説明

電子カメラ

【課題】
従来の電子カメラで撮像素子が複数の画像取得範囲を有する場合、自然なズーム操作を提供することができなかった。
【解決手段】
本発明では、光学系ズームレンズのズーム位置を取得するズーム位置取得部と、前記光学系ズームレンズを介して入射する被写体像を第1画像取得範囲または第2画像取得範囲で撮影する撮影部と、前記ズーム位置取得部が取得するズーム位置に応じて前記撮影部で撮影する画像取得範囲を制御するズーム制御部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズを有する電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子カメラではズームレンズが広く使用されている。特に、光学式ズームレンズのズーム範囲を超える領域では電子ズームの使用が一般的になってきている。例えば、テレ端(望遠側の限界ズーム位置)以上に操作したことを検出して自動的に電子ズームに切り替える技術などが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、様々なサイズの撮像素子が用いられた経緯から同じレンズであっても画像取得範囲が異なる複数フォーマットが共存し、撮影時に撮影者が撮像素子で撮影する画像取得範囲を選択するようになっている電子カメラもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、撮影者がレンズのズームリングを回してズーム操作を行うのが一般的な一眼レフカメラでは、テレ端以上に操作されたか否かを検出することが難しく、専用の検出装置を設けなければ判別できないという問題があった。
【0005】
また、撮像素子の画像取得範囲によって撮影される画像のズーム範囲が異なるため、撮影画角に応じて撮影時に撮影者が撮像素子の画像取得範囲を選択しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、光学式ズームレンズのズーム操作と、撮像素子の画像取得範囲の切替とを連動させることにより、自然なズーム操作で広域ズームを実現できる電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子カメラは、光学系ズームレンズのズーム位置を取得するズーム位置取得部と、前記光学系ズームレンズを介して入射する被写体像を第1画像取得範囲または第2画像取得範囲で撮影する撮影部と、前記ズーム位置取得部が取得するズーム位置に応じて前記撮影部で撮影する画像取得範囲を制御するズーム制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム範囲内に予め設定された第1閾値よりワイド側のズーム領域では前記第1画像取得範囲を選択し、前記光学系ズームレンズのズーム範囲内に予め設定された前記第1閾値よりテレ側に位置する第2閾値よりテレ側のズーム領域では前記第2画像取得範囲を選択し、前記第1閾値と前記第2閾値との間のズーム領域では前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲まで光学系ズームレンズのズーム位置に連動させて画像取得範囲を変えることを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、前記光学系ズームレンズのワイド端のズーム位置を前記第1閾値とする設定および前記光学系ズームレンズのテレ端のズーム位置を前記第2閾値とする設定の少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲に切り替える第1閾値と、前記第2画像取得範囲から前記第1画像取得範囲に切り替える第2閾値とを設け、前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム位置がテレ側方向に変化する場合は前記第1閾値で前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲に切り替え、前記光学系ズームレンズのズーム位置がワイド側方向に変化する場合は前記第2閾値で前記第2画像取得範囲から前記第1画像取得範囲に切り替えることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、前記第1画像取得範囲は、前記第2画像取得範囲よりも画像取得範囲が広いことを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム位置が変化する範囲内で制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学式ズームレンズのズーム操作と、撮像素子の画像取得範囲の切替とを連動させることにより、自然なズーム操作で広域ズームを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る電子カメラ100のブロック図である。
【図2】撮像素子104の画像取得範囲を説明するための補助図である。
【図3】ズーム範囲を説明するための補助図である。
【図4】「第1ズーム操作モード」のズーム範囲を説明するための補助図である。
【図5】「第1ズーム操作モード」の処理を示すフローチャートである。
【図6】電子ズームを説明するための補助図である。
【図7】「第2ズーム操作モード」のズーム範囲を説明するための補助図である。
【図8】「第2ズーム操作モード」の処理を示すフローチャートである。
【図9】「第3ズーム操作モード」のズーム範囲を説明するための補助図である。
【図10】「第3ズーム操作モード」の処理を示すフローチャートである。
【図11】「第3ズーム操作モード」のその他のズーム範囲を説明するための補助図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子カメラに関する実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る電子カメラ100の構成を示すブロック図である。電子カメラ100は一眼レフ型のカメラで、図1ではカメラ本体101にズームレンズ102が装着されている。また、本実施形態に係る電子カメラ100は、ズームレンズ102のズームリング操作に応じて、光学式ズームと電子ズームとを併用する複数の「ズーム操作モード」を有する。
【0017】
[カメラ本体101の構成について]
図1において、カメラ本体101は、メカニカルシャッタ103と、撮像素子104と、AFE(アナログフロントエンド)105と、画像バッファ106と、制御部107と、メモリ108と、表示部109と、ファインダー表示部109aと、メモリカードI/F110と、操作部111と、シャッタ駆動部112と、AEセンサ113と、AFセンサ114と、ミラー駆動部115と、絞り駆動部116と、モータ117と、タイミング発生部(TG)118とで構成される。
【0018】
図1において、ズームレンズ102に入射された被写体光は、メカニカルシャッタ103を介して撮像素子104の受光面に入射される。
【0019】
撮像素子104の受光面には二次元状に光電変換部が配置されており、各光電変換部に入射された光量に応じた電気信号をAFE105に出力する。特に、本実施形態では、撮像素子104は2つの画像取得範囲を有しており、後で説明する制御部107のフォーマット切替部151の指令に応じて第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとを切り替えて読み出すことができる。2つの画像取得範囲の切替は、制御部107がタイミング発生部118に指令して、タイミング発生部118が出力するタイミング信号を可変することにより行う。特に、第1画像取得範囲Paは第2画像取得範囲Pbより広く、例えば、第1画像取得範囲Paでの記録画素数が12Mピクセルの場合に、第2画像取得範囲Pbでの記録画素数は5Mピクセルで構成される。
【0020】
AFE105は、撮像素子104から出力される電気信号のノイズ除去や増幅などを行い、A/D変換部でデジタル信号に変換して、1画面分のデジタル信号を画像データとして画像バッファ106に一時的に記憶する。
【0021】
制御部107は、内部に予め記憶されているプログラムに従って動作し、電子カメラ100の各部を制御する。また、制御部107は、画像バッファ106に一時的に記憶された画像データに対して、ホワイトバランス処理や色補正処理およびガンマ補正処理などを行った後、JPEG圧縮処理などの画像処理を実行する。そして、制御部107は、JPEG圧縮後の画像データをメモリカードI/F110を介してメモリカード110aに保存する。特に、本実施形態では制御部107のズームモード設定部152で設定された「ズーム操作モード」に従って、ズームレンズ102のズームリング位置に応じて光学式ズームと電子ズームとを併用したズーム制御を行う。ここで、電子ズームは、制御部107の電子ズーム制御部153の処理により行われる。尚、電子ズーム制御部153の処理については後で詳しく説明する。
【0022】
メモリ108は、電子カメラ100に設定されている撮影モードや露出情報,フォーカス情報などを記憶する。また、メモリ108は、画像バッファ106に一時的に記憶されている画像やメモリカード110aに保存されている画像を表示部109に表示する際の表示用バッファとしても使用される。さらに、本実施形態では、電子カメラ100に装着されているズームレンズ102から読み取ったレンズ情報や、撮影者がズームモード設定部152の「ズーム操作モード」選択メニュー画面で選択したズーム操作モードを記憶する。尚、「ズーム操作モード」の種類については後で詳しく説明する。
【0023】
表示部109は、制御部107が出力するライブビュー画像や撮影画像、或いは電子カメラ100の操作情報やメニュー画面などを表示する。尚、制御部107は、ファインダー表示部109aにも操作情報などを表示する。特に本実施形態では、ファインダー表示部109aは、ファインダーに投影される被写体像を見ながら文字やグラフィックを表示できる透明な液晶板で構成され、撮像素子104で撮影される画像の取得範囲を枠で表示することができる。或いは、図1に示した光学式ビューファインダーの代わりに電子ビューファインダーを搭載する場合は、表示部109と同じ内容の情報を電子ビューファインダーに表示するようにしても構わない。
【0024】
メモリカードI/F110は、接続コネクタを有し、該接続コネクタにメモリカード110aを装着する。そして、制御部107が出力する画像データをメモリカード110aに書き込んだり、逆にメモリカード110aに保存されている画像データを制御部107に読み出す。メモリカード110aは、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成され、電子カメラ100で撮影した画像データが保存される。
【0025】
操作部111は、電源ボタン,レリーズボタン,撮影モード選択ダイヤルやカーソルキーなどの操作部材で構成される。ユーザーはこれらの操作部材を用いて電子カメラ100を操作し、操作情報は制御部107に出力される。そして、制御部107は、操作部111から入力する操作情報に応じて、電子カメラ100全体の動作を制御する。
【0026】
シャッタ駆動部112は、制御部107の指令に応じて、所定のシャッタ速度でメカニカルシャッタ103を開閉する。尚、所定のシャッタ速度は、撮影モードに応じて制御部107が決定する。また、ライブビュー画像を表示部109に表示する際は、メカニカルシャッタ103を開放状態にして、撮像素子104の露光時間によってシャッタ速度を制御する電子シャッタを用いる。
【0027】
AEセンサ113は、ズームレンズ102を介して入力する被写体光の明るさを測光し制御部107に出力する。制御部107は、AEセンサ113の測光値に応じて適正露出になるように絞り値やメカニカルシャッタ103のシャッタ速度などを算出する。そして、制御部107は、絞り駆動部116に算出した絞り値に設定するよう指令し、またシャッタ駆動部112には算出したシャッタ速度で開閉するよう指令する。
【0028】
AFセンサ114は、ズームレンズ102を介して入力する被写体光のデフォーカス量を瞳分割方式などによって計測し、制御部107に出力する。制御部107は、AFセンサ114から入力するデフォーカス量に応じてズームレンズ102のフォーカスレンズの位置を求め、フォーカスレンズ位置を調整するようズームレンズ102側に指令する。尚、ズームレンズ102側の構成については後で説明する。
【0029】
ミラー駆動部115は、制御部107の指令に応じて、ミラーボックス201内の跳ね上げ式のミラー206を上下する。
【0030】
絞り駆動部116は、制御部107の指令に応じて、モータ(M)117を動作させ、ズームレンズ102側の絞りの開閉と連動する連動ピン301を介してズームレンズ側の絞り302を開閉し、所定の絞り値に調節する。尚、所定の絞り値は、撮影モードに応じて制御部107によって求められる。
【0031】
タイミング発生部118は、制御部107の指令に応じて、撮像素子104やAFE105および画像バッファ106にタイミング信号を出力する。そして、このタイミング信号に応じて撮像素子104から所定のフォーマット(画像取得範囲)の画像信号を読み出す。尚、所定のフォーマットは、制御部107のフォーマット切替部151により指定される。
【0032】
[カメラ本体101の光学系の構造について]
次に、カメラ本体101の光学系の構造について説明する。図1において、カメラ本体101の中心部には、光軸に沿ってミラーボックス201がメカニカルシャッタ103とズームレンズ102との間に配置されている。また、カメラ本体101の上部領域には、光学ファインダ系を構成する焦点板202と、コンデンサレンズ203と、ペンタプリズム204と、接眼レンズ205とが配置されている。焦点板202は、ミラーボックス201の上方に位置し、ミラー206で反射された光束を一旦結像させる。焦点板202上で結像した光束はコンデンサレンズ203およびペンタプリズム204を通過し、ペンタプリズム204の入射面に対して所定角度だけ偏向した射出面からカメラ本体101の後方に導かれ、接眼レンズ205およびファインダー表示部109aを介してファインダを覗く撮影者の眼に投影される。
【0033】
尚、ミラー206の中央部は光を透過するハーフミラーになっており、ミラー206を透過した光束はサブミラー207によって下方に反射され、AFセンサ114に導かれる。
【0034】
測光時は、ミラー206で反射され焦点板202上で結像した光束の一部は、コンデンサレンズ203およびペンタプリズム204を通過して、ペンタプリズム204の近傍に設けられたAEセンサ113に導かれ、被写体の明るさを測光する。
【0035】
また、撮影時は、制御部107の指令に応じてミラー駆動部115を介してミラー206およびサブミラー207を跳ね上げ、ズームレンズ102から入射する被写体光はメカニカルシャッタ103を介して撮像素子104に結像される。撮影後は、メカニカルシャッタ103が閉じられると同時にミラー206は跳ね上げ前の位置に戻る。
【0036】
ここで、表示部109にライブビュー画像を表示して撮影する場合は、ミラー206は跳ね上げたままの状態で、メカニカルシャッタ103も開いた状態にしておき、電子シャッタによってライブビュー画像を撮影して表示部109にライブビュー画像を表示する。そして、操作部111のレリーズボタンが押下されると、一旦、メカニカルシャッタ103を閉じると共に、ミラー206を元の位置に戻してAEセンサ113で測光後、再びミラー206を跳ね上げて、メカニカルシャッタ103を設定されたシャッタ速度で開閉し、撮像素子104で本撮影を行う。
【0037】
[ズームレンズ102の構成について]
次に、ズームレンズ102の構造について説明する。図1において、ズームレンズ102は、先に説明した絞り駆動用の連動ピン301と、絞り302と、フォーカスレンズおよびズームレンズなどを構成する複数枚のレンズ303と、レンズ制御部304と、フォーカス駆動部305と、モータ(M)306と、フォーカス位置検出部307と、ズームリング308と、ズーム位置検出部309と、接点コネクタ310と、ROM311とで構成される。尚、絞り制御は、カメラ本体101側ではなく、ズームレンズ102側に配置しても構わない。
【0038】
レンズ制御部304は、接点コネクタ310を介してカメラ本体101側と接続されてカメラ本体101側から電源の供給を受けると共に、制御部107に接続されて制御部107から受ける指令に応じてズームレンズ102の各部の動作を制御する。或いは、レンズ制御部304は、レンズ情報(ズームレンズ102のフォーカスレンズ位置やズームレンズ位置、或いは型番や光学ズーム範囲など)を制御部107に出力する。
【0039】
フォーカス駆動部305は、レンズ制御部304の指令に応じて、レンズ303内のフォーカスレンズが所定位置になるようモータ306を駆動する。尚、フォーカスレンズの所定位置は、先に説明したように、カメラ本体101の制御部107が求めたフォーカスレンズ位置である。
【0040】
フォーカス位置検出部307は、フォーカス駆動部305がモータ306を駆動して調整するフォーカスレンズの位置を読み取って、レンズ制御部304に出力する。これによって、レンズ制御部304はフォーカスレンズの位置を取得し、フォーカス駆動部305に指令した所定位置にフォーカスレンズが移動されたか否かを確認する。
【0041】
ズームリング308は、ズームレンズ102の鏡筒の周囲に設けられたリング状の操作部材で、撮影者が手動で回転してレンズ303内のズームレンズの位置を可変する。
【0042】
ズーム位置検出部309は、ズームリング308の操作によって可変されたズームレンズの位置を読み取って、レンズ制御部304に出力する。これによって、レンズ制御部304はズーム位置を取得する。尚、ズーム位置検出部309は、ズームレンズ自体の位置を検出するようにしても構わないし、ズームリング308の回転位置を検出するようにしても構わない。
【0043】
接点コネクタ310は、ズームレンズ102側の金属接点とカメラ本体101側の金属接点とで構成され、ズームレンズ102の鏡筒をカメラ本体101に装着した時に両側の金属接点が接続され、カメラ本体101側からズームレンズ102側への電源の供給や、制御部107とレンズ制御部304との間の通信などを行うことができる。
【0044】
ROM311は、ズームレンズ102の製造時に記憶された製造番号や型番およびズームレンズ102の焦点距離範囲などのレンズ情報が記憶されている。これらのレンズ情報は、レンズ制御部304によって適宜読み出され、カメラ本体101側の制御部107に出力される。
【0045】
[「ズーム操作モード」について]
次に、本実施形態に係る電子カメラ100の「ズーム操作モード」について説明する。本実施形態では、撮影者がズームレンズ102のズームリング308を用いて操作する通常の光学式ズームだけでなく、撮像素子104の2つの画像取得範囲に応じたズーム操作を行うことができる。尚、「ズーム操作モード」には、後で説明するように複数のモードがあり、制御部107のズームモード設定部152で設定された「ズーム操作モード」に応じてズーム制御が行われる。
【0046】
ここで、撮像素子104の画像取得範囲が第1画像取得範囲Paの時にズームレンズ102の焦点距離範囲(光学ズーム範囲)が70mmから300mmとなる場合を例に挙げて説明する。この場合、撮像素子104は、先に説明したように、ズームレンズの焦点距離が同じであっても撮影画角の異なる第1画像取得範囲と第2画像取得範囲の2つの画像取得範囲を有するので、第1画像取得範囲Paでの光学ズーム範囲が70mmから300mmであっても第2画像取得範囲Pbでの第1画像取得範囲Paフォーマット換算のズーム範囲は70mmから300mmにはならない。
【0047】
例えば、図2に示すように、第2画像取得範囲Pbが第1画像取得範囲Paより小さい場合、且つズームレンズ102のズームリング308の焦点距離表示(70mmから300mm)が第1画像取得範囲Paで撮影される画像のズーム範囲に合致しているものとする。また、第2画像取得範囲Pbで撮影される画像のズーム範囲は第1画像取得範囲Paで撮影される画像のズーム範囲の1.5倍のズーム範囲になるものとする。この時、図3(a)に示すように、第1画像取得範囲Paで撮影される画像のズーム範囲は70mmから300mmとなるが、第2画像取得範囲Pbで撮影される画像のズーム範囲402は第1画像取得範囲Paフォーマット換算で105mmから450mmとなる。つまり、撮像素子104が第2画像取得範囲Pbに設定されている場合は、第1画像取得範囲Paフォーマット換算で105mmから450mmのズームレンズを装着しているのと同じ画角の画像が得られることになる。ここで、第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbの切り替えは、制御部107のフォーマット切替部151の指令に応じて行われる。
【0048】
本実施形態に係る電子カメラ100は、撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbのいずれかに切り替えることができるので、電子カメラ100自体の実質的なズーム範囲は70mmから450mmとなる。特に、本実施形態に係る電子カメラ100は、図3(b)に示すように、撮影者が操作するズームレンズ102のズームリング308の操作範囲(70mmから300mmの位置)は変わらず、電子カメラ100で撮影される画像の実質的なズーム範囲を70mmから450mmにすることができる。例えば、ズームレンズ102のズームリング308の位置が300mmの位置にある場合は、電子カメラ100で撮影される画像の実質的なズーム位置は第1画像取得範囲Paフォーマット換算で450mmになり、ズームレンズ102のズームリング308の位置が70mmの位置にある場合は、電子カメラ100で撮影される画像の実質的なズーム位置も70mmになる。このように、撮影者はズームレンズ102のズームリング308を操作するだけで、電子カメラ100で撮影される画像の実質的なズーム範囲を70mmから450mmまで可変することができる。
【0049】
また、制御部107は、撮影される画像を画像取得範囲に応じたライブビュー画像として表示部109に表示するので、撮影者は表示部109を見ながらズーム操作を行うことができる。或いは、撮影者が光学式のファインダーで被写体を見ている場合は、制御部107は、ファインダー表示部109aの透明な液晶板に撮影される画像の画像取得範囲を枠で表示するので、撮影者はファインダーに投影される被写体のどの部分が画像取得範囲であるかを知ることができる。
【0050】
本実施形態に係る電子カメラ100の「ズーム操作モード」は通常の撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paまたは第2画像取得範囲Pbのいずれかに固定した通常のズーム操作モード以外に、以下に説明する3つの「ズーム操作モード」を有する。尚、これらの複数の「ズーム操作モード」は、ズームモード設定部152が表示するメニュー画面で撮影者によって選択される。
【0051】
[「第1ズーム操作モード」について]
第1のズーム操作モードについて図4を用いて説明する。図4において、ズームレンズ102のズーム範囲内(ワイド端ZWとテレ端ZTとの間)に第1閾値(第1焦点距離)Zaと第2閾値(第2焦点距離)Zbとを設ける。そして、第1閾値Zaより小さいズームリング308の位置では撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paに固定して光学ズームのみを使用し、第2閾値Zbより大きいズームリング308の位置では撮像素子104の撮影画角を第2画像取得範囲Pbに固定して光学ズームのみを使用する。さらに、第1閾値Zaと第2閾値Zbの間のズームリング308の位置では撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとの間で可変する電子ズームを併用する。例えば、図4において、ワイド端ZWを70mm、テレ端ZTを300mm、第1閾値Zaを105mm、第2閾値Zbを200mmとすると、ズームリング308の位置が70mmから105mmまでの間では撮像素子104の撮影画角は第1画像取得範囲Paとなり、ズームリング308の位置が200mmから300mmまでの間では撮像素子104の撮影画角は第2画像取得範囲Pbとなる。そして、ズームリング308の位置が105mm以上且つ200mm以下の間においては、撮像素子104の撮影画角は第1画像取得範囲Paから第2画像取得範囲Pbまで電子ズームを併用して可変する。尚、電子ズームは、後で詳しく説明するように、制御部107の電子ズーム制御部153によって処理される。
【0052】
次に、「第1ズーム操作モード」のズーム処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。尚、図5のフローチャートは、制御部107の動作を主体とし、制御部107の内部に予め記憶されたプログラムに従って処理される。また、電子カメラ100は既に電源が投入され、ライブビュー画像が表示部109に表示された状態になっている。また、ファインダー表示部109aの透明な液晶板には、表示部109に表示されたライブビュー画像と同じ画角の画像取得範囲が枠で表示された状態になっている。尚、ズームモード設定部152で「第1ズーム操作モード」が選択されているものとする。
【0053】
(ステップS101)制御部107は、「第1ズーム操作モード」のズーム処理を開始する。
【0054】
(ステップS102)制御部107は、レンズ制御部304からズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)を取得する。
【0055】
(ステップS103)制御部107は、ステップS102で取得したズーム位置が第1閾値Za以上か否かを判別する。ズーム位置が第1閾値Za以上の場合はステップS105に進み、ズーム位置が第1閾値Za以上でない場合はステップS104に進む。
【0056】
(ステップS104)制御部107は、撮像素子104の撮影画角として第1画像取得範囲Paを選択する。
【0057】
(ステップS105)制御部107は、ステップS102で取得したズーム位置が第2閾値Zb以下か否かを判別する。ズーム位置が第2閾値Zb以下の場合はステップS107に進み、ズーム位置が第2閾値Zb以下でない場合はステップS106に進む。
【0058】
(ステップS106)制御部107は、撮像素子104の撮影画角として第2画像取得範囲Pbを選択する。
【0059】
(ステップS107)制御部107は、ステップS102で取得したズーム位置に応じた画像取得範囲になるように第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとの間で電子ズーム処理を行う。ここで、制御部107の電子ズーム制御部153によって処理される電子ズームについて図6を用いて詳しく説明する。図6は、第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとの間の画像取得範囲を可変する様子を描いた説明図である。図4の例では、ズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)が105mmから200mmの間で電子ズームを行うので、図6に示す撮影画像の画像取得範囲が画像取得範囲Paの場合はズームレンズ102のズーム位置は105mmである。また、図6の画像取得範囲Pbの場合はズームレンズ102のズーム位置は200mmである。ここで、例えばズームレンズ102のズーム位置を135mmにした場合は、画像取得範囲Paより少し小さい画像取得範囲Pcを撮影画像の画像取得範囲とする。さらに、ズームレンズ102のズーム位置を165mmにした場合は、画像取得範囲Pcより少し小さい画像取得範囲Pdを撮影画像の画像取得範囲とする。ここで、本実施形態における撮像素子104から読み出せる画像取得範囲は画像取得範囲Paまたは画像取得範囲Pbのいずれかなので、電子ズームする際には、画像取得範囲Paの画像データを撮像素子104から画像バッファ106に一旦読み出しておき、制御部107が画像バッファ106から画像データを読み出す時にズーム位置に応じた画像取得範囲にトリミングして読み出す。或いは、CMOS型撮像素子などで読み出す画素のアドレスを任意に指定できる場合は、電子ズーム時の画像取得範囲に対応する画素の画像データだけをCMOS型撮像素子から読み出すようにしても構わない。
【0060】
このように、「第1ズーム操作モード」において、制御部107の電子ズーム制御部153はズームレンズ102のズーム位置に応じて電子ズームを行う。特に、この時、ズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)が変化しているので光学ズームも同時に行われている。つまり、電子ズームと光学ズームとが併用されたズーム操作が行われる。この結果、撮影者はズームリング308のズーム範囲内(70mmから300mmまで)で操作を行うだけで、実際に撮影される画像上では70mmから450mmまでの広域のズーム操作を連続して行うことができる。
【0061】
尚、図4において、ズームレンズ102のズームリング308の位置変化(105mmから200mmまで)と、実際に撮影される画像のズーム変化(105mmから300mmまで)とが直線的な比例関係になる場合について説明したが、曲線的に変化するようにしても構わない。例えば、ワイド側のズーム範囲を微調整したい場合は、ワイド側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が小さくなり、テレ側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が大きくなるように、曲線501のような特性にしても構わない。或いは、逆に、テレ側のズーム範囲を微調整したい場合は、テレ側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が小さくなり、ワイド側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が大きくなるように、曲線502のような特性にしても構わない。或いは、ズーム位置検出部309は必ずしも連続的にズームリング308の位置を検出するわけではないので、この検出特性が階段状に変化する場合は、これを補正するために、その逆特性の階段状に変化させても構わない。
【0062】
[「第2ズーム操作モード」について]
次に、「第2ズーム操作モード」について図7を用いて説明する。「第2ズーム操作モード」では、図7に示すように、ズームレンズ102の全てのズーム範囲内(ワイド端ZWとテレ端ZTとの間)において、ズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)に応じて撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとの間で可変する電子ズームを併用する。尚、図7の例では、図4と同様にワイド端ZWを70mm、テレ端ZTを300mmとする。
【0063】
図7において、ズームリング308の位置が70mmでは撮像素子104の撮影画角は第1画像取得範囲Paとなり、ズームリング308の位置が300mmでは撮像素子104の撮影画角は第2画像取得範囲Pbとなる。図4の場合と異なり、ズームリング308の全ての位置(70mmと300mmの間)において、撮像素子104の撮影画角は第1画像取得範囲Paから第2画像取得範囲Pbまで電子ズームを併用して可変される。尚、電子ズームは、図6で説明したように、ズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)に応じて、画像取得範囲Paと画像取得範囲Pbとの間を可変して撮影画像の画像取得範囲を得る。
【0064】
ここで、「第2ズーム操作モード」のズーム処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。尚、図8のフローチャートは、図5のフローチャートと同様に、制御部107の動作を主体とし、制御部107の内部に予め記憶されたプログラムに従って処理される。また、電子カメラ100は既に電源が投入され、ライブビュー画像が表示部109に表示された状態になっている。或いは、ファインダー表示部109aの透明な液晶板には、表示部109に表示されたライブビュー画像と同じ画角の画像取得範囲が枠で表示された状態になっている。尚、ズームモード設定部152で「第2ズーム操作モード」が選択されているものとする。
【0065】
(ステップS201)制御部107は、「第2ズーム操作モード」のズーム処理を開始する。
【0066】
(ステップS202)制御部107は、レンズ制御部304からズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)を取得する。この処理は、図5のフローチャートのステップS102と同じ処理である。
【0067】
(ステップS203)制御部107は、ステップS202で取得したズーム位置に応じた画像取得範囲になるように第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbとの間で電子ズーム処理を行う。この処理は、図5のフローチャートのステップS107と同じ処理である。つまり、ステップS202で取得したズーム位置に応じて電子ズームが併用され、例えば図7において、ズームレンズ102のズームリング308の位置を90mmにした場合は、画像取得範囲Paより少し小さい画像取得範囲となり、実質的に105mmの焦点距離のレンズで撮影した画角の撮影画像が得られる。同様に、ズームレンズ102のズームリング308の位置を210mmにした場合は、画像取得範囲Pbより少し大きい画像取得範囲となり、実質的に300mmの焦点距離のレンズで撮影した画角の撮影画像が得られる。
【0068】
ここで、先に説明した図4の「第1ズーム操作モード」では、ズームレンズ102のズームリング308の位置が70mmから105mmの間は実際に撮影される画像のズーム範囲も70mmから105mmで変わらないが、ズームレンズ102のズームリング308の位置が105mmから200mmの間では実際に撮影される画像のズーム範囲が105mmから300mmまで大きく変化する。この結果、ズームレンズ102のズームリング308の位置の105mmを境にズーム操作に対する実際のズーム変化の速度が急に変わるので、撮影者は違和感を感じる場合がある。これに対して、図7の「第2ズーム操作モード」では、ズームレンズ102のズームリング308の位置変化(70mmから300mmまで)と、実際に撮影される画像のズーム変化(70mmから450mmまで)とが比例関係になる。この結果、撮影者がズームレンズ102のズームリング308を変化させる速度に応じて、撮影される画像のズームが変化するので違和感なく自然な感覚で滑らかにズーム操作を行うことができる。
【0069】
このように、「第2ズーム操作モード」において、制御部107はズームレンズ102のズーム位置に応じて電子ズームと光学ズームとが併用されたズーム操作を行うので、撮影者はズームリング308のズーム範囲内(70mmから300mmまで)で操作を行うだけで、実際に撮影される画像上では70mmから450mmまでの広域のズーム操作を連続して行うことができる。
【0070】
尚、図7において、ズームレンズ102のズームリング308の位置変化(70mmから300mmまで)と、実際に撮影される画像のズーム変化(70mmから450mmまで)とが直線的な比例関係になる場合について説明したが、図4と同様に曲線的に変化するようにしても構わない。例えば、ワイド側のズーム範囲を微調整したい場合は、ワイド側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が小さくなり、テレ側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が大きくなるように、曲線503のような特性にしても構わない。或いは、逆に、テレ側のズーム範囲を微調整したい場合は、テレ側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が小さくなり、ワイド側の領域でズームリング308の位置変化に対するズーム変化が大きくなるように、曲線504のような特性にしても構わない。或いは、ズーム位置検出部309は必ずしも連続的にズームリング308の位置を検出するわけではないので、この検出特性が階段状に変化する場合は、これを補正するために、その逆特性の階段状に変化させても構わない。
【0071】
[「第3ズーム操作モード」について]
次に、「第3ズーム操作モード」について図9(a)および図9(b)を用いて説明する。「第3ズーム操作モード」では、図9(a)および図9(b)に示すように、ズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)に応じて撮像素子104の撮影画角を第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbのいずれかを選択する。「第3ズーム操作モード」では、「第1ズーム操作モード」や「第2ズーム操作モード」のように画像取得範囲を任意に可変する電子ズームを併用しない。
【0072】
尚、図9(a)および図9(b)の例においても、図4や図7と同様にズームレンズ102の光学ズームの範囲はワイド端ZWを70mm、テレ端ZTを300mmとする。また、図9(a)は、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合を示し、図9(b)は、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合を示している。
【0073】
図9(a)および図9(b)において、ズームリング308の位置が105mm以下では撮像素子104の撮影画角は第1画像取得範囲Paに固定となり、ズームリング308の位置が200mm以上では撮像素子104の撮影画角は第2画像取得範囲Pbに固定となる。また、図9(a)に示すように、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合は、ズームリング308の位置が200mm未満の範囲では第1画像取得範囲Paを維持し、ズームリング308の位置が200mm以上になった時に第2画像取得範囲Pbに切り替える。従って、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合は、実際に撮影される画像のズーム範囲は70mm以上200mm未満の範囲と、300mm以上450mm以下の範囲になる。一方、図9(b)に示すように、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合は、ズームリング308の位置が105mmより大きい範囲では第2画像取得範囲Pbを維持し、ズームリング308の位置が105mm以下になった時に第1画像取得範囲Paに切り替える。従って、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合は、実際に撮影される画像のズーム範囲は70mm以上105mm以下の範囲と、157.5mmより大きく450mm以下の範囲になる。
【0074】
このように、「第3ズーム操作モード」では、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合は実際に撮影される画像のズーム範囲の200mm以上300mm未満の範囲が無く、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合は実際に撮影される画像のズーム範囲の105mmから157.5mm以下の範囲が無い。但し、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合でも、一旦、撮像素子104の撮影画角が第2画像取得範囲Pbに切り替わった後で、ズームリング308の位置をワイド側に移動することにより、200mmから300mmに飛んだ部分のズーム範囲を利用することができる。同様に、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合でも、一旦、撮像素子104の撮影画角が第1画像取得範囲Paに切り替わった後で、ズームリング308の位置をテレ側に移動することにより、157.5mmから105mmに飛んだ部分のズーム範囲を利用することができる。
【0075】
ここで、「第3ズーム操作モード」のズーム処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。尚、図10のフローチャートは、図5のフローチャートと同様に、制御部107の動作を主体とし、制御部107の内部に予め記憶されたプログラムに従って処理される。また、電子カメラ100は既に電源が投入され、ライブビュー画像が表示部109に表示された状態になっている。或いは、ファインダー表示部109aの透明な液晶板には、表示部109に表示されたライブビュー画像と同じ画角の画像取得範囲が枠で表示された状態になっている。尚、ズームモード設定部152で「第3ズーム操作モード」が選択されているものとする。
【0076】
(ステップS301)制御部107は、「第3ズーム操作モード」のズーム処理を開始する。尚、撮像素子104の撮影画角は、初期値として第1画像取得範囲Paが選択されているものとする。
【0077】
(ステップS302)制御部107は、レンズ制御部304からズームレンズ102のズーム位置(ズームリング308の位置)を取得する。
【0078】
(ステップS303)制御部107は、ステップS302で取得したズーム位置が第1閾値Za以上か否かを判別する。ズーム位置が第1閾値Za以上の場合はステップS305に進み、ズーム位置が第1閾値Za以上でない場合はステップS304に進む。
【0079】
(ステップS304)制御部107は、撮像素子104の撮影画角として第1画像取得範囲Paを選択する。尚、既に第1画像取得範囲Paが選択されている場合は、これを維持する。
【0080】
(ステップS305)制御部107は、ステップS302で取得したズーム位置が第2閾値Zb以下か否かを判別する。ズーム位置が第2閾値Zb以下の場合はステップS307に進み、ズーム位置が第2閾値Zb以下でない場合はステップS306に進む。
【0081】
(ステップS306)制御部107は、撮像素子104の撮影画角として第2画像取得範囲Pbを選択する。尚、既に第2画像取得範囲Pbが選択されている場合は、これを維持する。
【0082】
(ステップS307)制御部107は、既に選択されている画像取得範囲を維持する。つまり、第1画像取得範囲Paが選択されている場合は第1画像取得範囲Paのまま維持し、第2画像取得範囲Pbが選択されている場合は第2画像取得範囲Pbのまま維持する。
【0083】
このように、「第3ズーム操作モード」において、制御部107はズームレンズ102のズーム位置に応じて、撮像素子104の第1画像取得範囲Paと第2画像取得範囲Pbの2つの撮影画角のいずれかに自動的に切り替え、常に光学ズームのみを利用する。この結果、ワイド側では撮像素子104の解像度を活かしながら高画質の画像を撮影することができ、且つ、テレ側においては450mmまでの高倍率のズームを利用することができる。しかも、撮影者は、ズームレンズ102のズームリング308を70mmから300mmまで操作するだけでよく、撮影中に撮影画角を切り替える特別な操作を行う必要がない。
【0084】
尚、図9(a)では、ズームリング308の位置が105mm以下の範囲からテレ側に移動する場合は、ズームリング308の位置が200mmで第2画像取得範囲Pbに切り替えるようにしたが、図11(a)に示すように、ズームリング308のテレ端位置の300mmで第2画像取得範囲Pbに切り替えるようにしても構わない。同様に、図9(b)では、ズームリング308の位置が200mm以上の範囲からワイド側に移動する場合は、ズームリング308の位置が105mmで第1画像取得範囲Paに切り替えるようにしたが、図11(b)に示すように、ズームリング308のワイド端位置の70mmで第1画像取得範囲Paに切り替えるようにしても構わない。これにより、撮像素子104の解像度を活かしながらズームレンズ102の光学ズーム範囲で高画質の画像を撮影することができ、且つテレ側においては450mmまでの高倍率のズームも利用することができる。
【0085】
このように、「第3ズーム操作モード」では、ズーム操作と撮像素子104の画像取得範囲の切り替え動作との関係にヒステリシスを持たせているので、あるズーム範囲内では光学ズームだけによる通常のズーム操作を実現しながら、且つ70mmから450mmの広域ズーム撮影にも対応することができる。
【0086】
以上、各実施形態で説明してきたように、本実施形態にかかる電子カメラ100は、光学式ズームレンズ102のズーム操作と、撮像素子104の2つの画像取得範囲の切替とを連動させることにより、自然なズーム操作を実現することができる。尚、本実施形態に係る電子カメラ100は、静止画像を撮影するスチルカメラだけでなく、動画像を撮影するビデオカメラやカメラ付き携帯電話などを含み、ズームレンズを用いて画像を撮影する全ての撮影装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
100・・・電子カメラ 101・・・カメラ本体
102・・・ズームレンズ 103・・・メカニカルシャッタ
104・・・撮像素子 105・・・AFE
106・・・画像バッファ 107・・・制御部
108・・・メモリ 109・・・表示部
109a・・・ファインダー表示部 110・・・メモリカードI/F
111・・・操作部 112・・・シャッタ駆動部
113・・・AEセンサ 114・・・AFセンサ
115・・・ミラー駆動部 116・・・絞り駆動部
117・・・モータ 118・・・タイミング発生部(TG)
151・・・フォーマット切替部 152・・・ズームモード設定部
153・・・電子ズーム制御部
201・・・ミラーボックス 202・・・焦点板
203・・・コンデンサレンズ 204・・・ペンタプリズム
205・・・接眼レンズ 206・・・ミラー
207・・・サブミラー 301・・・連動ピン
302・・・絞り 303・・・レンズ
304・・・レンズ制御部 305・・・フォーカス駆動部
306・・・モータ(M) 307・・・フォーカス位置検出部
308・・・ズームリング 309・・・ズーム位置検出部
310・・・接点コネクタ 311・・・ROM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2000−059667号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系ズームレンズのズーム位置を取得するズーム位置取得部と、
前記光学系ズームレンズを介して入射する被写体像を第1画像取得範囲または第2画像取得範囲で撮影する撮影部と、
前記ズーム位置取得部が取得するズーム位置に応じて前記撮影部で撮影する画像取得範囲を制御するズーム制御部と
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム範囲内に予め設定された第1閾値よりワイド側のズーム領域では前記第1画像取得範囲を選択し、前記光学系ズームレンズのズーム範囲内に予め設定された前記第1閾値よりテレ側に位置する第2閾値よりテレ側のズーム領域では前記第2画像取得範囲を選択し、前記第1閾値と前記第2閾値との間のズーム領域では前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲まで光学系ズームレンズのズーム位置に連動させて画像取得範囲を変える
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記光学系ズームレンズのワイド端のズーム位置を前記第1閾値とする設定および前記光学系ズームレンズのテレ端のズーム位置を前記第2閾値とする設定の少なくとも一方を行うことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲に切り替える第1閾値と、前記第2画像取得範囲から前記第1画像取得範囲に切り替える第2閾値とを設け、
前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム位置がテレ側方向に変化する場合は前記第1閾値で前記第1画像取得範囲から前記第2画像取得範囲に切り替え、前記光学系ズームレンズのズーム位置がワイド側方向に変化する場合は前記第2閾値で前記第2画像取得範囲から前記第1画像取得範囲に切り替える
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
前記第1画像取得範囲は、前記第2画像取得範囲よりも画像取得範囲が広いことを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
前記ズーム制御部は、前記光学系ズームレンズのズーム位置が変化する範囲内で制御することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−193377(P2010−193377A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38079(P2009−38079)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】