電動車椅子用の障害物乗越装置
各横側面でn個(n≧3)の車輪(3a、3b、3c)につながれるシャーシ(2)と、車輪(3a、3b、3c)を回転させるのに適した駆動手段(5)とから成る、モータ付き乗り物用の障害物乗越装置。この装置は、シャーシ(2)の各横側面に、一つの機械装置があり、該機械装置が、共通回転軸の周りに二つずつ連結されるn−1個のアーム(7a、7b)を有し、該連結アーム上にn個の車輪(3a、3b、3c)が分配され、それらがそれぞれに一つの前輪(3a)、n−2個の中輪(3b)、そして一つの後輪(3c)であり、前記機械装置により、各車輪がそれぞれの隣接車輪の軸に対して回転することが可能となる、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの付いた乗り物用の障害物乗越装置に関するものである。
【0002】
モータ付き乗り物とは、ロボットや車椅子などのタイプの、単独で移動することを目的とするあらゆる乗り物を意味する。
【0003】
本明細書の指針となろう例として、モータ付き乗り物は、より特徴的には車椅子に関するものになるであろう。
【0004】
この障害物乗越装置は、車椅子を日常生活で室内外において利用する、動きの制限された人々(障害者や高齢者)の移動に関する、現在の諸問題に応えるものである。
【背景技術】
【0005】
現在社会では、障害を持つ人々を考慮に入れることは、都市計画案、住居の適応性、道路や公共あるいは民間の交通機関の利用において、最優先の基軸となる。
【0006】
利用し易いことが、社会的、教育的、および職業的な同化への条件となる。可動性と移動が、日常生活および長期的な生活の質を保証するものとなる。
【0007】
移動の自由が現実となるためには、移動工程の全体が、各個人特有の要求に応えるものでなくてはならない。
【0008】
この移動工程の第一構成要素は、議論の余地なく車椅子であって、該車椅子は、可動性に対する技術的援助となるもので、平らな地表面上で人を難なく運ぶことを可能にする。
【0009】
都市計画案は実施におよそ数年と時間がかかるため、車椅子は都市、道路、住居などの現在の状態に適応しなければならない。
【0010】
ところが、例えば、道路には多くの歩道があり、商店には大抵ステップがあり、住居には部屋と部屋の高さに時々違いがある。車椅子はこれらの障害物を乗り越えることが出来なければならない。
【0011】
このために多くの解決案が提案された。そのうちの一つとして、六輪技術を持つ車椅子が市場に存在する。該車椅子は優れた操縦性と優れた安定性をもつが、しかし障害物の乗り越えは、低い高さ(7.5cm未満)で、しかも前輪を持ち上げるためにテコの効果をもたらす歩道上りオプション付きの場合のみに限られる。
【0012】
四輪駆動タイプの別の車椅子が存在し、あらゆるタイプの地表(草、砂利、小石)の上で走行すること、そして15cmまでの障害物を乗り越えることを可能にしている。これらの車椅子の主な不都合は、一方では、室内での車椅子の利用を妨げる車椅子の大きなサイズにあり、また他方では車椅子の安定性の欠如にある、というのも障害物を乗り越える際に前方または後方に転倒する危険性があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、高さ20cmまでの障害物を、しかも前方のあらゆるピッチ角で、転倒の危険性なく乗り越えることができる小型の電動車椅子を提案することによってこれらの不都合を改善するものであり、こうして、とりわけ、小さな障害物を気に掛けにくい利用者にとっての操作を、より楽にする。
【0014】
この車椅子の別の利点は、車椅子が、田舎で草、砂利、小石の中を動き回るだけでなく、雪そして砂の中でも動き回ることを可能にするということにある。
【0015】
別の利点が、以下の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このために、本車椅子は、以下から成る障害物乗越装置を備えている:
−各横側面でn個(n≧3)の車輪につながれるシャーシ;
−車輪を回転させるのに適した駆動手段。
【0017】
シャーシの各横側面に、n−1個の連結したアームを含む機械装置があり、該連結したアームの上にn個の車輪が分配されるが、該n個の車輪とは、それぞれ前輪一つ、n−2個の中輪、そして後輪一つである。連結アーム付機械装置は、各車輪が、それぞれの隣接車輪の軸に対して回転することを可能にする。
【0018】
言葉を換えれば、この装置には次の特徴がある:二つの隣接車輪の間の距離は、隣接車輪間のあらゆる衝突を回避するために、常に不変である。車輪は、障害物に遭遇すると、互いに独立して上に動くことができる。具体的には、車椅子が歩道に直面すると、二つの前輪がまず初めに歩道を乗り越えに行くが、一方その他の車輪は地面と接触したままである。ついで、次の二つの車輪が歩道に直面して歩道を乗り越えることになるが、その他の車輪は地面と接触したままであり、以降同様である。ついに、二つの後輪が歩道を乗り越えることになるが、前輪は地面に置かれたままである。絶えず、車椅子には、車椅子に安定性を与える平面を定義するように、三つ以上のてこの支点がある。
【0019】
本発明によると、アームは、中輪の回転軸に相当する共通軸の周りに二つずつ連結される。
【0020】
車椅子のシートの下に位置する駆動手段は、駆動軸によって、機械装置の連結アームのうちの一つにつながれる。この駆動軸は、駆動軸と車輪の他の軸との間に配置される伝達手段を介して、車輪を回転に導く。
【0021】
好ましくは、駆動手段は、少なくとも二つのモータから成り、該少なくとも二つのモータは、車椅子の下、垂直の様相の中央横断平面の両側に配置される。モータのうちの一つが左側面の車輪に電力を供給し、そしてもう一つのモータが右側面の車輪に電力を供給する。上述のように、各モータは、駆動軸によって、機械装置の連結したアームのうちの一つに、それぞれの側でつながれる。
【0022】
別の可能性によると、駆動手段は、車輪の軸に直接取り付けられることができるかもしれないし、あるいはまた車輪の中に直接組み込まれることができるかもしれない。
【0023】
左側面の車輪に、右側面の車輪とは独立して電力が供給されることで、車椅子に、車椅子自体が360℃回転することを許可する。この機能により、動きが大いに容易になることから、車椅子の利用者にかなった利点が得られる。例えば、Uターンするのに十分な、バックするための距離や、最小回転半径はもはや必要ない。おおむね、回転の際に、車椅子の占める面積は、車椅子の外側寸法を越えない。この車椅子は、このように、とりわけ認識障害を患い、また手の届く範囲に手動電気制御装置をもつ利用者にとって、利用がより容易である。
【0024】
一つの可能性によると、車椅子のシャーシは、二つのシャフトを介して各連結アーム付機械装置につながるが、シャフトのうちの一つは、アームが水平面で一列に並んでいないときに、これらの二つのシャフト間での距離の変化を補うことに適している。すなわち、障害物を越える際に、車輪は一列には並ばない、そこで連結アームは、その結果回転して、二つのシャフトを近づけるに至る角を形成する。ところが、シャーシは固定寸法であり、これら二つのシャフトにつながっている。したがって、シャーシのあらゆる変形さらに破砕を回避するために、障害物を越える際に、連結アームを固定するシャフトの軸間距離の、これら同じシャフトをシャーシに固定する軸間距離に対する変更を、補えることが必要不可欠である。
【0025】
第一の変形例によると、この条件は、クランク軸タイプのシャフトによって満たされることができるが、該クランク軸タイプのシャフトは、互いに位置がずれた二つの円筒形断片から成るものである。このずれが、車輪が一列に並んでいないとき、二つのシャフト間の距離の変化を補う。
【0026】
第二の変形例によると、クランク軸タイプのシャフトは、連結アームにつながれる第一のシャフト断片と、シャーシにつながれる第二のシャフト断片とから成ることができ、二つのシャフト断片は、間が連接棒によって連結される。
【0027】
第三の変形例によると、この条件は、二つの止め金具間を水平面でスライドするシャフトによって満たされることができるが、該二つの止め金具は、二つのシャフト間で許可される最大と最小の距離を定義するものである。このスライドシャフトは、連結アームのところあるいはシャーシのところで、二つのシャフト間の距離を変えることを可能にする。例えば、このスライドシャフトは、連結アームの中にこのために準備される水平の割れ目の中か、あるいはシャーシにこのために準備される水平の割れ目の中にはめ込むことができよう。
【0028】
上述のように、本発明の主な利点のうちの一つは、その安定性である。その安定性は、前方および/あるいは後方への転倒防止装置によって増大する。
【0029】
すなわち、下り坂の下方へ移動する際、車椅子は、前方に傾く傾向があり、それによって後ろから重みが取り除かれるであろう。そのとき、後輪が、後輪の前に置かれる車輪に対して、独りで持ち上がってしまうことを妨げることが適切である。この転倒防止装置がないと、シャーシは、後輪を持ち上げながら前方に転倒して、利用者にとって危険な状況を引き起こしかねない。坂の上りの際も状況は同様であり、前輪が持ち上がってしまう危険性がある。
【0030】
このために、本発明による前方および/あるいは後方への転倒防止装置は、本乗り物の各横側面に、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に少なくとも一つの連結アームの回転を止める手段を含む。
【0031】
より正確には、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に連結アームの回転を止める前記手段は、後部アームと前部アームの回転をそれぞれ止める一つの歯止めから成るが、該歯止めは、二重のリンケージによって該アームにつながっており、該二重のリンケージは、シャーシと連結アームとの間の距離の変化を歯止めの移動に変えるものであり、その結果、歯止めの端のうちの一つが、前記止め手段の刻み目のついた縁と協働して、前記回転を止める。
【0032】
実際には、二つのリンケージはそれぞれ一つのナックル継手からなるが、該ナックル継手の、歯止めの遠位副連接棒は、それぞれ前部アームあるいは後部アームによって導かれ、また該ナックル継手の、歯止めの近位副連接棒は、周りを歯止めが回転するジャーナルを有する副連接棒の両端に連結され、該歯止めの一端はシャーシに連結され、各ナックル継手の副連結棒のうちの一つもまたシャーシに連結される。
【0033】
転倒防止に加えて、障害物乗越装置は、乗り物の後部の乗越補助装置によって改善される。この追加の補助装置は、乗り物の各横側面で、乗り物の後部に置かれる転倒防止キャスターを有しており、該キャスターは、シャーシと副連接棒に連結されるロッドの一端に固定されるが、該副連接棒は、シャーシを制動手段につなぐものである。この副連接棒は、ナックル継手に回転によってつながれるが、該ナックル継手の、制動手段の遠位副連接棒は、一方ではシャーシに、後部アームの中心軸と同じ高さのところで、また他方では前記後部アームにその中心軸のところで連結される。
【0034】
具体的には、この乗越補助装置は、連結アームの回転をキャスターの位置に反映させるが、該キャスターは、平らな地面の上を走行する際は地面に対して持ち上がった位置に保持され、また後輪の障害物乗り越えの際は地面に押し付けられる。
【0035】
有利には、制動手段は、ジャッキタイプあるいは軸に沿ったばね式のショックアブソーバータイプの、長さが可変の連接棒から成るが、該連接棒は、枢動できるようにシャーシに取り付けられ、キャスターが地面に押し付けられる際に弾力的に押し込まれるのに適しているものである。これらの制動手段は、後輪が障害物を乗り越える際に後輪によって支えられる重みの一部を吸収することを目的とする。ジャッキ/ショックアブソーバーは、平地を走行する際は緩められ、障害物乗り越えの際は押し込まれる。
【0036】
本発明によると、障害物乗越装置を備える車椅子は、室内優位の、つまり扉の通過や交通機関などに適合した、標準の電動車椅子の寸法を越えることはない。
【0037】
可能な形態によると、少なくとも一続きの車輪は、好ましくは前部あるいは後部に、車輪の回転軸に向かって弾力性のある高い薄板を備えることができる。この形態は、タイヤを削ってしまう、とりわけ車椅子それ自体の回転によって招かれるタイヤの時期尚早の損耗を、回避することを可能にする。このタイプの車輪は、高さのある薄板が雪や砂の中でのより楽な走行のためにギザギザのついた靴底のように作用することができることから、追加の利点がある。
【0038】
別の可能な形態によると、少なくとも一続きの車輪は、好ましくは前部あるいは後部に、全方向性の車輪を備えることができる。この形態は、車椅子それ自体が回転する際のタイヤのあらゆる時期尚早の損耗を回避することを可能にし、しかも該形態は該回転を容易にする。
【0039】
障害物の乗り越えをさらに柔軟に且つ容易にするために、例えばスパイクタイプの凹凸のあるタイヤを用いた追加の車輪が、二つの隣接車輪の間に、既に存在する車輪に対して側面に引っ込んだ状態で、付加されることが可能である。これらの追加の車輪は、特に、車椅子が階段を上ることを可能にする。
【0040】
不規則な地面に対する車輪の付着表面にかかる可能性のある応力や障害物通過の際にかかる可能性のある応力を最小にするために、少なくとも一つの車輪が、回転のしなやかなハブ、すなわちその回転軸のところにバネ作用を伴うハブ、および/あるいはフリーホイールハブ、すなわち車輪が一方向のみに導かれるハブ、に取り付けられることが可能である。
【0041】
別のオプションとして、この車椅子は、車椅子のある場所がどこであるにせよシートが常に水平位置に位置決めされたままであるように、水平センサーを備えた上下に動くシートが装備される可能性もある。この上下に動くシートは、乗客の快適さを著しく向上させる。
【0042】
最後の利点によると、障害物乗越装置を備えたこの車椅子は、分解可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、今度は、可能な形態にしたがって、以下のような付属の図面を参照して、より詳細に説明されることになる:
−図1は、平地での車椅子を示す、非常に簡略な側面図である;
−図2は、A−Aを断面とする、車椅子の部分的な図を示している;
−図3は、連結アーム付機械装置の拡大図を示しており、シャーシ側で、保護カバーのないものである;
−図4は、連結アーム付機械装置の拡大図を示しており、シャーシ側で、保護カバー付きのものである;
−図5は、連結アーム付機械装置の斜視図であって、車輪が備わっており、またシャーシにつながる二つのシャフトが見えている;
−図6は、伝達手段の可能な形態を示している;
−図7aは、転倒防止装置を備えた車椅子を概略的に示している;
−図7bから図7eは、前方および後方への転倒リスクを示している;
−図8aおよび図8bは、障害物乗越補助装置が備わった車椅子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を参照すると、本発明の障害物乗越装置は、上に車椅子(1)が固定されるシャーシ(2)と、シャーシ(2)の各横側面に一列に並んだ三つの車輪(3a、3b、3c)と、三つの車輪(3a、3b、3c)が整列して並べられる二つの連結アーム(7a、7b)を含む機械装置とから成る。
【0045】
前輪(3a)は、第一連結アーム(7a)の前部に位置決めされ、中輪(3b)は、二つのアーム(7a、7b)の間の関節部のところに位置決めされ、そして後輪(3c)は、第二連結アーム(7b)の後部に位置決めされる。二つのアーム(7a、7b)は、このように、中輪(3b)の軸(6)に相当する共通軸の周りに連結される。
【0046】
二つのアーム(7a、7b)の間の関節部は、したがってピボット連結である。ピボット連結は、前輪(3a)と後輪(3c)が、中輪(3b)の軸(6)を中心にして回転することを可能にする。三つの車輪(3a、3b、3c)は、このように、障害物乗り越えの際に、お互いに独立して上がり下がりすることができる。
【0047】
図2は、車椅子(1)の土台の下に位置する電気システムの一部を明かすものである。そこには、バッテリーパック(4)があり、該バッテリーパックは、各横側面で、モータ(5)と駆動軸(8)とを介して連結アーム(7a、7b)付機械装置の前部に、そしてずれて取り付けられるクランク軸タイプの軸(12)によって機械装置の後部に、つながれる。バッテリーパック(4)は、それ自体が車椅子のシャーシ(2)に固定される。クランク軸の軸(12)は、二つのシャフト(12a、12b)に分解されるが、該二つのシャフトの回転軸は互いに少しずれており、第一のシャフト(12a)は、バッテリーパック(4)と連動しており、一方第二のシャフト(12b)は、連結アーム(7b)と連動している。
【0048】
図6に示されるように、駆動軸(8)は、三つの伝達チェーンあるいは伝達ベルト(9a、9b、9c)を介して、整列した三つの車輪(3a、3b、3c)を回転に導くが、該三つの伝達チェーンあるいは伝達ベルトは、それぞれ、駆動軸(8)と前輪の軸(10)との間、駆動軸(8)と中輪の軸(6)との間、そして中輪の軸(6)と後輪の軸(11)との間に、配置される。駆動手段は、左側面の車輪と右側面の車輪には別個に、車輪(3a、3b、3c)に回転の動きを伝える。手動電気制御装置のおかげで、利用者は、例えば、車椅子それ自体の回転を制御するために、左車輪を右車輪と反対の方向に回転させようと決めることができよう。利用者はまた、右車輪を左車輪より速く回転させるようにモータを制御することによって、あるいは左車輪を右車輪より速く回転させるようにモータを制御することによって、巧みにロングカーブを切ることもできるであろう。
【0049】
図3から図5により、連結アーム(7a、7b)付機械装置の可能な形態をより詳細に観察することができる。
【0050】
この機械装置は、ピボット連結によって連結した二つのアーム(7a、7b)から成る。各連結アーム(7a、7b)は、細長い形の加工部品に相当し、該加工部品は、中心の関節部のところで厚みが減少する部分(13)をもち、また中心および各端に分配される三つの孔(14a、14b、14c)を含む。これらの孔は、軸受を受け入れるのに適しており、該軸受の中に、駆動軸(8)か、クランク軸タイプの軸(12)か、あるいは車輪の軸(10あるいは6あるいは11)が挿入される。連結アーム(7a、7b)は、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)で一定の厚みの機械装置を形成するように、部分(13)のところで重なり合う。この厚みを越えることなく、突出部(22)が、伝達チェーン(9a、9b、9c)の通過を導くために車輪側アーム面に準備される。
【0051】
図7aは、転倒防止装置を示している。転倒防止装置は、車椅子(1)の各横側面に設置される。
【0052】
この装置は、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)の回転を止めるための歯止め(16)を有しており、歯止めは、該前部アームと該後部アームに、二重のリンケージによってつながれる。この歯止め(16)は、前部アーム(7a)の後部にある刻み目のついた縁(17)と協働する。歯止め(16)は、まっすぐな様相の副連接棒から成り、該副連接棒は、シャフト(35)によってシャーシ(2)に連結され、また刻み目のついた縁(17)の方に向けられる先端(18)で終わるものであり、先端(18)の形状は、刻み目のうちの一つに入り込むように準備される。
【0053】
各リンケージは、ナックル継手から成り、該ナックル継手は、シャフト(36、37)のところでシャーシ(2)に連結されるL金物の形状の副連接棒(19、22)と、まっすぐな副連接棒(20、23)とから成る。歯止め(16)の遠位副連接棒(19、23)は、それぞれ、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)の中心軸(14b)に対して連結される。歯止め(16)の近位副連接棒(20、22)については、まっすぐな連接棒(21)の両端(38、39)に連結されるが、該連接棒は周りを歯止め(16)が回転するジャーナル(24)を有する。
【0054】
シャーシ(2)に属する止め金具(25、26)は、遠位連接棒(19、23)の上の方への動きを抑える。
【0055】
図7cで示されるように、車椅子(1)が前方に傾くとき、シャーシ(2)の後部は持ち上がり、それから止め金具(26)は副連接棒(23)から遠ざかり、いわんや後部アーム(7b)から遠ざかる。シャーシ(2)と後部アーム(7b)の間のこの距離の変化は、連接棒(21)次いで歯止め(16)を回転させるナックル継手の上下運動を導き、先端(18)が刻み目の中に入り込むことを可能にし、連結アームをシャーシ(2)に保持するための軸(14b)に関し、連結アーム(7b)のあらゆる回転を止める。
【0056】
すなわち、シャーシ(2)の後部が持ち上がる際、シャーシの後部は、後部アーム(7b)と後輪(3c)を上の方に引っ張る傾向がある。ところが後部アームと後輪は、それらの重みにより、力を地面の方向に掛ける傾向がある。
【0057】
万一にも後輪(3c)が地面から少し離れることになったら、そのときリンケージは、中心の車輪(3c)の軸(14c)のところで連結アーム(7a、7b)の回転を止め、後輪(3c)のあらゆる余分な動きを防ぎ、そして車椅子(1)のあらゆる転倒リスクを防ぐ。
【0058】
車椅子(1)が後方に傾いて前輪(3a)を持ち上げようとする傾向があるときも、作動は同様であり、図7eに示される通りである。
【0059】
図7bおよび7dは、転倒防止装置のない車椅子を示している。この場合、後輪あるいは前輪は、完全に持ち上がって、車椅子の転倒を引き起こす。
【0060】
図8aおよび8bは、障害物乗越補助装置を備えた車椅子を示している。
【0061】
図8aでは、装置は、平地での車椅子の走行の際の、初期位置である。図8bでは、補助装置が作用しており、車椅子の後輪が障害物を乗り越えようとしている。
【0062】
この乗越補助装置は、車椅子(1)の各横側面に設置される。
【0063】
具体的には、この乗越補助装置は、転倒防止キャスター(27)を有しており、該転倒防止キャスターは、車椅子(1)の後部に置かれて、ロッド(28)の第一の端に固定されるものであり、その第二の端(34)は、シャーシ(2)に連結される。肘形に曲がった副連接棒(29)は、このロッド(28)を、シャーシ(2)に連結する軸に沿ったばね式ショックアブソーバー(30)と、ナックル継手とに、同時に回転によってつなげるが、該ナックル継手は、肘形に曲がった副連接棒(29)の遠位のその端(33)のところでシャーシ(2)に連結されつつ後部アーム(7b)とつながっているものである。より正確には、ナックル継手は、後部アーム(7b)の中心軸(14b)のところでお互いに連結した二つのまっすぐな副連接棒(31、32)から成る。
【0064】
車椅子が平らな地表上で走行する際、図8で示されるように、転倒防止キャスターは、地面より高くなった位置で保持され、ショックアブソーバー(30)は減圧される。
【0065】
障害物を乗り越えながら、車椅子(1)は、必然的に後方に傾き、そしてキャスター(27)はそのとき地面に接触するようになる。同時に、アーム(7a、7b)はもはや整列しておらずに角度を成し、そして後部アーム(7b)の中心軸(14b)の、シャーシ(2)に対する位置は変わる。この位置の変化は、端(33)を中心にした副連接棒(32)の回転となって現れる。ナックル継手のこの回転は、肘形に曲がった副連接棒(29)の、シャーシ(2)の方への接近を導き、この距離の減少は、ショックアブソーバー(30)の圧縮によって補われるが、該ショックアブソーバーは、後輪(3c)に掛けられる重さの一部を、地面に押し付けられたキャスター(27)に移し、こうして障害物の乗り越えを容易にするものである。
【符号の説明】
【0066】
1 車椅子
2 シャーシ
3 車輪
6 軸
7 連結アーム
19 副連接棒
20 副連接棒
21 連接棒
22 副連接棒
23 副連接棒
27 転倒防止キャスター
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8a】
【図8b】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの付いた乗り物用の障害物乗越装置に関するものである。
【0002】
モータ付き乗り物とは、ロボットや車椅子などのタイプの、単独で移動することを目的とするあらゆる乗り物を意味する。
【0003】
本明細書の指針となろう例として、モータ付き乗り物は、より特徴的には車椅子に関するものになるであろう。
【0004】
この障害物乗越装置は、車椅子を日常生活で室内外において利用する、動きの制限された人々(障害者や高齢者)の移動に関する、現在の諸問題に応えるものである。
【背景技術】
【0005】
現在社会では、障害を持つ人々を考慮に入れることは、都市計画案、住居の適応性、道路や公共あるいは民間の交通機関の利用において、最優先の基軸となる。
【0006】
利用し易いことが、社会的、教育的、および職業的な同化への条件となる。可動性と移動が、日常生活および長期的な生活の質を保証するものとなる。
【0007】
移動の自由が現実となるためには、移動工程の全体が、各個人特有の要求に応えるものでなくてはならない。
【0008】
この移動工程の第一構成要素は、議論の余地なく車椅子であって、該車椅子は、可動性に対する技術的援助となるもので、平らな地表面上で人を難なく運ぶことを可能にする。
【0009】
都市計画案は実施におよそ数年と時間がかかるため、車椅子は都市、道路、住居などの現在の状態に適応しなければならない。
【0010】
ところが、例えば、道路には多くの歩道があり、商店には大抵ステップがあり、住居には部屋と部屋の高さに時々違いがある。車椅子はこれらの障害物を乗り越えることが出来なければならない。
【0011】
このために多くの解決案が提案された。そのうちの一つとして、六輪技術を持つ車椅子が市場に存在する。該車椅子は優れた操縦性と優れた安定性をもつが、しかし障害物の乗り越えは、低い高さ(7.5cm未満)で、しかも前輪を持ち上げるためにテコの効果をもたらす歩道上りオプション付きの場合のみに限られる。
【0012】
四輪駆動タイプの別の車椅子が存在し、あらゆるタイプの地表(草、砂利、小石)の上で走行すること、そして15cmまでの障害物を乗り越えることを可能にしている。これらの車椅子の主な不都合は、一方では、室内での車椅子の利用を妨げる車椅子の大きなサイズにあり、また他方では車椅子の安定性の欠如にある、というのも障害物を乗り越える際に前方または後方に転倒する危険性があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、高さ20cmまでの障害物を、しかも前方のあらゆるピッチ角で、転倒の危険性なく乗り越えることができる小型の電動車椅子を提案することによってこれらの不都合を改善するものであり、こうして、とりわけ、小さな障害物を気に掛けにくい利用者にとっての操作を、より楽にする。
【0014】
この車椅子の別の利点は、車椅子が、田舎で草、砂利、小石の中を動き回るだけでなく、雪そして砂の中でも動き回ることを可能にするということにある。
【0015】
別の利点が、以下の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このために、本車椅子は、以下から成る障害物乗越装置を備えている:
−各横側面でn個(n≧3)の車輪につながれるシャーシ;
−車輪を回転させるのに適した駆動手段。
【0017】
シャーシの各横側面に、n−1個の連結したアームを含む機械装置があり、該連結したアームの上にn個の車輪が分配されるが、該n個の車輪とは、それぞれ前輪一つ、n−2個の中輪、そして後輪一つである。連結アーム付機械装置は、各車輪が、それぞれの隣接車輪の軸に対して回転することを可能にする。
【0018】
言葉を換えれば、この装置には次の特徴がある:二つの隣接車輪の間の距離は、隣接車輪間のあらゆる衝突を回避するために、常に不変である。車輪は、障害物に遭遇すると、互いに独立して上に動くことができる。具体的には、車椅子が歩道に直面すると、二つの前輪がまず初めに歩道を乗り越えに行くが、一方その他の車輪は地面と接触したままである。ついで、次の二つの車輪が歩道に直面して歩道を乗り越えることになるが、その他の車輪は地面と接触したままであり、以降同様である。ついに、二つの後輪が歩道を乗り越えることになるが、前輪は地面に置かれたままである。絶えず、車椅子には、車椅子に安定性を与える平面を定義するように、三つ以上のてこの支点がある。
【0019】
本発明によると、アームは、中輪の回転軸に相当する共通軸の周りに二つずつ連結される。
【0020】
車椅子のシートの下に位置する駆動手段は、駆動軸によって、機械装置の連結アームのうちの一つにつながれる。この駆動軸は、駆動軸と車輪の他の軸との間に配置される伝達手段を介して、車輪を回転に導く。
【0021】
好ましくは、駆動手段は、少なくとも二つのモータから成り、該少なくとも二つのモータは、車椅子の下、垂直の様相の中央横断平面の両側に配置される。モータのうちの一つが左側面の車輪に電力を供給し、そしてもう一つのモータが右側面の車輪に電力を供給する。上述のように、各モータは、駆動軸によって、機械装置の連結したアームのうちの一つに、それぞれの側でつながれる。
【0022】
別の可能性によると、駆動手段は、車輪の軸に直接取り付けられることができるかもしれないし、あるいはまた車輪の中に直接組み込まれることができるかもしれない。
【0023】
左側面の車輪に、右側面の車輪とは独立して電力が供給されることで、車椅子に、車椅子自体が360℃回転することを許可する。この機能により、動きが大いに容易になることから、車椅子の利用者にかなった利点が得られる。例えば、Uターンするのに十分な、バックするための距離や、最小回転半径はもはや必要ない。おおむね、回転の際に、車椅子の占める面積は、車椅子の外側寸法を越えない。この車椅子は、このように、とりわけ認識障害を患い、また手の届く範囲に手動電気制御装置をもつ利用者にとって、利用がより容易である。
【0024】
一つの可能性によると、車椅子のシャーシは、二つのシャフトを介して各連結アーム付機械装置につながるが、シャフトのうちの一つは、アームが水平面で一列に並んでいないときに、これらの二つのシャフト間での距離の変化を補うことに適している。すなわち、障害物を越える際に、車輪は一列には並ばない、そこで連結アームは、その結果回転して、二つのシャフトを近づけるに至る角を形成する。ところが、シャーシは固定寸法であり、これら二つのシャフトにつながっている。したがって、シャーシのあらゆる変形さらに破砕を回避するために、障害物を越える際に、連結アームを固定するシャフトの軸間距離の、これら同じシャフトをシャーシに固定する軸間距離に対する変更を、補えることが必要不可欠である。
【0025】
第一の変形例によると、この条件は、クランク軸タイプのシャフトによって満たされることができるが、該クランク軸タイプのシャフトは、互いに位置がずれた二つの円筒形断片から成るものである。このずれが、車輪が一列に並んでいないとき、二つのシャフト間の距離の変化を補う。
【0026】
第二の変形例によると、クランク軸タイプのシャフトは、連結アームにつながれる第一のシャフト断片と、シャーシにつながれる第二のシャフト断片とから成ることができ、二つのシャフト断片は、間が連接棒によって連結される。
【0027】
第三の変形例によると、この条件は、二つの止め金具間を水平面でスライドするシャフトによって満たされることができるが、該二つの止め金具は、二つのシャフト間で許可される最大と最小の距離を定義するものである。このスライドシャフトは、連結アームのところあるいはシャーシのところで、二つのシャフト間の距離を変えることを可能にする。例えば、このスライドシャフトは、連結アームの中にこのために準備される水平の割れ目の中か、あるいはシャーシにこのために準備される水平の割れ目の中にはめ込むことができよう。
【0028】
上述のように、本発明の主な利点のうちの一つは、その安定性である。その安定性は、前方および/あるいは後方への転倒防止装置によって増大する。
【0029】
すなわち、下り坂の下方へ移動する際、車椅子は、前方に傾く傾向があり、それによって後ろから重みが取り除かれるであろう。そのとき、後輪が、後輪の前に置かれる車輪に対して、独りで持ち上がってしまうことを妨げることが適切である。この転倒防止装置がないと、シャーシは、後輪を持ち上げながら前方に転倒して、利用者にとって危険な状況を引き起こしかねない。坂の上りの際も状況は同様であり、前輪が持ち上がってしまう危険性がある。
【0030】
このために、本発明による前方および/あるいは後方への転倒防止装置は、本乗り物の各横側面に、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に少なくとも一つの連結アームの回転を止める手段を含む。
【0031】
より正確には、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に連結アームの回転を止める前記手段は、後部アームと前部アームの回転をそれぞれ止める一つの歯止めから成るが、該歯止めは、二重のリンケージによって該アームにつながっており、該二重のリンケージは、シャーシと連結アームとの間の距離の変化を歯止めの移動に変えるものであり、その結果、歯止めの端のうちの一つが、前記止め手段の刻み目のついた縁と協働して、前記回転を止める。
【0032】
実際には、二つのリンケージはそれぞれ一つのナックル継手からなるが、該ナックル継手の、歯止めの遠位副連接棒は、それぞれ前部アームあるいは後部アームによって導かれ、また該ナックル継手の、歯止めの近位副連接棒は、周りを歯止めが回転するジャーナルを有する副連接棒の両端に連結され、該歯止めの一端はシャーシに連結され、各ナックル継手の副連結棒のうちの一つもまたシャーシに連結される。
【0033】
転倒防止に加えて、障害物乗越装置は、乗り物の後部の乗越補助装置によって改善される。この追加の補助装置は、乗り物の各横側面で、乗り物の後部に置かれる転倒防止キャスターを有しており、該キャスターは、シャーシと副連接棒に連結されるロッドの一端に固定されるが、該副連接棒は、シャーシを制動手段につなぐものである。この副連接棒は、ナックル継手に回転によってつながれるが、該ナックル継手の、制動手段の遠位副連接棒は、一方ではシャーシに、後部アームの中心軸と同じ高さのところで、また他方では前記後部アームにその中心軸のところで連結される。
【0034】
具体的には、この乗越補助装置は、連結アームの回転をキャスターの位置に反映させるが、該キャスターは、平らな地面の上を走行する際は地面に対して持ち上がった位置に保持され、また後輪の障害物乗り越えの際は地面に押し付けられる。
【0035】
有利には、制動手段は、ジャッキタイプあるいは軸に沿ったばね式のショックアブソーバータイプの、長さが可変の連接棒から成るが、該連接棒は、枢動できるようにシャーシに取り付けられ、キャスターが地面に押し付けられる際に弾力的に押し込まれるのに適しているものである。これらの制動手段は、後輪が障害物を乗り越える際に後輪によって支えられる重みの一部を吸収することを目的とする。ジャッキ/ショックアブソーバーは、平地を走行する際は緩められ、障害物乗り越えの際は押し込まれる。
【0036】
本発明によると、障害物乗越装置を備える車椅子は、室内優位の、つまり扉の通過や交通機関などに適合した、標準の電動車椅子の寸法を越えることはない。
【0037】
可能な形態によると、少なくとも一続きの車輪は、好ましくは前部あるいは後部に、車輪の回転軸に向かって弾力性のある高い薄板を備えることができる。この形態は、タイヤを削ってしまう、とりわけ車椅子それ自体の回転によって招かれるタイヤの時期尚早の損耗を、回避することを可能にする。このタイプの車輪は、高さのある薄板が雪や砂の中でのより楽な走行のためにギザギザのついた靴底のように作用することができることから、追加の利点がある。
【0038】
別の可能な形態によると、少なくとも一続きの車輪は、好ましくは前部あるいは後部に、全方向性の車輪を備えることができる。この形態は、車椅子それ自体が回転する際のタイヤのあらゆる時期尚早の損耗を回避することを可能にし、しかも該形態は該回転を容易にする。
【0039】
障害物の乗り越えをさらに柔軟に且つ容易にするために、例えばスパイクタイプの凹凸のあるタイヤを用いた追加の車輪が、二つの隣接車輪の間に、既に存在する車輪に対して側面に引っ込んだ状態で、付加されることが可能である。これらの追加の車輪は、特に、車椅子が階段を上ることを可能にする。
【0040】
不規則な地面に対する車輪の付着表面にかかる可能性のある応力や障害物通過の際にかかる可能性のある応力を最小にするために、少なくとも一つの車輪が、回転のしなやかなハブ、すなわちその回転軸のところにバネ作用を伴うハブ、および/あるいはフリーホイールハブ、すなわち車輪が一方向のみに導かれるハブ、に取り付けられることが可能である。
【0041】
別のオプションとして、この車椅子は、車椅子のある場所がどこであるにせよシートが常に水平位置に位置決めされたままであるように、水平センサーを備えた上下に動くシートが装備される可能性もある。この上下に動くシートは、乗客の快適さを著しく向上させる。
【0042】
最後の利点によると、障害物乗越装置を備えたこの車椅子は、分解可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、今度は、可能な形態にしたがって、以下のような付属の図面を参照して、より詳細に説明されることになる:
−図1は、平地での車椅子を示す、非常に簡略な側面図である;
−図2は、A−Aを断面とする、車椅子の部分的な図を示している;
−図3は、連結アーム付機械装置の拡大図を示しており、シャーシ側で、保護カバーのないものである;
−図4は、連結アーム付機械装置の拡大図を示しており、シャーシ側で、保護カバー付きのものである;
−図5は、連結アーム付機械装置の斜視図であって、車輪が備わっており、またシャーシにつながる二つのシャフトが見えている;
−図6は、伝達手段の可能な形態を示している;
−図7aは、転倒防止装置を備えた車椅子を概略的に示している;
−図7bから図7eは、前方および後方への転倒リスクを示している;
−図8aおよび図8bは、障害物乗越補助装置が備わった車椅子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を参照すると、本発明の障害物乗越装置は、上に車椅子(1)が固定されるシャーシ(2)と、シャーシ(2)の各横側面に一列に並んだ三つの車輪(3a、3b、3c)と、三つの車輪(3a、3b、3c)が整列して並べられる二つの連結アーム(7a、7b)を含む機械装置とから成る。
【0045】
前輪(3a)は、第一連結アーム(7a)の前部に位置決めされ、中輪(3b)は、二つのアーム(7a、7b)の間の関節部のところに位置決めされ、そして後輪(3c)は、第二連結アーム(7b)の後部に位置決めされる。二つのアーム(7a、7b)は、このように、中輪(3b)の軸(6)に相当する共通軸の周りに連結される。
【0046】
二つのアーム(7a、7b)の間の関節部は、したがってピボット連結である。ピボット連結は、前輪(3a)と後輪(3c)が、中輪(3b)の軸(6)を中心にして回転することを可能にする。三つの車輪(3a、3b、3c)は、このように、障害物乗り越えの際に、お互いに独立して上がり下がりすることができる。
【0047】
図2は、車椅子(1)の土台の下に位置する電気システムの一部を明かすものである。そこには、バッテリーパック(4)があり、該バッテリーパックは、各横側面で、モータ(5)と駆動軸(8)とを介して連結アーム(7a、7b)付機械装置の前部に、そしてずれて取り付けられるクランク軸タイプの軸(12)によって機械装置の後部に、つながれる。バッテリーパック(4)は、それ自体が車椅子のシャーシ(2)に固定される。クランク軸の軸(12)は、二つのシャフト(12a、12b)に分解されるが、該二つのシャフトの回転軸は互いに少しずれており、第一のシャフト(12a)は、バッテリーパック(4)と連動しており、一方第二のシャフト(12b)は、連結アーム(7b)と連動している。
【0048】
図6に示されるように、駆動軸(8)は、三つの伝達チェーンあるいは伝達ベルト(9a、9b、9c)を介して、整列した三つの車輪(3a、3b、3c)を回転に導くが、該三つの伝達チェーンあるいは伝達ベルトは、それぞれ、駆動軸(8)と前輪の軸(10)との間、駆動軸(8)と中輪の軸(6)との間、そして中輪の軸(6)と後輪の軸(11)との間に、配置される。駆動手段は、左側面の車輪と右側面の車輪には別個に、車輪(3a、3b、3c)に回転の動きを伝える。手動電気制御装置のおかげで、利用者は、例えば、車椅子それ自体の回転を制御するために、左車輪を右車輪と反対の方向に回転させようと決めることができよう。利用者はまた、右車輪を左車輪より速く回転させるようにモータを制御することによって、あるいは左車輪を右車輪より速く回転させるようにモータを制御することによって、巧みにロングカーブを切ることもできるであろう。
【0049】
図3から図5により、連結アーム(7a、7b)付機械装置の可能な形態をより詳細に観察することができる。
【0050】
この機械装置は、ピボット連結によって連結した二つのアーム(7a、7b)から成る。各連結アーム(7a、7b)は、細長い形の加工部品に相当し、該加工部品は、中心の関節部のところで厚みが減少する部分(13)をもち、また中心および各端に分配される三つの孔(14a、14b、14c)を含む。これらの孔は、軸受を受け入れるのに適しており、該軸受の中に、駆動軸(8)か、クランク軸タイプの軸(12)か、あるいは車輪の軸(10あるいは6あるいは11)が挿入される。連結アーム(7a、7b)は、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)で一定の厚みの機械装置を形成するように、部分(13)のところで重なり合う。この厚みを越えることなく、突出部(22)が、伝達チェーン(9a、9b、9c)の通過を導くために車輪側アーム面に準備される。
【0051】
図7aは、転倒防止装置を示している。転倒防止装置は、車椅子(1)の各横側面に設置される。
【0052】
この装置は、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)の回転を止めるための歯止め(16)を有しており、歯止めは、該前部アームと該後部アームに、二重のリンケージによってつながれる。この歯止め(16)は、前部アーム(7a)の後部にある刻み目のついた縁(17)と協働する。歯止め(16)は、まっすぐな様相の副連接棒から成り、該副連接棒は、シャフト(35)によってシャーシ(2)に連結され、また刻み目のついた縁(17)の方に向けられる先端(18)で終わるものであり、先端(18)の形状は、刻み目のうちの一つに入り込むように準備される。
【0053】
各リンケージは、ナックル継手から成り、該ナックル継手は、シャフト(36、37)のところでシャーシ(2)に連結されるL金物の形状の副連接棒(19、22)と、まっすぐな副連接棒(20、23)とから成る。歯止め(16)の遠位副連接棒(19、23)は、それぞれ、前部アーム(7a)と後部アーム(7b)の中心軸(14b)に対して連結される。歯止め(16)の近位副連接棒(20、22)については、まっすぐな連接棒(21)の両端(38、39)に連結されるが、該連接棒は周りを歯止め(16)が回転するジャーナル(24)を有する。
【0054】
シャーシ(2)に属する止め金具(25、26)は、遠位連接棒(19、23)の上の方への動きを抑える。
【0055】
図7cで示されるように、車椅子(1)が前方に傾くとき、シャーシ(2)の後部は持ち上がり、それから止め金具(26)は副連接棒(23)から遠ざかり、いわんや後部アーム(7b)から遠ざかる。シャーシ(2)と後部アーム(7b)の間のこの距離の変化は、連接棒(21)次いで歯止め(16)を回転させるナックル継手の上下運動を導き、先端(18)が刻み目の中に入り込むことを可能にし、連結アームをシャーシ(2)に保持するための軸(14b)に関し、連結アーム(7b)のあらゆる回転を止める。
【0056】
すなわち、シャーシ(2)の後部が持ち上がる際、シャーシの後部は、後部アーム(7b)と後輪(3c)を上の方に引っ張る傾向がある。ところが後部アームと後輪は、それらの重みにより、力を地面の方向に掛ける傾向がある。
【0057】
万一にも後輪(3c)が地面から少し離れることになったら、そのときリンケージは、中心の車輪(3c)の軸(14c)のところで連結アーム(7a、7b)の回転を止め、後輪(3c)のあらゆる余分な動きを防ぎ、そして車椅子(1)のあらゆる転倒リスクを防ぐ。
【0058】
車椅子(1)が後方に傾いて前輪(3a)を持ち上げようとする傾向があるときも、作動は同様であり、図7eに示される通りである。
【0059】
図7bおよび7dは、転倒防止装置のない車椅子を示している。この場合、後輪あるいは前輪は、完全に持ち上がって、車椅子の転倒を引き起こす。
【0060】
図8aおよび8bは、障害物乗越補助装置を備えた車椅子を示している。
【0061】
図8aでは、装置は、平地での車椅子の走行の際の、初期位置である。図8bでは、補助装置が作用しており、車椅子の後輪が障害物を乗り越えようとしている。
【0062】
この乗越補助装置は、車椅子(1)の各横側面に設置される。
【0063】
具体的には、この乗越補助装置は、転倒防止キャスター(27)を有しており、該転倒防止キャスターは、車椅子(1)の後部に置かれて、ロッド(28)の第一の端に固定されるものであり、その第二の端(34)は、シャーシ(2)に連結される。肘形に曲がった副連接棒(29)は、このロッド(28)を、シャーシ(2)に連結する軸に沿ったばね式ショックアブソーバー(30)と、ナックル継手とに、同時に回転によってつなげるが、該ナックル継手は、肘形に曲がった副連接棒(29)の遠位のその端(33)のところでシャーシ(2)に連結されつつ後部アーム(7b)とつながっているものである。より正確には、ナックル継手は、後部アーム(7b)の中心軸(14b)のところでお互いに連結した二つのまっすぐな副連接棒(31、32)から成る。
【0064】
車椅子が平らな地表上で走行する際、図8で示されるように、転倒防止キャスターは、地面より高くなった位置で保持され、ショックアブソーバー(30)は減圧される。
【0065】
障害物を乗り越えながら、車椅子(1)は、必然的に後方に傾き、そしてキャスター(27)はそのとき地面に接触するようになる。同時に、アーム(7a、7b)はもはや整列しておらずに角度を成し、そして後部アーム(7b)の中心軸(14b)の、シャーシ(2)に対する位置は変わる。この位置の変化は、端(33)を中心にした副連接棒(32)の回転となって現れる。ナックル継手のこの回転は、肘形に曲がった副連接棒(29)の、シャーシ(2)の方への接近を導き、この距離の減少は、ショックアブソーバー(30)の圧縮によって補われるが、該ショックアブソーバーは、後輪(3c)に掛けられる重さの一部を、地面に押し付けられたキャスター(27)に移し、こうして障害物の乗り越えを容易にするものである。
【符号の説明】
【0066】
1 車椅子
2 シャーシ
3 車輪
6 軸
7 連結アーム
19 副連接棒
20 副連接棒
21 連接棒
22 副連接棒
23 副連接棒
27 転倒防止キャスター
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8a】
【図8b】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ付き乗り物用の障害物乗越装置であって:
−各横側面でn個(n≧3)の車輪につながれるシャーシ、
−車輪を回転させるのに適した駆動手段、から成り、
シャーシの各横側面に、一つの機械装置があり、該機械装置が、共通回転軸の周りに二つずつ連結されるn−1個のアームを有し、該連結アーム上にn個の車輪が分配され、それらはそれぞれに前輪一つ、n−2個の中輪、そして後輪一つであり、前記機械装置により、各車輪がそれぞれの隣接車輪の軸に対して回転することが可能となることを特徴とする、モータ付き乗り物用の障害物乗越装置。
【請求項2】
駆動手段が、駆動軸によって、機械装置の連結アームのうちの一つにつながれることを特徴とする、請求項1に記載の障害物乗越装置。
【請求項3】
前記駆動軸が、駆動軸と車輪の他の軸との間に配置される伝達手段を介して、車輪を回転に導くことを特徴とする、請求項2に記載の障害物乗越装置。
【請求項4】
左側面の車輪が、右側面の車輪に電力を供給する駆動手段とは別個の駆動手段によって電力が供給されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項5】
シャーシが、自由に回転できるように取り付けられる二つのシャフトを介して各連結アーム付機械装置につながれること、アームが整列していないとき、シャフトのうちの一つがこれら二つのシャフト間の距離の変化を補うのに適していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項6】
前記シャフトのうちの一つが、クランク軸タイプのシャフトであることができることを特徴とする、請求項5に記載の障害物乗越装置。
【請求項7】
クランク軸タイプのシャフトが、連結アームにつながれる第一のシャフト断片と、シャーシにつながれる第二のシャフト断片とから成ることができること、二つのシャフト断片が、間が連接棒によって連結されることを特徴とする、請求項6に記載の障害物乗越装置。
【請求項8】
前記シャフトのうちの一つが、水平面でスライドするシャフトであることができることを特徴とする、請求項5に記載の障害物乗越装置。
【請求項9】
前方および/あるいは後方への転倒防止装置が備わり、該転倒防止装置が、本乗り物の各横側面に、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に少なくとも一つの連結アームの回転を止める手段を含むものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項10】
前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に連結アームの回転を止める前記手段が、後部アームと前部アームの回転をそれぞれ止める一つの歯止めから成り、該歯止めが、二重のリンケージによって該後部アームと該前部アームにつながり、該二重のリンケージが、シャーシと連結アームとの間の距離の変化を歯止めの移動に変えるものであり、その結果、歯止めの端のうちの一つが、前記止め手段の刻み目のついた縁と協働して、前記回転を止めることを特徴とする、請求項9に記載の障害物乗越装置。
【請求項11】
二つのリンケージがそれぞれ一つのナックル継手からなり、該ナックル継手の、歯止めの遠位副連接棒が、それぞれ前部アームあるいは後部アームによって導かれ、また該ナックル継手の、歯止めの近位副連接棒が、周りを歯止めが回転するジャーナルを有する副連接棒の両端に連結され、該歯止めの一端がシャーシに連結され、各ナックル継手の副連接棒のうちの一つもまたシャーシに連結されることを特徴とする、請求項10に記載の障害物乗越装置。
【請求項12】
乗り物の後部に乗越補助装置を備え、該乗越補助装置が、乗り物の各横側面で、乗り物の後部に置かれる転倒防止キャスターを有し、該キャスターが、シャーシと副連接棒に連結されるロッドの一端に固定され、該副連接棒が、シャーシを制動手段につなぐものであって、前記副連接棒が、ナックル継手に回転によってつながれ、該ナックル継手の、制動手段の遠位副連接棒が、一方ではシャーシに、後部アームの中心軸と同じ高さのところで、また他方では前記後部アームにその中心軸のところで連結され、この乗越補助装置が、連結アームの回転をキャスターの位置に反映させ、このキャスターが、平らな地面の上を走行する際は地面に対して持ち上がった位置に保持され、また後輪の障害物乗り越えの際は地面に押し付けられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項13】
制動手段が、ジャッキタイプあるいは軸に沿ったばね式のショックアブソーバータイプの、長さが可変の連接棒から成り、該連接棒が、枢動できるようにシャーシに取り付けられ、キャスターが地面に押し付けられる際に弾力的に押し込まれるのに適しているものであることを特徴とする、請求項12に記載の障害物乗越装置。
【請求項14】
少なくとも一続きの車輪が、車輪の回転軸に向かって弾力性のある高い薄板を備えることができることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項15】
少なくとも一続きの車輪が、全方向性の車輪を備えることができることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項16】
追加の車輪が、二つの隣接車輪の間に、既に存在する車輪に対して側面に引っ込んだ状態で、付加されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項17】
少なくとも一つの車輪が、回転のしなやかなハブおよび/あるいはフリーホイールハブに取り付けられることができることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項18】
水平センサーによってあらゆる状況において傾いて水平位置に自らを位置づける利用者用シートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の障害物乗越装置を備えるモータ付き乗り物。
【請求項1】
モータ付き乗り物用の障害物乗越装置であって:
−各横側面でn個(n≧3)の車輪につながれるシャーシ、
−車輪を回転させるのに適した駆動手段、から成り、
シャーシの各横側面に、一つの機械装置があり、該機械装置が、共通回転軸の周りに二つずつ連結されるn−1個のアームを有し、該連結アーム上にn個の車輪が分配され、それらはそれぞれに前輪一つ、n−2個の中輪、そして後輪一つであり、前記機械装置により、各車輪がそれぞれの隣接車輪の軸に対して回転することが可能となることを特徴とする、モータ付き乗り物用の障害物乗越装置。
【請求項2】
駆動手段が、駆動軸によって、機械装置の連結アームのうちの一つにつながれることを特徴とする、請求項1に記載の障害物乗越装置。
【請求項3】
前記駆動軸が、駆動軸と車輪の他の軸との間に配置される伝達手段を介して、車輪を回転に導くことを特徴とする、請求項2に記載の障害物乗越装置。
【請求項4】
左側面の車輪が、右側面の車輪に電力を供給する駆動手段とは別個の駆動手段によって電力が供給されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項5】
シャーシが、自由に回転できるように取り付けられる二つのシャフトを介して各連結アーム付機械装置につながれること、アームが整列していないとき、シャフトのうちの一つがこれら二つのシャフト間の距離の変化を補うのに適していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項6】
前記シャフトのうちの一つが、クランク軸タイプのシャフトであることができることを特徴とする、請求項5に記載の障害物乗越装置。
【請求項7】
クランク軸タイプのシャフトが、連結アームにつながれる第一のシャフト断片と、シャーシにつながれる第二のシャフト断片とから成ることができること、二つのシャフト断片が、間が連接棒によって連結されることを特徴とする、請求項6に記載の障害物乗越装置。
【請求項8】
前記シャフトのうちの一つが、水平面でスライドするシャフトであることができることを特徴とする、請求項5に記載の障害物乗越装置。
【請求項9】
前方および/あるいは後方への転倒防止装置が備わり、該転倒防止装置が、本乗り物の各横側面に、前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に少なくとも一つの連結アームの回転を止める手段を含むものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項10】
前方あるいは後方へのシャーシの転倒の際に連結アームの回転を止める前記手段が、後部アームと前部アームの回転をそれぞれ止める一つの歯止めから成り、該歯止めが、二重のリンケージによって該後部アームと該前部アームにつながり、該二重のリンケージが、シャーシと連結アームとの間の距離の変化を歯止めの移動に変えるものであり、その結果、歯止めの端のうちの一つが、前記止め手段の刻み目のついた縁と協働して、前記回転を止めることを特徴とする、請求項9に記載の障害物乗越装置。
【請求項11】
二つのリンケージがそれぞれ一つのナックル継手からなり、該ナックル継手の、歯止めの遠位副連接棒が、それぞれ前部アームあるいは後部アームによって導かれ、また該ナックル継手の、歯止めの近位副連接棒が、周りを歯止めが回転するジャーナルを有する副連接棒の両端に連結され、該歯止めの一端がシャーシに連結され、各ナックル継手の副連接棒のうちの一つもまたシャーシに連結されることを特徴とする、請求項10に記載の障害物乗越装置。
【請求項12】
乗り物の後部に乗越補助装置を備え、該乗越補助装置が、乗り物の各横側面で、乗り物の後部に置かれる転倒防止キャスターを有し、該キャスターが、シャーシと副連接棒に連結されるロッドの一端に固定され、該副連接棒が、シャーシを制動手段につなぐものであって、前記副連接棒が、ナックル継手に回転によってつながれ、該ナックル継手の、制動手段の遠位副連接棒が、一方ではシャーシに、後部アームの中心軸と同じ高さのところで、また他方では前記後部アームにその中心軸のところで連結され、この乗越補助装置が、連結アームの回転をキャスターの位置に反映させ、このキャスターが、平らな地面の上を走行する際は地面に対して持ち上がった位置に保持され、また後輪の障害物乗り越えの際は地面に押し付けられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項13】
制動手段が、ジャッキタイプあるいは軸に沿ったばね式のショックアブソーバータイプの、長さが可変の連接棒から成り、該連接棒が、枢動できるようにシャーシに取り付けられ、キャスターが地面に押し付けられる際に弾力的に押し込まれるのに適しているものであることを特徴とする、請求項12に記載の障害物乗越装置。
【請求項14】
少なくとも一続きの車輪が、車輪の回転軸に向かって弾力性のある高い薄板を備えることができることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項15】
少なくとも一続きの車輪が、全方向性の車輪を備えることができることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項16】
追加の車輪が、二つの隣接車輪の間に、既に存在する車輪に対して側面に引っ込んだ状態で、付加されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項17】
少なくとも一つの車輪が、回転のしなやかなハブおよび/あるいはフリーホイールハブに取り付けられることができることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一つに記載の障害物乗越装置。
【請求項18】
水平センサーによってあらゆる状況において傾いて水平位置に自らを位置づける利用者用シートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の障害物乗越装置を備えるモータ付き乗り物。
【公表番号】特表2013−518651(P2013−518651A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551671(P2012−551671)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050250
【国際公開番号】WO2011/095753
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512203388)
【氏名又は名称原語表記】NEW LIVE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050250
【国際公開番号】WO2011/095753
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512203388)
【氏名又は名称原語表記】NEW LIVE
【Fターム(参考)】
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