等は、分離装置40により遠心分離させただけなので、吸気部45に粉塵等が付着したり堆積したりしてしまうこともなくなる。また、この吸気部45は、遠心分離室55にて分離された分離物を外部に排出するための排出部として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源としての駆動モータを内蔵する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばディスクグライダ等の電動工具にあっては、動力源としての駆動モータを内蔵する。この駆動モータは、電力の供給によりスピンドルを回転駆動させる電動のモータである。この駆動モータは、このスピンドルの回転駆動力を利用して例えば砥石等の部材を回転させて電動の工具として機能させる。この際、内蔵される駆動モータは、一般に、回転駆動力の発生のために発熱する。このため、このような電動工具にあっては、駆動モータに帯びた熱を取り除くための、駆動モータを冷却する冷却ファンが設けられている。この冷却ファンは、上記した駆動モータのスピンドルに一体回転可能に取り付けられる。このように取り付けられた冷却ファンは、スピンドルの回転駆動とともに回転し、電動工具外部の空気(外気)を電動工具内部に吸引して、モータ冷却風として駆動モータに向けて吹き当てるようになっている。
【0003】
ところで、上記した電動工具の内部には、駆動モータ等をはじめとする電気部品が内蔵される。このため、上記したモータ冷却風に粉塵が混ざっていると、これら電気部品に不具合を与えてしまう。そこでモータ冷却風として上記したように吸引される外気にあっては、この外気に混ざっている粉塵を取り除くように濾過しておく必要がある。
そこで、このような電動工具の吸気部分には、吸引される外気に混入する粉塵を取り除くため、各種の構造が設けられている。例えば、電動工具外部から電動工具内部に吸引される吸気部分に複雑化した通気路(ラビリンス構造)を配設したり(特許文献1参照)、電動工具内部に吸引される吸気部分に除塵フィルタを配設したり(特許文献2および特許文献3参照)、する技術が知られている。このような技術によれば、駆動モータに向けて流すモータ冷却風として利用する外気を電動工具内部に吸引するにあたって、この外気に混ざる粉塵を除去することができ、モータ冷却風として綺麗な空気を駆動モータに向けて吹き当てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−302467号明細書
【特許文献2】実開平2−85555号明細書
【特許文献3】特開2002−283255号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したラビリンス構造を配設する技術では、電動工具内部に吸引される外気の除塵が不十分であるとの指摘がある。また、上記した除塵フィルタを配設する技術では、長時間にわたって電動工具を使用すると、粉塵が除塵フィルタに付着して粉塵が堆積してしまう。そうすると、除塵フィルタの通気性が阻害され、外気吸引の際の圧力損失が大きくなり、モータ冷却風としての風量を低下させてしまう。これにより、駆動モータを十分に冷却することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、動力源として駆動モータを内蔵する電動工具において、駆動モータを冷却するモータ冷却風として電動工具の内部に吸引される外気を除塵することができつつ、吸気部分における粉塵の付着および粉塵の堆積を避けて長期間に亘ってモータ冷却風としての風量を維持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る電動工具は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る電動工具は、動力源となる駆動モータと、該駆動モータにより回転する軸に一体回転可能に取り付けられて外気を吸引するモータ冷却ファンと、を具備する手持ち式の電動工具であって、前記駆動モータを内装する本体ハウジングの外気吸引側に、吸引される外気を遠心分離機能によりモータを冷却するためのモータ冷却風に分離する分離装置が設けられていることを特徴とする。
この第1の発明に係る電動工具によれば、駆動モータを内装する本体ハウジングの外気吸引側に分離装置が設けられているので、吸引される外気を駆動モータを冷却するためのモータ冷却風として遠心分離機能にて分離することができる。これによって、外気に混ざっていた粉塵等(以下、粉塵や水滴を含めて粉塵に類するものを『粉塵等』と称する)を分離することができて除塵効果を発揮し、電動工具の内部に吸引される外気を綺麗なモータ冷却風として利用することができる。また、外気に混ざっていた粉塵等は、分離装置による遠心分離機能により分離させただけなので、吸気部に粉塵等が付着したり堆積したりしてしまうこともなくなる。これによって、外気を吸引する際の圧力損失もなくすことができ、モータ冷却風としての風量を維持することができる。もって、この第1の発明に係る電動工具によれば、駆動モータを冷却するモータ冷却風として電動工具の内部に吸引される外気を除塵することができつつ、吸気部における粉塵等の付着および粉塵等の堆積を避けて長期間に亘ってモータ冷却風としての風量を維持することができる。
【0008】
第2の発明に係る電動工具は、前記第1の発明に係る電動工具において、前記分離装置は、外装をなしつつ内部に遠心分離機能を発揮する遠心分離室が形成される装置ハウジングと、該装置ハウジングの周面に設けられ該遠心分離室内に向けての外気が吸引される吸気部とを備え、前記吸気部は、前記遠心分離室にて分離された分離物を外部に排出するための排出部として機能することを特徴とする。
この第2の発明に係る電動工具によれば、吸気部は、遠心分離室にて分離された分離物を外部に排出するための排出部として機能するので、分離装置による遠心分離機能によりモータ冷却風と分離した吸引される外気の分離物(上記した『粉塵等』に相当)を、遠心分離室内に溜めることなく外部に排出することができる。これによって外気の分離物を貯留する収容ボックスを不要とすることができる。もって、分離装置の小型化を図ることができて、ひいては電動工具のコンパクト化を図ることができる。
【0009】
第3の発明に係る電動工具は、前記第2の発明に係る電動工具において、前記遠心分離室を区画する区画壁には、前記吸気部からの外気の吸引が停止した場合に、該遠心分離室にて分離された分離物を、該分離物の自重によって該吸気部から外に排出するように作用する排出ガイド形状が設けられていることを特徴とする。
この第3の発明に係る電動工具によれば、遠心分離室を区画する区画壁には排出ガイド形状が設けられているので、吸気部からの外気の吸引が停止した場合に、遠心分離室にて分離された分離物を、分離物の自重によって吸気部から外に排出し易くすることができる。これによって、分離物を排出させるための排出メンテナンスを行う必要もなくなる。もって、電動工具として、使い勝手の良いものとなる。
【0010】
第4の発明に係る電動工具は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係る電動工具において、前記分離装置の外側部分が、該電動工具のグリップとして機能することを特徴とする。
この第4の発明に係る電動工具によれば、分離装置の外側部分を電動工具のグリップとして機能させるので、上記したモータ冷却風として外気を除塵できつつ風量の維持を図ることができながら電動工具のグリップとして機能も付加される。つまり、分離装置として電動工具のグリップの機能も兼用できて、電動工具のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
第5の発明に係る電動工具は、前記第4の発明に係る電動工具において、前記吸気部から吸引される外気を前記遠心分離室内にて気流を発生させるようにガイドする気流ガイド部が、前記装置ハウジングの内部に設けられていることを特徴とする。
この第5の発明に係る電動工具によれば、吸気部から吸引される外気を遠心分離室内にて気流を発生させるようにガイドする気流ガイド部が、装置ハウジングの内部に設けられているので、装置ハウジングの外側部分の形状選択の自由度を高めることができる。これによって、分離装置の外側部分にグリップ形状を形成するにあたっての形状選択幅を拡げることができる。
【0012】
第6の発明に係る電動工具は、前記第2から前記第5のいずれかの発明に係る電動工具において、前記吸気部は、前記装置ハウジングの周面に対して間隔を設けて複数配設されていることを特徴とする。
この第6の発明に係る電動工具によれば、吸気部は装置ハウジングの周面に対して間隔を設けて複数配設されているので、外気を吸引するための吸気領域を確保することができて風量の確保を図ることができる。さらに、吸気部を分離物を排出させる排出部として機能させる場合にあっては、分離物を排出させるための排出領域を複数方向に向かせて確保することができる。これによって、駆動モータを冷却する風量を確保できつつ、電動工具が何れの姿勢であっても分離物を排出する機能を確保できる。
【0013】
第7の発明に係る電動工具は、前記第2から前記第6のいずれかの発明に係る電動工具において、前記装置ハウジングの周面に配設される前記吸気部の配設位置は、該電動工具の常用定置姿勢における前記装置ハウジングの周面に対して、重力方向に向く位置に設定されていることを特徴とする。
この第7の発明に係る電動工具によれば、吸気部の配設位置は、電動工具の常用定置姿勢における装置ハウジングの周面に対して重力方向に向く位置に設定されているので、電動工具の常用定置姿勢において吸気部を排出部として機能させる場合に、この分離物の自重により吸気部から外部に排出させ易くすることができる。これによって、常用定置姿勢における電動工具の分離物を排出させるための機能をより高めることができる。
【0014】
第8の発明に係る電動工具は、前記第1から前記第7のいずれかの発明に係る電動工具において、前記分離装置は、前記本体ハウジングから取外し可能に構成されていることを特徴とする。
この第8の発明に係る電動工具によれば、分離装置は、本体ハウジングから取外し可能に構成されているので、本体ハウジングまでは従前どおりの構成を利用することができる。これによって、分離装置以外の構成を従前のとおりで構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明に係る電動工具によれば、駆動モータを冷却するモータ冷却風として電動工具の内部に吸引される外気を除塵することができつつ、吸気部における粉塵等の付着および粉塵等の堆積を避けて長期間に亘ってモータ冷却風としての風量を維持することができる。
第2の発明に係る電動工具によれば、分離装置の小型化を図ることができて、ひいては電動工具のコンパクト化を図ることができる。
第3の発明に係る電動工具によれば、分離物を排出させるための排出メンテナンスを行う必要もなくなり、電動工具として使い勝手の良いものとなる。
第4の発明に係る電動工具によれば、分離装置として電動工具のグリップの機能も兼用できて、電動工具のコンパクト化を図ることができる。
第5の発明に係る電動工具によれば、分離装置の外側部分にグリップ形状を形成するにあたっての形状選択幅を拡げることができる。
第6の発明に係る電動工具によれば、駆動モータを冷却する風量を確保できつつ、電動工具が何れの姿勢であっても分離物を排出する機能を確保できる。
第7の発明に係る電動工具によれば、常用定置姿勢における電動工具の分離物を排出性する機能を高めることができる。
第8の発明に係る電動工具によれば、分離装置以外の構成を従前のとおりで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態となる電動工具の外観を斜視にて示す外観斜視図である。
【図2】図1の電動工具の外観を上面視にて示す外観上面視図である。
【図3】図1および図2におけるIII−III断面矢視を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態となる電動工具の分離装置の外観を斜視にて示す外観斜視図である。
【図5】図4の分離装置の外観を側面視にて示す外観側面視図である。
【図6】図4の分離装置の外観を後面視にて示す外観後面視図である。
【図7】図6における分離装置のVII−VII断面矢視を示す断面図である。
【図8】図7における分離装置のVIII−VIII断面矢視を示す断面図である。
【図9】図8における分離装置のIX−IX断面矢視を示す断面図である。
【図10】分離装置の内部に吸引される外気を模式化して示す作用模式図である。
【図11】分離装置の内部の遠心分離を模式化して示す作用模式図である。
【図12】分離装置の内部の分離物の排出を模式化して示す作用模式図である。
【図13】第2の実施の形態となる電動工具の分離装置の内部に吸引される外気を模式化して示す作用模式図である。
【図14】図13の分離装置の内部の遠心分離を模式化して示す作用模式図である。
【図15】図13の分離装置の内部の分離物の排出を模式化して示す作用模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る電動工具を実施するための第1の実施の形態について、図1〜図12を参照しながら説明する。なお、以下では、本発明に係る手持ち式の電動工具の一例としてディスクグラインダ10を挙げて説明する。
図1は、電動工具としてのディスクグラインダ10の外観を斜視にて示す外観斜視図である。図2は、ディスクグラインダ10の外観を上面視にて示す外観上面視図である。図3は、図1および図2におけるディスクグラインダ10のIII−III断面矢視を示す断面図である。以下に説明するディスクグラインダ10は、説明をする上で分かり易くするために、図示記載の通りでディスクグラインダ10の上下前後左右を規定している。なお、このディスクグラインダ10の上下の規定は、このディスクグラインダ10の常用定置姿勢に基づく。つまり、このディスクグラインダ10の下側は、重力方向に向く側となっている。
図3に示すように、ディスクグラインダ10は、回転駆動する出力スピンドル37を具備し、この出力スピンドル37に取り付けられた砥石Bにより被研削物を研削する手持ち式の電動工具となっている。このディスクグラインダ10は、動力源となる駆動モータ23を内蔵して構成される。駆動モータ23は、電力により回転駆動する電動のブラシモータにより構成される。このディスクグラインダ10は、外部から電力供給されて使用される。つまり、このディスクグラインダ10は、外部の家庭用AC電源に接続するための電源コードを具備して構成されるものであり、この家庭用AC電源から供給される電力により駆動するようになっている。なお、図示されるディスクグラインダ10は、分離装置40の構成を分かり易いものとするために、このような電源コードに関する図示については省略している。
【0018】
図3に示すように、ディスクグラインダ10は、駆動モータ23を内蔵する工具本体15と、吸引される外気を遠心分離機能により粉塵等(粉塵や水滴等)とモータ冷却風とに分離する分離装置40とを備える。なお、モータ冷却風は、図3の太い鎖線にて示すように駆動モータ23等の発熱部材に接触しながら通り抜ける。この際、このモータ冷却風は、これら駆動モータ23等の発熱部材を冷却する。
工具本体15は、図3に示すように、動力発生部20と、動力変換部30とを備える。
動力発生部20は、図3に示すように、本体ハウジングとなるモータハウジング22に内装されるようにして構成される。この動力発生部20は、出力スピンドル37を回転させるための駆動モータ23を内装して構成される。この駆動モータ23は、回転駆動軸としてのモータスピンドル25を具備するブラシモータで構成される。
なお、駆動モータ23は、広く利用されるブラシモータで構成されるため、この駆動モータ23に関する詳細説明については省略する。つまり、駆動モータ23は、一般のブラシモータと同様、固定子としてのフィールドと、回転子としてのアーマチュアと、整流子としてのコンミテータと、カーボンブラシとを備え、回転子(アーマチュア、コンミテータ)とともにモータスピンドル25を一体回転させる。なお、このモータスピンドル25は、前後端に配置されるベアリング24により回転可能に軸支持されている。このモータスピンドル25は、駆動モータ23により回転する本発明に係る回転軸に相当する。このモータスピンドル25は、動力発生部20から動力変換部30に向けて回転駆動力を出力する出力軸として機能する。逆に言えば、モータスピンドル25は、動力変換部30に動力発生部20からの回転駆動力を入力する入力軸として機能する。
【0019】
動力変換部30は、図3に示すように、本体ハウジングとなるギヤハウジング32に内装されるようにして構成される。この動力変換部30は、出力スピンドル37を回転させるために、モータスピンドル25から入力される回転駆動力に関する回転方向および回転速度を変換する。すなわち、動力変換部30は、駆動側ギヤ33と従動側ギヤ35とを噛合させることにより構成される。これら駆動側ギヤ33および従動側ギヤ35は、ベベルギヤ(傘歯車)にて構成される。また、従動側ギヤ35の歯数は、駆動側ギヤ33の歯数に比べて多い歯数となっている。そして、出力スピンドル37は、この従動側ギヤ35と一体回転可能に取り付けられている。
このようにして出力スピンドル37の回転駆動は、モータスピンドル25の回転駆動に比して、回転方向に関して相対的に直交する方向に回転方向が変換され、回転速度に関して相対的に減速するように回転速度が変換されている。また、この出力スピンドル37の回転トルクは、モータスピンドル25の回転トルクに比して高い回転トルクとなっている。なお、出力スピンドル37は、出力スピンドル37の上下端位置に配置されるベアリング38にて支持される。また、この砥石Bの後側半周範囲には、砥石Bによる研削粉の飛散を防止するための、カバー体18が取り付けられている。
また、上記したように構成される動力変換部30を内装するギヤハウジング32には、排気口39が設けられている。この排気口39は、次に説明するモータ冷却ファン27により送られるモータ冷却風を外部に排気するための通気口である。このため、この排気口39は、工具本体15の内外を連通するように開口されて形成されている。
【0020】
上記したモータスピンドル25の前端部分には、モータ冷却ファン27が取り付けられている。このモータ冷却ファン27は、このモータスピンドル25と一体回転可能に取り付けられている。このため、モータ冷却ファン27は、モータスピンドル25と一体回転する、いわゆる遠心式の送風ファンで構成される。回転したモータ冷却ファン27は、モータ冷却ファン27の回転軸線方向に沿った方向で工具本体15の後側から吸気し、モータ冷却ファン27の遠心方向に沿った方向で排気するように、風を送るように作用する。なお、この遠心方に沿った方向で送られた風は、上記したギヤハウジング32に設けられる排気口39を通じて外部に排気される。また、この回転軸線方向に沿った方向で工具本体15の後側から送られる風は、後に説明する分離装置40に設けられた吸気部45から吸気される外気となっている。つまり、後に説明する分離装置40に設けられた吸気部45から吸気される外気は、駆動モータ23を構成する各部材に接触しながら、工具本体15の内部後側から内部前側に向けて送られる。このようにして、モータ冷却ファン27は、工具本体15の後側から前側に向けて、駆動モータ23を構成する各部材を冷却することとなるモータ冷却風となる風を送ることができる。
なお、この工具本体15の後側は、モータハウジング22の外気吸引側として設定される。つまり、この工具本体15の後側ともなるモータハウジング22の後側は、外気を吸引するための吸気部45を具備した分離装置40が設けられるものとなっている。ここで動力発生部20の後端部分には、次に詳述する分離装置40を接続させるための接続部29が設けられる。この接続部29に分離装置40を接続させると、この動力発生部20と分離装置40との内部同士が空気流入可能となる空気流路が確保された連通状態となる。
【0021】
次に、上記した動力発生部20の後端部分に接続される分離装置40について説明する。この分離装置40は、吸気部45を具備して構成される。この吸気部45は、モータ冷却ファン27の回転により発生した吸引風により外気を吸引する部分である。図4は、分離装置40の外観を斜視にて示す外観斜視図である。図5は、分離装置40の外観を側面視にて示す外観側面視図である。図6は、分離装置40の外観を後面視にて示す外観後面視図である。図7は、図6における分離装置40のVII−VII断面矢視を示す断面図である。図8は、図7における分離装置40のVIII−VIII断面矢視を示す断面図である。図9は、図8における分離装置40のIX−IX断面矢視を示す断面図である。
分離装置40は、広く利用される遠心分離方式のサイクロン構造と同様、気流を回転させて遠心分離機能を発揮する遠心分離室55を備えて構成される。この遠心分離室55は、外装をなす装置ハウジング41と、この装置ハウジング41の内部に配設される気流ガイド筒部51とによる、二重筒形構造にて形成される。なお、この分離装置40は、本体ハウジングとなるモータハウジング22から取外し可能に構成されている。また、この工具本体15に装着された分離装置40の外側部分は、ディスクグラインダ10のグリップとして機能するように形成されている。つまり、分離装置40は、ユーザにより手握り可能な大きさと形状とを有して形成されている。
【0022】
装置ハウジング41は、前側のみが開口されたカップ形状のような略有底円筒形に形成される。すなわち、装置ハウジング41は、底となる後側から順に、円錐形底部42と円筒形吸気部43とに機能が区分けされて形成されている。なお、これら円錐形底部42と、円筒形吸気部43とは、互いに連なる一体成形により形成されている。
円錐形底部42は、分離装置40の最後部をなす部分であり、内部が上記した遠心分離室55として形成される部分である。図5等に示すように、円錐形底部42は、頂点が平たくされた略円錐形状をなして形成される。具体的には、円錐形底部42は、最後部に位置して平たい頂点をなす底部と421と、この底部421から前側に向かうにしたがって内周径を拡大させる円錐部422とを備える。つまり、底部と421と円錐部422と、次に説明する気流ガイド筒部51の後端開口部531とにより区画された範囲が、本発明に係る遠心分離室55として形成されるようになっている。つまり、この遠心分離室55は、装置ハウジング41内に設けられ、吸気部45から吸引された外気を上記したモータ冷却風と粉塵等(粉塵や水滴等)とに分離する、遠心分離機能を発揮する空間に相当する。また、円筒形吸気部43は、この円錐形底部42の最前端と連なる形状にて形成されている。この円筒形吸気部43の内周径は、円錐形底部42の最前端の開口径と略同一の径長が維持されて略円筒形状にて形成されている。また、この遠心分離室55を区画する底部と421と円錐部422とは、本発明に係る遠心分離室を区画する区画壁に相当する。ここで、これら底部421と円錐部422との遠心分離室55に面する内壁面425は、ディスクグラインダ10を常用定置姿勢とした場合に、水平方向に対して交差する方向(鉛直方向、水平傾斜方向)で延びるように設定されている。なお、この円錐部422の内壁面425は、ディスクグラインダ10を常用定置姿勢とした場合に、水平方向に対して傾斜する方向に延在しておりこの円錐部422の内壁面425は、本発明に係る排出ガイド形状に相当する。つまり、図7に示すように、円錐部422の内壁面425は、後側から前側に向かって下側に傾斜するように形成される。
【0023】
この円筒形吸気部43の周面431には、吸気部45が設けられている。この吸気部45は、上記したモータ冷却ファン27の回転により生ずる吸引風により、遠心分離室55内に向けての外気を吸引するために、円筒形吸気部43の周面431に設けられる。この吸気部45は、円筒形吸気部43の周面431に対して均等間隔で複数配設されている。具体的には、吸気部45は、ディスクグラインダ10の図示規定の上下左右方向に向いて位置するように、円筒形吸気部43の周面431に対して均等間隔に4つ設けられている。つまり、4つの吸気部45の1つの吸気部45は、ディスクグラインダ10の常用定置姿勢において重力方向に向く位置となる、ディスクグラインダ10の下側に向いた位置の、円筒形吸気部43の周面431に対して配設されている。
この吸気部45は、ハウジング開口部46と吸気ガイド部47とを備える。すなわち、装置ハウジング41をなす円筒形吸気部43の周面431には、装置ハウジング41の内外を連通するハウジング開口部46が設けられている。ハウジング開口部46は、上記した遠心分離室55内に外気を吸引するために、円筒形吸気部43の周面431の内外を連通させるように形成されている。ハウジング開口部46の開口形状は、モータ冷却ファン27の回転軸線方向に沿った方向に延びた略矩形の形状にて形成されている。
【0024】
吸気ガイド部47は、ハウジング開口部46の外側に設けられている。この吸気ガイド部47は、吸気部45を通じて遠心分離室55内に吸引される外気をガイドするものである。つまり、吸気ガイド部47は、吸気部45を通じて遠心分離室55内に吸引される外気が、遠心分離室55内で遠心分離機能を発揮する回転気流となるように、この吸引される外気をガイドする。この吸気ガイド部47は、上記した円筒形吸気部43の周面431の外側に設けられている。具体的には、吸気ガイド部47は、上記したモータ冷却ファン27の回転により生ずる吸引される外気が、円筒形吸気部43の周面431の接線方向から入る装置ハウジング41の内部に入るように設計されている。この吸気ガイド部47は、円筒形吸気部43の周面431にて、この周面431の接線方向を開口させるように吸気口48が設けられて形成されている。つまり、吸気ガイド部47は、円筒形吸気部43の周面431の接線方向に延在させる接線ガイド壁と471と、この接線ガイド壁471を支持するガイド支持壁472とを備える。ここで、開口方向が周面431の接線方向に向くように、これら接線ガイド壁と471とガイド支持壁472とにより開口される吸気口48が形成される。なお、このように形成される吸気口48は、モータスピンドル25の回転軸線方向に沿って延びるスリット形状にて形成されている。
【0025】
上記したように形成された装置ハウジング41の内部には、前側および後側が開口された略円筒形の気流ガイド筒部51が配設されている。この気流ガイド筒部51は、装置ハウジング41に対して重畳部52を接着結合させることにより一体化されている。なお、このように装置ハウジング41に接着される重畳部52により、この気流ガイド筒部51は、装置ハウジング41に対して支持されている。なお、この気流ガイド筒部51の前端部分が、上記した工具本体15の接続部29に対して接続される接続部50を構成する。
この気流ガイド筒部51は、本発明に係る気流ガイド部に相当する。この気流ガイド筒部51は、上記した吸気部45から吸引される外気を遠心分離室55内にて気流を発生させるようにガイドする機能を有している。この気流ガイド筒部51は、後側から順に、ガイド筒形部53と接続筒体部54とに機能が区分けされて形成されている。なお、これらガイド筒形部53と接続筒体部54とは、互いに連なる一体に成形されている。ガイド筒形部53は、後側に向かうにしたがって内周径を縮小させる筒形にて形成されている。このガイド筒形部53の最後端は、筒形をなす後端開口部531が形成されている。このため、ガイド筒形部53と円筒形吸気部43(装置ハウジング41)との間には、吸気部45から吸引される外気を遠心分離室55に向けて送ることができるように、断面径方向で適宜の空間が形成されるようになっている。これに対して接続筒体部54は、装置ハウジング41から前側に突き出した筒形にて形成され、前端開口部541が形成されている。前端開口部541は、この工具本体15の後側ともなるモータハウジング22の後側に連結される。
【0026】
上記した分離装置40によれば、分離物を分離する遠心分離機能や、分離物の排出する機能を次のように発揮することができる。なお、図10〜図12は、外気に混ざる粉塵等(粉塵や水滴等)を遠心分離する作用や、この遠心分離にて分離された分離物の排出する作用を、模式的に示す作用模式図である。すなわち、図10は、分離装置40の内部に吸引される外気を模式化して示す作用模式図である。図11は、分離装置40の内部の遠心分離を模式化して示す作用模式図である。図12は、分離装置40の内部の分離物の排出を模式化して示す作用模式図である。なお、図10は、モータスピンドル25の回転軸線方向に沿って視た後面視の場合の作用模式図であり、図11および図12は、モータスピンドル25の回転軸線と交差する方向に沿って視た側面視の場合の作用模式図である。
すなわち、図3に示しつつ上記したように、モータスピンドル25と一体回転するモータ冷却ファン27は、モータスピンドル25との一体回転により、工具本体15内部にて後側から前側に向けて風を流す。つまり、モータ冷却ファン27は、回転することにより駆動モータ23を構成する各部材を冷却するように、吸気部45から外気を吸引するように作用する。具体的には図10に示すように、分離装置40の外部に存する外気は、接線ガイド壁471とガイド支持壁472とにより仕切られて開口される吸気口48から分離装置40の内部に吸引され、吸気気流(図10の太線W1)をなすこととなる。ここで吸気口48を具備する吸気部45は、円筒形吸気部43の周面431に対して均等間隔で4つ配設されているので、、この円筒形吸気部43の内部に吸引される吸気気流(図10の太線W1)を均等間隔でバランス良く生じさせるようになってている。
【0027】
ここで、この吸気口48から吸引された外気は、遠心分離室55内に入り込んでいくにあたって、図10に示す吸気ガイド部47(接線ガイド壁471、ガイド支持壁472)と、図11に示す気流ガイド筒部51(ガイド筒形部53)とにより、回転気流(図11の太線W2)が生じるようにガイドされる。つまり、吸気ガイド部47および気流ガイド筒部51により形成された回転気流(図11の太線W2)は、気流ガイド筒部51によりガイドされながら吸気口48から遠心分離室55に向けて(図示前側から図示後側に向けて)移行させる。ここで、このように遠心分離室55に移行した回転気流(太線W2)は、この回転により遠心分離室55内で遠心分離機能を発揮することとなる。
すなわち図11に示すように、遠心分離室55における回転気流(太線W2)は、相対的に重量がある粉塵等と、相対的に重量がないモータ冷却風とに、回転気流の遠心分離機能によって遠心分離するように作用する。具体的には図11に示すように、遠心分離室55に入り込んだ回転気流(太線W2)は、回転気流(太線W2)に混入する粉塵等(図示符号D)を、遠心分離室55の内壁面425にへばりつかせるように、この内壁面425に向けて押し付けるように作用する。また反対に、遠心分離室55から気流ガイド筒部51内に入り込む気流は、遠心分離室55の内壁面425にへばりつかせた粉塵等(図示符号D)が除去された綺麗な空気となる。つまり、遠心分離室55に入り込んだ回転気流(図11の太線W2)は、粉塵等が混入する外気を除塵させるように作用し、綺麗な空気となるモータ冷却風として工具本体15側に向けて送ることとなる。なお、この回転気流(図11の太線W2)は、上記したように均等間隔でバランス良く円筒形吸気部43の内部に吸引された吸気気流(図10の太線W1)にて形成されるので、円筒形吸気部43の内部でバランス良く回転する気流とすることができる。
【0028】
ところで、図11に示すように遠心分離室55の内壁面425にへばりつかせた粉塵等(図示符号D)は、遠心分離室55にて分離された分離物として、上記した吸気部45から外部に排出可能となっている。つまり、上記した吸気部45は、遠心分離室55にて分離された分離物を外部に排出するための排出部としても機能するようになっている。詳しくは、吸気部45を構成する吸気口48は、遠心分離室55にて分離された分離物を外部に排出するための排出口として機能するようになっている。また、遠心分離室55に面する円錐部422の内壁面425は、ディスクグラインダ10を常用定置姿勢とした場合に、水平方向に対して傾斜する方向に延びて形成される。このため、吸気部45からの外気の吸引が停止した場合には、この内壁面425の傾斜する方向に沿って、遠心分離室55にて分離された分離物を、分離物の自重により吸気部45から外部に排出するように作用する、排出ガイド機能を有している。具体的には図12に示すように、モータ冷却ファン27の回転停止により吸気部45からの外気の吸引が停止した場合には、上記した回転気流(図11の太線W2)による遠心分離機能により、円錐部422の内壁面425にへばりつかせていた粉塵等(図示符号D)を、円錐部422の内壁面425の水平傾斜により吸気部45に向けて転がらせることができる。このように内壁面425の水平傾斜により、へばりついていた内壁面425から吸気部45に向けて自重で転がった粉塵等(図示符号D)は、吸気部45を構成する吸気口48から外部に自動的に排出されることとなる。なお、モータ冷却ファン27が回転することにより吸気部45から外気を吸引している場合には、回転気流による遠心分離機能により、外気に混入する粉塵等(図示符号D)は上記した円錐部422の内壁面425にへばりつくように押し付けられたままとなる。
【0029】
以上説明した第1の実施の形態のディスクグラインダ10によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記したディスクグラインダ10によれば、駆動モータ23を内装するモータハウジング22の外気吸引側に分離装置40が設けられているので、吸引される外気を駆動モータ23を冷却するためのモータ冷却風として遠心分離機能にて分離することができる。これによって、外気に混ざっていた粉塵等(粉塵や水滴等)を分離することができて除塵効果を発揮し、ディスクグラインダ10の内部に吸引される外気を綺麗なモータ冷却風として利用することができる。また、外気に混ざっていた粉塵等は、分離装置40による遠心分離機能により分離させただけなので、吸気部45に粉塵等が付着したり堆積したりしてしまうこともなくなる。これによって、外気を吸引する際の圧力損失もなくすことができ、モータ冷却風としての風量を維持することができる。もって、上記したディスクグラインダ10によれば、駆動モータ23を冷却するモータ冷却風としてディスクグラインダ10の内部に吸引される外気を除塵することができつつ、吸気部45における粉塵等の付着および粉塵等の堆積を避けて長期間に亘ってモータ冷却風としての風量を維持することができる。
【0030】
また、上記したディスクグラインダ10によれば、吸気部45の吸気口48は、遠心分離室55にて分離された分離物を外部に排出するための排出部の排出口として機能するので、分離装置40による遠心分離機能によりモータ冷却風と分離した吸引される外気の分離物を、遠心分離室55内に溜めることなく外部に排出することができる。これによって外気の分離物を貯留する収容ボックスを不要とすることができる。もって、分離装置40の小型化を図ることができて、ひいてはディスクグラインダ10のコンパクト化を図ることができる。また、上記したディスクグラインダ10によれば、遠心分離室55を区画する内壁面425は傾斜した構造となっているので、吸気部45からの外気の吸引が停止した場合に、遠心分離室55にて分離された分離物を、分離物の自重によって吸気部45の吸気口48から外に排出し易くすることができる。これによって、分離物を排出させるための排出メンテナンスを行う必要もなくなる。もって、ディスクグラインダ10として、使い勝手の良いものとなる。また、上記したディスクグラインダ10によれば、分離装置40の外側部分をディスクグラインダ10のグリップとして機能させるので、上記したモータ冷却風として外気を除塵できつつ風量の維持を図ることができながら、ディスクグラインダ10のグリップとして機能も付加される。つまり、分離装置40としてディスクグラインダ10のグリップの機能も兼用できて、ディスクグラインダ10のコンパクト化を図ることができる。
【0031】
また、上記したディスクグラインダ10によれば、吸気部45から吸引される外気を遠心分離室55内にて気流を発生させるようにガイドする気流ガイド筒部51が、装置ハウジング41の内部に設けられているので、装置ハウジング41の外側部分の形状選択の自由度を高めることができる。これによって、分離装置40の外側部分にグリップ形状を形成するにあたっての形状選択幅を拡げることができる。また、上記したディスクグラインダ10によれば、吸気部45は装置ハウジング41の周面431に対して間隔を設けて4つ配設されているので、外気を吸引するための吸気領域を確保することができて風量の確保を図ることができる。さらに、吸気部45を分離物を排出させる排出部として機能させる場合にあっては、分離物を排出させるための排出領域を複数方向に向かせて確保することができる。これによって、駆動モータ23を冷却する風量を確保できつつ、ディスクグラインダ10が何れの姿勢であっても分離物を排出する機能を確保できる。また、上記したディスクグラインダ10によれば、吸気部45の配設位置は、ディスクグラインダ10の常用定置姿勢における装置ハウジング41の周面431に対して重力方向に向く位置に設定されているので、ディスクグラインダ10の常用定置姿勢において吸気部45を排出部として機能させる場合に、この分離物の自重により吸気部45から外部に排出させ易くすることができる。これによって、常用定置姿勢におけるディスクグラインダ10の分離物を排出させるための機能をより高めることができる。また、上記したディスクグラインダ10によれば、分離装置40は、モータハウジング22から取外し可能に構成されているので、モータハウジング22は従前どおりの構成を利用することができる。これによって、分離装置40以外の構成を従前のとおりで構成することができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る電動工具を実施するための第2の実施の形態について説明する。以下に説明する第2の実施の形態は、上記した第1の実施の形態と比較して、工具本体15に取り付けられる分離装置40の構成に関して相違するものとなっている。このため、以下に説明する第2の実施の形態では、分離装置40Aの構成のみについて、図13〜図15を参照しながら説明する。なお、図13〜図15は、第1の実施の形態の説明における図10〜図12と対応関係にある作用模式図である。つまり、図13は、第2の実施の形態となる分離装置40Aの内部に吸引される外気を模式化して示す作用模式図である。図14は、図13の分離装置40Aの内部の遠心分離を模式化して示す作用模式図である。図15は、図13の分離装置40Aの内部の分離物の排出を模式化して示す作用模式図である。なお、この第2の実施の形態となる分離装置40Aにおいて、上記した第1の実施の形態となる分離装置40と同一に構成される部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
この第2の実施の形態となる分離装置40Aは、上記した第1の実施の形態となる分離装置40と比較して、吸気部45A(吸気ガイド部47A)の配設構造について相違する。すなわち、第1の実施の形態となる分離装置40の吸気ガイド部47は、ハウジング開口部46の外側に設けられるものであったが、この第2の実施の形態となる分離装置40Aの吸気ガイド部47Aは、ハウジング開口部46の内側に設けられるものとなっている。つまり、第2の実施の形態の分離装置40Aは、第1の実施の形態の分離装置40と比較して、吸気ガイド部47Aが円筒形吸気部43の周面431の内側に設けられる点については相違するが、そのほか、吸気部45Aを通じて遠心分離室55内に吸引される外気が、遠心分離室55内で遠心分離機能を発揮する回転気流(図12の太線W2)となるように吸引する点については一致する。
【0033】
具体的には、吸気ガイド部47Aも、上記したモータ冷却ファン27の回転により生ずる吸引される外気が、円筒形吸気部43の周面431の接線方向から入る装置ハウジング41の内部に入るように設計されている。この吸気ガイド部47Aは、円筒形吸気部43の周面431にて、この周面431の接線方向を開口させるように吸気口48Aが設けられて形成されている。つまり、吸気ガイド部47Aは、円筒形吸気部43の周面431の接線方向に延在させる接線ガイド壁と471Aと、この接線ガイド壁471Aを支持するガイド支持壁472Aとを備える。ここで、開口方向が周面431の接線方向に向くように、これら接線ガイド壁と471とガイド支持壁472とにより開口される吸気口48Aが形成される。なお、このように形成される吸気口48Aも、モータスピンドル25の回転軸線方向に沿って延びるスリット形状にて形成されている。
この第2の実施の形態の分離装置40Aを第1の実施の形態の分離装置40に替えてディスクグラインダ10を構成した場合でも、分離物を分離する遠心分離機能や分離物の排出する機能を上記した第1の実施の形態と同様に奏することができる。またさらに、この第2の実施の形態によれば、吸気ガイド部47Aが上記した円筒形吸気部43の周面431の内側に設けられていることにより、第1の実施の形態と比較して円筒形吸気部43の周面431からの吸気ガイド部47Aの突き出し量を無くすことができる。つまり、分離装置40の外側部分をディスクグラインダ10のグリップとして機能させる場合に、円筒形吸気部43の周面431形状に沿って手握りすることができる。これによって、グリップとして分離装置40の外側部分を手握りした場合の感触を良くすることができる。
【0034】
なお、本発明に係る電動工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態にあっては、手持ち式の電動工具の一例としてディスクグラインダ10を挙げて説明するものであった。しかしながら、本発明に係る手持ち式の電動工具としては、これに限定されるものではなく、例えば手持ち式の電動ジグソーや手持ち式の電動レシプロソー等、電力供給により駆動する駆動モータを動力源として構成される手持ち式の電動工具であればよいものである。
また、上記した実施の形態のディスクグラインダ10にあっては、内蔵されるモータ冷却ファン27は、遠心方向に送風する遠心式の送風ファンにて構成されるものであった。しかしながら、本発明に係るモータ冷却ファンとしては、これに限定されるものではなく、回転軸方向で送風する軸流送風ファンであってもよい。
また、上記した実施の形態の分離装置40,40Aにあっては、装置ハウジング41と、遠心分離室55と、吸気部45,45Aとを備えて構成されるものであった。しかしながら、本発明に係る分離装置としては、これに限定されることなく、外気吸引側に吸引される外気を遠心分離機能によりモータを冷却するためのモータ冷却風に分離する適宜の構成を採用することができる。
【0035】
また、本発明に係る分離装置の吸気部としても、上記した実施の形態の吸気部45,45Aの例に限定されることなく、装置ハウジングの周面に設けられて遠心分離室内に外気を吸引し、遠心分離室にて分離された分離物を外部に排出するための排出部として機能すればよいものである。なお、上記した実施の形態の分離装置40,40Aにあっては、吸気部45から吸引された外気を上記したモータ冷却風と粉塵等(粉塵や水滴等)とに分離するものであった。しかしながら、本発明に係る分離装置は、吸気部から吸引された外気から水滴等の水分を分離し、モータ冷却風として工具本体に送るものであってもよい。また、本発明に係る排出ガイド形状としては、上記した実施の形態の円錐部422の内壁面425の例に限定されることなく、吸気部からの外気の吸引が停止した場合に遠心分離室にて分離された分離物を分離物の自重によって吸気部から外に排出するように作用する機能を有するものであれば、適宜の形状を選択することができるものである。また、上記した分離装置40,40Aの外側部分には、ディスクグラインダ10としてのグリップ性能を向上させるための滑り止め機能が設けられるものであってもよい。
【0036】
また、上記した実施の形態の分離装置40,40Aに設けられる吸気部45,45Aは、円筒形吸気部43(装置ハウジング41)の周面431に対して、均等間隔で4つ配設されるものであった。しかしながら、本発明に係る吸気部は、これに限定されることなく、例えば適宜の間隔で3つ配設されるものであってもよい。つまり、本発明に係る吸気部は、モータ冷却風としての風量を確保できつつ、回転気流を発生させるに好ましい領域が確保されていればよいものであり、さらに分離物の自重により吸気部から外部に排出させ易いように設計されていることが好ましい。
また、上記した実施の形態の分離装置40,40Aに設けられる吸気部45,45Aは、工具本体15の本体ハウジングとなるモータハウジング22から取外し可能に構成されるものとなっていた。しかしながら、本発明に係る分離装置としては、これに限定されることなく、本体ハウジングとなるモータハウジングと一体成形により形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 ディスクグラインダ(電動工具)
15 工具本体
18 カバー体
20 動力発生部
22 モータハウジング
23 駆動モータ(動力源)
24 ベアリング
25 モータスピンドル(回転軸)
27 モータ冷却ファン
29 接続部
30 動力変換部
32 ギヤハウジング
33 駆動側ギヤ
35 従動側ギヤ
37 出力スピンドル
38 ベアリング
39 排気口
40,40A 分離装置
41 装置ハウジング
42 円錐形底部
421 底部
422 円錐部
425 内壁面(区画壁の壁面)
43 円筒形吸気部
431 周面
45,45A 吸気部
46 ハウジング開口部
47,47A 吸気ガイド部
471,471A 接線ガイド壁
472,472A ガイド支持壁
48,48A 吸気口
50 接続部
51 気流ガイド筒部(気流ガイド部)
52 重畳部
53 ガイド筒形部
531 後端開口部
54 接続筒体部
541 前端開口部
55 遠心分離室
B 砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源となる駆動モータと、該駆動モータにより回転する軸に一体回転可能に取り付けられて外気を吸引するモータ冷却ファンと、を具備する手持ち式の電動工具であって、
前記駆動モータを内装する本体ハウジングの外気吸引側に、吸引される外気を遠心分離機能によりモータを冷却するためのモータ冷却風に分離する分離装置が設けられていることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動工具において、
前記分離装置は、外装をなしつつ内部に遠心分離機能を発揮する遠心分離室が形成される装置ハウジングと、該装置ハウジングの周面に設けられ該遠心分離室内に向けての外気が吸引される吸気部とを備え、
前記吸気部は、前記遠心分離室にて分離された分離物を外部に排出するための排出部として機能することを特徴とする電動工具。
【請求項3】
請求項2に記載の電動工具において、
前記遠心分離室を区画する区画壁には、前記吸気部からの外気の吸引が停止した場合に、該遠心分離室にて分離された分離物を、該分離物の自重によって該吸気部から外に排出するように作用する排出ガイド形状が設けられていることを特徴とする電動工具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電動工具において、
前記分離装置の外側部分が、該電動工具のグリップとして機能することを特徴とする電動工具。
【請求項5】
請求項4に記載の電動工具において、
前記吸気部から吸引される外気を前記遠心分離室内にて気流を発生させるようにガイドする気流ガイド部が、前記装置ハウジングの内部に設けられていることを特徴とする電動工具。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の電動工具において、
前記吸気部は、前記装置ハウジングの周面に対して間隔を設けて複数配設されていることを特徴とする電動工具。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の電動工具において、
前記装置ハウジングの周面に配設される前記吸気部の配設位置は、該電動工具の常用定置姿勢における前記装置ハウジングの周面に対して、重力方向に向く位置に設定されていることを特徴とする電動工具。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の電動工具において、
前記分離装置は、前記本体ハウジングから取外し可能に構成されていることを特徴とする電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−49114(P2013−49114A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188695(P2011−188695)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】