説明

電子値札保持装置

【課題】配置の自由度を失わせることなく、且つ電子値札装置に効率的に電力供給することができる電子値札保持装置を提供すること。
【解決手段】販売商品の販売価格23を含む商品情報を表示する複数の電子値札装置2を固定すると共に、複数の電子値札装置2に対して充電する電子値札保持装置3であって、複数の電子値札装置2に電磁誘導を利用して電力供給する複数の電力供給コイル51と、複数の電力供給コイル51を保持すると共に、当該複数の電力供給コイル51に対向して複数の電子値札装置2を保持する保持部本体と、を備え、電子値札装置2は、電力供給コイル51から電力供給された電力を受けるための充電コイル61を有しており、保持部本体には、電力供給コイル51の中心に充電コイル61の中心を位置決めするための位置決め手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
販売商品の販売価格を含む商品情報を表示する電子値札装置を固定する電子値札保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子値札保持装置に保持される電子値札装置として、商品の販売価格を表示するための液晶ディスプレイを備えたものが知られている。この電子値札装置は、商品棚に陳列された商品に対応づけられており、対応する商品の近傍の商品棚フレームに取り付けられている。そして、電子値札装置は、内部に備えた小型の電池により、液晶ディスプレイを表示することで対応する商品の販売価格を表示している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−212333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の液晶素子を用いた電子値札装置では、視認性が良くないという問題があった。また、これに対し、視認性を良くするために有機ELなどの自発光タイプで輝度の高い表示素子を使用すると、液晶素子を用いた場合と比べて、消費電力が大きく、内部に設けた小型の電池の電力では対応することができないという問題があった。これらの問題を解決するため、電源に接続され、電子値札装置に電力を供給するためのコネクタを備えた電子値札保持装置を設け、このコネクタに電子値札装置を取り付け、コネクタを介して電子値札保持装置から電力供給を受ける方法が考えられるが、コネクタの位置により電子値札装置の配置が制限されてしまう。さらに、配置の自由度を持たせるため、コネクタによる接触式の充電方法に代えて電磁誘導方式を利用した非接触式の充電方法が考えられるが、電子値札装置に設けた2次コイルが、電子値札保持装置に設けた1次コイルに精度よく位置決めされないと、効率的な電力供給を受けることができない。
【0004】
そこで、配置の自由度を失わせることなく、且つ電子値札装置に効率的に電力供給することができる電子値札保持装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子値札保持装置は、販売商品の販売価格を含む商品情報を表示する複数の電子値札装置を固定すると共に、複数の電子値札装置に対して充電する電子値札保持装置であって、複数の電子値札装置に電磁誘導を利用して電力供給する複数の電力供給コイルと、複数の電力供給コイルを保持すると共に、当該複数の電力供給コイルに対向して複数の電子値札装置を保持する保持部本体と、を備え、電子値札装置は、電力供給コイルから電力供給された電力を受けるための充電コイルを有しており、保持部本体には、電力供給コイルの中心に充電コイルの中心を位置決めするための位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、電力供給コイルの中心と充電コイルの中心が、位置決めされるため、電子値札保持装置が効率的に電子値札装置を充電することができる。このため、電子値札装置のディスプレイに、液晶素子を用いた場合と比べて消費電力が大きい有機ELなどの自発光タイプで輝度の高い表示素子を使用することができ、視認性を良くすることができる。また、非接触の電磁誘導方式で充電を行うため、例えば、コネクタ等により電子値札装置の配置制限されることがなく、配置の自由度を持たせることができる。
【0007】
この場合、電子値札保持装置は、電子値札装置を表示制御するための表示制御データを送信するホスト装置に接続されており、電磁誘導を利用して電子値札装置との通信を確立する通信確立手段をさらに備え、ホスト装置から表示制御データを受信すると、通信確立手段により確立された通信により表示制御データを電子値札装置に転送し、電子値札装置に、商品情報を表示させることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、電子値札装置に設けられた充電コイルを通信インターフェースとして兼用することができ、別途無線用の通信インターフェースを設ける構成に比べて、電子値札装置を簡易な装置構成とすることができる。
【0009】
この場合、電子値札装置は、充電型のバッテリを有し、前記バッテリのバッテリ残量を示す残量データを記憶しており、電子値札保持装置は、通信確立手段により確立された通信により、電子値札装置から残量データを受信する残量データ受信手段をさらに備えたことが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、電子値札保持装置が電子値札装置から受信した残量データにより、電子値札装置のバッテリ残量を知ることができ、充電のタイミングを調整することができる。すなわち、バッテリの残量が所定量以下になったところで、充電するようにすれば、バッテリからディスプレイに常に電力が供給されるため、ディスプレイの表示を良好に保つことができる。
【0011】
これらの場合、位置決め手段は、保持部本体の表面に電力供給コイルの中心に合わせて表示した位置決めマークであることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、位置決めマークを目安にして電子値札装置(充電コイル)を電子値札保持装置(電力供給コイル)に位置決めすることができ、電子値札装置に効率良く電力を供給することができる。
【0013】
これらの場合、電子値札装置の背面には、磁性部材が設けられており、位置決め手段は、保持部本体の表面に設けた磁石により、磁性部材が吸着されることにより、電力供給コイルの中心に充電コイルの中心を位置決めすることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、電子値札保持装置に設けた磁石の吸着力に、電子値札装置の磁性部材が誘導されることで、電子値札装置(充電コイル)を電子値札保持装置(電力供給コイル)に確実に位置決めすることができ、電子値札装置に効率良く電力を供給することができる。
【0015】
これらの場合、保持部本体は、複数の電子値札装置を、横並びに且つ横方向に移動自在にガイドするガイド部材を備えたことが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、ガイド部材に保持されつつ保持部本体の表面上を横方向に移動するため、横方向の移動を円滑かつ安定に行うことができる。
【0017】
これらの場合、保持部本体は、表面に複数の電力供給コイルを保持するコイル保持部と、コイル保持部の表側に複数の電力供給コイルを挟んで取り付けられ、表面に複数の電子値札装置を保持する保持プレートと、から構成されることが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、例えば、電力供給コイルや保持プレートが破損した場合でも、いずれか一方の破損部のみを交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る電子値札保持装置について説明する。本発明は、電子値札保持装置に電磁誘導を利用した非接触式の充電機能を採用し、電子値札装置に設けた2次コイルと電子値札保持装置に設けた1次コイルとの位置決め構造を設けることにより、電子値札装置に対して効率的に電力供給を行うものである。
【0020】
最初に図1のシステム構成図を参照して、本発明の一実施形態に係る電子値札保持装置を利用した商品情報管理システム1のシステム構成について説明する。商品情報管理システム1は、販売商品に関する各種情報を表示する複数の電子値札装置2(図示では4つ)と、複数の電子値札装置2を保持した状態で電子値札装置2と無線通信を行う電子値札保持装置3と、電子値札保持装置3と店舗内LAN6とを接続するコントロールボックス4と、コントロールボックス4に店舗内LAN6を介して接続され、電子値札装置2の表示制御を行うホスト装置5と、から構成されている。そして、ホスト装置5は、コントロールボックス4および電子値札保持装置3を介して表示制御データを電子値札装置2に送信することにより、電子値札装置2の表示制御を行う。なお、ここでいう表示制御データとは、販売価格23および在庫管理情報24を電子値札装置2に表示させるためデータである。また、商品棚の商品を変更した場合等は、ハンディターミナル(図示省略)により商品に付されたバーコードから商品情報を読み取り、電子値札装置2に直接入力することもできる構成となっている。
【0021】
また、本システム1では、電子値札装置2は、電子値札保持装置3に載置された状態で電力供給される。電子値札保持装置3は、外部電源7に接続したコントロールボックス4から電力が供給され、外部電源7から取得した電力を、電磁誘導を利用して電子値札装置2に供給する。なお、電磁誘導を利用した電力供給とは、1次コイルに流された交流電流により、1次コイル近傍に交流磁場を発生させ、2次コイルに交流電圧を誘起し、これを整流して2次電池に充電することをいう。すなわち、電子値札保持装置3は、1次コイルに相当する電力供給コイル51を有し、電子値札装置2は、2次コイルに相当する充電コイル61を有し(図7参照)、電子値札保持装置3側で交流磁場を発生することで電子値札装置2に電力供給を行う(詳細は後述する)。
【0022】
また、電子値札保持装置3と電子値札装置2との間の通信は、上記した電磁誘導を利用して確立される(通信確立手段)。つまり、電子値札保持装置3の電力供給コイル51および電子値札装置2の充電コイル61は、通信インターフェースとして兼用することができ、別途無線用の通信インターフェースを設ける構成に比べて、簡易な装置構成となっている。
【0023】
電子値札装置2は、図2に示すように薄板の長方形状に形成され、正面中央にディスプレイ11を有している。ディスプレイ11は、ホスト装置5から送信された表示制御データに基づいて、販売価格23および在庫管理情報24を表示する。在庫管理情報24は、今週販売実績数25、在庫状況26及び先週販売実績数27から構成され、ディスプレイ11の正面右側に縦一列に表示される。在庫状況26は、「F」、「N」、「E」の3段階に表示され、「F」は在庫数問題なし、「N」は在庫数小、「E」は在庫切れ、をそれぞれ意味している。店員は、在庫管理情報24を見ることで、先週販売実績数27から今週の売れ行きを予測し、今週販売実績数25及び在庫状況26から発注数を指定できる構成となっている。また、ディスプレイ11下方には、該当商品の商品名及びバーコードが印刷されたラベル12が貼付されている。また、電子値札装置2の内部には、ディスプレイ11を表示させる駆動源となるバッテリ66と充電コイル61とが配設されている(図7参照)。また、充電コイル61は渦巻状の扁平コイルであり、両端が内部回路を介してバッテリ66に接続されている。なお、ディスプレイ11は、有機ELなどの自発光タイプで輝度の高い表示素子等で構成してもよいし、消費電力の少ない液晶素子で構成するようにしてもよい。
【0024】
ホスト装置5は、表示制御データを送信することにより電子値札装置2の表示制御するものであり、内部に設けたハードディスクに商品マスタ20を記憶している。商品マスタ20は、図3に示すように商品コード21、商品名22、現在の販売価格23、在庫数28、先週販売実績数27、今週販売実績数25および値札ID29、が商品ごとに関連付けられて記憶されている。ホスト装置5は、商品マスタ20から販売価格23、在庫管理情報24を含んだ表示制御データを生成し、電子値札装置2に表示制御データを送信する構成となっている。
【0025】
コントロールボックス4は、ホスト装置5から受信した表示制御データを、電子値札保持装置3を介して電子値札装置2に送信し、ホスト装置5と電子値札装置2との間で通信制御する他、外部電源7と電子値札装置2との間で電力供給制御を行う(詳細は後述する)。
【0026】
電子値札保持装置3は、図4に示すように、複数の電子値札装置2に電磁誘導を利用して電力供給する複数の電力供給コイル51と、複数の電力供給コイル51を保持するコイル保持部33と、複数の電力供給コイル51に対向して複数の電子値札装置2を保持する保持プレート32と、を備えている。そして、電子値札保持装置3は、横長(長方形)の保持プレート32と、保持プレート32と略同形に形成されたコイル保持部33と、が電力供給コイル51を挟み込むように貼り合わされて構成されている。
【0027】
電力供給コイル51は、充電コイル61と同様に渦巻状の扁平コイルであり、コイル保持部33に横一列に配設されている。また、保持プレート32の表面には、上下両端に複数の電子値札装置2を横一列に移動自在に保持する一対のガイドレール34、34が配設され、一対のガイドレール34、34の間には、複数の電力供給コイル51の配置場所に合わせて複数の位置決めマーク35が横並びに表記されている(図5参照)。
【0028】
コイル保持部33の上下方向の中間位置には、延在方向に複数の電力供給コイル51を収容するための収容溝36が切られている。また、コイル保持部33の内部には、収容溝36に横並びに収容された各電力供給コイル51とコントロールボックス4とを電気的に接続するための配線37が組まれており、各電力供給コイル51の両端に接続されている(図5参照)。すなわち、外部電源7から出力された電流は、コントロールボックス4および配線37を介して電力供給コイル51に出力される構成となっている。
【0029】
一対のガイドレール34、34は、断面クランク状に形成され、電子値札装置2を保持する間隙を存して相互に平行に配設されている。そして、一対のガイドレール34、34の90°内向きに屈曲形成した先端屈曲部が、複数の電子値札装置2が保持プレート32から脱落しないように保持している。そして、一対のガイドレール34、34に対し、各電子値札装置2は、横方向にスライド自在に保持されている。このように、電子値札装置2は、一対のガイドレール34、34に保持されつつ保持プレート32上を横方向に移動するため、横方向の移動を円滑かつ安定に行うことができる。
【0030】
位置決めマーク35は、図5に示すように、コイル保持部33に保持された複数の電力供給コイル51に対応して、保持プレート32に複数表記されており、電子値札装置2の四隅を位置合わせするための4つのL字マーク41から構成されている。この場合、この電子値札装置2の四隅を示す4つのL字マーク41は、電子値札装置2の各辺の長さに対応した間隔をとって、保持プレート32に表記されている。また、各L字マーク41の大きさ(太さ)は、電子値札装置2の位置決め精度に影響を与えない程度の大きさ且つ作業者が視認できる程度の大きさに表記されている。そして、電子値札装置2を保持プレート32に装着する際は、電子値札装置2を一対のガイドレール34、34に沿って横方向に移動させつつ、4つのL字マーク41に電子値札装置2の4隅を位置合わせする。このようにすることで、電子値札装置2に内蔵した充電コイル61の中心とコイル保持部33に保持された電力供給コイル51の中心との位置決めを行うことができる。なお、位置決めマーク35は、2つのL字マーク41を対角に表記して構成してもよい。
【0031】
また、位置決めマーク35は、図6(a)に示すように、電子値札装置2の側部を位置合わせするための一対の直線マークで構成してもよい。この場合、直線マークは、長直線マーク43と短直線マーク44の2種類のマークから成り、長直線マーク43は、電子値札装置2の左側部を位置合わせし、短直線マーク44は、電子値札装置2の右側部を位置合わせする。つまり、電子値札装置2を保持プレート32上で左方向に移動させて位置合わせする場合には、長直線マーク43を目安にして位置合わせを行い、右方向に移動させて位置合わせする場合には、短直線マーク44を目安にして位置合わせを行う。
【0032】
また、例えば、図6(b)に示すように外形が楕円形状の電子値札装置2の場合には、120°間隔で表記した3つの円弧マーク45で位置決めマーク35を構成してもよい。このように、位置決めマーク35は、電子値札装置2の形状に関わらず、電力供給コイル51の中心と充電コイル61の中心との位置決めができるものであれば、どのような表記のしかたでもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、コイル保持部33と保持プレート32とを別部材で成形したが、一体成形してもよい。この場合、電力供給コイル51は、保持プレート32の表面に埋設される。
【0034】
続いて、図7の制御構成図を参照して電子値札保持装置3、コントロールボックス4および電子値札装置2の制御構成について説明する。最初にコントロールボックス4の制御構成について説明する。
【0035】
コントロールボックス4は、AC/DCコンバータ52、安全回路53、充電コントローラ54、DC/ACインバータ55、通信コントローラ56およびボックスメモリ57を備えている。
【0036】
AC/DCコンバータ52は、外部電源7から出力された交流電流を直流電流に変換し、安全回路53に出力する。
【0037】
安全回路53は、サーミスタを組み込んで構成されており、サーミスタにより検出された検出温度から、AC/DCコンバータ52から出力された直流電流が過電流か否かを監視する。過電流の場合には、電流の出力を停止する。
【0038】
充電コントローラ54は、電子値札装置2に対する充電を制御するものであり、電子値札装置2に対し電力供給・停止を制御するON/OFFスイッチ(トランジスタ)と、電力供給中であることを報知するLEDランプと、を備えている。電子値札装置2のバッテリ残量が少なくなると、ON/OFFスイッチがONとなり、電子値札保持装置3に電力が供給される。一方、電子値札装置2のバッテリが満たされると、ON/OFFスイッチがOFFとなり、電子値札保持装置3への電力の供給が停止される。ただし、バッテリ残量が最大であっても、ホスト装置5から表示制御データを受信した場合等のように電子値札装置2と通信を行う場合には、一時的にON/OFFスイッチがONになり電子値札装置2との通信が確立する。
【0039】
DC/ACインバータ55は、直流電流を交流電流に変換して電力供給コイル51に出力する。これにより、電力供給コイル51において交流磁場を発生させる。
【0040】
通信コントローラ56は、電子値札保持装置3と電子値札装置2との通信を確立するものであり、確立された通信により、ホスト装置5から送信された表示制御データを、電子値札保持装置3を介して電子値札装置2に送信する。また、定期的に、電子値札装置2に対し、バッテリ残量の送信要求を行い、電子値札装置2からバッテリ残量を取得する。
【0041】
ボックスメモリ57は、通信コントローラ56が取得したバッテリ残量を記憶する。また、ボックスメモリ57は、バッテリ66の下限残量値を記憶しており、充電コントローラ54は、バッテリ残量がこの下限残量値より少なくなった場合に、ON/OFFスイッチをONにして、電力供給コイル51に電流を出力し、電子値札装置2に電力供給する。
【0042】
電子値札保持装置3は、電力供給コイル51を備えている。電力供給コイル51は、DC/ACインバータ55から出力された交流電流が流れることで、交流磁場を発生させる。
【0043】
電子値札装置2は、充電コイル61、整流回路62、通信処理部63、電圧レギュレータ部64、充電制御部65、バッテリ66、値札メモリ67およびデバイス制御部68を備えている。
【0044】
充電コイル61は、電力供給コイル51により発生させられた交流磁場により、交流電流を誘起させる。そして、誘起した交流電流は、整流回路に出力される。
【0045】
整流回路62は、充電コイル61で発生した交流電流を直流電流に変換した変換結果に基づき、電荷をバッテリ66に蓄電させる。
【0046】
バッテリ66は、充電型のバッテリであり、バッテリ66に蓄えられた電荷に基づき電子値札装置2の各部に電力を供給する。
【0047】
電圧レギュレータ部64は、バッテリ66から出力される電流を常に監視し、一定の出力電流が保たれるように制御する。
【0048】
充電制御部65は、充電電流を検出する抵抗部および放電電流を検出する抵抗部を備えた回路と、両抵抗部で検出した電流値からバッテリ残量を算出する演算部と、から構成されている。充電制御部65は、演算部により算出されたバッテリ残量を定期的に値札メモリ67に送信する。
【0049】
値札メモリ67は、充電制御部65から送信されたバッテリ残量およびディスプレイ11に表示する販売価格23および在庫管理情報24を記憶する。
【0050】
デバイス制御部68は、値札メモリ67に記憶された販売価格23および在庫管理情報24を読み出し、ディスプレイ11に表示させる。
【0051】
通信処理部63は、電子値札装置2と電子値札保持装置3との通信を確立する。また、バッテリ残量の送信要求に基づき値札メモリ67に記憶されたバッテリ残量を電子値札保持装置3に送信する。
【0052】
次に、電子値札保持装置3に電子値札装置2を固定した場合における充電処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、作業者が電子値札保持装置3に電子値札装置2を装着し、電力供給コイル51の中心と充電コイル61の中心との位置決めを行う(S01)。そして、外部電源7から電力供給コイル51に交流電流が出力され、電力供給コイル51の近傍に交流磁場が発生する(S02)。発生した交流磁場により、電子値札装置2の充電コイル61に交流電流が誘起され(S03)、電子値札保持装置3と電子値札装置2との間で通信が確立する(S04)。電子値札保持装置3と電子値札装置2との間で通信が確立すると、通信処理部63は充電制御部65により定期的に値札メモリ67に記憶されたバッテリ残量を、電子値札保持装置3を介してコントロールボックス4に送信する(S05)。コントロールボックス4は、受信したバッテリ残量が下限残量値より少ないか否かを判定する(S06)。バッテリ残量が下限残量値以上の場合には(S06:No)、バッテリ残量の監視を継続する(S07)。一方、バッテリ残量が下限残量値より少ない場合(S06:Yes)、充電制御部65が、ON/OFFスイッチをONにし、電力供給コイル51および充電コイル61を介してバッテリ66に電力を供給し(S08)、バッテリ残量が最大になるまでバッテリ66に電力を供給し続ける(S09)。このように、電子値札装置2から受信した残量データにより、充電のタイミングを調整することができ、バッテリ66から電子値札装置2のディスプレイ11に常に電力が供給されるため、ディスプレイ11の表示を良好に保つことができる。
【0054】
続いて、本発明の変形例に係る電子値札保持装置3について説明する。本発明の変形例に係る電子値札保持装置3は、先の実施例と異なり、位置決めマーク35を目安にして位置決めする構成に代えて、電子値札保持装置3に設けた磁石片71と、電子値札装置2に設けた鉄片72と、を吸着させることにより位置決めする構成である。以下、変形例に係る電子値札保持装置3について、先の実施例と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
図9に示すように、保持プレート32は、一対のガイドレール34、34の内側に位置して、電子値札装置2の四隅を位置合わせするための4つの磁石片71を複数組有している。この場合、この電子値札装置2の四隅を示す4つの磁石片71は、電子値札装置2の各辺の長さに対応した間隔をとって、保持プレート32の表面と面一となるように埋設されている。また、各磁石片71の大きさは、電子値札装置2の位置決め精度に影響を与えない程度の大きさであり、磁力の強さは、電子値札装置2の着脱作業に支障が起こらない程度の強さである。
【0056】
電子値札装置2には、背面側の4隅に4つの鉄片72が電子値札装置2の背面と面一になるように埋設されている。そして、電子値札装置2を保持プレート32に装着する際は、電子値札装置2を一対のガイドレール34、34に沿って横方向に移動させつつ、磁石片71に引き寄せられた場所に位置合わせする。なお、磁石片71は、2つの磁石片71を対角に埋設して構成してもよい。また、磁石片71および鉄片72は、電子値札装置2の形状に関わらず、電力供給コイル51の中心と充電コイル61の中心との位置決めができるものであれば、どのような形状でもよいし、どの位置に埋設してもよい。
【0057】
なお、本実施例は、電子値札装置2に鉄片72を埋設する構成としたが、鉄片72に限らず磁性体で成形した部材(磁性部材)で代用してもよい。例えば、保持プレート32に埋設した磁石片71と電子値札装置2に埋設した磁石片とを吸着することにより、位置決めする構成としてもよい。また、保持プレート32に位置決めマーク35を表記することで、さらに位置決め制度を向上させてもよい。
【0058】
このように、本実施形態の電子値札保持装置3によれば、電力供給コイル51の中心と充電コイル61の中心が、位置決めされるため、電子値札保持装置3が効率的に電子値札装置2を充電することができる。このため、電子値札装置2のディスプレイ11に、液晶素子を用いた場合と比べて消費電力が大きい有機ELなどの自発光タイプで輝度の高い表示素子を使用することができ、視認性を良くすることができる。また、非接触の電磁誘導方式で充電を行うため、例えば、コネクタ等により電子値札装置2の配置制限されることがなく、配置の自由度を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】商品情報管理システムのシステム構成図である。
【図2】電子値札装置の斜視図である。
【図3】商品マスタの一例を示す図である。
【図4】電子値札保持装置の斜視図である。
【図5】電子値札保持装置の上面模式図である。
【図6】(a)は、電子値札装置の側部を位置合わせする位置決めマークの一例であり、(b)は、楕円形状の電子値札装置を位置合わせする位置決めマークの一例である。
【図7】電子値札保持装置、コントロールボックスおよび電子値札装置の制御構成図である。
【図8】電子値札保持装置における電子値札装置の充電処理を示すフローチャートである。
【図9】変形例に係る電子値札保持装置の上面模式図である。
【符号の説明】
【0060】
2…電子値札装置 3…電子値札保持装置 5…ホスト装置 32…保持プレート 33…コイル保持部 34…ガイドレール(ガイド部材) 35…位置決めマーク 51…電力供給コイル 61…充電コイル 66…バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売商品の販売価格を含む商品情報を表示する複数の電子値札装置を固定すると共に、前記複数の電子値札装置に対して充電する電子値札保持装置であって、
前記複数の電子値札装置に電磁誘導を利用して電力供給する複数の電力供給コイルと、
前記複数の電力供給コイルを保持すると共に、当該複数の電力供給コイルに対向して前記複数の電子値札装置を保持する保持部本体と、を備え、
前記電子値札装置は、前記電力供給コイルから電力供給された電力を受けるための充電コイルを有しており、
前記保持部本体には、前記電力供給コイルの中心に前記充電コイルの中心を位置決めするための位置決め手段が設けられていることを特徴とする電子値札保持装置。
【請求項2】
前記電子値札保持装置は、
前記電子値札装置を表示制御するための表示制御データを送信するホスト装置に接続されており、
前記電磁誘導を利用して前記電子値札装置との通信を確立する通信確立手段をさらに備え、
前記ホスト装置から前記表示制御データを受信すると、前記通信確立手段により確立された通信により前記表示制御データを前記電子値札装置に転送し、前記電子値札装置に、前記商品情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の電子値札保持装置。
【請求項3】
前記電子値札装置は、充電型のバッテリを有し、前記バッテリのバッテリ残量を示す残量データを記憶しており、
前記電子値札保持装置は、前記通信確立手段により確立された通信により、前記電子値札装置から前記残量データを受信する残量データ受信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の電子値札保持装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記保持部本体の表面に前記電力供給コイルの中心に合わせて表示した位置決めマークであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子値札保持装置。
【請求項5】
前記電子値札装置の背面には、磁性部材が設けられており、
前記位置決め手段は、前記保持部本体の表面に設けた磁石により、前記磁性部材が吸着されることにより、前記電力供給コイルの中心に前記充電コイルの中心を位置決めすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子値札保持装置。
【請求項6】
前記保持部本体は、前記複数の電子値札装置を、横並びに且つ横方向に移動自在にガイドするガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子値札保持装置。
【請求項7】
前記保持部本体は、
表面に前記複数の電力供給コイルを保持するコイル保持部と、
前記コイル保持部の表側に前記複数の電力供給コイルを挟んで取り付けられ、表面に前記複数の電子値札装置を保持する保持プレートと、から構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子値札保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−206901(P2008−206901A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48620(P2007−48620)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】