電子マネー変換装置
【課題】 現金を取り扱うことなく複数のサービス間で電子マネーやポイントを相互に変換することができる電子マネー変換装置を提供する。
【解決手段】 ICカード100に対してデータの読み書きを行うICカードリーダライタ50と、変換額又は変換ポイントを入力する入力部20と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力部20で入力された変換額又は変換ポイントだけICカード100から減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICカード100に加算する変換処理部40を設けた。
【解決手段】 ICカード100に対してデータの読み書きを行うICカードリーダライタ50と、変換額又は変換ポイントを入力する入力部20と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力部20で入力された変換額又は変換ポイントだけICカード100から減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICカード100に加算する変換処理部40を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーサービスやポイントサービスにおいて複数種のサービス間で電子マネーやポイントを相互に変換する電子マネー変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを電子財布として利用した電子マネーシステムが普及してきている。このような電子マネーシステムでは、ICチップに対して現金を電子マネーに入金(チャージ)する入金機が用いられる。従来の電子マネー入金機としては特許文献1に記載されたものが知られている。この電子マネー入金機は、ICカードリーダライタと、紙幣識別装置と、無線通信ユニットと、制御部とを備えている。制御部は、紙幣識別装置に紙幣が投入されると、ICカードリーダライタに挿入されたICカードに対して投入紙幣額分だけ電子マネーを増額させる。また、この電子マネーの入金情報を無線通信ユニットを介して所定の管理サーバに送信する。
【特許文献1】特開2003−36466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の電子マネー入金機では現金を取り扱うため防犯上の観点から装置に高い堅牢性が必要であった。このため、コストが高くなるという問題があった。
【0004】
ところで、ICチップの高密度化に伴い、1つのICチップで複数のサービスに対応可能となってきている。例えば、1つのICチップに、A社が提供する電子マネーサービスに係る電子マネー情報と、B社が提供する電子マネーサービスに係る電子マネー情報とが記憶可能となっている。すなわち、各社のサービスに係る電子マネーはそれぞれ独立に記憶されている。一方、例えば自動販売機やPOSシステムなどは何れかの電子マネーサービスにのみ対応しているのが実状である。したがって、仮に利用したい自動販売機等がB社のサービスにのみ対応する場合、A社のサービスに係る電子マネーの残額が十分であっても、B社のサービスに係る電子マネーの残額が十分でないと、商品購入等ができない。このため、各社のサービス間で電子マネーを移行させたいという要望があった。
【0005】
また、このようなICチップは、電子マネーサービスだけでなくポイントサービスにも利用されることが多い。しかし、従来は、電子マネーとポイントはそれぞれ独立したサービスとして提供されるだけである。そこで、例えば蓄積したポイントを電子マネーに変換したり、逆に電子マネーでポイントを購入したいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現金を取り扱うことなく複数のサービス間で電子マネーやポイントを相互に変換することができる電子マネー変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願では、電子マネーサービスで用いられる電子マネーやポイントサービスで用いられるポイントを複数サービス分記憶したICチップに対してデータの読み書きを行うリーダライタ装置と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを入力する入力手段と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力手段で入力された変換額又は変換ポイントだけICチップから減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICチップに加算する変換手段とを備えたことを特徴とするものを提案する。
【0008】
本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを利用者が入力すると、ICチップに記憶されている一のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ減算され、ICチップに記憶されている他のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ加算される。したがって、現金を用いることなく電子マネー又はポイントの増加を実現できるので装置の低コスト化が可能となる。また、複数の電子マネーサービス間での電子マネーの移行や、複数のポイントサービス間でのポイントの移行だけでなく、電子マネーサービスとポイントサービス間の電子マネーとポイントの変換も可能となるので、利便性が高いものとなる。なお、ポイントサービスのポイントには、航空会社等で実施しているマイルサービスにおけるマイルなど種々の形態のものを含むものとする。
【0009】
本発明の好適な態様の一例として、本願では、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、電子マネー又はポイントの減算情報或いは加算情報を該電子マネー又はポイントの管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えたことを特徴とするものを提案する。
【0010】
本発明によれば、電子マネーやポイントを管理する管理サーバに対して電子マネー又はポイントの減算情報や加算情報が送信されるので円滑な運用が可能となる。
【0011】
本発明の好適な態様の他の一例として、本願では、さらに、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントへの換算係数を記憶する記憶手段を備え、前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイント変換額又は変換ポイントに前記換算係数を乗じることにより他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算することを特徴とするものを提案する。
【0012】
本発明によれば、各サービス間での換算係数を自由に設定できるので柔軟な運用が可能となる。この態様の場合、電子マネー変換装置に、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、前記換算係数を管理する管理サーバから換算係数を受信して前記記憶装置に記憶する換算係数記憶手段を設けると、前記換算係数を任意に変更できるのでより柔軟な運用が可能となる。
【0013】
本発明の好適な態様の他の一例として、本願では、前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、一のサービスに係る電子マネー又はポイント或いは他のサービスに係る電子マネー又はポイントを所定の手数料分だけICチップから減算することを特徴とするものを提案する。
【0014】
本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、利用者から手数料を徴収することができるので当該変換処理自体を利用者に対する有償サービスとして提供することができる。この態様の場合、電子マネー変換装置に、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、前記手数料の減算情報を該手数料の管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えると、管理サーバで手数料の管理を行うことができるので好適である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを利用者が入力すると、ICチップに記憶されている一のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ減算され、ICチップに記憶されている他のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ加算される。したがって、現金を用いることなく電子マネー又はポイントの増加を実現できるので装置の低コスト化が可能となる。また、複数の電子マネーサービス間での電子マネーの移行や、複数のポイントサービス間でのポイントの移行だけでなく、電子マネーサービスとポイントサービス間の電子マネーとポイントの変換も可能となるので、利便性が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の一実施の形態に係る電子マネー変換装置について図面を参照して説明する。図1は電子マネー変換装置の外観斜視図、図2は電子マネー変換装置の機能ブロック図である。
【0017】
本実施の形態では、ICカード100が複数(本実施の形態では2つ)の電子マネーサービス用の電子財布として機能している場合について説明する。電子マネー変換装置1は、ICカード100に記憶されている第1の電子マネーサービスにおける電子マネーと、第2の電子マネーサービスにおける電子マネーとを相互に変換する。以下、電子マネー変換装置1について詳述する。
【0018】
電子マネー変換装置1は、図1に示すように、縦長箱状の筐体10の前面に、利用者から変換額等を入力するためのLCD表示器等からなる入力部20と、利用者に各種メッセージを表示するための表示部30とを備えている。筐体10の上面にはICカード100を受容するため凹部15が形成されている。この凹部15には後述する非接触ICカードリーダライタのアンテナが配置されている。
【0019】
また、電子マネー変換装置1は、図2に示すように、前記入力部20及び表示部30と、電子マネーの変換処理を行う変換処理部40と、ICカード100に対して非接触でデータの読み書きを行うICカードリーダライタ50と、変換処理で用いる各電子マネー間の換算係数を記憶する換算係数記憶部60と、変換処理の記録(ログ)を記憶する変換ログ記憶部70と、ネットワークを介して各種管理サーバと通信を行う通信処理部80と、ルータやモデムなどネットワーク接続用の通信装置90とを備えている。
【0020】
入力部20は、変換額等の数値を入力するためのテンキー21と、OKの確認意思を入力するためのOKボタン22と、取消意思を入力するための取消ボタン23とを備えている。
【0021】
変換処理部40は、入力部20で入力された変換額に、換算係数記憶部60に記憶されている換算係数を乗じて換算額を算出する。そして、変換元の電子マネーサービスについては変換額だけ電子マネー残額を減算し、変換先の電子マネーサービスについては換算額だけ電子マネー残額を加算するよう、ICカードリーダライタ50を制御する。換算係数記憶部60のデータ構造の一例を図3に示す。同図に示すように、換算係数記憶部60は、変換元及び変換先の電子マネーサービス及びその換算係数が記憶されている。したがって、後述するように、この換算係数として1.00未満の値を採用することにより、変換額と換算額の差額を手数料として徴収することができる。また、換算係数は、電子マネーサービスが異なる通貨単位を採用している場合には、通貨の変換係数として用いることができる。本実施の形態では、各電子マネーサービス間の換算係数を相互に1.00とした。
【0022】
変換処理部40は、電子マネーの変換処理を行うと、各電子マネーサービスについての取引記録を変換ログ記憶部70に蓄積する。変換ログ記憶部70のデータ構造の一例を図4に示す。図4に示すように、変換ログ記憶部70には、各電子マネーサービス毎に、当該電子マネーサービスで用いられている識別情報及び取引金額が記憶されている。識別情報は、後述するようにICカード100に記憶されているものである。
【0023】
通信処理部80について図5のネットワーク構成図を参照して説明する。電子マネー変換装置1は、通信装置90及びネットワーク200を介して、第1の電子マネーサービスにおける電子マネーの管理を行う第1の電子マネー管理サーバ210と、第2の電子マネーサービスにおける電子マネーの管理を行う第3の電子マネー管理サーバ220と、電子マネー変換装置1を管理する変換装置管理サーバ250と通信可能となっている。通信処理部80は、定期的又は任意時に変換装置管理サーバ250に接続し、該変換装置管理サーバ250から換算係数を受信し、該換算係数を前記換算係数記憶部60に記憶する。また、通信処理部80は、定期的又は任意時に各電子マネー管理サーバ210,220に接続し、変換ログ記憶部70に記憶されている電子マネーの取引情報を送信する。
【0024】
本実施の形態で用いるICカード100には、非接触でデータの読み書きが可能なICチップが埋設されている。このICチップのメモリ空間は、図6に示すように、複数(図6では2つ)の記憶領域に区画されている。本実施の形態では、第1の電子マネーサービス用の利用領域101と、第2の電子マネーサービス用の利用領域102に区画されている。各領域101及び102には、それぞれ電子マネーサービスにおける識別情報及び電子マネー残額が記憶されている。
【0025】
次に、電子マネー変換装置の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。図7に示すように、電子マネー変換装置1の変換処理部40は、まず、変換元及び変換先の電子マネーサービスを選択するよう表示部30にメニューを表示する(ステップS1)。例えば、「1.第1の電子マネーサービス→第2の電子マネーサービス、2.第2の電子マネーサービス→第1の電子マネーサービス」というメニューを表示する。利用者がテンキー21等で何れかのメニューを選択すると(ステップS2)、変換処理部40は、ICカードリーダライタ50を用いてICカード100に記憶されている各電子マネーサービスに係る識別情報及び残額を読み取り(ステップS3)、各残額を表示部30に表示する(ステップS4)。利用者が入力部20のテンキー21で変換額を入力し(ステップS5)、さらにOKボタン22を押下すると(ステップS6)、変換処理部40は、入力された変換額から変換先の電子マネーサービスに加算する換算額を算出する(ステップS7)。具体的には、前記ステップS2の選択結果に基づき換算係数記憶部60から換算係数を取得し、入力された変換額に換算係数を乗じることで換算額を求める。
【0026】
次に、変換処理部40は、変換元の電子マネー残額が入力された変換額以上であること、及び、「換算額+変換先の電子マネー残額」が変換先の電子マネーサービスの上限額以内であることを確認する(ステップS8,S9)。そして、両条件を満たしている場合には、変換元の電子マネー残額を変換額だけ減算するようICカードリーダライタ50を制御するとともに(ステップS10)、変換先の電子マネー残額に換算額を加算するようICカードリーダライタ50を制御する(ステップS11)。そして、変換処理部40は、各電子マネーサービスについて取引額を変換ログ記憶部70に記録する(ステップS12)。前記ステップS8,S9の条件を満たしていない場合には、表示部30にエラーメッセージを表示して処理を終了する。
【0027】
なお、図7では省略したが、変換額の入力に取消ボタン23の押下があった場合や、ICカード100に対するデータの読み書きに失敗した場合には、必要に応じて表示部30にエラーメッセージを表示して処理を中断させればよい。
【0028】
このような電子マネー変換装置によれば、ICカード100に記憶されている一の電子マネーサービスに係る電子マネーが、利用者が入力した変換額分だけ他の電子マネーサービスに係る電子マネーに変換される。すなわち、現金を用いることなくICカード100に記憶されている電子マネー残高を増加させることができるので、利便性が向上する。
【0029】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る電子マネー変換装置について説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、変換処理にあたって手数料を徴収可能となっている点にある。他の構成・動作等については第1の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0030】
本実施の形態に係る電子マネー変換装置1は、図8に示すように、同一通貨同士の変換において1.0未満の換算係数を換算係数記憶部60に記憶している。変換処理部40は、変換額に換算係数を乗じて換算額を計算した後、変換額と換算額との差を手数料として算出する。そして、手数料額を変換ログ記憶部70に記憶する。図9に変換ログ記憶部70のデータ構造の一例を示す。さらに、通信処理部80は、定期的に又は任意時に変換ログ記憶部70に記憶した手数料に関する記録を変換装置管理サーバ250に送信する。
【0031】
このような電子マネー変換装置によれば、ICカード100に記憶されている一の電子マネーサービスに係る電子マネーが、利用者が入力した変換額分から所定率の手数料だけ差し引かれた上で他の電子マネーサービスに係る電子マネーに変換される。そして、この手数料情報は変換装置管理サーバ250で管理できるので、変換処理をサービスとしたビジネス展開が可能となる。他の作用・効果については第1の実施の形態と同様である。
【0032】
なお、本実施の形態では、換算係数として1.0未満の値を用いることにより変換額と換算額の差額を手数料として算出していたが、所定の手数料を定めて変換額から該手数料を差し引くことにより換算額を算出するようにしても良い。この場合、手数料は変換額に応じて段階的に設定してもよい。さらに、1.0未満の換算係数と所定の手数料の双方を採用してもよい。
【0033】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る電子マネー変換装置について説明する。本実施の形態が第1及び第2の実施の形態と異なる点は、変換処理に先だって利用者の認証を行う点にある。他の構成・動作等については第1及び第2の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0034】
本実施の形態で用いるICカード100のメモリ空間は、図10に示すように、第1及び第2の電子マネーサービス用の利用領域101及び102と、電子マネー変換サービス用の利用領域103に区画されている。変換サービス用利用領域103には、電子マネー変換サービスを利用する利用者の識別情報及び暗証番号が記憶されている。電子マネー変換装置1の変換処理部40は、電子マネー変換サービスの提供に先立ち、利用者の認証処理を行う。具体的には、利用者が自信の認証番号を入力部20に入力すると、変換処理部40は入力された暗証番号とICカード100から読み取った暗証番号とが一致するかを判定し、一致している場合にのみ電子マネー変換サービスを行う。なお、変換処理部40は、変換ログ記憶部70に変換ログを記録する際に、必要に応じてICカード100から読み取った利用者の識別情報を併せて記録すると好適である。
【0035】
このような電子マネー変換装置によれば、電子マネー変換サービスを特定の利用者のみに提供可能となり、また電子マネー変換装置を利用した利用者を特定できるので、利用者の囲い込みなどマーケティング戦略の上で有用なものとなる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、2つの電子マネーサービスに対応したICカード100について説明したが、サービスの数は不問であり、3つ以上の電子マネーサービスに対応するICカード100であっても本発明を適用できる。
【0037】
また、上記実施の形態では、ある電子マネーサービスの電子マネーから他の電子マネーサービスの電子マネーを変換するものについて説明したが、電子マネーサービスではなくポイントサービスにも本発明を適用できる。なお、ここでポイントサービスは航空会社等で実施しているマイルサービスにおけるマイルなど種々の形態のものを含むものとする。具体的には、あるポイントサービスにおけるポイントを他のポイントサービスにおけるポイントに変換するようにしてもよい。また、電子マネーサービスにおける電子マネーとポイントサービスにおけるポイントとを相互に変換するようにしてもよい。例えば、マイルサービスにおけるマイルを電子マネーサービスの電子マネーに変換するものが挙げられる。
【0038】
さらに、上記実施の形態では、非接触型のICカード100を筐体10の上面に載置することにより、ICカード100とICカードリーダライタ50とが通信可能となっている。このような構成では、電子マネーの変換処理中に利用者がICカード100を取り上げてしまうと、正常な処理継続が不可能となる。そこで、ICカードリーダライタ50とICカード100との間で通信を行っている間は、ICカード100の取り外しが出来ないようにICカードリーダライタ50等を構成すると好適である。例えば、ICカード100を所定の挿入口に挿入するように構成し、さらにICカード100の搬出機構を設けると良い。
【0039】
さらに、上記実施の形態では非接触ICチップを埋設したICカード100について説明したが、この非接触ICチップは種々の機器・物に搭載可能である。例えば、携帯電話、腕時計、PDA、パーソナルコンピュータ、ブレスレット、指輪、イヤリングなどが挙げられる。
【0040】
さらに、上記実施の形態では、電子マネーサービスの電子マネーやポイントサービスのポイントを記憶する媒体として非接触型のICチップを用いているが、接触型のICチップであっても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】電子マネー変換装置の外観斜視図
【図2】電子マネー変換装置の機能ブロック図
【図3】換算係数記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図4】変換ログ記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図5】ネットワーク構成図
【図6】ICカードのメモリ空間を説明する図
【図7】電子マネー変換装置の動作を説明するフローチャート
【図8】換算係数記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図9】変換ログ記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図10】ICカードのメモリ空間を説明する図
【符号の説明】
【0042】
1…電子マネー変換装置、10…筐体、20…入力部、30…表示部、40…変換処理部、50…ICカードリーダライタ、60…換算係数記憶部、70…変換ログ記憶部、80…通信処理部、90…通信装置、100…ICカード、200…ネットワーク、210…第1の電子マネー管理サーバ、220…第2の電子マネー管理サーバ、250…変換装置管理サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーサービスやポイントサービスにおいて複数種のサービス間で電子マネーやポイントを相互に変換する電子マネー変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを電子財布として利用した電子マネーシステムが普及してきている。このような電子マネーシステムでは、ICチップに対して現金を電子マネーに入金(チャージ)する入金機が用いられる。従来の電子マネー入金機としては特許文献1に記載されたものが知られている。この電子マネー入金機は、ICカードリーダライタと、紙幣識別装置と、無線通信ユニットと、制御部とを備えている。制御部は、紙幣識別装置に紙幣が投入されると、ICカードリーダライタに挿入されたICカードに対して投入紙幣額分だけ電子マネーを増額させる。また、この電子マネーの入金情報を無線通信ユニットを介して所定の管理サーバに送信する。
【特許文献1】特開2003−36466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の電子マネー入金機では現金を取り扱うため防犯上の観点から装置に高い堅牢性が必要であった。このため、コストが高くなるという問題があった。
【0004】
ところで、ICチップの高密度化に伴い、1つのICチップで複数のサービスに対応可能となってきている。例えば、1つのICチップに、A社が提供する電子マネーサービスに係る電子マネー情報と、B社が提供する電子マネーサービスに係る電子マネー情報とが記憶可能となっている。すなわち、各社のサービスに係る電子マネーはそれぞれ独立に記憶されている。一方、例えば自動販売機やPOSシステムなどは何れかの電子マネーサービスにのみ対応しているのが実状である。したがって、仮に利用したい自動販売機等がB社のサービスにのみ対応する場合、A社のサービスに係る電子マネーの残額が十分であっても、B社のサービスに係る電子マネーの残額が十分でないと、商品購入等ができない。このため、各社のサービス間で電子マネーを移行させたいという要望があった。
【0005】
また、このようなICチップは、電子マネーサービスだけでなくポイントサービスにも利用されることが多い。しかし、従来は、電子マネーとポイントはそれぞれ独立したサービスとして提供されるだけである。そこで、例えば蓄積したポイントを電子マネーに変換したり、逆に電子マネーでポイントを購入したいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現金を取り扱うことなく複数のサービス間で電子マネーやポイントを相互に変換することができる電子マネー変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願では、電子マネーサービスで用いられる電子マネーやポイントサービスで用いられるポイントを複数サービス分記憶したICチップに対してデータの読み書きを行うリーダライタ装置と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを入力する入力手段と、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力手段で入力された変換額又は変換ポイントだけICチップから減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICチップに加算する変換手段とを備えたことを特徴とするものを提案する。
【0008】
本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを利用者が入力すると、ICチップに記憶されている一のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ減算され、ICチップに記憶されている他のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ加算される。したがって、現金を用いることなく電子マネー又はポイントの増加を実現できるので装置の低コスト化が可能となる。また、複数の電子マネーサービス間での電子マネーの移行や、複数のポイントサービス間でのポイントの移行だけでなく、電子マネーサービスとポイントサービス間の電子マネーとポイントの変換も可能となるので、利便性が高いものとなる。なお、ポイントサービスのポイントには、航空会社等で実施しているマイルサービスにおけるマイルなど種々の形態のものを含むものとする。
【0009】
本発明の好適な態様の一例として、本願では、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、電子マネー又はポイントの減算情報或いは加算情報を該電子マネー又はポイントの管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えたことを特徴とするものを提案する。
【0010】
本発明によれば、電子マネーやポイントを管理する管理サーバに対して電子マネー又はポイントの減算情報や加算情報が送信されるので円滑な運用が可能となる。
【0011】
本発明の好適な態様の他の一例として、本願では、さらに、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントへの換算係数を記憶する記憶手段を備え、前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイント変換額又は変換ポイントに前記換算係数を乗じることにより他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算することを特徴とするものを提案する。
【0012】
本発明によれば、各サービス間での換算係数を自由に設定できるので柔軟な運用が可能となる。この態様の場合、電子マネー変換装置に、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、前記換算係数を管理する管理サーバから換算係数を受信して前記記憶装置に記憶する換算係数記憶手段を設けると、前記換算係数を任意に変更できるのでより柔軟な運用が可能となる。
【0013】
本発明の好適な態様の他の一例として、本願では、前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、一のサービスに係る電子マネー又はポイント或いは他のサービスに係る電子マネー又はポイントを所定の手数料分だけICチップから減算することを特徴とするものを提案する。
【0014】
本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、利用者から手数料を徴収することができるので当該変換処理自体を利用者に対する有償サービスとして提供することができる。この態様の場合、電子マネー変換装置に、さらに、ネットワーク接続用の通信装置と、前記手数料の減算情報を該手数料の管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えると、管理サーバで手数料の管理を行うことができるので好適である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを利用者が入力すると、ICチップに記憶されている一のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ減算され、ICチップに記憶されている他のサービスに係る電子マネー又はポイントが当該変換額又は変換ポイント分だけ加算される。したがって、現金を用いることなく電子マネー又はポイントの増加を実現できるので装置の低コスト化が可能となる。また、複数の電子マネーサービス間での電子マネーの移行や、複数のポイントサービス間でのポイントの移行だけでなく、電子マネーサービスとポイントサービス間の電子マネーとポイントの変換も可能となるので、利便性が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の一実施の形態に係る電子マネー変換装置について図面を参照して説明する。図1は電子マネー変換装置の外観斜視図、図2は電子マネー変換装置の機能ブロック図である。
【0017】
本実施の形態では、ICカード100が複数(本実施の形態では2つ)の電子マネーサービス用の電子財布として機能している場合について説明する。電子マネー変換装置1は、ICカード100に記憶されている第1の電子マネーサービスにおける電子マネーと、第2の電子マネーサービスにおける電子マネーとを相互に変換する。以下、電子マネー変換装置1について詳述する。
【0018】
電子マネー変換装置1は、図1に示すように、縦長箱状の筐体10の前面に、利用者から変換額等を入力するためのLCD表示器等からなる入力部20と、利用者に各種メッセージを表示するための表示部30とを備えている。筐体10の上面にはICカード100を受容するため凹部15が形成されている。この凹部15には後述する非接触ICカードリーダライタのアンテナが配置されている。
【0019】
また、電子マネー変換装置1は、図2に示すように、前記入力部20及び表示部30と、電子マネーの変換処理を行う変換処理部40と、ICカード100に対して非接触でデータの読み書きを行うICカードリーダライタ50と、変換処理で用いる各電子マネー間の換算係数を記憶する換算係数記憶部60と、変換処理の記録(ログ)を記憶する変換ログ記憶部70と、ネットワークを介して各種管理サーバと通信を行う通信処理部80と、ルータやモデムなどネットワーク接続用の通信装置90とを備えている。
【0020】
入力部20は、変換額等の数値を入力するためのテンキー21と、OKの確認意思を入力するためのOKボタン22と、取消意思を入力するための取消ボタン23とを備えている。
【0021】
変換処理部40は、入力部20で入力された変換額に、換算係数記憶部60に記憶されている換算係数を乗じて換算額を算出する。そして、変換元の電子マネーサービスについては変換額だけ電子マネー残額を減算し、変換先の電子マネーサービスについては換算額だけ電子マネー残額を加算するよう、ICカードリーダライタ50を制御する。換算係数記憶部60のデータ構造の一例を図3に示す。同図に示すように、換算係数記憶部60は、変換元及び変換先の電子マネーサービス及びその換算係数が記憶されている。したがって、後述するように、この換算係数として1.00未満の値を採用することにより、変換額と換算額の差額を手数料として徴収することができる。また、換算係数は、電子マネーサービスが異なる通貨単位を採用している場合には、通貨の変換係数として用いることができる。本実施の形態では、各電子マネーサービス間の換算係数を相互に1.00とした。
【0022】
変換処理部40は、電子マネーの変換処理を行うと、各電子マネーサービスについての取引記録を変換ログ記憶部70に蓄積する。変換ログ記憶部70のデータ構造の一例を図4に示す。図4に示すように、変換ログ記憶部70には、各電子マネーサービス毎に、当該電子マネーサービスで用いられている識別情報及び取引金額が記憶されている。識別情報は、後述するようにICカード100に記憶されているものである。
【0023】
通信処理部80について図5のネットワーク構成図を参照して説明する。電子マネー変換装置1は、通信装置90及びネットワーク200を介して、第1の電子マネーサービスにおける電子マネーの管理を行う第1の電子マネー管理サーバ210と、第2の電子マネーサービスにおける電子マネーの管理を行う第3の電子マネー管理サーバ220と、電子マネー変換装置1を管理する変換装置管理サーバ250と通信可能となっている。通信処理部80は、定期的又は任意時に変換装置管理サーバ250に接続し、該変換装置管理サーバ250から換算係数を受信し、該換算係数を前記換算係数記憶部60に記憶する。また、通信処理部80は、定期的又は任意時に各電子マネー管理サーバ210,220に接続し、変換ログ記憶部70に記憶されている電子マネーの取引情報を送信する。
【0024】
本実施の形態で用いるICカード100には、非接触でデータの読み書きが可能なICチップが埋設されている。このICチップのメモリ空間は、図6に示すように、複数(図6では2つ)の記憶領域に区画されている。本実施の形態では、第1の電子マネーサービス用の利用領域101と、第2の電子マネーサービス用の利用領域102に区画されている。各領域101及び102には、それぞれ電子マネーサービスにおける識別情報及び電子マネー残額が記憶されている。
【0025】
次に、電子マネー変換装置の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。図7に示すように、電子マネー変換装置1の変換処理部40は、まず、変換元及び変換先の電子マネーサービスを選択するよう表示部30にメニューを表示する(ステップS1)。例えば、「1.第1の電子マネーサービス→第2の電子マネーサービス、2.第2の電子マネーサービス→第1の電子マネーサービス」というメニューを表示する。利用者がテンキー21等で何れかのメニューを選択すると(ステップS2)、変換処理部40は、ICカードリーダライタ50を用いてICカード100に記憶されている各電子マネーサービスに係る識別情報及び残額を読み取り(ステップS3)、各残額を表示部30に表示する(ステップS4)。利用者が入力部20のテンキー21で変換額を入力し(ステップS5)、さらにOKボタン22を押下すると(ステップS6)、変換処理部40は、入力された変換額から変換先の電子マネーサービスに加算する換算額を算出する(ステップS7)。具体的には、前記ステップS2の選択結果に基づき換算係数記憶部60から換算係数を取得し、入力された変換額に換算係数を乗じることで換算額を求める。
【0026】
次に、変換処理部40は、変換元の電子マネー残額が入力された変換額以上であること、及び、「換算額+変換先の電子マネー残額」が変換先の電子マネーサービスの上限額以内であることを確認する(ステップS8,S9)。そして、両条件を満たしている場合には、変換元の電子マネー残額を変換額だけ減算するようICカードリーダライタ50を制御するとともに(ステップS10)、変換先の電子マネー残額に換算額を加算するようICカードリーダライタ50を制御する(ステップS11)。そして、変換処理部40は、各電子マネーサービスについて取引額を変換ログ記憶部70に記録する(ステップS12)。前記ステップS8,S9の条件を満たしていない場合には、表示部30にエラーメッセージを表示して処理を終了する。
【0027】
なお、図7では省略したが、変換額の入力に取消ボタン23の押下があった場合や、ICカード100に対するデータの読み書きに失敗した場合には、必要に応じて表示部30にエラーメッセージを表示して処理を中断させればよい。
【0028】
このような電子マネー変換装置によれば、ICカード100に記憶されている一の電子マネーサービスに係る電子マネーが、利用者が入力した変換額分だけ他の電子マネーサービスに係る電子マネーに変換される。すなわち、現金を用いることなくICカード100に記憶されている電子マネー残高を増加させることができるので、利便性が向上する。
【0029】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る電子マネー変換装置について説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、変換処理にあたって手数料を徴収可能となっている点にある。他の構成・動作等については第1の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0030】
本実施の形態に係る電子マネー変換装置1は、図8に示すように、同一通貨同士の変換において1.0未満の換算係数を換算係数記憶部60に記憶している。変換処理部40は、変換額に換算係数を乗じて換算額を計算した後、変換額と換算額との差を手数料として算出する。そして、手数料額を変換ログ記憶部70に記憶する。図9に変換ログ記憶部70のデータ構造の一例を示す。さらに、通信処理部80は、定期的に又は任意時に変換ログ記憶部70に記憶した手数料に関する記録を変換装置管理サーバ250に送信する。
【0031】
このような電子マネー変換装置によれば、ICカード100に記憶されている一の電子マネーサービスに係る電子マネーが、利用者が入力した変換額分から所定率の手数料だけ差し引かれた上で他の電子マネーサービスに係る電子マネーに変換される。そして、この手数料情報は変換装置管理サーバ250で管理できるので、変換処理をサービスとしたビジネス展開が可能となる。他の作用・効果については第1の実施の形態と同様である。
【0032】
なお、本実施の形態では、換算係数として1.0未満の値を用いることにより変換額と換算額の差額を手数料として算出していたが、所定の手数料を定めて変換額から該手数料を差し引くことにより換算額を算出するようにしても良い。この場合、手数料は変換額に応じて段階的に設定してもよい。さらに、1.0未満の換算係数と所定の手数料の双方を採用してもよい。
【0033】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る電子マネー変換装置について説明する。本実施の形態が第1及び第2の実施の形態と異なる点は、変換処理に先だって利用者の認証を行う点にある。他の構成・動作等については第1及び第2の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0034】
本実施の形態で用いるICカード100のメモリ空間は、図10に示すように、第1及び第2の電子マネーサービス用の利用領域101及び102と、電子マネー変換サービス用の利用領域103に区画されている。変換サービス用利用領域103には、電子マネー変換サービスを利用する利用者の識別情報及び暗証番号が記憶されている。電子マネー変換装置1の変換処理部40は、電子マネー変換サービスの提供に先立ち、利用者の認証処理を行う。具体的には、利用者が自信の認証番号を入力部20に入力すると、変換処理部40は入力された暗証番号とICカード100から読み取った暗証番号とが一致するかを判定し、一致している場合にのみ電子マネー変換サービスを行う。なお、変換処理部40は、変換ログ記憶部70に変換ログを記録する際に、必要に応じてICカード100から読み取った利用者の識別情報を併せて記録すると好適である。
【0035】
このような電子マネー変換装置によれば、電子マネー変換サービスを特定の利用者のみに提供可能となり、また電子マネー変換装置を利用した利用者を特定できるので、利用者の囲い込みなどマーケティング戦略の上で有用なものとなる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、2つの電子マネーサービスに対応したICカード100について説明したが、サービスの数は不問であり、3つ以上の電子マネーサービスに対応するICカード100であっても本発明を適用できる。
【0037】
また、上記実施の形態では、ある電子マネーサービスの電子マネーから他の電子マネーサービスの電子マネーを変換するものについて説明したが、電子マネーサービスではなくポイントサービスにも本発明を適用できる。なお、ここでポイントサービスは航空会社等で実施しているマイルサービスにおけるマイルなど種々の形態のものを含むものとする。具体的には、あるポイントサービスにおけるポイントを他のポイントサービスにおけるポイントに変換するようにしてもよい。また、電子マネーサービスにおける電子マネーとポイントサービスにおけるポイントとを相互に変換するようにしてもよい。例えば、マイルサービスにおけるマイルを電子マネーサービスの電子マネーに変換するものが挙げられる。
【0038】
さらに、上記実施の形態では、非接触型のICカード100を筐体10の上面に載置することにより、ICカード100とICカードリーダライタ50とが通信可能となっている。このような構成では、電子マネーの変換処理中に利用者がICカード100を取り上げてしまうと、正常な処理継続が不可能となる。そこで、ICカードリーダライタ50とICカード100との間で通信を行っている間は、ICカード100の取り外しが出来ないようにICカードリーダライタ50等を構成すると好適である。例えば、ICカード100を所定の挿入口に挿入するように構成し、さらにICカード100の搬出機構を設けると良い。
【0039】
さらに、上記実施の形態では非接触ICチップを埋設したICカード100について説明したが、この非接触ICチップは種々の機器・物に搭載可能である。例えば、携帯電話、腕時計、PDA、パーソナルコンピュータ、ブレスレット、指輪、イヤリングなどが挙げられる。
【0040】
さらに、上記実施の形態では、電子マネーサービスの電子マネーやポイントサービスのポイントを記憶する媒体として非接触型のICチップを用いているが、接触型のICチップであっても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】電子マネー変換装置の外観斜視図
【図2】電子マネー変換装置の機能ブロック図
【図3】換算係数記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図4】変換ログ記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図5】ネットワーク構成図
【図6】ICカードのメモリ空間を説明する図
【図7】電子マネー変換装置の動作を説明するフローチャート
【図8】換算係数記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図9】変換ログ記憶部のデータ構造の一例を示す図
【図10】ICカードのメモリ空間を説明する図
【符号の説明】
【0042】
1…電子マネー変換装置、10…筐体、20…入力部、30…表示部、40…変換処理部、50…ICカードリーダライタ、60…換算係数記憶部、70…変換ログ記憶部、80…通信処理部、90…通信装置、100…ICカード、200…ネットワーク、210…第1の電子マネー管理サーバ、220…第2の電子マネー管理サーバ、250…変換装置管理サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーサービスで用いられる電子マネーやポイントサービスで用いられるポイントを複数サービス分記憶したICチップに対してデータの読み書きを行うリーダライタ装置と、
一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを入力する入力手段と、
一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力手段で入力された変換額又は変換ポイントだけICチップから減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICチップに加算する変換手段とを備えた
ことを特徴とする電子マネー変換装置。
【請求項2】
ネットワーク接続用の通信装置と、
電子マネー又はポイントの減算情報或いは加算情報を該電子マネー又はポイントの管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項3】
一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントへの換算係数を記憶する記憶手段を備え、
前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイント変換額又は変換ポイントに前記換算係数を乗じることにより他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算する
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項4】
ネットワーク接続用の通信装置と、
前記換算係数を管理する管理サーバから換算係数を受信して前記記憶装置に記憶する換算係数記憶手段を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の電子マネー変換装置。
【請求項5】
前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、一のサービスに係る電子マネー又はポイント或いは他のサービスに係る電子マネー又はポイントを所定の手数料分だけICチップから減算する
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項6】
ネットワーク接続用の通信装置と、
前記手数料の減算情報を該手数料の管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えた
ことを特徴とする請求項5記載の電子マネー変換装置。
【請求項1】
電子マネーサービスで用いられる電子マネーやポイントサービスで用いられるポイントを複数サービス分記憶したICチップに対してデータの読み書きを行うリーダライタ装置と、
一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する額又はポイントを入力する入力手段と、
一のサービスに係る電子マネー又はポイントを前記入力手段で入力された変換額又は変換ポイントだけICチップから減算し、該変換額又は変換ポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算し、他のサービスに係る電子マネー又はポイントについて前記換算額又は換算ポイントだけICチップに加算する変換手段とを備えた
ことを特徴とする電子マネー変換装置。
【請求項2】
ネットワーク接続用の通信装置と、
電子マネー又はポイントの減算情報或いは加算情報を該電子マネー又はポイントの管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項3】
一のサービスに係る電子マネー又はポイントから他のサービスに係る電子マネー又はポイントへの換算係数を記憶する記憶手段を備え、
前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイント変換額又は変換ポイントに前記換算係数を乗じることにより他のサービスに係る電子マネー又はポイントに換算する
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項4】
ネットワーク接続用の通信装置と、
前記換算係数を管理する管理サーバから換算係数を受信して前記記憶装置に記憶する換算係数記憶手段を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の電子マネー変換装置。
【請求項5】
前記変換手段は、一のサービスに係る電子マネー又はポイントを他のサービスに係る電子マネー又はポイントに変換する毎に、一のサービスに係る電子マネー又はポイント或いは他のサービスに係る電子マネー又はポイントを所定の手数料分だけICチップから減算する
ことを特徴とする請求項1記載の電子マネー変換装置。
【請求項6】
ネットワーク接続用の通信装置と、
前記手数料の減算情報を該手数料の管理サーバに対して前記通信装置を介して送信する送信手段を備えた
ことを特徴とする請求項5記載の電子マネー変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−163570(P2006−163570A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351205(P2004−351205)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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