説明

電動車両の制御装置

【課題】補機バッテリの劣化の有無を正確に判定することができる電動車両の制御装置を提供する。
【解決手段】DC/DCコンバータ8の駆動を制御するコンバータ制御手段11と、コンバータ制御手段11によってDC/DCコンバータ8が所定間隔で間欠駆動されている所定期間中に補機バッテリ5の電圧が所定の閾値以下まで低下した回数をカウントする計測手段12と、計測手段12の計測結果に基づいて補機バッテリ5の劣化の有無を判定する劣化判定手段13と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に搭載された各種補機に電力を供給する補機バッテリの劣化判定を行う電動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の電動車両が多数実用化されている。このような電動車両は、走行用のモータを駆動させるための高圧の走行用バッテリと、各種補機に電力を供給するための低圧の補機バッテリとを備える。また補機バッテリは、DC/DCコンバータを介して走行用バッテリに接続され、走行用バッテリから供給される電力によって適宜充電されるようになっている。
【0003】
走行用バッテリによる補機バッテリの充電方法は様々提案されているが、例えば、DC/DCコンバータを間欠的に駆動させることで、走行用バッテリ(主蓄電装置)によって補機バッテリ(副蓄電装置)を充電するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−27774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにDC/DCコンバータを間欠的に駆動させることで、補機バッテリを効率的に充電することができ、電力消費量を抑えることもできる。しかしながら、例えば、長期の使用等によって補機バッテリの劣化が進むと、DC/DCコンバータを駆動させていない期間に、補機バッテリの電圧が急激に低下してしまい、各種補機に対して一時的に十分な電力を供給できなくなる虞がある。このような問題に対しては、例えば、特許文献1に記載されているように、補機バッテリの電圧が下限しきい値まで低下した場合にDC/DCコンバータの駆動を開始させ、補機バッテリの電圧が上限しきい値まで上昇した場合にDC/DCコンバータの駆動を停止させる方法がある。ただし補機バッテリが劣化した状態では、DC/DCコンバータの駆動と停止とを頻繁に繰り返すことになり電力消費量が増加するといった問題が生じる。また電動車両の走行中にこのような制御を実施すると、補機バッテリの劣化に気づかずにバッテリ上がりが生じてしまう虞もある。
【0006】
このため、補機バッテリの劣化の有無を正確に把握し、補機バッテリの劣化が生じている場合には適宜対策を施すことが好ましい。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、補機バッテリの劣化の有無を正確に判定することができる電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、走行用モータに電力を供給する走行用バッテリと、補機に電力を供給する補機バッテリと、前記走行用バッテリの電圧を降圧させて前記補機バッテリに出力するDC/DCコンバータと、を備える電動車両の制御装置であって、前記DC/DCコンバータの駆動を制御するコンバータ制御手段と、該コンバータ制御手段によって前記DC/DCコンバータが所定間隔で間欠駆動されている所定期間中に前記補機バッテリの電圧が所定の閾値以下まで低下した回数をカウントする計測手段と、前記計測手段の計測結果に基づいて前記補機バッテリの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、を備えることを特徴とする電動車両の制御装置にある。
【0009】
かかる第1の態様では、DC/DCコンバータを間欠駆動させた状態で、補機バッテリの劣化の有無、すなわち補機バッテリが所定の程度まで劣化が進んでいるか否か、を正確に判定することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記劣化判定手段によって前記補機バッテリの劣化有りと判定されると、前記コンバータ制御手段は、間欠駆動を停止して前記DC/DCコンバータを強制的に連続駆動させることを特徴とする第1の態様の電動車両の制御装置にある。
【0011】
かかる第2の態様では、補機バッテリが劣化している場合でも、補機バッテリの充電量の低下を抑制すると共に、各種補機に十分な電力を供給することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記コンバータ制御手段は、前記補機バッテリの電圧が所定の閾値以下まで低下する毎に前記DC/DCコンバータを強制的に一定期間だけ連続駆動させることを特徴とする第2の態様の電動車両の制御装置にある。
【0013】
かかる第3の態様では、補機バッテリを確実に回復させることができ、その後の電圧低下を抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記劣化判定手段によって前記補機バッテリの劣化有りと判定された場合に、その旨を前記電動車両のユーザに報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする第1〜3の何れか一つの態様の電動車両の制御装置にある。
【0015】
かかる第4の態様では、電動車両のユーザに対して補機バッテリの適切な交換時期を示すことができ、それに応じて補機バッテリを交換することで電力消費量を抑制でき、またバッテリ上がり等の問題も未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明の電動車両の制御装置では、補機バッテリの劣化の有無を正確に判定することができる。そして、補機バッテリの劣化有りと判定された場合に、例えば、DC/DCコンバータを強制的に連続駆動させることにより、補機バッテリを効率的に充電して各種補機に十分な電力を供給することができる。また例えば、電動車両のユーザにその旨を報知して補機バッテリの交換を促すことにより、バッテリ上がりの発生を未然に防止することもできる。このように本発明によれば、補機バッテリの劣化の有無を正確に判定することができ、補機バッテリの劣化が生じている場合には適宜対策を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る電動車両の概略構成図である。
【図2】一実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】DC/DCコンバータの間欠駆動を説明する図である。
【図4】補機バッテリの劣化無しの場合の電圧変化の一例を示す図である。
【図5】補機バッテリの劣化有りの場合の電圧変化の一例を示す図である。
【図6】一実施形態に係る劣化判定制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、電動車両の一例である電気自動車1は、走行用モータ2を備え、この走行用モータ2は減速機3を介して駆動輪に連結されている。このように電気自動車1は走行用モータ2を駆動源として走行可能に構成されている。また電気自動車1には、走行用バッテリ(二次電池)4と、補機バッテリ5とが搭載されている。走行用バッテリ4はインバータ6を介して走行用モータ2に電気的に接続されている。走行用モータ2はこの走行用バッテリ4から供給される電力によって駆動される。補機バッテリ5は、各種補機(12V系のコンポ)7に接続されており、これら各種補機7に対して電力を供給する。また補機バッテリ5は、DC/DCコンバータ8を介してインバータ6に接続されている。すなわち補機バッテリ5は、DC/DCコンバータ8及びインバータ6を介して走行用バッテリ4に接続されている。そして電気自動車1の走行中などの所定のタイミングで走行用バッテリ4から補機バッテリ5に電力が供給され、この電力によって補機バッテリ5が充電されるようになっている。
【0019】
具体的には、DC/DCコンバータ8の駆動が電気自動車1に備えられた制御装置10によって適宜制御されることで、走行用バッテリ4の電力が所定のタイミングで補機バッテリ5に供給される。なお各種補機7も補機バッテリ5と同様にDC/DCコンバータ8及びインバータ6を介して走行用バッテリ4に接続されている。そして走行用バッテリ4から補機バッテリ5に電力が供給される際には、各種補機7にも走行用バッテリ4から電力が供給される。
【0020】
制御装置10は、図2に示すように、コンバータ制御手段11と、計測手段12と、劣化判定手段13とを備える制御部14と、例えば、補機バッテリ5に設けられた電圧センサ等で構成され補機バッテリ5の電圧を検出する検出手段15と、を備える。
【0021】
コンバータ制御手段11は、DC/DCコンバータ8の駆動を適宜制御する。例えば、通常時は、コンバータ制御手段11は、DC/DCコンバータ8を所定間隔で間欠駆動させる。この間欠駆動実施時には、例えば、図3に示すように、DC/DCコンバータ8をONにする期間(A秒間)と、DC/DCコンバータ8をOFFにする期間(B秒間)とが交互に繰り返される。そしてDC/DCコンバータ8がONの期間は、補機バッテリ5及び各種補機7に対して走行用バッテリ4から電力が供給され、DC/DCコンバータ8がOFFの期間は、走行用バッテリ4から補機バッテリ5及び各種補機7への電力供給は停止され、補機バッテリ5から各種補機7に対して電力が供給される。
【0022】
計測手段12は、このようにコンバータ制御手段11によってDC/DCコンバータ8の間欠駆動が実施されている所定期間に、検出手段15の検出結果に基づいて、補機バッテリ5の電圧が所定の閾値以下まで低下した回数をカウントする。具体的には、DC/DCコンバータ8がOFFの期間(B秒間)で補機バッテリ5の電圧が閾値以下になった場合を1回として、所定期間内でその回数Cをカウントする。本実施形態では、図4及び図5に示すように、DC/DCコンバータ8がONの期間に所定値Va付近まで上昇した補機バッテリ5の電圧が、DC/DCコンバータ8がOFFの期間に閾値Vm以下まで低下した場合を1回として、所定期間T1内でこの回数Cをカウントする。例えば、図4の場合、所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になった回数は2(C=2)となり、図5の場合、回数は3(C=3)となる。
【0023】
ここで、DC/DCコンバータ8を間欠駆動させていると、補機バッテリ5の充電量が徐々に減少するため、それに伴ってDC/DCコンバータ8のON期間(A秒間)における補機バッテリ5の電圧の減少量も徐々に増加する(図4参照)。このためDC/DCコンバータ8を間欠駆動させていると所定のタイミングで補機バッテリ5の電圧は閾値Vm以下まで低下してしまう。
【0024】
このため本実施形態では、計測手段12によって回数Cがカウントされた場合、つまり補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になった場合に、コンバータ制御手段11が、DC/DCコンバータ8の間欠駆動を一時的に中止し、所定期間T2だけDC/DCコンバータ8を強制的に連続駆動させた後、間欠駆動を再開させるようにしている(図4及び図5参照)。このようにDC/DCコンバータ8を所定期間T2だけ強制駆動させることで、その間に走行用バッテリ4から補機バッテリ5に十分な電力が供給される。したがって補機バッテリ5の劣化が少なければ、減少していた補機バッテリ5の充電量は十分に上昇する。なおDC/DCコンバータ8を連続駆動させる期間T2の長さは、特に限定されず、補機バッテリ5の特性等に基づいて適宜決定されればよい。
【0025】
劣化判定手段13は、計測手段12の計測結果に基づいて補機バッテリ5の劣化の有無、すなわち補機バッテリ5の劣化が所定の程度よりも進んでいるか否か、を判定する。具体的には、劣化判定手段13は、計測手段12がカウントした回数Cが規定回数n以上(本実施形態では3以上)である場合、つまり所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になった回数Cが規定回数n以上(本実施形態では3以上)である場合に、補機バッテリ5の「劣化有り」と判定する。
【0026】
そして本実施形態では、劣化判定手段13によって補機バッテリ5の「劣化有り」と判定された場合には、コンバータ制御手段11が、DC/DCコンバータ8の間欠駆動を中止して、その後はDC/DCコンバータ8を連続駆動させている(図5参照)。
【0027】
ところで、DC/DCコンバータ8を間欠駆動させていると上述したように補機バッテリ5の電圧は徐々に閾値Vm以下まで低下してしまう。また補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下まで低下する理由としては、例えば、補機7による電力消費量の一時的な増加等も考えられるが、補機バッテリ5の劣化もその一つとして挙げられる。
【0028】
本実施形態では、上述したように補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になった場合に、DC/DCコンバータ8を所定期間T2だけ強制駆動させ、補機バッテリ5を充電するようにしている。ただし補機バッテリ5の劣化が進むと、所定期間T2内には補機バッテリ5の充電量が十分に回復しなくなる。このため、その後の間欠駆動時に補機バッテリ5の電圧が低下し易くなってしまう。つまり補機バッテリ5の劣化に伴って、所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になる回数Cは増加することになる。
【0029】
例えば、補機バッテリ5の劣化が少ない状態では、図4に示すように、DC/DCコンバータ8の間欠駆動が複数回繰り返された後、補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下まで低下する。その後所定期間T2だけDC/DCコンバータ8が強制駆動された後、間欠駆動が再開される。補機バッテリ5の劣化が少ない状態では、DC/DCコンバータ8の強制駆動により補機バッテリ5の充電量が十分に回復するため、その後に実施される間欠駆動の期間が比較的長くなる。したがって所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下まで低下する回数Cは少ない。一方、補機バッテリ5が劣化している場合、補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下まで低下し、DC/DCコンバータ8が強制駆動されても、補機バッテリ5の充電量が十分に回復しない。このため、DC/DCコンバータ8の間欠駆動が再開されると、直後に、補機バッテリ5の電圧は閾値Vm以下まで低下してしまう。したがって補機バッテリ5が劣化している状態では、DC/DCコンバータ8の間欠駆動が実施される期間は極めて短くなり、所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下となる回数Cも増加してしまう。
【0030】
以上のように所定期間T1内に補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下となる回数Cは、補機バッテリ5の劣化に伴って増加する。したがって、計測手段12によってカウントされた回数Cに基づいて判定することで、補機バッテリ5の劣化の有無を正確に判定することができる。
【0031】
また本実施形態では、上述のように劣化判定手段13によって補機バッテリ5の「劣化有り」と判定された場合に、コンバータ制御手段11がDC/DCコンバータ8の間欠駆動を中止して、DC/DCコンバータ8を連続駆動させるようにしている。これにより、補機バッテリ5が劣化している場合でも、補機バッテリ5の充電量の低下を抑制すると共に、各種補機7に十分な電力を供給することができる。
【0032】
なお、補機バッテリ5の電圧が所定閾値Vm以下になる回数Cをカウントする所定期間T1の長さ、また劣化の有無の判定の基準となる規定回数nは、補機バッテリ5の特性等を考慮して適宜決定されればよい。
【0033】
以下、本実施形態に係る電動車両の制御装置による補機バッテリの劣化判定制御の一例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
電気自動車1のイグニッションキーがONにされ、コンバータ制御手段11によってDC/DCコンバータ8の間欠駆動が開始されると、まずステップS1で所定期間T1、T2及び回数Cの値の全てがリセットされる。なお上述したように、回数Cは補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下になった回数であり、所定期間T1とはこの回数Cをカウントする期間であり、所定期間T2とはDC/DCコンバータ8を強制的に連続駆動させて補機バッテリ5を充電する期間である。
【0035】
次にステップS2で、補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下であるか否かが判定される。補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下であると判定された場合には(ステップS2:Yes)、ステップS3でDC/DCコンバータ8の強制駆動がONとなる。すなわちコンバータ制御手段11がDC/DCコンバータ8の間欠駆動を一時的に中止させて、DC/DCコンバータ8を所定期間T2だけ強制的に連続駆動させる。
【0036】
このようにコンバータ制御手段11によってDC/DCコンバータ8の強制駆動が実施された際、所定期間T1の計測が開始されていない場合、すなわちステップS4でT1=0である場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5で計測手段12によって所定期間T1の計測がスタートされる。一方、既に所定期間T1の計測が開始されている場合、すなわちステップS4でT1=0でない場合には(ステップS4:No)、ステップS6に進む。次いでステップS6では、計測手段12によって、DC/DCコンバータ8の強制駆動の期間T2の計測が開始されると共に、補機バッテリ5の電圧が閾値Vm以下となった回数Cがカウントされる。
【0037】
次にステップS7で、劣化判定手段13が、計測手段12がカウントした回数Cが規定回数n以上(本実施形態では3以上)であるか否かを判定する。ここで、回数Cが規定回数n以上でない場合には(ステップS7:No)、劣化判定手段13は補機バッテリ5について「劣化無し」と判定する。
【0038】
この場合には、所定期間T2が経過した時点で(ステップS8:Yes)、DC/DCコンバータ8の強制駆動がOFFとなる(ステップS9)。すなわちコンバータ制御手段11によってDC/DCコンバータ8の強制駆動を中止され、DC/DCコンバータ8の間欠駆動が再開される。その後は、所定期間T2がリセットされ(ステップS10)、所定期間T1が経過していない場合には(ステップS11:No)、ステップS2に戻る。ステップS11で所定期間T1が経過している場合には(ステップS11:Yes)、ステップS12に進み、イグニッションキーがOFFである等の終了条件が成立した場合には(ステップS12:Yes)、一連の制御を終了し、成立していない場合には(ステップS12:No)、ステップS1に戻り上述した補機バッテリ5の劣化判定制御を繰り返し実施する。
【0039】
このように補機バッテリ5の劣化判定制御が繰り返し実施され、ステップS7で計測手段12によって計測された回数Cが規定回数n以上となった場合には(ステップS7:Yes)、ステップS13に進み、所定期間T1中であるか否かが判定される。ここで所定期間T1が既に経過している場合には(ステップS13:No)、劣化判定手段13によって補機バッテリ5の「劣化無し」と判定され、ステップS8に進む。一方、所定期間T1中である場合には(ステップS13:Yes)、ステップS14で補機バッテリ劣化判定信号がONとなる。つまり劣化判定手段13によって、補機バッテリ5の「劣化有り」と判定される。そしてステップS15で間欠駆動禁止信号がONとなり、コンバータ制御手段11は、所定期間T2が経過した後も間欠駆動を再開させることなく、DC/DCコンバータ8の強制駆動を継続する。その後、イグニッションキーがOFFである等の終了条件が成立した時点で(ステップS16:Yes)、一連の制御を終了する。
【0040】
以上説明したように、本発明に係る電気自動車1の制御装置10によれば、補機バッテリ5の劣化の有無を極めて正確に判定することができる。そして本実施形態では、この判定に基づいて、補機バッテリ5が劣化している場合にはDC/DCコンバータ8の間欠駆動を中止し、DC/DCコンバータ8を連続駆動させるようにしている。これにより、補機バッテリ5が劣化している場合でも、補機バッテリ5の充電量の低下を抑制すると共に、各種補機7に十分な電力を供給することができる。
【0041】
さらに、制御装置10は、劣化判定手段13によって補機バッテリ5の「劣化有り」と判定された場合には、例えば、画像や音声等によって、その旨を電気自動車1のユーザに報知する報知手段をさらに備えるようにしてもよい。これにより、ユーザに対して、劣化した補機バッテリ5の適切な交換時期を示して、補機バッテリ5の交換を促すことができる。ユーザが、それに応じて補機バッテリを交換することで、電力消費量を抑制することができ、またバッテリ上がり等の問題も未然に防止することができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、上述の実施形態では、補機バッテリ5の電圧が所定の閾値Vm以下になった場合に、DC/DCコンバータ8の間欠駆動を一時的に中止し、所定期間T2だけDC/DCコンバータ8を強制的に連続駆動させるようにしているが、この所定期間T2の強制駆動は必ずしも実施しなくてもよい。
【0044】
また例えば、上述の実施形態では、電動車両の一例として走行用モータを備える電気自動車を一例として本発明を説明したが、勿論、本発明は、走行用バッテリと補機バッテリとを備えるあらゆる電動車両に適用することができ、例えば、走行用モータと共にエンジン(内燃機関)を備えるハイブリッド自動車等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電気自動車
2 走行用モータ
3 減速機
4 走行用バッテリ
5 補機バッテリ
6 インバータ
7 補機
8 DC/DCコンバータ
10 制御装置
11 コンバータ制御手段
12 計測手段
13 劣化判定手段
14 制御部
15 検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用モータに電力を供給する走行用バッテリと、
補機に電力を供給する補機バッテリと、
前記走行用バッテリの電圧を降圧させて前記補機バッテリに出力するDC/DCコンバータと、を備える電動車両の制御装置であって、
前記DC/DCコンバータの駆動を制御するコンバータ制御手段と、
該コンバータ制御手段によって前記DC/DCコンバータが所定間隔で間欠駆動されている所定期間中に前記補機バッテリの電圧が所定の閾値以下まで低下した回数をカウントする計測手段と、
前記計測手段の計測結果に基づいて前記補機バッテリの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
を備えることを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項2】
前記劣化判定手段によって前記補機バッテリの劣化有りと判定されると、前記コンバータ制御手段は、間欠駆動を停止して前記DC/DCコンバータを強制的に連続駆動させることを特徴とする請求項1に記載の電動車両の制御装置。
【請求項3】
前記コンバータ制御手段は、前記補機バッテリの電圧が所定の閾値以下まで低下する毎に前記DC/DCコンバータを強制的に一定期間だけ連続駆動させることを特徴とする請求項2に記載の電動車両の制御装置。
【請求項4】
前記劣化判定手段によって前記補機バッテリの劣化有りと判定された場合に、その旨を前記電動車両のユーザに報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電動車両の制御装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−80684(P2012−80684A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224181(P2010−224181)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】