説明

電動車フレーム

【課題】電動車は、バッテリーを搭載して電動走行するものであるから、特に、軽量構成であることを要するが、フロアの前端部や、この上部に立設のハンドルポスト等を取付け支持するため、堅固な構成で、操作性の安定を図ることが必要であり、重量化となり易いものである。
【解決手段】単一のパイプ材を曲げ成形して、広幅のリヤフロア1縁に沿うリヤフレーム部2から狭幅のフロントフロア3縁に沿うフロントフレーム部4にわたって形成の左右一対のメインフレーム5と、上辺部6を門形状に形成のハンドルフレーム7とから成り、このハンドルフレーム7の左右下端部8を、該メインフレーム5のフロントフレーム部4に一体的に連結したことを特徴とする電動車フレームの構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型電動車のフレーム構成に関するもので、軽量で、簡潔的な構成として、生産コストの低減を図る。
【背景技術】
【0002】
左右一対のメインフレームの前端部に、各々ハンドルポストの下端部を取付け、この左右のハンドルポストの上端部間を特別構成のブラケットで連結して、このブラケットでステアリングポストを取付け支持する形態の技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002−211431号公報(第4頁、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電動車は、バッテリーを搭載して電動走行するものであるから、特に、軽量構成であることを要するが、フロアの前端部や、この上部に立設のハンドルポスト等を取付け支持するため、堅固な構成で、操作性の安定を図ることが必要であり、重量化となり易いものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、単一のパイプ材を曲げ成形して、広幅のリヤフロア1縁に沿うリヤフレーム部2から狭幅のフロントフロア3縁に沿うフロントフレーム部4にわたって形成の左右一対のメインフレーム5と、上辺部6を門形状に形成のハンドルフレーム7とから成り、このハンドルフレーム7の左右下端部8を、該メインフレーム5のフロントフレーム部4に一体的に連結したことを特徴とする電動車フレームの構成とする。左右一対のメインフレーム5や、門形状形態のハンドルフレーム7は、各々丸形断面の単一のパイプ材によって形成する。フロントフレーム部4は幅狭いフロントフロア3縁に沿った左右間隔に開くが、上方に立設のハンドルフレーム7各下端部8を連結支持する。このハンドルフレーム7は単一のパイプ材によって正面視で門形状形態に曲げ形成したものであるから、簡潔、かつ軽量構成でありながら、これらフロントフレーム部4からハンドルフレーム7にわたる構成の剛性を高く維持する。このハンドルフレーム7の上方にはハンドルを配置すると共に、キャリーかご等を取付けるが、これらを安定支持する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記ハンドルフレーム7の下端部後側にそってステアリングポスト9を取付けたことを特徴とするものである。ステアリング軸の下端部をこのステアリングポスト9に嵌合支持させて、ハンドルフレーム7の上方に配置のハンドル操作によって回動して前輪を操向する。このステアリングポスト9をハンドルフレーム7の左右下端部8の後側に配置するために、これらハンドルフレーム7、及びステアリングポスト9によって支持されるフロントカバーの支持構成の剛性を高く維持する。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記ステアリングポスト9の上部をハンドルフレーム7に上部ブラケット10で連結したことを特徴とするものである。左右の各フロントフレーム部4上部には、前側に左右一対のハンドルフレーム7を立設し、この後側部にステアリングポスト9を並設して三本柱形態に構成すると共に、これら下端部はフロントフレーム部4で連結され、この上部間を上部ブラケット10で連結して、立方形態に構成する。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記左右両側のフロントフレーム部4と、ハンドルフレーム7、及びステアリングポスト9の下端部との間を、下部ブラケット11で連結したことを特徴とするものである。正面視で門形態のハンドルフレーム7の左右下端部8間を下部ブラケット11で連結するため、囲桁状形態に構成して、前記左右のフロントフレーム部4、及びステアリングポスト9部との相互間の連結構成の剛性を高く維持する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ハンドルフレーム7は、単一のパイプ材を門形状に曲げ形成してこの下端部8をフロントフレーム部4に連結するため、このハンドルフレーム7部の構成を軽量化、簡潔化しながら剛性を高め、ハンドルの支持を安定させることができる。メインフレーム5とハンドルフレーム7のパイプ材による曲げ成形して構成するため、構成を簡単、軽量化すると共に、左右のフロントフレーム部4間にわたって、ハンドルフレーム7の上辺部6による門形状の曲げ成形によって剛性の高い連結構成を維持することができ、生産コストの低減を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ハンドルフレーム7をステアリングポストの立並設によって支持されるフロントカバー部、及びこの上方部におけるハンドル部の支持形態を安定させることができる。門形状のハンドルフレーム7の後側下部にステアリングポスト9を沿わせるため、このハンドルフレーム7部、及びステアリングポスト9部と、フロントフレーム部4との間の連結部の剛性を高めてハンドルの支持構成を安定させる。又、フロントフレーム部4の構成を簡潔化、軽量化できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、ハンドルフレーム7の下端部のフロントフレーム部4に対する取付け構成を簡単にして安定させることができる。特に、連結部である上部ブラケット10を板金製等の如き軽量化構成とすることができる。このように前後のハンドルフレーム7とステアリングポスト9との間を、下部フロントフレーム部4と上部ブラケット10とで連結するため、これらの支持構成を軽量化して剛性を高める。
【0011】
請求項4に記載の発明は、上辺部6を曲げ形成の門形ハンドルフレーム7の左右下端部8間を下部ブラケット11で連結して囲桁状に形成して、これらハンドルフレーム7や、フロントフレーム部4、及びステアリングポスト9相互間における連結剛性を高めることができて、軽量化できる。上部ブラケット10で左右のフロントフレーム部4間を連結して、この下部ブラケット11で左右のハンドルフレーム7下端部間、及びステアリングポスト9の下端部を連結支持させるため、構成が簡単、軽量化でき、剛性を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図に基づいて、電動車は、車体に左右一対の前輪12と後輪13を配置し、後部の運転席14に搭乗して前側のハンドル15を操作して走行できる乗用操向形態の構成とし、車体後部に搭載の電動モータMを、この運転席14下のリヤカバー17室内に搭載のバッテリー16により電動駆動して走行することができる。このリヤカバー17の前側には、リヤフロア1、及びフロントフロア3等のステップフロア18を形成して、これらの前端部に、左右のフロントフェンダー19と、これらの間のフロントカバー20とを形成する。この後部のリヤカバー17は、後輪13のサスペンション機構や、前記モータMによる後輪13伝動機構、運転席14支持機構、及びバッテリー16等の上部を被覆する。又、この前部のフロントカバー20は、前輪12のサスペンション機構21や、上端部にハンドル15を有するステアリング軸22の下端部を軸受したステアリングポスト9、及びハンドルフレーム7等を被覆している。
【0013】
ここにおいて、この発明にかかる電動車フレームは、単一のパイプ材を曲げ成形して、広幅のリヤフロア1外側縁に沿うリヤフレーム部2から狭幅のフロントフロア3外側縁に沿うフロントフレーム部4にわたって形成の左右一対のメインフレーム5と、上辺部6を門形状に曲げて形成のハンドルフレーム7とから成り、このハンドルフレーム7の左右下端部8を、該メインフレーム5のフロントフレーム部4に一体的に連結したことを特徴とする。左右一対のメインフレーム5や、門形状形態のハンドルフレーム7は、各々丸形断面の単一のパイプ材によって形成する。フロントフレーム部4は幅狭いフロントフロア3縁に沿った左右間隔に開くが、上方に立設のハンドルフレーム7の各下端部8を連結支持する。このハンドルフレーム7は単一のパイプ材によって正面視で門形状形態に曲げ形成したものであるから、簡潔、かつ軽量構成でありながら、これらフロントフレーム部4からハンドルフレーム7にわたる構成の剛性を高く維持する。
【0014】
このハンドルフレーム7は、下端部8をフロントフレーム部4に上方へ直立状にして固定すると共に、この上部を後側へ向けて適宜角度Aに屈曲させて側面視くの字状態に形成することによって、後部のステアリングポスト9や、ステアリング軸22等との上下端部の前後間隔部を狭くして、中間部の前後方向感覚を大きく形成することができ、これらハンドルフレーム7等の剛性を高めることができ、簡潔で安定した直立姿勢を維持することができる。このハンドルフレーム7の上方に突出するステアリング軸22の上端に、ハンドル15を取付けると共に、スイッチ類や、メータ類等を配置する操作ボックス35等を取付ける。又、該ハンドルフレーム7の後側には品物を収容して搬送するためのキャリーかご36等を取付けて、これらを安定支持する。又、このステアリングポスト9に回動自在に支持されたステアリング軸22の下端部にナックルアームを設けて、タイロッドを介して前輪12の操向アームを操向連動するように構成している。
【0015】
前記メインフレーム5は前後方向にわたる左右一対のパイプ材を主体として、後部幅を広く形成し、前部幅を狭くして左右対称状に形成している。このメインフレーム間にわたって横方向の前部連結フレーム23、後部連結フレーム24で連結している。これらメインフレーム5の前端部のフロントフレーム部4間にわたって連結板25を設けて一体的に連結する。又、この上側に沿ってコの字形態の下部ブラケット11を設ける。又、これら前部連結フレーム23と後部連結フレーム24との間には、左右両側のリヤフレーム部2,2間にわたってシート床板27を設ける。前部連結フレーム23上にはフロントフロア3を敷設する。又、シート床板27上にはバッテリー16を搭載する。これらリヤフレーム部2やシート床板27の中央部には前後方向にわたって角パイプ材や、U字状断面材等からなるセンタフレーム28が設けられる。後部連結フレーム24の中央部には運転席14を支持する支持パイプ29を設け、センターフレーム28や、リヤフレーム45との間をブラケット30,31で連結している。ハンドルフレーム7は、丸形パイプ材からなり正面視で門形状形態に形成されて下端部8を、前記フロントフレーム部4の内側部と、下部ブラケット11とにわたって接合させるようにして溶接している。このハンドルフレーム7の上部には取付ブラケット32を設けて、下部ブラケット11や、連結板25に形成の取付ブラケット33,34との間にわたって、前記フロントカバー20を取付けることができる。又、このハンドルフレーム7の上辺部6等にはハンドル15のステアリング軸22の上端部を回動自在に軸受する軸受メタルを設けることも可能であり、より安定的にステアリング軸22を支持することができ、ハンドルフレーム7部の剛性を高めることができる。前記左右のメインフレーム5は、フロントフレーム部4の前端部を切離した独立形態に構成して、連結板25や、下部ブラケット11等で左右連結したものであるが、このようなフロントフレーム部4の左右切離し形態のフレーム形態に代えて、単一のパイプ材によってメインフレーム5の前端部を平面視でコの字状形態に曲げて構成することも可能である。
【0016】
又、前記ハンドルフレーム7の下端部後側に沿ってステアリングポスト9を取付けたことを特徴とするものである。ステアリング軸の下端部をこのステアリングポスト9に嵌合支持させて、ハンドルフレーム7の上方に配置のハンドル15の操作によって回動して前輪12を操向する。このステアリングポスト9をハンドルフレーム7の左右下端部8の後側に配置するために、これらハンドルフレーム7、及びステアリングポスト9によって支持されるフロントカバー20の支持構成の剛性を高く維持する。
【0017】
又、前記ステアリングポスト9の上部をハンドルフレーム7に上部ブラケット10で連結したことを特徴とするものである。左右の各フロントフレーム部4上部には、前側に左右一対のハンドルフレーム7を立設し、この後側部にステアリングポスト9を並設して三本柱形態に構成すると共に、これら下端部はフロントフレーム部4で連結され、この上部間を上部ブラケット10で連結して、立方形態に構成する。
【0018】
更には、前記左右両側のフロントフレーム部4と、ハンドルフレーム7及びステアリングポスト9の下端部との間を、下部ブラケット11で連結したことを特徴とするものである。正面視で門形状形態のハンドルフレーム7の左右下端部8間を下部ブラケット11で連結するため、囲桁状形態に構成して、前記左右のフロントフレーム部4、及びステアリングポスト9部との相互間を連結構成の剛性を高く維持する。
【0019】
電動車は、運転席14に乗席した運転者がハンドル15を把持して操作するが、前輪12からの衝撃を受けやすく、又、これら前輪12や、フロントカバー20等を障害物等に衝突させたときは、これらのメインフレーム5のフロントフレーム部4や、ハンドルフレーム7部等の歪み変形を生じ易いものであるが、前記のように、ハンドルフレーム7のフロントフレーム部4に対する支持構成を堅固にすると共に、これらハンドルフレーム7とステアリングポスト9との間の前後間隔を狭くして、フロントフロア3部の足元部のスペースを広くして運転操作を行い易くすることができる。又、ハンドルフレーム7や、ステアリングポスト9及びこれに支持されるステアリング軸22、及び、これらを被覆するフロントカバー20等によって構成されるハンドル15支持機構部を簡単で、堅固に構成して、前方衝撃から保護することができる。
【0020】
前記シート床板27上面には左右一対のバッテリー16を着脱自在に搭載することができる。この左右の各バッテリー16は各シート床板27の左右外側から出し入れしながら、このシート床板27上面に乗せることができる。左右のシート床板27間に位置するブラケット30には、前側上部に向けて取付けボルト38を設け、この取付けボルト38にアングル形態の押え板39の中央部を嵌合させて、ナット40で締付けて固定することができる。この押え板39は、左右両側部をシート床板27上に置かれたバッテリー16の前側上部角部に嵌合させた状態でナット40で締付ける。このため、このナット40を緩めることによって押え板39をバッテリー16の角部から浮かすことができるため、この状態で押え板39を取外してしまわない状態で、バッテリー16を浮かして左右外側方、又は前方向へ移動して簡単に着脱することができる。このバッテリー16の上部にはコントロールボックス41を設けて収容するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電動車フレーム部の側面図。
【図2】その一部の正面図。
【図3】その平面図。
【図4】電動車の側面図。
【図5】その正面図。
【図6】その一部の斜視図。
【図7】そのバッテリー搭載部の側面図と、その一部の正面図。
【符号の説明】
【0022】
1 リヤフロア
2 リヤフレーム部
3 フロントフロア
4 フロントフレーム部
5 メインフレーム
6 上辺部
7 ハンドルフレーム
8 下端部
9 ステアリングポスト
10 上部ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のパイプ材を曲げ成形して、広幅のリヤフロア(1)縁に沿うリヤフレーム部(2)から狭幅のフロントフロア(3)縁に沿うフロントフレーム部(4)にわたって形成の左右一対のメインフレーム(5)と、上辺部(6)を門形状に形成のハンドルフレーム(7)とから成り、このハンドルフレーム(7)の左右下端部(8)を、該メインフレーム(5)のフロントフレーム部(4)に一体的に連結したことを特徴とする電動車フレーム。
【請求項2】
前記ハンドルフレーム(7)の下端部後側に沿ってステアリングポスト(9)を取付けたことを特徴とする請求項1に記載の電動車フレーム。
【請求項3】
前記ステアリングポスト(9)の上部をハンドルフレーム(7)に上部ブラケット(10)で連結したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の電動車フレーム。
【請求項4】
前記左右両側のフロントフレーム部(4)と、ハンドルフレーム(7)、及びステアリングポスト(9)の下端部との間を、下部ブラケット(11)で連結したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の電動車フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−285021(P2008−285021A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132232(P2007−132232)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000144980)株式会社アテックス (111)
【Fターム(参考)】