説明

電動車の充電方法および充電装置

【課題】電動車側の構成の簡素化および軽量化を図る上で有利な電動車のバッテリーの充電方法および充電装置を提供する。
【解決手段】充電ガン46を凹部30に挿入することにより、給電コネクタ50と受電コネクタ24とが接続されると同時に、接続部55がバッテリー冷却用流路20に接続され、バッテリー冷却用流路20と熱媒体流路41とが接続される。制御部76は、充電部58の充電動作の開始と同時に、切替部60を切り換えることにより、熱媒体流路41を接続部55を介してバッテリー冷却用流路20に連通させ、ポンプ66を起動させる。これにより、媒体槽62の熱媒体を熱媒体流路41、接続部55を介してバッテリー冷却用流路20に循環させつつバッテリー12を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車のような電動車の充電方法および充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーから供給される電力によって電気モータを駆動して走行する電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車のような電動車がある。
電動車のバッテリーは、外部に設けられた充電装置から供給される電力によって充電される。
ところで、このような充電装置によってバッテリーを急速充電すると、大電流がバッテリーに流れることによってバッテリーが発熱し、電池の容量が低下するなどの性能の低下が懸念される。
そこで、電動車にバッテリーの回りに冷却水を冷却させつつ循環させることでバッテリーを冷却する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−121551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来装置は、電動車に冷却水を循環させるポンプなどの機構が必要となるばかりでなく、車両側に冷却水を蓄えなくてはならないため、構成が複雑でしかも車両の重量が増加する不都合がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、電動車側の構成の簡素化および軽量化を図る上で有利な電動車のバッテリーの充電方法および充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、電動車の外部から電力供給可能な外部電源から前記電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電装置であって、前記充電装置は、前記バッテリーを充電している間、前記バッテリーを冷却するバッテリー冷却手段を備え、前記バッテリー冷却手段は、前記電動車の外部から前記電動車に設けられたバッテリー冷却用流路に熱媒体を循環させ、循環後に前記熱媒体を前記バッテリー冷却用流路から回収することを特徴とする。
また本発明は、電動車の外部から電力供給可能な外部電源から前記電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電方法であって、前記バッテリーを充電している間、前記電動車の外部から前記電動車のバッテリー冷却用流路に熱媒体を循環させつつ前記バッテリーを冷却し、循環後に前記熱媒体を前記バッテリー冷却用流路から回収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、電動車にバッテリー冷却用流路を設ければよく、電動車に冷却水を循環させるポンプなどの機構が不要となり、電動車に熱媒体を蓄える必要もないため、電動車側の構成の簡素化および軽量化を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、充電ガンおよび充電ケーブルを用いて、熱媒体流路を介したバッテリー冷却用流路に対する熱媒体の循環と回収を行うので充電時の作業性の簡単化を図る上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、充電ガンに設けられた接続部を用いることにより熱媒体流路とバッテリー冷却用流路との接続を簡単に行うことができ作業性の向上を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、受電コネクタに給電コネクタが接続される際に、その接続と同時に接続部を介して熱媒体流路とバッテリー冷却用流路とが接続されるため、充電時の作業性の簡単化を図る上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、接続部は給電コネクタよりも突出して設けられているので、給電コネクタと受電コネクタとが接続する部分の位置と、接続部がバッテリー冷却用流路と接続する部分の位置とが離間する。したがって、仮に接続部から、あるいは、接続部と接続されるバッテリー冷却用流路の部分から熱媒体がこぼれたとしても、熱媒体と給電コネクタあるいは受電コネクタとの接触を防止する上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、給電コネクタと熱媒体供給管と熱媒体回収管とはそれらの軸心が平行して設けられているので、充電ガンの簡単な操作により、給電コネクタと受電コネクタとの接続およびその解除、媒体供給用接続管および熱媒体回収用接続管と上流側接続開口および下流側接続開口との接続およびその解除を行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、圧縮空気を用いて熱媒体をバッテリー冷却用流路から回収することにより、バッテリー冷却用流路に熱媒体を残存させることなく確実に熱媒体流路に回収することができる。
請求項8記載の発明によれば、圧縮空気を用いることによってバッテリー冷却用流路の圧力の検出結果に基づいてバッテリー冷却用流路における漏れの有無を簡単に検出することができる。
請求項9記載の発明によれば、バッテリーに対して定電流充電が行われているか、定電圧充電が行われているかの監視結果に応じてバッテリー冷却用流路に対する熱媒体の供給および回収を行うので、熱媒体の供給および回収をバッテリーの発熱状態に応じて的確に行うことができる。
請求項10記載の発明によれば、電動車にバッテリー冷却用流路を設ければよく、電動車に冷却水を循環させるポンプなどの機構が不要となり、電動車に熱媒体を蓄える必要もないため、電動車側の構成の簡素化および軽量化を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係る充電装置40および該充電装置40によって充電される電動車10の説明図である。
【図2】本実施の形態に係る充電装置40および電動車10の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る充電装置40の充電ガン46、電動車10の受電コネクタ24および上流側接続開口26、下流側接続開口28の構成を示す説明図である。
【図4】(A)は急速充電時の切替部60の動作説明図、(B)は熱媒体回収時の切替部60の動作説明図、(C)はブロウ時の切替部60の動作説明図である。
【図5】(A)はバッテリー冷却用流路20の一例を示す説明図、(B)はバッテリー冷却用流路20の他の例を示す説明図である。
【図6】充電装置40の動作を説明するフローチャートである。
【図7】充電時における時間経過に伴うバッテリー12の電流I、電圧E、充電された容量Cの変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る充電装置40は、電動車10に搭載されたバッテリー12を充電するものである。
まず、充電装置40によって充電を行う電動車10について説明する。
電動車10は、電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車などのようにバッテリー12によって駆動源としての電気モータ(不図示)を駆動することにより走行するものである。
バッテリー12は、図5(A)、(B)に示す複数の電池モジュール14を備えている。なお、図5(A)、(B)は電池モジュール14を平面視した状態を示す。
電池モジュール14は、複数の電池セル16と、それら電池セル16を収容保持するケース18とで構成されている。
図5(A)、(B)に示すように、ケース18は、矩形状の底壁と、底壁の四辺から起立された4つの側壁1802と、電池セル16を仕切る複数の仕切り壁1804とを含んで構成されている。
そして、図5(A)に示す例では、バッテリー冷却用流路20が4つの側壁1802にわたって形成されている。
また、図5(B)に示す例では、バッテリー冷却用流路20が4つの側壁1802と、各仕切り壁1804とにわたって形成されている。
そして、図中、矢印で示すようにバッテリー冷却用流路20の上流側から下流側に向かって熱媒体が循環して流れることにより、各電池セル16が冷却されるように構成されている。
【0009】
図2に示すように、バッテリー12の正極端子および負極端子は、該バッテリー12の充電制御を司る充電制御部22を介して受電コネクタ24に接続されている。
したがって、バッテリー12は、受電コネクタ24から充電制御部22を介して充電がなされるように構成されている。
また、バッテリー冷却用流路20の上流端は上流側接続開口26に接続され、バッテリー冷却用流路20の下流端は下流側接続開口28に接続されている。
【0010】
図3に示すように、電動車10のボディを構成する外板に凹部30が形成されており、凹部30の底面32に受電コネクタ24、上流側接続開口26、下流側接続開口28が設けられている。
受電コネクタ24は、底面32から立設された2つの円筒状のハウジング2402、2404と、各ハウジング2402、2404の内側でこれらハウジング2402、2404と軸心を一致させて底面32から立設された受電用の正負の接続端子2406、2408とで構成されている。
【0011】
上流側接続開口26および下流側接続開口28は、それぞれ底面32に開口されており、接続端子2402、2404と軸心をそれぞれ平行させている。
したがって、受電コネクタ24と、上流側接続開口26と、下流側接続開口28とは、それらの軸心が平行して設けられている。
また、受電コネクタ24は、上流側接続開口26および下流側接続開口28よりも突出して設けられている。
【0012】
次に、充電装置40について説明する。
図1に示すように、充電装置40は、電動車10の外部から電力供給可能な外部電源から電動車10に搭載されたバッテリー12を充電するものである。
充電装置40は、装置本体42と、充電ガン46と、装置本体42および充電ガン46を接続する充電ケーブル44と、バッテリー冷却手段とを含んで構成されている。
バッテリー冷却手段は、電動車10の外部からバッテリー冷却用流路20に熱媒体を循環させ、循環後に熱媒体をバッテリー冷却用流路20から回収するものである。本実施の形態では、バッテリー冷却手段は、図2に示す、熱媒体流路41、媒体槽62、冷却部64、ポンプ66、コンプレッサ68、圧力センサ70、制御部76などを含んで構成されている。
なお、図中符号4202は、装置本体42に設けられた、充電ガン46を収容保持する収容部を示す。
【0013】
図3に示すように、充電ガン46は、ガン本体48と、給電コネクタ50と、熱媒体供給用接続管52と、熱媒体回収用接続管54とを備えている。
ガン本体48は、凹部30に挿入可能に形成され、凹部30の底面32に対向する端面56を有している。
給電コネクタ50は、端面56に形成された2つの円柱状の凹部5002、5004と、これら2つの凹部5002、5004と軸心を一致させて凹部5002,5004の底面からそれぞれ立設された給電用の正負の接続端子5006、5008とで構成されている。
2つの円柱状の凹部5002、5004は、2つのハウジング2402、2404に対応した位置に設けられ、2つのハウジング2402、2404が挿入可能な大きさで形成されている。
給電用の正負の接続端子5006、5008は、受電用の正負の接続端子2406、2408と対応した位置に設けられ、受電用の正負の接続端子2406、2408と接続可能に形成されている。
給電用の正負の接続端子5006、5008は、充電ケーブル44を介して後述する充電部58に接続されている。
【0014】
熱媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54は、後述する熱媒体流路41に連通しており、バッテリー冷却用流路20と熱媒体流路41とを接続可能な接続部55を構成している。
熱媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54は、それぞれ端面56から立設されており、上流側接続開口26および下流側接続開口28のそれぞれと対応する位置に設けられ、上流側接続開口26および下流側接続開口28のそれぞれに挿入されることで接続可能に形成されている。
熱媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54は、接続端子5006、5008と軸心をそれぞれ平行させている。すなわち、給電コネクタ50と、熱媒体供給用接続管52と、熱媒体回収用接続管54とは、それらの軸心が平行して設けられている。
【0015】
充電ガン46をその端面56を凹部30の端面32に向け、かつ、給電コネクタ50、熱媒体供給用接続管52、熱媒体回収用接続管54のそれぞれを、受電コネクタ24、上流側接続開口26、下流側接続開口28のそれぞれに位置決めした状態で、充電ガン46を凹部30に挿入すると以下のように接続が同時になされる。
1)給電コネクタ50と受電コネクタ24とが接続される。すなわち、給電コネクタ50の凹部5004、5006に受電コネクタ24のハウジング2402、2404が挿入され、給電用の正負の接続端子5006、5008のそれぞれが受電用の正負の接続端子2406、2408のそれぞれに接続される。
2)熱媒体供給用接続管52が上流側接続開口26に挿入され、熱媒体供給用接続管52と上流側接続開口26とが接続される。
3)熱媒体回収用接続管54が下流側接続開口28に挿入され、熱媒体回収用接続管54が下流側接続開口28とが接続される。
したがって、上記1)により、バッテリー12と充電部58(図2)とが接続される。
また、上記2)、3)により、バッテリー冷却用流路20と熱媒体流路41とが接続される。
すなわち、接続部55は、受電コネクタ24に給電コネクタ50が接続されると同時にバッテリー冷却用流路20と熱媒体流路41とを接続する。
また、充電ガン46を凹部30から引き抜くと、上記1)、2)、3)の接続がそれぞれ解除される。
上述したように、給電コネクタ50と、熱媒体供給用接続管52と、熱媒体回収用接続管54とは、それらの軸心が平行して設けられているので、充電ガン46を凹部30に対して挿入あるいは引き抜くといった簡単な操作により、給電コネクタ50と受電コネクタ24との接続およびその解除と、媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54と上流側接続開口26および下流側接続開口28との接続およびその解除を行うことができる。
【0016】
また、接続部55(熱媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54)は、給電コネクタ50よりも突出して設けられており、これに対応して受電コネクタ24は、上流側接続開口26および下流側接続開口28よりも突出して設けられている。
したがって、給電コネクタ50と受電コネクタ24とが接続する部分の位置と、媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54が上流側接続開口26および下流側接続開口28と接続する部分の位置とが離間する。
そのため、仮に熱媒体が媒体供給用接続管52、熱媒体回収用接続管54、上流側接続開口26、下流側接続開口28の何れかから熱媒体がこぼれたとしても、熱媒体と給電コネクタ50あるいは受電コネクタ24との接触を防止する上で有利となる。
なお、図3において符号31は、熱媒体が凹部30にこぼれた場合に熱媒体を逃がす水抜き穴を示す。
【0017】
充電ケーブル44は、給電用の正負の接続端子5006、5008と後述する充電部58とを電気的に接続するものである。
また、充電ケーブル44は、熱媒体供給用接続管52および熱媒体回収用接続管54と後述する切替部60とを接続する第1、第2の配管78A、78Bを含んで構成されている。
【0018】
図2に示すように、装置本体42は、充電部58と、切替部60と、媒体槽62と、冷却部64と、ポンプ66と、コンプレッサ68と、圧力センサ70と、表示部72と、操作部74と、制御部76とを含んで構成されている。それらのうち、切替部60、媒体槽62、冷却部64、ポンプ66、コンプレッサ68、圧力センサ70は、熱媒体流路41に設けられている。
【0019】
充電部58は、充電装置40の外部から供給される交流電力に基づいてバッテリー12を充電するための直流電力を生成すると共に、制御部74の制御に基づいて、該直流電力を充電ケーブル44と給電コネクタ50とを介して受電コネクタ24に供給するものである。
【0020】
熱媒体流路41は、充電ケーブル44及び充電ガン46の内部に媒体槽62と接続して設けられ熱媒体が流通するものである。
本実施の形態では、熱媒体流路41は、切替部60と熱媒体供給用接続管52とを接続する第1の配管78Aと、切替部60と熱媒体回収用配管54とを接続する第2の配管78Bとを含んで構成されている。
また、熱媒体流路41は、切替部60とコンプレッサ68とを接続する第3の配管78Cを含んで構成されている。
また、熱媒体流路41は、切替部60と媒体槽62とを接続する第4、第5の配管78D、78Eを含んで構成されている。
【0021】
切替部60は、図4(A)に示すように、第1乃至第3の三方弁60A、60B、60Cを備えており、制御部74の制御に基づいて第1乃至第3の三方弁を動作させる。
すなわち、第1の三方弁60Aは、図4(A)、(B)に示すように、第1の配管78Aと第4の配管78Dとを連通させる状態と、図4(C)に示すように、第1の配管78Aと第3の三方弁60Cとを連通させる状態とに切り換え動作される。
第2の三方弁60Bは、図4(A)に示すように、第2の配管78Bと第5の配管78Eとを連通させる状態と、図4(B)、(C)に示すように第2の配管78Bと第3の三方弁60Cとを連通させる状態とに切り換え動作される。
第3の三方弁60Cは、図4(B)に示すように、第2の三方弁60Bと第3の配管78Cとを連通させる状態と、図4(C)に示すように、第1、第2の三方弁60A、60Bと第3の配管78Cとを連通させる状態とに切り換え動作される。
【0022】
媒体槽62は、バッテリー12を冷却するための熱媒体を蓄えるものである。なお、本実施の形態では、熱媒体として水を用いるが、熱媒体として従来公知の様々な液体を用いることができる。
【0023】
冷却部64は、媒体槽62に蓄えられている熱媒体を冷却するものである。
本実施の形態では、媒体槽62に熱交換器が設けられており、冷却部64は熱交換器に対して冷却した冷媒を循環させることにより熱媒体の冷却を行う。
【0024】
ポンプ66は、切替部60と媒体槽62とを接続する第4の配管78Dに設けられ、媒体槽62の熱媒体を切替部60、第1の配管78Aを介して熱媒体供給用接続管52に移送することにより、熱媒体をバッテリー冷却用流路20に循環させ、バッテリー冷却用流路20から戻ってくる熱媒体を、循環熱媒体回収用接続管54、第2の配管78B、切替部60、第5の配管78Eを介して媒体槽62に戻すものである。すなわち、ポンプ66は、熱媒体を熱媒体流路41とバッテリー冷却用流路20との間で循環させるものである。
【0025】
コンプレッサ68は圧縮空気を生成するものであり、第3の配管78C、切替部60を介してバッテリー冷却用流路20に圧縮空気を供給する。
コンプレッサ68は、制御部74の制御により生成する圧縮空気の圧力を調整可能に構成されている。
【0026】
圧力センサ70は、バッテリー冷却用流路20の圧力を検出しその検出結果を制御部76に供給するものである。
本実施の形態では、圧力センサ70は、第1の配管78Aに設けられているが、圧力センサ70はバッテリー冷却用流路20の圧力を検出できればよく、その設置場所は限定されない。
【0027】
表示部72は、制御部76の制御に基づいて、充電状態の表示(充電中、充電終了)や故障発生などの警告表示などの充電動作にまつわる種々の情報を表示するものである。
操作部74は、使用者による、バッテリー12に対する充電のスタートや緊急停止などの操作を入力するものであり、入力結果は制御部76によって受け付けられる。
【0028】
制御部76は、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成されている。ROMはCPUが実行する制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。そして、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより以下の制御を行う。
1)充電部58の充電動作を制御する。
2)ポンプ66の動作を制御する。
3)コンプレッサ68の動作、圧縮空気の圧力の調整を制御する。
4)操作部74からの操作入力を受け付ける。
5)表示部72に情報を表示させる。
より詳細には、制御部76は、接続部55とバッテリー冷却用流路20とが接続された状態で、接続部55からバッテリー冷却用流路20に圧縮空気を予め定められた圧力で満たし、バッテリー冷却用流路20の圧力の検出結果に基づいてバッテリー冷却用流路20における漏れの有無を検出する漏れ検出手段を構成している。
また、制御部76は、バッテリー12の充電を制御する充電制御手段を構成している。この充電制御手段は、バッテリー12の電圧が予め定められた所定電圧に到達するまでは定電流充電を行い、バッテリー12の電圧が所定電圧に到達したら定電流充電を終了して定電圧充電に切り替える充電部と、充電部により定電流充電が行われているか定電圧充電が行われているかを監視する監視部とを有している。
【0029】
次に、図6のフローチャートを参照して充電装置40によって電動車10の急速充電を行う場合の動作について説明する。
まず、使用者は、充電装置40の充電ガン46を電動車10に接続する(ステップS10)。すなわち、充電ガン46を凹部30に挿入することにより、給電コネクタ50と受電コネクタ24とが接続されると同時に、接続部55がバッテリー冷却用流路20に接続され、バッテリー冷却用流路20と熱媒体流路41とが接続される。
【0030】
次いで、使用者は、充電装置40の操作部74を操作することにより充電のスタートを指示する(ステップS12)。
本実施の形態では、制御部76は、充電部58によってバッテリー12が満充電となるまで充電を行い、満充電となったならば、充電動作を終了するように制御を行うものとする。
【0031】
制御部76は、操作部74の操作入力に対応して充電部58を制御して充電動作を開始させる(ステップS14)。
充電部58は、図7に示すように、バッテリー12の電圧Eが予め定められた電圧に至るまでは一定の電流Iで充電を行う、いわゆる定電流制御による充電動作を実施する。
また、制御部76は、充電部58の充電動作の開始と同時に、切替部60を図4(A)に示す状態に切り換えることにより、熱媒体流路41を接続部55を介してバッテリー冷却用流路20に連通させ、ポンプ66を起動させる。これにより、媒体槽62の熱媒体を熱媒体流路41、接続部55を介してバッテリー冷却用流路20に循環させつつバッテリー12を冷却する(ステップS16)。なお、図4(A)〜(C)において実線の矢印は熱媒体の流れを示し、破線の矢印は圧縮空気の流れを示す。
【0032】
充電部58は、図7に破線で示すように、バッテリー12の電圧Eが予め定められた電圧に到達したならば、定電流制御を終了し、一定の電圧Eで充電を行う定電圧制御に切り替えるように構成されている。
図7に示すように、定電流制御による充電時には、バッテリー12に流入する電流は大きいことからバッテリー12の発熱量が大きく熱媒体の循環による冷却が必要となる。
一方、定電圧制御による充電時には、定電流制御による充電時に比較してバッテリー12に流入する電流は小さいことからバッテリー12の発熱量が無視出来る程度となり、熱媒体の循環による冷却が不要となる。
【0033】
制御部76は、充電部58による定電流制御が終了したか否かを監視する(ステップS18)。定電流制御が終了していなければ、前記の熱媒体の循環を継続する。
定電流制御が終了し定電圧制御に切り替わったならば(ステップS20)、制御部76は、ポンプ66を停止させると共に、切替部60を図4(B)の状態に切り替える。次いで、コンプレッサ68を動作させ、コンプレッサ68により第1の圧力に調整された圧縮空気を第3の管路78C、第3の三方弁60C、第2の三方弁60B、第2の配管78Bを介してバッテリー冷却用流路20に供給する。これにより、圧縮空気によって圧力を加えられた熱媒体は、バッテリー冷却用流路20から熱媒体流路41に移送され、第1の配管78A、第1の三方弁60A、第4の配管70Dを介して媒体槽62に戻る(ステップS22)。
【0034】
次に、制御部76は、コンプレッサ68により第1の圧力よりも大きな第2の圧力に調整された圧縮空気をステップS22のときと同様の経路でバッテリー冷却用流路20に供給することでバッテリー冷却用流路20に残存する熱媒体を熱媒体流路41に吹き飛ばす(ブロウする)(ステップS24)。
このようにステップS22、S24の熱媒体の移送、圧縮空気による熱媒体の吹き飛ばしによって、バッテリー冷却用流路20に熱媒体を残存させることなく確実に熱媒体流路41(媒体槽62)に回収することができる。
なお、第1の圧力に調節された圧縮空気および第2の圧力に調節された圧縮空気は、媒体槽62のエア抜き孔から外部に放出される。
【0035】
次に、制御部76は、切替部60を図4(C)の状態に切り替え、接続部55とバッテリー冷却用流路20とが接続された状態で、接続部55からバッテリー冷却用流路20に圧縮空気を予め定められた圧力で満たし、圧力センサ70によるバッテリー冷却用流路20の圧力の検出結果に基づいてバッテリー冷却用流路20における漏れの有無を検出する(ステップS26)。制御部76は、漏れがあったと検出した場合には、表示部72にその旨を警告表示する。
次いで、制御部76は、充電部58による定電圧制御による充電動作が終了したか否かを監視し、充電動作が終了していなければ充電動作を継続させ、終了していれば表示部72に充電終了の表示をさせ、一連の動作を終了する(ステップS28)。
使用者は、充電終了の表示を確認したならば、充電ガン46を凹部30から引き抜いて、充電ガン46を装置本体42の収容部4202に収容する。
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリー12を充電している間、電動車10の外部から熱媒体を電動車10のバッテリー冷却用流路20に循環させつつバッテリー12を冷却し、循環後に熱媒体をバッテリー冷却用流路20から回収するようにした。
したがって、バッテリー12を冷却するにあたって、電動車10に冷却水を循環させるポンプなどの機構が不要となり、電動車10に熱媒体を蓄える必要がないため、電動車10の構成の簡素化および軽量化を図る上で有利となる。
また、充電ガン46および充電ケーブル44を用いて、熱媒体流路41を介したバッテリー冷却用流路20に対する熱媒体の循環と回収を行うので充電時の作業性の簡単化を図る上で有利となる。
また、充電ガン46に設けられた接続部55を用いることにより熱媒体流路41とバッテリー冷却用流路20との接続を簡単に行うことができ作業性の向上を図る上で有利となる。
また、受電コネクタ24に給電コネクタ50が接続される際に、その接続と同時に接続部55を介して熱媒体流路41とバッテリー冷却用流路20とが接続されるため、充電時の作業性の簡単化を図る上で有利となる。
また、圧縮空気を用いて熱媒体をバッテリー冷却用流路20から回収することにより、バッテリー冷却用流路20に熱媒体を残存させることなく確実に熱媒体流路41に回収することができる。
また、圧縮空気を用いることによってバッテリー冷却用流路20の圧力の検出結果に基づいてバッテリー冷却用流路20における漏れの有無を簡単に検出することができる。
また、バッテリー12に対して定電流充電が行われているか、定電圧充電が行われているかの監視結果に応じてバッテリー冷却用流路20に対する熱媒体の供給および回収を行うので、熱媒体の供給および回収をバッテリー12の発熱状態に応じて的確に行うことができる。
【0037】
なお、実施の形態では、バッテリー冷却手段を充電ガン46を用いて構成した場合について説明したが、バッテリー冷却用流路20に着脱可能な充電ガン46とは別の部材を設け、バッテリー冷却手段をこの別の部材を用いて構成するようにしてもよい。ただし、実施の形態のようにバッテリー冷却手段を充電ガン46を用いて構成すると、バッテリー冷却手段の部品点数を削減し構成を簡素化する上で有利となる。
【符号の説明】
【0038】
10……電動車、12……バッテリー、14……電池モジュール、16……電池セル、18……ケース、20……バッテリー冷却用流路、22……充電制御部、24……受電コネクタ、2402、2404……ハウジング、2406、2408……接続端子、26……上流側接続開口、28……下流側接続開口、30……凹部、31……水抜き穴、32……底面、40……充電装置、41……熱媒体流路、42……装置本体、4202……収容部、44……充電ケーブル、46……充電ガン、48……ガン本体、50……給電コネクタ、5002、5004……凹部、5004、5008……接続端子、52……熱媒体供給用接続管、54……熱媒体回収用接続管、55……接続部、58……充電部、60……切替部、60A……第1の三方弁、60B……第2の三方弁、60C……第3の三方弁、62……媒体槽、64……冷却部、66……ポンプ、68……コンプレッサ、70……圧力センサ、72……表示部、74……操作部、76……制御部、78A……第1の配管、78B……第2の配管、78C……第3の配管、78D……第4の配管、78E……第5の配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車の外部から電力供給可能な外部電源から前記電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電装置であって、
前記充電装置は、前記バッテリーを充電している間、前記バッテリーを冷却するバッテリー冷却手段を備え、
前記バッテリー冷却手段は、前記電動車の外部から前記電動車に設けられたバッテリー冷却用流路に熱媒体を循環させ、循環後に前記熱媒体を前記バッテリー冷却用流路から回収する、
ことを特徴とする電動車の充電装置。
【請求項2】
前記充電装置は、前記外部電源から充電ケーブルと前記充電ケーブルの一端に設けられ前記電動車に接続可能な充電ガンとを介して前記バッテリーを充電し、
前記バッテリー冷却手段は、前記電動車の外部に設けられ前記熱媒体を収容する媒体槽と、前記充電ケーブル及び前記充電ガンの内部に前記媒体槽と接続して設けられ前記熱媒体が流通する熱媒体流路とを有し、前記熱媒体流路を介して前記バッテリー冷却用流路に対する前記熱媒体の供給および回収を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の電動車の充電装置。
【請求項3】
前記充電ガンは、前記バッテリー冷却用流路と前記熱媒体流路とを接続可能な接続部を有する、ことを特徴とする請求項2記載の電動車の充電装置。
【請求項4】
前記充電ガンには、前記電動車に設けられた受電コネクタに接続可能な給電コネクタが設けられ、
前記接続部は、前記受電コネクタに前記給電コネクタが接続されると同時に前記バッテリー冷却用流路と前記熱媒体流路とを接続する、
ことを特徴とする請求項2または3記載の充電装置。
【請求項5】
前記接続部は、前記給電コネクタよりも突出して設けられている、
ことを特徴とする請求項4記載の充電装置。
【請求項6】
前記接続部は、前記バッテリー冷却用流路の上流側接続開口に接続可能な熱媒体供給用接続管と、前記バッテリー冷却用流路の下流側接続開口に接続可能な熱媒体回収用接続管とを有し、
前記給電コネクタと前記熱媒体供給管と前記熱媒体回収管との軸心はそれぞれ平行に設けられている、
ことを特徴とする請求項4または5記載の充電装置。
【請求項7】
前記バッテリー冷却手段は、圧縮空気を生成するコンプレッサを含んで構成され、
前記バッテリー冷却手段による前記バッテリー冷却用流路からの前記熱媒体の回収は、前記バッテリー冷却用流路に前記コンプレッサにより調整された圧縮空気を供給することで前記バッテリー冷却用流路の前記熱媒体を前記熱媒体流路に移送する、
ことを特徴とする請求項2乃至6に何れか1項記載の充電装置。
【請求項8】
前記バッテリー冷却手段は、圧縮空気を生成するコンプレッサを含んで構成され、
前記接続部と前記バッテリー冷却用流路とが接続された状態で、前記接続部から前記バッテリー冷却用流路に前記圧縮空気を予め定められた圧力で満たし、前記バッテリー冷却用流路の圧力の検出結果に基づいて前記バッテリー冷却用流路における漏れの有無を検出する漏れ検出手段を備える、
ことを特徴とする請求項3乃至7に何れか1項記載の充電装置。
【請求項9】
前記充電装置は、前記バッテリーの充電を制御する充電制御手段を備え、
前記充電制御手段は、前記バッテリーの電圧が予め定められた所定電圧に到達するまでは定電流充電を行い、前記バッテリーの電圧が前記所定電圧に到達したら定電流充電を終了して定電圧充電に切り替える充電部と、前記充電部により定電流充電が行われているか定電圧充電が行われているかを監視する監視部とを有し、
前記バッテリー冷却手段は、前記監視部の監視結果に応じて、前記バッテリー冷却用流路に対する前記熱媒体の供給および回収を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載の充電装置。
【請求項10】
電動車の外部から電力供給可能な外部電源から前記電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電方法であって、
前記バッテリーを充電している間、前記電動車の外部から前記電動車のバッテリー冷却用流路に熱媒体を循環させつつ前記バッテリーを冷却し、循環後に前記熱媒体を前記バッテリー冷却用流路から回収する、
ことを特徴とする電動車の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−99024(P2013−99024A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237172(P2011−237172)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】