電子ペーパー及び送り装置
【課題】 曲げ応力等により電子ペーパーEPを性能を劣化させることなく送り処理することを実現して、電子ペーパーEPと用紙Pとを分け隔てすることなく使用できる環境を実現する。
【解決手段】 送り装置は、ストッカ35から排出された用紙Pを折り返しローラ41で曲げて、曲折した送り経路で用紙をトレイ42へ送る一方、ストッカ35から排出された電子ペーパーEPは折り返しローラ41に巻き付けることなく直線的な経路でトレイ43へ送る。電子ペーパーEPは曲げが加えられないので、表示部2の故障等が防止される。また、電子ペーパーEPの縁に用紙と同等な摩擦係数や厚さ把持部6を設け、裁きローラ31による裁き処理を良好にする。
【解決手段】 送り装置は、ストッカ35から排出された用紙Pを折り返しローラ41で曲げて、曲折した送り経路で用紙をトレイ42へ送る一方、ストッカ35から排出された電子ペーパーEPは折り返しローラ41に巻き付けることなく直線的な経路でトレイ43へ送る。電子ペーパーEPは曲げが加えられないので、表示部2の故障等が防止される。また、電子ペーパーEPの縁に用紙と同等な摩擦係数や厚さ把持部6を設け、裁きローラ31による裁き処理を良好にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報を無電源状態で保持することができる電子ペーパー、及び、電子ペーパーの搬送を行う送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に印刷されたドキュメント等の画像情報は、例えば、ファクシミリ装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて送信される、画像読み取り装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて電子的な画像データとしてパーソナルコンピュータに入力される、コピー装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて他の用紙に複写印刷されると言ったような方法で二次的に利用されている。
【0003】
このような画像情報を表示保持した用紙の二次的利用を実現する装置には送り装置が備えられており、例えば、複数枚の用紙の束から裁きローラで用紙を一枚ずつ引き出し、引き出した用紙を送りローラで搬送し、そして、当該搬送経路においてスキャナにより用紙に表示されている画像情報を読み取って電子的な画像データを得ることが行われている。
【0004】
近年では、紙媒体である用紙にとって代わることが可能なドキュメント閲覧のための表示記録媒体として、ドキュメント画像を表示部に無電源状態で表示保持することができ且つ用紙の如く薄型で持ち運び自在である電子ペーパーが開発されている。
電子ペーパーは、無電源状態で画像を表示保持する表示部を有した表示装置であり、電子データに基づいてドキュメント画像を表示部に書き込んだり、或いは、ドキュメント画像を表示部に投影して保持させることで、表示部にドキュメント画像を表示保持する。
なお、このような電子ペーパーは、用紙と異なって表示部に表示保持した画像を消去したり上書きすることが可能であり、表示保持するドキュメント画像を更新したり消去して、繰り返し使用することができるので紙資源の節約等の観点からも利用促進が望まれている。
【0005】
ここで、電子ペーパーに関して、電子ペーパーを電子ペーパーファイルに着脱可能とし、着脱状態に応じて表示部への画像の表示処理を行う発明が提案されている(特許文献1参照。)。
また、予め関連付けた複数のデータを複数の電子ペーパーへ無線送信して、各電子ペーパーで画像を表示させる発明が提案されている(特許文献2参照。)。
また、送信用電子ペーパーと受信用電子ペーパーとを電子ペーパーファイルに装着して、電子ペーパー間でドキュメントを送信する発明が提案されている(特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2001―312227号公報
【特許文献2】特開2002―91749号公報
【特許文献3】特開2002―300333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ペーパーは、用紙と同様に、画像情報を表示保持する媒体であるので、送り装置により媒体送りを行って、画像情報の複写や、画像情報のファクシミリ送信や、画像情報のデータ読み込み等に利用することができる。
しかしながら、電子ペーパーは樹脂等の材料で形成された装置であることから、用紙とは表面の摩擦抵抗や厚さが異なり、また、曲げによって性能が劣化してしまうもの或いは曲げを加えると故障してしまうものがある。また、電子ペーパーの表示部も用紙とは異なる材質であることから、表示部からスキャナで光学的に読み取った画像は用紙から読み取った画像とは質感が異なり、用紙から読み取った画像と同様に印刷等しても鮮明な画質が得られない場合がある。
【0007】
したがって、用紙と同様に扱うことができるとは言っても送り処理については多くの課題があり、電子ペーパーをその性能を劣化させることなく送り処理することが望まれており、また、電子ペーパーの使用を促進するためには、電子ペーパーと用紙とを分け隔てすることなく送り処理することが望まれている。
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、上記課題を合理的に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子ペーパーは、樹脂材料により形成されており、画像情報の印刷に用いる紙と同等な摩擦抵抗を有し且つ送りローラに把持される把持部を端部に設けた構成である。
また、本発明に係る電子ペーパーは、画像情報の印刷に用いる紙と同等な厚さを有し且つ送りローラに把持される把持部を端部に設けた構成である。
更に、本発明に係る電子ペーパーは、電子ペーパーの厚さが用紙より大きいような場合には、把持部の厚さは電子ペーパー本体より薄く、電子ペーパー本体には把持部へ連続するテーパー部が形成されている。
したがって、裁きローラにより電子ペーパーの裁き処理を行う場合、用紙と同等な性質を有する把持部を裁きローラが把持して行うので、用紙と同等な裁き処理が実現される。
【0009】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーの送り経路の両側に送りローラを設け、当該送りローラにより電子ペーパーを側方から挟んで搬送する。
したがって、電子ペーパーの表示部を送りローラにより挟んで加圧してしまうことがなく、表示部の故障等を未然に回避することができる。
【0010】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーの送り経路を垂直や斜めと言った縦方向に設け、当該電子ペーパーを重力を利用して搬送する。
したがって、送りローラを必要としない或いは極力必要とせずに、電子ペーパーを送り処理することができ、ローラ送りに起因するトラブルを未然に回避することができる。
【0011】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーと用紙との両方を処理することができ、送り経路に電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラ(送りローラ、裁きローラ等)を設けるとともに、当該ローラの手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、センサ検出に応じて、ローラ間の間隔を電子ペーパー用と用紙用とに切換える。
したがって、電子ペーパーと用紙とで厚さが異なる場合でも、ローラによる裁き処理や送り処理が良好に行え、電子ペーパーと用紙とが混在する場合でもこれらを分け隔てすることなく処理することができる。
【0012】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーと用紙との両方を処理することができ、送り経路を電子ペーパー用と用紙用とを分けて設けるとともに、当該送り経路の手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、センサ検出に応じて、電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で送り、用紙は用紙用の送り経路で送る。
したがって、電子ペーパーが用紙のように曲げを加えて搬送することができない場合でも、例えば、電子ペーパー用の送り経路を用紙用の送り経路より大きな曲率としたり、電子ペーパー用の送り経路を直線的な経路として、当該電子ペーパーを適切な経路により搬送することができ、電子ペーパーと用紙とが混在する場合でもこれらを分け隔てすることなく処理することができる。
【0013】
また、本発明に係る送り装置では、搬送経路に電子ペーパー又は用紙に表示されている画像情報を光学的に読み取るスキャナを設けるようにすればよい。
また、本発明に係る送り装置では、電子ペーパーを表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能に保持する記憶手段を有したものとして、電子ペーパー用の搬送経路に記憶手段に保持された電子データを読み取る読み取り手段を設けるようにしてもよく、この様にすれば、電子ペーパーの表示部から光学読み取りした場合に生ずる画質の劣化を回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、電子ペーパーを紙媒体の用紙と同等に取り扱うことができ、送り処理においても、例えばユーザは電子ペーパーと用紙とが混在する束を電子ペーパーと用紙とを分け隔てすることなく送り装置にかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
まず、電子ペーパーについて、基本的な構成を図11〜図13を参照して説明する。
電子ペーパーは画像を無電源状態で表示保持する機能を有した装置で、表示保持するドキュメント画像の記録方式に違いにより大別して自己書き込み型と光書き込み型とがあり、いずれの形式にあってもいわゆる電子ペーパーと称せられるように紙の様に薄型の装置である。
【0016】
図11は電子ペーパーEPの一例を正面視して示して、電子ペーパーEPは、例えばA4版の用紙のような大きさの基体を樹脂材料で構成した薄型表示装置であり、大部分の面積を占める表示部2がドキュメント画像を無電源状態で表示保持する。すなわち、従来の電子ペーパーは、一般に、少なくともその縁部が樹脂製となっている。
ここで、同図に示す電子ペーパーEPは、表示部2に表示保持しているドキュメント画像の電子データ(ドキュメントデータ)を記憶するメモリ3と、外部の装置と通信してメモリ3に記憶するドキュメントデータを送受信する通信部4が設けられている。表示部2にドキュメント画像を書き込み処理する際に、書き込み装置からドキュメントデータが送信されてメモリ3に記憶される。
【0017】
なお、このようなメモリ3や通信部4を電子ペーパーEPに備えるか否かは任意であり、後述するように、表示部2のドキュメント画像を光学読み取りせずに、ドキュメントデータの読み取りを行う場合に備えられる。
【0018】
自己書き込み型電子ペーパーEPは、例えば、表示部2の断面構造を表す図13に示すように、複写機にトナーとして利用されている微細な着色粒子(図示の例では、白色粒子11と黒色粒子12)を少なくとも表面側が透明な表裏一対の電極13間に封入し、これを少なくとも表面側が透明な樹脂製の表裏一対のフィルム基板14で挟んだ構造となっている。着色粒子11、12が自由に移動できるように電極層13間は空気層となっており、また、マトリックス状の電極層13には着色粒子11、12との接触を防止する絶縁層15が設けられている。なお、カラーフィルターを用いることにより、簡単な構造でカラー表示を実現することも可能である。
【0019】
そして、自己書き込み型電子ペーパーEPは、表示部2の動作原理を表す図12に示すように、電極13に電圧を印加していない状態(但し、電極13は前回の駆動時の極性に帯電している)では、負(マイナス)に帯電した白色粒子11は裏面側に溜まる一方、正(プラス)に帯電した黒色粒子12は表面側に溜まり、表示部2を表面側から目視すると表示部2は黒色な状態となる。そして、メモリ3に記憶されたデータに基づいて自己が有するドライバ(図示せず)が動作して表示する画像情報に応じたマトリックスの所要部の電極極性を反転させると、白色粒子11と黒色粒子12との位置関係が入れ替わって、表示部2に白色粒子11と黒色粒子12とのコントラストによるドキュメント画像が表示される。なお、異なるデータに基づいてドライバを動作させることにより、白色粒子11と黒色粒子12とのコントラストにより表示部2に表示される画像情報を切り換えることができ、幾度も再使用することができる。
【0020】
したがって、自己書き込み型電子ペーパーEPは、紙のように薄い性質に加えて、表示部2に表示した画像情報を無電源保持する性質があるので、あたかもファクシミリ装置やコピー装置に使用する用紙の如く用いることができ、しかも、繰り返し再使用することができる携帯可能なドキュメント表示用の装置である。また、この電子ペーパーEPは、使用する材料によるが、柔軟性を備えることもできる。
一方、この電子ペーパーEPはある程度の柔軟性を備えることができるが、上記のように積層構造で機能する表示部2を有していることもあるので、用紙のように小さな曲率で曲げを加えると故障の原因となる。
【0021】
また、光書き込み型電子ペーパーEPは、例えば、表示部2の動作原理を表す図14に示すように液晶パネル19に画像情報を表示し、表示部2に接続された電極に外部の書き込み装置から書き込み電圧を印加しながら光書き込み型表示部2を液晶パネル19に重ねて光を照射することにより、光の強弱を瞬時に反射濃度に変換して液晶パネル19に表示させた画像情報を表示部2に転写して表示保持させることができる。
【0022】
すなわち、光書き込み型電子ペーパーEPは電極に電圧を印加することで表示部2に投影されたドキュメント画像を表示部2に転写し、電極に印加した電圧を除去した後も当該ドキュメント画像を表示状態で保持し続ける機能を有している。なお、電極に消去電圧を印加することにより表示部2に保持された画像情報を消去することができ、光書き込み型表示部2は書き込みと消去を繰り返して幾度も再使用することができる。なお、光書き込み型表示部2はこのような消去処理を行わずに、上記のように電極に電圧を印加して新たな画像を投影することにより、表示部2に保持されている画像情報を上書きすることもでき、このような上書き処理によっても幾度も再使用することができる。
【0023】
光書き込み型電子ペーパーEPは、表示部2の断面構造を表す図15に示すように、複写機に利用されている有機光導電性材料の層(有機光導電層)20と液晶表示材料の層(マイクロカプセル化したコレステリック液晶層)21とを組み合わせ、これら層を表裏一対の透明電極22で挟み、この積層体を表裏一対の透明な樹脂製の基材フィルム23で挟んだ構造となっている。
なお、この構成では、コレステリック液晶層11が光を反射する白表示と、光が液晶層21を透過しコレステリック液晶層21と有機光導電層20との間に設けられた黒色層24で吸収される黒表示のモノクロ画像表示が可能である。さらにコレステリック液晶には螺旋ピッチに応じたカラー光を干渉反射するという特性があるので、コレステリック液晶層21を螺旋ピッチの異なる液晶を積層した構成にすることにより、簡単な構造でカラー表示を実現することも可能である。
【0024】
したがって、光書き込み型の表示部2を備えた電子ペーパーEPは、紙のように薄い性質に加えて、画像の投影により転写されたドキュメント画像を無電源保持する性質があるので、あたかもファクシミリ装置やコピー装置に使用する用紙の如く用いることができ、しかも、繰り返し再使用することができる携帯可能なドキュメント表示用の装置である。また、この電子ペーパーEPは、使用する材料によるが、柔軟性を備えることもできる。
一方、この電子ペーパーEPはある程度の柔軟性を備えることができるが、上記のように積層構造で機能する表示部2を有していることもあるので、用紙のように小さな曲率で曲げを加えると故障の原因となる。
【0025】
また、本発明は、自己書き込み型電子ペーパーや光書き込み型電子ペーパーといった形式以外の電子ペーパーも勿論適用することができ、例えば、外部の書き込み装置に装填して表示部に自己書き込み型のように電子的に画像情報を書き込む形式であってもよい。すなわち、上記の自己書き込み型電子ペーパーは外部の画像書き込み装置を要しない形式の電子ペーパーの一例であり、光書き込み型電子ペーパーは外部の画像書き込み装置を要する形式の電子ペーパーの一例であるとも言える。
また、電子ペーパーEPの表示部2としては、強誘電液晶に代表されるメモリ性のある液晶や、帯電された粒子を移動させて表示を切り替える電気泳動方式、帯電された粒子を回転させて表示を切り替える粒子回転方式、磁気により粒子を移動させて表示を切り替える磁気泳動方式、小型バッテリ駆動の薄型の液晶やEL素子を用いてもよい。
【0026】
図1及び図2には本発明の実施例に係る送り装置を示してある。
なお、図1は用紙Pの送り処理を行っている状態を示し、図2は電子ペーパーEPの送り処理を行っている状態を示しており、図中の(a)は送り装置の側面断面図、図中の(b)は送り装置の平面図である。
また、以下の説明では、特に形式を特定する場合を除いて、電子ペーパーEPは自己書き込み型であると光書き込み型であるとを問わない。
【0027】
送り装置は、受け部30の先端に上下一対の裁きローラ31を、受け部30の上面に並列して複数の第1送りローラ32を、受け部30の両側部に左右一対の複数の第2送りローラ33を、受け部30の上面にセンサ34をそれぞれ設けた構成である。
なお、図示は省略してあるが、一対の裁きローラ31間の間隔を変更するための機構、第1送りローラ32を上下に変位させる機構、第2送りローラ33を左右に変位させる機構、これら機構のモータ駆動を制御する制御処理部が設けられており、センサ34で例えば媒体の表面の粗さ等に基づいて用紙P又は電子ペーパーEPを検出したことに応じて、制御処理部がモータ駆動を制御してこれらローラ31、32、33を変位させる。
【0028】
この送り装置では、図1に示すように、受け部30上に用紙Pが載置されると、センサ34が用紙Pを検出して、裁きローラ31を間隔が用紙Pの厚さに対応して狭くなるように変位させ、また、第1送りローラ32を最下の用紙Pに下方から接するように上方へ変位させる。なお、第2送りローラ33は用紙Pに接しない側方に退避した位置とされている。
一方、この送り装置では、図2に示すように、受け部30上に電子ペーパーEPが載置されると、センサ34が電子ペーパーEPを検出して、裁きローラ31を間隔が電子ペーパーEPの厚さに対応して広くなるように変位させ、また、第2送りローラ33を最下の電子ペーパーEPに側方から接するように側方から変位させる。なお、第1送りローラ32は電子ペーパーEPに接しない下方に退避した位置とされている。
なお、上記のローラの変位動作は、送り装置(或いは、当該送り装置を備えたファクシミリ装置やコピー装置等)のスタートボタンをユーザが操作することで開始され、各ローラはモータにより駆動回転される。
【0029】
したがって、厚さの異なる用紙Pと電子ペーパーEPのいずれであっても裁きローら31が適切な間隔とされて、用紙P或いは電子ペーパーEPの束から一枚ずつを引き出しことができる。
更に、用紙送り用の第1のローラ32と電子ペーパー送り用の2種類の送りローラ32、33を備えているので、これらローラをそれぞれ用紙Pと電子ペーパーEPの表面摩擦抵抗に適合する材質で構成することができ、円滑な送りがなされる。
更に、電子ペーパー送り用のローラ33は、電子ペーパーEPの側部を挟んで送り駆動するため、上記のように電子ペーパーの表面に設けられる表示部2を擦って傷をつけたり表示部2に圧力を及ぼして故障させたりすることがない。
【0030】
図3及び図4には本発明の他の実施例に係る送り装置を示してある。
なお、図3は送り装置の側面断面図、図4は送り装置の平面図であり、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例は、ストッカ35に納められた用紙Pと電子ペーパーEPとが混在した束から、一枚ずつ画像読み取りしてトレイ36に排出する送り装置であり、受け部30の上面には自己走査型のスキャナユニット37が設けられている。
【0031】
この送り装置(画像読み取り装置)では、束の最下に位置する用紙P又は電子ペーパーEPが表示保持するドキュメント画像がスキャナユニット37により画像読み取りされる。なお、読み取った画像データは、例えば、パーソナルコンピュータに送られてファイルされ、また、ファクシミリ装置で送信され、また、コピー装置で表示媒体に複写される。
そして、受け部30上に載置された束の最下に位置するものが用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、上記実施例のように、用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかに応じて、裁きローラ31及び送りローラ32、33が位置を調整されて駆動され、当該画像読み取りされた用紙P又は電子ペーパーEPがトレイ36へ排出される。
なお、トレイ36は受け面が斜めとなっており、これによって、トレイ36の側方への張り出し長さを短くして送り装置の小型化が図られている。
【0032】
図5には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pや電子ペーパーEPの搬送経路を縦方向に設定して、用紙Pや電子ペーパーEPを重力を利用して、上方のストッカ38から下方のトレイ39へ搬送するようにしたものである。したがって、図示の例の送り装置では、用紙Pや電子ペーパーEPを搬送するための送りローラを省略することができる。
なお、本例では搬送方向を斜めにしているが垂直であってもよく、いずれにしても重力の作用で用紙Pや電子ペーパーEPの搬送が行えればよい。
【0033】
この送り装置では、ストッカ38の出口には裁きローら31が設けられており、ストッカ38内の用紙Pと電子ペーパーEPが混在した束から1枚ずつ引き出してトレイ39へ搬送させる。
また、トレイ39の入口にはスキャ40ナが設けられており、裁きローラ31により引き出された用紙P又は電子ペーパーEPが重力によりトレイ39へ移動する過程で、当該用紙P又は電子ペーパーEPに表示保持されているドキュメント画像をスキャナ40により画像読み取りする。
【0034】
なお、本例においても、上記の実施例と同様に、用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかをセンサで検出して、裁きローラ31の間隔を調整して裁き処理を行えばよい。
本例の送り装置は、電子ペーパーEPの表面を掴むローラを極力少なくできるので、表示部2の傷付きや故障を防止できるとともに、用紙Pや電子ペーパーEPに曲げを与えない送り経路としても、装置を設置するための床面積を小さくすることができる。
【0035】
図6には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pを搬送する送り経路と電子ペーパーEPを搬送する送り経路とを分けて設けたものである。
用紙Pを搬送する送り経路には折り返しローラ41を設けてあり、ストッカ35から排出された用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて経路が反転され、ストッカ35の下方に設けた用紙用のトレイ42に収容される。一方、電子ペーパー用のトレイ43はストッカ35の出口から直線的に延長した位置に設けられており、ストッカ35から排出された電子ペーパーEPは折り返しローラ41に巻きつけられることなく電子ペーパー用のトレイ43に収容される。
【0036】
この送り装置では、ストッカ35の最下に位置する媒体が用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、これに応じて、裁きローラ31及び送りローラ32、33が変位調整されて駆動され、最下の媒体が裁きローラ31によりストッカ35から引き出される。この引き出された媒体が表示保持しているドキュメント画像は、ストッカ35の出口に設けられたスキャナにより画像読み取りされる。
そして、引き出された媒体がセンサ34による検出で用紙Pである場合には、当該用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて用紙用のトレイ42に収容される。一方、引き出された媒体がセンサ34による検出で電子ペーパーEPである場合には、当該電子ペーパーEPは直線的な送り経路で電子ペーパー用のトレイ43に収容される。
【0037】
したがって、電子ペーパーEPに曲げを加えずに搬送するので、曲げ応力により表示部2に故障を生じさせてしまう事態を防止することができる。
なお、本例は少しでも曲げ応力を与えると故障等を引き起こしてしまう電子ペーパーEPに適用して好適であるが、或る程度の曲げを加えることができる電子ペーパーEPを用いる場合には、電子ペーパー用の送り経路を用紙Pの送り経路より大きな曲率を有した形態に構成してもよく、これによって、電子ペーパー用のトレイ43を用紙用のトレイ42の下方に配置して、電子ペーパー用のトレイ43の側方への張り出しを解消するようにしてもよい。
【0038】
図7には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pを搬送する送り経路と電子ペーパーEPを搬送する送り経路とを分けて設けたものである。
用紙Pを搬送する送り経路には折り返しローラ41を設けてあり、ストッカ35から排出された用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて経路が反転され、ストッカ35の側部下方に設けたトレイ45に収容される。一方、電子ペーパーEPはストッカ35の用紙Pとは反対側から排出され、そのままトレイ45に収容される。すなわち、電子ペーパーEPを搬送する送り経路は電子ペーパーに曲げを与えることなく当該電子ペーパーを直接トレイ45へ排出する。
【0039】
この送り装置では、ストッカ35の最下に位置する媒体が用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、用紙送りローラ32又は電子ペーパー送りローラ33が駆動される。すなわち、用紙送りローラ32は用紙Pを折り返しローラ41側へ排出する方向に駆動され、電子ペーパー送りローラ33は電子ペーパーEPをこれとは逆の方向へ排出する方向に駆動される。
【0040】
ストッカ35から引き出された用紙Pは、ストッカ35の出口に設けられたスキャナにより表示保持しているドキュメント画像が画像読み取りされ、当該用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられてトレイ45に収容される。
一方、ストッカ35から引き出された電子ペーパーEPは、ストッカ35の出口に設けられた通信装置46により表示保持しているドキュメント画像の電子データが読み取られ、当該電子ペーパーEPはトレイ45に収容される。すなわち、図11に示したように、電子ペーパーEPのメモリ3に記憶されているドキュメントデータが通信部4を介して通信装置46により読み出される。
【0041】
したがって、電子ペーパーEPに曲げを加えずに搬送するので、曲げ応力により表示部2に故障を生じさせてしまう事態を防止することができる。
更に、電子ペーパーEPが表示保持しているドキュメントを電子データとして読み取ることができるので、当該電子データに基づいて鮮明な画像処理を行うことができる。
【0042】
図8には本発明の実施例に係る電子ペーパーEPを示してあり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面断面図である。
本例の電子ペーパーEPは基体5が樹脂材料により形成されており、当該機体5が表示部2の周囲を取り囲んだ構成となっている。そして、この電子ペーパーEPの先端には用紙Pと同等な表面摩擦係数と厚さを有する材料(例えば、用紙Pと同じ紙)で形成された把持部6が設けられている。
【0043】
この電子ペーパーEPは把持部6を含んで用紙Pと同じ大きさに形成されており、上記実施例のように単独或いは用紙と混在して送り装置にかけることができる。
そして、送り装置では、電子ペーパーEPの先端に設けられた把持部6が用紙Pと同じ摩擦抵抗と厚さであるので、裁きローラ31が用紙Pと同じく把持部6を挟んで裁き処理を行うことができる。
したがって、用紙用の送り装置により、電子ペーパEPを用紙Pと同等に送り処理することができる。
【0044】
図9には本発明の他の実施例に係る電子ペーパーEPを示してあり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面断面図である。
本例の電子ペーパーEPは基体5の周囲を取り囲んで把持部6を設けたものである。送り装置による用紙の送り方向は、装置によって縦送り又は横送りで様々であり、用紙事態もいずれの辺が先端になるかはストッカへの収め方で様々である。本例のように把持部6を周囲に設けることにより、送り装置の送り方向や電子ペーパーEPの収め方がいずれであっても、裁きローラ31が把持部6を挟んで裁き処理を行うことができる。
【0045】
なお、把持部6の設け方としては、例えば図10(a)に示すように基体5の縁部に段差を設けて、当該段差部に把持部6を貼付等して設けることができる。
また、電子ペーパーEPの厚さが用紙Pに較べて厚い場合には、例えば図10(b)に示すように用紙と同じ厚さの把持部6を設け、基体5の縁部を把持部6へ連続するテーパー状に形成して、ローラ間に厚い電子ペーパーを通す際にローラと基体5との当りをテーパー部により緩衝して、テーパー部によるローラの押し広げにより当該電子ペーパーEPの送りを円滑化するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る送り装置を用紙の送り状態で示す図である。
【図2】本発明に係る送り装置を電子ペーパーの送り状態で示す図である。
【図3】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図4】本発明に係る送り装置を平面視で示す図である。
【図5】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図6】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図7】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図8】本発明に係る電子ペーパーを示す図である。
【図9】本発明に係る電子ペーパーを示す図である。
【図10】本発明に係る電子ペーパーの要部を示す図である。
【図11】電子ペーパーを正面視して示す図である。
【図12】自己書き換え換え型電子ペーパーの動作原理を説明する図である。
【図13】自己書き換え型電子ペーパーの構造を説明する図である。
【図14】光書き込み型電子ペーパーの動作原理を説明する図である。
【図15】光書き込み型電子ペーパーの構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
EP:電子ペーパー、 P:用紙、
2:表示部、 3:メモリ、
4:通信部、 5:電子ペーパーの基体、
6:把持部、 31:裁きローラ、
32:用紙送りローラ、 33:電子ペーパー送りローラ、
34:センサ、 35:ストッカ、
36:トレイ、 37:スキャナユニット、
38:ストッカ、 39:トレイ、
40:スキャナ、 41:折り返しローラ、
42:用紙トレイ、 43:電子ペーパートレイ、
44:スキャナ、 45:トレイ、
46:通信装置、
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報を無電源状態で保持することができる電子ペーパー、及び、電子ペーパーの搬送を行う送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に印刷されたドキュメント等の画像情報は、例えば、ファクシミリ装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて送信される、画像読み取り装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて電子的な画像データとしてパーソナルコンピュータに入力される、コピー装置により用紙からドキュメント画像が読み取られて他の用紙に複写印刷されると言ったような方法で二次的に利用されている。
【0003】
このような画像情報を表示保持した用紙の二次的利用を実現する装置には送り装置が備えられており、例えば、複数枚の用紙の束から裁きローラで用紙を一枚ずつ引き出し、引き出した用紙を送りローラで搬送し、そして、当該搬送経路においてスキャナにより用紙に表示されている画像情報を読み取って電子的な画像データを得ることが行われている。
【0004】
近年では、紙媒体である用紙にとって代わることが可能なドキュメント閲覧のための表示記録媒体として、ドキュメント画像を表示部に無電源状態で表示保持することができ且つ用紙の如く薄型で持ち運び自在である電子ペーパーが開発されている。
電子ペーパーは、無電源状態で画像を表示保持する表示部を有した表示装置であり、電子データに基づいてドキュメント画像を表示部に書き込んだり、或いは、ドキュメント画像を表示部に投影して保持させることで、表示部にドキュメント画像を表示保持する。
なお、このような電子ペーパーは、用紙と異なって表示部に表示保持した画像を消去したり上書きすることが可能であり、表示保持するドキュメント画像を更新したり消去して、繰り返し使用することができるので紙資源の節約等の観点からも利用促進が望まれている。
【0005】
ここで、電子ペーパーに関して、電子ペーパーを電子ペーパーファイルに着脱可能とし、着脱状態に応じて表示部への画像の表示処理を行う発明が提案されている(特許文献1参照。)。
また、予め関連付けた複数のデータを複数の電子ペーパーへ無線送信して、各電子ペーパーで画像を表示させる発明が提案されている(特許文献2参照。)。
また、送信用電子ペーパーと受信用電子ペーパーとを電子ペーパーファイルに装着して、電子ペーパー間でドキュメントを送信する発明が提案されている(特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2001―312227号公報
【特許文献2】特開2002―91749号公報
【特許文献3】特開2002―300333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ペーパーは、用紙と同様に、画像情報を表示保持する媒体であるので、送り装置により媒体送りを行って、画像情報の複写や、画像情報のファクシミリ送信や、画像情報のデータ読み込み等に利用することができる。
しかしながら、電子ペーパーは樹脂等の材料で形成された装置であることから、用紙とは表面の摩擦抵抗や厚さが異なり、また、曲げによって性能が劣化してしまうもの或いは曲げを加えると故障してしまうものがある。また、電子ペーパーの表示部も用紙とは異なる材質であることから、表示部からスキャナで光学的に読み取った画像は用紙から読み取った画像とは質感が異なり、用紙から読み取った画像と同様に印刷等しても鮮明な画質が得られない場合がある。
【0007】
したがって、用紙と同様に扱うことができるとは言っても送り処理については多くの課題があり、電子ペーパーをその性能を劣化させることなく送り処理することが望まれており、また、電子ペーパーの使用を促進するためには、電子ペーパーと用紙とを分け隔てすることなく送り処理することが望まれている。
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、上記課題を合理的に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子ペーパーは、樹脂材料により形成されており、画像情報の印刷に用いる紙と同等な摩擦抵抗を有し且つ送りローラに把持される把持部を端部に設けた構成である。
また、本発明に係る電子ペーパーは、画像情報の印刷に用いる紙と同等な厚さを有し且つ送りローラに把持される把持部を端部に設けた構成である。
更に、本発明に係る電子ペーパーは、電子ペーパーの厚さが用紙より大きいような場合には、把持部の厚さは電子ペーパー本体より薄く、電子ペーパー本体には把持部へ連続するテーパー部が形成されている。
したがって、裁きローラにより電子ペーパーの裁き処理を行う場合、用紙と同等な性質を有する把持部を裁きローラが把持して行うので、用紙と同等な裁き処理が実現される。
【0009】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーの送り経路の両側に送りローラを設け、当該送りローラにより電子ペーパーを側方から挟んで搬送する。
したがって、電子ペーパーの表示部を送りローラにより挟んで加圧してしまうことがなく、表示部の故障等を未然に回避することができる。
【0010】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーの送り経路を垂直や斜めと言った縦方向に設け、当該電子ペーパーを重力を利用して搬送する。
したがって、送りローラを必要としない或いは極力必要とせずに、電子ペーパーを送り処理することができ、ローラ送りに起因するトラブルを未然に回避することができる。
【0011】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーと用紙との両方を処理することができ、送り経路に電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラ(送りローラ、裁きローラ等)を設けるとともに、当該ローラの手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、センサ検出に応じて、ローラ間の間隔を電子ペーパー用と用紙用とに切換える。
したがって、電子ペーパーと用紙とで厚さが異なる場合でも、ローラによる裁き処理や送り処理が良好に行え、電子ペーパーと用紙とが混在する場合でもこれらを分け隔てすることなく処理することができる。
【0012】
本発明に係る送り装置は、電子ペーパーと用紙との両方を処理することができ、送り経路を電子ペーパー用と用紙用とを分けて設けるとともに、当該送り経路の手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、センサ検出に応じて、電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で送り、用紙は用紙用の送り経路で送る。
したがって、電子ペーパーが用紙のように曲げを加えて搬送することができない場合でも、例えば、電子ペーパー用の送り経路を用紙用の送り経路より大きな曲率としたり、電子ペーパー用の送り経路を直線的な経路として、当該電子ペーパーを適切な経路により搬送することができ、電子ペーパーと用紙とが混在する場合でもこれらを分け隔てすることなく処理することができる。
【0013】
また、本発明に係る送り装置では、搬送経路に電子ペーパー又は用紙に表示されている画像情報を光学的に読み取るスキャナを設けるようにすればよい。
また、本発明に係る送り装置では、電子ペーパーを表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能に保持する記憶手段を有したものとして、電子ペーパー用の搬送経路に記憶手段に保持された電子データを読み取る読み取り手段を設けるようにしてもよく、この様にすれば、電子ペーパーの表示部から光学読み取りした場合に生ずる画質の劣化を回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、電子ペーパーを紙媒体の用紙と同等に取り扱うことができ、送り処理においても、例えばユーザは電子ペーパーと用紙とが混在する束を電子ペーパーと用紙とを分け隔てすることなく送り装置にかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
まず、電子ペーパーについて、基本的な構成を図11〜図13を参照して説明する。
電子ペーパーは画像を無電源状態で表示保持する機能を有した装置で、表示保持するドキュメント画像の記録方式に違いにより大別して自己書き込み型と光書き込み型とがあり、いずれの形式にあってもいわゆる電子ペーパーと称せられるように紙の様に薄型の装置である。
【0016】
図11は電子ペーパーEPの一例を正面視して示して、電子ペーパーEPは、例えばA4版の用紙のような大きさの基体を樹脂材料で構成した薄型表示装置であり、大部分の面積を占める表示部2がドキュメント画像を無電源状態で表示保持する。すなわち、従来の電子ペーパーは、一般に、少なくともその縁部が樹脂製となっている。
ここで、同図に示す電子ペーパーEPは、表示部2に表示保持しているドキュメント画像の電子データ(ドキュメントデータ)を記憶するメモリ3と、外部の装置と通信してメモリ3に記憶するドキュメントデータを送受信する通信部4が設けられている。表示部2にドキュメント画像を書き込み処理する際に、書き込み装置からドキュメントデータが送信されてメモリ3に記憶される。
【0017】
なお、このようなメモリ3や通信部4を電子ペーパーEPに備えるか否かは任意であり、後述するように、表示部2のドキュメント画像を光学読み取りせずに、ドキュメントデータの読み取りを行う場合に備えられる。
【0018】
自己書き込み型電子ペーパーEPは、例えば、表示部2の断面構造を表す図13に示すように、複写機にトナーとして利用されている微細な着色粒子(図示の例では、白色粒子11と黒色粒子12)を少なくとも表面側が透明な表裏一対の電極13間に封入し、これを少なくとも表面側が透明な樹脂製の表裏一対のフィルム基板14で挟んだ構造となっている。着色粒子11、12が自由に移動できるように電極層13間は空気層となっており、また、マトリックス状の電極層13には着色粒子11、12との接触を防止する絶縁層15が設けられている。なお、カラーフィルターを用いることにより、簡単な構造でカラー表示を実現することも可能である。
【0019】
そして、自己書き込み型電子ペーパーEPは、表示部2の動作原理を表す図12に示すように、電極13に電圧を印加していない状態(但し、電極13は前回の駆動時の極性に帯電している)では、負(マイナス)に帯電した白色粒子11は裏面側に溜まる一方、正(プラス)に帯電した黒色粒子12は表面側に溜まり、表示部2を表面側から目視すると表示部2は黒色な状態となる。そして、メモリ3に記憶されたデータに基づいて自己が有するドライバ(図示せず)が動作して表示する画像情報に応じたマトリックスの所要部の電極極性を反転させると、白色粒子11と黒色粒子12との位置関係が入れ替わって、表示部2に白色粒子11と黒色粒子12とのコントラストによるドキュメント画像が表示される。なお、異なるデータに基づいてドライバを動作させることにより、白色粒子11と黒色粒子12とのコントラストにより表示部2に表示される画像情報を切り換えることができ、幾度も再使用することができる。
【0020】
したがって、自己書き込み型電子ペーパーEPは、紙のように薄い性質に加えて、表示部2に表示した画像情報を無電源保持する性質があるので、あたかもファクシミリ装置やコピー装置に使用する用紙の如く用いることができ、しかも、繰り返し再使用することができる携帯可能なドキュメント表示用の装置である。また、この電子ペーパーEPは、使用する材料によるが、柔軟性を備えることもできる。
一方、この電子ペーパーEPはある程度の柔軟性を備えることができるが、上記のように積層構造で機能する表示部2を有していることもあるので、用紙のように小さな曲率で曲げを加えると故障の原因となる。
【0021】
また、光書き込み型電子ペーパーEPは、例えば、表示部2の動作原理を表す図14に示すように液晶パネル19に画像情報を表示し、表示部2に接続された電極に外部の書き込み装置から書き込み電圧を印加しながら光書き込み型表示部2を液晶パネル19に重ねて光を照射することにより、光の強弱を瞬時に反射濃度に変換して液晶パネル19に表示させた画像情報を表示部2に転写して表示保持させることができる。
【0022】
すなわち、光書き込み型電子ペーパーEPは電極に電圧を印加することで表示部2に投影されたドキュメント画像を表示部2に転写し、電極に印加した電圧を除去した後も当該ドキュメント画像を表示状態で保持し続ける機能を有している。なお、電極に消去電圧を印加することにより表示部2に保持された画像情報を消去することができ、光書き込み型表示部2は書き込みと消去を繰り返して幾度も再使用することができる。なお、光書き込み型表示部2はこのような消去処理を行わずに、上記のように電極に電圧を印加して新たな画像を投影することにより、表示部2に保持されている画像情報を上書きすることもでき、このような上書き処理によっても幾度も再使用することができる。
【0023】
光書き込み型電子ペーパーEPは、表示部2の断面構造を表す図15に示すように、複写機に利用されている有機光導電性材料の層(有機光導電層)20と液晶表示材料の層(マイクロカプセル化したコレステリック液晶層)21とを組み合わせ、これら層を表裏一対の透明電極22で挟み、この積層体を表裏一対の透明な樹脂製の基材フィルム23で挟んだ構造となっている。
なお、この構成では、コレステリック液晶層11が光を反射する白表示と、光が液晶層21を透過しコレステリック液晶層21と有機光導電層20との間に設けられた黒色層24で吸収される黒表示のモノクロ画像表示が可能である。さらにコレステリック液晶には螺旋ピッチに応じたカラー光を干渉反射するという特性があるので、コレステリック液晶層21を螺旋ピッチの異なる液晶を積層した構成にすることにより、簡単な構造でカラー表示を実現することも可能である。
【0024】
したがって、光書き込み型の表示部2を備えた電子ペーパーEPは、紙のように薄い性質に加えて、画像の投影により転写されたドキュメント画像を無電源保持する性質があるので、あたかもファクシミリ装置やコピー装置に使用する用紙の如く用いることができ、しかも、繰り返し再使用することができる携帯可能なドキュメント表示用の装置である。また、この電子ペーパーEPは、使用する材料によるが、柔軟性を備えることもできる。
一方、この電子ペーパーEPはある程度の柔軟性を備えることができるが、上記のように積層構造で機能する表示部2を有していることもあるので、用紙のように小さな曲率で曲げを加えると故障の原因となる。
【0025】
また、本発明は、自己書き込み型電子ペーパーや光書き込み型電子ペーパーといった形式以外の電子ペーパーも勿論適用することができ、例えば、外部の書き込み装置に装填して表示部に自己書き込み型のように電子的に画像情報を書き込む形式であってもよい。すなわち、上記の自己書き込み型電子ペーパーは外部の画像書き込み装置を要しない形式の電子ペーパーの一例であり、光書き込み型電子ペーパーは外部の画像書き込み装置を要する形式の電子ペーパーの一例であるとも言える。
また、電子ペーパーEPの表示部2としては、強誘電液晶に代表されるメモリ性のある液晶や、帯電された粒子を移動させて表示を切り替える電気泳動方式、帯電された粒子を回転させて表示を切り替える粒子回転方式、磁気により粒子を移動させて表示を切り替える磁気泳動方式、小型バッテリ駆動の薄型の液晶やEL素子を用いてもよい。
【0026】
図1及び図2には本発明の実施例に係る送り装置を示してある。
なお、図1は用紙Pの送り処理を行っている状態を示し、図2は電子ペーパーEPの送り処理を行っている状態を示しており、図中の(a)は送り装置の側面断面図、図中の(b)は送り装置の平面図である。
また、以下の説明では、特に形式を特定する場合を除いて、電子ペーパーEPは自己書き込み型であると光書き込み型であるとを問わない。
【0027】
送り装置は、受け部30の先端に上下一対の裁きローラ31を、受け部30の上面に並列して複数の第1送りローラ32を、受け部30の両側部に左右一対の複数の第2送りローラ33を、受け部30の上面にセンサ34をそれぞれ設けた構成である。
なお、図示は省略してあるが、一対の裁きローラ31間の間隔を変更するための機構、第1送りローラ32を上下に変位させる機構、第2送りローラ33を左右に変位させる機構、これら機構のモータ駆動を制御する制御処理部が設けられており、センサ34で例えば媒体の表面の粗さ等に基づいて用紙P又は電子ペーパーEPを検出したことに応じて、制御処理部がモータ駆動を制御してこれらローラ31、32、33を変位させる。
【0028】
この送り装置では、図1に示すように、受け部30上に用紙Pが載置されると、センサ34が用紙Pを検出して、裁きローラ31を間隔が用紙Pの厚さに対応して狭くなるように変位させ、また、第1送りローラ32を最下の用紙Pに下方から接するように上方へ変位させる。なお、第2送りローラ33は用紙Pに接しない側方に退避した位置とされている。
一方、この送り装置では、図2に示すように、受け部30上に電子ペーパーEPが載置されると、センサ34が電子ペーパーEPを検出して、裁きローラ31を間隔が電子ペーパーEPの厚さに対応して広くなるように変位させ、また、第2送りローラ33を最下の電子ペーパーEPに側方から接するように側方から変位させる。なお、第1送りローラ32は電子ペーパーEPに接しない下方に退避した位置とされている。
なお、上記のローラの変位動作は、送り装置(或いは、当該送り装置を備えたファクシミリ装置やコピー装置等)のスタートボタンをユーザが操作することで開始され、各ローラはモータにより駆動回転される。
【0029】
したがって、厚さの異なる用紙Pと電子ペーパーEPのいずれであっても裁きローら31が適切な間隔とされて、用紙P或いは電子ペーパーEPの束から一枚ずつを引き出しことができる。
更に、用紙送り用の第1のローラ32と電子ペーパー送り用の2種類の送りローラ32、33を備えているので、これらローラをそれぞれ用紙Pと電子ペーパーEPの表面摩擦抵抗に適合する材質で構成することができ、円滑な送りがなされる。
更に、電子ペーパー送り用のローラ33は、電子ペーパーEPの側部を挟んで送り駆動するため、上記のように電子ペーパーの表面に設けられる表示部2を擦って傷をつけたり表示部2に圧力を及ぼして故障させたりすることがない。
【0030】
図3及び図4には本発明の他の実施例に係る送り装置を示してある。
なお、図3は送り装置の側面断面図、図4は送り装置の平面図であり、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例は、ストッカ35に納められた用紙Pと電子ペーパーEPとが混在した束から、一枚ずつ画像読み取りしてトレイ36に排出する送り装置であり、受け部30の上面には自己走査型のスキャナユニット37が設けられている。
【0031】
この送り装置(画像読み取り装置)では、束の最下に位置する用紙P又は電子ペーパーEPが表示保持するドキュメント画像がスキャナユニット37により画像読み取りされる。なお、読み取った画像データは、例えば、パーソナルコンピュータに送られてファイルされ、また、ファクシミリ装置で送信され、また、コピー装置で表示媒体に複写される。
そして、受け部30上に載置された束の最下に位置するものが用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、上記実施例のように、用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかに応じて、裁きローラ31及び送りローラ32、33が位置を調整されて駆動され、当該画像読み取りされた用紙P又は電子ペーパーEPがトレイ36へ排出される。
なお、トレイ36は受け面が斜めとなっており、これによって、トレイ36の側方への張り出し長さを短くして送り装置の小型化が図られている。
【0032】
図5には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pや電子ペーパーEPの搬送経路を縦方向に設定して、用紙Pや電子ペーパーEPを重力を利用して、上方のストッカ38から下方のトレイ39へ搬送するようにしたものである。したがって、図示の例の送り装置では、用紙Pや電子ペーパーEPを搬送するための送りローラを省略することができる。
なお、本例では搬送方向を斜めにしているが垂直であってもよく、いずれにしても重力の作用で用紙Pや電子ペーパーEPの搬送が行えればよい。
【0033】
この送り装置では、ストッカ38の出口には裁きローら31が設けられており、ストッカ38内の用紙Pと電子ペーパーEPが混在した束から1枚ずつ引き出してトレイ39へ搬送させる。
また、トレイ39の入口にはスキャ40ナが設けられており、裁きローラ31により引き出された用紙P又は電子ペーパーEPが重力によりトレイ39へ移動する過程で、当該用紙P又は電子ペーパーEPに表示保持されているドキュメント画像をスキャナ40により画像読み取りする。
【0034】
なお、本例においても、上記の実施例と同様に、用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかをセンサで検出して、裁きローラ31の間隔を調整して裁き処理を行えばよい。
本例の送り装置は、電子ペーパーEPの表面を掴むローラを極力少なくできるので、表示部2の傷付きや故障を防止できるとともに、用紙Pや電子ペーパーEPに曲げを与えない送り経路としても、装置を設置するための床面積を小さくすることができる。
【0035】
図6には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pを搬送する送り経路と電子ペーパーEPを搬送する送り経路とを分けて設けたものである。
用紙Pを搬送する送り経路には折り返しローラ41を設けてあり、ストッカ35から排出された用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて経路が反転され、ストッカ35の下方に設けた用紙用のトレイ42に収容される。一方、電子ペーパー用のトレイ43はストッカ35の出口から直線的に延長した位置に設けられており、ストッカ35から排出された電子ペーパーEPは折り返しローラ41に巻きつけられることなく電子ペーパー用のトレイ43に収容される。
【0036】
この送り装置では、ストッカ35の最下に位置する媒体が用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、これに応じて、裁きローラ31及び送りローラ32、33が変位調整されて駆動され、最下の媒体が裁きローラ31によりストッカ35から引き出される。この引き出された媒体が表示保持しているドキュメント画像は、ストッカ35の出口に設けられたスキャナにより画像読み取りされる。
そして、引き出された媒体がセンサ34による検出で用紙Pである場合には、当該用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて用紙用のトレイ42に収容される。一方、引き出された媒体がセンサ34による検出で電子ペーパーEPである場合には、当該電子ペーパーEPは直線的な送り経路で電子ペーパー用のトレイ43に収容される。
【0037】
したがって、電子ペーパーEPに曲げを加えずに搬送するので、曲げ応力により表示部2に故障を生じさせてしまう事態を防止することができる。
なお、本例は少しでも曲げ応力を与えると故障等を引き起こしてしまう電子ペーパーEPに適用して好適であるが、或る程度の曲げを加えることができる電子ペーパーEPを用いる場合には、電子ペーパー用の送り経路を用紙Pの送り経路より大きな曲率を有した形態に構成してもよく、これによって、電子ペーパー用のトレイ43を用紙用のトレイ42の下方に配置して、電子ペーパー用のトレイ43の側方への張り出しを解消するようにしてもよい。
【0038】
図7には本発明の他の実施例に係る送り装置を側面断面図で示してある。なお、上記実施例と同様な部分には同一符号を付してある。
本例の送り装置(画像読み取り装置)は、用紙Pを搬送する送り経路と電子ペーパーEPを搬送する送り経路とを分けて設けたものである。
用紙Pを搬送する送り経路には折り返しローラ41を設けてあり、ストッカ35から排出された用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられて経路が反転され、ストッカ35の側部下方に設けたトレイ45に収容される。一方、電子ペーパーEPはストッカ35の用紙Pとは反対側から排出され、そのままトレイ45に収容される。すなわち、電子ペーパーEPを搬送する送り経路は電子ペーパーに曲げを与えることなく当該電子ペーパーを直接トレイ45へ排出する。
【0039】
この送り装置では、ストッカ35の最下に位置する媒体が用紙Pであるか電子ペーパーEPであるかがセンサ34により検出され、用紙送りローラ32又は電子ペーパー送りローラ33が駆動される。すなわち、用紙送りローラ32は用紙Pを折り返しローラ41側へ排出する方向に駆動され、電子ペーパー送りローラ33は電子ペーパーEPをこれとは逆の方向へ排出する方向に駆動される。
【0040】
ストッカ35から引き出された用紙Pは、ストッカ35の出口に設けられたスキャナにより表示保持しているドキュメント画像が画像読み取りされ、当該用紙Pは折り返しローラ41に巻きつけられてトレイ45に収容される。
一方、ストッカ35から引き出された電子ペーパーEPは、ストッカ35の出口に設けられた通信装置46により表示保持しているドキュメント画像の電子データが読み取られ、当該電子ペーパーEPはトレイ45に収容される。すなわち、図11に示したように、電子ペーパーEPのメモリ3に記憶されているドキュメントデータが通信部4を介して通信装置46により読み出される。
【0041】
したがって、電子ペーパーEPに曲げを加えずに搬送するので、曲げ応力により表示部2に故障を生じさせてしまう事態を防止することができる。
更に、電子ペーパーEPが表示保持しているドキュメントを電子データとして読み取ることができるので、当該電子データに基づいて鮮明な画像処理を行うことができる。
【0042】
図8には本発明の実施例に係る電子ペーパーEPを示してあり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面断面図である。
本例の電子ペーパーEPは基体5が樹脂材料により形成されており、当該機体5が表示部2の周囲を取り囲んだ構成となっている。そして、この電子ペーパーEPの先端には用紙Pと同等な表面摩擦係数と厚さを有する材料(例えば、用紙Pと同じ紙)で形成された把持部6が設けられている。
【0043】
この電子ペーパーEPは把持部6を含んで用紙Pと同じ大きさに形成されており、上記実施例のように単独或いは用紙と混在して送り装置にかけることができる。
そして、送り装置では、電子ペーパーEPの先端に設けられた把持部6が用紙Pと同じ摩擦抵抗と厚さであるので、裁きローラ31が用紙Pと同じく把持部6を挟んで裁き処理を行うことができる。
したがって、用紙用の送り装置により、電子ペーパEPを用紙Pと同等に送り処理することができる。
【0044】
図9には本発明の他の実施例に係る電子ペーパーEPを示してあり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面断面図である。
本例の電子ペーパーEPは基体5の周囲を取り囲んで把持部6を設けたものである。送り装置による用紙の送り方向は、装置によって縦送り又は横送りで様々であり、用紙事態もいずれの辺が先端になるかはストッカへの収め方で様々である。本例のように把持部6を周囲に設けることにより、送り装置の送り方向や電子ペーパーEPの収め方がいずれであっても、裁きローラ31が把持部6を挟んで裁き処理を行うことができる。
【0045】
なお、把持部6の設け方としては、例えば図10(a)に示すように基体5の縁部に段差を設けて、当該段差部に把持部6を貼付等して設けることができる。
また、電子ペーパーEPの厚さが用紙Pに較べて厚い場合には、例えば図10(b)に示すように用紙と同じ厚さの把持部6を設け、基体5の縁部を把持部6へ連続するテーパー状に形成して、ローラ間に厚い電子ペーパーを通す際にローラと基体5との当りをテーパー部により緩衝して、テーパー部によるローラの押し広げにより当該電子ペーパーEPの送りを円滑化するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る送り装置を用紙の送り状態で示す図である。
【図2】本発明に係る送り装置を電子ペーパーの送り状態で示す図である。
【図3】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図4】本発明に係る送り装置を平面視で示す図である。
【図5】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図6】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図7】本発明に係る送り装置を側面断面で示す図である。
【図8】本発明に係る電子ペーパーを示す図である。
【図9】本発明に係る電子ペーパーを示す図である。
【図10】本発明に係る電子ペーパーの要部を示す図である。
【図11】電子ペーパーを正面視して示す図である。
【図12】自己書き換え換え型電子ペーパーの動作原理を説明する図である。
【図13】自己書き換え型電子ペーパーの構造を説明する図である。
【図14】光書き込み型電子ペーパーの動作原理を説明する図である。
【図15】光書き込み型電子ペーパーの構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
EP:電子ペーパー、 P:用紙、
2:表示部、 3:メモリ、
4:通信部、 5:電子ペーパーの基体、
6:把持部、 31:裁きローラ、
32:用紙送りローラ、 33:電子ペーパー送りローラ、
34:センサ、 35:ストッカ、
36:トレイ、 37:スキャナユニット、
38:ストッカ、 39:トレイ、
40:スキャナ、 41:折り返しローラ、
42:用紙トレイ、 43:電子ペーパートレイ、
44:スキャナ、 45:トレイ、
46:通信装置、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を無電源常態で表示保持する樹脂製の電子ペーパーであって、
画像情報の印刷に用いる紙と同等な摩擦抵抗を有し且つローラに把持される把持部を端部に設けたことを特徴とする電子ペーパー。
【請求項2】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーであって、
画像情報の印刷に用いる紙と同等な厚さを有し且つローラに把持される把持部を端部に設けたことを特徴とする電子ペーパー。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ペーパーにおいて、
前記把持部の厚さは電子ペーパー本体より薄く、電子ペーパー本体には把持部へ連続するテーパー部が形成されていることを特徴とする電子ペーパー。
【請求項4】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーをローラにより搬送する送り装置であって、
電子ペーパーの送り経路の両側に送りローラを設け、当該送りローラにより電子ペーパーを側方から挟んで搬送することを特徴とする送り装置。
【請求項5】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーを搬送する送り装置であって、
電子ペーパーの送り経路を縦方向に設け、当該電子ペーパーを重力を利用して搬送することを特徴とする送り装置。
【請求項6】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とをローラにより搬送する送り装置であって、
送り経路に電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラを設けるとともに、当該ローラの手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、
前記センサ検出に応じて、前記ローラ間の間隔を電子ペーパー用と用紙用とに切換えることを特徴とする送り装置。
【請求項7】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とを搬送する送り装置であって、
送り経路を電子ペーパー用と用紙用とを分けて設けるとともに、当該送り経路の手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、
前記センサ検出に応じて、電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で送り、用紙は用紙用の送り経路で送ることを特徴とする送り装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送り装置において、
前記電子ペーパー用の送り経路と用紙用の送り経路とは曲率をもった経路であり、
当該電子ペーパー用の送り経路は当該用紙用の送り経路より大きな曲率を有していることを特徴とする送り装置。
【請求項9】
請求項7に記載の送り装置において、
前記用紙用の送り経路は曲率をもった経路であり、前記電子ペーパー用の送り経路は直線的な経路であることを特徴とする送り装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の送り装置において、
前記搬送経路には、電子ペーパー又は用紙に表示されている画像情報を光学的に読み取るスキャナが設けられていることを特徴とする送り装置。
【請求項11】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の送り装置において、
電子ペーパーは表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能に保持する記憶手段を有しており、
前記電子ペーパー用の搬送経路には、前記記憶手段に保持された電子データを読み取る読み取り手段が設けられていることを特徴とする送り装置。
【請求項12】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とをローラにより搬送する送り方法であって、
電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラ間の間隔を、電子ペーパーと用紙とで異ならせて搬送することを特徴とする送り方法。
【請求項13】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とを搬送する送り方法であって、
電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で搬送し、用紙は用紙用の送り経路で搬送することを特徴とする送り方法。
【請求項14】
画像情報の印刷に用いる用紙と、画像情報を無電源常態で表示保持し且つ表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能にメモリに保持する電子ペーパーとを搬送する送り方法であって、
電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で搬送し、用紙は用紙用の送り経路で搬送し、
電子ペーパー用の送り経路において電子ペーパーから画像情報の電子データを読み取ることを特徴とする送り方法。
【請求項1】
画像情報を無電源常態で表示保持する樹脂製の電子ペーパーであって、
画像情報の印刷に用いる紙と同等な摩擦抵抗を有し且つローラに把持される把持部を端部に設けたことを特徴とする電子ペーパー。
【請求項2】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーであって、
画像情報の印刷に用いる紙と同等な厚さを有し且つローラに把持される把持部を端部に設けたことを特徴とする電子ペーパー。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ペーパーにおいて、
前記把持部の厚さは電子ペーパー本体より薄く、電子ペーパー本体には把持部へ連続するテーパー部が形成されていることを特徴とする電子ペーパー。
【請求項4】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーをローラにより搬送する送り装置であって、
電子ペーパーの送り経路の両側に送りローラを設け、当該送りローラにより電子ペーパーを側方から挟んで搬送することを特徴とする送り装置。
【請求項5】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーを搬送する送り装置であって、
電子ペーパーの送り経路を縦方向に設け、当該電子ペーパーを重力を利用して搬送することを特徴とする送り装置。
【請求項6】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とをローラにより搬送する送り装置であって、
送り経路に電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラを設けるとともに、当該ローラの手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、
前記センサ検出に応じて、前記ローラ間の間隔を電子ペーパー用と用紙用とに切換えることを特徴とする送り装置。
【請求項7】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とを搬送する送り装置であって、
送り経路を電子ペーパー用と用紙用とを分けて設けるとともに、当該送り経路の手前に電子ペーパーと用紙とを判別するためのセンサを設け、
前記センサ検出に応じて、電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で送り、用紙は用紙用の送り経路で送ることを特徴とする送り装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送り装置において、
前記電子ペーパー用の送り経路と用紙用の送り経路とは曲率をもった経路であり、
当該電子ペーパー用の送り経路は当該用紙用の送り経路より大きな曲率を有していることを特徴とする送り装置。
【請求項9】
請求項7に記載の送り装置において、
前記用紙用の送り経路は曲率をもった経路であり、前記電子ペーパー用の送り経路は直線的な経路であることを特徴とする送り装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の送り装置において、
前記搬送経路には、電子ペーパー又は用紙に表示されている画像情報を光学的に読み取るスキャナが設けられていることを特徴とする送り装置。
【請求項11】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の送り装置において、
電子ペーパーは表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能に保持する記憶手段を有しており、
前記電子ペーパー用の搬送経路には、前記記憶手段に保持された電子データを読み取る読み取り手段が設けられていることを特徴とする送り装置。
【請求項12】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とをローラにより搬送する送り方法であって、
電子ペーパー及び用紙を上下から把持する一対のローラ間の間隔を、電子ペーパーと用紙とで異ならせて搬送することを特徴とする送り方法。
【請求項13】
画像情報を無電源常態で表示保持する電子ペーパーと画像情報の印刷に用いる用紙とを搬送する送り方法であって、
電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で搬送し、用紙は用紙用の送り経路で搬送することを特徴とする送り方法。
【請求項14】
画像情報の印刷に用いる用紙と、画像情報を無電源常態で表示保持し且つ表示保持する画像情報の電子データを外部読み取り可能にメモリに保持する電子ペーパーとを搬送する送り方法であって、
電子ペーパーは電子ペーパー用の送り経路で搬送し、用紙は用紙用の送り経路で搬送し、
電子ペーパー用の送り経路において電子ペーパーから画像情報の電子データを読み取ることを特徴とする送り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−30560(P2006−30560A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208848(P2004−208848)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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