説明

電子レンジ加熱食品基材の安定化

食品の製造方法であって、全体的に又は部分的に安定化剤組成物を基材に含浸させる工程であって、基材が、肉、鳥肉、又は魚肉の小片からなり、安定化剤組成物が、セルロースガム5〜25%、加工デンプン16〜50%、増粘剤成分32〜79%、及び任意の更なる原料の水溶液からなり、原料のパーセンテージは乾燥重量であり、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択されている工程を含み、含浸された基材が、セルロースガム15〜35%、加工デンプン15〜50%、親水コロイド20〜30%、タンパク質性成分10〜20%を0.1〜5乾燥重量%含む水性コーティング組成物でコーティングされる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジを使用して調理又は再加熱することができる食品に関する。本発明は、特に、具材と具材を取り囲むコーティングとを含む食料品、例えばバッター又はパン粉をまぶした製品に関するが、それらに限定されない。また、本発明は、非コーティング食品及び食品用原料に関する。また、本発明は、従来の熱オーブングリルで調理若しくは再加熱することができるか、又は多量の油で若しくは少量の油で揚げることができる製品を含む。
【背景技術】
【0002】
多くの食品材料、例えば鳥の天然筋肉、魚肉、又は赤身肉、又は野菜、又は加工食品は、高割合の水分を含有する。ほとんどの生鮮食品は60%を超える水分を含有する。この水分の一部は、構成細胞に結合、つまり強固に付着している。残りの可動性の水は、有効水分であり、凍結することができる。食品が−1℃〜−30℃以下の中心温度に凍結され、電子レンジに配置され、照射されると、マイクロ波エネルギーは、主に凍結された有効水分に吸収されることになる。従来の調理では、熱は外部から加えられるが、電子レンジでは、調理熱は内部から発生する。加熱プロセスは非常に迅速であり得、そのため有効水分が蒸気に変換される。電子レンジで加熱した後、食品をそのままにしておくと、製品から水分が排出され続ける場合がある。例えば、冷凍した魚の筋肉を加熱する場合、これは特に顕著である。水分の喪失は、あらゆる食品コーティング、特にバッター、ペストリー、又はパン粉コーティングが湿って、美味でなくなる原因である。加えて、基材の中心部は、水分の喪失により乾燥してしまう場合がある。
【0003】
不透過性の薄膜を形成する組成物で製品をコーティングすることにより、電子レンジ調理中の水分の逸出を制限する試みがなされている。コーティングされた製品内の水分の天然分布は、あらゆるコーティングを通して、蒸気として及び内圧により失われるため、これでは不十分である。更に、非透過性コーティング又は薄膜は、製品の味及び口あたりにとって好ましくない。
【0004】
特許文献1には、セルロースガム、加工デンプン、ポリデキストロース、キサンタンガム、卵白、及びエンドウデンプンを含む安定化剤組成物を製品に含浸させることにより、電子レンジで調理可能な又は再加熱可能な食品材料を安定化する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第97/03572号
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によると、食品を製造する方法は、
全体的に又は部分的に安定化剤組成物を基材に含浸させる工程であって、基材が、肉、鳥肉、魚肉、野菜、果実、又は乳製品の小片を含み、
安定化剤組成物が、乾燥重量で、
セルロースガム 5〜25%
加工デンプン 16〜50%
増粘剤成分 32〜79%
(ここで、原料のパーセンテージは、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択される)、及び
任意の更なる原料を含む工程と、
乾燥重量で、
セルロースガム 15〜35%
加工デンプン 15〜50%
親水コロイド 20〜30%
タンパク質性成分 10〜20%
を含む0.1〜5乾燥重量%の混合物を含む水性コーティング組成物で、含浸された基材をコーティングする工程であって、原料のパーセンテージは、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択されている工程と、を含む。
【0007】
好ましくは、安定化剤組成物は水溶液である。或いは、特に湿っているか又は濡れている基材に塗布するためには、乾燥粉末混合物を使用することができる。
安定化剤組成物中の加工デンプンの量は、好ましくは乾燥重量で約16%〜約40%、特に約16%〜約35%である。
【0008】
コーティング組成物中の加工デンプンの量は、好ましくは乾燥重量で約15%〜約40%、特に約15%〜約35%である。
好ましくは、増粘剤成分は、乾燥安定化剤組成物のパーセントとして、あるいはそれ以上の以下の原料を含む:
ポリデキストロース 30〜55%
タンパク質性成分 1〜20%
親水コロイド 1〜10%。
【0009】
基材には、成分が少なくとも基材の表面層に浸透するか又は好ましくは基材構造の大部分に含浸する程度にまで組成物を含浸させることができる。含浸は、浸漬、浸透、又は基材への注入により達成することができる。
【0010】
本発明で使用されるポリデキストロースは、LITESSE(登録商標)という商標で入手可能である。約30%〜約55%、好ましくは約55%〜約45%、より好ましくは約40%の量を使用することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、安定化剤は、ポリデキストロースを含有しており、コーティング組成物は、ポリデキストロースを一切含有していないか又は実質的に含有していない。
安定化剤組成物のタンパク質性成分は、卵白、乳清タンパク質、タンパク質単離物、及びそれらの混合物からなる群から選択される原料を含んでいてもよい。好適なタンパク質単離物は、大豆タンパク質単離物である。卵白の使用が好ましい。
【0012】
好適な親水コロイドは、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。キサンタンガム、グアーガム、又はそれらの混合物の使用が特に好ましい。キサンタンガム又はキサンタンガムを含有する親水コロイドの混合物の使用が、特に好ましい。約3%〜約10%、特に約6%の量が好ましい。
【0013】
セルロースガム及び加工デンプンは、熱ゲル化成分として作用するとみなすことができる。増粘剤成分は、結合剤の役目を果たすことができる。理論により束縛されることは望まないが、ゲル化成分は、加熱中に熱ゲルを形成する役目を果たし、基材から水分が失われることを防止することができると考えられている。増粘剤成分は、増粘剤及び結合剤としての役目を果たすことができ、凍結保護物質としての役目を果たすこともでき、そのため安定化剤組成物全体が、電子レンジでの調理又は再加熱中に基材マトリックス中の水分を保持し、そのため製品は、冷凍時の保管特性の向上を示す。
【0014】
好ましい実施形態では、安定化剤組成物は、以下の水溶液を含む:
セルロースガム 5〜25%
加工デンプン 16〜35%
ポリデキストロース 30〜55%
親水コロイド 1〜10%
卵白 1〜20%。
【0015】
ここで、原料のパーセンテージは、乾燥重量であり、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択される。
特に好ましい安定化剤組成物は、以下のものを含む:
セルロースガム 10〜20%
加工デンプン 20〜30%
ポリデキストロース 35〜45%
親水コロイド 3〜10%
卵白 3〜18%。
【0016】
好ましい親水コロイドは、キサンタンガム又はキサンタンガムを含有する親水コロイドの混合物である。
特に好ましい安定化剤組成物は、以下のものを含む:
セルロースガム 15%
加工デンプン 24%
ポリデキストロース 40%
キサンタンガム 6%
卵白 15%
合計 100%。
【0017】
本発明の好ましい態様によると、本方法は、水及び0.1〜5乾燥重量%の以下のものを含む、自由流動性粘性溶液又はゲルを含む水性コーティングで、含浸された基材をコーティングする工程を更に含む:
セルロースガム 15〜35%
加工デンプン 15〜35%
親水コロイド 20〜30%
タンパク質性成分 10〜20%。
【0018】
ここで、原料のパーセンテージは、乾燥重量であり、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択される。
水性コーティングは、粘性水溶液であってもよく、チキソトロピー性であってもよく、又は剪断にさらされない場合に固形又は半固形の稠度を形成するゲルであってもよい。水性コーティングは、好ましくは自由流動性粘性液又はゲルであり、本明細書では便宜上「ゲル」又は「水性コーティング」と称される場合がある。
【0019】
好ましい親水コロイドは、キサンタンガム又はキサンタンガムを含有する親水コロイドの混合物である。
水性コーティング又はゲル組成物は、好ましくは、水に溶解又は分散されて、約0.1%〜5%、好ましくは約0.3%〜3%、より好ましくは約1%の固形分を有する粘性溶液を形成する。
【0020】
水性安定化剤は、好ましくは、水に溶解又は分散されて、約0.1%〜約20%、好ましくは約1%〜約8%、より好ましくは約3%〜約5%の固形分を有する溶液をもたらす。
【0021】
好ましいセルロースガムは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されてもよい。特に、METHOCEL(登録商標)A4Mという商標で販売されているセルロースエーテル、又はメチルセルロースが好ましい。約10%、好ましくは約15%の量が、特に好ましい。
【0022】
好ましい加工デンプンは、例えば加熱又はアセチル化により加工された、部分的に分解されたデンプンを含む。ヒドロキシアルキル化デンプン、例えば、ヒドロキシプロピル化デンプンを使用してもよい。好適な加工デンプンは、THERMFLO(登録商標)という商標で製造されている。約20%〜約30%、特に約24%の量が好ましい。
【0023】
水性コーティング組成物に使用するための好適な親水コロイドは、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。キサンタンガム、グアーガム、又はそれらの混合物の使用が、特に好ましい。キサンタンガム又はキサンタンガムを含有する親水コロイドの混合物の使用が、特に好ましい。約5%、特に約6%の量が好ましい。
【0024】
水性コーティングのタンパク質性含有成分は、卵白、乳清タンパク質、タンパク質単離物、及びそれらの混合物からなる群から選択される成分を含んでいてもよい。好適なタンパク質単離物は、大豆タンパク質単離物である。卵白の使用が好ましい。
【0025】
必要に応じて、更なる成分を使用してもよい。例えば、香味料、保存剤、又は着色剤を添加してもよい。約1〜約20%の量を使用してもよい。
好ましい安定化剤、水性コーティング組成物は、他のデンプンを実質的に含有していない。特に好ましい実施形態では、安定化剤及び水性コーティング組成物の一方又は両方は、本質的に、開示された原料からなる。つまり、更なる原料は、組成物の本質的な特性を変更するのに十分な量では存在しない。より好ましくは、安定化剤及び水性コーティング組成物中に更なる原料は存在しない。
【0026】
本発明の第2の態様によると、電子レンジで調理可能又は再加熱可能な食品は、本発明の第1の態様による安定化剤組成物で全体的に又は部分的に含浸された基材を含み、含浸された基材は、水、及び約0.1〜5乾燥重量%の以下のものを含む水性コーティングでコーティングされる:
セルロースガム 15〜35%
加工デンプン 15〜35%
親水コロイド 20〜30%
タンパク質性成分 10〜20%。
【0027】
タンパク質性成分は、卵白、乳清タンパク質、タンパク質単離物、及びそれらの混合物からなる群から選択される成分を含んでいてもよい。好適なタンパク質単離物は、大豆タンパク質単離物である。卵白の使用が好ましい。
【0028】
特に好ましい水性コーティング組成物は、以下のものを含む:
セルロースガム 20〜30%
加工デンプン 20〜40%
親水コロイド 20〜40%
卵白 10〜30%。
【0029】
極めて好ましい水性コーティング組成物は、以下のものを含む:
セルロースガム 25%
加工デンプン 35%
キサンタンガム 25%
卵白 15%
合計 100%。
【0030】
本発明の特に好ましい実施形態では、微細パン粉の第1のコーティングが、水性コーティングに塗布される。
有利には、微細パン粉は、約0.1〜約1mm、好ましくは約0.25〜約0.9mmの粒子サイズを有する。より小さな粒子、例えばパン粉粉末を使用してもよい。1mmメッシュのふるいを使用して、微粉からより大きな粒子を選別することができる。微細パン粉は、食品の外部コーティングに使用されるパン粉の製造中の粉砕の結果として生じる微粉を含んでいてもよい。
【0031】
未処理微粉、例えばピンヘッドラスク(pin head rusk)を使用してもよい。しかしながら、ピンヘッドラスクの使用は、微細パン粉層に塗布されるバッター組成物に由来する水性コーティング又はゲルとの接触から水分を拾い上げることにより引き起こされる、湿った又はぬるぬるしたコーティングを形成する傾向があるため、用途によっては好ましくない場合がある。
【0032】
好ましくは、親水コロイドが組み込まれているパン粉微粉を使用してもよい。親水コロイドは、グアーガム、キサンタンガム、又はそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。親水コロイドの使用は、ある程度の耐水性を微粉に提供し、隣接するゲル又はバッター層から水分を拾い上げるいかなる傾向をも低減することができる。国際公開第2010/001101号に開示されているパン粉の製造プロセスの結果として生じる微粉の使用が、特に好ましい。
【0033】
パン粉微粉の第1のコーティングの塗布は、微粉が、従来の予備粉末(pre−dust)などの乾燥基材に十分に付着しないため、上記で開示された予備コーティングとして塗布される水性コーティング又はゲルを使用せずには困難な場合がある。水性コーティング又はゲルコーティングの使用は、微粉層が基材に付着して、安定化された基材を取り囲む完全な被覆又はシェルを提供し、揚げている間の水蒸気の逸出又は脂肪の進入を低減することができるという追加的な利点を有する。水性コーティング又はゲルの塗布は、完全なコーティングが基材上に形成されることを可能にし、第1の微細パン粉が表面全体に付着することを可能にして、微細パン粉の一体的シェルを形成する。
【0034】
第1のパン粉コーティングは、第1のパン粉塗布器を使用して塗布されてもよく、パン粉は過剰に塗布され、過剰分は振り落とされる。
パン粉層の塗布量は、基材粒子のサイズ及び他の要因に応じて、安定化された基材の重量の約5〜10%であってもよい。
【0035】
第1のパン粉を塗布した後、バッターのコーティングを、てんぷら塗布器又は他の便利な装置を使用して、浸漬により塗布してもよい。バッター層を塗布した後、第2の外側パン粉コーティングを塗布してもよい。好ましくは、2つの外側パン粉コーティングが塗布され、第1のコーティングは、より大きな粒子であり、その後、その粒子間のあらゆる隙間を満たすためにより小さな粒子の更なるコーティングが施される。
【0036】
好ましい実施形態では、第1の外側パン粉コーティングは、1〜3mmの、好ましくは約2mmの、又は必要に応じてより大きなサイズを有する粒子を含む。パン粉は、パン粉塗布器を使用して過剰に塗布し、過剰分を振り落としてもよい。パン粉をコーティングした基材は、ローラーを通過させて付着を向上させてもよい。
【0037】
基材のサイズ及び第1の外側パン粉の寸法に応じて、例えば約0.2〜約2mm、好ましくは0.5〜約1mmのサイズを有するより小さな粒子のパン粉の第2の外側コーティングを塗布してもよい。2つのパン粉層を使用することにより、バッター層が肉眼では分からない一体的なコーティングが形成される。ローラーを使用して、第2のパン粉コーティングの付着を向上させてもよい。
【0038】
また、本発明は、本発明の上記の態様による安定化剤又は水性コーティングを形成するための水和用乾燥組成物を提供する。
本発明による安定化法及び安定化剤組成物は、パン粉又はペストリーの衣を付けた製品などのコーティングされた製品用に使用してもよい。加えて、組成物は、ソーセージなどの調理済みの肉や魚を含む、コーティングが施されていない製品に使用してもよい。野菜及び果実も安定化することができる。
【0039】
本方法は、含浸されコーティングされた基材に、第2の又は更なるバッターコーティングを塗布する工程を含んでいてもよい。
バッターコーティングを、基材に塗布してもよい。好適なバッターコーティングは、2010年1月15日に出願された本発明者らの英国特許出願第1000647.6に開示されており、その開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。或いは、国際公開第96/32026号に開示されているコーティングを使用してもよい。
【0040】
パン粉コーティングを、バッターコーティングに塗布してもよい。好ましいパン粉コーティングは、国際公開第2010/001101号に開示されており、その開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
バッターがまぶされた及び/又はパン粉がコーティングされた製品を揚げて、その後、使用前に保存用に冷凍してもよい。
コーティングされた製品は、冷凍であっても、冷蔵であっても、又はそのままであっても、以下のものから選択されるオーブンを使用して、使用前に再加熱又は調理することができる:電子レンジ、従来のオーブン若しくはグリル、多量若しくは少量の油で揚げる、又はマイクロ波加熱及び従来の加熱の組み合わせを使用するオーブン。
【0042】
小片の基材は、部分全体、例えば個々のステーキ若しくはヒレ肉などの筋肉部分全体、又は調理若しくは再加熱後に個々の部分に切り分けることができるより大きな小片であってもよい。或いは、小片は、切り刻まれた又は細かく砕かれた小片、例えばより大きな部分に再構成することができるナゲット又はミンチ製品を含んでいてもよい。
【0043】
基材には、真空含浸、浸漬、又は注入により、安定化剤組成物を含浸させることができる。
本発明による安定化剤組成物は、幾つかの利点を付与することができる。予備粉末の塗布が回避され、製造環境中に粉末が分散することから生じる問題が防止される。更に、その後のコーティング工程で使用されるバッター組成物に粉末が移動することが回避され、使用中のバッターの粘性の増加が防止される。水性コーティング又はゲルコーティングは、含浸された基材に良好な付着を示す。その後に塗布されるパン粉又は他の微粉の付着が容易になる。ゲルコーティングは、その後の電子レンジ加熱段階中に基材から水分が失われることに対する追加的な障壁としての役目も果たす。理論により束縛されることは望まないが、ゲルコーティング組成物は、具材から逸出する水分を吸着し、具材による脂質の取り込みに対する障壁としての役目も果たし、具材の風味が損なわれることを回避すると考えられる。具材を安定化剤の水溶液で含浸することは、調理中又は再加熱中の具材の水分含有量に寄与する。
【0044】
本明細書で言及された量及びパーセンテージは、別様の指示がない限り、重量によるものであり、100%になるように割り当てられた任意の範囲から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、例により更に説明されるが、限定的な意味は一切ない。
実施例1 安定化剤組成物
以下の原料を使用して安定化剤組成物を調製した:
原料 %
セルロースガム(Methocel(登録商標)A4M) 15.0
加工デンプン(Thermflo(登録商標)) 24.0
ポリデキストロース 40.0
キサンタンガム 6.0
卵白 15.0
合計 100.0
実施例2 汎用安定化剤組成物
以下の原料の組成物を使用した:
メチルセルロース 15%
加工デンプン(Thermflo(登録商標)) 24%
卵白 15%
キサンタンガム 6%
ポリデキストロース 40%
100%
組成物を水に溶解して、使用する特定の基材を安定化させるのに好適な濃度を有する溶液を生成した。この汎用配合は、特定の基材でその効率を増加させるように改変することができる。上記の配合は、クエン酸(最大1%)及びアスコルビン酸(最大2%)を添加し、それに応じてポリデキストロース(Litesse(登録商標)II)を低減させることにより改変してもよい。
【0046】
実施例3 安定化剤組成物の調製
乾燥粉末混合物を鉢型容器中で部分的に水和させ、その後ボウルチョッパ(bowl chopper)に注いだ。その後、完全に水和されるまでボウルチョッパを2〜3分間稼働させた。混合物は、必要に応じてボウルチョッパ中で直接水和させることができる。
或いは、安定化剤は、汎用ヘッドが取り付けられた高剪断ミキサーを使用して水和してもよい。
【0047】
実施例4 安定化剤組成物による基材の含浸
衣を付けるための鶏肉又はナゲット用の鶏肉混合物を、水和された安定化剤組成物を使用する代わりに、乾燥混合物として調製した以下の組成物を用いて調製した。実施例1の安定化剤を使用した。
【0048】
鶏エマルション 20%
皮−3mm 18%
鶏胸肉−10mm 50%
水 2%
ラスク 2%
安定化剤(実施例1) 5%
調味料 3%
100%
鶏胸肉を−3℃に冷却し、10mmプレートを使用して切り刻んだ。切り刻んだ後、温度は、0〜3℃だった。混合しながら水を添加した。以下の成分を含む鶏肉エマルションを、混合しながら添加した。
【0049】
鶏の皮 44%
水 44%
大豆単離物 11%
塩 1%
100%
実施例1による安定化剤を添加し、よく混合した。混合しながらラスクを添加し、その後調味料を添加した。乾燥粉末香味料が好ましかった。安定化剤水溶液をその場で形成するために、基材に存在していた水に、使用する組成物を溶解させた。
【0050】
混合物を真空に置いて構造を一体化し、その後鶏肉混合物を−3℃に冷却し、成形された小片を形成した。
同様の手順を、他の粉砕肉食品に使用した。同様の方法を使用して、大きな粒子コアを製造してもよい。
【0051】
実施例5 安定化剤組成物による鶏肉混合物の含浸
鶏胸肉(13mm) 79%
塩 1%
水 12%
安定化剤(実施例1) 5%
イヌリン及び調味料 3%
100%
実施例6 安定化剤組成物による魚肉混合物の含浸
部分的に解凍されたタラ切り身ブロック 85.8%
塩 0.9%
水 4.6%
安定化剤(実施例1) 4.8%
魚肉結合剤 3.9%
100 %
実施例7 バッターコーティング組成物
以下の原料を混合することによりバッターコーティング組成物を調製した:
成分 %
大豆粉末(Hisoy) 29.0
高アミロースデンプン(Hylon 7) 28.8
トウモロコシ粉末 19.2
乾燥全卵(Henningsen社 W1) 14.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
D−キシロース 2.0
リン酸一ナトリウム 1.9
グアーガム 1.0
重炭酸アンモニウム 0.7
グルコノD−ラクトン 0.7
酸性ピロリン酸ナトリウム 0.4
増粘剤(Methocel(登録商標)A4M) 0.2
アルファアミラーゼ 0.1
100.0
バッターは、溝穴付き粉砕ヘッドを備えた台設置型のSilverson社製DX高剪断ミキサーを使用して、バッチ式で混合することができる。バッチを、12.5キロの乾燥バッター粉末に対して25キロの水の比率で、直径が68cmのバット中で混合した。その後、例えば、水:粉末の割合が2.4:1となるように、必要に応じて混合物を希釈した。
【0052】
大規模生産では、ポンプにより連結された2つの200リットルステンレス鋼容器及び高剪断溝穴付き粉砕ヘッドを備えたインラインSilverson社製ミキサーを使用して、水:粉末の割合が2.4:1になるようにバッター原料を混合した。1つのタンクにはパドルを取付け、15〜20℃の水を満たした。乾燥原料を水に加え、パドルを回転させることにより湿らせた。第2のタンクには、冷却ジャケット及び第1の容器への戻り管を取付けた。機械的な熱伝達により42℃の温度に到達するまで、バッター混合物を、高剪断ヘッドを通して循環させた。外部加熱を使用して、デンプンの過剰剪断の傾向を回避してもよい。42℃に到達した際に、混合及び酵素分解を完了した。バッターを第2の容器に移して冷却した。熱交換器を使用して混合物を冷却してもよい。冷却した後、バッターを、てんぷら型のバッター塗布器にポンプで送り込んだ。
【0053】
バッター混合物の粘性は、60rpmの3番スピンドルで測定して、550〜650mPa・s(550〜650cP)の範囲だった。バッターは、良好な取り込み率及び揚げた後のサクサクしたコーティングをもたらすことが見出された。
【0054】
実施例8 水性コーティング組成物
以下の混合物を調製した:
加工デンプン(Thermflo(登録商標)) 35%
増粘剤(Methocel(登録商標)A4M) 25%
キサンタンガム 25%
卵白 15%
100%
CFS Scanbrineミキサーを使用してパドル撹拌で混合物を水に溶解し、1%溶液を形成した。溶液を24時間そのままにしておき、完全に水和したゲル又は粘性溶液を形成した。
【0055】
てんぷら型のバッター塗布器の中で、実施例4〜6の含浸された基材粒子を浸漬することにより、その基材粒子に水性コーティングを塗布した。
機械を稼働させるのにポンプが必要であるが、しばらくすると、塗布器中のゲル溶液に泡が形成される。この問題を防止するために、食品等級消泡剤を使用することができる。ポリジメチルシロキサンが好ましいが、アルギン酸カルシウム、メチルエチルセルロース、メチルフェニルポリシロキサン、又はポリエチレングリコールを使用することができる。
【0056】
実施例9 パン粉塗布
パン粉は、その開示があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/001101号に開示されているように調製した。
【0057】
実施例8に記載の水性コーティングを塗布した後、CFSクラムマスター(Crumbmaster)パン粉塗布器を使用して、1mm未満のメッシュサイズの、粉末として説明され得る微細パン粉を塗布した。
【0058】

微細パン粉でコーティングされた含浸された基材を、てんぷらバッター塗布器中の実施例7のバッターに通した。
【0059】
2mmのパン粉を、第2のCFSクラムマスターパン粉塗布器中で、ローラーからの軽い圧力で塗布した。粒子を第3のCFS Crumbmasterパン粉塗布器に通して、ローラーからの軽い圧力を使用して1mmのパン粉で充填した。
【0060】
実施例10 フライ及び調理
実施例9のコーティングされた基材を、純粋な新しい菜種油で、およそ180〜188℃にて2分20秒間揚げた。揚げ時間は、粒子の重量及びサイズに応じて変えることができる。揚げた後、中心部の温度は74〜85℃だった。基材から水分が失われたことによる重量の微減が確認されたが、これは、油の取り込みによりほとんど相殺される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の製造方法であって、
全体的に又は部分的に安定化剤組成物を基材に含浸させる工程であって、前記基材が、肉、鳥肉、魚肉、野菜、果実、又は乳製品の小片を含み、
前記安定化剤組成物が、乾燥重量で、
セルロースガム 5〜25%
加工デンプン 16〜50%
増粘剤成分 32〜79%
(ここで、これらの原料のパーセンテージが、合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択される)、及び
任意の更なる原料を含む工程と、
含浸された基材を水性コーティング組成物でコーティングする工程であって、
前記水性コーティング組成物が、乾燥重量で、
セルロースガム 15〜35%
加工デンプン 15〜50%
親水コロイド 20〜30%
タンパク質性成分 10〜20%
(ここで、これらの原料のパーセンテージは合計で100%になるように割り当てられた範囲から選択される)を含む0.1〜5%の混合物を含む工程とを含む方法。
【請求項2】
前記安定化剤組成物が水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安定化剤組成物中の加工デンプンの量が、乾燥重量で16〜35%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物中の加工デンプンの量が、乾燥重量で15〜50%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記増粘剤成分が、前記安定化剤組成物の乾燥重量パーセントとして、
ポリデキストロース 30〜55%
を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項6】
前記増粘剤成分が、前記安定化剤組成物の乾燥重量パーセントとして、
タンパク質性成分 1〜20%
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項7】
前記増粘剤成分が、前記安定化剤組成物の乾燥重量パーセントとして、
親水コロイド 1〜10%
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項8】
前記増粘剤成分が、前記安定化剤組成物の乾燥重量パーセントとして、
ポリデキストロース 30〜55%
タンパク質性成分 1〜20%
親水コロイド 1〜10%
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項9】
前記タンパク質性成分が、卵白、乳清タンパク質、タンパク質単離物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項10】
前記タンパク質性成分が、卵白である、請求項9に記載の食品の製造方法。
【請求項11】
前記親水コロイドが、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項12】
前記親水コロイドが、キサンタンガム、グアーガム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の食品の製造方法。
【請求項13】
前記親水コロイドが、キサンタンガム又はキサンタンガムを含む親水コロイドの混合物からなる、請求項12に記載の食品の製造方法。
【請求項14】
前記安定化剤組成物が、前記安定化剤組成物の乾燥重量パーセントとして、
セルロースガム 5〜25%
加工デンプン 16〜35%
ポリデキストロース 30〜55%
親水コロイド 1〜10%
卵白 1〜20%
を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の食品の製造方法。
【請求項15】
前記安定化剤組成物が、
セルロースガム 10〜20%
加工デンプン 20〜30%
ポリデキストロース 35〜45%
親水コロイド 3〜10%
卵白 3〜18%
を含む、請求項14に記載の食品の製造方法。
【請求項16】
前記安定化剤組成物が、
セルロースガム 15%
加工デンプン 24%
ポリデキストロース 40%
キサンタンガム 6%
卵白 15%
合計 100%
を含む、請求項15に記載の食品の製造方法。
【請求項17】
前記含浸された基材が、
セルロースガム 15〜35%
加工デンプン 15〜50%
親水コロイド 20〜30%
卵白 10〜20%
を含む0.1〜5乾燥重量%の混合物を含む水性コーティングでコーティングされる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の安定化剤組成物で全体的に又は部分的に含浸され、請求項1〜16のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた基材からなり、前記基材が、肉、鳥肉、魚肉、野菜、果実、又は乳製品の小片を含む、電子レンジで調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項19】
前記含浸された基材が、請求項1〜17のいずれか一項に記載の乾燥重量で約0.1〜5%の混合物を含む水性コーティングでコーティングされている、請求項18に記載の電子レンジで調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の電子レンジ又は熱で調理可能な又は再加熱可能な食品であって、前記食品が、
前記コーティング組成物のコーティングに塗布され、基材を包み込む微細パン粉の層を形成する微細パン粉のコーティング、
前記微細パン粉の層に塗布され、バッターコーティングを形成するバッター組成物、及び
任意に、前記バッターコーティングに塗布された外側パン粉の層
を更に含む食品。
【請求項21】
前記微細パン粉に、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される親水コロイドが組み込まれている、請求項20に記載の電子レンジ又は熱で調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項22】
前記微細パン粉に、キサンタンガム又はキサンタンガムを含む親水コロイドの混合物が組み込まれている、請求項21に記載の電子レンジ又は熱で調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項23】
前記食品が、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法により得られる、請求項18〜22のいずれか一項に記載の電子レンジ又は熱で調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項24】
前記微細パン粉が、約0.25〜約1mmの粒子サイズを有する、請求項18〜23のいずれか一項に記載の電子レンジ又は熱で調理可能な又は再加熱可能な食品。
【請求項25】
前記水性コーティング組成物が、約0.3〜約3%の固形分を有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法又は食品。
【請求項26】
前記安定化剤組成物が、約0.1〜約20%、好ましくは約1〜約8%、より好ましくは約3〜約5%の固形分を有する水性安定化剤組成物である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法又は食品。

【公表番号】特表2013−516971(P2013−516971A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548478(P2012−548478)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050057
【国際公開番号】WO2011/086383
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511000256)クリスプ センセーション ホールディング エスエー (4)
【氏名又は名称原語表記】Crisp Sensation Holding SA
【住所又は居所原語表記】1 rue Pedro−Meylan,1208 Geneva, Switzerland
【Fターム(参考)】