説明

電子デバイス用パッケージ

【課題】 ハンダへのクラックの発生を軽減する。
【解決手段】 平板状の基板部と、この基板部の外周に設けられて凹部を形成する枠部と、前記凹部内であって前記基板部内に設けられる2つ一対の搭載パッドと、前記2つ一対の搭載パッドと電気的に接続し前記基板部の前記枠部が設けられる主面とは反対側の主面に設けられる外部接続端子と、を備え、前記外部接続端子が略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子部品が搭載される電子デバイス用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子デバイスは、例えば、素子部品と、この素子部品が搭載されるパッケージと、素子部品を封止する蓋部材とから構成される。この電子デバイスの例として水晶振動子について説明する。
【0003】
図5(a)に示すように、水晶振動子200は、電子デバイス用パッケージである素子搭載部材210と、素子部品である水晶振動素子220と、この水晶振動素子220を封止する蓋部材230とから主に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
水晶振動素子220は、所定のカットアングルで加工された平板状の水晶片221と、この水晶片221の両主面に対向して設けられる励振電極222と、これら励振電極222と接続し水晶片221の一方の端部へ引き回して設けられる2つ一対の接続端子223とから構成されている。これら接続端子223に電圧を印加することで、励振電極222が設けられた部分が振動するようになっている。
このように構成される水晶振動素子220は、凹部211を有する素子搭載部材220に導電性接着剤Dを介して搭載される。
【0004】
電子デバイス用パッケージである素子搭載部材210は、例えば、セラミックが用いられ、一方の主面に凹部211を有しており、その凹部211内に水晶振動素子220を搭載するための搭載パッドPが2つ設けられている。
また、この素子搭載部材210は、他方の主面に外部接続端子212が少なくとも2つ設けられている。それぞれの外部接続端子212は、素子搭載部材210の内部に設けられる内部配線(図示せず)を介して別々に搭載パッドPと電気的に接続される。
【0005】
蓋部材230は、例えば、平板状の金属部材が用いられ、素子搭載部材210の凹部211を塞ぐ大きさで形成されている。この蓋部材230は、素子搭載部材210に例えば真空雰囲気中で接合されて凹部211を封止する。
【0006】
したがって、水晶振動子200は、素子搭載部材210の凹部211内に設けられた搭載パッドPに導電性接着剤Dを介して水晶振動素子220が搭載された状態で、蓋部材230で凹部211を封止した状態となっている。
【0007】
ここで、素子搭載部材210に設けられる外部接続端子212について説明する。
外部接続端子212は、図5(b)に示すように、例えば、四角形状で形成されており、素子搭載部材210の短辺側に寄せて形成される。また、水晶振動子が搭載されるマザーボードなどの基板に設けられた四角形状となる電子デバイス用実装パッドは、水晶振動子の外部接続端子212よりも大きく設けられている。そのため、外部接続端子212が四角形状で形成されることで、水晶振動子200は、ガラス−エポキシが用いられるマザーボードなどの基板(図示せず)に設けられた電子デバイス用実装パッドに収まる形となり、実装が容易となる効果がある。
【0008】
基板への水晶振動子200の実装は、例えば、水晶振動子200の素子搭載部材210に設けられた外部接続端子212と、基板に設けられた電子デバイス用実装パッドLとがハンダを介して接合されることで行われる。
例えば、具体的には水晶振動子200の実装は、基板に設けられた所定の電子デバイス用実装パッドLにスクリーン印刷でクリームハンダを塗布しておき、このクリームハンダの上に水晶振動子の素子搭載部材を載置する。この状態で所定の温度で加熱しその後冷却すると、クリームハンダは固化して基板と水晶振動子とを接合させる。
このとき、クリームハンダは、加熱により電子デバイス用実装パッドLおよび外部接続端子212の全面にぬれ広がり、冷却の際にぬれ広がった範囲の中心側に寄る傾向がある。
【0009】
ここで、ハンダは、加熱されることにより電子デバイス用実装パッドLの全面と、外部接続端子212の全面と、水晶振動素子の素子搭載部材210の側面の一部の面とにぬれ広がることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−005027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電子デバイス用パッケージである素子搭載部材は、基板とは材質が異なるため、熱膨張係数も異なる。
電子デバイス用実装パッドLおよび外部接続端子212は、図6に示すように、四角形状に形成されているので、冷却の際に四角形状の角部分に位置しているハンダもぬれ広がった範囲の中心側に寄ろうとすると推測される。これにより、従来の水晶振動子200に用いられる電子デバイス用パッケージ210は、基板へ実装した後に応力が外部接続端子212の角部分213で増大すると考えられる。
また、従来の電子デバイス用パッケージである素子搭載部材は、例えば、電子デバイスの使用環境において、加熱と冷却が繰り返されることとなるが、加熱と冷却が繰り返されることで基板、電子デバイス用実装パッドL、電子デバイス用パッケージ210、外部接続端子212、それぞれ膨張と収縮を繰り返すこととなる。この繰り返してなされる膨張と収縮により、外部接続端子212の角部分よりハンダにクラックが入り、広がっていくと推測される。
ハンダにクラックが生じるということは、基板から水晶振動子へ電気が流れにくくなり、或いは、電気が流れなくなり、水晶振動子が発振しなくなる恐れがある。
【0012】
そこで、本発明では、前記の問題を解決し、ハンダへのクラックの発生を軽減する電子デバイス用パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電子デバイス用パッケージは、平板状の基板部と、この基板部の外周に設けられて凹部を形成する枠部と、前記凹部内であって前記基板部内に設けられる2つ一対の搭載パッドと、前記2つ一対の搭載パッドと電気的に接続し前記基板部の前記枠部が設けられる主面とは反対側の主面に設けられる外部接続端子と、を備え、前記外部接続端子が略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子デバイス用パッケージは、平板状の基板部と、前記基板部の一方の主面内に設けられる2つ一対の搭載パッドと、前記2つ一対の搭載パッドと電気的に接続し前記基板部の一方の主面とは反対側となる他方の主面に設けられる外部接続端子と、を備え、前記外部接続端子が略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の電子デバイス用パッケージによれば、外部接続端子の角部分を曲線形状にしたので、基板への実装の際にハンダが外部接続端子の角部分への応力の集中が軽減され、
ハンダにクラックが入りにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の第一の実施形態に係る電子デバイス用パッケージの表側の一例を示す斜視図であり、(b)は本発明の第一の実施形態に係る電子デバイス用パッケージの裏側の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイス用パッケージの外部接続端子の一例を示す模式図である。
【図3】外部接続端子にハンダを設けた状態の一例を示す概念図である。
【図4】(a)は本発明の第二の実施形態に係る電子デバイス用パッケージの表側の一例を示す斜視図であり、(b)は本発明の第二の実施形態に係る電子デバイス用パッケージの裏側の一例を示す斜視図である。
【図5】(a)は従来の電子デバイスである水晶振動子の一例を示す断面図であり、(b)は従来の電子デバイスである水晶振動子の外部接続端子の一例を示す模式図である。
【図6】従来の電子デバイスである水晶振動子の外部接続端子にハンダを設けた状態の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。また、説明を明確にするために、発明の構成を誇張して図示している。
【0018】
(第一の実施形態)
図1(a)及び(b)に示すように、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイス用パッケージ100は、基板部10、枠部20、搭載パッド30、外部接続端子40から主に構成されている。
【0019】
基板部10は、例えばセラミックが用いられ、平板状に形成されている。
この基板部は、短辺側に凹形状のキャスターレーションが設けられており、キャスターレーションの端部と長辺とが接近した状態で形成されている。例えば、キャスターレーションの端部と長辺との幅は、基板部10の強度が低下しない程度に接近させるのが良い。
なお、このキャスターレーションは、その長さ部分を、基板部10の短辺の一部とする。
枠部20は、例えばセラミックが用いられ、この基板部10の外周に沿って設けられて凹部21を形成する。なお、基板部10と枠部20とは一体で形成されている。
【0020】
搭載パッド30は、2つ一対で設けられ、凹部11内であって基板部10の短辺側に寄せて設けられる。
この搭載パッド30は、例えば金が用いられ、基板部10の表面に設けられた下地金属の表面上に形成される。
【0021】
外部接続端子40は、2つ一対の搭載パッド30と電気的に接続し基板部10の枠部20が設けられる主面とは反対側の主面に設けられる。この外部接続端子40は、略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されている。
【0022】
ここで、外部接続端子40は、例えば、2つ一対で設けられ、一方の外部接続端子40が一方の搭載パッドと基板部10内に設けられる内部配線(図示せず)を介して電気的に接続しており、他方の外部接続端子40が他方の搭載パッドと基板部10内に設けられる別の内部配線(図示せず)を介して電気的に接続している。
【0023】
このような外部接続端子40は、図2に示すように、四角形状に形成される基板部10の平行する2つの短辺側に分けて1つずつ設けられている。このとき、外部接続端子40は、略四角形状の一辺を基板部10の短辺の縁に合わせて形成される。本実施形態においては、キャスターレーションの長さに合わせて外部接続端子40の一辺の長さが決定されている。また、外部接続端子40は、基板部10の内側に位置する2つの角部分において、直角に形成せずに曲線形状で形成される。例えば、この角部分は、所定の半径Rで曲線形状を形成することができる。
また、外部接続端子40は、直角となる角部分が減少し、外部接続端子40の角部分への応力の増大を軽減することができる。なお、外部接続端子40の基板部10の短辺側に設けられる直角となる角部分は、図示しない基板に搭載された際に、外側にはみ出るハンダとつながるため、発生する応力が小さくなる。
【0024】
このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイス用パッケージ100は、図3に示すように、外部接続端子40の角部分を曲線形状にしたので同じ温度変化で膨張の度合いが異なるが、そのような場合でも、外部接続端子40の角部分に外部接続端子40の曲線形状となる角部分に応力が集中するのを軽減させることができる。
電子デバイス用パッケージ100とマザーボードなどの基板の膨張度合は、同じ温度変化であってもたいていの場合異なり、膨張する際のハンダへのストレスも、収縮する際のハンダへのストレスも軽減させることができる。
そのため、ハンダにクラックが入るのを軽減させることができる。
また、基板部10に設けられる外部接続端子40の直角となる角部分が減少し、外部接続端子40の角部分への応力の増大を軽減することができる。
【0025】
(第二の実施形態)
図4(a)および(b)に示すように、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイス用パッケージ101は、枠部がなく、基板部10、搭載パッド30、外部接続端子40から主に構成されている点で第一の実施形態と異なる。
【0026】
基板部10は、四角形状であって平板状に形成されており、一方の主面内に2つ一対の搭載パッド30が設けられ、搭載パッド30と電気的に接続し基板部10の一方の主面とは反対側となる他方の主面に外部接続端子40が設けられている。
この外部接続端子40は、略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されている。
【0027】
なお、基板部10に設けられる搭載パッド30と外部接続端子40の構成は、第一の実施形態と同様である。
したがって、このように本発明の第二の実施形態に係る電子デバイス用パッケージ101を構成しても第一の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0028】
なお、本発明は、適宜変更して用いることが出来る。
例えば、搭載パッドに搭載される電子部品は、水晶振動素子以外に、集積回路素子、コンデンサー、サーミスタ、水晶以外の圧電素子などのチップ部品を搭載しても良い。
また、外部接続端子は、基板部10側の短辺側の角部分も曲線形状で設けても良い。
また、本発明の電子デバイス用パッケージは、モジュールで用いられる電子デバイスの基板への実装側の接続部品として用いても良い。
【符号の説明】
【0029】
100 電子デバイス用パッケージ
10 基板部
20 枠部
30 搭載パッド
40 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板部と、
この基板部の外周に設けられて凹部を形成する枠部と、
前記凹部内であって前記基板部内に設けられる2つ一対の搭載パッドと、
前記2つ一対の搭載パッドと電気的に接続し前記基板部の前記枠部が設けられる主面とは反対側の主面に設けられる外部接続端子と、
を備え、
前記外部接続端子が略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されていることを特徴とする電子デバイス用パッケージ。
【請求項2】
平板状の基板部と、
前記基板部の一方の主面内に設けられる2つ一対の搭載パッドと、
前記2つ一対の搭載パッドと電気的に接続し前記基板部の一方の主面とは反対側となる他方の主面に設けられる外部接続端子と、
を備え、
前記外部接続端子が略四角形状に形成され、角部分が曲線形状で形成されていることを特徴とする電子デバイス用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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