説明

電子シャワー発生装置

【課題】 従来公知のイオン風を放出する帯電エアーシャワー装置は、イオン風による遮蔽バリアは単数を、または組み合わせて所定の遮蔽空間を得ていたが、周囲空気、または空気に含まれる異物物質の誘引によってイオン風は次第に拡散され、進行成分が減衰されてしまうことを防止出来なかった。そのため帯電エアーシャワー装置の効果を十分に発揮できず、適用範囲は制約を受け用途は限られたものであった。
【解決手段】 電子発生装置の誘電空間Bと放電極6を互いに対峙した方向とほぼ直交する方向に一定の長さを具備させ、誘電空間Bの中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを発生させ、これら電子シャワー発生装置の電子の放出口である誘電極4の末端に細い線状の末端誘電極11を設け、あるいはこれら電子シャワーの放出口をその長手方向に平行に近接させ、あるいは交差させることによって電子シャワーの進行性能を増強させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明はマイナス、またはプラスのイオン(以下単に電子という)を放出させる電子シャワー発生装置(以下単に電子シャワーという)に関する。詳しくは膜状に放射する電子シャワーによって周辺空間を分断させ、有形の壁やシート状カーテンなどの遮蔽材によらず、無形の電子シャワーによって遮蔽が必要な選択空間を創生するもので電子シャワーの吹出口に長手方向の長さを持たせ、電子シャワーの吹き出す誘導電極末端の長手方向に細い線状の末端電極を具備させたり、電子シャワーの吹き出す少なくともニ、またはすれ以上の複数組の誘導電極を近接平行に併設させ、または近接平行に併設させた電子シャワーの放出延長線を互いに交差させ、少なくともニ、または複数組の電子シャワーを任意位置に交差、偏向させることによって、より簡単に従来にない高い遮蔽面を得る電子シャワーに関する。
【背景技術】
【0002】
この発明に関する従来公知の技術は、たとえば
【特許文献1】特開2002−095998号公報があり、帯電エアーシャワーと称する荷電誘引空気の流れと局所排気装置との協働作用によって清浄な遮蔽空間を構築するとの説明がある。しかしながら、この局所清浄化システムではイオン風による誘引空気の流れの拡散によって到達距離の減衰を伴ない遮蔽効果の及ぼす清浄化空間の大きさはきわめて限られたものとなってしまう。また本発明でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって強力な前進成分を持った遮蔽面を得ようとするものではない。
【0003】
また
【特許文献2】特開2001−317785号公報には除電機能と換気機能を併用した換気装置の記載があるが、本願でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって強力な遮蔽面を得ようとするものではない。
【0004】
次に
【特許文献3】特開昭60−197254号公報には空気イオン含有量を制御する方法と装置で陽イオンと陰イオンの発生位置を周期的に制御して空気中のイオン含有量の制御に関するものであって、これも本発明でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって強力な遮蔽面を得ようとするものではない。
【0005】
次に
【特許文献4】特開昭61−220747号公報には線状陰極の軸心に平行、左右対称の平板上の陽極に陰極部に設けた空気吸込口から左右に分流した空気の汚れを陰極に沈着させるようにした静電式空気清浄器に関するものであって、これも本発明でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって強力な遮蔽面を得ようとするものではない。
【0006】
次に
【特許文献5】実開平3−19523号公報には天井部の空気吹き出しとテーブル、または下部床面に設けた吸気口との組み合わせによる喫煙ユニットに関するもので、これも本発明でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって遮蔽面を得ようとするものではない。
【0007】
次に
【特許文献6】特開平2−159279号公報には自己調整型空気イオン化装置と題して、電極に印加する高電圧発生装置と空気イオン化装置の電圧調整に関する装置が開示されているが、本発明でいう吹出口の長手方向に近接平行させた複数の電子シャワーによって強力な遮蔽面を得ようとするものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術は前記「背景技術」に記載のとおり、イオンを併用した集じん気流を利用したり、その集じん気流をフィルターでろ過清浄するものであって、その集じんに必要な空気流を得るために所要動力が大きかったり、風車の回転音、風きり音などが騒音の原因となり、そのため設置場所には自ずから制約を受けざるを得なかった。
【0009】
また、電子エアーシャワーと称する複数の誘引風を周囲に組合せて包囲し清浄な遮蔽空間の構築や局所清浄化システムを得ようとするもので、電子エアーシャワーによる周囲の誘引空気によって電子エアーシャワーの前進成分は減衰し、その到達距離は制限されたものとなり必要な清浄な遮蔽空間を得るには大きさに制約を受けざるを得なかった。
【0010】
また、この電子エアーシャワーの流れを補強するために線状ではなく面状にすべく放電極と放電極を共に細長く配置させる技術も存在するが、面状の電子エアーシャワーの流れは、なお誘引気流により拡散され気流の進行成分の減衰は大きく、到達距離はなお数メートルの範囲を超える事はできない小さなものであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明の1項は、誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に相反する極性の電荷を付加し誘電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、前記誘電極の末端付近に誘電極の長手方向と平行に細い線状の末端誘電極を具備させて電子シャワーの前進成分を強化するものである。
【0012】
また本発明の2項では、誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に相反する極性の電荷を付加し誘電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いに長手方向に平行に近接させることによって、電子シャワーの前進成分をより強化するものである。
【0013】
また本発明の3項では、誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に相反する極性の電荷を付加し誘電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いに長手方向に平行に近接、かつ、これら電子シャワーの放出する中心線の延長が互いに交差するように構成することによって、電子シャワーの前進成分をより強化するものである。
【0014】
また本発明の4項では、誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に相反する極性の電荷を付加し誘電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する膜状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いに長手方向に平行に近接、かつ、これら電子シャワーの放出する中心線の延長が互いに交差するように少なくとも一、または複数組の電子放出の電子シャワー発生装置が任意に偏向できる構成とすることによって、電子シャワーの前進成分をより安定的に、適材適所に対応、強化するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に関連した従来技術は前記「背景技術」に記載のとおりであるが、元となる電子の飛散発生とその誘導に関する代表的な公知のモデルを図6において説明する。ここでは針状または突起状の放電極1と、同じ中心線2に間隔をおいて長さのある誘電極3を配置し誘電極3の内部を誘電空間Aとする。そして互いに相反する極性の高圧電気をそれぞれに荷電すると、プラズマ放電にいたる手前の電圧までは放電極1から誘電極3の内部の誘電空間Aに向かって電子が放射される、放射された電子の一部は誘電極3に到達するが、まだ多くの電子は誘電空間Aを貫通、通過して誘電極3の末端からも勢いよく放出される。放出された電子シャワーDの流れは周囲空気の分子、空気中に存在するその他の匂い・悪臭などのガス分子、浮遊異物粒子、浮遊細菌などの混在した空気(以下単に空気という)を誘引し合流を繰る返し、次第に前進性能が減衰してゆく。
【0016】
この電子の流れ成分を見えない遮蔽物とみなして従来技術がいくつか紹介されている。代表的な公知例を図7において説明すると、針状突起10を備えた放電極6と誘電極4は中心線5と直交する方向Cに長さを持たせ、したがって放電極6と誘電極4は方向Cに長さを持ち、電子の流れは或る幅をもった面状の電子シャワーDになる。しかしながら前記誘引された電子の空気による流れ成分の減衰は大きく、産業上利用できる範囲、すなわち、たとえば空気の流れに換算した測定風速値は0.3m/sくらいが低いところでの実用限度とされる。後にのべる実施例の装置からの到達距離は2.0ないし2.5mくらいである。
【0017】
本発明においては、電子シャワーの進行性能を連続してより強力にできるようにしたもので、誘電空間を内包した導電材でなる誘電極とその誘電極の末端に細い線状の末端誘電極を設け、その誘電空間の中心線の延長線上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に互いに相反する極性の電荷を付加し放電極から電子を放出させ、放出した電子は誘電極の方向に誘引され誘電極の中心を勢いよく貫通する電子の流れが進行する。この貫通して誘電極から飛び出した電子の流れは周囲の空気分子を誘引しながら、なおも進行し、従来技術に比べ面状電子の流れの進行性能は格段に改善されたことが確認できる。
【0018】
本発明の1項は図1、図2に示すように誘電極4aと4b(以下、同じ構成名称は省略し符号のみ記載する)とその中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する長手方向CaとCbに一定の長さ7aと7bを有し間隙Gをもって平行近接して具備させ、誘電空間BaとBbの中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbを平行に近接し併設することで、連続して強力に発生させるように構成したものである。
【0019】
また、誘電極4aと4bの末端には誘電極4aと4bの長手方向CaとCbに平行して細い線状の末端誘電極11aと11bを設け、電子シャワーDaとDbの誘引性能を高めている。
【0020】
また本発明の2項は、図3に示すように誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bをその中心線5aと5bの延長線上で互いに交差するように構成し、具備した誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbの放射する延長線上のE点で交差合流し合体した一枚の面状の電子シャワーDcを連続して発生させるように構成したものであり、この交差合流により合体した面状の電子シャワーDcは前進性能が格段に向上し、たとえば、前述と同様にして装置からの到達距離は3.0ないし3.8mに向上した。
【0021】
また本発明の3項は、図4,図5に示すように誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bをその中心線5aと5bの延長線上で互いに交差するように構成して具備させ、誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbが交差合流させ合体して一枚の電子シャワーDcが連続して発生させるように、それぞれの電子シャワーDaとDbの電子の流れに支障ない長さ方向の端部において、それぞれ独立した、たとえば共通のヒンジピン8と固定ネジ9aと9bで構成される偏向機構Ra、Rbを具備して任意に偏向設定できる公知の機構でもって構成すればよい。
【0022】
本発明においては、いわゆる従来技術の電子エアーシャワーのように空気の流れを積極的には利用しない、すなはち空気を送るためのファンなどを必要条件として利用しないので、ファンなどによる強い空気流、すなわち風の音がせず、全く静かであり、ファン駆動のための騒音は無く、大きな駆動動力をも必要とせず、各放電極と誘電極に付加する電圧電力のみで運転でき、したがって所要電力はきわめて少なくてすみ、何より静粛できわめて経済的であることが挙げられる。
【0023】
本発明は図1、図2に示すように誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bを、それぞれ平行に接近して具備させ、誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbが並行に近接させ、連続して発生できるように構成する事によって、近接平行して連続発生する電子シャワーDaとDbの相乗効果により放出勢力は増強され、従来技術の、たとえば1枚の電子シャワーの実用的な到達距離が2ないし2.5mであったものが、本発明による近接平行して連続発生する電子シャワーの相乗効果により放出勢力は増強され、たとえば近接平行した2枚の電子シャワーによって実用的な到達距離が3ないし3.8mと放出勢力は増強された。
【0024】
また、図3に示すように誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bをその中心線5aと5bの延長線上で互いに交差させ、かつ交差させる位置を任意に設定できる事によって周囲空間の種々な状況の変動に対処し、きわめて簡単に、増強された放出勢力の到達距離を得る事ができる。
【0025】
そして誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbが交差合流して合体した一枚の電子シャワーDcを連続発生させるようにしたことにより放出勢力は増強され、たとえば従来技術の、1枚の電子エアーシャワーの実用的な到達距離が2ないし2.5mであったものが、本発明による近接平行して連続発生する電子シャワーの相乗効果により放出勢力は増強され、たとえば近接平行した2枚の電子カーテンによって実用的な到達距離が3ないし3.8mと放出勢力は増強された。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0026】
本発明の「請求項1」の実施例を図1、図2において説明すると、誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bを設け、それぞれ一定の間隙Gで、その中心線5aと5bを平行になるように構成して具備させ、誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbを発生させ、たとえば誘電極4aと4bにプラス、放電極6aと6bにマイナスの電圧を連続した既知の荷電装置を用いて荷電させる。
【0027】
誘電極4aと4bの放電極6aと6bとは反対側の末端部には長手方向CaとCbと平行にそれぞれ数本の細い線状の末端誘電極11aと11bが電子シャワーDaとDbの流れに抵抗にならないようにして電気的にも誘電極4aと4bと連結し具備されており、丸材・平材・線材などのいずれの断面形状でも良いが、その表面は滑らかで電子シャワーDaとDbの誘電性能を増し、流れを阻害せず電子シャワーDaとDbの進行能力を増強する点でより望ましい。
【0028】
また放電極6a、6bには針状の突起10a、10bを挟持、または溶接、その他の接合でよい。本発明の実施例では放電極6aと6bと誘電極4aと4bとは約40mm、放電極6a、6bは、それぞれが80mmの誘電空間Ba,Bbを持ち,相互の間隔は11は2080mm、誘電極4a、4bの長手方向7a、7bは それぞれ850mm、中心線5a、5bと平行な長さ12a,12bはそれぞれ100mmである時、放電極6a、6bに2万ボルトのマイナス電荷を供給し、誘電極4a、4bに同じ2万ボルトのプラス電荷を供給する。これ以上電圧を高くすると空間でプラズマ放電を起し電流は上昇し、かつ不安定な状態になる。また、低い電圧では放出電子が少なく所望の電子発生量が得られない。
【0029】
次に「請求項2」の実施例を図3において説明すると、放電極6a、6bと誘電極4aと4bとの共通の中心線5aと5bの延長線上で互いに交差させるように、それぞれの誘電極4aと4b,その中心線5aと5bの延長上に配置された放電極6aと6bをその誘電空間BaとBbと放電極6aと6bを互いに対峙した方向とは直交する方向CaとCbに一定の長さ7aと7bをその中心線5aと5bの延長線上で互いに交差するように構成し、具備した誘電空間BaとBbのそれぞれ中心に向かって貫通する面状の電子シャワーDaとDbの放射方向線上がE点で交差合流して合体した一枚の膜状の電子シャワーを誘起形成させるべく、交差合流のE点の位置調節を任意に調整、維持するべく放電極5a,5bと誘電極4aと4b,その中心線5aと5bを共に共有する偏向中心に、図示する、たとえばヒンジピン13とヒンジアーム14a,14bを誘電極4aと4bに設け、また誘電極4aと4bの他方にセットアーム15a,15bをセットフレームRa、Rbの両端部の長穴に図示省略のボルトなどで適宜固定するようにすればよく、任意セットの実施方法は公知の種々の形態を採用でき、図面例示に限定されるものではない。
【0030】
また、放電極6aと6bと誘電極4aと4bに荷電させる高圧電源装置はこれも公知の電源装置を適用可能である。
【0031】
図4、図5は本発明の他の実施例を示し、図5は図4のY−Y断面図を示すが、ケース20の一側には人の手などが入らないようにした空気の流通自在の安全グリル21が設けられ、他側には細長い底のない枠型の誘電極4a,4bとこれを絶縁留め具25a,25bを介して誘電極フレーム24a,24bが安全グリル22a,22bと共にネジ、あるいはロック用レバーを利用したグリル取り付け具23でケース内に収納できるように取り付けられている。放電極6a,6bは誘電極4a,4bのそれぞれの中心線5a,5b延長上に図示されていないが絶縁を保って誘電極4a,4bに取り付けられ、ケース20内に設けられた放電極用弾力接点16a,16bおよび誘電極用弾力接点17a,17bにそれぞれの放電極、誘電極がケース内に収納された状態で電気的に導通の状態になるように接合されるように具備されている。
【0032】
絶縁留め具25a,25bと誘電極フレーム24a,24bと安全グリル22a,22bとグリル取り付け具23などについて図4、図5においては部位を示し、詳細は公知のもので実施例できる。
【0033】
ケース20内には高圧電源装置18が収納され前述の放電極用弾力接点16a,16bおよび誘電極用弾力接点17a,17bにそれぞれ必要電圧が図示されない配線でもって配電され、高圧電源装置18付近のケース20外部には高圧電源部を操作するスイッチやボリュームつまみなどの必要な電気操作部品が設けられている。
【0034】
またケース20の他の側面には必要に応じ、吊り下げ具とか、壁などへの取り付け具などが取り付けられるが、両側の安全グリル22a,22bを閉鎖しないように考慮されなければならない。なお、本発明の実施にあたり、より良い効果を得るために電子カーテンの前進成分が誘引気流に拡大、分散により減衰する実用範囲で、その電子カーテンの前進成分が存在する距離に、吸引成分が低い、換言すれば低い吸引性能の排気設備を必要に応じ併設することは妨げないが、必要不可欠の要件ではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の最も大きな特徴は電子カーテンそのものが目に見えない、形のない、空気の流れすら感じる事がない位、ゆるやかで、しかも透明な電子の流れで必要空間を遮蔽することができることである。したがって、この発明は、遮断したい空間との間の、たとえば上方、天井などに実施例の本体を設置し下方に向けて 電子カーテンを放射させると、放射される電子イオンは目に見えないがその向こう側との間には透明の幕があるがごとくに空気の流れは自由に往き来できないので、たとえば空気中に存在する匂い、悪臭、煙、浮遊微粒子などの排除、細菌に対する不活性化除菌など、静寂な環境下で遮断が実施できる。ただし、本発明の電子カーテンは電子の流れだけに頼るので電動機などを適用した風車、ファンのような風量、風圧はなく、電子の流れだけで目的を果たせるような室内、空気調節の風量などのきわめて少ない箇所に適用して本発明の実施効果が発揮できる。
【0036】
たとえば調理場と見通しのある、向かい合った客席、その間にある食卓台匂いは客席には流れないし、客席の各種匂いのたぐい、タバコの煙すら調理場には全く流れの天井に本発明の電子カーテンを設置すると、調理場のない、しかもファンなど強制的な排気はその間にはないので風も感じないし、電力もきわめて極小である。もちろん調理場だけの、あるいは客席側の従来の換気扇はそのまま、本来の目的によって設備されておればよい。身近な例ではあるが全く音がないので、静かで匂いや煙などの往き来がなく、電子カーテンを物品の往き来に何の障害もない不思議な世界を具現させることができ、この実施例はいかにも分かりやすく本発明の特徴を説明できている。
【0037】
すなわち本発明の実施は、動力を使用せず、運転騒音、不快なノイズなどが全く無いので、たとえば調理厨房室、喫煙室、薬品室、ミストや蒸気、ホコリなどの発生箇所との遮断などには、静寂な環境のもとできわめて経済的に得られる。また人体などに触れても、その存在感はなく、人に全く不快感を与えないものである。
【0038】
また本発明の特徴である電子カーテンの複数列の平行併設にそれぞれ電子の流出方向を可変偏向できることを応用し、電子カーテンの設置位置はそのままで交差合流後の電子カーテン流れ方向を任意に偏向できる。これは電子カーテンの設置場所に固有のわずかな気流の流れがある場合に、その流れに抗して、あるいはその流れに合わせて特別な装置を設置せずして任意に必要な気流の流れを創出できる。
【0039】
本発明の実施は、規模の大きなものでは、たとえば医学治療分野、医薬品製造管理分野、精密加工分野、食品製造貯蔵分野、脱臭室、香水製造調合分野など、外部風の存在しない、室内での補助的な、いわゆるクリーンルームへの適用にも用途を広げられるなど、産業上の利用の可能性はきわめて拡大するものと考察する。
【0040】
また、電子カーテンの電子の流れに誘引された空気に含む異物質の排気を必要とするような場合でも、小規模の排気設備でよいので、その運転に伴う騒音、不快感は最低限に抑制され「人にやさしい」経済的にきわめて有効な環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例
【図2】 図1、X−X断面の長手方向展開図
【図3】 この発明の第2、第3の実施例
【図4】 この発明の第4の実施例
【図5】 図4、Y−Y断面の長手方向展開図
【図6】 本発明の基礎となった原理説明図
【図7】 本発明に関連する公知技術の説明図
【符号の説明】
A・・・誘電空間
B、Ba、Bb・・・誘電空間
C、Ca、Cb・・・長手方向
D、Da、Db、Dc・・・電子シャワー
E・・・交点
Ra、Rb・・・偏向機構
G・・・間隙
1・・・放電極
2・・・中心線
3・・・誘電極
4、4a、5b・・・誘電極
5a、5b・・・中心線
6、6a、6b・・・放電極
7a、7b・・・長手方向
8・・・ヒンジピン
9a、9b・・・固定ネジ
10、10a、10b・・・針状突起
11a、11b・・・末端誘電極
13a、13b・・・ステイアーム
12a、12b・・・平行な長さ
14a、14b・・・ヒンジアーム
15a、15b・・・セットアーム
16a、16b・・・放電極用弾力接点
17a、17b・・・誘電極用弾力接点
18・・・高圧電源装置
19・・・電源操作部
20・・・ケース
21a、21b・・・安全グリル
22a、22b・・・安全グリル
23・・・グリル取り付け具
24a,24b・・・誘電極フレーム
25a,25b・・・絶縁留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に互いに相反する極性の電荷を付加し放電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、前記誘電極の末端付近に誘電極の長手方向と平行に細い線状の末端誘電極を具備させたことを特徴とした電子シャワー発生装置
【請求項2】
誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に互いに相反する極性の電荷を付加し放電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いの長手方向に平行に近接させたことを特徴とした電子シャワー発生装置
【請求項3】
誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に互いに相反する極性の電荷を付加し放電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いの長手方向に平行に近接させ、かつ、これら電子シャワーの放出する中心線の延長が互いに交差するように構成したことを特徴とした電子シャワー発生装置
【請求項4】
誘電空間を内包した導電材でなる誘電極と、その誘電空間の中心線の延長上に配置された導電材でなる放電極と、これら両極に互いに相反する極性の電荷を付加し放電極から誘電空間に電子シャワーを連続して放出させるように構成した電子発生装置であって、その誘電空間と放電極を互いに対峙した方向とは、ほぼ直交する方向に一定の長さを具備させた誘電空間と放電極を設け、その長さを有する誘電空間の中心方向に向かって貫通する面状の電子シャワーを連続して発生させ、これら電子シャワーの放出口を互いの長手方向に平行に近接させ、かつ、これら電子シャワーの放出する中心線の延長が互いに交差するように少なくとも一、または複数組の電子放出の電子シャワーが任意に偏向できる構成を具備したことを特徴とした電子シャワー発生装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−27070(P2007−27070A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230038(P2005−230038)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(598140700)愛国機械株式会社 (1)
【Fターム(参考)】