説明

電圧変換回路及び電圧変換方法

【解決手段】電圧変換回路は、第1出力部(O1)と第2出力部(O2)とを備え、第1出力部(O1)と第2出力部(O2)との間には電気負荷(LD)が接続されており、パルス幅変調クロック信号(PWM)に応じて第1出力部(O1)と第2出力部(O2)との間に出力信号を生成するように構成される。電圧変換回路は更に、制御信号に応じ、第1出力部(O1)に出力電圧(VDC)を生成する順方向回路部(FWD)と、前記制御信号を生成する比較回路(CC)を有したフィードバック回路部(FBK)とを備える。フィードバック回路部(FBK)は、パルス幅変調クロック信号(PWM)が第1状態にある期間の少なくとも一部に相当する第1検出期間において、第2出力部(O2)における電圧(VSINK)に対応した第1電位を比較回路(CC)の比較入力部(CI)に供給し、パルス幅変調クロック信号(PWM)が第2状態にある期間の一部に相当する第2検出期間において、第2出力部(O2)における電圧(VSINK)から第1蓄電器(C1)を介して得られた第2電位を比較入力部(CI)に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス幅変調クロック信号に応じた出力信号を電気的負荷に供給するために用いることができる電圧変換回路及び電圧変換方法に関する。また、本発明は、このような電圧変換回路の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧変換回路は、電気的負荷へのエネルギの供給に用いることができる。例えば、照明装置において発光ダイオード(LED)は、このような回路から電力が供給される。この場合、パルス状の制御電圧が1つのLEDまたは一連のLEDとの第1接続部に供給されるようになっている。このような供給は、例えばパルス幅変調信号に従ってLEDに流れる電流をオン・オフすることによって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電圧変換回路の第1接続部における電圧を調整するため、LEDに電流が流れている間は、LEDとの第2接続部における電圧を基準電圧と比較することが可能である。電流がオフに切り替わると、第2接続部における電圧は、第1接続部における制御電圧に向けて変化する。このため、このようなオフ状態においては、比較を行うことができなくなる。従って、第1接続部における電圧の制御は限られた期間にのみ可能となり、制御が不正確なものとなりうる。
【0004】
本発明の目的は、電力を供給しようとする電気的負荷がオフ状態にあるときに、出力電圧のより一層正確な制御を可能とする電圧変換回路及び電圧変換方法を提供することにある。また、その様な電圧変換回路の使用方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、独立請求項の主題によって達成される。本発明の態様及び展開は従属請求項の主題である。
【0006】
一態様に係る電圧変換回路は、第1出力部及び第2出力部を備え、これら第1出力部及び第2出力部の間に電気的負荷が接続されるようになっている。この電圧変換回路は、パルス幅変調クロック信号に応じ、第1出力部と第2出力部との間に出力信号を発生するように構成されている。更に電圧変換回路は、制御信号に応じて第1出力部に出力電圧を発生する順方向回路部を備える。また、フィードバック回路部が、第2出力部に接続された第1端子を有する第1蓄電器と、前記制御信号を生成する比較回路とを備えている。この場合、フィードバック回路部は、第1検出期間において、第2出力部における電圧に対応した第1電位を比較回路の比較入力部に与える。また、第2検出期間においては、第1蓄電器を介して第2出力部における電圧から得られた第2電位が比較入力部に与えられる。第1検出期間は、パルス幅変調クロック信号が第1状態にある期間の少なくとも一部に相当し、第2検出期間は、パルス幅変調クロック信号が第2状態にある期間の一部に相当する。制御信号は、第1電位と第2電位とをそれぞれ評価することによって生成される。
【0007】
パルス幅変調クロック信号の第1状態は、電圧変換回路が作動している間に電気負荷に流れる電流を調整しうるものであり、第2出力部における電圧が、第1出力部における出力電圧と電気負荷における電圧降下とに応じて生じる。第2出力部におけるこのような電圧は、第1検出期間における第1電位としてそのまま用いることができる。パルス幅変調クロック信号の第2状態は、電気負荷に流れる電流が減少またはなくなるように調整するものであり、第2出力部には出力電圧に等しいか或いは類似した高い電圧が生じる。第1蓄電器を介し、このような第2出力部における高い電圧が、より低い電圧へと転換されて第2電位となる。換言すれば、第1電位及び第2電位は、基本的に同じ値とすることが可能である。第2検出期間において出力電圧が変動した場合、第2電位が第1蓄電器の電圧変動に応じて変化することになる。
【0008】
従って、電気負荷がオン状態にある間だけではなく、電気負荷がオフ状態にある間においても、出力電圧の変動を検出することが可能となり、出力電圧の制御をより一層円滑に高い精度で行うことが可能となる。更に、電圧制御によって生じるスイッチングノイズを低減することが可能となる。
【0009】
パルス幅変調クロック信号が第1の状態にある期間の全体を第1検出期間とすることが可能である。また、パルス幅変調クロック信号が第1の状態にある期間の一部のみを第1検出期間とすることも可能である。パルス幅変調クロック信号が第1の状態から第2の状態に切り替わる際には、上述したように、第2出力部における電圧が変化する。このような電圧変化は第1蓄電器に与えられ、充電及びそれに伴って生じる第1蓄電器の電圧が、第1状態と第2状態の間での第2出力部における電圧変化と実質的に等しくなる。
【0010】
第1蓄電器の充電が行われた後は、この充電電圧を用い、第2出力部において変化する電圧から第2電位を得ることが可能となる。従って、第2検出期間は、パルス幅変調クロック信号が第2状態にある期間の一部に相当するものとなる。例えば、第2検出期間は、第1状態から第2状態に切り替わってから少し間をおいて開始され、第1状態に戻ったときに終了する。
【0011】
一態様では、第1検出期間において第2出力部を比較入力部に直接的に接続し、第2検出期間においては第1蓄電器を介して第2出力部を比較入力部に接続するようにフィードバック回路部が構成される。従って、第1検出期間及び第2検出期間の両方において、比較回路により、同様の評価、即ち連続的に電圧または電位の評価を行うことができる。
【0012】
例えば、比較回路は第1電位及び第2電位のそれぞれと基準電圧との比較結果に応じて制御信号を生成するようになっている。即ち、第1検出期間においては第1電位を基準電圧と比較し、第2検出期間においては第2電位を同じ基準電圧と比較する。従って、それぞれの電位を実質的に連続的に比較回路で評価することが可能であり、電圧制御の精度を向上させることができる。
【0013】
更なる態様において、フィードバック回路部は、第2出力部を比較入力部に接続する第1スイッチを備える。また、第1蓄電器の第2端子は、第2スイッチを介して比較入力部に接続されている。これら第1及び第2スイッチをそれぞれ制御することにより、第1及び第2電位を取り出すことが可能となる。第1スイッチは、第2出力部を比較入力部に直接的に接続するのが好ましい。また、第1蓄電器の第1端子が第2出力部に直接的に接続されると共に、第1蓄電器の第2端子が第2スイッチのみによって比較入力部に接続されているのが好ましい。
【0014】
更なる態様において、フィードバック回路部は、比較入力部に接続された入力部と、第3スイッチを介して第1蓄電器の第2端子に接続された出力部とを有するバッファ増幅器を備えている。従って、第3スイッチが閉じた状態にある場合、比較入力部におけるそれぞれの電位が緩衝された状態で第1蓄電器の第2端子に供給される。これにより、第1検出期間において第1電位で第1蓄電器をプリチャージしておき、パルス幅変調クロック信号の状態が変化したときに、それによって生じる電圧変化が第1蓄電器に蓄えられるようにすることが可能となる。
【0015】
更なる態様において、フィードバック回路部は、比較入力部と接地電位端子との間に接続された第2蓄電器を備える。従って、比較入力部の電位を第2蓄電器に蓄えておき、他の電位が比較入力部に供給されなくなるような期間において、この蓄えた電位を比較回路で評価することが可能となる。第2蓄電器に蓄えられた電位も、バッファ増幅器を介した第1蓄電器のプリチャージに用いることができる。
【0016】
従って、本態様におけるフィードバック回路部は2つの蓄電器を備えており、第1蓄電器は第2検出期間での第2出力部における電圧に追従し、第2蓄電器は比較入力部における基本的に安定した或いは一定の電圧を維持する。従って、このような回路は、第1及び第2蓄電器がどのように接続されるかという実態に拘わらず、そのフィードバック回路部に2つの系統を有していることになる。
【0017】
第1、第2及び第3スイッチのそれぞれの制御信号は、パルス幅変調クロック信号から得るのが好ましい。
【0018】
更なる態様において、電圧変換回路は、第2出力部に接続された電流源を備えており、この電流源は、パルス幅変調クロック信号によって制御可能となっている。例えば、電流源は、パルス幅変調クロック信号の第1状態に対応して第1電流を供給し、パルス幅変調クロック信号の第2状態に対応して第2電流を供給するように構成されている。例えば、第1電流は電気負荷を作動状態で駆動するための電流である一方、第2電流は電気負荷がオフ状態にあるときの電流である。第2電流は零とすることも可能であるが、零ではない微少電流とするのが好ましい。換言すれば、第1及び第2電流は零から識別可能であるのが好ましい。
【0019】
第1出力部における出力電圧を生成するための制御信号は、上述した態様を用い、実質的に連続的に生成することが可能である。但し、パルス幅変調クロック信号の第2状態に基本的に対応するオフ状態では、電気負荷が少ないエネルギしか必要としないので、第2状態にある期間の全てに亘っては出力電圧を積極的に制御しなくてもよい。このため、一態様においては、更にクロック信号化されたアクティベーション信号とパルス幅変調クロック信号の状態とに応じて出力電圧が生成されるように順方向回路部が構成されている。例えば、パルス幅変調クロック信号が第2状態にある場合、アクティベーション信号がアクティブ状態、即ちハイ状態にある場合に限り、制御信号が出力電圧の制御に使用されるようにしてもよい。
【0020】
電圧変換方法の一態様では、第1出力部と第2出力部との間に接続された電気負荷が設けられる。また、第2出力部に接続された第1端子を有する蓄電器が設けられる。制御信号に応じ、第1出力部に出力電圧が発生する。また、パルス幅変調クロック信号に応じ、第1出力部と第2出力部との間に出力信号が生成される。パルス幅変調クロック信号が第1状態にある期間の少なくとも一部に相当する第1検出期間においては、第2出力部における電圧に対応した第1電位が基準電圧と比較される。パルス幅変調クロック信号が第2状態にある期間の一部に相当する第2検出期間においては、第2出力部における電圧から蓄電器を介して得られた第2電位が同じく基準電圧と比較される。制御信号は、第1電位及び第2電位の前記比較結果に応じて生成される。
【0021】
このような方法を用いることにより、パルス幅変調クロック信号に応じて第2出力部における電圧が変化しても、出力電圧を制御するための制御信号を実質的に連続的に生成することが可能となる。従って、電圧制御の精度を向上させることができる。
【0022】
一態様では、第1検出期間と第2検出期間との間の中間期間において、蓄電器がプリチャージされるようになっている。例えば、この中間期間におけるプリチャージにより、パルス幅変調クロック信号の第1状態から第2状態への切り替え後の第2出力部における電圧変化を蓄電器に蓄えることが可能となる。
【0023】
また、第1検出期間においても、第1電位に応じて蓄電器をプリチャージすることが可能となっている。換言すれば、蓄電器のプリチャージは、第1検出期間と、第1検出期間に直ちに続くのが好ましい中間期間において行うことが可能である。
【0024】
出力信号を生成する方法の一態様においては、パルス幅変調クロック信号の第1状態に対応して第1電流が供給され、パルス幅変調クロック信号の第2状態に対応して第2電流が供給される。第1電流は電気負荷を駆動する電流であり、第2電流は電気負荷がオフ状態にあるときの電流である。第1電流及び第2電流は、いずれも零から識別可能であるのが好ましい。
【0025】
電圧変換回路及び電圧変換方法の上記の様々な態様は、例えば照明装置に適用することが可能であって、この場合、電気負荷には発光素子が設けられる。出力電圧がより連続的に制御されることから、制御過程においてスイッチングの必要性を低減することが可能となり、電圧変換回路及び当該回路を用いた照明装置のスイッチングノイズを低減することができる。例えば、このような照明装置は、スイッチングノイズの影響を受けやすい携帯電話やその他の装置などの表示装置としてもよい。発光素子は、従来から用いられている様々な色のLEDや有機発光素子とすることが可能である。また、例えば、上述した態様は、動的な輝度が適用されたパルス幅変調クロック信号用の外部入力部を有する照明装置に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】電圧変換回路の第1実施形態を示す図である。
【図2】制御可能な電流源の一例を示す図である。
【図3】電圧変換回路で用いられる信号を示すタイムチャートである。
【図4】電圧変換回路の第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、具体的な実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。
【0028】
図1は、電圧変換回路の一実施形態を示しており、この電圧変換回路は、順方向回路部FWD、フィードバック回路部FBK、第1出力部O1、第2出力部O2、及び電流源CSを備えている。そして、電流源CSは、第2出力部O2と接地電位端子GNDとの間に接続されている。第1出力部O1と第2出力部O2との間には電気負荷LDが接続されており、この電気負荷LDは2つのLEDとして具体的に示されている。順方向回路部FWDは、電圧源VBに接続された誘導素子Lを備えている。更に、この誘導素子Lは、ショットキーダイオードSDを介して第1出力部O1に接続されている。第1出力部O1と接地電位端子GNDとの間には、蓄電器C0が接続されている。スイッチSW4は、誘導素子LとショットキーダイオードSDとの接続部を接地電位端子に接続するものであり、フィードバック回路部FBKを構成する比較回路CCを介して供給される制御信号によって制御可能となっている。
【0029】
フィードバック回路部FBKは、比較回路CCと、この比較回路CCの比較入力部CIと第2出力部O2との接続部とからなる。ここで、実際には第1スイッチSW1が、第2出力部O2を比較入力部CIに直接的に接続している。更に、第2出力部O2に接続された第1端子11と、第2端子12とを有する第1蓄電器C1が設けられている。第2端子12は、第2スイッチSW2により比較入力部CIに接続される。更に、バッファ増幅器BUFがフィードバック回路部FBKに含まれており、このバッファ増幅器BUFは、比較入力部CIに接続された入力部BINと、第3スイッチSW3を介して第1蓄電器C1の第2端子12に接続された出力部BOTとを有している。比較入力部CIは、第2蓄電器C2を介して接地電位端子GNDに接続されている。比較回路CCは、比較入力部CIに接続された反転入力部−と、基準電圧端子VREFに接続された非反転入力部+とを有した比較素子CMPを備えている。比較素子CMPの出力部はコントロールユニットCTLに接続されており、このコントロールユニットCTLの出力部が、順方向回路部FWDのスイッチSW4に制御信号を供給すべく接続されている。
【0030】
電圧変換回路の作動中、順方向回路部FWDを介し、第1出力部O1に出力電圧VDCが生成される。スイッチSW4が閉じると、電圧源VBにより誘導素子Lに電気エネルギが蓄えられる。スイッチSW4が開くと、誘導素子Lに蓄えられた電気エネルギが、ショットキーダイオードSDを介して第1出力部O1に供給されると共に蓄電器C0を充電する。従って、スイッチSW4をオン・オフさせることにより出力電圧VDCが生じ、このときの出力電圧VDCの値は、スイッチSW4に供給される制御信号に依存したものとなる。また、代替の実施形態として、ショットキーダイオードSDを一般的なダイオードに置き換えてもよいし、制御信号もしくは制御信号から得られる信号に応じて制御されるトランジスタに置き換えてもよい。
【0031】
電流源CSはパルス幅変調クロック信号PWMによって制御され、パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にあるときには、電気負荷LDに流れる電流が第1電流となり、パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にあるときには、電気負荷LDに電流が流れなくなるか或いは微少電流が流れるようになっている。従って、パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にあるときには、電気負荷LDにおいて電圧降下が生じ、第2出力部O2には、低い電圧値の電圧VSINKが生じることになる。また、パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にあるときには、電気負荷LDを流れる電流が減少するため、電気負荷LDにおける電圧降下が減少し、電圧VSINKが高い電圧値に変化する。パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にあるときには、第1スイッチSW1が閉じることにより、電圧VSINKが第1電位として比較入力部CIに供給され、比較入力部CIにフィードバック電圧VFBを与える。そして、第2蓄電器C2がフィードバック電圧VFBの値まで充電される。パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にあるとき、第2スイッチSW2は制御信号PFBに対応して開かれる。また、バッファ増幅器BUF及び第3スイッチSW3を介し、第1蓄電器C1が、パルス幅変調クロック信号PWMの第1状態と第2状態との間の電圧変化に応じた電圧までプリチャージされる。このプリチャージは、スイッチSW3を制御するプリチャージ信号PRCに応答して行われる。フィードバック回路部FBKの機能については、図3に基づき更に詳細に説明する。
【0032】
図2は、第1電流源CS1及び第2電流源CS2を備えた電流源CSの一実施形態を示している。第2電流源CS2は、第2出力部O2と接地電位端子GNDとの間に固定的に接続されており、比較的小さな小電流ILを供給する。第1電流源CS1は、直列に接続された制御スイッチSWCを介し、第2電流源CS2と並列に接続されており、この制御スイッチSWCは、パルス幅変調クロック信号PWMによって制御されるようになっている。従って、制御スイッチSWCが開状態にある場合、電流源CSの総出力電流ITは、第2電流源CS2の小電流ILとなり、制御スイッチSWCが閉状態にある場合、電流源CSの総出力電流ITは、小電流ILと第1電流源CS1の大電流IHとの和になる。
【0033】
電流源CSの代替の実施形態として、第1電流源からの電流と第2電流源からの電流とのいずれか一方から総出力電流が得られるように、2つの電流源を切り替えるようにすることも可能である。
【0034】
図3は、図1の電圧変換回路の実施形態において用いる信号の具体例を示すタイムチャートである。図中の第1信号は、第1状態の1及び第2状態の0を有したパルス幅変調クロック信号PWMである。パルス幅変調クロック信号PWMのクロック周期は、2つのクロック立ち上がり部分の間隔TPWMで示されている。図1に関して前述したように、第2信号、即ち第2出力部O2における電圧VSINKは、パルス幅変調クロック信号PWMの状態によって変化することが判る。例えば、パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にある場合、電圧VSINKは低い値VLを有する一方、パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にある場合、電圧VSINKは高い値VHに変化する。
【0035】
図1を参照すると、パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にある間、第1スイッチSW1は閉じられており、比較入力部CIにフィードバック電圧VFBを生じさせる第1電位は、低い値VLを有した電圧VSINKによって定まる。図3から判るように、このパルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にある期間に相当する第1検出期間SP1の間、プリチャージ信号PRCがハイ状態にあることにより、第3スイッチSW3が閉状態となる。従って、第1蓄電器C1の第2端子12は、フィードバック電圧VFB、即ち低い値VLで充電されることになる。第2スイッチSW2は、制御信号PFBに応答し、第1検出期間において開状態となっている。
【0036】
パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態0に変化すると、第1スイッチSW1が開かれる。第1検出期間SP1に続く第1中間期間IP1において第3スイッチSW3は、依然としてハイ状態にあるプリチャージ信号PRCに対応して閉状態を維持する。フィードバック電圧VFBは、第2蓄電器C2が充電されていることから、実質的に一定に維持される。従って、第1中間期間IP1において、第1蓄電器C1の第2端子12には、引き続きフィードバック電圧VFBを供給することができる。バッファ増幅器があるので、第2蓄電器C2の電位は、第1蓄電器C1を第2端子12において充電している間、実質的に一定に保持される。更に、第1中間期間IP1において、高い値VHを有した電圧VSINKが第1蓄電器C1の第1端子に供給され、第1中間期間IP1にわたって、低い値VLと高い値VHとの間の電圧変化が、第1蓄電器C1に動的に蓄えられる。なお、厳密に言えば、実際の回路の場合に電圧VSINKは、低い値VLから高い値VHへの電圧VSINKの立ち上がりに一定の時間を要するように図3に示される。従って、第1中間期間IP1は、電圧VSINKが高い値VHに達することができるような長さに選定されなければならない。
【0037】
第1中間期間IP1の終了時点で第1蓄電器C1の充電が完了すると、プリチャージ信号PRCに応答してスイッチSW3が開く。第2中間期間IP2の後、制御信号PFBはハイ状態となり、第2スイッチSW2が閉じて、第1蓄電器C1の第2端子12が比較入力部CIに電気的に接続される。蓄電器C1はプリチャージされているので、電圧VSINKから第1蓄電器C1を介して第2電位が得られ、この第2電位は、第2中間期間IP2の終了までフィードバック電圧VFBに対して実質的に変化することはない。従って、第2中間期間IP2終了後に始まりパルス幅変調クロック信号PWMが第1状態に変化すると終了する第2検出期間において、フィードバック電圧VFBが検出される。
【0038】
上述の説明から判るように、フィードバック電圧VFBは、パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態及び第2状態のいずれにあるときも実質的に一定に維持され、換言すれば連続的に実質一定となる。フィードバック電圧VFBは、比較回路CCにより、基準電圧端子VREFに供給される基準電圧と比較される。フィードバック電圧VFBと基準電圧との比較結果に応じた制御ユニットCTLの出力部における制御信号の発生は広く知られているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0039】
電気負荷LDの電流が電流源CSにより一定に定められることから、電気負荷LDにおいてそれぞれ生じる電圧降下は基本的に一定となる。従って、出力電圧VDCの変動は、第2出力部O2における電圧VSINKの値を直接的に左右するものとなる。出力電圧VDCの制御は、第2出力部O2に生じた電圧VSINKが、基準電圧端子VREFにおける基準電圧と等しくなるように行われる。従って、図1に示す実施形態によれば、電圧VSINKに生じるいかなる変動も、フィードバック電圧VFBの値に影響を及ぼすことになるので、電圧VSINKを直接的に評価可能な第1検出期間SP1のみならず、第2検出期間においても出力電圧VDCの変動を検出することが可能となる。
【0040】
図4は、図1に示す回路を発展させた電圧変換回路となる別の実施形態を示している。それ故、図4については、図1に関して説明した要素及び機能に関する再度の説明を行わないものとする。
【0041】
図1に示す要素に加え、順方向回路部FWDは、0及び1の2つの位置を有した追加スイッチSW5を備えており、位置1においては、例えば直接的に、制御ユニットCTLの出力部に接続して、図1に関して説明したようにして生成された制御信号を受け取るようになっている。位置0は、論理積ゲートLGの出力部に接続されており、この論理積ゲートLGの一方の入力部は制御ユニットCTLの出力部に接続され、他方の入力部にはアクティベーション信号ACTが供給されるようになっている。このアクティベーション信号ACTは、例えばパルス幅変調クロック信号PWMのクロック周期TPWMに一致するクロック周期を有したクロック信号である。
【0042】
パルス幅変調クロック信号PWMが第1状態にある間、例えば誘導素子L及び蓄電器C0に蓄えられた電気エネルギが電気負荷LDに使用される。従って、このときには、制御信号を直接的且つ継続的にスイッチSW4に供給することにより、出力電圧VDCを継続的に制御するのが有効である。パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にある間、電気負荷はさほどエネルギを必要としないため、誘導素子L及び蓄電器C0へのエネルギ蓄積に対応する出力電圧VDCの連続的な制御を不要としてもよい。このため、パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にある場合には、スイッチSW4が論理積ゲートLGの出力信号によって制御される。即ち、クロック信号化されたアクティベーション信号ACTがハイ状態にある間だけ、制御信号がスイッチSW4に供給される。例えば、アクティベーション信号ACTにおけるハイ状態の期間は、パルス幅変調クロック信号PWMが第2状態にある期間の所定割合、例えば10%の部分に相当している。これにより、スイッチSW4のオン・オフを抑制し、発生しうるスイッチングノイズを更に低減することが可能となる。
【0043】
上述した実施形態によれば、電圧変換回路の単一の測定点における電圧変動を連続的に検出して出力電圧を制御することが可能となる。従って、この電圧変換回路は、高い精度で出力電圧の制御を行うことが可能となる。更に、制御に用いる電圧を単一の接続点で得ることができるので、回路を容易に構成することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力部(O1)と第2出力部(O2)とを備え、前記第1出力部(O1)と前記第2出力部(O2)との間に電気負荷(LD)が接続された電圧変換回路であって、パルス幅変調クロック信号(PWM)に応じて前記第1出力部(O1)と前記第2出力部(O2)との間に出力信号を生成するように構成された電圧変換回路において、更に、
制御信号に応じ、前記第1出力部(O1)に出力電圧(VDC)を生成する順方向回路部(FWD)と、
前記制御信号を生成する比較回路(CC)、及び前記第2出力部(O2)に直接的に接続された第1端子(11)を有する第1蓄電器(C1)を含むフィードバック回路部(FBK)とを備え、
前記フィードバック回路部(FBK)は、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)が第1状態にある期間の少なくとも一部に相当する第1検出期間において、前記第2出力部(O2)における電圧(VSINK)に対応した第1電位を前記比較回路(CC)の比較入力部(CI)に供給し、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)が第2状態にある期間の一部に相当する第2検出期間において、前記第2出力部(O2)における電圧(VSINK)から前記第1蓄電器(C1)を介して得られた第2電位を前記比較入力部(CI)に供給する
ことを特徴とする電圧変換回路。
【請求項2】
前記フィードバック回路部(FBK)は、前記第1検出期間において、前記比較入力部(CI)を前記第2出力部(O2)に直接的に接続し、前記第2検出期間において、前記第1蓄電器(C1)を介し、前記比較入力部(CI)を前記第2出力部(O2)に接続することを特徴とする請求項1に記載の電圧変換回路。
【請求項3】
前記比較回路(CC)は、前記第1電位及び前記第2電位のそれぞれと基準電圧との比較結果に応じて前記制御信号を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の電圧変換回路。
【請求項4】
前記フィードバック回路部(FBK)は、前記第2出力部(O2)を前記比較入力部(CI)に接続する第1スイッチ(SW1)と、第2スイッチ(SW2)を介して前記比較入力部(CI)に接続される第2端子(12)を有した前記第1蓄電器(C1)とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電圧変換回路。
【請求項5】
前記フィードバック回路部(FBK)は、前記比較入力部(CI)に接続された入力部(BIN)と、第3スイッチ(SW3)を介して前記第1蓄電器(C1)の第2端子(12)に接続される出力部(BOT)とを有したバッファ増幅器(BUF)を備えることを特徴とする請求項4に記載の電圧変換回路。
【請求項6】
前記フィードバック回路部(FBK)は、前記比較入力部(CI)と接地電位端子(GND)との間に接続された第2蓄電器(C2)を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電圧変換回路。
【請求項7】
前記第2出力部(O2)に接続された電流源(CS)を更に備え、
前記電流源(CS)は、前記パルス幅変調クロック信号(PWM)によって制御される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電圧変換回路。
【請求項8】
前記電流源(CS)は、前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の前記第1状態に対応して第1電流を供給し、前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の前記第2状態に対応して第2電流を供給するものであって、前記第1及び第2電流は零から識別可能な大きさであることを特徴とする請求項7に記載の電圧変換回路。
【請求項9】
前記順方向回路部(FWD)は、更に、クロック信号化されたアクティベーション信号(ACT)と、前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の状態とに応じて前記出力電圧(VDC)を生成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の電圧変換回路。
【請求項10】
第1出力部(O1)と第2出力部(O2)との間に接続された電気負荷(LD)を設ける工程と、
前記第2出力部(O2)に直接的に接続された第1端子(11)を有する蓄電器(C1)を設ける工程と、
制御信号に応じて前記第1出力部(O1)に出力電圧(VDC)を生成する工程と、
パルス幅変調クロック信号(PWM)に応じて前記第1出力部(O1)と前記第2出力部(O2)との間に出力信号を生成する工程と、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)が第1状態にある期間の少なくとも一部に相当する第1検出期間において、前記第2出力部(O2)における電圧(VSINK)に対応する第1電位を基準電圧と比較する工程と、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)が第2状態にある期間の一部に相当する第2検出期間において、前記第2出力部(O2)における電圧(VSINK)から前記蓄電器(C1)を介して得られた第2電位を前記基準電圧と比較する工程と、
前記比較の結果に応じて前記制御信号を生成する工程と
を備えることを特徴とする電圧変換方法。
【請求項11】
前記蓄電器(C1)は、前記第1検出期間と前記第2検出期間との間の中間期間においてプリチャージされることを特徴とする請求項10に記載の電圧変換方法。
【請求項12】
前記蓄電器(C1)は、前記第1検出期間において前記第1電位に応じてプリチャージされることを特徴とする請求項10または11に記載の電圧変換方法。
【請求項13】
前記出力信号を生成する工程は、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の前記第1状態に対応して第1電流を供給する工程と、
前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の前記第2状態に対応して第2電流を供給する工程とを備え、
前記第1及び第2電流は、前記第2出力部(O2)において供給されると共に、零から識別可能な大きさである
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の電圧変換方法。
【請求項14】
前記出力電圧(VDC)は、更に、クロック信号化されたアクティベーション信号(ACT)と、前記パルス幅変調クロック信号(PWM)の状態とに応じて生成されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1つに記載の電圧変換方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の電圧変換回路の照明装置への使用方法であって、前記電気負荷(LD)は発光素子が設けられることを特徴とする使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−527176(P2011−527176A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517079(P2011−517079)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057923
【国際公開番号】WO2010/003822
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(505325040)オーストリアマイクロシステムズ アクチエンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】austriamicrosystems AG
【住所又は居所原語表記】Schloss Premstaetten, A−8141 Unterpremstaetten, Austria
【復代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
【Fターム(参考)】