説明

電子レンジでの調理に適用可能な容器

【課題】電子レンジ又はオーブンでの調理に適した容器を提供する。
【解決手段】電子レンジでの調理に適用可能な食品を入れる容器であって、開口が設けられた食品が入れられるエラストマー材料製の容器10と、開口を閉じる蓋20と、を備え、容器10は側面開口エッジ5,6を規定する底壁1と端面開口エッジ8,9を規定する端部壁2,3とを備え、底壁はその端部でそれぞれ端部壁に連結され、開口は側面開口エッジ5,6と端面開口エッジ8,9とで形成され、端面開口エッジ5,6は凸状であり、端部壁は端面開口エッジ8,9からこれと共通の上部表面を形成するように片持ち方式で外側横方向に延びるハンドル11,12を有し、蓋20は凹状の端部エッジ24,25と端部エッジ24,25から片持ち方式で外側横方向に延びる端部部分とを有し、端部部分は蓋が閉じたときにハンドル11,12を覆い、底壁1には強化リブ7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を入れる容器に関し、保存、冷蔵、冷凍、調理の間で使用される容器、特にパーチメント紙の手法により電子レンジで調理するのに適した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーチメント紙で食品を調理する方法は、調理すべき食品をパーチメント紙で包み、この包んだ食品(ラッピング)を、オーブンの中に、食品を調理するのに適した温度及び時間で、入れておくことにより行われる。この調理法は、ラッピングされた食品から放出される蒸気と組み合わせて行われる。調理が終了すると、ラッピングをオーブンから取り出し、ラッピングを開いたり破いたりして、食品を取り出し、その後紙は廃棄する。この調理方法は、従来の対流式のオーブンで行われているものであるが、パーチメント紙による調理は、最近はより一般的となっている。その理由は、電子レンジが現れて、電子レンジの使用により使い勝手が良くなったことによる。使用される紙は、どんな紙でも良い訳では無く、流体と蒸気を通さない特殊な紙である。特に食品を包むのに適し、200℃以上の温度に耐えられる紙で、特殊な店で売られている。この廃棄可能な特殊な紙の欠点は、コストが高く一般家庭に常時有るものではない。このような特殊な紙が存在しない時には、その代わりにアルミホイルを使用するのが一般的である。しかしこれにも欠点がある。第一にアルミホイルは、裂けやすく例えば調理すべき食品の角や骨などがラッピングを壊して、汁更には食品がこぼれてしまうことがある。更にアルミホイルは、金属製故に電子レンジでの使用には適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プラスチック製あるいはエラストマー材料製の取り外し可能な蓋を有する容器が、市販されている。この容器は、パーチメント紙技術を用いて食品を調理するために利用される。これらの容器のあるものは、プラチナ触媒シリコン製で、従来の対流式のオーブンと電子レンジの両方で使用できる。しかし従来の容器は、対流式オーブン或いは電子レンジで調理する特殊な条件に、必ずしも合っていない。例えば従来の容器は、電子レンジの支持表面に接触するフラットな底部を有する。支持表面は、オーブン内にある熱い空気或いは電磁波が容器の底の外側表面と接触するのを阻止している。この為、食品の調理時間が長くなり、更には調理にむらができる原因となる。更にシリコンは弾力性があるので、この種の容器の壁をかなり厚くし、容器を取り扱う為の十分な堅さを出さなければならない。またシリコンは、伝熱特性が悪い為に、壁が厚くなることにより、調理時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の欠点を解決するものである。本発明の電子レンジ又はオーブンでの調理に適した容器は、アクセス開口を介して食品を入れるエラストマー材料製の容器と、前記開口をカバーするカバー材料とを有する。前記容器は、一つまたは複数の壁から形成される。前記壁は、湾曲した底壁と、前記底壁よりも高い位置で開口を規定する開口エッジとを有する。更に、複数の強化リブが、前記底壁の少なくとも一つの外側表面から外側に突起して形成され、前記容器が支持表面に配置された時に、底壁の外側表面の全て或いは大部分を、周囲に露出させる複数の支持部を提供する。
【0005】
このような構造で、上記の強化リブの剛性作用により、容器の底部の壁と他の壁を極めて薄く出来る。例えばプラチナ触媒のシリコンをエラストマー材料として用いた時には、これらの壁は0.5mmから0.9mmの厚さである。これは、従来の強化型のリブを有しない容器に比較するとかなり薄い。容器の壁が薄くなると、熱伝導機能が向上し、調理に必要な時間が短縮できる。更に強化リブにより提供される支持構造により、湾曲した底部の壁は、(電子レンジの)支持表面から離すことができ、容器全体をオーブン内の熱い空気或いは電磁波に晒すことができるようになる。これにより容器内の食品の高速でむらのない調理が可能となる。
本発明の一実施例によれば、前記底壁は、前記開口の側面エッジを規定する細長いチャネル形状を有し、前記開口の端面エッジを規定する端部壁に、その端部で連結している。前記容器の開口の端面エッジは、凸状に湾曲し、前記開口の側面エッジのレベルの下段と、前記開口の側面エッジの上方にまで隆起した中央領域とを有する。前記カバー手段は、湾曲した一枚だけの蓋、又は湾曲した二枚の蓋を有する。前記蓋は、前記容器の開口の側面エッジに隣接する側面エッジ、及び、閉鎖位置で、前記容器の開口の端面エッジの上に載る凹状に湾曲した端面エッジを有する。このように、前記容器及び前記蓋、又は複数の前記蓋は、閉鎖位置において楕円形状の断面を有する細長い中空容器を構成する。絶対に必要というわけではないが、前記蓋又は複数の前記蓋は同様にエラストマー材料製で、前記容器と一体品であることが望ましい。前記容器の前記強化リブは、端部壁に対して互いに離間して平行に配置される。前記蓋又はそれぞれの蓋にも同様に、前記蓋又は前記リブ間の複数の蓋の厚さが極めて薄くできるように、端部壁に対して互いに離間して平行に配置された複数の強化リブを有する。例えば、プラチナ触媒のシリコンをエラストマー材料製として用いたときには、これらの蓋は0.5mmから0.9mmの厚さである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第一実施例により、電子レンジ内での調理に適した容器の蓋を開けた状態を表す斜視図。
【図2】図1の容器の蓋を閉めた状態を表す斜視図。
【図3】本発明の第二実施例により、電子レンジ内での調理に適した容器の蓋を開けた状態を表す斜視図。
【図4】図3の容器の蓋を閉めた状態を表す斜視図。
【図5】図3,4の容器の蓋を開けた状態の底面図。
【図6】図5のVIの部分の詳細拡大図。
【図6A】本発明の他の実施例のヒンジの部分を表す図6に類似する図。
【図7】図3,4の容器の蓋を開けた状態の上面図。
【図8】図7の面VIII−VIIIに沿った断面図。
【図9】容器の蓋が閉じた状態にある図8に類似した断面図。
【図10】図7の面X−Xに沿った断面図。
【図11】容器の蓋が閉じた状態にある図10に類似した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
電子レンジ内で調理するのに適した食品を入れる本発明の台所用品(容器)は、容器10を有する。この容器10は、食品を入れるのに適したエラストマー材料製で、アクセス開口(以下単に「開口」と称する)を具備する。この台所用品は、更に前記開口を閉じるカバー手段を有する。このカバー手段は、1枚の蓋20(図1,図2)または2枚の蓋30,40(図3−11)を有する。蓋は、容器10と分離可能或いは一体である。容器10は、湾曲した底壁1を有する複数の壁から形成される。この容器10の壁は、開口エッジ5,6,8,9を提供する。この開口エッジ5,6,8,9が、底壁1よりも高い位置で開口を形成する。複数の強化リブ7が、複数の支持突起部を提供する。この複数の支持突起部は、底壁1の外側表面から外側に突起し、容器10が、(電子レンジ、オーブンの)支持表面上に配置された時に、底壁1の外側表面の総て或いは大部分を、周囲の大気に曝す。
【0008】
図1,2を参照して、本発明の第1実施例を説明する。容器10の底壁1は、側面の開口エッジ5,6を規定する細長いチャネル形状をしている。底壁1は、その端部で端部壁2,3に連結される。端部壁2,3が、端面開口エッジ8,9を規定する。上記の側面の開口エッジ5,6は、容器10の底壁1で形成され、ほぼ直線状で水平である。言い換えると、底壁1の母面に平行である。端面開口エッジ8,9は、容器10の端部壁2,3により形成され、凸状に湾曲している。この凸状の形状は、側面開口エッジ5,6のレベルで下段を形成し、側面開口エッジ5,6の上方の頂点となる中央領域を有する。端部壁2,3は、側面から見ると、長軸が水平方向となる楕円形状をしている。底壁1は、この楕円形状の下半分に連結される。選択的事項として、端部壁2, 3は、底壁1から上方向に開く方向に若干傾斜していてもよい。側面開口エッジ5,6と端面開口エッジ8,9との間の連結は、丸みを帯びた遷移部分で行われる。容器10の底壁1の上に、複数の強化リブ7が、端部壁2,3に平行に互いに離間して配置される。その結果、強化リブ7は、底壁1の中央の長手方向領域4から、対応する側面開口エッジ5,6まで延びる。強化リブ7の下側部分は、上記の支持部材を提供するよう、構成される。強化リブ7は、底壁1の外側表面から外側に突起する。その結果、底壁1の内側表面は、平滑で、好ましくは洗浄を容易にするために、光沢のある研磨仕上げを有する。
【0009】
この第一実施例においては、カバー手段は、湾曲した蓋20を有する。この蓋20は、底壁1と同一のエラストマー材料製で、容器10と一体部品を形成する。この為に、蓋20は、第1側面エッジ21と第2側面エッジ22を有する。第1側面エッジ21は、容器10の底壁1の開口エッジ5の一つに、ヒンジ手段23で連結される。第2側面エッジ22は、閉鎖位置(蓋が閉じている状態)にある容器10の底壁1の開口エッジ6の上に配置される。更に、蓋20は内側が凹状に湾曲した端部エッジ24,25を有する。この端部エッジ24,25は、閉鎖位置にある容器10の開口エッジ8,9の上にくる。蓋20の端部エッジ24,25の凹状のカーブの半径は、容器10の開口エッジ8,9の凸状のカーブの半径よりも小さい。この理由は、蓋20が容器10を構成する際に受ける最大の変形に合わせるためである。斯くして、図2に示す閉鎖位置においては、容器10と蓋20が、ほぼ楕円の断面を有する細長い中空容器を構成する。この中空容器の下側半分は容器10で形成され、上側半分は蓋20で形成される。
【0010】
蓋20は内側に周辺リム26を有する。この周辺リム26は、蓋20の内側表面から内側に延び、蓋20の外側周囲の少なくとも大部分に沿って延びる。周辺リム26は、蓋20の剛性を強化し、閉鎖位置にある容器10の側面開口エッジと端面開口エッジ5,6,8,9の間に配置される。蓋20は、外側に複数の強化リブ27を有する。このリブ27は、容器10の端部壁2,3に平行で、蓋20の外側表面から外側に突起する。斯くして蓋20の内側表面は、平滑で、洗浄を容易にするために、好ましくは光沢のある研磨仕上げを有する。別の構成として、リブ27は蓋20の内側表面から内側に突起してもよいが、これは内側に形成されたリブが、容器10内に収納される食品と接触しない場合に限られる。
【0011】
容器10の端部壁2,3は、それぞれハンドル11,12を有する。このハンドル11,12は、凸状に湾曲した開口エッジ8,9から片持ち方式で外側横方向に延びて、開口エッジ8,9と共通の凸状に湾曲した上側表面を形成する。端部部分28,29は、蓋を閉じた時に、ハンドル11,12をカバーする。端部部分28,29は、蓋20の端部エッジ24,25から片持ち方式で外側横方向に延びる。蓋20の端部部分28,29が、上側部分で容器10のハンドル11,12と嵌り合う。ハンドル11,12は、それぞれの下側表面上に形成されたエンボス(図1,2では見えない)を有し、これにより熱伝導表面を増やし、ユーザーが取っ手で火傷するのを防止し、容器を掴むのを容易にするために、滑らない表面を提供する。図2に示すように、エンボス53は、同様な目的で、蓋20の端部部分28,29の外側表面上にも形成される。
【0012】
図3−11の第二実施例と図1,2の第一実施例との主な相違点は、第二実施例が、2枚の蓋30,40を、第一実施例が1枚の蓋20を有する点である。
【0013】
第二実施例の容器10は、第一実施例のそれと類似するが、湾曲した底壁1を有する。この底壁1は、細長いチャネル形状をして、下側部分に中央長手方向領域4を有し、底壁1の母面に平行な上部エッジを有する。この上部エッジが、容器10への開口の側面の開口エッジ5,6を形成する。底壁1は、その端部で端部壁2,3に連結される。この端部壁2,3は、容器10への開口の端面開口エッジ8,9を規定する。前記の開口エッジ8,9は、凸状に湾曲をしており、開口エッジ5,6のレベルで下側端部を有し、開口エッジ5,6の上方まで隆起する中央領域を有する。図示した第二実施例においては、端部壁2,3は楕円形状を有する。その長軸は水平位置にあり、底壁1はこの楕円形状の下半分につながる。側面開口エッジ5,6と端面開口エッジ8,9の間の連結は、丸みを帯びた遷移部分で行われる。複数の強化リブ7が、容器10の底壁1の外側表面から外側に突起する。複数の強化リブ7は、端部壁2,3に平行に、互いに離間して配置される。
【0014】
図5,9に示すように、強化リブ7は、2つのグループのリブを構成する。これ等のリブは、底壁1の中央の長手方向領域4の一方の側から他方の側に整合し、中央の長手方向領域4から、対応する両端の側面開口エッジ5,6にまで延びる。強化リブ7の下側部分は支持部材63(図10,11)を提供する。この支持部材63は、容器10が支持表面上に安定するように保持し、底部壁の外側表面全体を周囲の大気に曝す(但し中央の長手方向領域4の線は除く)。強化リブ7は、別の構成として、底壁1の一方の側から他方の側に連続して、底部壁の外側表面全体(中央の長手方向領域4を含め)を周囲大気に曝すようにしてもよい。強化リブ7は、底壁1の外側表面から外側に突出しているために、底壁1の内側壁は、平滑となり、洗浄しやすいように、好ましくは光沢のある研磨仕上げを有する。
【0015】
蓋30,40は、湾曲しており、それぞれ第1側面エッジ31,41と、第2側面エッジ32,42と、凹状に湾曲した端部エッジ34,35;44,45とを有する。エラストマー材料製であり、容器10と一体部品を形成する前記蓋30,40の第1側面エッジ31,41は、容器10の底壁1の開口エッジ5,6の両方に、軸方向のヒンジ手段33,43で連結される。その結果、蓋30,40はヒンジ手段33,43を軸に、蓋を開いた位置(図3)と閉じた位置(図4)の間で回転する。閉じた位置においては、蓋30,40の第2側面エッジ32,42は、容器10の底壁1の中央長手方向領域4の上で、互いに隣接する。蓋30,40の凹状に湾曲した端部エッジ34,35;44,45は、容器10の凸状に湾曲した端面開口エッジ8,9の上に載る。
【0016】
蓋30,40は、内側に、周辺リム36,46を有する。この周辺リム36,46は、蓋30,40の内側表面から内側に延び、蓋30,40の外側周囲の少なくとも大部分に沿って延びる。周辺リム36,46は、蓋30,40の剛性を強化し、閉鎖位置にある容器10の側面開口エッジと端面開口エッジ5,6,8,9の間に配置される。図10に示すように、周辺リム36,46の長手方向部分は、閉鎖位置にある底壁1の中央長手方向領域4の上方で互いに隣接する。蓋30,40は、更に複数の互いに離間した強化型のリブ37,47を形成する。このリブ37,47は、容器10の端部壁2,3に平行である。リブ37,47は蓋30,40の外側表面から外側に延びる。その結果、蓋30,40の内側表面は、平滑で洗浄し易いように光沢のある研磨仕上げを有する。
【0017】
容器10の端部壁2,3は、それぞれハンドル11,12を有する。このハンドル11,12は、凸状に湾曲した開口エッジ8,9から片持ち方式で外側横方向に延びて、開口エッジ8,9と共通の凸状に湾曲した上側表面を形成する。蓋30,40は、それぞれ端部部分38,39;48,49を有する。これ等は、前記の凹状に湾曲した端部エッジ34,35;44,45に隣接し、片持ち方式で外側横方向に延びる。これにより閉鎖位置にあるハンドル11,12にはまり、カバーする下側に凹状に湾曲した表面を有する(図9)。図8,9に示すように、端部壁2,3は、底壁1の外側方向に開くよう若干傾いている。同様にハンドル11,12も、容器10の端部壁2,3から若干上方且つ外側方向に向いて傾いている。蓋30,40が閉鎖位置にあると、蓋30,40の端部部分38,39;48,49は、ハンドル11,12の傾きに合うように変形する。
【0018】
一方の蓋、具体的には蓋30は、長手方向のフラップ54を有する。このフラップ54は、その第2側面エッジ32からその全長にわたって延びる。このフラップ54は、蓋30,40が閉じられた時に、他方の蓋、具体的には蓋40の第2側面エッジ42に隣接する領域をカバーするような大きさである。フラップ54の外側表面上にエンボス52が形成される。このエンボス52は、蓋30の第2側面エッジ32の剛性を増すような長手方向の「うね」の形状をしている。各端部フランジ55,56は、フラップ54の端部から片持ち方式で外側横方向に延びる。蓋30,40が閉じている時は、蓋30の端部フランジ55,56は、他の蓋40の端部部分48,49から突起し(図9)、蓋を開く時は、蓋30を把持して、蓋40を持ち上げる前に、持ち上げる。更に蓋40の端部部分48,49は、閉じた位置において、オーバーラップした第2側面エッジ42を有し、突起部57,58を有する。この突起部57,58は、片持ち梁の方式で外側横方向に延びて、閉鎖位置において、端部フランジ55,56の下で、容器10のハンドル11,12から延びる(図9)。突起部57,58は、端部フランジ55,56よりも短い。その結果、端部フランジ55,56を最初に掴んで蓋30を開ける。その結果、蓋30が開いた時に、蓋40を開ける為に、別々に掴むことができる。
【0019】
エンボス51,53は、熱伝導表面を増やし、使用者が火傷をするのを阻止するためである。蓋30,40を閉じた状態で容器を掴むのを容易にするためである。エンボス51,53は、ハンドル11,12の下側表面と、フラップ54を有する蓋30の端部部分38,39の上側表面に形成される。同様に端部フランジ55,56は、エンボス64が形成された下側表面を有する。これにより、熱伝達表面を増加して掴むことが容易になる。蓋30の端部部分38,39のエンボス53は、端部フランジ55,56の上部表面に延びる。
【0020】
図10,11に示すように、蓋30,40と容器10は、蓋を閉じると、断面が楕円の細長い中空体を形成する。上記したように、容器10の端部壁2,3の端面開口エッジ8,9は、凸状に湾曲し、蓋30,40の凹状に湾曲した端部エッジ34,35;44,45がその上に載る。蓋30,40の端部エッジ34,35;44,45の凹状に湾曲したカーブの半径は、容器10の端面開口エッジ8,9の凸状に湾曲したカーブの半径よりも小さい。斯くして、蓋30,40の端部部分38,39;48,49は、若干変形してハンドル11,12のカーブに合わせられ、これにより緊密な閉鎖状態を提供する。このことは、蓋がそれ自身の重さで緊密になり、他の特別な閉鎖手段を具備する必要がないことを考慮すると、利点のあるものである。
【0021】
本発明の第一と第二の実施例の両方において、ヒンジ手段23又はヒンジ手段33,43のそれぞれは、細いバンド59を有する。このバンド59の両側には、リッジ60,61が形成される。このリッジ60,61は、容器10のそれぞれ対応する側の側面開口エッジ5,6と、蓋20,30,40の第1側面エッジ21,31,41に隣接する。図6はヒンジ領域43の一方の部分拡大図である。ヒンジ手段23の各端部において、或いはヒンジ手段33,43のそれぞれの端部において、裂け目防止コード62が、容器10と蓋20,30,40を連結するよう、ループ形状好ましくはアーク形状の片持ち形式で突出するように、形成される。この裂け目防止コード62は、ヒンジ手段23,33,43の薄いバンド59の端部から、片持ち方式で突出したループで分離され、細いバンド59が曲がるのを妨げない。しかし、裂け目防止コード62は、バンド59よりも厚いために、バンド59が裂けて破損するのを防止する。図6Aは、このヒンジ手段の他の実施例を示す。同図において、裂け目防止コード62は、片持ち方式で突出したアーク又はループの形態の部分を形成せずに、細いバンド59の端部エッジに平行に延びる。バンド59とリッジ60,61の端部は、裂け目防止コード62に連結される。別の構成として、バンド59と/又はリッジ60,61は、裂け目防止コード62に連結しなくてもよい。
【0022】
本発明の第1と第2実施例のエラストマー材料は、プラチナ触媒シリコンが好ましい。このプラチナ材料シリコンは、高温低温の両方に耐えられ、台所用の使用に適したものである。その結果、本発明の台所用品(容器)は、保存、冷蔵、冷凍、調理の間、食品を入れるのに適したものであり、特に電子レンジで食品を調理する、例えばパーチメン
ト紙の手法を利用して調理するのに適したものである。更に上記の強化リブ7,27,37,47を設けた結果、容器10の壁の厚さと蓋20の壁の厚さ、強化リブ7,27,37,47の間の蓋30,40の壁の厚さは、0. 5mm−0. 9mmの薄さである。これは調理の間、底壁1と蓋20又は蓋30,40を通る熱伝導或いは電磁波にとって好ましい。
【0023】
蓋20,30,40は、第一と第二の実施例に示すように、容器10にヒンジ手段23,33,43により連結されているが、蓋30,40は、別の構成として、容器10から分離可能にすることもできる。その結果、閉鎖位置において、蓋30,40の第1側面エッジ31,41は、単に容器10の側面開口エッジ5,6に隣接しているか、或いはリブ37,47は蓋30,40の内側表面から内側に突出する或いは蓋30,40の内側表面と外側表面の両方から突出してもよい。
【0024】
この技術分野の当業者であれば、上記本発明の実施例に基づいて、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本願の特許請求の範囲に記載されている本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0025】
1 底壁
2,3 端部壁
5,6 側面開口エッジ
7,27,37,47 強化リブ
8,9 端面開口エッジ
10 容器
11,12 ハンドル
20 蓋
21 第1側面エッジ
22 第2側面エッジ
23 ヒンジ手段
24,25 端部エッジ
26 周辺リム
27 リブ
28,29 端部部分
30 蓋
40 蓋
31,41 第1側面エッジ
32,42 第2側面エッジ
33,43 ヒンジ手段
34,35 端部エッジ
36,46 周辺リム
37,47 リブ
38,39 端部部分
44,45 端部エッジ
48,49 端部部分
52 エンボス
54 フラップ
55,56 フランジ
57,58 突起部
59 バンド
60,61 リッジ
62 裂け目防止コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジでの調理に適用可能な食品を入れる容器であって、
開口が設けられた、食品が入れられるエラストマー材料製の容器(10)と、
前記開口を閉じる蓋(20,30,40)と、
を備え、
前記容器(10)は、側面開口エッジ(5,6)を規定する底壁(1)と、端面開口エッジ(8,9)を規定する端部壁(2,3)と、を備え、
前記底壁(1)は、その端部でそれぞれ前記端部壁(2,3)に連結され、
前記開口は、前記側面開口エッジ(5,6)と前記端面開口エッジ(8,9)とで形成され、
前記端面開口エッジ(8,9)は、凸状であり、
前記端部壁(2,3)は、前記端面開口エッジ(8,9)からこれと共通の上部表面を形成するように片持ち方式で外側横方向に延びるハンドル(11,12)を有し、
前記蓋(20,30,40)は、凹状の端部エッジ(24,25;34,35;44,45)と、前記端部エッジ(24,25;34,35;44,45)から片持ち方式で外側横方向に延びる端部部分(28,29;38,39;48,49)とを有し、
前記端部部分(28,29;38,39;48,49)は、前記蓋が閉じたときに、前記ハンドル(11,12)を覆い、
前記底壁(1)には、強化リブ(7)が設けられている
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
2つの前記蓋(30,40)は、エラストマー材料製で、前記容器(10)と一体品であり、
前記蓋(30,40)は、第1側面エッジ(31,41)と第2側面エッジ(32,42)とを有し、
前記第1側面エッジ(31,41)は、それぞれ、ヒンジ領域(33,43)により、前記容器(10)の前記底壁(1)の前記側面開口エッジ(5,6)に連結され、
前記第2側面エッジ(32,42)は、それぞれ、前記容器(10)の前記底壁(1)の中央の長手方向領域(4)の上方で、互いに隣接する
ことを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記蓋(30,40)のうちの一方の蓋(30)は、フラップ(54)を有し、
前記フラップ(54)は、前記蓋(30)の前記第2側面エッジ(32)から延び、前記蓋が閉じた状態のときに、他方の蓋(40)の前記第2側面エッジ(42)に隣接する領域に重なる
ことを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記蓋(30)に形成された前記フラップ(54)は、フランジ(55,56)を有し、
前記フランジ(55,56)は、片持ち方式で外側横方向に延び、前記蓋が閉じた状態のときに、前記他方の蓋(40)の端部部分(48,49)から突出する
ことを特徴とする請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記フランジ(55,56)の下で前記容器(10)の前記ハンドル(11,12)から突出する突起部(57,58)は、前記端部部分(48,49)から片持ち方式で外側横方向に延び、
前記突起部(57,58)は、前記蓋が閉じた状態のときに、前記フランジ(55,56)よりも短い
ことを特徴とする請求項4記載の容器。
【請求項6】
前記フラップ(54)は、剛性を増すよう構成された長手方向の「うね」状にエンボス(52)加工された外側表面を有する
ことを特徴とする請求項3記載の容器。
【請求項7】
前記フランジ(55,56)は、それぞれ、伝熱面を増やし、かつ、握りやすくするよう構成されたエンボス(64)加工された下側表面を有する
ことを特徴とする請求項5記載の容器。
【請求項8】
1つの前記蓋(20)は、エラストマー材料製で、前記容器(10)と一体品であり、
前記蓋(20)は、第1側面エッジ(21)と第2側面エッジ(22)とを有し、
前記第1側面エッジ(21)は、ヒンジ領域(23)により、前記容器(10)の前記底壁(1)の一方の前記側面開口エッジ(5)に連結され、
前記第2側面エッジ(22)は、前記蓋(20)が閉じた状態のときに、前記容器(10)の前記底壁(1)の他方の前記側面開口エッジ(6)の上に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項9】
前記蓋(20,30,40)は、周辺リム(26,36,46)を有し、
前記周辺リム(26,36,46)は、前記蓋(20,30,40)内側表面から内側に延び、前記蓋(20,30,40)の外側周囲の少なくとも大部分に沿って延びる
ことを特徴とする請求項1,2,8のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
前記ハンドル(11,12)は、それぞれ、伝熱面を増やし、かつ、握りやすくするよう構成されたエンボス(51)加工された下側表面を有する
ことを特徴とする請求項1,2,8のいずれかに記載の容器。
【請求項11】
前記複数の強化リブ(7)は、前記端部壁(2,3)に平行に互いに離間して配置され、
前記複数の強化リブ(7)は、前記底壁(1)の外側表面から外側に突起し、
前記複数の強化リブ(7)は、前記容器(10)が支持表面に配置された時に、前記底壁(1)の前記外側表面の全体または大部分を大気に露出させる複数の支持部材を提供する
ことを特徴とする請求項1,2,8のいずれかに記載の容器。
【請求項12】
前記蓋(20,30,40)は、複数の強化リブ(27,37,47)を有し、
前記複数の強化リブ(27,37,47)は、前記容器(10)の前記端部壁(2,3)に平行に互いに離間して配置され、対応する前記蓋(20,30,40)の内側表面から内側又は外側表面から外側に突起する
ことを特徴とする請求項1,2,8のいずれかに記載の容器。
【請求項13】
前記ヒンジ領域(23,33,43)は、バンド(59)を有し、
前記バンド(59)の両側には、リッジ(60,61)が形成され、
前記リッジ(60,61)は、それぞれ対応する前記容器(10)の前記側面開口エッジ(5,6)と前記蓋(20,30,40)の前記第1側面エッジ(21,31,41)に隣接する
ことを特徴とする請求項2又は8記載の容器。
【請求項14】
前記ヒンジ領域(23,33,43)の各端部に、裂け目防止コード(62)が形成され、
前記裂け目防止コード(62)は、その端部で、前記容器(10)と前記蓋(20,30,40)に連結され、
前記裂け目防止コード(62)は、前記バンド(59)よりも厚い
ことを特徴とする請求項13記載の容器。
【請求項15】
前記容器(10)の壁と前記蓋(20,30,40)の厚さは、0.5mmから0.9mmである
ことを特徴とする請求項11記載の容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−255189(P2011−255189A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149338(P2011−149338)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2010−523542(P2010−523542)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(510237756)レクエ、エス.エル. (1)
【Fターム(参考)】