説明

電圧出力装置

【課題】遠隔監視制御装置の表示試験を安全かつ効率的に実施する。
【解決手段】遠隔監視制御装置の表示試験システム1において、電圧出力装置2は、ケーブルC3、C4及び端子台接続アダプタADを通じて、遠隔監視制御装置TCの端子に電圧を所定時間出力し、その電圧出力の開始及び停止の時に、当該端子のビット番号及び開始/停止の旨を音声出力し、当該端子のビット番号を表示する。遠隔監視制御装置TCは、表示試験の対象であり、端子を設けた表示入力用端子台を備える。各端子の電圧状態は、電圧信号としてケーブルC5を介して親局模擬装置TCTに送信され、表示される。表示試験の際に、試験作業員は、電圧出力装置2を用いて遠隔監視制御装置TCの端子に電圧を出力し、電圧出力装置2による音声出力及び表示をトリガとして、親局模擬装置TCTに表示された、遠隔監視制御装置TCの当該端子の電圧状態を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視制御装置の表示試験に用いられる電圧出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電所や変電所等に設置される遠隔監視制御装置の表示試験は、当該装置の稼動後、4年〜6年に1回の定期点検の中で行われる。その表示試験において、試験作業員は、遠隔監視制御装置の表示入力用端子台に対して、スイッチ付きヒューズクリップを用いて、1端子ごとにその番号を呼称し、試験電圧を入力する。この操作を何度も繰り返して表示出力を確認するため、試験作業員にとってかなりの労力負担となっていた。また、単純操作の繰り返しにより、集中力が欠如し、操作ミスにつながるという問題が生じていた。
【0003】
なお、特許文献1には、ヒューマンエラー、電力供給支障及びヒューズ使用忘れ等を防止することができる表示試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−19756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、従来の表示試験のための装置構成を示す図である。表示試験を実施する際には、以下に示すような操作手順になる。
(1)ワニ口クリップY1を遠隔監視制御装置TCのPS端子に接続する。
(2)ワニ口クリップY2を表示入力用端子台(0ワード0ビット)に接続する。
(3)「0ビット発生」を呼称すると同時に、スイッチSWをオフからオンに設定する。
(4)親局模擬装置TCTの表示情報のうち、0ワード0ビットが0から1に変わることを確認する。
(5)「0ビット復帰」を呼称すると同時に、スイッチSWをオンからオフに設定する。
(6)親局模擬装置TCTの表示情報のうち、0ワード0ビットが1から0に変わることを確認する。
【0006】
以降、全ワード全ビットについて同様に行う。配電設備の規模にもよるが、上記の操作手順を数百回繰り返して表示試験を実施している。なお、遠隔監視制御装置TCの仕様により、表示入力用端子台に実装されているワード数は異なる。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、遠隔監視制御装置の表示試験を安全かつ効率的に実施することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、遠隔監視制御装置の表示試験に用いられる電圧出力装置であって、前記遠隔監視制御装置に設けられる表示試験用の複数の端子に接続されるアダプタケーブルと、前記アダプタケーブルを通じて1の前記端子に電圧を所定時間出力する電圧出力手段と、前記電圧出力手段が前記端子に対する電圧の出力を開始したときに、当該端子の番号及び電圧出力開始の旨を音声出力し、前記電圧出力手段が前記端子に対する電圧の出力を停止したときに、当該端子の番号及び電圧出力停止の旨を音声出力する音声出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
遠隔監視制御装置の表示試験では、その端子ごとに電圧の出力及び停止を行い、当該端子における電圧状態を親局模擬装置に表示して確認するが、この構成によれば、電圧出力装置により、アダプタケーブルを通じて各端子に電圧を所定時間出力するので、端子ごとに電圧を印加するためのクリップを接続してスイッチをオン・オフする操作が不要になり、安全に表示試験を実施することができる。また、電圧出力装置により、端子に対する電圧出力の開始及び停止のときに、当該端子の番号及び電圧出力の開始又は停止の旨が音声出力されるので、親局模擬装置の表示により電圧状態を確認すべき端子の番号及びタイミングが分かり、効率的かつ確実に表示試験を実施することができる。
【0010】
また、本発明の上記電圧出力装置において、前記電圧出力手段が、前記端子に対する電圧の出力を開始したとき、及び、前記端子に対する電圧の出力を停止したときに、当該端子の番号が視認可能な表示を行う手段をさらに備えることとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、電圧出力装置により、端子に対する電圧出力の開始及び停止のときに、音声出力とともに、当該端子の番号が見えるような表示が行われるので、親局模擬装置の表示により電圧状態を確認すべき端子の番号がよく分かり、さらに効率的かつ確実に遠隔監視制御装置の表示試験を実施することができる。
【0012】
また、本発明の上記電圧出力装置において、1の端子に電圧を出力する継続時間と、ある端子に対する電圧出力の停止から次の端子に対する電圧出力の開始までの間隔とを指定可能とする手段をさらに備え、前記電圧出力手段が、指定された前記継続時間及び前記間隔に従って、前記アダプタケーブルが接続された各端子に順次電圧を出力することとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、電圧出力装置は指定された継続時間及び間隔に従って自動的に各端子に順次電圧を出力するので、着実に遠隔監視制御装置の表示試験を進めることができる。そして、試験作業員の労力を大幅に軽減でき、表示試験にかかる時間を短縮することができる。さらに、試験作業員は、端子に対する電圧出力の継続時間及び間隔を指定できるので、自分の能力や感覚に合ったタイミングで表示試験を実施することができる。
【0014】
また、本発明の上記電圧出力装置において、電圧を出力すべき端子の番号を指定可能とし、指定された前記端子に対する電圧出力の開始及び停止を指示可能とする手段をさらに備え、前記電圧出力手段が、指定された前記端子の番号と、指示された前記電圧出力の開始及び停止のタイミングとにより当該端子に電圧を出力することとしてもよい。
【0015】
この構成によれば、電圧出力装置は端子の番号の指定、電圧出力の開始及び停止が指示されたタイミングにより当該端子に電圧を出力するので、試験作業員は遠隔監視制御装置の所望の端子に関する表示試験を任意のときに行うことができる。
【0016】
また、本発明の上記電圧出力装置において、前記電圧出力手段から電圧を出力した端子の電圧を監視する手段と、監視している前記端子の電圧が所定値未満のときに、接触不良の旨を出力する手段と、をさらに備えることとしてもよい。
【0017】
この構成によれば、遠隔監視制御装置の端子と、電圧出力装置のアダプタケーブルとの接続部分に接触不良があったときに、すぐに分かるので、早急な対応をとることができる。
【0018】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遠隔監視制御装置の表示試験を安全かつ効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】表示試験システム1の構成を示す図である。
【図2】音声付自動電圧出力装置2の機能ブロック構成を示す図である。
【図3】音声付自動電圧出力装置2を用いた、遠隔監視制御装置TCの表示試験の操作手順を示すフローチャートである。
【図4】従来の表示試験のための装置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る表示試験システムは、電圧出力装置から遠隔監視制御装置の各端子に電圧を出力し、各端子の電圧状態を親局模擬装置に表示するものであり、電圧出力装置が電圧出力を開始及び停止するときに、電圧出力対象の端子の番号と、開始又は停止の旨とを音声出力する。そして、試験作業員は、電圧出力装置による音声出力に応じて、親局模擬装置に表示された端子の電圧状態を確認する。これによれば、遠隔監視制御装置の表示試験を安全かつ効率的に実施することができる。
【0022】
≪システムの構成と概要≫
図1は、表示試験システム1の構成を示す図である。表示試験システム1は、音声付自動電圧出力装置2、遠隔監視制御装置TC及び親局模擬装置TCTを備える。音声付自動電圧出力装置(以下、「電圧出力装置」とする)2と、遠隔監視制御装置TCとは、ケーブルC1〜C4により接続される。遠隔監視制御装置TCと、親局模擬装置TCTとは、モデムM1、ケーブルC5及びモデムM2により接続される。
【0023】
電圧出力装置2は、遠隔監視制御装置TCの各端子に電圧を所定時間継続して出力し、その電圧出力の開始及び停止の時に、ビット番号及び開始/停止の旨を音声出力する装置である。以下、各ケーブルについて説明する。電源ケーブルは、AC100Vのコンセントに接続され、電源の供給を受ける。ケーブルC1は、ヒューズ付のケーブルであり、遠隔監視制御装置TCのPS端子に接続され、PS端子から電圧出力装置2に+55Vの電圧を入力する。ケーブルC2は、アース接続ケーブルであり、遠隔監視制御装置TCのアース端子に接続される。ケーブルC3及びC4は、コネクタ(端子台接続アダプタAD)付かつ32心のケーブルであり、ケーブルC1の入力電圧を受けて、表示試験対象の各端子に電圧を出力する。ケーブルC3は、ch1及びch2の出力用であり、ケーブルC4は、ch3及びch4の出力用である。
【0024】
電圧出力装置2の操作面には、デジタル表示器、ビットLED(Light Emitting Diode)表示器、スイッチ、ダイヤル等が設けられる。電圧出力の端子番号を確認するために、ch及びbitのデジタル表示器と、0〜FのビットLED表示器とがある。ch及びbitのデジタル表示器には、その時点で電圧出力の対象となっている端子の番号に対応するch及びbitの番号が表示される。0〜FのビットLED表示器は、上記端子の電圧状態に応じて、当該端子の番号に対応する位置のLEDが赤色や青色に点灯する。
【0025】
自動モード切替スイッチは、電圧出力を自動で行う際に押され、電圧出力装置2が自動モードになると白色に表示される。ch切替ダイヤルは、電圧出力のchを切り替えるものであり、切及びch1〜ch4のいずれかに設定される。継続時間T1切替ダイヤルは、電圧出力を継続する時間T1を切り替えるものであり、0〜10[秒]のいずれかに設定される。間隔時間T2切替ダイヤルは、ある端子に対する電圧出力の停止から、次の端子に対する電圧出力の開始までの間隔T2を切り替えるものであり、0〜10[秒]のいずれかに設定される。スタート・ストップスイッチは、自動モードにおいて電圧出力の開始(スタート)及び停止(ストップ)を行うものであり、電圧出力装置2の電源投入後に初めて押すと「スタート」の指示になり、次に押すと「ストップ」の指示になる。
【0026】
手動モード切替スイッチは、電圧出力を手動で行う際に押され、電圧出力装置2が手動モードになると白色に表示される。ch切替ダイヤルは、電圧出力のchを切り替えるものであり、切及びch1〜ch4のいずれかに設定される。bit切替ダイヤルは、電圧出力のビットを切り替えるものであり、4個設けられ、それぞれ切及び0〜Fのいずれかに設定される。発生/復帰スイッチは、手動モードにおいて電圧出力の開始及び停止を指示するものであり、bit切替ダイヤルごとに設けられ、電圧出力装置2の電源投入後に初めて押すと「発生」の指示になり、次に押すと「復帰」の指示になる。
【0027】
接触不良表示は、遠隔監視制御装置TCの端子と、端子台接続アダプタADとの接続部分が接触不良のときにオレンジ色に表示される。そのとき、当該端子の番号に対応する位置のLEDが、短い周期で点滅する。PS−E間電圧表示は、遠隔監視制御装置TCのPS端子と、アース端子との間の電位差を示すものであり、DC0〜120[V]の間の値が表示される。音声出力に関しては、ボリューム及びスピーカSが設けられる。主電源スイッチは、電圧出力装置2の電源をオン又はオフにするものである。
【0028】
遠隔監視制御装置TCは、各端子に電圧を印加してその電圧状態を確認する表示試験の対象となる装置であり、表示入力用端子台が設けられる。表示入力用端子台は、表示試験に用いられる2ワード分の端子台が5個設けられ、合計10ワード分の端子が設けられる。各端子台には、端子台接続アダプタADが接続され、ケーブルC3又はC4を介して電圧出力装置2からの出力電圧を受ける。各端子の電圧状態は、電圧信号としてケーブルC5を介して親局模擬装置TCTに送信され、親局模擬装置TCTの表示情報として表示される。
【0029】
端子台接続アダプタADは、簡易に着脱可能なアダプタであり、端子接触部と、コネクタ部とを備える。端子接触部は、スプリングにより端子に対して定圧接触が可能になっている。コネクタ部は、表示入力用端子台にはめ込まれるものであり、メーカごとに異なる端子台に合わせて形成される。
【0030】
≪装置の機能≫
続いて、電圧出力装置2の機能を説明する。まず、自動モードには、以下のような機能がある。
【0031】
(1)ch設定に対応する1ワード、すなわち、全16ビット(0〜Fの順番)の各端子にPS電圧を自動出力する。そのとき、継続時間T1と間隔T2の設定及びスタート・ストップスイッチの操作に従う。なお、Fビットまで出力した場合には、自動で停止する。
【0032】
(2)電圧の発生・復帰(電圧出力の開始・停止)のタイミングで、数値によるbitデジタル表示及び赤色LEDによるビット表示を行う。なお、表示入力用端子台に+50V以上の電圧がある場合、電圧あり状態を青色LEDによりビット表示し、そのビットに対応する端子には電圧出力しない。
【0033】
(3)電圧の発生・復帰のタイミングで、ビット番号及び発生/復帰(電圧出力の開始/停止)の旨を音声出力する。例えば、「ゼロ発生」→「ゼロ復帰」→「イチ発生」→「イチ復帰」・・・「エフ発生」→「エフ復帰」のように音声出力される。同じ端子の「発生」から「復帰」までには、継続時間T1が経過する。ある端子の「復帰」から次の端子の「発生」までには、間隔T2が経過する。
【0034】
次に、手動モードでは、切替ダイヤルにより設定したch及びbit(最大4個)に対応する端子に電圧出力を行う。発生/復帰スイッチの操作に合わせて、電圧の出力/停止を行うとともに、数値によるbitデジタル表示及び赤色LEDによるビット表示を行い、ビット番号及び発生/復帰の旨を音声出力する。なお、複数のビットに対して同時に発生/復帰スイッチの操作がなされた場合には、数値や赤色LEDの表示、音声出力は行わない。
【0035】
そして、接触不良の監視、検出においては、表示入力用端子台の端子における電圧あり・なしを判定し、電圧なしの場合には「接触不良」を表示し、当該端子番号に対応する位置のLEDを点滅する。電圧あり・なしの判断としては、端子・アース間の電圧が−5V以下、又は、+5V以上の場合には、電圧あり(正常)と判断し、端子・アース間の電圧が−5Vより大きく、+5Vより小さい場合には、電圧なし(接触不良)と判断する。
【0036】
≪装置の構成≫
図2は、電圧出力装置2の機能ブロック構成を示す図である。電圧出力装置2は、電圧出力制御部21、ch切替制御部22、ビット切替制御部23、端子電圧監視部24及び接触不良検出部25を備える。電圧出力制御部21は、PS入力によりPS−E間の電圧表示を行うとともに、自動モード又は手動モードの設定、自動モードにおけるスタート・ストップスイッチの操作、継続時間T1及び間隔T2の設定、手動モードにおける発生/復帰スイッチの操作を取得し、電圧出力及びその停止の指示、ビット切替情報をch切替制御部22に出力する。電圧出力の指示は、自動モードにおける「スタート」の操作又は手動モードにおける「発生」の操作に応じて行う。電圧停止の指示は、自動モードにおける「ストップ」の操作又は手動モードにおける「復帰」の操作に応じて行う。ビット切替情報は、自動モードの継続時間T1及び間隔T2に基づいて計算されたビット切替タイミングを示す情報である。
【0037】
ch切替制御部22は、電圧出力制御部21から電圧出力及びその停止の指示、ビット切替情報を取得し、また、ch切替ダイヤルのch設定を取得して、ビット切替制御部23に出力するとともに、ch設定に従ってchデジタル表示を行う。このchデジタル表示は、自動モード、手動モードに関係なく行われる。
【0038】
ビット切替制御部23は、ch切替制御部22から電圧出力及びその停止の指示、ビット切替情報、ch設定を取得し、また、ビット切替ダイヤルのビット設定を取得して、ビットに対応する端子への電圧出力を行うとともに、取得した情報に応じて音声出力、bitデジタル表示及びビットLED表示を行う。自動モードにおいては、ビット切替情報のビット切替タイミング及びch設定に従って電圧出力、音声出力及び表示を行う。手動モードにおいては、電圧出力及びその停止の指示、ch設定及びビット設定に従って電圧出力、音声出力及び表示を行う。
【0039】
端子電圧監視部24は、遠隔監視制御装置TCの表示入力用端子台における端子の電圧を監視し、当該端子の番号に対応するch番号、ビット番号及び端子電圧を含む端子電圧情報を接触不良検出部25に出力する。
【0040】
接触不良検出部25は、端子電圧監視部24から端子電圧情報を取得し、その端子電圧情報に含まれる端子電圧が−5Vより大きく、+5Vより小さい場合には、接触不良と判断する。その場合、接触不良表示を行うとともに、端子電圧情報のビット番号を含むビットLED点滅指示をビット切替制御部23に出力する。このとき、ビット切替制御部23は、接触不良検出部25から取得したビットLED点滅指示に含まれるビット番号のLEDを点滅させる。さらに、接触不良検出部25は、接触不良発生の通知を含む端子電圧情報を電圧出力制御部21に送信する。このとき、電圧出力制御部21は、接触不良検出部25から受信した端子電圧情報に含まれるch番号及びビット番号を取得し、当該番号に対応する端子への電圧出力停止の指示をch切替制御部22に対して行う。
【0041】
≪表示試験の操作手順≫
図3は、電圧出力装置2を用いた、遠隔監視制御装置TCの表示試験の操作手順を示すフローチャートである。まず、試験作業員は、電圧出力装置2のケーブルC1を遠隔監視制御装置TCのPS端子に接続する(S301)。次に、電圧出力装置2のケーブルC2を遠隔監視制御装置TCのアース端子に接続する(S302)。そして、電圧出力装置2のch1・ch2出力ケーブルC3の端子台接続アダプタADを遠隔監視制御装置TCの表示入力用端子台の1つに接続する(S303)。なお、効率的に試験を行うために、ch3・ch4出力ケーブルC4の端子台接続アダプタADを他の表示入力用端子台に接続してもよい。
【0042】
続いて、試験作業員は、自動モード切替スイッチを押し、ch切替ダイヤルをch1に設定した後、スタート・ストップスイッチを押す(S304)。
【0043】
上記の操作により、電圧出力装置2により、遠隔監視制御装置TCの表示入力用端子台のうち、0ワード0ビットの端子に電圧が自動出力され、併せて「ゼロビット発生」という音声が出力され、表示も行われる。このとき、電圧出力は、継続時間T1切替ダイヤルにより設定された継続時間T1だけ続く。
【0044】
試験作業員は、「ゼロビット発生」という音声を聴いたときに、それをトリガとして、親局模擬装置TCTの表示情報のうち、0ワード0ビットが0から1に変わることを確認する(S305)。
【0045】
その後、継続時間T1が経過したときに、電圧出力装置2により、0ワード0ビットの端子への電圧出力が自動停止し、併せて「ゼロビット復帰」という音声が出力され、表示も行われる。
【0046】
試験作業員は、「ゼロビット復帰」という音声を聴いたときに、それをトリガとして、親局模擬装置TCTの表示情報のうち、0ワード0ビットが1から0に変わることを確認する(S306)。その後、間隔T2が経過したときに、電圧出力装置2により、0ワード1ビットの端子に電圧が自動出力され、併せて「イチビット発生」という音声が出力され、表示も行われる。以降、0ワード・1ビット〜Fビットの各端子について、自動で電圧の出力とその停止、音声出力及び表示が行われるので、その都度、親局模擬装置TCTの表示情報のうち、該当するビットの変化(0→1又は1→0)を確認する(S307)。1ワード・0ビット〜Fビットの表示試験を行う際には、ch切替ダイヤルをch1からch2へ切り替えて、S304のスタート・ストップスイッチを押すところから操作を行う(S308)。
【0047】
なお、上記実施の形態では、図2に示す音声付自動電圧出力装置2内の各部を機能させるために、CPU(Central Processing Unit)で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る音声付自動電圧出力装置2が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0048】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、電圧出力装置2の電圧出力用のケーブルC3及びC4の端子台接続アダプタADを遠隔監視制御装置TCの表示入力用端子台に接続し、各端子の電圧状態を表示する親局模擬装置TCTを遠隔監視制御装置TCに接続する。そして、試験作業員は、電圧出力装置2による音声出力や表示をトリガにして、親局模擬装置TCTに表示された端子の電圧状態を確認する。
【0049】
これにより、遠隔監視制御装置TCの工場内試験、現地調整試験及び定期点検において、試験作業員の大幅な作業量の軽減、作業時間の短縮を図ることができる。そして、遠隔監視制御装置TCの表示確認試験を安全かつ効率的に実施することが可能となる。
【0050】
詳細には、何百回もの電圧入力操作(発生・復帰)が不要になり、何百回もの電圧入力呼称(発生・復帰)が不要になるので、試験作業員の労力を大幅に軽減できる。次に、音声出力及びLED表示に従って端子の電圧状態を確認できるので、単純操作の繰り返しに起因するミスが減少し、表示試験の確実性が向上する。そして、自動モード切替スイッチ、ch切替ダイヤル、継続時間T1切替ダイヤル及び間隔時間T2切替ダイヤルの設定により、自動的に各端子への電圧出力が行われるので、表示試験を着実に進めることができ、作業時間を短縮することができる。
【0051】
さらに、端子台接続アダプタADの付替により複数の表示入力用端子台への接続を行いつつ、図3に示した操作手順を実施することにより、遠隔監視制御装置TCの表示試験を行うための装置及び操作手順の標準化を図ることができる。これにより、試験作業員の要員削減やヒューマンエラーの防止を図ることができる。
【0052】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0053】
(1)上記実施の形態では、1ワード16ビットの範囲内の各端子に対して、自動で順番に電圧を出力するように記載したが、端子台接続アダプタADが2ワード分あるので、2ワード32ビットの範囲内で各端子に順番に電圧を出力してもよい。その場合、音声出力にワード番号を追加して、例えば、「ゼロワードゼロビット発生」、・・・、「イチワードゼロビット発生」、・・・という音声内容にする。
【0054】
(2)上記実施の形態では、端子が接触不良である旨を表示するように記載したが、音声出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 表示試験システム
2 音声付自動電圧出力装置(電圧出力装置)
21 電圧出力制御部
22 ch切替制御部
23 ビット切替制御部(電圧出力手段)
24 端子電圧監視部
25 接触不良検出部
AD 端子台接続アダプタ
C3、C4 ケーブル
S スピーカ(音声出力手段)
TC 遠隔監視制御装置
TCT 親局模擬装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔監視制御装置の表示試験に用いられる電圧出力装置であって、
前記遠隔監視制御装置に設けられる表示試験用の複数の端子に接続されるアダプタケーブルと、
前記アダプタケーブルを通じて1の前記端子に電圧を所定時間出力する電圧出力手段と、
前記電圧出力手段が前記端子に対する電圧の出力を開始したときに、当該端子の番号及び電圧出力開始の旨を音声出力し、前記電圧出力手段が前記端子に対する電圧の出力を停止したときに、当該端子の番号及び電圧出力停止の旨を音声出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする電圧出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧出力装置であって、
前記電圧出力手段が、前記端子に対する電圧の出力を開始したとき、及び、前記端子に対する電圧の出力を停止したときに、当該端子の番号が視認可能な表示を行う手段
をさらに備えることを特徴とする電圧出力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電圧出力装置であって、
1の端子に電圧を出力する継続時間と、ある端子に対する電圧出力の停止から次の端子に対する電圧出力の開始までの間隔とを指定可能とする手段
をさらに備え、
前記電圧出力手段は、指定された前記継続時間及び前記間隔に従って、前記アダプタケーブルが接続された各端子に順次電圧を出力する
ことを特徴とする電圧出力装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電圧出力装置であって、
電圧を出力すべき端子の番号を指定可能とし、指定された前記端子に対する電圧出力の開始及び停止を指示可能とする手段
をさらに備え、
前記電圧出力手段は、指定された前記端子の番号と、指示された前記電圧出力の開始及び停止のタイミングとにより当該端子に電圧を出力する
ことを特徴とする電圧出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電圧出力装置であって、
前記電圧出力手段から電圧を出力した端子の電圧を監視する手段と、
監視している前記端子の電圧が所定値未満のときに、接触不良の旨を出力する手段と、
をさらに備えることを特徴とする電圧出力装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−223213(P2011−223213A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88920(P2010−88920)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】