説明

電動機

【課題】エネルギー効率のよい電動機を提供する。
【解決手段】電源BをON・OFFするメインスイッチ24と、電源Bによって駆動するモータMと、メインスイッチ24がONのときのみモータMの駆動を開始させることができるレバー(操作部)と、そのレバーによって操作されたモータMの駆動が伝達されて回転する耕耘部(回転動作部)とを備える電動機において、レバーの非操作時間をカウントするタイマー(時間算出部)Tを備え、そのタイマーTに非操作時間が一定時間に達したとき、メインスイッチ24がOFFとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源をON・OFFするスイッチと、電源によって駆動するモータと、スイッチがONのときのみモータの駆動を開始させることができる操作部と、その操作部によって操作されたモータの駆動が伝達されて回転する回転動作部とを備える電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータを駆動源とする電動機としての歩行型電動耕耘機は、たとえば、メインスイッチをONにしてモータに電力を導通させ、操作部であるアクセルレバーを操作してモータの駆動を耕耘部に伝達して耕耘作業をする(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−169602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような歩行型電動耕耘機では、アクセルレバーの操作を停止して耕耘作業を停止している場合にもメインスイッチはONのままであり、待機電流が流れてしまい不必要なエネルギーを消費してしまうという問題があった。
そこでこの発明の目的は、エネルギー効率のよい電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、電源をON・OFFするスイッチと、前記電源によって駆動するモータと、前記スイッチがONのときのみ前記モータの駆動を開始させることができる操作部と、該操作部によって操作された前記モータの駆動が伝達されて回転する回転動作部とを備える電動機において、
前記操作部の非操作時間をカウントする時間算出部を備え、該時間算出部にて前記非操作時間が一定時間に達したとき、前記スイッチがOFFとなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動機において、前記回転動作部が円筒の外周に耕耘爪を設けた耕耘部であり、該耕耘部を前記モータで回転させて耕耘作業をすることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動機において、前記操作部が前記モータの回転数を可変させる可変操作部であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動機において、前記電動機を操縦するハンドルに前記スイッチを設け、ON・OFF操作しないときに該スイッチを覆うカバーを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、電源をON・OFFするスイッチと、操作部の非操作時間をカウントする時間算出部を備え、その時間算出部にて非操作時間が一定時間に達したとき、スイッチがOFFとなるので、操作部の操作を停止してモータを停止している場合に待機電流を停止して、不必要なエネルギーを消費せず、エネルギー効率のよい電動機を提供することができる。また、操作されずに一定時間が経過した後は操作部を誤って操作してもスイッチがOFFになっており、誤操作によるモータの駆動を防止することができ、安全性を向上させた電動機を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、回転動作部が円筒の外周に耕耘爪を設けた耕耘部であり、その耕耘部をモータで回転させて耕耘作業をするので、操作されずに一定時間が経過した後は操作部を誤って操作してもスイッチがOFFになっており、誤操作による耕耘部の回転を防止することができ、安全性を向上させた農作業用の電動機を提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、操作部がモータの回転数を可変させる可変操作部であるので、必要に応じてモータを高回転にしたり低回転にしたりして適切な回転速度で回転動作部を回転させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、電動機を操縦するハンドルにスイッチを設け、ON・OFF操作しないときにそのスイッチを覆うカバーを備えるので、誤ってスイッチをONにすることがなく、安全性の向上した電動機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の電動機の一例としての歩行型電動耕耘機を示す正面図であり、図2は側面図である。
この例の歩行型電動耕耘機11は、金属製パイプを略U字状に形成したハンドル12と、そのハンドル12から下方に連続して設けられた棒状の金属製パイプからなるフレーム20とそのフレーム20の下端に取り付けられた、金属製パイプを略コの字型に形成したフレーム13、そのフレーム13の間に取り付けられた耕耘部19などからなる。なお、フレーム20の下部にはケース21を取付台22に載置して取り付ける。
【0014】
ハンドル12の両端にはグリップ12aを取り付ける。右側のグリップ12aの下方には、図3(a)に示すように、取付部12bにレバー(操作部)12dがピン12cを介して回動自在に取り付けられている。取付部12bは円環状の金属製で、ハンドル12の外周に被せて不図示のネジなどで固定して取り付ける。また、レバー12dは、例えばアルミなど加工しやすい金属製、または硬質樹脂製で形成されその先端には、接触部18aを当接させる。この接触部18aは圧縮バネを介してスイッチ本体18bと組み合わされて主クラッチ18を構成している。したがって、レバー12dを握ると接触部18aは圧縮バネによってスイッチ本体18bからレバー12d側に突出して主クラッチ18がONになり、レバー12dを離すとレバー12dに押されて接触部18aが圧縮バネに抗してスイッチ本体18b内に押し込まれて主クラッチ18がOFFになる。なお、レバー12dは図中時計回りに不図示のバネにて付勢されており、このバネは接触部18aに備える圧縮バネよりもバネ定数の大きいものを選ぶと好適である。
また、グリップ12a、取付部12b、ピン12c、レバー12dの形状、位置関係および取付方法は、自転車のハンドルのグリップおよびブレーキレバーとの形状、位置関係および取付方法に基づいていると好適である。
さらに、ハンドル12の内側には、図3(b)に示すように、操作板23を設ける。操作板23には、メインスイッチ(スイッチ)24がONのときに点灯するインジケータ25を備える。
【0015】
左側のグリップ12aの根元付近には、図4(a)〜(c)に示すように、ハンドル12を切削加工して段部12Dを形成し、その段部12Dにボタン状のメインスイッチ24を不図示の圧縮バネで上方に付勢して取り付ける。さらに、ハンドル12の根元側にはピン26aを貫通させてメインスイッチ24を覆うカバー26を回動自在に取り付ける。このカバー26は図4(a)中で時計回りにコイルバネなどで付勢されて、メインスイッチ24を覆うようになっている。
【0016】
一方、ハンドル12の中央部はフレーム20の一端を溶接などで固設する。また、フレーム20の他端にはフレーム13の中央部を溶接などで固設する。また、フレーム13の中央の水平部分には取付台22を固設し、その取付台22にはケース21を載置して不図示の固定部材で固定する。このケース21は開閉自在になっており、内部にはバッテリー(電源)Bの収納部および制御部Cの据付部などを備える。
フレーム13の両端13aはそれぞれ平坦につぶされた後、切り欠いて取付開口部が形成される。
【0017】
耕耘部19は、ドラム状のロータ14と、そのロータ14の周面に取付部15aを介して突設されたスクリュ状の耕耘爪15とで構成される。
ロータ14は、ロータ14を回転させるためのモータが内設された円筒14bと、その円筒14bを側方より閉塞する円板状の閉塞部材17とを有する。この閉塞部材17は円筒14bを密閉するのではなく、閉塞部材17の外周とロータ円筒14bの内周面とが一定の隙間を持って設けられる。しがたって、閉塞部材17を固定した状態で円筒14bはモータの回転軸14aを中心として回転自在である。
そして、閉塞部材17の円心部分よりモータの回転軸14aを外側に向かって固定して突設し、回転軸14aをフレーム13の下端の取付開口部に嵌め付けた後、ナット16にてネジつけて固設する。なお、回転軸14aの先端には雄ネジが形成されている。
【0018】
歩行型電動耕耘機11の電気的接続は図5に示すようになっている。すなわち、ケース21内に備えられたバッテリーBの陽極は、インジケータ25、メインスイッチ24、主クラッチ18を介してそれぞれ制御部Cに接続される。また、バッテリーBの陽極は直接、制御部Cとも接続される。一方、バッテリーBの陰極は接地されている。そして、制御部Cは接地する一方、モータMに接続し、さらにタイマー(時間算出部)Tと接続する。
【0019】
すなわちこの発明の歩行型電動耕耘機(電動機)11は、電源BをON・OFFするメインスイッチ24と、電源Bによって駆動するモータMと、メインスイッチ24がONのときのみモータMの駆動を開始させることができるレバー(操作部)12dと、そのレバー12dによって操作されたモータMの駆動が伝達されて回転する耕耘部(回転動作部)19とを備える電動機において、レバー12dの非操作時間をカウントするタイマー(時間算出部)Tを備え、そのタイマーTに非操作時間が一定時間に達したとき、メインスイッチ24がOFFとなるように構成されている。
また、耕耘部(回転動作部)19が円筒14の外周に耕耘爪15を設け、その耕耘部19をモータMで回転させて耕耘作業をするようになっている。
さらに、歩行型電動耕耘機11を操縦するハンドル12にメインスイッチ24を設け、ON・OFF操作しないときにそのメインスイッチ24を覆うカバー26を備える。
【0020】
このように構成された歩行型電動耕耘機11を用いて耕耘作業を行う方法について、図1〜5を参照しつつ、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1にて、カバー26を図4(c)のように回動してメインスイッチ24を指で押してONにする。すると、インジケータ25が点灯し、主電源がONとなっていることを表示する。カバー26から手を離すとカバー26がバネにより回動して元の位置に戻りメインスイッチ24を覆う。
次にレバー12dを握る。すると、レバー12dに当接してスイッチ本体18b側に押し込まれていた接触部18aが圧縮バネの作用によりレバー12d方向に伸張してスイッチ本体18bから突出し、主クラッチ18がONになる。
この間、制御部Cでは、ステップS2にて、主クラッチ18がONとなっているかを判定する。主クラッチ18がONとなっているときはステップS3に進み、主クラッチ18がONとなっていないときはステップS2に戻る。
【0021】
そして、ステップS3にて、モータMへ電力を供給して、耕耘部19を回転させて耕耘作業を行う。
耕耘作業を停止するときは、握っていたレバー12dを離す。すると、バネがレバー12dを時計回りに回動させて接触部18aの先端がレバー12dに当接し圧縮バネに抗してレバー12dと反対方向に移動してスイッチ本体18b内に押し込まれ、主クラッチ18がOFFになる。
S3にてモータMに電力を供給して以降、制御部Cは、主クラッチ18がONとなっているかを判定する(ステップS4)。主クラッチ18がONとなっているときはステップS3に戻り、主クラッチ18がONとなっていないときはステップS5に進む。
タイマーTは、主クラッチ18がOFFとなって以降の時間(ONとなっていない時間)をカウントする。そして、主クラッチ18がOFFとなって以降、予め設定した一定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS5)。一定時間が経過しているときはステップS6に進みメインスイッチ24をOFFにする。一定時間が経過していないときはステップS5に戻る。
【0022】
なお、カバー26は、上述の例に代えて、図7(a),(b)に示すように構成してもよい。すなわち、ハンドル12を切削加工して段部12Dを形成し、その段部12Dにボタン状のメインスイッチ24を不図示の圧縮バネで上方に付勢して取り付ける。さらに段部12Dに連続して、グリップ12aの外周に沿って周方向に、円弧状の溝12Gを形成して、同様の形状のカバー261を摺動自在に嵌め付ける。このカバー261は図7(b)中で時計回り(閉じる方向)にコイルバネなどで付勢されている。
カバー261を開閉するには、指先でノブNを引掛けて図7(b)中で半時計回りに摺動して、メインスイッチ24を露出させる。そしてメインスイッチ24を押した後、ノブNから手を離すと、コイルバネによってノブNが時計回りに摺動してカバー261がメインスイッチ24を覆う。
【0023】
また、カバー26は、上述の例に代えて、図8(a),(b)に示すように構成してもよい。すなわち、ハンドル12を切削加工して段部12Dを形成し、その段部12Dにボタン状のメインスイッチ24を不図示の圧縮バネで上方に付勢して取り付ける。さらに段部12Dに連続して、グリップ12aの外周に沿って長手方向に、円弧状の溝12G1を形成して、同様の形状のカバー262を摺動自在に嵌め付ける。このカバー262は図8(a)中で上方(閉じる方向)にコイルバネなどで付勢されている。
カバー262を開閉するには、指先でノブNを引掛けて図8(a)中で下方に摺動して、メインスイッチ24を露出させる。そしてメインスイッチ24を押した後、ノブNから手を離すと、コイルバネによってノブNが上方に摺動してカバー262がメインスイッチ24を覆う。
【0024】
ところで、レバー(操作部)12dは、モータMの回転数を可変させる可変操作部として機能するようにしてもよい。この場合、レバー12dを握る量を調整することによってモータMの回転数が調整できるようにする。
また、バッテリーBに代えて電源を電池とし、この電池を搭載してもよい。このようにすることによって、機動性に優れた電動機を提供することができる。
さらに、電源をAC電源とし、歩行型電動耕耘機11に先端にコンセントのついたコードを備えてこのコードを介してメインスイッチ24に接続されるように構成してもよい。このようにすると、電池のように電源の消費を懸念する必要がなく、また、交換する必要もないので、メンテナンスを容易にした電動機を提供することができる。さらに、電池などを搭載する必要がないので、軽量な電動機を提供することができる。
また、歩行型電動耕耘機11にAC電源を用いて充電池を充電する充電器を備え、モータMがAC電源および充電池のいずれでも駆動可能であるように構成してもよい。このようにすると、歩行型電動耕耘機11に機動性を重視するときは充電池を使用してモータを駆動し、メンテナンスを容易にしたいときはAC電源を使用してモータを駆動するので、適宜使い分けのできる取り扱いの便利な電動機を提供することができる。
【0025】
なお、上述の例では、電動機の例として、歩行型電動耕耘機について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えば、お年寄りまたは身障者向けの乗用電動カート、ゴルフ場にてゴルフバッグを載せて移動する電動カート(乗用操作または歩行操作)、電動芝刈り機など、ハンドルで操作するあらゆる電動機に適用することができる。
モータの駆動で回転する回転動作部は、お年寄りまたは身障者向けの乗用電動カートおよびゴルフ場の電動カートにおいては駆動輪に相当し、電動芝刈り機においては、芝刈り用のロータリーカッターに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の歩行型電動耕耘機の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す歩行型電動耕耘機の側面図である。
【図3】(a)は右側グリップ付近の拡大側面図、(b)はハンドルの平面図である。
【図4】(a)は左側グリップ付近の拡大側面図、(b)は左側グリップ付近の拡大平面図、(c)は(a)のカバーを回動してスイッチを露出した様子を示す図である。
【図5】図1に示す歩行型電動耕耘機の電気的接続を示す回路図である。
【図6】制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【図7】(a)は本発明の歩行型電動耕耘機の別の例のハンドルの平面図、(b)はそのB矢視断面図である。
【図8】(a)は本発明の歩行型電動耕耘機のさらに別の例のハンドルの平面図、(b)はそのC矢視断面図である。
【符号の説明】
【0027】
11 歩行型電動耕耘機(電動機)
12 ハンドル
12D 段部
12G,12G1 溝
12a グリップ
12b,15a 取付部
12c,26a ピン
12d レバー(操作手段)
13,20 フレーム
13a 両端
14 ロータ
14a 回転軸
14b 円筒
15 耕耘爪
18 主クラッチ
18a 連結部
18b スイッチ本体
19 耕耘部
21 ケース
22 取付台
23 操作板
24 メインスイッチ(スイッチ)
25 インジケータ
26,261,262 カバー
B バッテリー(電源)
C 制御部
M モータ
N ノブ
T タイマー(時間算出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源をON・OFFするスイッチと、前記電源によって駆動するモータと、前記スイッチがONのときのみ前記モータの駆動を開始させることができる操作部と、該操作部によって操作された前記モータの駆動が伝達されて回転する回転動作部とを備える電動機において、
前記操作部の非操作時間をカウントする時間算出部を備え、該時間算出部にて前記非操作時間が一定時間に達したとき、前記スイッチがOFFとなることを特徴とする、電動機。
【請求項2】
前記回転動作部が円筒の外周に耕耘爪を設けた耕耘部であり、該耕耘部を前記モータで回転させて耕耘作業をすることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記操作部が前記モータの回転数を可変させる可変操作部であることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。
【請求項4】
前記電動機を操縦するハンドルに前記スイッチを設け、ON・OFF操作しないときに該スイッチを覆うカバーを備えることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−60943(P2006−60943A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241605(P2004−241605)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】