説明

電子ペーパー用背面電極基材および電子ペーパー

【課題】電子ペーパーに用いた際に、配線電極の断線が発生し難く、かつ表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材、およびこれを用いた電子ペーパーを提供する。
【解決手段】表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層1と、表示電極層1の表示電極1β上に配置された配線電極用絶縁層2α、および配線電極用絶縁層2α上に形成された配線電極2βを備え、表示電極1βに電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層2と、配線電極層2の配線電極2β上に形成された保護フィルム3とを有し、表示電極層1の表示電極1βと表示電極1β直上に配置された配線電極層2の配線電極2βとが、導電性ペーストを含む導電接続層4を用いて接続されている電子ペーパー用背面電極部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーに用いた際に、配線電極の断線が発生し難く、かつ表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材および電子ペーパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる情報媒体の研究がなされている(例えば特許文献1〜特許文献3)。この情報媒体は、対向する基材間にマイクロカプセル等の表示媒体を封入し、電気的に表示の切り替えを行うものであり、低消費電力、曲げ可能なフレキシブル性、薄く軽いなどの優れた特性に加えて、書き換え可能という際立った特長を有し、実用化段階に入りつつある。
【0003】
上記電子ペーパーのより具体的な構成について説明する。一般的な電子ペーパーは、表示情報に対応するパターン状に形成された表示電極および上記表示電極に電荷を付与するために配置された配線電極を有する背面電極基材と、透明基材および透明電極を有する対向電極基材と、上記背面電極基材および対向電極基材の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とから構成されるものである。また、上記構成を有する電子ペーパーは、背面電極基材の表示電極と対向電極基材の透明電極との間に電圧を印加することによって、表示媒体層の表示媒体を制御することにより情報を表示するものである。
【0004】
ここで、上記電子ペーパーに用いられる背面電極基材を製造するに際しては、図12(a)、(b)に示すように、表示電極用絶縁層1”αおよび表示電極1”βを有し、所望のパターン形状に形成された表示電極層1”上全面に、絶縁性フィルム等の配線電極用絶縁層2”αを配置し、配線電極用絶縁層2”α上に導電性ペーストを用いて配線電極2”βを直接描画し、かつ表示電極1”β直上に位置する配線電極用絶縁層2”αにビアホールV’を設け、上記ビアホールV’にも導電性ペーストを注入して表示電極1”βおよび配線電極2”βを接続させるといった製造方法が用いられていた。
なお、図12(a)は従来の製造方法により製造された電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略平面図であり、図12(b)は図12(a)のA’−A’線断面図である。また、図12(a)においては、配線電極用絶縁層2”αは点線を用いて示している。
【0005】
しかしながら、この方法では高価な導電性ペーストを大量に用いる必要があることから製造コストが高くなるといった問題があった。また、上記配線電極を有する背面電極基材をフレキシブル性を有する電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーを湾曲させた場合に、配線電極に亀裂が入り、断線してしまうおそれがあるといった問題があった。
【0006】
そこで、上記問題に対して、図13(a)、(b)に示すように、上述の配線電極用絶縁層2”α上に、蒸着法等により金属膜をパターン状に形成した配線電極2”βを上述のビアホールV’の近くまで形成し、配線電極2”β上全面に配線電極用ビア層5’を配置し、配線電極用ビア層5’の配線電極2”β直上および上述のビアホールV’直上に第2ビアホールV”を設け、配線電極用ビア層5’上に導電性ペーストを含む導電接続層4’を線状に形成し、かつ第2ビアホールV”内部にも形成することで、配線電極2”βとビアホールV’内に配置されている表示電極1”βとを接続する方法が検討されている。しかしながら、上記方法で形成された配線電極2”βを有する背面電極基材10’を、フレキシブル性を有する電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーを湾曲させた際に、線状に形成された導電接続層4’に亀裂が入り、断線してしまうおそれがあるといった問題があった。
なお、図13(a)は従来の製造方法により製造された電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略平面図であり、図13(b)は図13(a)のA”−A”線断面図である。また、図13(a)においては、説明のため、配線電極用ビア層を省略して示している。また、説明していない符号については、図12(a)、(b)で説明した符号と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0007】
また、上記背面電極基材10’は、通常、図14に示すように、配線電極2”β上に保護フィルム3’がラミネート加工等により配置されて用いられるものである。上記構成を有する場合は、背面電極基材10’は、線状の導電接続層4’を有する部分と有さない部分とで表面に凹凸を有するため、保護フィルム3’をラミネート加工により配置した場合、上記導電接続層4’を有する部分に配置された保護フィルム3’は上記導電接続層4’を有さない部分に配置された保護フィルム3’に比べて強く引っ張られることとなる。その結果、保護フィルム3’を積層した場合、上記導電接続層4’を有する部分にかかる圧力Xは上記導電接続層4’を有さない部分にかかる圧力Yに比べて大きくなる。
また、上記圧力の差は、上記背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、電子ペーパーにかかる圧力の差として現れるものである。
なお、図14は従来の製造方法により製造された電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については、図13(a)、(b)で説明した符号と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0008】
ここで、電子ペーパーに用いられる表示媒体層は、表示媒体の移動等を利用して表示を行うものであることから、流動性の高い材料を含む場合が多く、硬度の低い層である場合が多いため、外部からの圧力による影響を受けやすく、例えば外部からの圧力により表示媒体層間のセルギャップが変化したり、表示媒体の駆動の仕方が変化するといった性質を有するものである。
したがって、上述の構成を有する背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、背面電極基材の上記導電接続層を有する部分においては、上記導電接続層を有さない部分に比べて大きな圧力がかかるため、部分的にセルギャップが小さくなることから表示媒体の駆動速度が変化してしまうといった問題や、上記圧力により表示媒体の駆動が妨げられるといった問題があった。また、その結果、電子ペーパーに表示される画像等の表示にムラが発生して視認性が低下してしまうといった問題があった。
【0009】
そこで、電子ペーパーに用いられる背面電極基材においては、配線電極の断線を防止することが可能であり、かつ電子ペーパーに用いられた際に表示不良が生じにくく、優れた情報表示を行うことが可能な構成が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−280044号公報
【特許文献2】特表2010−503895号公報
【特許文献3】特開2010−44337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電子ペーパーに用いた際に、配線電極の断線が発生し難く、かつ表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材、およびこれを用いた電子ペーパーを提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、上記配線電極層の上記配線電極上に形成された保護フィルムとを有し、上記表示電極層の上記表示電極と上記表示電極直上に配置された上記配線電極層の上記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されていることを特徴とする電子ペーパー用背面電極部材を提供する。
【0013】
本発明によれば、上記表示電極層の上記表示電極と上記表示電極直上に配置された上記配線電極層の上記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されている構成を有するため、従来の構成のように、電子ペーパー用背面電極基材に導電性ペーストを用いて線状に形成された配線電極や導電接続層を有さないことから、本発明の電子ペーパー用背面電極基材が用いられた電子ペーパーの使用時における配線電極の断線を好適に抑制することが可能となる。
また、従来の構成に比べて、導電性ペーストの使用量を少なくすることが可能となることから、製造コストについても削減することが可能となる。
【0014】
本発明においては、上記表示電極直上に配置された上記配線電極層がビアホールを有し、上記表示電極層の上記表示電極と上記配線電極層の上記配線電極とが、上記ビアホールを介して上記導電接続層を用いて接続されていることが好ましい。表示電極層の表示電極および配線電極層の配線電極の接続安定性を向上させることが可能となるからである。
【0015】
本発明においては、上記配線電極層と上記保護フィルムとの間に配置された絶縁性を有する配線電極用スペーサ層を有し、上記配線電極用スペーサ層が、上記ビアホール直上に配線電極用ビアホールを有し、かつ上記配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みと同一、または上記導電接続層の厚みよりも大きいことが好ましい。上記配線電極用スペーサ層を有することにより、配線電極層および保護フィルムの間に空隙を有さない、すなわち、上記電子ペーパー用背面電極基材の上記保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
【0016】
本発明においては、上記表示電極層と上記配線電極層との間に配置された絶縁性を有する表示電極用スペーサ層を有し、上記表示電極用スペーサ層が、上記ビアホール直下に表示電極用ビアホールを有するものであることも好ましい。上記表示電極用スペーサ層を有することにより、本発明の電子ペーパー用背面電極基材が用いられた電子ペーパーにおいて、配線電極層の配線電極の電荷の影響により、表示媒体層の表示媒体が誤作動を起こすことを防止することが可能となる。
【0017】
本発明は、上述した電子ペーパー用背面電極基材と、透明基材および上記透明基材上に形成された透明電極を有する対向電極基材と、上記電子ペーパー用背面電極基材と上記対向電極基材との間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とを有することを特徴とする電子ペーパーを提供する。
【0018】
本発明によれば、上述した電子ペーパー用背面電極基材を有することから、使用時において背面電極基材の配線電極に断線を生じ難く、かつ製造コストの低い電子ペーパーとすることができる。また、表示不良の発生が抑制され、視認性の高い情報表示を行うことが可能な電子ペーパーとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、電子ペーパーに用いた際に、配線電極の断線が発生し難く、かつ表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材を得ることが可能となるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の電子ペーパー用背面電極基材に用いられる配線電極層のパターン形状の一例を示すパターン図である。
【図4】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の電子ペーパー用背面電極基材に用いられる導電接続層の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法の一例を示す工程図である。
【図11】本発明の電子ペーパーの製造方法の一例を示す工程図である。
【図12】従来の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略図である。
【図13】従来の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。
【図14】従来の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の電子ペーパー用背面電極基材、および電子ペーパーについて説明する。
【0022】
A.電子ペーパー用背面電極基材
まず、本発明の電子ペーパー用背面電極基材(以下、単に背面電極基材と称して説明する場合がある。)について説明する。
【0023】
本発明の背面電極基材は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、上記配線電極層の上記配線電極上に形成された保護フィルムとを有し、上記表示電極層の上記表示電極と上記表示電極直上に配置された上記配線電極層の上記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されていることを特徴とするものである。
【0024】
なお、本発明において「電極上に配置される」とは、配線電極または表示電極上に直接配置されている場合だけではなく、他の層を介して配置されている場合を含む概念である。
また、本発明において「配線電極層の配線電極が表示電極層の表示電極直上に配置されている」とは、本発明の背面電極基材を配線電極層側から平面視で観察した場合に、配線電極層の配線電極の少なくとも一部が表示電極層の表示電極が配置されている領域に含まれ、表示電極および配線電極を線状のパターンを含まない導電接続層で接続可能な位置に配線電極が配置されていることを指し、上記の配置関係となるように、表面電極層の表面電極上に配線電極層が直接配置されている場合だけではなく、他の層を介して配置されている場合を含む概念である。
【0025】
ここで、本発明の背面電極基材について図を用いて説明する。
図1(a)は本発明の背面電極基材の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線断面図である。図1(a)、(b)に示すように、本発明の背面電極基材10は、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層1と、表示電極層1の表示電極1β上に配置された配線電極用絶縁層2α、および配線電極用絶縁層2α上に形成された配線電極2βを備え、上記表示電極1βに電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層2と、配線電極層2の配線電極2β上に形成された保護フィルム3とを有するものである。
また、本発明の背面電極基材10は、表示電極層1の表示電極1βと表示電極1β直上に配置された配線電極層2の配線電極2βとが、導電性ペーストを含む導電接続層4を用いて接続されているものである。
【0026】
本発明によれば、上記表示電極層の上記表示電極と上記表示電極直上に配置された上記配線電極層の上記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されている構成を有するため、従来の構成のように、背面電極基材に導電性ペーストを用いて線状に形成された配線電極や導電接続層を有さないことから、本発明の背面電極基材が用いられた電子ペーパーの使用時における配線電極の断線を好適に抑制することが可能となる。
また、従来の構成に比べて、導電性ペーストの使用量を少なくすることが可能となることから、製造コストについても削減することが可能となる。
【0027】
本発明の背面電極基材の構成としては、上記表示電極層の上記表示電極と上記表示電極直上に配置された上記配線電極層の上記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されている構成を有するものであれば特に限定されない。
本態様においては、なかでも、上記表示電極直上に配置された上記配線電極層がビアホールを有し、上記表示電極層の上記表示電極と上記配線電極層の上記配線電極とが、上記ビアホールを介して上記導電接続層を用いて接続されている構成を有することが好ましい。
【0028】
上述した背面電極基材の構成について図を用いて説明する。
図2(a)は本発明の背面電極基材の他の例を示す概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図である。図2(a)、(b)に示すように、本発明の背面電極基材10の好ましい構成は、表示電極1β直上に配置された配線電極層2がビアホールVを有し、表示電極層1の表示電極1βと配線電極層2の配線電極2βとが、ビアホールVを介して導電接続層4を用いて接続されている構成である。
なお、図2(a)、(b)において説明していない符号については、図1(a)、(b)と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0029】
本発明においては、ビアホールを介して表示電極層の表示電極および配線電極層の配線電極が導電接続層を用いて接続されていることから、ビアホール内部に導電接続層を保持することが可能となるため、ビアホールを介さないで各電極上に導電接続層が配置されている場合に比べて、導電接続層の剥がれ、割れ等を防止することができ、表示電極層の表示電極と配線電極層の配線電極との接続安定性を向上させることができる。
【0030】
以下、本発明において上記構成を有する場合の背面電極基材の詳細について説明する。
【0031】
1.配線電極層
本発明における配線電極層は、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有するものである。
また、本発明においては、表示電極上に配置された上記配線電極層がビアホールを有する。
【0032】
(1)ビアホール
本発明においては、上記ビアホールを介して、表示電極層の表示電極上および配線電極の配線電極上に、導電接続層が配置される。
【0033】
本発明におけるビアホールは、表示電極直上に位置する配線電極層に形成されるものである。なお、本発明において、「ビアホールが表示電極直上に位置する配線電極層に形成される」とは、ビアホールを介して各電極上に導電接続層を配置することができ、かつ配置された導電接続層を用いて表示電極および配線電極を接続させることが可能な配線電極層の位置にビアホールが形成されていることを指す。具体的には、本発明の背面電極基材を配線電極層側から平面視で観察した場合に、表示電極層が配置されている領域に完全に含まれて配置されている配線電極層にビアホールが形成されている場合だけではなく、表示電極層が配置されている領域の一部に配置されている配線電極層にビアホールが形成されている場合を含む。
【0034】
本発明におけるビアホールの平面視上の形状としては、表示電極上および配線電極上に導電接続層を配置することが可能な形状であれば特に限定されず、円形状、楕円形状、四角形状、多角形状等、およびこれらを組み合わせた形状等を挙げることができる。
【0035】
上記ビアホールの大きさとしては、上述した表示電極直上に位置する配線電極層の任意の位置に形成することができ、かつ表示電極および配線電極が接続可能となるように導電接続層を配置することが可能な大きさであれば特に限定されず、通常は、ビアホールが設けられる配線電極層の形状等に応じて適宜調整される。
具体的に、上記ビアホールの大きさとしては、0.5mm〜20.0mmの範囲内、なかでも1.0mm〜10.0mmの範囲内、特に2.0mm〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。上記大きさが上記範囲を超える場合は、導電接続層に用いられる導電性ペースト等の材料が多量に必要となることから製造コストが高くなる場合があるからである。また、上記大きさが上記範囲に満たない場合は、導電接続層を用いて十分に表示電極および配線電極を接続させることが困難となる場合があるからである。
なお、「ビアホールの大きさ」とは、ビアホールの形状において、最も大きい幅を指す。
【0036】
(2)配線電極層のパターン形状
本発明における配線電極層は上述したビアホールを有するものである。
【0037】
上記配線電極層のパターン形状としては、上記ビアホールを有することができ、かつ、表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状であれば特に限定されず、表示電極層のパターン形状等に応じて適宜選択することができる。
このような配線電極層のパターン形状としては、通常、図2(a)等に示すように、線状のパターン形状を好適に用いることができる。
【0038】
また、この場合、ビアホールが形成されている部分における配線電極層2のパターン形状としては、図3(a)に示すように、ビアホールVが形成されている部分とその他の部分とが同一の形状を有していてもよく、図3(b)に示すように、ビアホールVが形成されている部分がビアホールVの形状に沿ったパターン形状を有していてもよい。
本発明においては、なかでも、図3(b)に示すように、ビアホールVが形成されている部分がビアホールVの形状に沿ったパターン形状を有することが好ましい。このようなパターン形状とすることにより、ビアホールが形成されていない部分における配線電極層の線幅については小さくすることが可能となるため、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを小型化する場合や、本発明の背面電極基材に用いられる表示電極層のパターン形状が微細な場合においても、好適に配線電極層を配置することが可能となるからである。
なお、図3(a)、(b)は本発明の背面電極基材に用いられる配線電極層のパターン形状の例を示すパターン図であり、説明していない符号については、図2(a)等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0039】
上記配線電極層の線幅としては、上記ビアホールを有することができ、かつ、表示電極に電荷を付与することが可能な程度であれば特に限定されないが、1.0mm〜30.0mmの範囲内、なかでも3.0mm〜20.0mmの範囲内、特に5.0mm〜10.0mmの範囲内であることが好ましい。上記線幅が上記範囲に満たない場合は、上述したビアホールを形成することが困難となる場合や、配線電極層自体を形成することが困難となる場合があるからである。また、配線電極層の耐久性が十分ではないことから、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーの使用時に断線する可能性があるからである。
また、上記線幅が上記範囲を超える場合は、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを小型化することが困難となる可能性や、対応する表示電極層のパターン形状を微細化することが困難であることから、上記電子ペーパーにおいて高精細な情報表示を行うことが困難となる可能性があるからである。
【0040】
(3)配線電極層の構成
本発明における配線電極層は、配線電極用絶縁層および配線電極を有するものである。
このような配線電極層としては、配線電極用絶縁層として樹脂製基材を有し、かつ配線電極として導電層を有する態様(以下、Aの態様とする。)と、配線電極用絶縁層として絶縁性を有する粘着層を有し、かつ配線電極として金属基材を有する態様(以下、Bの態様とする。)とを挙げることができる。
以下、各態様について説明する。
【0041】
(i)Aの態様
本態様の配線電極層は、配線電極用絶縁層として樹脂製基材を有し、かつ配線電極として導電層を有するものである。
【0042】
(a)配線電極用絶縁層
本態様における配線電極絶縁層としては、樹脂性基材が用いられる。
上記樹脂製基材としては、透明性を有するものであってもよく、透明性を有さないものであってもよい。
【0043】
また、上記樹脂製基材としては、配線電極層を所望のパターン形状に加工することが可能であれば特に限定されず、フレキシブル性を有するものであってもよく、フレキシブル性を有さないものであってもよいが、フレキシブル性を有するものであることが好ましい。本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを加工性に優れたものとすることが可能となるからである。
【0044】
上記樹脂製基材としては、ヒートシール性を有するものであってもよく、ヒートシール性を有さないものであってもよい。上記樹脂製基材がヒートシール性を有するものである場合は、配線電極層を表示電極層の表示電極上に直接配置することが可能となる。なお、上記樹脂製基材がヒートシール性を有さない場合は、通常、後述する粘着層を介して配線電極層が表示電極層の表示電極上に配置されることとなる。
【0045】
上記樹脂製基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)等を挙げることができる。
【0046】
上記樹脂製基材の厚みとしては、本発明における配線電極層が所望のパターン形状を有することが可能となる程度であれば、特に限定されるものではなく、本発明の背面電極基材の用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、樹脂製基材の厚みは、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。樹脂製基材の厚みが薄すぎると、配線電極層の強度に問題があるおそれがあり、樹脂製基材の厚みが厚すぎると、本発明の背面電極基材が用いられた電子ペーパーを薄型化することが困難となるおそれがあるからである。
【0047】
(b)配線電極
本態様における配線電極としては、導電層が用いられる。また、上記導電層は上記配線電極用絶縁層上に形成されるものである。また、表示電極層の表示電極に電荷を付与するために用いられるものである。
【0048】
上記配線電極に用いられる材料としては、導電性を有し、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能なものであれば特に限定されず、一般的な電極材料と同様とすることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
【0049】
配線電極の厚みとしては、配線電極層上に形成することができ、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能な程度であれば特に限定されないが、5nm〜100000nm(0.005μm〜100μm)の範囲内、なかでも10nm〜1000nmの範囲内、特に15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。配線電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、配線電極の厚みが上記範囲を超える場合は、配線電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
【0050】
本発明に用いられる配線電極の形成方法としては、所望の厚みで配線電極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような配線電極層の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
【0051】
(ii)Bの態様
本態様の配線電極層は、配線電極用絶縁層として絶縁性を有する粘着層を有し、かつ配線電極として金属基材を有するものである。
【0052】
(a)配線電極用絶縁層
本態様における配線電極用絶縁層としては、絶縁性を有する粘着層が用いられる。
【0053】
粘着層に用いられる粘着材としては、表示電極と配線電極との間を絶縁することができ、かつ表示電極層上に配線電極を十分に固定することが可能であれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
【0054】
また、上記粘着層の膜厚としては、表示電極と配線電極との間を絶縁することができ、かつ表示電極層上に配線電極を十分に固定することが可能であれば特に限定されるものではなく、具体的には、5μm〜50μmの範囲内で設定することができる。
【0055】
粘着層の形成方法としては、一般的な塗布法を用いることができる。
【0056】
(b)配線電極
本態様における配線電極としては、金属基材が用いられる。
【0057】
上記配線電極に用いられる金属材料としては、上述した「(i)Aの態様」に用いられる配線電極の金属材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0058】
また、本態様における配線電極の厚みとしては、表示電極に所望の電荷を付与することが可能であれば特に限定されないが、1μm〜500μmの範囲内、なかでも、5μm〜200μmの範囲内、特に、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記配線電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極の強度を十分なものとすることが困難であり、本態様の背面電極基材の製造時、または使用時に配線電極に断線を生じる可能性があるからである。また、上記配線電極の厚みが上記範囲を超える場合は、配線電極層を所望のパターン形状に加工することが困難となる場合があるからである。
【0059】
(4)配線電極層の形成方法
本発明における配線電極層の形成方法としては、上述したパターン形状を有するように配線電極層を形成することが可能な方法であれば特に限定されない。
本発明においては、例えば、配線電極層に用いられる樹脂製基材上全面に配線電極を形成した配線電極層用基材を準備し、配線電極層用基材を所望の形状にカッティングすることにより配線電極層を形成する方法を好適に用いることができる。
また、金属基材を準備し、金属基材を所望のパターン形状にカッティングして配線電極を形成し、配線電極の一方の表面に粘着層からなる配線電極用絶縁層を形成することにより、配線電極層を形成することができる。
【0060】
2.導電接続層
本発明に用いられる導電接続層は、ビアホールを介して表示電極層の表示電極と配線電極層の配線電極とを接続させるために用いられるものである。また、上記導電接続層はビアホールを介して表示電極および配線電極上に配置されるものである。
【0061】
上記導電接続層は、通常、ビアホール内に位置する表示電極上全面に配置されるものである。
【0062】
上記配線電極層上に配置された導電接続層の厚み(以下、単に導電接続層の厚みと称して説明する場合がある。)としては、配線電極層の配線電極と表示電極層の表示電極とを接続させることが可能な程度の厚みであれば特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内、なかでも20μm〜200μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。導電接続層の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極層上の導電接続層の強度が十分ではないことから、本発明の背面電極基材が用いられた電子ペーパーの使用時に導電接続層に亀裂を生じ、配線電極に断線を生じる可能性があるからである。上記範囲を超える場合は、導電接続層の材料が多く必要となることから、製造コストが高くなる可能性があるからである。また、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸が大きくなることから、本発明の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、表示媒体層にかかる圧力の違いに起因する表示不良が生じる可能性があるからである。
【0063】
上記導電接続層は、通常、導電性ペーストを用いて形成されるものである。
上記導電性ペーストとしては、導電性を有し、上記ビアホールを介して各電極に導電性層を配置することにより、各電極を接続させることができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、導電性高分子化合物や、樹脂材料に導電性を有する無機材料を分散させたもの等を用いることができる。
【0064】
上記導電性ペーストが導電性高分子化合物である場合、上記導電性高分子化合物としては、具体的には、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニル等を用いることができる。
【0065】
また、上記導電性ペーストが、樹脂材料に導電性を有する無機材料を分散させたものである場合は、上記導電性を有する無機材料としては、カーボン、Ag、Cu、Al等を挙げることができ、本発明においては、導電率の点でAg、Cu等を用いることがより好ましい。
【0066】
また、上記樹脂材料としては、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
【0067】
上記導電接続層の形成方法としては、ビアホールを介して各電極上に導電接続層を配置することができるような方法であれば特に限定されず、一般的な塗布法等を用いて形成することができる。
【0068】
3.表示電極層
本発明における表示電極層は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有するものである。
なお、上記表示電極層は、通常、表示電極用絶縁層上全面に表示電極が形成されているものである。
【0069】
なお、本発明において「表示電極層が表示情報に応じたパターン形状を有する」とは、表示電極層が、本発明の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に電子ペーパーに所望の情報を表示することが可能となるようなパターン形状を有することを指す。
【0070】
また、上記表示電極層のパターン形状としては、1つの表示電極層を用いて1つの情報を表示することが可能となるようなパターン形状であってもよく、複数の表示電極層を用いて1つの情報を表示することが可能となるようなパターン形状であってもよい。
【0071】
このような表示電極層のパターン形状としては、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーの用途等に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、文字、数字、符号、標章や、人物、動物、植物、食物、道具、乗物、建物、風景等の絵柄等の表示情報に応じたパターン形状を挙げることができる。
【0072】
本発明における表示電極層は、表示電極用絶縁層および表示電極を有するものである。このような表示電極用絶縁層および表示電極の材料、厚み等については、上述した配線電極層に用いられる配線電極用絶縁層および配線電極の材料、厚み等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0073】
本発明における表示電極層の形成方法としては、所望のパターン形状を有する表示電極層を形成することが可能であれば特に限定されない。
本発明においては、例えば、表示電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材上全面に表示電極を形成し、これを所望の形状にカッティングすることにより、表示電極層を形成する方法を好適に用いることができる。また、上述した配線電極層の項で説明したように、金属基材および粘着層を用いても形成することができる。
【0074】
4.保護フィルム
本発明における保護フィルムは、配線電極層の配線電極上に配置されるものである。
【0075】
上記保護フィルムとしては、本発明の背面電極基材に用いられる層を保護することが可能であれば特に限定されないが、ラミネート加工が可能なフィルムであることが好ましい。
上記保護フィルムがラミネート加工が可能なフィルムであることにより、配線電極上に容易に保護フィルムを配置することが可能となるからである。
【0076】
また、上記保護フィルムとしては、単層のフィルム材料からなるものであってもよいし、複数層のフィルム材料が積層されたものを用いてもよい。
【0077】
本発明における保護フィルムとしては、なかでも、ラミネート加工可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層されたものを用いることが好ましい。
具体的には、ラミネート加工可能なベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性の観点からポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、シーラントフィルム材料としては無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性のある材料からなる塗膜等を用いることも可能である。
なお、保護フィルムを配線電極上に配置する場合は、ベースフィルム材料とシーラントフィルム材料とのうち、シーラントフィルム材料側が対向するように配置されて接着される。
【0078】
また、上記保護フィルムの厚みとしては、本発明の背面電極基材に用いられる各層を保護することが可能となる程度の膜厚であれば特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内、なかでも15μm〜100μmの範囲内、特に25μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上記範囲に満たない場合は、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーの使用時に保護フィルムが破断する可能性があるからであり、上記厚みが上記範囲を超える場合は、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難となる可能性があるからである。
【0079】
5.その他の構成
本発明の背面電極基材は、上記表示電極層、配線電極層、保護フィルム、および導電接続層を有するものであれば特に限定されず、他にも必要な構成を適宜選択して追加することが可能である。以下、このような構成について説明する。
【0080】
(1)配線電極用スペーサ層
本発明においては、配線電極用スペーサ層を有することが好ましい。
【0081】
ここで、本発明における配線電極用スペーサ層について、図を用いて説明する。図4(a)は、本発明の背面電極基材の他の例を示す概略断面図、図4(b)は図4(a)のC部分の拡大図、図4(c)は配線電極層2、配線電極用スペーサ層5および保護フィルム3の配置の関係を示す模式図である。
本発明における配線電極用スペーサ層5は、図4(a)〜(c)に示すように、配線電極層2と保護フィルム3との間に配置され、絶縁性を有するものである。また、配線電極用スペーサ層5は、ビアホールV直上に配線電極用ビアホールVを有するものである。さらに、配線電極用スペーサ層5は、その厚みtが、図4(b)に示すように、配線電極用ビアホールVの端部に形成された導電接続層4の厚みsと同一、または図示はしないが導電接続層4の厚みsよりも大きいものである。また、図4(c)に示すように、配線電極用スペーサ層5は、通常、保護フィルム3と同様の形状を有するものである。
なお、図4(a)〜(c)において説明していない符号については図1(b)等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0082】
本発明においては、上記配線電極用スペーサ層を有することにより、配線電極層および保護フィルムの間に空隙を有さない、すなわち、背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本発明の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
【0083】
なお、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みと同一である」とは、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、±30μm以下、好ましくは±20μmの範囲内、より好ましく±10μmの範囲内であることを指す。また、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層4の厚みと同一である」とは、図4(b)に示すように、配線電極用ビアホールVの端部に形成された導電接続層の厚みsと、配線電極層2表面から配線電極用ビアホールVの中央部分に形成された導電接続層4の表面までの厚みs’とが同等の場合だけではなく、図5に示すように、上述の厚みs’が上述の厚みsよりも小さい場合も含む概念である。
【0084】
一方、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みよりも大きい」とは、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、本発明の背面電極用基材を用いた電子ペーパーに表示不良が発生させない程度であれば特に限定されるものではない。
具体的には、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、50μm以下、なかでも30μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みの差が上記範囲を超える場合は、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーに表示不良が発生する可能性があるからである。
【0085】
上記配線電極用スペーサ層の厚みとしては、上述した導電接続層の厚みとの関係が上述した関係となり、本発明の背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸を小さいものとすることが可能であれば特に限定されないが、具体的には、10μm〜300μmの範囲内、なかでも20μm〜200μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極用スペーサ層を配置した場合であっても、本発明の背面電極基材の保護フィルム側表面の表面凹凸を十分に小さいものとすることが困難である可能性があるからである。また、上記厚みが上記範囲を超える場合は、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難となる可能性があるからである。
【0086】
また、配線電極用スペーサ層に設けられる配線電極用ビアホールの大きさとしては、配線電極用ビアホールを介して、下層に位置するビアホール内に導電接続層を配置することが可能となる程度の大きさであれば特に限定されないが、ビアホールの大きさよりも大きいことが好ましい。配線電極用ビアホールの大きさをビアホールの大きさよりも大きくすることにより、配線電極用スペーサ層を配線電極層上に配置する際の位置合わせを容易に行うことが可能となることから、背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることが可能となる。
【0087】
このような配線電極用ビアホールの大きさについては、具体的には、ビアホールの大きさを考慮して適宜決定される。
【0088】
配線電極用スペーサ層に用いられる材料としては、絶縁性を有し、配線電極層および保護フィルムの間に配置することが可能であり、かつ上記配線電極用ビアホールを形成することが可能な材料であれば特に限定されない。通常は、樹脂製基材が用いられる。
なお、配線電極用スペーサ層に用いられる樹脂製基材については、上述した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0089】
なお、本発明において、図6に示すように、配線電極用スペーサ層5の配線電極用ビアホールVが形成されている部分において、導電接続層4と保護フィルム3との間に空隙を有する場合は、導電接続層4および保護フィルム3の間に充填層6を配置してもよい。充填層6を有することにより、本発明の背面電極基材10の保護フィルム3側の表面をより平坦性の高いものとすることが可能となることから、本発明の背面電極基材10を電子ペーパーに用いた場合により良好な情報表示を行うことが可能となるからである。
【0090】
上記充填層に用いられる材料としては、配線電極用スペーサ層の表面の凹凸がより少なくなるように、配線電極用ビアホール内に配置することが可能なものであれば特に限定されないが、なかでも接着剤であることが好ましい。配線電極用スペーサ層の表面段差を小さくするとともに、防湿の効果もあり、湿気による電極劣化を防止することが可能となるからである。
【0091】
上記充填層に用いられる接着剤としては、公知のものとすることができる。なかでも、吸湿性の低い材料の方が好ましい。
【0092】
(2)表示電極用スペーサ層
本発明においては、図7に示すように、表示電極層1と配線電極層2との間に配置された絶縁性を有する表示電極用スペーサ層7を有していることが好ましい。また、表示電極用スペーサ層7は、通常、上記ビアホールV直下に表示電極用ビアホールVを有するものである。
【0093】
ここで、配線電極層に用いられる配線電極用絶縁層の厚みが薄い場合においては、本発明の背面電極基材を電子ペーパーに用いた際に、配線電極の電荷が表示媒体層の表示媒体に影響し、電子ペーパーを用いて所望の情報表示を行うことが困難となることが懸念される。また、配線電極用絶縁層の厚みを表示媒体に電荷の影響を与えない程度に厚くした場合は、配線電極層を上述のカッティング処理を施す方法を用いて形成することが困難となる可能性がある。
そこで、本発明においては、表示電極用スペーサ層を設けることにより、上述した配線電極の表示媒体層への影響を十分に阻害することができるとともに、所望の形状を有する配線電極層を所望の形状で形成することが可能となる。
【0094】
表示電極用スペーサ層の形状としては、表示電極層の表示電極上に配置することができ、かつ表示電極用スペーサ層上に配線電極層の配置することが可能な形状であれば特に限定されない。このような表示電極用スペーサ層の形状としては、例えば、配線電極層のパターン形状と同様のパターン形状であってもよく、保護フィルムと同様の形状を有していてもよい。
【0095】
表示電極用スペーサ層の厚みとしては、本発明の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、配線電極層の配線電極の電荷が表示媒体層の表示媒体に影響しない程度の厚みであれば特に限定されないが、10μm〜200μmの範囲内、なかでも10μm〜100μmの範囲内、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。表示電極用スペーサ層の厚みが上記範囲に満たない場合は、表示電極用スペーサ層を配置した場合であっても、配線電極層の配線電極の電荷の影響を十分に阻害することが困難となる可能性があるからである。また、上記厚みが上記範囲を超える場合は、表示電極用スペーサ層を所望のパターン形状に形成することが困難となる可能性があるからである。また、本発明の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難になる可能性があるからである。
【0096】
また、表示電極用スペーサ層に形成される表示電極用ビアホールの大きさとしては、表示電極用ビアホールを介して導電接続層を配置することにより、表示電極層の表示電極と配線電極層の配線電極とを接続させることが可能となる程度の大きさであれば特に限定されないが、表示電極用ビアホールの大きさがビアホールの大きさよりも小さいことが好ましい。これにより、表示電極用スペーサ層および配線電極層の位置合わせを容易に行うことが可能となるため、本発明の背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることが可能となるからである。
なお、具体的な表示電極用ビアホールの大きさについては、通常、配線電極層に形成されるビアホールの大きさに応じて適宜選択される。
【0097】
上記表示電極用スペーサ層に用いられる材料としては、絶縁性を有し、配線電極層の配線電極の電荷の影響を十分に阻害することができる材料であれば特に限定されない。通常は、上述した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材と同様とすることができる。
【0098】
(3)粘着層
本発明においては、図8に示すように、本発明の背面電極基材10に用いられる各層は粘着層8を介して接着されていてもよい。粘着層を用いた場合は、本発明の背面電極基材の各層間の密着性を高いものとすることが可能となり、その結果、本発明の背面電極基材の強度を高いものとすることができるからである。また、背面電極基材を製造する際に、簡便に各層間を貼り合せることが可能となるからである。
また、図8に示すように、表面電極層1の表面電極用絶縁層1α側の表面に粘着層8が形成されていてもよい。これにより、本発明の背面電極用基材を電子ペーパーの表示媒体層に容易に配置することが可能となるからである。
【0099】
粘着層に用いられる粘着材、上記粘着層の膜厚、および粘着層の形成方法としては、各層を貼り合わせることができ、かつ、表示電極層の表示電極用絶縁層側と電子ペーパーの表示媒体層とを貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、上述したBの態様の配線電極層に用いられる粘着層と同様とすることができる。
【0100】
(4)剥離層
本発明において、図8に示すように、表示電極層1の表示電極用絶縁層1α側に粘着層8が形成されている場合は、剥離層9を有することが好ましい。上記剥離層を有することにより、本発明の背面電極基材を取り扱い易いものとすることができる。
【0101】
このような剥離層としては、上記粘着層から容易に剥離することができ、粘着層に欠損部分を生じさせないものとすることが可能であれば特に限定されず、公知のものとすることができる。
【0102】
6.背面電極基材
上記の説明においては、表示電極層の表示電極および配線電極層の配線電極の接続安定性の観点から、本発明の背面電極基材において好ましい構成、すなわち、図2(a)、(b)等に示すように、配線電極層2が表示電極1β直上にビアホールVを有し、表示電極層1の表示電極1βと配線電極層2の配線電極2βとが、ビアホールVを介して導電性ペーストを含む導電接続層4を用いて接続されている構成を有するものを例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、表示電極層の表示電極と表示電極直上に配置された配線電極層の配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されている構成を有するものであれば、本発明の作用効果を奏することが可能である。
【0103】
このような構成としては、例えば上述した図1(a)、(b)に示すように、表示電極層1の表示電極1βと表示電極1β直上に配置された配線電極層2の配線電極2βとが、ビアホールを介さずに導電性ペーストを含む導電接続層4を用いて接続されている構成や、図示はしないが、ビアホールを有さない配線電極層を上述した配線電極用スペーサ層や表示電極用スペーサ層とともに表示電極層の表示電極直上に配置し、表示電極層の表示電極および配線電極層の配線電極が、配線電極用ビアホールや表示電極用ビアホールを介して上記導電接続層を用いて接続されている構成等を挙げることができる。
【0104】
7.用途
本発明の背面電極基材は、種々の表示媒体層を有する電子ペーパーに用いることができる。本発明においては、なかでも、表示媒体としてツイストボールを用いた表示媒体層を有する電子ペーパーに用いることが好ましい。表示媒体としてツイストボールを有する表示媒体層は、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸に起因する表示不良が発生しやすいことから、本発明の背面電極基材の効果を高く発揮することが可能となるからである。
【0105】
8.背面電極基材の製造方法
本発明の背面電極基材の製造方法としては、上述した構成を有する背面電極基材を製造することが可能な方法であれば特に限定されない。例えば後述する「B.電子ペーパー」の項で説明する方法を用いることができる。
【0106】
B.電子ペーパー
次に、本発明の電子ペーパーについて説明する。
本発明の電子ペーパーは、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した背面電極基材と、透明基材および上記透明基材上に形成された透明電極を有する対向電極基材と、上記背面電極基材と上記対向電極基材との間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とを有することを特徴とするものである。
【0107】
ここで、本発明の電子ペーパーについて図を用いて説明する。
図9は、本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図9に示すように、本発明の電子ペーパー100は、背面電極基材10と、透明基材21および透明電極22を有する対向電極基材20と、背面電極基材10と対向電極基材20との間に配置され、表示媒体31を含む表示媒体層30とを有するものである。ここで、背面電極基材10については、図2で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、図9においては、表示媒体層30は、ツイストボール31と低極性溶媒層32とを有するものである。また、本発明においては表示媒体層用基材33を有していてもよい。
【0108】
本発明によれば、上述した電子ペーパー用背面電極基材を有することから、使用時において背面電極基材の配線電極に断線を生じ難く、かつ製造コストの低い電子ペーパーとすることができる。また、表示不良の発生が抑制され、視認性の高い情報表示を行うことが可能な電子ペーパーとすることができる。
【0109】
以下、本発明の電子ペーパーの各構成について説明する。
【0110】
1.背面電極基材
本発明における背面電極基材については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
2.対向電極基材
本発明における対向電極基材は、透明基材と、上記透明基材上に形成された透明電極を有するものである。
【0112】
(1)透明基材
まず、上記対向電極基材に用いられる透明基材について説明する。
本発明における対向電極基材に用いられる透明基材としては、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的な電子ペーパーに用いられている透明基材と同様のものを用いることができる。中でも、本発明に用いられる透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパーの表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
【0113】
本発明に用いられる透明基材は、ガラス基板等のフレキシブル性を有さない透明な基材であってもよく、あるいは、樹脂製フィルム等のフレキシブル性を有する透明な基材であってもよい。
【0114】
中でも、本発明においては、フレキシブルを有する透明な基材を用いることが好ましい。フレキシブルを有する透明な基材を用いることにより、本発明の電子ペーパーにフレキシブル性を付与することが可能となり、加工性を向上させることが可能となるからである。上記樹脂製フィルム基材に用いられる樹脂については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材のものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0115】
また、本発明においては、フレキシブル性を有する薄板ガラスを透明基材として用いてもよい。このような薄板ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を用いることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
【0116】
本発明に用いられる透明基材の厚みとしては、特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパーの用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、透明基材の厚みは、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。透明基材の厚みが薄すぎると、強度に問題があるおそれがあり、透明基材の厚みが厚すぎると、本発明の電子ペーパーを薄型化することが困難となるおそれがあるからである。
【0117】
(2)透明電極
次に、上記対向電極基材に用いられる透明電極について説明する。
本発明に用いられる透明電極の材料としては、透明電極を形成することができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
【0118】
本発明に用いられる透明電極の厚みとしては、透明電極として機能することができれば特に限定されるものではないが、15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。透明電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、透明電極を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、透明電極の厚みが上記範囲を超える場合は、透明電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
【0119】
本発明に用いられる透明電極の形成方法としては、所望の厚みで透明電極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような透明電極の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。また、上記透明電極は、下地となる層または透明基材の表面上に全面に形成されていてもよく、下地となる層または透明基材の表面上にパターン状に形成されていてもよい。
【0120】
(3)その他の構成
本発明における対向電極基材は、上述した透明電極、および透明基材を有するものであれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
以下、このような構成としては例えば補助電極を挙げることができる。
【0121】
ここで、補助電極とは、導電性材料を用いてメッシュ状に形成された電極であり、透明電極に積層させて形成されるものである。上記補助電極を透明電極とともに用いることで、上記対向電極基材の導電性を向上させることが可能となる。
なお、補助電極については、一般的な電子ペーパーの対向電極基材に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0122】
3.表示媒体層
次に、表示媒体層について説明する。
上記表示媒体層は、背面電極基材と、対向電極基材との間に配置されるものである。
【0123】
本発明に用いられる表示媒体層は、本発明の電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。本発明においては、中でも、ツイストボール方式が好適に用いられる。表示媒体としてツイストボールを有する表示媒体層は、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸に起因する表示不良が発生しやすいことから、上述した背面電極基材の効果を高く発揮することが可能となるからである。
【0124】
なお、ツイストボール方式は、表示電極層の表示電極および対向電極基材の透明電極の間に駆動電圧を印加して生じた電界により、異なる帯電特性を有する2色相球状粒子(ツイストボール)を2色相のいずれか1色の相がツイストボール型電子ペーパーの表示面側に向くように回転させることで情報を表示する方式である。
【0125】
以下、本発明の電子ペーパーがツイストボール方式の電子ペーパーである場合の表示媒体層について説明する。
【0126】
ツイストボール方式の電子ペーパーに用いられる表示媒体層は、通常、2色相のツイストボール、および低極性溶媒を含む低極性溶媒層を備えるものである。
【0127】
(1)ツイストボール
本発明に用いられるツイストボールは、異なる帯電特性を有する2色相を有するものである。また、本発明における電子ペーパーにおいて表示媒体として働くものである。
【0128】
本発明に用いられるツイストボールとしては、球状であり、有色彩相/白色相あるいは有色彩相/有色彩層の異なる2色相を有し、異なる2色相が互いに異なる帯電特性を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0129】
このようなツイストボールとしては、例えば、特開2004−197083号公報で提案されているマイクロチャンネル製造方法で製造されるツイストボールと同様とすることができる。
【0130】
ここで、マイクロチャンネル製造方法は、着色連続相と球状粒子化相とが互いにO/W型又はW/O型の関係にあるものを用い、着色連続相が移送される第1マイクロチャンネルから、第2マイクロチャンネルに流れる流動媒体の球状粒子化相内に、2色の着色連続相を順次吐出させることにより、2色相球状ポリマー粒子で、かつ、電荷的に(±)の極性を有する帯電特性球状粒子であるツイストボールを製造する製造方法である。
【0131】
上記マイクロチャンネル製造方法においては、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性媒体中に、この媒体に不溶性の着色染顔料を含有する2色に分相させた着色連続相中の重合性樹脂成分を、互いに異なる正負に帯電する重合性モノマーで形成させて、第1マイクロチャンネルに移送させ、次いで、この着色連続相を、第2マイクロチャンネル内を流れる水性又は油性の球状粒子化相中に、連続又は間欠的に順次吐出させる。次いで、球状粒子化相中に吐出させた吐出物は、マイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に球状粒子化されながら、球状粒子化相中に順次球状物化されるので、この球状化粒子中の重合性樹脂成分をUV照射下及び/又は加熱下に重合硬化させることによりツイストボールが適宜調製される。
【0132】
上記着色連続相は、2色相に分相されている連続色相であって、例えば、黒色/白色、赤色/白色、黄色/白色、青色/白色、緑色/白色、紫色/白色等の何れかの「有彩色相/白色相」から選ばれる何れかの2色の分相色相、あるいは有色彩相/有色彩相の異なる2色の分相色相を挙げることができる。このような色相を形成させる着色剤としては、後述する重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散されるのであれば特に限定することなく、適宜選んで用いられる。上記着色剤としては、染料および顔料を用いることができる。
【0133】
このような染料および顔料としては、例えば、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0134】
これら着色剤としての染顔料の添加量は、特に限定されるものではなく、また、その着色粒子の用途等によっても所望される色調が異なり、また、上述する着色連続相中での分散性等から、本発明においては、着色連続相中の重合硬化成分である全重合性樹脂成分100質量部当たり、0.1質量部〜80質量部で、好ましくは2質量部〜10質量部の範囲で適宜好適に添加することができる。
【0135】
上記ツイストボールに用いられる重合性樹脂成分又は重合性モノマーとしては、ツイストボールに用いられる重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、上記ツイストボールの帯電性が、それぞれ(−)帯電性と(+)帯電性を示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本発明における重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を周知のうえで、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて適宜好適に使用することもできる。
【0136】
一方、少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分又は重合性モノマーにおいて、その官能基又は置換基としては、例えば、カルボニル基,ビニル基,フェニル基,アミノ基,アミド基,イミド基,ヒドロキシル基,ハロゲン基,スルホン酸基,エポキシ基及びウレタン結合等を挙げることができる。本発明においては、このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組み合わせて適宜好適に使用することができる。
【0137】
(−)帯電性の傾向にある重合性モノマーおよび(+)帯電性の傾向にある重合性モノマーとしては、例えば、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0138】
本発明において、既に上述した第2マイクロチャンネルに着色連続相として吐出された後の重合性樹脂成分の重合時におけるこのような重合性モノマーを他の共重合モノマーに組み合わせて使用する場合には、着色樹脂微粒子に託される所望する帯電性又は電気泳動性にもよるが、重量基準で表して、帯電性の傾向にあるモノマーが、好ましくは全モノマー中1%〜100%の範囲で、更に好ましくは5%〜100%で、特に好ましくは10%〜100%の範囲にある重合性モノマーとの共重合体粒子であれば適宜好適に使用されて、所望するツイストボールを提供することができる。
【0139】
また、上記ツイストボールは、球状の単分散粒子で、その平均粒子径が体積基準で表して1.0μm〜400μmの範囲内で、好ましくは、20μm〜200μmの範囲内で、更に好ましくは50μm〜120μmの範囲内に適宜調製することができる。また、その平均粒子径のバラツキが著しく低い均斉な粒子を適宜調製される。本発明においては、その均斉度をCv値で表して、20%以下、好ましくは、5%以下、更に好ましくは3%以下の単分散粒子のツイストボールとして適宜好適に用いられる。
【0140】
(2)低極性溶媒層
本発明における低極性溶媒層は、ツイストボールとともに表示媒体層を構成するものである。
本発明に用いられる低極性溶媒層は、低極性溶媒を含むものであれば特に限定されるものではない。上記低極性溶媒層としては、通常、低極性溶媒と、上記低極性溶媒を膨潤させる、エラストマー材料からなるエラストマーシートとから構成されるものである。
以下、上記低極性溶媒層に用いられる低極性溶媒、およびエラストマーシートについてそれぞれ説明する。
【0141】
(i)低極性溶媒
本発明に用いられる低極性溶媒は、上述したツイストボールの回転が円滑となるようにするために用いられるものである。また、通常は後述するエラストマーシートを膨潤させて用いられるものである。
【0142】
このような低極性溶媒としては、上記ツイストボールの回転を妨げることなく、円滑に回転させることができるものであれば特に限定されるものではない。このような低極性溶媒としては、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、および直鎖パラフィン系溶媒、ドデカン、トリデカン等の直鎖アルカンを挙げることができる。
【0143】
(ii)エラストマーシート
本発明に用いられるエラストマーシートは、上記低極性溶媒で膨潤させることができるエラストマー材料からなるものである。また、上記エラストマーシートは、上記ツイストボールが分散されたシート状部材であり、これに上記低極性溶媒で膨潤させることによって用いられるものである。
【0144】
このようなエラストマーシートに用いられる材料としては、上記ツイストボールを分散可能であり、かつ、上記低極性溶媒で膨潤することが可能であれば特に限定されるものではない。
このようなエラストマーシートの材料としては、シリコーン樹脂、微架橋したアクリル樹脂、微架橋したスチレン樹脂、およびポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
【0145】
また、上記エラストマーシートの膜厚としては、本発明における電子ペーパーがエラストマーシート中に分散されたツイストボールによって情報表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールが均一に分散されたエラストマーシートとすることが困難であるからであり、上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲を超える場合は、ツイストボールの回転を妨げるおそれがあるからである。
【0146】
(3)その他の部材
また、本発明における表示媒体層は、上記ツイストボールと、上記低極性溶媒層とを有するものであれば特に限定されず、他にも必要な部材を追加することができる。
以下、このような部材について説明する。
【0147】
(i)表示媒体層用基材
本発明においては、図9に示すように、表示媒体層30を支持するための表示媒体層用基材33を有していてもよい。なお、図9においては、表示媒体層用基材33は表示媒体層30の背面電極基材10および対向電極基材20側の両方に配置される例について示しているが、図示はしないが、背面電極基材側または対向電極基材側のいずか一方にのみ配置されていてもよい。
表示媒体層用基材33を有することにより表示媒体層30の強度を向上させることができるため、電子ペーパー100の耐久性を向上させることができる。
【0148】
また、上記表示媒体層用基材を有することにより、表示媒体層を背面電極基材や対向電極基材と別個の部材として扱うことが可能となる。そのため、本発明における電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、背面電極基材を取り換えることにより、異なる情報を表示することが可能となることから、表示媒体層を再利用することが可能となる。
【0149】
表示媒体層用基材については、上述した透明基材の項で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、図9に示すように、表示媒体層用基材33としては、ラミネート加工が可能な基材であることが好ましい。表示媒体層用基材を用いて表示媒体層を密封することが可能となるからである。ラミネート加工が可能な基材については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の保護フィルムの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0150】
なお、表示媒体層用基材がラミネート加工が可能な材料からならない場合は、通常、後述するシール剤を用いて表示媒体層が密封される。
【0151】
(ii)シール剤
シール剤は表示媒体層を密封する際に用いられるものであり、通常、表示媒体層に隣接する基材の端部に配置されるものである。
このようなシール剤については、表示媒体層中の低極性溶媒の漏れ等を防止することができるように表示媒体層に隣接する基材とともに表示媒体層を密封することが可能であれば特に限定されない。具体的には、一般的な電子ペーパーに用いられるシール剤と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0152】
なお、「表示媒体層に隣接する基材」とは、ツイストボールの背面電極基材側表面および対向電極側表面に配置される基材を指し、具体的には、保護フィルム、透明基材、表示媒体層用基材のいずれかを指す。
【0153】
(4)表示媒体層
本発明に用いられる表示媒体層の膜厚としては、本発明における電子ペーパーにおいてツイストボールを回転させることにより情報表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記表示媒体層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が小さいことから、ツイストボールが所望する方向へ回転するのが困難である可能性があるからであり、上記表示媒体層の膜厚が上記範囲を超える場合は、上記表示電極および対向電極間に電界を印加したとしても、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が大きすぎることにより、本発明における電子ペーパーにおいて、ツイストボールを用いて情報表示を行うことが困難であるからである。
【0154】
また、本発明に用いられる表示媒体層の密封方法としては、表示媒体層から低極性溶媒の液漏れ等が発生しないように密封することが可能な方法であれば特に限定されず、例えば表示媒体層に隣接する基材の端部にシール剤を配置することによって密封する方法や、隣接する基材にラミネート加工が可能な材料からなる基材を用い、ラミネート加工することにより密封する方法を挙げることができる。
本発明においては、ラミネート加工により表示媒体層を密封することが好ましい。シール剤を用いた密封方法に比べて、より好適に表示媒体層からの低極性溶媒の液漏れ等を防止することが可能となり、また、表示領域についても広範囲なものとすることが可能となる。
【0155】
4.その他の構成
本発明の電子ペーパーは上述した背面電極基材、対向電極基材、および表示媒体層を有するものであれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
このような構成としては、例えば本発明の電子ペーパーを用いてカラー表示を行うことを可能とするカラーフィルタ層、電子ペーパーの表面に反射防止機能、低反射機能、防眩機能、のぞき見防止機能等の光学的機能を付与することが可能な光学機能層、電子ペーパー表面の傷および汚れを防止する表面保護機能を付与することが可能な表面保護層、電子ペーパーの画面に触れることにより情報の入力が可能な利便性を付与するタッチパネル層等を挙げることができる。
なお、通常、これらの構成は、電子ペーパーの表示面側、すなわち対向電極基材側に設けられる。また、これらの構成についてはいずれも公知の構成と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0156】
5.用途
本発明の電子ペーパーの用途としては、デジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いられる。
【0157】
6.電子ペーパーの製造方法
本発明における電子ペーパーの製造方法としては、上記構成を有する電子ペーパーを製造することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な電子ペーパーの製造方法と同様とすることができる。
このような電子ペーパーの製造方法としては、例えば、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層を形成する表示電極層形成工程、配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層を形成する配線電極層形成工程、上記表示電極層の上記表示電極直上に上記配線電極層を配置し、電極上に導電性ペーストを含む導電接続層を配置することにより、表面電極層の表面電極および配線電極層の配線電極を接続させる接続工程、ならびに上記配線電極層の配線電極上に保護フィルムを配置する保護フィルム配置工程を有する背面電極基材形成工程と、透明電極基材上に透明電極を有する対向電極基材を準備する対向電極基材準備工程と、表示媒体を有する表示媒体層を準備する表示媒体層準備工程と、上記背面電極基材と上記対向電極基材との間に表示媒体層を配置することにより、電子ペーパーを形成する配置工程とを有する製造方法を挙げることができる。
【0158】
上述した電子ペーパーの製造方法について図を用いて説明する。図10(a)〜(f)および図11(a)〜(d)は、上記電子ペーパーの製造方法の一例を示す工程図である。
上記背面電極基材形成工程においては、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備えた表示電極層用基材1’を準備し、表示電極用基板1’を表示情報に応じたパターン形状にカッティングすることにより表示電極層1を形成する表示電極層形成工程(図10(a)、(b))と、配線電極用絶縁層2α、および配線電極用絶縁層2α上に形成された配線電極2βを備えた配線電極層用基材2’を準備し、配線電極層用基材2’を、表示電極2βに電荷を付与することが可能なパターン形状にカッティングし、かつ所定の位置にビアホールVを形成することにより配線電極層2を形成する配線電極層形成工程(図10(c)、(d))と、表示電極層1の表示電極1β直上にビアホールVが配置されるように配線電極層2を配置し、ビアホールVを介して各電極1β、および2β上に導電性ペーストを含む導電接続層4を配置することにより、表面電極層1の表面電極1βおよび配線電極層2の配線電極2βを接続させる接続工程(図10(e))と、配線電極層2の配線電極2β上に保護フィルムを配置する保護フィルム配置工程(図10(f))とを行うことにより、背面電極基材10を形成する。
また、上記対向電極基材準備工程においては、図11(a)に示すように、透明基材21、および透明基材21上に形成された透明電極22を有する対向電極基材20を準備する。
また、表示媒体層準備工程においては、図11(b)に示すように、ツイストボール31および低極性溶媒層32を有する表示媒体層30を準備する。
また、配置工程においては、図11(c)、(d)に示すように、背面電極基材10の表示電極層用絶縁層1α側に表示媒体層用基材33を配置し、対向電極基材20の透明基材21側に表示媒体層用基材33を配置し、各々の表示媒体層用基材33との間に表示媒体層30を配置して、表示媒体層用基材33にラミネート加工を施すことにより、電子ペーパー100を形成する。
【0159】
なお、図示はしないが、上述した表示電極層形成工程、および配線電極層形成工程において形成される各層が、金属基材および粘着層から構成されるものである場合は、金属基材を所望のパターン形状にカッティングした後、粘着層を形成することにより各層を形成してもよい。
【0160】
なお、上述の電子ペーパーの製造方法において、背面電極基材形成工程における表示電極層形成工程、配線電極層形成工程、接続工程、および保護フィルム配置工程に用いられる各構成の材料、形成方法、および上述の各工程において形成される表示電極層、配線電極層、および導電接続層等については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の各構成の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0161】
また、対向電極基材準備工程、および表示媒体層準備工程において準備される対向電極基材、および表示媒体層については、上述したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0162】
また、配置工程における表示媒体層の配置方法は、背面電極基材および対向電極基材の間に表示媒体層を配置して電子ペーパーを形成することが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、図11(c)、(d)に示すように、背面電極基材10の配線電極用絶縁層1α側および対向電極基材20の透明基材21側にそれぞれラミネート加工可能な表示媒体層用基材33を貼合し、各表示媒体層用基材33の間に表示媒体層30を配置した後、ラミネート処理を施す方法を挙げることができる。また、図示はしないが、予め一対の表示媒体層用基材間に表示媒体層を配置したのち、各表示媒体層用基材の表面に背面電極基材または対向電極基材を貼合する方法等を挙げることができる。
【0163】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0164】
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。
【0165】
厚さ50μmの粘着付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック(株)製 PET50 A PLシン 11BL)と、低温乾燥タイプの導電性ペースト(藤倉化成(株)製 D‐550)と、厚さ12μmの蒸着アルミニウム/PET(東レフィルム加工(株)製 #12 VM‐PET1510)と、厚さ12μmのポリエステルフィルム両面粘着テープ(東京フィルムサービス(株)製 No.705)と、厚さ55μmのラミネートシートPET/CPP(パナック(株)製 PET/CPP 55μm)と、厚さ125μmの透明電極ITO/PET(東京中井商事(株) RT‐1T)と、シリコーンオイルで膨潤済みの厚さ330μmの*ツイストボールシート(綜研化学(株)製 ツイストボールシート(黒白) *電子ペーパーの一種)と、カッティングマシーン(グラフテック(株)製 CE‐5000)を準備した。
【0166】
(背面電極基材の作製)
厚さ12μmの蒸着アルミニウム/PET(東レフィルム加工(株)製 #12 VM-PET1510)のPET面に厚さ12μmのポリエステルフィルム両面粘着テープ(東京フィルムサービス(株)製 No.705)の片方の面の剥離紙(ポリエステルフィルム)を剥がし、貼り合わせた。
【0167】
作製した蒸着アルミニウム/PET/粘着テープ/剥離紙のアルミニウム面をカッティングマシーン(グラフテック(株)製 CE-5000)にて粘着層まで所定の絵柄を表示可能なパターン状にカットし、表示電極層を形成した。この際、電極間の隙間を0.5mmにてカットし、その後不要部のアルミニウムを除去した。
【0168】
厚さ50μmの粘着付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック(株)製 PET50 A PLシン 11BL)のPET面をカッティングマシーン(グラフテック(株)製 CE-5000)にて粘着層までカットし、表示電極用ビアホールの形状にカットし(表示電極用ビアホールの大きさは1〜3mm)、カットしたビアは剥離して、表示電極用ビアホールを形成し、第1表示電極用スペーサ層を得た。第1表示電極用スペーサ層と同様の材料、および形成方法により第1表示電極用ビアホールより表示電極用ビアホールが大きくなるように(表示電極用ビアホールの大きさは2〜5mm)して、第2表示電極用スペーサ層を形成した。上述した表示電極層のアルミニウム面側に第1表示電極層用スペーサ層を貼り合わせ、更に第2表示電極層用スペーサ層を貼り合わせた。
【0169】
表示電極層と同様に、蒸着アルミニウム/PET/粘着/剥離紙をカッティングマシーンにて粘着層までカットし、配線電極層を形成した。配線電極層は、貼り合わせた第2表示電極用スペーサ層の表示電極用ビアホールの周囲を囲むように配線を形成し、不要部のアルミニウムを除去したものである。
【0170】
第1表示電極用スペーサ層等と同様に同様、厚さ50μmの粘着PETフィルムにカッティングマシーンにて配線電極の取り出し部が見えるように配線電極用ビアホールを形成して配線電極用スペーサ層を形成し、上述の配線電極層のアルミニウム面に貼り合わせた。
【0171】
上述した配線電極層の配線電極用スペーサ層とは反対側の面と表示電極層の第2表示電極用スペーサ層側の面とが対向するようにして、配線電極層および表示電極層を貼り合わせて電極シートを得た。
【0172】
電極シートのビアホール(表示電極用ビアホール、配線電極用ビアホール)に導電性ペーストを塗り、表示電極と配線電極を接続した。
【0173】
上記導電性ペーストが乾燥、固化した後、厚さ50μmの粘着PETフィルムを導電性ペースト上に貼合し、導電性ペーストを絶縁した。
【0174】
形成した電極シートの最下面にある、厚さ12μmのポリエステルフィルム両面粘着テープの剥離紙(ポリエステルフィルム)を剥がし、厚さ55μmのラミネートシートPET/CPP(パナック(株)製 PET/CPP 55μm)のPET面に貼り合わせた。
これにより背面電極基材を得た。
【0175】
(対向電極基材の作製)
厚さ125μmの透明電極ITO/PET(東京中井商事(株) RT-1T)のITO面に厚さ12μmのポリエステルフィルム両面粘着テープ(東京フィルムサービス(株)製 No.705)の片方の面の剥離紙(ポリエステルフィルム)を剥がし、貼り合わせた。この際、ITO面が粘着面から5mm以上出るように貼合した。
【0176】
作成した対向電極基材の厚さ12μmのポリエステルフィルム両面粘着テープの剥離紙(ポリエステルフィルム)を剥がし、厚さ55μmのラミネートシートPET/CPP(パナック(株)製 PET/CPP 55μm)のPET面に貼り合わせた。
【0177】
(電子ペーパーの作製)
上述の背面電極基材と上述の対向電極基材とのお互いのCPP面を重ね合わせ、3辺をヒートシールし、袋を作製する。
次に、表示媒体層として、シリコーンオイルで膨潤済みの厚さ330μmの*ツイストボールシート(綜研化学(株)製 ツイストボールシート(黒白) *電子ペーパーの一種)を上述した電極基材同士を重ね合わせた袋に挿入する。
【0178】
ツイストボールシート挿入後、シリコーンオイルを調整し、気泡が入らないように袋の最後の1辺をヒートシールし、ツイストボールシートを封入し、ツイストボール方式の電子ペーパーを得た。
【0179】
表示電極と透明電極を有する対向電極をリード線で配線し、リード線を介して表示電極に±100Vの矩形波形の電圧信号を印加し、絵柄を表示させ、反射率及びコントラストを測定した。測定器は反射濃度計(R700、井原電子工業;ISO5/4、ANSI PH2.17、DIN16536)を用いて、反射率(濃度)及びコントラストを測定した。
【0180】
上記反射率およびコントラストは電子ペーパー全体で均一なものとなり、表示ムラは発生しなかった。
また、導電接続層の割れ、配線電極層の断線等も発生しなかった。
【符号の説明】
【0181】
1 …表示電極層
1α …表示電極用絶縁層
1β …表示電極
2 …配線電極層
2α …配線電極用絶縁層
2β …配線電極
3 …保護フィルム
4 …導電接続層
10 …背面電極基材
20 …対向電極基材
21 …透明基材
22 …透明電極
30 …表示媒体層
31 …表示媒体
100 …電子ペーパー
…ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示電極用絶縁層、および前記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有する表示電極層と、
前記表示電極層の前記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および前記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、前記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、
前記配線電極層の前記配線電極上に形成された保護フィルムとを有し、
前記表示電極層の前記表示電極と前記表示電極直上に配置された前記配線電極層の前記配線電極とが、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されていることを特徴とする電子ペーパー用背面電極部材。
【請求項2】
前記表示電極直上に配置された前記配線電極層がビアホールを有し、前記表示電極層の前記表示電極と前記配線電極層の前記配線電極とが、前記ビアホールを介して前記導電接続層を用いて接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー用背面電極基材。
【請求項3】
前記配線電極層と前記保護フィルムとの間に配置された絶縁性を有する配線電極用スペーサ層を有し、前記配線電極用スペーサ層が、前記ビアホール直上に配線電極用ビアホールを有し、かつ前記配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みと同一、または前記導電接続層の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電子ペーパー用背面電極基材。
【請求項4】
前記表示電極層と前記配線電極層との間に配置された絶縁性を有する表示電極用スペーサ層を有し、前記表示電極用スペーサ層が、前記ビアホール直下に表示電極用ビアホールを有するものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の請求項に記載の電子ペーパー用背面電極基材。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電子ペーパー用背面電極基材と、
透明基材および前記透明基材上に形成された透明電極を有する対向電極基材と、
前記電子ペーパー用背面電極基材と前記対向電極基材との間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層と
を有することを特徴とする電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−226053(P2012−226053A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92186(P2011−92186)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】