説明

電子内視鏡システムの電子スコープ

【課題】画像処理プロセッサに対して情報をデジタル信号で伝送する電子スコープを提供する。
【解決手段】電子内視鏡システムの電子スコープは、撮像素子を備える。撮像素子により得られた撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有するデジタル信号を出力するマルチプレクサを備える。電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とが、デジタルブランキング期間に重畳される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡システムの電子スコープに関し、特にデジタル信号で画像処理プロセッサに画像データなどを伝送する電子スコープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子が搭載され、撮像により得られた画像データをデジタル信号で画像処理プロセッサに伝送する電子スコープを備えた電子内視鏡システムが提案されている。
【0003】
特許文献1は、遠隔の装置に対して画像データや音声信号をパラレルデジタル信号(またはシリアルデジタル信号)で伝送する画像処理プロセッサを開示する。これを電子スコープと画像処理プロセッサの間に使用すると、画像データや音声信号をデジタル伝送することが可能になる。
【特許文献1】特開平09−9109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電子スコープと画像処理プロセッサとの間には、画像データ、音声信号以外の情報(撮像素子の特性など電子スコープの特性に関する情報)を伝送する必要がある。
【0005】
したがって本発明の目的は、画像処理プロセッサに対して情報をデジタル信号で伝送する電子スコープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子内視鏡システムの電子スコープは、撮像素子を備え、撮像素子により得られた撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有するデジタル信号を出力するマルチプレクサを備え、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とが、デジタルブランキング期間に重畳される。
【0007】
好ましくは、撮像素子は、被観察体を撮像する画像取得領域と、画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持ち、デジタルブランキング期間に、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とを重畳することが出来ない場合は、デジタルブランキング期間に加えて、デジタル画像データのうちマスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間に重畳が行われる。
【0008】
さらに好ましくは、デジタルブランキング期間に、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とを重畳することが出来ない場合は、デジタルブランキング期間に、マスキング期間に重畳が行われたことに関する情報が付加される。
【0009】
また、好ましくは、電子スコープの特性に関する情報は、撮像素子のラインごとのマスキング期間に関する情報を有する。
【0010】
また、好ましくは、画像取得領域で得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号を出力する期間と、マスキング領域で得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号を出力する期間とで異なる信号出力を行う内視鏡像表示領域識別信号をマルチプレクサに出力する信号処理回路を更に備え、マスキング期間における重畳のタイミング制御は、内視鏡像表示領域識別信号に基づいて行われる。
【0011】
本発明に係る電子内視鏡システムの電子スコープは、被観察体を撮像する画像取得領域と、画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持つ撮像素子を備え、撮像素子により得られた撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有するデジタル信号を出力するマルチプレクサを備え、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とが、デジタルブランキング期間と、デジタル画像データのうちマスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間の少なくとも一方に重畳される。
【0012】
本発明に係る電子内視鏡システムは、被観察体を撮像する画像取得領域と、画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持つ撮像素子と、撮像素子により得られた撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有し、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、電子スコープに入力された音声信号とが、デジタルブランキング期間と、デジタル画像データのうちマスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間の少なくとも一方に重畳されるデジタル信号を出力するマルチプレクサとを有する電子スコープを備え、デジタル信号における、電子スコープの特性に関する情報と、電子スコープの操作に関する情報と、電子スコープに入力された音声信号と、デジタル画像データのうち画像取得領域で得られた画像データとを分離するビデオデコーダを有する画像処理プロセッサを備える。
【0013】
好ましくは、画像処理プロセッサは、分離された画像データに映像出力を可能にする画像処理を施す画像処理回路と、分離された音声信号に音声出力を可能にする音声信号処理を施す音声信号処理回路とを有する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、画像処理プロセッサに対して情報をデジタル信号で伝送する電子スコープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施形態における電子内視鏡システムの構成について、図を用いて説明する。本実施形態に係る電子内視鏡システム1は、電子スコープ10、画像処理プロセッサ20、及びモニタ30を備える(図1参照)。
【0016】
電子スコープ10は、患者の体内に挿入される可撓管である挿入部10aに撮像素子11を有し、施術者が手で保持しながら各種操作を行い、画像処理プロセッサ(画像処理装置)20に接続される操作及び接続部10bにA/Dコンバータ12、第1信号処理回路13、マルチプレクサ14、同期ワード発生回路15、EEPROM16、エンコーダ17、第1音声処理回路18を有する。
【0017】
画像処理プロセッサ20は、ビデオデコーダ21、第2信号処理回路22、第2音声処理回路23、タイミング回路24、システムコントロール25を有する。画像処理プロセッサ20では電子スコープ10により取得された画像に対し、所定の画像処理が施される。また、電子スコープ10に接続された(または内蔵された)マイクなどの音声入力手段(不図示)により取得された音声信号に対し、所定の音声信号処理が施される。
【0018】
画像処理プロセッサ20には、モニタ30が接続される。モニタ30は、画像処理プロセッサ20で画像処理された、所定のアナログビデオ信号の規格に準拠した画像を表示する表示手段である。画像処理プロセッサ20には、モニタ30の他に、画像処理プロセッサ20で画像処理された画像データ等を記録する外部記憶装置や、画像を出力(プリントアウト)するプリンタなどが接続されてもよい。
【0019】
次に、各部の詳細について説明する。電子スコープ10には、照明光導光用の多数の光ファイバから成るライトガイド(不図示)が挿通されており、ライトガイドは、電子スコープ10の挿入部10aの先端まで延びており、画像処理プロセッサ20等にある光源装置(不図示)からの光が被観察体に照明光として照射される。
【0020】
撮像素子11の撮像領域は、被観察体からの反射光が入射される画像取得領域11aと、マスキング領域11bとを有する(図2参照)。マスキング領域11bは、画像取得領域11aの周辺部分の光量や画質が十分に得られない領域で撮像素子11によって撮像可能であるが前面にマスキング処理を施して意図的に遮光された領域である。マスキング領域11bの形状、大きさは、撮像素子11を含む電子スコープ10によって異なる。
【0021】
被観察体からの反射光は対物光学系(不図示)を介して撮像素子11の画像取得領域11aに入射し、撮像素子11の画像取得領域11aの入射面に被観察体の光学像が結像される。撮像素子11では入射した被観察体の光学像が光電変換され、該光学像に基づいたアナログ画像信号が出力される。
【0022】
第1信号処理回路13は、撮像素子11から出力されたアナログ画像信号がA/Dコンバータ12で変換されたデジタル信号に対して前段の画像信号処理を行い、マルチプレクサ14にデジタル画像信号(輝度信号Y、色差信号Cr、Cb)を出力する回路である。
【0023】
例えば、A/Dコンバータ12において、輝度信号Yは13.5MHzのサンプリング周波数で、色差信号Cr、Cbは6.75MHzのサンプリング周波数でデジタル信号に変換される。すなわちこれらのサンプリング周波数の比率がY:Cr:Cb=4:2:2になるように、A/D変換が行われる。また、撮像素子11の1ラインの有効映像期間におけるサンプル数は、輝度信号Yが720サンプル、色差信号Cr、Cbがそれぞれ360サンプルで、合計1440サンプルとする。
【0024】
また、第1信号処理回路13は、内視鏡像表示領域識別信号をマルチプレクサ14に出力する。内視鏡像表示領域識別信号は、撮像素子11の1ラインの有効映像期間(撮像素子11で得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号の出力期間)のうち画像取得領域11aで得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号の出力期間にLow出力を行い、その他の期間はHigh出力を行う信号であり、1ラインの有効映像期間で且つ内視鏡像表示領域識別信号がHigh出力の期間(マスキング領域11bで得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号の出力期間)が、マスキング期間である(図2参照)。マスキング期間の長さは、撮像素子11のラインごとに異なる。
【0025】
本実施形態では、第1信号処理回路13は、撮像素子11の特性に対応したマスキング期間に関する情報を、撮像素子11のラインごとに記録するが、EEPROM16に記録されていて、第1信号処理回路13がこの情報を読み出しする形態であってもよい。
【0026】
例えば、撮像素子11において図2の(1)で示す撮像素子11のラインのコンポジット・ビデオ信号が出力される期間は、有効映像期間(画像信号出力期間)の総ての期間においてマスキング領域11bで得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号が出力されるため、有効映像期間がマスキング期間と一致し、内視鏡像表示領域識別信号がHigh出力を続ける。
【0027】
また、撮像素子11において図2の(2)で示す撮像素子11のラインのコンポジット・ビデオ信号が出力される期間は、有効映像期間の開始後と終了前の第1時間t1においてマスキング領域11bで得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号が出力される。従って、有効映像期間の開始後と終了前の第1時間t1がマスキング期間となり、その間は内視鏡像表示領域識別信号がHigh出力を行い、有効映像期間が開始されてから第1時間t1経過後から有効映像期間終了より第1時間t1前までの間はLow出力を行う。
【0028】
また、撮像素子11において図2の(3)で示す撮像素子11のラインのコンポジット・ビデオ信号が出力される期間は、有効映像期間の開始後と終了前の第2時間t2においてマスキング領域11bで得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号が出力される。従って、有効映像期間の開始後と終了前の第2時間t2がマスキング期間となり、その間は内視鏡像表示領域識別信号がHigh出力を行い、有効映像期間が開始されてから第2時間t2経過後から有効映像期間終了より第2時間t2前までの間はLow出力を行う(t1>t2)。
【0029】
マルチプレクサ14は、パラレルデジタル信号を生成し、これを画像処理プロセッサ20のビデオデコーダ21に出力する。
【0030】
パラレルデジタル信号は、撮像素子11により得られたライン毎の有効映像期間の画像信号(輝度信号Y、色差信号Cr、Cb)が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、デジタル画像データの前後に付加される同期ワード(同期識別コード)と、デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有する(図3参照)。デジタルブランキング期間には、エンコーダ17によって、音声信号、電子スコープ10(フリーズ、コピーボタンなど)のボタン情報(操作に関する情報)、及びEEPROM16に記録された電子スコープ10の特性に関する情報(パラメータなど)が重畳される。
【0031】
同期ワードは、ビデオデコーダ21におけるパラレルデジタル信号読みとり時の、有効映像期間の開始、終了、フィールド、及び水平/垂直の識別に使用される。
【0032】
但し、有効映像期間の開始後、終了前のマスキング期間においても、後述する音声信号などが重畳(上書き)される。また、音声信号などが重畳されなかった場合でも、かかる期間に対応するデジタル画像データ(マスキング領域11bで撮像されて得られた画像信号の多重化されたデータ)は、モニタ30による表示には用いられない。
【0033】
輝度信号Yなどの多重化は、例えば、Cb、Y、Cr、Y、Cb、Y、Cr・・・の順に行われる。本実施形態では、輝度信号Y、色差信号Cr、Cbの3系統の信号を1系統に多重化する形態を説明するが、色差信号Cr、Cbの2系統の信号を1系統に多重化し、輝度信号Yと合計2系統のパラレルデジタル信号を画像処理プロセッサ20に出力する形態であってもよい。
【0034】
また、電子スコープ10のマルチプレクサ14の後段に、パラレル/シリアル変換器(不図示)、画像処理プロセッサ20のビデオデコーダ21の前段にシリアル/パラレル変換器(不図示)を設け、パラレルデジタル信号をシリアル信号に変換してから画像処理プロセッサ20に伝送してもよい。また、2本の信号線を使った差動伝送や、デジタル信号をさらに圧縮処理してIEEE1394規格に沿った出力で伝送してもよい。
【0035】
デジタルブランキング期間の長さが十分でなく、デジタルブランキング期間に、音声信号などが重畳しきれない場合には、デジタルブランキング期間に加えてマスキング期間に、音声信号などが重畳(上書き)される。マスキング期間における音声信号などの重畳のタイミング制御は、内視鏡像表示領域識別信号に基づいて行われる。また、マスキング期間に、音声信号などが重畳された場合は、デジタルブランキング期間に、マスキング期間に音声信号などが重畳されたことに関する情報が付加される。後述するビデオデコーダ21は、このマスキング期間に音声信号などが重畳されたことに関する情報を読みとることにより、マスキング期間に重畳された音声信号などの読みとりを行う。
【0036】
同期ワード発生回路15は、パラレルデジタル信号におけるデジタルブランキング期間を特定する領域識別信号を含んだ同期ワードをマルチプレクサ14とエンコーダ17に出力する。デジタルブランキング期間における音声信号などの重畳のタイミング制御は、この領域識別信号に基づいて行われる。
【0037】
EEPROM16は、撮像素子11のラインごとのマスキング期間の情報など、電子スコープ10の特性に関する情報(パラメータ)を記録する。EEPROM16に記録された電子スコープ10の特性に関する情報は、エンコーダ17によって、デジタルブランキング期間などに重畳される。
【0038】
マイクなどの音声信号入力手段(不図示)で得られ第1音声処理回路18で処理された音声信号は、操作及び接続部10bに設けられたフリーズ、コピーボタンからのボタン情報などと共に、エンコーダ17によって、デジタルブランキング期間などに重畳される。
【0039】
電子スコープ10から画像処理プロセッサ20(ビデオデコーダ21)には、パラレルデジタル信号と、同期クロックが出力される。ビデオデコーダ21は、同期クロック、及びタイミング回路24からの情報(電子スコープ10の特性に関する情報)に基づいて、パラレルデジタル信号におけるデジタルブランキング期間を特定し、デジタルブランキング期間に重畳された情報を読みとる。
【0040】
電子スコープ10の特性に関する情報の中で、デジタルブランキング期間を特定するための情報などの初期情報は、電子スコープ10が画像処理プロセッサ20に接続されて電源がオン状態にされた初期設定において電子スコープ10から画像処理プロセッサ20に伝送される。
【0041】
デジタルブランキング期間は、電子内視鏡システム1の電源がオン状態にされた後、同期ワード発生回路15からの信号がマルチプレクサ14に入力され同期ワードが付加されることにより特定される(電源オン状態→同期ワード付加(デジタルブランキング期間の特定)→EEPROM16に記録された電子スコープ10の特性に関する初期情報の伝送)。従って、タイミング回路24は、電子内視鏡システム1の電源がオン状態にされた後に、電子スコープ10から伝送されてくる信号から同期ワード検出し、その後電子スコープ10の特性に関する初期情報を受信する。
【0042】
読みとったデジタルブランキング期間の情報に、マスキング期間に音声信号などが重畳されたことに関する情報が付加されていない場合には、ビデオデコーダ21は、デジタルブランキング期間に重畳された情報をパラレルデジタル信号から分離して、電子スコープ10のボタン情報、及び電子スコープ10の特性に関する情報をタイミング回路24に送り、音声信号を第2信号処理回路23に送る。
【0043】
読みとったデジタルブランキング期間の情報に、マスキング期間にも音声信号などが重畳されたことに関する情報が付加されている場合には、ビデオデコーダ21は、デジタルブランキング期間及びマスキング期間に重畳された情報をパラレルデジタル信号から分離して、電子スコープ10のボタン情報、及び電子スコープ10の特性に関する情報をタイミング回路24、システムコントロール25に送り、音声信号を第2信号処理回路23に送る。
【0044】
分離後のパラレルデジタル信号における画像取得領域11aで撮像されて得られた画像信号に対応するデジタル信号は、ビデオデコーダ21で復号され、第2信号処理回路22で、デジタル画像信号に増幅処理、ガンマ補正、輪郭強調等の後段の画像信号処理が施され、第2信号処理回路22に設けられた画像メモリ(不図示)に画像データとして格納される。
【0045】
第2信号処理回路22に設けられた画像メモリ内の画像データは、適時読み出されて所定のビデオ信号の仕様に準拠したビデオ信号処理(映像出力を可能にする画像処理)が施され、モニタ30へ出力される。その結果、モニタ30に被観察体像が表示される。モニタ30に出力される際、マスキング領域11bで撮像されて得られた画像信号に対応する部分は、マスキング処理された画像(黒や青などの単一の色で構成される画像)が表示される。また、音声信号は、第2信号処理回路23で音声出力を可能にする音声信号処理されて、モニタ30(または他の音声再生装置)で出力される。
【0046】
システムコントロール25は、電子内視鏡システム1全体を制御するマイクロプロセッサ等であり、画像処理プロセッサ20の各部などを制御する。例えば、システムコントロール25は、ビデオデコーダ21から送られた電子スコープ10のボタン情報に基づいて、フリーズ制御などの各部の制御を行う。
【0047】
本実施形態では、電子スコープ10の特性に関する情報など、電子スコープ10から画像処理プロセッサ20に伝送する情報であって画像データや音声信号以外のものについても、デジタル信号(パラレルデジタル信号またはシリアルデジタル信号)で伝送することが可能になる。
【0048】
また、電子スコープ10から画像処理プロセッサ20に伝送する情報であって音声信号など画像データ以外の情報が、デジタルブランキング期間だけでなく、マスキング期間に重畳されて伝送される。そのため、デジタルブランキング期間だけでは重畳しきれない大容量の情報であっても信号線を増やすことなく伝送が可能になる。また、音声信号などの重畳にマスキング期間を使用したか否かの情報がデジタルブランキング期間に付加されているので、デジタルブランキング期間の情報を読みとることにより、マスキング期間に重畳された情報の読みとりの要否を判断することが可能になる。
【0049】
なお、本実施形態では、デジタルブランキング期間に、音声信号などが重畳しきれない場合に、デジタルブランキング期間に加えてマスキング期間に、音声信号などが重畳される形態を説明したが、デジタルブランキング期間に重畳できるか否かを判別せず、デジタルブランキング期間とマスキング期間の少なくとも一方に音声信号などが重畳されてもよい。この場合でも、同期ワードによってブランキング期間が特定され、ブランキング期間に重畳される電子スコープ10の特性に関する情報によってマスキング期間が特定されるので、ビデオデコーダ21によって音声信号などの重畳された情報を分離することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態における電子内視鏡システムの構成図である。
【図2】コンポジット・ビデオ信号と、内視鏡像表示領域識別信号と、撮像素子の撮像領域との関係を示す図である。
【図3】コンポジット・ビデオ信号と、内視鏡像表示領域識別信号と、パラレルデジタル信号との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 電子内視鏡システム
10 電子スコープ
10a 挿入部
10b 操作及び接続部
11 撮像素子
11a 画像取得領域
11b マスキング領域
12 A/Dコンバータ
13 第1信号処理回路
14 マルチプレクサ
15 同期ワード発生回路
16 EEPROM
17 エンコーダ
18 第1音声処理回路
20 画像処理プロセッサ
21 ビデオデコーダ
22 第2信号処理回路
23 第2音声処理回路
24 タイミング回路
25 システムコントロール
30 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子により得られた前記撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、前記デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、前記デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有するデジタル信号を出力するマルチプレクサとを備える電子内視鏡システムの電子スコープであって、
前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、前記電子スコープに入力された音声信号とが、前記デジタルブランキング期間に重畳されることを特徴とする電子スコープ。
【請求項2】
前記撮像素子は、被観察体を撮像する画像取得領域と、前記画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持ち、
前記デジタルブランキング期間に、前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、前記電子スコープに入力された音声信号とを重畳することが出来ない場合は、前記デジタルブランキング期間に加えて、前記デジタル画像データのうち前記マスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間に前記重畳が行われることを特徴とする請求項1に記載の電子スコープ。
【請求項3】
前記デジタルブランキング期間に、前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、前記電子スコープに入力された音声信号とを重畳することが出来ない場合は、前記デジタルブランキング期間に、前記マスキング期間に前記重畳が行われたことに関する情報が付加されることを特徴とする請求項2に記載の電子スコープ。
【請求項4】
前記電子スコープの特性に関する情報は、前記撮像素子のラインごとの前記マスキング期間に関する情報を有することを特徴とする請求項2に記載の電子スコープ。
【請求項5】
前記画像取得領域で得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号を出力する期間と、前記マスキング領域で得られた画像信号に対応するコンポジット・ビデオ信号を出力する期間とで異なる信号出力を行う内視鏡像表示領域識別信号を前記マルチプレクサに出力する信号処理回路を更に備え、
前記マスキング期間における前記重畳のタイミング制御は、前記内視鏡像表示領域識別信号に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載の電子スコープ。
【請求項6】
被観察体を撮像する画像取得領域と、前記画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持つ撮像素子と、
前記撮像素子により得られた前記撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、前記デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、前記デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有するデジタル信号を出力するマルチプレクサとを備える電子内視鏡システムの電子スコープであって、
前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、前記電子スコープに入力された音声信号とが、前記デジタルブランキング期間と、前記デジタル画像データのうち前記マスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間の少なくとも一方に重畳されることを特徴とする電子スコープ。
【請求項7】
被観察体を撮像する画像取得領域と、前記画像取得領域の周辺部分であって前面にマスキング処理が施されたマスキング領域とを撮像領域に持つ撮像素子と、前記撮像素子により得られた前記撮像素子のライン毎の有効映像期間の画像信号が時分割多重化されて得られたデジタル画像データと、前記デジタル画像データの前後に付加される同期ワードと、前記デジタル画像データの後に付加された同期ワードと次の有効映像期間におけるデジタル画像データの前に付加された同期ワードとの間に生成されるデジタルブランキング期間とを有し、前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報の少なくとも一方と、前記電子スコープに入力された音声信号とが、前記デジタルブランキング期間と、前記デジタル画像データのうち前記マスキング領域で得られた画像データに対応するマスキング期間の少なくとも一方に重畳されるデジタル信号を出力するマルチプレクサとを有する前記電子スコープと、
前記デジタル信号における、前記電子スコープの特性に関する情報と、前記電子スコープの操作に関する情報と、前記電子スコープに入力された音声信号と、前記デジタル画像データのうち前記画像取得領域で得られた画像データとを分離するビデオデコーダを有する画像処理プロセッサとを備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記画像処理プロセッサは、前記分離された画像データに映像出力を可能にする画像処理を施す画像処理回路と、前記分離された音声信号に音声出力を可能にする音声信号処理を施す音声信号処理回路とを有することを特徴とする請求項7に記載の電子内視鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−229208(P2008−229208A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76037(P2007−76037)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】