説明

電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラム

【課題】ユーザが必要とする電子マニュアルの内容を、自動的に選択して表示することができる電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムを提供する。
【解決手段】端末装置に接続された複合機が実際に操作される度に、その時の実操作手順が操作履歴リストに記憶される。判定テーブルを参照して(S11)、判定テーブルに実操作手順と同一の操作手順があれば(S12:YES)、対応する説明文の表示設定がONとされ(S14)、今後の表示対象となる。実操作手順が、所定の部数分以上繰り返して行われた場合、または所定の頁数以上にわたる操作の場合であって、他の操作手順に関連する場合には(S17:YESまたはS21:YES)、関連する他の操作手順の説明文についても、表示設定がONとされ(S19またはS23)、今後の表示対象となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムに関する。より具体的には、ユーザが必要とする電子マニュアルの内容を、自動的に選択して表示することが可能な電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子機器の取扱い説明書を電子化した電子マニュアルが普及しており、ユーザは、所望の項目を選択することにより、電子マニュアル中の必要な項目の内容を閲覧することができる。しかし、最近の電子機器は、例えば、複写機、FAX、およびスキャナといった複数の機能を備えたものが増加しており、それに伴って、電子マニュアルに含まれる情報量も肥大化している。その結果、ユーザが、自己が必要とする内容を探し出すこと自体が困難な場合があった。
【0003】
そこで、電子マニュアルからユーザの知識レベルに適合した内容のみをユーザの利用する端末に提供するコンテンツ提供装置が提案されている(例えば、特許文献1)。このコンテンツ提供装置は、まず、ユーザの利用する端末に対して対象の電子機器に関する経験年数の質問を送信する。そして、端末を利用するユーザからの回答に応じてユーザの知識レベルを設定し、そのレベルに適合する内容のみを端末に提供する。
【特許文献1】国際公開第01/46859号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコンテンツ提供装置および端末では、端末を利用するユーザには、電子マニュアルを閲覧する都度、自己のレベルを回答しなければならないという煩わしさがある。また、レベルに適合する内容の量が膨大な場合には、ユーザが、自己が必要とする機能に対応する内容をその中から探し出すのは、依然として容易ではないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが必要とする電子マニュアルの内容を、自動的に選択して表示することができる電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の電子マニュアル表示装置は、装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する、前記装置に接続可能な電子マニュアル表示装置であって、複数の説明を記憶する説明記憶手段と、前記装置が操作されたときの一連の操作の手順である実操作手順を取得する実操作手順取得手段と、前記装置の一連の操作の操作手順と、前記操作手順に関連する説明との対応関係を、第1の対応関係として記憶する第1の対応記憶手段と、前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第1の対応記憶手段に記憶された前記第1の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記実操作手順に関連する説明を、表示説明として選択する表示説明選択手段と、前記表示説明選択手段によって選択された前記表示説明を表示させる表示制御手段とを備えている。
【0007】
請求項2に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項1に記載の構成に加え、所定の条件の下で行われた所定の操作手順が、他の操作手順に関連する場合に、前記所定の条件と、前記所定の操作手順と、前記他の操作手順に関連する説明との対応関係を、第2の対応関係として記憶する第2の対応記憶手段と、前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順に、前記所定の操作手順が含まれるか否かを判断する手順判断手段と、前記手順判断手段によって、前記所定の操作手順が前記実操作手順に含まれると判断された場合に、前記所定の条件の下で前記実操作手順が行われたか否かを判断する条件判断手段をさらに備え、前記表示説明選択手段は、前記条件判断手段によって、前記所定の条件の下で前記実操作手順が行われたと判断された場合に、前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第2の対応記憶手段に記憶された前記第2の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記他の操作手順に関連する説明を、前記表示説明としてさらに選択する追加選択手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記所定の条件は、同一の前記所定の操作手順が所定回数繰り返して行われることであり、前記条件判断手段は、同一の前記実操作手順が所定回数繰り返して行われた場合に、所定の条件下で前記実操作手順が行われたと判断することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の電子マニュアル表示装置は、装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する、前記装置に接続可能な電子マニュアル表示装置であって、複数の説明を記憶する説明記憶手段と、前記装置を操作するための指示入力を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記指示入力を、前記装置が実際に操作されたときの手順である実操作手順として記憶する実操作手順記憶手段と、前記実操作手順記憶手段から、前記実操作手順を取得する実操作手順取得手段と、前記装置の操作手順と、前記操作手順に関連する説明である手順対応説明との対応関係を、第1の対応関係として記憶する第1の対応記憶手段と、前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第1の対応記憶手段に記憶された前記第1の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記実操作手順に関連する説明を、表示説明として選択する表示説明選択手段と、前記表示説明選択手段によって選択された前記表示説明を表示させる表示制御手段とを備えている。
【0010】
請求項5に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記実操作手順取得手段は、前記装置に記憶された前記実操作手順を前記装置から取得することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項2〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記他の操作手順は、前記所定の操作手順よりも少ない工程から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明の電子マニュアル表示プログラムは、請求項1〜6のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の電子マニュアル表示装置では、ユーザが実際に装置を操作したときの一連の操作の手順である実操作手順に基づいて、実操作手順に関連する説明が、表示説明として表示される。したがって、ユーザは、説明記憶手段に記憶された説明の中から探さなくても、自己が使用した装置の機能または操作方法に関する説明、すなわち、自己に必要な説明を、容易に閲覧することができる。
【0014】
請求項2に係る発明の電子マニュアル表示装置では、所定の条件の下で行われた実操作手順が、他の操作手順に関連する場合には、他の操作手順に関連する説明も表示説明として選択され、表示される。したがって、請求項1に記載の発明の効果に加え、ユーザは、説明記憶手段に記憶された説明の中から探さなくても、自己が実際に行った実操作手順に加え、実操作手順とは異なるが、実操作手順に関連する他の操作手順の説明についても、あわせて閲覧することができる。
【0015】
請求項3に発明の電子マニュアル表示装置では、実操作手順が1回行われた場合だけでなく、所定回数繰り返された場合も、他の操作手順に関連すれば、関連する他の操作手順の説明が表示される。したがって、請求項2に記載の発明の効果に加え、ユーザに必要な説明をより幅広く提示することができる。
【0016】
請求項4に係る発明の電子マニュアル表示装置では、装置を操作するための指示入力が実操作手順として記憶されており、この実操作手順に基づいて、実操作手順に関連する説明が、表示説明として表示される。したがって、ユーザは、説明記憶手段に記憶された説明の中から探さなくても、自己が使用した装置の機能または操作方法に関する説明、すなわち、自己に必要な説明を、容易に閲覧することができる。また、簡便に実操作手順を取得し、表示説明の選択を行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明の電子マニュアル表示装置は、機能や操作方法の説明対象である装置に記憶された実操作手順を取得するので、電子マニュアル表示装置ではなく、装置に設けられた入力手段によって操作が行われた場合の実操作手順も利用することができる。したがって、請求項1〜4のいずれかに記載の効果に加え、ユーザに必要な説明をより幅広く提示することができる。
【0018】
請求項6に記載の電子マニュアル表示装置では、実操作手順に関連する、より工程の少ない他の操作手順に関連する説明もあわせて表示される。したがって、請求項2〜5のいずれかに記載の発明の効果に加え、ユーザは、より手間の少ない操作について知ることができ、操作効率を向上させることができる。
【0019】
請求項7に係る発明の電子マニュアル表示プログラムは、請求項1〜6のいずれかに記載の発明に係る電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る端末装置100における電子マニュアルの利用形態について説明する。図1は、電子マニュアルの利用形態の概略を示す構成図である。図1に示す端末装置100は、所謂パーソナルコンピュータであり、汎用型の装置である。端末装置100は、ネットワーク(例えば、LAN)を介して、複合機200に接続されている。また、複合機200には、図示外の電話回線が接続されている。複合機200は、印刷装置、通信装置、電話機、ファクシミリ、スキャナおよびコピー機としての機能を有する装置である。端末装置100は、複合機200の有する各種機能および操作方法に関する説明文をマニュアルデータベース1510(図3参照)に記憶しており、ユーザは、端末装置100において、所望の説明文を閲覧することができる。
【0022】
以下に、図2〜図6を参照して、端末装置100の構成について説明する。図2は、端末装置100の電気的構成を示すブロック図である。図3は、マニュアルデータベース1510の説明図である。図4は、操作履歴リスト1520の説明図である。図5は、判定テーブル1530の説明図である。図6は、表示設定リスト1540の説明図である。
【0023】
図2に示すように、端末装置100は、CPU110と、CPU110に各々接続されたROM120およびRAM130を備えている。CPU110には、その他、入出力(I/O)インタフェイス140が接続されている。I/Oインタフェイス140には、ハードディスク装置(HDD)150、マウスコントローラ160、キーコントローラ170、ビデオコントローラ180、および通信用I/F190が接続されている。
【0024】
CPU110は、端末装置100の全体の制御を司る。ROM120は、BIOSを含む、端末装置100を動作させるための各種のプログラムを記憶している。CPU110は、ROM120やHDD150に記憶されたプログラムに従って、端末装置100の動作を制御する。RAM130は、各種データを一時的に記憶するための記憶素子である。記憶装置であるHDD150については後述する。マウスコントローラ16、キーコントローラ17、およびビデオコントローラ18には、それぞれマウス161、キーボード171およびディスプレイ181が接続されている。通信用I/F190は、例えばLANを介して複合機200およびその他の外部機器との間でデータの送受信を行うためのものである。
【0025】
HDD150の詳細について、以下に説明する。図2に示すように、HDD150は、マニュアルデータベース(DB)記憶エリア151、操作履歴記憶エリア152、判定テーブル記憶エリア153、表示設定記憶エリア154、プログラム記憶エリア155を含む複数の記憶エリアを備えている。
【0026】
マニュアルDB記憶エリア151には、端末装置100に接続された複合機200の各種機能や操作方法に関する説明文を電子データで体系的に格納するマニュアルDB1510(図3参照)が記憶されている。図3に示すように、マニュアルDB1510には、ID欄、タイトル欄、および説明文欄が設けられており、各欄には、ID、各IDに対応するタイトルおよび説明文が格納されている。IDは、説明文のID、すなわち識別コードである。本実施形態では、IDは、複合機200のマニュアル全体の中で各説明文が対応する機能およびセクション番号を示す識別コードである。タイトルは、対応する説明文の概要を表す語句であり、本実施形態では、後述するメニューに見出し項目として表示されるものである。説明文は、複合機200の機能や操作方法に関する説明文であり、例えば、HTML形式のドキュメントである。以下の説明では、図3のマニュアルDB1510において1行で示されている、ID、タイトル、および説明文を1組とする情報を、マニュアル情報というものとする。なお、例えば、ID「A100」および「A130」のように、対応する説明文が記憶されていないマニュアル情報は、タイトルのみが見出し項目として表示されるマニュアル情報である。
【0027】
操作履歴記憶エリア152には、端末装置100において入力された複合機200の操作手順の履歴を記憶する、操作履歴リスト1520(図4参照)が記憶されている。図4に示すように、操作履歴リスト1520には、機能欄、操作手順欄、および頁数欄が設けられている。機能欄には、複合機200が有する機能のうち、指示された操作に対応する機能(印刷、FAX等)が記憶されている。操作手順欄には、マウス161やキーボード171を介して入力された一連の指示に対応する指示番号が、実操作手順として記憶されている。なお、入力された一連の指示が、どのようにして操作手順欄に記憶されるかについては、後で詳述する。また、頁数欄には、操作が行われた際の用紙の頁数が記憶されている。なお、以下の説明では、図4の操作履歴リスト1520において1行で示されている、機能、実操作手順、および頁数を1組とする情報を、操作情報というものとする。また、本実施形態では、操作履歴リスト1520には、最新の10回分の操作情報のみが順に記憶されるものとする。図4の操作履歴リスト1520では、上の行の操作情報ほど、新しい操作情報である。
【0028】
判定テーブル記憶エリア153には、マニュアルDB1510に記憶された各説明文に関連する複合機200の操作手順と、その操作手順にさらに関連する他の操作手順との対応関係を表す判定テーブル1520(図5参照)が記憶されている。図5に示すように、判定テーブル1520には、ID欄、機能欄、操作手順欄、および判定基準欄が設けられている。ID欄には、マニュアルDB1510(図3参照)に記憶されている説明文のIDが記憶されている。タイトル欄には、IDに対応する説明文のタイトルが記憶されている。操作手順欄には、この説明文に関連する複合機200の操作手順として、一連の指示番号が記憶されている。例えば、指示番号「4、12、5」に対応する一連の指示が入力された場合、部数を指定して印刷する場合(部数指定印刷)の説明文が、この操作手順に関連することを示している。
【0029】
判定基準欄にはさらに、部数欄および部数欄に対応する上位ID欄と、頁数欄および頁数欄に対応する上位ID欄とが設けられている。部数欄に1以上の数値が記憶されており、且つ、対応する上位ID欄にIDが記憶されている場合には、操作手順欄に記憶された操作手順が、この数値に対応する部数分、繰り返し行われた場合、他に関連する操作手順があることを示している。具体的には、上位ID欄に記憶されたIDに対応する操作手順と関連する。例えば、ID「A131」、すなわち、通常の印刷を行う場合(通常印刷)の操作手順である、指示番号「5」に対応する指示の入力が、3部数分にわたってなされた場合には、この操作手順は、上位ID「A132」、すなわち、部数を指定して印刷する場合(部数指定印刷)の操作手順に関連する。また、頁数欄に1以上の数値が記憶されており、且つ、対応する上位ID欄にIDが記憶されている場合には、操作手順欄に記憶された操作手順が、この数値に対応する頁数分行われた場合、他に関連する操作手順があることを示している。例えば、ID「A131」、すなわち、通常印刷時の操作手順である、指示番号「5」に対応する指示の入力が、10頁分にわたってなされた場合には、この操作手順は、上位ID「A133」、すなわち、ページ内の割付方法を指定して印刷する場合(レイアウト印刷)の操作手順に関連する。なお、以下の説明では、図5の判定テーブルにおいて1行で示されている、ID、タイトル、操作手順、および判定基準を1組とする情報を、判定情報というものとする。また、図5では、印刷機能の一部についてのみ、判定情報が図示されているが、実際には、その他の機能(FAX、コピー等)に関しても、同様の判定情報が記憶されている。
【0030】
表示設定記憶エリア154には、マニュアルDB1510に記憶された各説明文を表示させるか否かを示す情報を記憶する表示設定リスト1540(図6参照)が記憶されている。図6に示すように、表示設定リスト1540には、ID欄、タイトル欄、および表示設定欄が設けられている。ID欄には、マニュアルDB1510(図3参照)に記憶されたすべての説明文のIDが記憶されている。タイトル欄には、IDに対応する説明文のタイトルが記憶されている。表示設定欄には、IDに対応する説明文を、後述するマニュアル表示画面50に表示させるか否かをONまたはOFFで示す表示設定が記憶されている。表示設定の初期値はOFFである。その後、複合機200が特定の操作手順で操作された場合や、ユーザの指示によっていずれかの説明文が表示された場合には、表示設定はONにされる。なお、以下の説明では、表示設定リスト1540において1行で示されているID、タイトル、および表示設定を1組とする情報を、表示設定情報というものとする。
【0031】
プログラム記憶エリア155には、各種処理を端末装置100に実行させるための各種プログラムが記憶されている。例えば、後述する操作記憶処理やマニュアル表示処理等を実行するためのプログラムが、プログラム記憶エリア155に記憶されている。HDD150に設けられた他の記憶エリアには、例えば、各種処理に必要な設定情報が記憶されている。
【0032】
次に、図7および図8を参照して、複合機200の構成について説明する。図7は、複合機200の電気的構成を示すブロック図である。図8は、操作履歴リスト2420の説明図である。
【0033】
図7に示すように、複合機200は、バスによって相互に接続されたCPU210、ROM220、RAM230、EEPROM240、スキャナ部250、記録部260、操作キー270、液晶ディスプレイ(LCD)280、および通信用I/F290を備えている。
【0034】
CPU110は、複合機200全体の制御を司る。ROM220は、複合機200を動作させるための各種のプログラムを記憶している。CPU210は、ROM220やEEPROM240に記憶されたプログラムに従って、複合機200の動作を制御する。RAM230は、各種データを一時的に記憶するための記憶素子である。記憶装置であるEEPROM240ついては後述する。スキャナ部250は、画像データの読取りを行うスキャナとして機能する。記録部260は、端末装置100等から転送されたデータに基づいて印刷を実行する印刷装置として機能する。操作キー270は、複合機200のユーザによる直接入力を受け付けるための入力手段である。LCD280は、操作キー270による入力情報等を表示する表示部である。通信用I/F290は、例えば、LANを介して端末装置100およびその他の外部機器との間でデータの送受信を行うためのものである。
【0035】
EEPROM240には、複合機200において受け付けられた複合機200の操作手順の履歴を記憶する、操作履歴リスト2420(図8参照)が記憶されている。複合機200の操作履歴リスト2420にも、端末装置100の操作履歴リスト1520(図4参照)と同様に、機能欄、操作手順欄、および頁数欄が設けられている。各欄に記憶される情報は、端末装置100の場合と同様である。ただし、複合機200の操作履歴リスト2420には、複合機200の操作キー270からの直接入力および端末装置100からの入力の両方について、受け付けられた各種の指示入力に対応する指示番号が、実操作手順として記憶される。すなわち、端末装置100の操作履歴リスト1520には記憶されていない、複合機200の操作キー270からの直接入力に対応する操作手順も記憶されている。
【0036】
以下に、前述のように構成された端末装置100において行われる処理について、図9〜図15を参照して説明する。図9は、操作記憶処理のフローチャートである。図10は、表示判定処理のフローチャートである。図11は、印刷設定画面30の説明図である。図12は、印刷詳細設定画面40の説明図である。図13は、マニュアル表示処理のフローチャートである。図14は、マニュアル表示画面50の一例である。図15は、特定の操作が行われた後のマニュアル表示画面50の一例である。なお、図9、図10、および図13に示す処理は、HDD150のプログラム記憶エリア155に記憶されたプログラムに従って、CPU110が実行する。
【0037】
まず、図9〜図10を参照して、操作記憶処理について説明する。図9に示す操作記憶処理は、端末装置100において、複合機200に対する操作が行われる毎に、そのときの操作手順を記憶する処理である。処理が開始されると、まず、端末装置100のマウス161またはキーボード171を介して入力された操作が検出され、RAM13に記憶される(S1)。操作がキャンセルされた場合には(S2:YES)、そのまま図9に示す操作記憶処理は終了する。一方、キャンセルがされなければ(S2:NO)、操作が完了するまで、操作の検出が続けられ(S5:NO→S1)、操作が完了すると(S5:YES)、検出された一連の操作、すなわち操作手順が、操作履歴記憶エリア152の操作履歴リスト1520(図4参照)に記憶される(S6)。
【0038】
ここで、図11および図12を参照して、操作の検出と操作手順の記憶について、印刷機能に関する操作が行われた場合を例として、具体的に説明する。図11に示す印刷設定画面30は、端末装置100において、例えば、文書作成用のアプリケーションを用いて文書が作成され、メニューから「印刷」が選択された場合に、ディスプレイ181に表示される画面である。図11に示すように、印刷設定画面30には、出力先欄1、印刷範囲欄2、用紙サイズ欄3、詳細設定ボタン4、OKボタン5、およびキャンセルボタン99が設けられている。出力先欄1には、出力先の印刷装置を指定するためのリストボックスが表示される。印刷範囲欄2には、印刷範囲を「全ページ」、「現在のページ」、および「ページ指定」のいずれかに指定するためのラジオボタンが表示される。なお、「ページ指定」のラジオボタンに対応して、ページ番号を入力するための入力ボックスも設けられている。用紙サイズ欄3には、印刷用紙のサイズを指定するためのリストボックスが表示される。詳細設定ボタン4は、印刷設定画面30ではできない詳細な印刷設定を行うための印刷詳細設定画面40(図12参照)を表示するためのボタンである。OKボタン5は、印刷設定画面30での入力を確定するためのボタンである。キャンセルボタン99は、印刷設定画面30での入力をキャンセルするためのボタンである。なお、印刷設定画面30では、特に他の指定がされない限り、図11に示す値が、各欄にデフォルト値として表示されるものとする。なお、これらのデフォルト値は、HDD150の所定の記憶エリアに予め記憶されている。
【0039】
図12に示す印刷詳細設定画面40は、前述したように、印刷設定画面30の詳細設定ボタン4が選択されることにより呼び出される、詳細な印刷設定を行うための画面である。図12に示すように、印刷詳細設定画面40には、レイアウト欄8、両面印刷欄9、拡大/縮小欄10、用紙サイズ指定欄11、部数欄12、およびソート欄13が設けられている。レイアウト欄8には、ページの割付方法を指定するためのリストボックスが表示される。両面印刷欄9には、両面印刷をするか否かを指定するためのリストボックスが表示される。拡大/縮小欄10には、印刷時の拡大/縮小率を指定するためのリストボックスが表示される。用紙サイズ指定欄11には、用紙サイズを指定して、指定された用紙サイズに合わせて拡大または縮小するように指定するためのリストボックスが表示される。部数欄には、印刷部数を指定するためのリストボックスが表示される。ソート欄には、部数が複数の場合に、部数毎にソートして印刷するか否かを指定するためのチェックボックスが表示される。さらに、印刷詳細設定画面40には、印刷設定画面30と同じOKボタン5およびキャンセルボタン99が表示される。なお、印刷詳細設定画面40では、特に他の指定がされない限り、図12に示す値が、各欄にデフォルト値として表示されるものとする。なお、これらのデフォルト値は、HDD150の所定の記憶エリアに予め記憶されている。
【0040】
印刷機能に関しては、印刷設定画面30や印刷詳細設定画面40に設けられた前述の各種リストボックス等においてデフォルト値が変更された場合に、操作が行われたとみなされ、操作に対応する指示番号が検出される(S1)。具体的には、例えば、デフォルト値が変更された欄の番号が、指示番号として、RAM130の所定の記憶エリアに記憶される(S1)。複数の欄でデフォルト値が変更された場合には、変更された順に、指示番号が記憶される。その後、キャンセルボタン99が選択された場合には、操作がキャンセルされたと判断され(S2:YES)、図9の処理は終了する。一方、キャンセルボタン99は選択されず(S2:NO)、OKボタン5が選択された場合には、操作が完了したと判断される(S5:YES)。この場合、それまでにRAM130に記憶された一連の指示番号とOKボタン5に対応する指示番号5とを実操作手順として含む操作情報が、操作履歴記憶エリア152の操作履歴リスト1520に記憶される(S6)。
【0041】
例えば、図11に示す印刷設定画面30において、出力先欄1、印刷範囲欄2、および用紙サイズ欄3に表示されたデフォルト値がいずれも変更されないまま、OKボタン5が選択されたとする。この場合、図4の操作履歴リスト1520の1行目に示すような操作情報が、新たに操作履歴リスト1520に記憶される。より具体的には、機能欄には「印刷」が、操作手順欄にはOKボタン5の指示番号である「5」のみが、頁数欄には、印刷された文書の頁数、例えば「1」が、それぞれ記憶される。一方、例えば、図11に示す印刷設定画面30の出力先欄1で、出力先の印刷装置が、「PRINTER1」から「PRINTER2」に変更された後、OKボタン5が選択されたとする。この場合には、図4の操作履歴リスト1520の最下行に示すように、機能欄には「印刷」が、操作手順欄には出力先欄1とOKボタン5の指示番号である「1、5」が、頁数欄には印刷された文書の頁数、例えば「3」が、それぞれ記憶されることになる。
【0042】
このようにして、実操作手順を含む操作情報が操作履歴リスト1520に記憶された後、表示判定処理が行われる(S10、図10)。以下、図10を参照して、表示判定処理について説明する。この処理は、実操作手順に関連する説明文がある場合、電子マニュアルがその後閲覧される際にこの説明文を表示させるべく、表示設定をONに設定する処理である。
【0043】
図10に示す表示判定処理が開始されると、HDD150の判定テーブル記憶エリア153に記憶された判定テーブル1530(図5参照)が参照される(S11)。そして、操作記憶処理(図9)のS6で操作履歴リスト1520に記憶された実操作手順と同一の操作手順が、判定テーブル1530の操作手順欄に記憶されているか否かが判断される(S12)。同一の操作手順が記憶されていない場合には(S12:NO)、ユーザが実際に行った操作に関連する説明文がないことを意味するため、表示させる説明文を設定する必要はない。よって、図10の表示判定処理はそのまま終了して、図9の操作記憶処理に戻る。
【0044】
一方、例えば、前述のように、操作記憶処理(図9)のS6で記憶された操作情報に含まれる実操作手順が、印刷設定画面30でOKボタン5のみを選択した操作に対応する、指示番号「5」であったとする。この場合、判定テーブル1530に記憶されたID「A131」の操作情報に含まれる操作手順は、指示番号「5」である。よって、判定テーブル1530に、実操作手順と同一の操作手順があると判断される(S12:YES)。この場合、マニュアルDB1510には、S6で記憶された実操作手順に関連する説明文、すなわち、「通常印刷」の説明文が記憶されていることを意味する。したがって、今後、ユーザによって電子マニュアルの閲覧が行われる際、この説明文を自動的に表示させるために、この説明文の表示設定をONにする処理が行われる。具体的には、まず、表示設定記憶エリア154に記憶された表示設定リスト1540(図6参照)において、この説明文の表示設定がONにされているか否かが判断される(S13)。前述の例の場合、図6の表示設定リスト1540では、ID「A131」に対応する表示設定はすでにONである。すなわち、ユーザによって電子マニュアルの閲覧が行われる際、「通常印刷」の説明文は自動的に表示される設定になっている(S13:YES)。したがって、表示設定を変更する必要はないので、処理はそのままS15に進む。一方、表示設定がOFFである場合には、このままでは「通常印刷」の説明文は、自動的に表示されない。よって、表示設定がONに変更された後(S14)、処理はS15に進む。
【0045】
続いて、ユーザが実際に行った操作手順が、さらに他の操作手順に関連するか否かが判断され、関連する場合には、関連する他の操作手順についても、その説明文を自動的に表示させるための処理が行われる。まず、判定テーブル1520の判定基準欄の部数欄に、1以上の数値が記憶されているか否かに基づいて、部数が判定基準とされているか否かが判断される(S15)。前述の例では、図5に示す判定テーブル1530では、ID「A131」に対応して、部数欄には部数「5」が記憶されている。よって、部数が判断基準とされていると判断される(S15:YES)。この場合、操作履歴リスト1520に記憶されている過去の操作情報が参照され(S16)、過去の操作情報が、部数に関する判定基準を満たしているか否かが判断される(S17)。具体的には、同じ実操作手順を含む操作情報が、部数欄で指定された数値の回数以上連続して繰り返されたか否かが判断される。例えば、前述の例では、操作履歴リスト1520の最新5回分の操作情報の実操作手順が、すべて指示番号「5」であるか否かが判断される。最新5回分の操作情報に、指示番号「5」以外の実操作手順が含まれる場合には、部数に関する判定基準は満たされていないと判断される(S17:NO)。この場合には、処理はそのままS21に進む。
【0046】
一方、図4の操作履歴リスト1520のように、最新5回分の操作情報に含まれる実操作手順が、すべて指示番号「5」である場合には、操作情報は部数に関する判定基準を満たしていると判断される(S17:YES)。この場合、ユーザが実際に行った操作手順である、印刷設定画面30においてOKボタン5を5回繰り返して選択するという操作手順には、ID「A131」の「通常印刷」以外にも、関連する操作手順があることを意味する。例えば、ID「A131」については、上位ID「A132」の「部数指定印刷」の操作手順である指示番号「4、12、5」が、関連する操作手順である。そこで、判定テーブル1530において、部数に対応する上位IDとして記憶されているIDが参照され、この上位IDの説明文の表示設定が、表示させることを示すONとされているか否かが判断される(S18)。具体的には、表示設定記憶エリア154に記憶された表示設定リスト1540(図6参照)において、上位IDと同一のIDに対応する表示設定がONとされているか否かが判断される。前述の例の場合、ID「A132」に対応する「部数指定印刷」の表示設定が「OFF」である場合には(S19:NO)、これが「ON」に変更された後(S19)、処理はS21に進む。一方、上位IDの説明文の表示設定がすでに「ON」である場合には(S18:YES)、すでに表示対象とされているから、処理はそのままS21に進む。
【0047】
S21では、判定基準欄の頁数欄に1以上の数値が記憶されている場合に、図9のS6で操作履歴リスト1520に記憶された最新の操作情報が、単独で頁数に関する判定基準を満たすか否かが判断される(S21)。具体的には、この操作情報に含まれる頁数が、判定基準欄の頁数欄に記憶された数値以上であるか否かに基づいて、判断が行われる。例えば、図5に示す判定テーブル1530では、ID「A131」に対応して頁数「10」が記憶されている。よって、S6で操作履歴リスト1520に記憶された操作情報に含まれる頁数が10以上であるか否かが判断される。この例では、印刷された頁数が10頁未満であれば、頁数に関する判定基準は満たしていないと判断され(S21:NO)、図10に示す表示判定処理は終了する。また、判定基準欄の頁数欄に1以上の数値が記憶されていない場合も同様である(S21:NO)。
【0048】
一方、頁数が10以上であれば、頁数に関する判定基準を満たすと判断される(S21:YES)。この場合、ユーザが実際に行った操作手順である、印刷設定画面30においてOKボタン5を1回選択して10頁分の印刷を実行するという操作手順には、ID「A131」の「通常印刷」以外にも、関連する操作手順があることを意味する。例えば、ID「A131」については、上位ID「A133」の「レイアウト印刷」の操作手順である指示番号「4、8、5」が、関連する操作手順である。そこで、S18と同様に判定テーブル1530が参照され、頁数に対応する上位IDとして記憶されているID「A133」が参照され、この上位IDの説明文の表示設定が「ON」とされているか否かが判断される(S22)。表示設定リスト1540において、表示設定がすでにONであれば(S22:YES)、表示判定処理はそのまま終了する。一方、表示設定がOFFであれば(S22:NO)、この表示設定がONにされた後(S23)、表示判定処理は終了する。図10の表示判定処理が終了すると、いずれの場合も図9の操作記憶処理に戻り、操作記憶処理も終了する。
【0049】
以上に説明したように、図10に示す表示判定処理では、ユーザが実際に行った操作手順に関連する説明文が、表示設定がONとされることにより、今後の表示対象として設定される(S12〜S14)。さらに、ユーザが所定の条件下で行った操作手順が他の操作手順にも関連する場合には、関連する他の操作手順に関連する説明文についても、同様にして今後の表示対象として設定される(S15〜S23)。
【0050】
次に、図13〜図15を参照して、マニュアル表示処理について説明する。この処理は、前述の表示判定処理(図10)において表示対象として設定された説明文や、ユーザによって表示対象として特定された説明文を表示させる処理である。
【0051】
図13に示すマニュアル表示処理は、端末装置100のユーザが電子マニュアルを閲覧するために、HDD150のプログラム記憶エリア155に記憶されたマニュアル表示用のプログラムを起動すると開始される。処理が開始されるとまず、端末装置100に接続された複合機200の電源がONであるか否かが判断される(S31)。電源がONの場合には(S31:YES)、複合機200に対して、EEPROM240に記憶されている複合機200の操作履歴リスト2420(図8参照)を送信するように要求がなされる。そして、要求に応じて送信された操作履歴リスト2420が受信されると、RAM13に記憶される(S32)。複合機200から取得された操作履歴リスト2420は、端末装置100の操作履歴記憶エリア152に記憶されている操作履歴リスト1520と比較される(S33)。前述の通り、複合機200の操作履歴リスト2420には、端末装置100からの入力に対応する操作情報の他、複合機200の操作キー270からの直接入力に対応する操作情報も記憶されている。そこで、複合機200の操作履歴リスト2420にのみ記憶されている操作情報があるか否か、すなわち、複合機200で直接入力された操作があるか否かが判断される(S34)。複合機200の操作履歴リスト2420にのみ記憶されている操作情報がある場合(S40)、この操作情報については、まだ実操作手順に基づいて、関連する説明文の表示設定を行う処理が済んでいない。そこで、表示判定処理が行われる(S40)。
【0052】
S40で行われる表示判定処理は、図10を参照して前述した、図9の操作記憶処理のS10で行われる処理と同一である。具体的には、複合機200の操作キー270から入力された実操作手順と同一の操作手順が判定テーブル1530に記憶されており(S12:YES)、この説明文に対応する表示設定がまだOFFであれば(S13:NO)、ONに変更される(S14)。さらに、複合機200の操作キー270から入力された実操作手順が、部数や頁数に関する判定基準を満たす場合には(S15:YES、S21:YES)、判定テーブル1530に上位IDとしてIDが記憶されている、他の操作手順に関連する説明文についても、表示設定が適宜ONにされる(S19、S23)。
【0053】
S40の表示判定処理が終了すると、端末装置100から指示された操作および複合機200で直接入力された操作の両方について、関連するすべての操作手順に対応する説明文が表示対象として設定されたことになる。続いて、表示設定リスト1540で表示設定がONとされているIDに対応するすべてのマニュアル情報が、すべてマニュアルDB1510からRAM13の所定の記憶エリアに読み出される(S51)。そして、読み出されたマニュアル情報と、表示設定リスト1540の表示設定情報(図6参照)に基づいて、例えば、図14に示すマニュアル表示画面50がディスプレイ181に表示される(S52)。
【0054】
図14に示すように、マニュアル表示画面50には、メニュー領域51と説明文領域52とが設けられている。本実施形態では、メニュー領域51には、表示設定情報に基づいて、すべての説明文のタイトルが一覧表示される。一方、説明文領域52には、表示設定がONとされているタイトルと、S51で読み出された説明文が表示される。メニュー領域51の一覧表示は、表示設定情報のIDとタイトルに基づいて行われる。具体的には、IDのうち、右2桁が示す数字が「00」であるIDに対応するタイトルは、左1桁のアルファベットが示す機能に対応している。例えば、ID「A100」のタイトル「印刷」は印刷機能を示すものであり、これが大項目として表示される。その下には、IDの、アルファベット以外の3桁が示すセクション番号に従って、同じ印刷機能に関するタイトルが表示される。その下には、同様に、IDの左1桁が「B」である、FAX機能に関するタイトルが一覧表示される。その下(図示外)も同様である。また、メニュー領域51に表示されたタイトルの左側には、そのタイトルに対応する説明文が説明文領域52に表示されるか否かを「−」または「+」で示す、展開表示511が示されている。この展開表示511の「−」または「+」は、表示設定リスト1540に記憶されている表示設定のONまたはOFFに応じて決定される。
【0055】
例えば、図14のメニュー領域51のタイトル「接続する」の左側の展開表示511のように、「+」が表示されているものは、対応する表示設定がOFFである。よって、このタイトルに対応する説明文は、S51でマニュアルDB1510からは読み出されておらず、説明文領域52には表示されていない。一方、例えば、タイトル「通常印刷」の左側の展開表示511のように、「−」が表示されているものは、対応する表示設定がONである。よって、このタイトルに対応する説明文は、S51でマニュアルDB1510から読み出されて、タイトルとともに、説明文領域52に全文表示されている。
【0056】
マニュアル表示処理の開始後に、複合機200の電源がOFFであると判断された場合には(S31:NO)、その時点で表示設定がONとされているIDに対応する説明文が読み出され(S51)、同様にして、マニュアル表示画面50に表示される(S52)。また、S34において、複合機200に直接入力された操作がないと判断された場合も(S34:NO)、その時点で表示設定がONとされているIDに対応する説明文が読み出され(S51)、同様にマニュアル表示画面50に表示される(S52)。
【0057】
このようにして、マニュアル表示画面50がディスプレイ181に表示された後(S52)、メニュー領域51に表示されたいずれかのタイトルが選択されたか否かが判断される(S54)。いずれのタイトルも選択されていなければ(54:NO)、処理の終了が指示されたか否かが判断される(S60)。終了の指示がなければ(S60:NO)、いずれかのタイトルが選択されるか、終了が指示されるまで、S54およびS60の判断が繰り返される。メニュー領域51において、いずれかのタイトルが選択された場合には(S54:YES)、表示設定リスト1540が参照され、選択されたタイトルに対応する表示設定がONであるか否かが判断される(S56)。表示設定がONであれば(S56:YES)、対応する説明文はすでに説明文領域52に表示されている状態である。したがって、処理はそのまま、いずれかのタイトルが選択されたか否かの判断に戻る(S54)。一方、選択されたタイトルに対応する表示設定がOFFの場合(S56:NO)、このタイトルに対応する説明文は、説明文領域52には表示されていない状態である。そこで、表示設定リスト1540の表示設定がONに変更され(S57)、対応する説明文が、マニュアルDB1510からRAM13に読み出され(S58)、説明文領域52に表示される(S59)。このとき、メニュー領域51に表示されたタイトルの左側の展開表示511も、あわせて「−」に変更される。このようにして、ユーザによって選択されたタイトルに対応する説明文が表示された後は、処理はそのまま、いずれかのタイトルが選択されたか否かの判断に戻る(S54)。終了の指示がない間は(S60:NO)、S54〜S59の処理が繰り返され、終了が指示されると(S60:YES)、図13に示すマニュアル表示処理は終了する。
【0058】
次に、以上に説明した端末装置100での処理に関連して複合機200において行われる処理について、図16を参照して説明する。図16は、複合機200の操作記憶処理のフローチャートである。この処理は、端末装置100からの入力に対応する操作と、複合機200の操作キー270からの直接入力に対応する操作とを操作履歴リスト2420(図8参照)に記憶させる処理であり、EEPROM240に記憶されたプログラムに従って、CPU210が実行する。
【0059】
図16に示す、複合機200の操作記憶処理は、図9を参照して前述した、端末装置100の操作記憶処理とほぼ同様である。具体的には、端末装置100では、S1〜S6一連の操作が実操作手順として記憶された後に行われる表示判定処理(S10)が、複合機200の処理には含まれていないのが相違点である。図16に示す処理は、複合機200に端末装置100からの入力があった場合、および複合機200の操作キー270から入力があった場合に開始される。処理が開始されると、操作が検出され、RAM13に記憶される(S71)。操作がキャンセルされた場合には(S72:YES)、そのまま図16に示す操作記憶処理は終了する。一方、キャンセルがされなければ(S72:NO)、操作が完了するまで、操作の検出が続けられ(S73:NO→S71)、操作が完了すると(S73:YES)、検出された一連の操作、すなわち操作手順が、EEPROM240の操作履歴リスト2420(図8参照)に記憶される(S74)。
【0060】
以下に、端末装置100のユーザが、複合機200の操作を行ったり、メニュー領域51から所望のタイトルを選択したりした場合に、以上に説明した処理によってマニュアル表示画面50の表示がどのように変更されるのかについて、具体的に説明する。ただし、以下では、便宜上、印刷機能に関する表示のみを具体的な説明の対象とする。
【0061】
まず、端末装置100のユーザが、まだ複合機200を使用したことがない状態で、電子マニュアルを閲覧するためにマニュアル表示処理用プログラムを起動させ、図13の処理が行われたとする。この場合、端末装置100の操作履歴リスト1520(図4参照)にも、複合機200の操作履歴リスト2420(図8参照)にも、まったく操作情報が記憶されていない状態である。また、表示設定リスト1540(図6参照)では、マニュアルDB1510に記憶されたすべての説明文について、表示設定はOFFである。よって、マニュアル表示画面50がディスプレイ181に表示される際には、メニュー領域51には、「+」の展開表示511とともにすべてのタイトルが表示され、説明文領域52には、何も表示されない(S52)。その後、メニュー領域51から、タイトル「通常印刷」が選択されたとする(S54:YES)。このとき、「通常印刷」に対応するID「A131」の表示設定はOFFであるから(S56:NO)、ONに変更される(S57)。そして、図14に示すように、対応する説明文がマニュアルDB1510から読み出され(S58)、タイトル「通常印刷」とともにマニュアル表示画面50の説明文領域52に表示される(S59)。なお、ID「A131」の表示設定がONにされる際、上位の大項目に対応するID(この例では、「A000」および「A130」)もあわせてONにされ、展開表示511が「−」に変更される。しかし、これらの大項目には対応する説明文がないので(図3参照)、説明文領域52には、タイトルのみが表示される。
【0062】
その後、端末装置100のユーザが、電子マニュアルを閲覧しない間に、例えば、文書作成用のアプリケーションを用いて文書を作成し、印刷設定画面30(図11参照)を介して、作成した文書の印刷を行ったり、FAXで文書を送信したりしたとする。その結果、操作記憶処理(図9参照)によって、例えば、図4のような操作情報が、操作履歴リスト1520に記憶される。すなわち、印刷に関しては、2種類の実操作手順が記憶される。具体的には、印刷設定画面30(図11参照)で、出力先欄1で出力先の印刷装置を変更した後、OKボタン5を選択した場合に対応する、指示番号「1、5」と、デフォルト値を何ら変更することなく印刷実行を指示するOKボタン5を選択した場合に対応する、指示番号「5」である。これらの操作手順が記憶される度に、表示判定処理(図10参照)が行われる。
【0063】
各操作手順の表示判定処理は、以下のように行われる。まず、印刷機能に関する最初の2回の操作(図4の操作履歴リスト1520の最下行とその上の行に対応)の操作手順である、指示番号「1、5」については、判定テーブル1530(図5参照)に同一の操作手順がない(S12:NO)。よって、表示設定はOFFのままとされる。続く印刷機能に関する3回目の操作(図4の操作履歴リスト1520の下から3行目に対応)の操作手順である指示番号「5」については、判定テーブル1530のID「A131」に対応して、同一の操作手順が記憶されている(S12:YES)。しかし、すでに表示設定はONなので、変更はされない(S13:YES)。さらに、印刷機能に関する7回目の操作(図4の操作履歴リスト1520の2行目に対応)までは、いずれの場合も、部数や頁数に関する判定基準を満たさないと判断される(S17:NOおよびS21:NO)。よって、他の操作手順に関連する操作をしたと判断されることはない。すなわち、上位IDとして判定テーブル1530に記憶されているID「A132」またはID「A133」の表示設定がONに変更されることはない。
【0064】
しかし、印刷機能に関する8回目の操作(図4の操作履歴リスト1520の1行目に対応)により記憶された実操作手順は、指示番号「5」である。この操作手順は判定テーブル1530に記憶されており(S12:YES)、しかも、操作履歴リスト1540を参照して、部数に関する判定基準である3部数分、同じ操作手順が繰り返されたと判断される(S17:YES)。その結果、上位ID「A132」のタイトル「部数指定印刷」に対応する表示設定がONとされる(S19)。その後、ユーザが再びマニュアル表示用プログラムを起動させると、今度は、図15に示すように、「通常印刷」に加え、「部数指定印刷」の説明文が説明文領域52に表示された状態で、マニュアル表示画面50が表示されることになる(図13、S52)。
【0065】
前述の例では、端末装置100のユーザ自身は、マニュアル表示画面50(図14参照)で「部数指定印刷」のタイトルを選択して説明文の表示を指定したこともなければ、印刷詳細設定画面40(図12参照)で部数を指定して印刷を指示する操作を行ったこともない。それにもかかわらず、「部数指定印刷」に対応する説明文が自動的に表示されるので、端末装置100のユーザは、1部印刷する処理を何度も繰り返すのではなく、最初から部数を指定して印刷する簡便な操作手順について、知ることができる。また、図5の判定テーブル1530に示すように、通常、ある操作手順が判定基準とされている部数や頁数以上にわたって行われる場合、その工程は、対応する上位IDの操作手順の工程よりも多い。例えば、ある文書を5部印刷するためには、印刷設定画面30でデフォルト値を何ら変更することなく印刷実行を指示するOKボタン5を操作する場合、5回の操作、すなわち5工程が必要である。しかし、その代わりに、印刷設定画面30で詳細設定ボタン4を選択し、印刷詳細設定画面40の部数欄12で部数を5部と指定して、OKボタン5を操作すれば、より少ない3工程で同じ結果が得られる。このように、判定テーブル1530で上位IDとして示されている操作手順の説明文を提示することにより、操作効率を向上させることができる。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態に係る端末装置100では、ユーザが複合機200に対して実際に行った操作の手順である実操作手順が、操作履歴リスト1520に記憶される。そして、操作手順と関連する説明文との対応関係を記憶する判定テーブル1530を参照して、実操作手順に関連する説明文が、今後の表示対象として設定され、自動的に表示される。したがって、端末装置100のユーザは、マニュアルDB1510に記憶されている説明文の中から探さなくても、自己が使用した操作手順に対応する機能や操作方法についての説明文、すなわち、自己に必要な説明文を、容易に閲覧することができる。
【0067】
さらに、端末装置100では、所定の部数分以上繰り返して行われた実操作手順や、所定の頁数分行われた実操作手順が、他の操作手順にも関連する場合には、関連する他の操作手順に対応する説明文についても、同様にして、今後の表示対象として設定され、自動的に表示される。したがって、端末装置100のユーザは、マニュアルDB1510に記憶されている説明文の中から探さなくても、自己が実際に行った実操作手順に加え、実操作手順とは異なるが、実操作手順に関連する他の操作手順の説明文についても、あわせて容易に閲覧することができる。特に、実操作手順が1回行われた場合だけでなく、所定の部数分以上繰り返数繰り返された場合にも、他の操作手順に関連すれば、関連する他の操作手順の説明が表示されるため、ユーザに必要な説明をより幅広く提示することができる。
【0068】
また、本実施形態では、複合機200でも、端末装置100からの入力や操作キー270キーからの入力に基づいて、実操作手順が記憶されており、端末装置100はこの実操作手順も複合機200から取得して、表示設定を行う。すなわち、端末装置100で行われた操作だけでなく、複合機200で直接行われた操作の実操作手順にも基づいて、表示設定が行われる。したがって、端末装置100のユーザにとって必要な説明を、さらに幅広く提示することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、端末装置100が、本発明の「電子マニュアル表示装置」に相当し、複合機200が、「装置」に相当する。HDD15が、「説明記憶手段」、「第1の対応記憶手段」、「第2の対応記憶手段」、および「実操作手順記憶手段」に相当する。図9のS1で操作を検出するCPU110が、「検出手段」に相当する。図10のS16、または図13のS32で操作情報を取得するCPU110が、「実操作手順取得手段」に相当する。図10のS14、S19、およびS23で、実操作手順に関連する説明文の表示設定をONにするCPU110が、「表示説明選択手段」に相当する。図10のS12で、同一の操作手順の有無を判断するCPU110が、「手順判断手段」に相当し、S15またはS21で判定基準を満たすか否かを判断するCPU110が、「条件判断手段」に相当し、S19またはS23で表示設定をONにするCPU110が、「追加選択手段」に相当する。また、図13のS52またはS59で表示設定がONの説明文を表示するCPU110が、「表示制御手段」に相当する。
【0070】
なお、前述の実施形態に示される端末装置100の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施形態では、複合機200の電子マニュアルを端末装置100で表示する例について説明したが、電子マニュアルは、複合機200以外の装置についてのものであってもよい。また、端末装置100と複合機200の接続方法は、LANを例として説明したが、特に限定はなく、有線、無線の別も問わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】電子マニュアルの利用形態の概略を示す構成図である。
【図2】端末装置100の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】マニュアルデータベース1510の説明図である。
【図4】操作履歴リスト1520の説明図である。
【図5】判定テーブル1530の説明図である。
【図6】表示設定リスト1540の説明図である。
【図7】複合機200の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】操作履歴リスト2420の説明図である。
【図9】操作記憶処理のフローチャートである。
【図10】表示判定処理のフローチャートである。
【図11】印刷設定画面30の説明図である。
【図12】印刷詳細設定画面40の説明図である。
【図13】マニュアル表示処理のフローチャートである。
【図14】マニュアル表示画面50の一例である。
【図15】特定の操作が行われた後のマニュアル表示画面50の一例である。
【図16】複合機200の操作記憶処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
100 端末装置
110 CPU
150 ハードディスク装置
200 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する、前記装置に接続可能な電子マニュアル表示装置であって、
複数の説明を記憶する説明記憶手段と、
前記装置が操作されたときの一連の操作の手順である実操作手順を取得する実操作手順取得手段と、
前記装置の一連の操作の操作手順と、前記操作手順に関連する説明との対応関係を、第1の対応関係として記憶する第1の対応記憶手段と、
前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第1の対応記憶手段に記憶された前記第1の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記実操作手順に関連する説明を、表示説明として選択する表示説明選択手段と、
前記表示説明選択手段によって選択された前記表示説明を表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする電子マニュアル表示装置。
【請求項2】
所定の条件の下で行われた所定の操作手順が、他の操作手順に関連する場合に、前記所定の条件と、前記所定の操作手順と、前記他の操作手順に関連する説明との対応関係を、第2の対応関係として記憶する第2の対応記憶手段と、
前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順に、前記所定の操作手順が含まれるか否かを判断する手順判断手段と、
前記手順判断手段によって、前記所定の操作手順が前記実操作手順に含まれると判断された場合に、前記所定の条件の下で前記実操作手順が行われたか否かを判断する条件判断手段をさらに備え、
前記表示説明選択手段は、
前記条件判断手段によって、前記所定の条件の下で前記実操作手順が行われたと判断された場合に、前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第2の対応記憶手段に記憶された前記第2の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記他の操作手順に関連する説明を、前記表示説明としてさらに選択する追加選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、同一の前記所定の操作手順が所定回数繰り返して行われることであり、
前記条件判断手段は、同一の前記実操作手順が所定回数繰り返して行われた場合に、所定の条件下で前記実操作手順が行われたと判断することを特徴とする請求項2に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項4】
装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する、前記装置に接続可能な電子マニュアル表示装置であって、
複数の説明を記憶する説明記憶手段と、
前記装置を操作するための指示入力を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記指示入力を、前記装置が実際に操作されたときの手順である実操作手順として記憶する実操作手順記憶手段と、
前記実操作手順記憶手段から、前記実操作手順を取得する実操作手順取得手段と、
前記装置の操作手順と、前記操作手順に関連する説明である手順対応説明との対応関係を、第1の対応関係として記憶する第1の対応記憶手段と、
前記実操作手順取得手段によって取得された前記実操作手順および前記第1の対応記憶手段に記憶された前記第1の対応関係に基づいて、前記説明記憶手段に記憶された前記複数の説明のうち、前記実操作手順に関連する説明を、表示説明として選択する表示説明選択手段と、
前記表示説明選択手段によって選択された前記表示説明を表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする電子マニュアル表示装置。
【請求項5】
前記実操作手順取得手段は、前記装置に記憶された前記実操作手順を前記装置から取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項6】
前記他の操作手順は、前記所定の操作手順よりも少ない工程から成ることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための電子マニュアル表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−194492(P2009−194492A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31211(P2008−31211)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】