説明

電子マネーシステム

【課題】電子マネーの残高を表示できると共に,該非接触ICカードの使用履歴に応じた店舗を検索できるシステムを提供する。
【解決手段】電子マネーシステムは,電子マネーの残高データ,共通クーポン及び共通クーポンの使用履歴を記憶した非接触ICカード2と,非接触ICカード2用のリーダライタの機能を備え,非接触ICカード2から読み出した電子マネーの残高を表示すると共に,非接触ICカード2から読み出した共通クーポンの使用履歴を含む店舗検索要求メッセージをサーバ4に送信し,サーバ4から受信した店舗データの検索結果を表示する残高照会アプリケーション30を実装した携帯電話3と,共通クーポンの使用履歴を解析することでユーザの嗜好を分析し,ユーザの嗜好に適合する店舗データの検索結果を表示する表示データを携帯電話3に送信する店舗検索プログラム40を備えたサーバ4とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,非接触ICカードと携帯電話を組み合わせた電子マネーシステムの技術分野に係わる。
【背景技術】
【0002】
昨今,おサイフケータイ(登録商標)に代表され,FeliCa(登録商標)の非接触ICチップを内蔵した携帯電話が普及し,非接触ICカードに実装されていた電子マネー等の機能を該非接触ICチップに備えさせることで,携帯電話を非接触ICカードの代わりとして利用することができるようになった。
【0003】
しかし,以前として,携帯電話を非接触ICカードの代わりとして利用することに抵抗感を持つユーザも多く,例えば,乗車券や電子マネーとして利用できるSuica(登録商標)では,携帯電話ではなく非接触ICカードの方を選択するユーザが多い傾向にある。
【0004】
非接触ICカードの機能を備えた携帯電話では,携帯電話が有する表示媒体(例えば,液晶ディスプレイ)に,非接触ICチップのデータを表示させることで,電子マネーの残高をユーザに確認させることができるが,電子マネーの機能を備えた非接触ICカードを利用するとき,非接触ICカードには表示媒体が備えられておらず,ICカードビューアなどの装置を用いなければ,非接触ICカード単体では電子マネーの残高をユーザは確認できなかった。
【0005】
このような問題点を解決するために,非接触ICカード用のリーダライタの機能を携帯電話に備えさせることが検討され(例えば,特許文献1),実際に,FeliCa(登録商標)の非接触ICチップにおいては,非接触ICカード用のリーダライタの機能として動作可能な非接触ICチップも開発されているが,非接触ICカード用のリーダライタの機能を備え,電子マネーの機能を備えた非接触ICカード用のICカードビューアとして機能する携帯電話は開発されていない。
【0006】
また,キャッシュとは異なり,電子マネーは加盟店でしか利用できないため,汎用の携帯電話に備えられているインターネット接続機能を利用して,電子マネーの残高機能ばかりでなく,電子マネーが利用できる店舗データをユーザに提供できることが望ましいが,電子マネーの機能を有する非接触ICカードの使用履歴に応じた店舗をユーザが検索することのできるシステムは開示されていなかった。
【0007】
例えば,携帯電話を利用して店舗データを検索する発明としては,特許文献2及び特許文献3が開示されているが,特許文献2で開示されている発明は,店舗をジャンル毎にグループ化したチャネルを予め用意しておき,ユーザが選択したジャンルに対応するチャネルにグループ化された店舗を紹介するシステムで,また,特許文献3で開示されている発明は,GPSによって取得した携帯電話の位置周辺に存在する店舗を紹介するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3961990号公報
【特許文献2】特開2005−258770号公報
【特許文献3】特開2008−59103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで,電子マネーの機能を有する非接触ICカードに記憶された電子マネーの残高を表示できると共に,該非接触ICカードの使用履歴に応じた店舗をユーザが検索できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1の発明は,近接型非接触通信用のアンテナが接続されたリーダライタチップを実装している携帯電話と,前記携帯電話と近接型非接触通信する非接触ICカードから少なくとも構成される電子マネーシステムであって,前記非接触ICカードは,電子マネーの残高データを記憶し,前記携帯電話は,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードを検知すると,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードから,前記電子マネーの残高を読み取り,前記電子マネーの残高を表示媒体に表示する処理を実行する残高照会アプリケーションを備えていることを特徴とする電子マネーシステムである。
【0011】
第1の発明の構成のように,非接触ICカードに記憶された電子マネーの残高を読み取り,電子マネーの残高を表示媒体に表示するアプリケーションを携帯電話に実装させれば,携帯電話を電子マネー用のICカードビューアとして機能させることができる。
【0012】
また,第2の発明は,前記電子マネーシステムは,ネットワークを介して前記携帯電話と接続しているサーバを含み,前記非接触ICカードは,電子マネーの残高データに加え,紙媒体のクーポン券が電子化された電子クーポン及び前記電子クーポンの使用履歴を記憶し,前記携帯電話の前記残高照会アプリケーションは,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードに,前記サーバに店舗データが登録された各店舗で共通に利用できる共通クーポンを前記電子クーポンとして前記非接触ICカードに書き込んだ後,前記非接触ICカードから,前記電子マネーの残高及び前記共通クーポンの使用履歴を読み取り,前記電子マネーの残高を表示媒体に表示した後に,前記共通クーポンの使用履歴を少なくとも含む店舗検索要求メッセージを前記サーバに送信し,前記サーバから受信した前記店舗データの検索結果を表示する処理を実行し,前記サーバは,前記サーバに登録された各店舗の前記店舗データを記憶している店舗データベースと,前記携帯電話を所持するユーザ毎に,前記共通クーポンの使用履歴を管理し,前記共通クーポンの使用履歴を解析することで前記ユーザの嗜好を分析しておき,前記携帯電話から前記店舗データの検索要求を受けると,該携帯電話を所持する前記ユーザの嗜好に適合する前記店舗データを前記店舗データベースから検索し,前記店舗データの検索結果を表示する表示データを該携帯電話に送信する店舗検索プログラムを備えていることを特徴とする第1の発明に記載の電子マネーシステムである。
【0013】
第2の発明の構成のように,電子マネーの残高データに加え,紙媒体のクーポン券が電子化された電子クーポン及び前記電子クーポンの使用履歴を非接触ICカードに記憶できるようにしておき,携帯電話の残高照会アプリケーションが,サーバに店舗データが登録された各店舗で共通に利用できる共通クーポンを電子クーポンとして非接触ICカードに書き込めば,共通クーポンの使用履歴から非接触ICカードの使用履歴を判断できるようになり,サーバが,共通クーポンの使用履歴からユーザの嗜好を分析しておけば,ユーザの嗜好に適合した店舗をユーザに提示できるようになる。
【0014】
また,第3の発明は,前記非接触ICカードに記憶されている前記共通クーポンの履歴データには,前記共通クーポンが利用された店舗の店舗コードが含まれ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには,店舗コードに加え,店舗のジャンルを示すジャンルが含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記ジャンルに対応したカウンタを前記ユーザ毎に設け,前記携帯電話から送信された前記共通クーポンの履歴データに含まれる前記店舗コードから特定した前記ジャンルに対応する前記カウンタの値をインクリメントする処理を行い,前記カウンタの値の大小から前記ユーザの嗜好を分析することを特徴とする第2の発明に記載の電子マネーシステムである。
【0015】
共通クーポンの使用履歴からユーザの嗜好を分析する手法は様々考えられるが,第3の発明の構成しておくと,ジャンルに対応するカウンタの値の大小からユーザの嗜好を分析することができる。
【0016】
また,第4の発明は,前記携帯電話の前記残高照会アプリケーションは,前記電子マネーの残高と共に少なくとも一つの検索条件を表示媒体に表示した後,前記共通クーポンの使用履歴と選択された前記検索条件を少なくとも含む店舗検索要求メッセージを前記サーバに送信する処理を実行し,前記サーバは,前記携帯電話から前記店舗データの検索要求を受けると,前記店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件に該当し,かつ,該携帯電話を所持する前記ユーザの嗜好に適合する前記店舗データを前記店舗データベースから検索する処理を実行する特徴とする第3の発明に記載の電子マネーシステム1である。
【0017】
ユーザの嗜好に適合する店舗の数が多いときは,第4の発明のように,ユーザが選択した検索条件で絞り込みをかけるようにするとよい。
【0018】
また,第5の発明は,前記携帯電話はGPSを利用して現在位置データを取得する手段を備え,前記残高照会アプリケーションは,前記店舗検索要求メッセージに検索条件として前記現在位置データを含ませ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには店舗の所在地データが含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記携帯電話から受信した前記現在位置データを基準とし所定範囲内に前記所在地データが含まれる前記店舗データの中から,前記ユーザの嗜好に適合した前記店舗データを検索することを特徴とする第4の発明に記載の電子マネーシステムである。
【0019】
また,第6の発明は,前記携帯電話は,前記残高照会アプリケーションは,前記店舗検索要求メッセージに検索条件として前記電子マネーの残高を含ませ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには店舗で販売されている商品・サービスの最低金額が含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記最低金額が,前記店舗検索要求メッセージに含まれる前記電子マネーの残高以下の前記店舗データの中から,前記ユーザの嗜好に適合した前記店舗データを検索することを特徴とする第4の発明または第5の発明に記載の電子マネーシステムである。
【0020】
絞り込みをかけるために利用する検索条件としては,第5の発明のように携帯電話の現在位置を検索条件とすると,ユーザの現在位置の近傍に存在する店舗をユーザに紹介できるようになる。また,第6の発明のように電子マネーの残高を検索条件に用いると,この時点でユーザが電子マネーで買い物できる店舗をユーザに紹介できるようになる。
【0021】
また,第7の発明は,前記サーバの前記店舗検索プログラムは,前記ジャンルに対応する前記カウンタの値に偏りが無い場合,広告費の高い店舗の前記店舗データを検索結果に含ませることを特徴とする第3の発明から第6の発明のいずれか一つに記載の電子マネーシステムである。
【0022】
ユーザの嗜好に偏りが無い場合,第7の発明のように,広告費の高い店舗の前記店舗データを検索結果に含ませるようにするとよい。
【発明の効果】
【0023】
このように,本発明によれば,電子マネーの機能を有する非接触ICカードに記憶された電子マネーの残高を表示できると共に,該非接触ICカードの使用履歴に応じた店舗をユーザが検索できるシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態における電子マネーシステムの構成を説明する図。
【図2】携帯電話と非接触ICカードのブロック図。
【図3】サーバのブロック図。
【図4】電子マネーシステムの動作を説明するためのフロー図。
【図5】電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴のデータ構造を説明する図。
【図6】電子マネーの残高の表示画面の一例。
【図7】店舗の検索画面の一例。
【図8】ユーザDBのレコード構造を説明する図。
【図9】店舗DBのレコード構造を説明する図。
【図10】店舗データの検索結果の表示例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここから,本願発明の実施形態について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明を実施できる程度に説明する。
【0026】
図1は,本実施形態における電子マネーシステム1の構成を説明する図である。図1で図示した電子マネーシステム1は,非接触ICカード2に備えられている電子マネーの残高に加え,非接触ICカード2の使用履歴からユーザの嗜好を分析し,ユーザの嗜好に適合する店舗データをユーザに提示できるように構成されたシステムで,電子マネーの機能等を備えた非接触ICカード2と,非接触ICカード2と近接型無線通信するリーダライタの機能を備えた携帯電話3と,携帯電話3からアクセス可能なサーバ4を含む。
【0027】
図1で図示した電子マネーシステム1には,ネットワークとして,携帯電話回線網5aとインターネット5が含まれ,サーバ4はインターネット5上に配置され,携帯電話回線網5aを介して携帯電話3はサーバ4にアクセスできる。また,携帯電話3に備えられたリーダライタ機能により,ISO/IEC14443等で規格されている13.56MHz帯を利用した近接型非接触通信で携帯電話3は非接触ICカード2にアクセスできる。
【0028】
まず,図1で図示した電子マネーシステム1を構成する携帯電話3と非接触ICカード2について説明する。図2は,携帯電話3と非接触ICカード2のブロック図である。
【0029】
図2に図示したように,無線通信するときに利用する無線通信用アンテナ3i,無線通信に係わる高周波処理を担う無線通信回路3a,携帯電話3に係わる様々な処理を担うベースバンド回路3b,表示媒体である液晶ディスプレイ3g(LCD: Liquid Crystal Display)と,LCD3gを制御するLCD制御回路3eと,テンキーや十字キーなどが実装されたキーパッド3hと,キーパッド3h用のインターフェース回路3h,中継基地から受信した電波の強度を利用して携帯電話3の現在位置(緯度・経度)を計測するGPS回路3d(GPS: Global Positioning System)など,汎用の携帯電話3に備えられた回路等に加え,携帯電話3を非接触ICカード2用のICカードビューアとして機能させるために,携帯電話3には,非接触ICカード2のリーダライタとして機能するリーダライタチップ3cと,近接型無線通信に利用するリーダライタアンテナ3jが実装されている。
【0030】
携帯電話3に実装されているベースバンド回路3bとは,演算プロセッサ,ROM,RAMなどが実装された回路で,ベースバンド回路3bにはリーダライタチップ3cが接続され,ベースバンド回路3b上で動作するアプリケーション(ここでは,残高照会アプリケーション)からリーダライタチップ3cは協働可能なように構成され,ベースバンド回路3b上で実行するアプリケーションの一つとして,残高照会アプリケーション30が実装されている。
【0031】
携帯電話3に実装されているリーダライタチップ3cは,汎用の非接触ICカード2用リーダライタと同様に,近接型無線通信用の伝送制御プロトコルに従い,リーダライタアンテナ3jを用いて13.56MHzの搬送数を送信し,所定の変調度で搬送波を変調することで非接触ICカード2にコマンドを送信し,負荷変調により非接触ICカード2が送信したレスポンスをデコードするための回路等が実装され,本実施形態では,リーダライタチップ3cは,残高照会アプリケーション30から引き渡されたコマンドを非接触ICカード2に送信し,非接触ICカード2から受信したレスポンスを残高照会アプリケーション30に引き渡す動作を行う。
【0032】
図2に図示したように,非接触ICカード2には。ハードウェアとして、CPU2a(Central Processing Unit)、RAM2c(Random Access Memory)、ROM2b(Read#Only Memory)、近接型無線通信に利用するカードアンテナ2fが接続されたRF回路2e、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであるEEPROM2dが実装され,本実施形態では,電子マネーの残高データ,紙媒体であるクーポン券が電子化された電子クーポン及び電子クーポンが利用された店舗の店舗コードや日付などを含む電子クーポンの使用履歴がEEPROM2dに記憶され,更に,これらのデータを読み書きするコマンドが実装されている。
【0033】
なお,携帯電話3に実装されているRF回路2eとは,近接型無線通信用の伝送制御プロトコルに従い,カードアンテナ2fが受信した搬送波をデコードすることでコマンドを受信し,負荷変調によりレスポンスを送信する回路である。
【0034】
次に,図1で図示した電子マネーシステム1を構成するサーバ4について説明する。図3は,サーバ4のブロック図である。
【0035】
図1で図示したサーバ4は,汎用のウェブサーバで実現され,サーバ4には,ハードウェアとして,CPU4a(CPU: Central Processing Unit)と、BIOSが実装されるROM4b(ROM: Read-Only Memory)と、コンピュータのメインメモリであるRAM4c(RAM: Random Access Memory)と、外部記憶装置として大容量のデータ記憶装置4d(例えば,ハードディスク)と,外部デバイスとデータ通信するための入出力インターフェース4eと、ネットワーク通信するためのネットワークインターフェース4fと、ディスプレイ4gと,文字入力デバイス4hと,ポインティングデバイス4iなどが備えられ,データ記憶装置4dには,サーバ4を動作させるコンピュータプログラムとして店舗検索プログラム40が記憶され,更に,店舗検索プログラム40から参照される店舗データベース(DB: DataBase)41及びユーザDB42が記憶されている。
【0036】
なお,図3では,データ記憶装置はサーバ4内に実装されているように記載しているが,データ記憶装置4dはネットワークを介して接続するように構成することもできる。
【0037】
ここから,図1で図示した電子マネーシステム1の動作を説明しながら,図2及び図3で図示したアプリケーションやコンピュータプログラムの動作について説明する。図4は,図1で図示した電子マネーシステム1の動作を説明するためのフロー図である。
【0038】
電子マネーの残高等を携帯電話3のLCD3gに表示させるとき,携帯電話3のユーザが,キーパッド3hを操作して残高照会アプリケーション30を選択し,残高照会アプリケーション30を起動させる操作を行うことで,携帯電話3に実装された残高照会アプリケーション30が起動する(S1)。
【0039】
残高照会アプリケーション30は起動すると,携帯電話3のリーダライタアンテナ3jの近傍に非接触ICカード2をかざす動作をユーザに催促するメッセージをLCD3gに表示させると共に,携帯電話3のリーダライタチップ3cに対して,非接触ICカード2を検出するためのコマンド(ポーリングコマンド)の送信を要求し,リーダライタチップ3cが非接触ICカード2を検出すると,まず,残高照会アプリケーション30は,リーダライタチップ3cが検出した非接触ICカード2に対して,サーバ4に店舗データが登録されている店舗で共通に利用できる共通クーポンを電子クーポンとして書き込むコマンドの送信を要求し(S2),非接触ICカード2は該コマンドを受信すると。非接触ICカード2の共通クーポンをEEPROM3dに書き込む処理を実行する(S3)。
【0040】
次に,携帯電話3の残高照会アプリケーション30は,リーダライタチップ3cが検出した非接触ICカード2に対して,電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴を読み取るコマンドの送信を要求し(S4),非接触ICカード2は該コマンドを受信すると,非接触ICカード2はこれらのデータを送信する(S5)。
【0041】
電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴を読み取るコマンドは,非接触ICカード2に記憶されている電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴のデータ構造に依存し,電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴を読み取るために,複数のコマンドを非接触ICカード2に送信することが一般的である。
【0042】
図5は,非接触ICカード2に記憶されている電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴のデータ構造を説明する図である。
【0043】
図5において,電子マネーの残高は一つのデータファイルの形式で記憶され,また,共通クーポンの使用履歴を複数記憶できるように,共通クーポンの使用履歴は,未使用または最も古いデータに対して書き込みが行われるサイクリックファイルの形式で記憶されている。
【0044】
図5で図示した例によれば,携帯電話3で起動している残高照会アプリケーション30は,電子マネーの残高を読み取るコマンドと,共通クーポンの使用履歴を全て読み取るコマンドを非接触ICカード2に送信し,非接触ICカード2から,電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴を読み取る。
【0045】
携帯電話3で起動している残高照会アプリケーション30は,電子マネーの残高及び共通クーポンの使用履歴を非接触ICカード2から受信すると,まず,電子マネーの残高を携帯電話3のLCD3Gに表示させる動作を行う(S6)。
【0046】
図6は,電子マネーの残高の表示画面の一例である。図6では,非接触ICカード2から読み出した電子マネーの残高3aに加え,残高照会アプリケーション30を携帯電話3にダウンロードしたときに,サーバ4側で付与したユーザの会員番号6bが表示され,更に,電子マネーが利用できる店舗を検索するためのボタンオブジェクト6cが携帯電話3のLCD3gに表示されている。
【0047】
図7は,店舗の検索画面の一例で,ユーザがキーパッド3hを操作することで,図6で図示したボタンオブジェクト6cが押されたときに表示する画面である。図7では,図6で図示したユーザの会員番号6bに加え,ユーザが居る近辺の存在する店舗の中から,ユーザの嗜好に適合した店舗を検索するためのボタンオブジェクト7aと,電子マネーの残高範囲内で利用可能な店舗の中から,ユーザの嗜好に適合した店舗を検索するためのボタンオブジェクト7bと,ユーザに特典を与えるための特典プログラムを送信要求するためのボタンオブジェクト7cが携帯電話3のLCD3gに表示されている。
【0048】
ユーザがキーパッドを操作することで,店舗を検索するためのボタンオブジェクト7a又は7bのいずれかが押されると,携帯電話3の残高照会アプリケーション30は,ボタンオブジェクト7a又は7bに対応する店舗検索要求メッセージをサーバ4に対して送信することで店舗の検索を要求する(S7)。
【0049】
図7で図示したボタンオブジェクト7aが押されたとき,店舗検索要求メッセージには,共通クーポンの使用履歴に加え,GPS回路3dから得られた現在位置データを検索条件として含ませ,図7で図示したボタンオブジェクト7bが押されたとき,店舗検索要求メッセージには,共通クーポンの使用履歴に加え,電子マネーの残高を検索条件として含ませる。
【0050】
サーバ4は,携帯電話3の残高照会アプリケーション30から店舗検索要求メッセージを受けると,サーバ4は,ユーザDB42を参照することで,携帯電話3を所持するユーザの嗜好を特定し,店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件に該当する店舗データの中から,ユーザの嗜好に適合する店舗データを店舗DB41から検索し,店舗データの検索結果を携帯電話3に送信する(S8)。
【0051】
図8は,サーバ4に備えられたユーザDB42のレコード構造を説明する図である。携帯電話3を所持するユーザの嗜好を特定できるようにするために,サーバ4のユーザDB42には,サーバ4に登録されたユーザの数だけレコード420が設けられ,一つのレコード420には,ユーザの会員番号を記憶するフィールドと,店舗のジャンルに対応するカウンタを記憶するフィールドが店舗のジャンル数だけ設けられている。
【0052】
図9は,サーバ4に備えられた店舗DB41のレコード構造を説明する図である。携帯電話3を所持するユーザの嗜好を特定し,ユーザの嗜好に適合する店舗データを店舗DB41から検索するために,サーバ4の店舗DB41には,非接触ICカード2に実装された電子マネーアプリケーションが利用できる店舗の数だけレコード410が設けられ,一つのレコード410には,店舗を識別するための店舗コードを記憶するフィールドと,店舗のジャンルを記憶するフィールドと,店舗の所在地データ(緯度・経度)を記憶するフィールドと,店舗で販売している商品・サービスの最低金額を記憶するフィールドと,店舗データ(店舗名称,所在地,電話番号等)を記憶するフィールドが設けられている。
【0053】
サーバ4の店舗検索プログラム40は,店舗検索要求メッセージを受信すると,店舗DB41を参照し,店舗検索要求メッセージに含まれている共通クーポンの使用履歴に従い,店舗検索要求メッセージに含まれる会員番号に対応するユーザDB42のレコードを更新する。
【0054】
具体的に,サーバ4の店舗検索プログラム40は,店舗検索要求メッセージに含まれる会員番号に対応するユーザDB42のレコード420を対象とし,携帯電話3から受信した店舗検索要求メッセージに対応する含まれる共通クーポンの使用履歴毎に,該共通クーポンの使用履歴に含まれる店舗コードに対応するジャンルのカウンタをインクリメントする。
【0055】
そして,サーバ4の店舗検索プログラム40は,店舗検索要求メッセージに含まれる会員番号に対応するユーザDB42のレコードに含まれるカウンタの値の大きい順に数個のジャンルを特定し,店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件に該当し,かつ,特定したジャンルに対応する店舗データを店舗DB41から検索する。
【0056】
店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件が携帯電話3の現在位置データの場合,サーバ4の店舗検索プログラム40は、携帯電話3の現在位置データを中心とし、所定の距離範囲内に所在地データがある店舗データの中から、ユーザの嗜好に適合した店舗データを検索する。
【0057】
また,店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件が電子マネーの残高の場合,サーバ4の店舗検索プログラム40は、店舗DB41に記憶している最低金額が電子マネーの残高以下の店舗データの中から、ユーザの嗜好に適合した店舗データを検索する。
【0058】
更に、ユーザの嗜好にバラツキがあり嗜好が特定できない場合,すなわち,ユーザDB42に記憶されているカウンタの値に偏りがない場合,店舗が支払った広告費を考慮して店舗データを検索できるようにしてもよい。例えば、広告費にランクを設けておき、店舗DB41のレコードに広告費のランクを記憶するフィールドを設けておき、ユーザの嗜好にバラツキがあり嗜好が特定できない場合,広告費のランクが上位の店舗データを店舗データの検索結果に含ませるようにしてもよい。
【0059】
このようにして、サーバ4の店舗検索プログラム40が、ユーザの嗜好に適合した店舗データを検索すると、サーバ4の店舗検索プログラム40は、店舗データの検索結果を表示させる表示データを生成し,該表示データを携帯電話3に送信する。
【0060】
携帯電話3の残高照会アプリケーション30は,店舗データの検索結果を表示する表示データをサーバ4から受信すると,携帯電話3のLCD3Gに表示データを表示する処理を実行し,店舗データの検索結果を表示させる(S9)。
【0061】
図10は,店舗データの検索結果の表示例を説明する図である。店舗データの検索結果を表示する表示データは,携帯電話3の残高照会アプリケーション30が解釈できるフォーマット(例えば,携帯電話用のマークアップ言語)で記述され,図10(a)では,図6で図示したユーザの会員番号6bに加え,店舗データの検索結果に含まれる店舗データのリストをテキスト8aがLCD3gに表示している。また,携帯電話3の現在位置データを利用する場合,図10(b)で図示しているように,図6で図示したユーザの会員番号6bに加え,店舗データの検索結果に含まれる店舗データを吹き出しで表示するマップ8bを表示している。
【0062】
また,図4のS6で電子マネーの残高を表示した後に,図7で図示したボタンオブジェクト7cが押されると,携帯電話3の残高照会アプリケーション30は,サーバ4に対して特典プログラムの送信要求を行う(S10)。
【0063】
サーバ4の店舗検索プログラム40は,特典プログラムの送信要求を携帯電話3から受けると,特典プログラムを携帯電話3に対して送信し(S11),携帯電話3の残高照会アプリケーション30は,サーバ4から受信した特典プログラムを実行する(S12)。
【0064】
特典プログラムの内容は任意で,共通クーポンとは異なる特典で,特定の店舗でしか使用できない電子クーポンを非接触ICカード2に書き込むプログラムでもよく,また,福引きのように,当たりのときだけ特典を与えるようなプログラムでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 電子マネーシステム
2 非接触ICカード
3 携帯電話
3c リーダライタチップ
3j リーダライタアンテナ
30 残高照会アプリケーション
4 サーバ
40 店舗検索プログラム
41 店舗データベース
42 ユーザデータベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接型非接触通信用のアンテナが接続されたリーダライタチップを実装している携帯電話と,前記携帯電話と近接型非接触通信する非接触ICカードから少なくとも構成される電子マネーシステムであって,
前記非接触ICカードは,電子マネーの残高データを記憶し,前記携帯電話は,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードを検知すると,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードから,前記電子マネーの残高を読み取り,前記電子マネーの残高を表示媒体に表示する処理を実行する残高照会アプリケーションを備えている,
ことを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項2】
前記電子マネーシステムは,ネットワークを介して前記携帯電話と接続しているサーバを含み,
前記非接触ICカードは,電子マネーの残高データに加え,紙媒体のクーポン券が電子化された電子クーポン及び前記電子クーポンの使用履歴を記憶し,
前記携帯電話の前記残高照会アプリケーションは,前記アンテナにかざされた前記非接触ICカードに,前記サーバに店舗データが登録された各店舗で共通に利用できる共通クーポンを前記電子クーポンとして前記非接触ICカードに書き込んだ後,前記非接触ICカードから,前記電子マネーの残高及び前記共通クーポンの使用履歴を読み取り,前記電子マネーの残高を表示媒体に表示した後,前記共通クーポンの使用履歴を少なくとも含む店舗検索要求メッセージを前記サーバに送信し,前記サーバから受信した前記店舗データの検索結果を表示する処理を実行し,
前記サーバは,前記サーバに登録された各店舗の前記店舗データを記憶している店舗データベースと,前記携帯電話を所持するユーザ毎に,前記共通クーポンの使用履歴を管理し,前記共通クーポンの使用履歴を解析することで前記ユーザの嗜好を分析しておき,前記携帯電話から前記店舗データの検索要求を受けると,該携帯電話を所持する前記ユーザの嗜好に適合する前記店舗データを前記店舗データベースから検索し,前記店舗データの検索結果を表示する表示データを該携帯電話に送信する処理を実行する店舗検索プログラムを備えている,
ことを特徴とする請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項3】
前記非接触ICカードに記憶されている前記共通クーポンの履歴データには,前記共通クーポンが利用された店舗の店舗コードが含まれ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには,店舗コードに加え,店舗のジャンルを示すジャンルが含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記ジャンルに対応したカウンタを前記ユーザ毎に設け,前記携帯電話から送信された前記共通クーポンの履歴データに含まれる前記店舗コードから特定した前記ジャンルに対応する前記カウンタの値をインクリメントする処理を行い,前記カウンタの値から前記ユーザの嗜好を分析する処理を実行する,ことを特徴とする請求項2に記載の電子マネーシステム。
【請求項4】
前記携帯電話の前記残高照会アプリケーションは,前記電子マネーの残高と共に少なくとも一つの検索条件を表示媒体に表示した後,前記共通クーポンの使用履歴と選択された前記検索条件を少なくとも含む店舗検索要求メッセージを前記サーバに送信する処理を実行し,
前記サーバは,前記携帯電話から前記店舗データの検索要求を受けると,前記店舗検索要求メッセージに含まれる検索条件に該当し,かつ,該携帯電話を所持する前記ユーザの嗜好に適合する前記店舗データを前記店舗データベースから検索する処理を実行する,
ことを特徴とする請求項3に記載の電子マネーシステム。
【請求項5】
前記携帯電話はGPSを利用して現在位置データを取得する手段を備え,前記残高照会アプリケーションは,前記店舗検索要求メッセージに検索条件として前記現在位置データを含ませ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには店舗の所在地データが含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記携帯電話から受信した前記現在位置データを基準とし所定範囲内に前記所在地データが含まれる前記店舗データの中から,前記ユーザの嗜好に適合した前記店舗データを検索する,ことを特徴とする請求項4に記載の電子マネーシステム。
【請求項6】
前記携帯電話は,前記残高照会アプリケーションは,前記店舗検索要求メッセージに検索条件として前記電子マネーの残高を含ませ,前記サーバに備えられた前記店舗データベースに記憶されている前記店舗データには店舗で販売されている商品・サービスの最低金額が含まれ,前記店舗検索プログラムは,前記最低金額が,前記店舗検索要求メッセージに含まれる前記電子マネーの残高以下の前記店舗データの中から,前記ユーザの嗜好に適合した前記店舗データを検索する,ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子マネーシステム。
【請求項7】
前記サーバの前記店舗検索プログラムは,前記ジャンルに対応する前記カウンタの値に偏りが無い場合,広告費の高い店舗の前記店舗データを検索結果に含ませる,ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一つに記載の電子マネーシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−96021(P2011−96021A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249624(P2009−249624)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】