説明

電子内視鏡装置

【課題】内視鏡の挿入部の先端部が種々の温度範囲で使用された場合であっても、相関二重サンプリング処理が適切にできる電子内視鏡装置を提供する。
【解決手段】電子内視鏡装置1は、CCD22と、先端部11aの温度を検出する温度センサ24と、本体部12に設けられ、CCD22から出力される画像信号から信号成分を取り出すための相関二重サンプリング部51と、相関二重サンプリング部51を動作させるためのサンプルホールド信号及びCCD22を駆動するための駆動パルス信号を発生するタイミングジェネレータ55と、温度センサ24により検出された温度に基づいて、タイミングジェネレータ55が発生するサンプルホールド信号あるいは駆動パルス信号のタイミングを調整するCPU44と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡装置に関し、挿入部の先端部の使用環境の温度に応じて、相関二重サンプリング処理が適切に行える電子内視鏡装置にする。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡装置が医療分野及び工業分野において各種検査のために広く使用されている。内視鏡装置は、細長の挿入部と、本体部と、本体部に設けられあるいは接続されたモニタとを含んで構成されている。
工業分野では、内視鏡装置は、例えば、氷点下の屋外の建造物の検査、100℃を超えるジェットエンジン内部の検査、等々、種々の温度環境で使用される場合がある。
【0003】
検査者であるユーザは、細長の挿入部を、検査対象の内部に挿入し、挿入部の先端に設けられたCCD等の撮像素子により撮像された検査部位の画像を、モニタに表示あるいは記憶装置に記憶させることによって、検査を行う。
【0004】
挿入部の先端に設けられた撮像素子は、本体部内の駆動回路により駆動され、撮像素子から出力される画像信号は、本体部内の画像信号処理部において、ノイズ除去等のために、相関二重サンプリング回路において相関二重サンプリング処理が施される。
【0005】
ところで、半導体装置を含む電子部品は、使用環境の温度に応じてその動作タイミングが変化する。そのため、撮像素子からの画像信号を適切に処理できるようにするために、デジタルカメラの温度に応じて、撮像素子の駆動回路の動作タイミングを遅延させる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−54027公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した提案は、一般的なデジタルカメラを想定しているため、内視鏡装置のような使用環境、及び先端部の撮像素子と本体部とが長い信号線で接続され信号波形が鈍り易いことに起因する動作タイミングの変化を考慮していない。
【0008】
内視鏡装置は、長い挿入部が幅広い温度環境で使用されるため、先端部の温度は、大きく変化する。例えば、検査対象の一つであるジェットエンジン内部の温度が100℃であっても、内視鏡装置の本体部の温度は、先端部のような大きな変化はない。さらに、内視鏡装置の挿入部の長さは、長いものでは、10m以上のものもある。そのため、撮像素子からの画像信号は、長い信号線により波形が鈍り易い。内視鏡装置は、このように一般的なデジタルカメラとは使用感環境が異なるため、上述した提案に係る技術は、内視鏡装置にそのまま利用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、細長い挿入部を有する電子内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部が種々の温度範囲で使用された場合であっても、相関二重サンプリング処理が適切にできる電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、内視鏡挿入部の先端部に設けられた撮像素子と、前記先端部の第1の温度を検出する第1の温度検出部と、前記内視鏡挿入部の基端が接続される本体部に設けられ、前記撮像素子から出力される画像信号から信号成分を取り出すための相関二重サンプリング部と、前記先端部と前記本体部の間で電気信号を伝送するケーブルと、前記本体部に設けられ、前記相関二重サンプリング部を動作させるためのサンプルホールド信号及び前記撮像素子を駆動するための駆動パルス信号を発生するタイミング発生部と、前記第1の温度検出部により検出された前記第1の温度に基づいて、前記タイミング発生部が発生する前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミングを調整するタイミング調整部と、を有する電子内視鏡装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細長い挿入部を有する電子内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部が種々の温度範囲で使用された場合であっても、相関二重サンプリング処理が適切にできる電子内視鏡装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる、CCD22へ供給される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の波形を整形する回路23aの回路図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる、EPROM45に格納されるCDSタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる、クロック信号CKに対して、CCD22に入力される駆動パルス信号と、画像信号と、サンプルホールド信号のタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる、CPU44のタイミング信号の補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係わる、EPROM45に格納される駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る、CPU44のタイミング信号の補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る駆動パルス信号(RG,H1,H2)を供給する回路23bの回路図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係わる、EPROM45に格納されるCDSタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わる、EPROM45に格納される駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。内視鏡装置1は、細長の挿入部11と、挿入部11の基端が接続された本体部12と、本体部12に接続された表示部である液晶表示装置(以下、LCDという)13とを含んで構成される電子内視鏡装置である。検査者であるユーザは、挿入部11の先端部を検査対象装置の中へ挿入し、検査部位の内視鏡画像をLCD13に表示させて、検査することができる。また、内視鏡画像は、本体部12に着脱可能な記録媒体14に記録することもできる。
なお、図1において一点鎖線で示すように、挿入部11は、本体部12に着脱可能なように、本体部12のコネクタ15によりコネクタ接続されるものであってもよい。
さらになお、このコネクタ15の接続部は、本実施の形態では、後述するプリアンプ41やタイミング発生回路55の先で挿入部11と分離するようにしているが、そうではなくデジタル信号の部分で着脱できるようにしても良い。例えば、挿入部11側に、後述するアナログフロントエンド部2やタイミング発生回路55(フィールドプログラマブルゲートアレイ43の一部)を入れてしまうような構成でもよい。このように構成によれば、タイミングズレが発生する要素をすべて挿入部11側に集約させることが出来るので、着脱システムを実現した場合、挿入部11側と本体部12側の組み合わせ調整を削減することができる。
【0014】
挿入部11の先端部11aには、照明部としての発光ダイオード(以下、LEDという)21が複数個(図1では2つ)設けられている。LED21は、図示しない観察窓の周囲に配置されている。観察窓の内側には、図示しない対物光学系が配置され、対物光学系の焦点位置に撮像素子であるCCD22が配置されている。すなわち、CCD22は、挿入部11の先端部11aに設けられた撮像素子である。
【0015】
CCD22は、波形整形回路23を介して、本体部12と接続されている。波形整形回路23は、CCD22へ、駆動パルス信号(RG,H1,H2)を波形整形して供給する回路と、CCD22からの画像信号をインピーダンス変換するバッファ回路を含む。
【0016】
図2は、CCD22へ供給される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の波形を整形する回路23aの回路図である。本体部12からの駆動パルス信号(RG,H1,H2)は、それぞれ所定の閾値と比較するコンパレータCMを介して増幅器AMPに入力されることによって、波形整形された各駆動パルスがCCD22へ供給される。
【0017】
さらに、挿入部11の先端部11aには、先端部11aの温度を検出するための温度センサ24が、CCD22の近傍に設けられている。温度検出部としての温度センサ24は、例えばサーミスタである。温度センサ14は、取り付け及び固定の容易性の観点から、例えば、波形整形回路23を搭載する回路基板上に実装される。
【0018】
本体部12は、カメラコントロールユニット(以下、CCUという)31と、記録再生部32と、LEDドライブ回路33と、LCDドライバ回路34と、操作部35と、画像信号出力端子36を含む。
CCU31は、プリアンプ41、アナログフロントエンド部(以下、AFEという)42、フィールドプログラマブルゲートアレイ(以下、FPGAという)43、中央処理装置(以下、CPUという)44、及び書き換え可能な不揮発性メモリであるEPROM45を有する。
【0019】
プリアンプ41は、波形整形回路23のバッファ回路を介して受信したCCD22からの画像信号を増幅する回路である。
AFE42は、相関二重サンプリング回路(以下、CDS部という)51と、オートゲイン調整回路(以下、AGC部という)52と、アナログデジタル変換回路(以下、A/D部という)53を含む。CDS部51は、プリアンプ41からの画像信号を入力して、サンプルホールド信号(SH1,SH2)に基づいて、ノイズ除去のための相関二重サンプリング処理を行い、AGC部52へ出力する。すなわち、CDS部51は、挿入部11の基端が接続される本体部12に設けられ、CCD22から出力される画像信号から信号成分を取り出すための相関二重サンプリング部である。
【0020】
AGC部52は、CDS部51からの画像信号のゲインを調整し、A/D部53へ出力する。A/D部53は、アナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換して、FPGA43へ供給する。
【0021】
FPGA43は、映像信号処理部54とタイミング発生回路(以下、TG部という)55を含む。映像信号処理部54は、CPU44からの制御信号に基づき、AFE42からの画像信号を処理して、LCDドライバ回路34と記録再生部32へ出力する。映像信号処理部54は、CCD22からのライブの画像信号をLCDドライバ回路34へ供給する。また、映像信号処理部54は、CCD22からの画像信号を、汎用の形式の画像信号に変換して記録再生部32へ出力する。
【0022】
TG部55は、CPU44の制御の下、各種タイミングパルス信号を生成して、出力する。具体的には、TG部55は、CCD22への各種駆動信号(RG,H1,H2,V1〜V6)を生成して出力する。さらに、TG部55は、CDS部51及びA/D部53へのタイミングパルス信号(SH1,SH2,ADCK)も生成し、出力する。CDS部51は、2種類のサンプルホールドパルス信号であるSH1、SH2により駆動される。また、TG部55は、FPGA43内の各種タイミングパルス信号TPも生成して出力する。すなわち、TG部55は、本体部12に設けられ、CDS部51を動作させるためのサンプルホールド信号及びCCD22を駆動するための駆動パルス信号を発生するタイミング発生部を構成する。
【0023】
また、TG部55は、上述したような複数のタイミングパルス信号を生成するが、後述するように、CPU44からの補正指示に応じて、各タイミングパルス信号のタイミングを調整することができるように構成されている。
【0024】
CPU44は、本体部12に設けられ、ユーザが操作するスイッチ等を含む操作部35からの指示に基づいて、CCU1及び記録再生部32内の各種回路の制御を行う。また、ここでは、CPU44は、A/D部56を含んでいる。A/D部56は、先端部11aの温度センサ24からのアナログの電圧信号をデジタル信号に変換して、先端部11aの温度についてのデジタルデータを、CPU44に供給する。CPU44は、温度センサ24からのデジタルデータから、温度を算出する。
【0025】
記録再生部32は、画像処理LSI58を有する。画像処理LSI58は、CPU44からの制御信号に基づいて、映像信号処理部54からの画像信号を符号化して、コネクタ59を介して記録媒体14に記録し、かつ記録媒体14に記録されている内視鏡画像を読み出して復号化して再生し、LCDドライバ回路34を介してLCD13に出力する回路である。また、画像処理LSI58は、画像信号出力端子36を介して、画像信号を出力可能となっている。画像処理LSI58は、画像サイズを変換するスケーリング処理を含み、アナログVGA形式、SDI形式、VBS(コンポジットビデオ)、Sビデオ信号、DVI形式等の各種画像信号を、画像信号出力端子36を介して出力可能となっている。
【0026】
なお、上述した温度センサ24に代えて、特開2007−125111号公報に開示されているような、インピーダンス変換素子のDC成分から先端部11aの温度を検出する温度検出部を用いてもよい。
【0027】
EPROM45は、後述する補正値データを記憶する補正値テーブルを記憶するメモリである。補正値テーブルには、温度センサ24の温度データに対応する、TG部55が発生する各種パルスの位相調整時間あるいはパルス幅調整情報が格納されている。CPU44は、EPROM45の補正値テーブルを参照して、温度センサ24の温度データから、位相調整値あるいはパルス幅調整値をEPROM45から読み出し、TG部55に補正値データとして出力する。すなわち、CPU44とTG部55は、タイミングを補正する補正値を記憶するテーブルを参照して、そのテーブルから読み出された温度に対応する補正値を用いて、サンプルホールド信号あるいは駆動パルス信号のタイミングを調整するタイミング調整部を構成する。
【0028】
また、CPU44は、温度センサ24の温度データを、LCD13の画面上に温度情報として表示したり、その温度データに応じて表示される映像の明るさ、色の濃さ、ランダムノイズなどの低減を行うために、FPGA43内の映像信号処理部54や、より後段の画像処理LSI58にも温度データを通信で送ることができるようになっている。よって、CPU44とLCD13は、先端部11aの温度を表示する温度表示部を構成する。
【0029】
図3は、EPROM45に格納されるCDSタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。補正値テーブルTBL1は、先端部11aの温度T1に対応して、CDS部51及びA/D部53へのタイミングパルス信号SH1,SH2,ADCKの各補正値を格納している。
【0030】
図4は、クロック信号CKに対して、CCD22に入力される駆動パルス信号と、画像信号と、サンプルホールド信号のタイミングチャートである。具体的には、図4は、クロック信号CKに対して、CCD22に入力される駆動パルス信号(RG,H1,H2)と、CCD22の出力(CCD-OUT)と理想的なサンプルホールド信号(SH1_0,SH2_0)と、実際にAFE部42に入力される画像信号(AFE-IN)と適切なサンプルホールド信号(SH1,SH2)とを示す図である。
【0031】
CCD22へ供給される駆動パルス信号は、リセットゲートパルス信号(以下、RG信号という)、水平転送パルスH,H2の3種類から成り、基本クロックCKから生成される。
【0032】
図4において、CCD22に入力される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の波形は、波形整形回路23の出力直後の出力波形である。
3種類の駆動パルス信号(RG,H1,H2)がCCD22に供給されることにより、出力(CCD-OUT)のような波形がCCD22から出力される。出力(CCD-OUT)は、波形のひずみや遅延が非常に少ない理想的な波形を有している。図4において、理想的なサンプルホールド信号(SH1_0,SH2_0)は、CCD22の出力端の画像信号の出力(CCD-OUT)のフィードスルー期間Z1と信号電荷期間Z2において、適切なタイミングで出力されている。また、出力(CCD-OUT)の波形はRG信号のパルス波形に対応し、光に反応する信号電荷期間Z2は、これらの3つのパルス信号(RG,H1,H2)のタイミングによって決定される。
【0033】
内視鏡装置の場合は、本体部12のTG部55で発生させた駆動パルス信号(RG,H1,H2)が先端部11aのCCD22に送られ、CCD22から画像信号が出力されて、本体部11へ戻ってくる。先端部11aと本体部12は、電気信号を伝送するためのケーブルにより接続されている。
【0034】
細長い挿入部11の中にある細い信号線のケーブルを通ってAFE42に入力される画像信号(AFE-IN)の波形は、鈍るため、フィードスルー期間Z1と信号電荷期間Z2は、共に短くなる。さらに、細く長い信号線を伝播するため、出力(CCD-OUT)と画像信号(AFE-IN)では数十nsec以上の電気的遅延が発生する上に、CCD22の周囲温度によりCCD22からの画像信号の伝播遅延時間が変化するため、CDS部51まで戻ってくる時間に数nsec程度の変動が生じる。
【0035】
例えば、CCD22が25万画素の場合は1画素期間Z0が約100nsec(ナノ秒)であり、CDS部51でサンプルホールドするフィードスルー期間Z1や信号電荷期間Z2の安定期間は5〜10nsec程度あるため、数nsecの時間ずれ(すなわち位相ずれ)が生じても大きな問題は生じない。しかし、例えば、100万画素の場合、1画素期間Z0が約25nsec程度しかなく、CDS部51でサンプルホールドするフィードスルー期間Z1や信号電荷期間Z2の安定期間は2〜4nsecしか確保できなくなる。
【0036】
従って、CCD22の画像信号が数nsecも遅れるとCDS部51で適切にサンプルホールド処理ができなくなり、正常な映像信号がCDS部51において得られなくなってしまい、最悪の場合、内視鏡画像が表示できなくなる。内視鏡装置1の場合、先端部11aの温度により、図4に示すように、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミングは、上述したCCD22の出力直後の出力(CCD-OUT)に対する理想的なサンプルホールド信号(SH1_0,SH2_0)のタイミングとは異なっている。
そこで、本実施の形態では、先端部11aの温度に応じて、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミングあるいはパルス幅を補正する。
【0037】
図3の補正値テーブルTBL1は、サンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKのタイミング(すなわち位相)の補正値を含んでいる。ここでは、先端部11aの温度T1は、−10℃〜19℃と、20℃〜39℃、40℃〜59℃、60℃〜79℃、80℃〜99℃、100℃〜110℃の6つの範囲に分類している。従って、ここでは6個のパターンの補正値データが、補正値テーブルTBL1に記憶されている。例えば、先端部11aの温度T1の変化に応じて、タイミングパルス信号SH1,SH2,ADCKの補正値が異なっている。各補正値は、先端部11aの温度T1に応じて、各タイミングパルス信号(SH1,SH2,ADCK)が適切なタイミングでフィードスルー期間Z1等において出力されるようにするための補正値である。
【0038】
図3では、先端部11aの温度T1が高くなると、AFE部42に入力される画像信号の波形は遅れてくるので、各補正値が大きくなっている。図4に示すように、先端部11aの温度T1が高くなると、画像信号におけるフィードスルー期間Z1や信号電荷期間Z2は、遅れるので、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミングを、点線で示す方向A1にずらしている。なお、図4では、A/D部53への変換タイミング信号ADCKは示していない。図4において、+で示す方向が、画像信号の波形が遅れる方向を示し、−で示す方向が、波形が速まる方向を示す。
従って、CPU44は、先端部11aの温度T1に基づいて、サンプルホールド信号(SH1,SH2)とA/D部53への変換タイミング信号ADCKのタイミングを調整する。
【0039】
図5は、CPU44のタイミング信号の補正処理の流れの例を示すフローチャートである。CPU44は、先端部11aの温度T1すなわち温度センサ24の温度情報を入力する(S1)。そして、EPROM45の補正値テーブルTBL1のデータを参照し(S2)、入力された温度情報に対応するサンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKの各補正値を読み出す(S3)。
【0040】
そして、CPU44は、読み出した各補正値を、TG部55へ出力する(S4)。TG部55は、入力された各補正値に基づいて補正した各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)を出力する。具体的には、CPU44は、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングを、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)の位相を変更することによって、調整する。その結果、先端部11aの温度T1が変化しても、その温度T1に対応する適切なタイミングで、各種タイミング信号がCDS部51及びA/D部53へ供給される。
【0041】
CPU44は、所定時間、例えば5秒、が経過したか否かを判定し(S5)、所定時間が経過しなければ(S5;NO)、処理は何もせず、所定時間が経過したときは(S5;YES)、処理はS1に戻り、上述した処理を繰り返す。
従って、CCD22には温度T1に対応して、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)が適切なタイミングで供給されるので、相関二重サンプリング処理とA/D変換処理は適切に行われる。
【0042】
なお、図3は、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングを補正するための補正値であるが、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のパルス幅を補正する補正値でも同様の効果を得ることができる。すなわち、タイミング調整部であるCPU44とTG55は、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングを、サンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKのパルス幅を変更することによって調整する。
例えば、図4において、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のパルス幅W1,W2のそれぞれの立ち上がりエッジのタイミングを、点線の矢印Aaで示す方向に、広げるようにして、パルス幅は変更される。
【0043】
さらになお、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)が適切なタイミングで供給されるように、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミング(すなわち位相)とパルス幅の両方を同時に補正するようにしてもよい。CCD22には温度T1に対応して、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングとパルス幅の両方を補正しても、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)が適切なタイミングで供給されるので、相関二重サンプリング処理とA/D変換処理は適切に行われる。
【0044】
また、上述した例は、サンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKのタイミングあるいはパルス幅を補正する例であるが、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミング(すなわち位相)を補正するようにしてもよい。
【0045】
図6は、EPROM45に格納される駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。補正値テーブルTBL2は、CCD22へ供給される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の各補正値を格納している。
【0046】
図6では、先端部11aの温度T1が高くなると、AFE部42に入力される画像信号の波形は遅れてくるので、各補正値が大きくなっている。図4に示すように、先端部11aの温度T1が高くなると、画像信号におけるフィードスルー期間T1や信号電荷期間T2は、遅れるので、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングを、点線で示す方向A2にずらしている。
【0047】
CPU44は、図6に示す補正値テーブルTBL2を用いて、駆動パルス信号(RG,H1,H2)の補正値を、TG55へ出力することによっても、フィードスルー期間Z1と信号電荷期間Z2にサンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミングを合わせることができるので、CDS部51において相関二重サンプリング処理は適切に行われる。この場合のCPU44の処理は、図5の処理と同様であり、参照されるテーブルが駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値テーブルTBL2であり、CPU44が出力するのが、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値であることが異なるだけである。
さらになお、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミング(すなわち位相)又はパルス幅(あるいは位相とパルス幅の両方)と共に、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミング(すなわち位相)も併せて調整するようにしてもよい。すなわち、相関二重サンプリング処理が適切に行われるように、サンプルホールド信号(SH1,SH2)と駆動パルス信号(RG,H1,H2)の両方のタイミングを調整するようにしてもよい。
【0048】
以上のように、上述した実施の形態に係る電子内視鏡装置によれば、細長い挿入部を有する電子内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部が種々の温度範囲で使用された場合であっても、相関二重サンプリング処理が適切に行われる。
(変形例1)
上述した内視鏡装置1では、CPU44が、先端部11aの温度T1に対応して、EPROM45の補正値デーブルを参照してTG55へ補正値を供給しているが、TG55がメモリから補正値を読み出すようにしてもよい。
【0049】
図1において点線で示すように、RAM71を設け、そのRAM71に補正値テーブル(TBL1あるいはTBL2)をEPROM45から転送し、TG55がその補正値テーブルを参照して読み出せるように構成してもよい。
【0050】
この場合、CPU44が先端部11aの温度に応じて補正値テーブルのどの補正値データを使用するかを、TG55に通知することによって、TG55が、補正値を読み出して、タイミング信号(駆動パルス信号(RG,H1,H2)及びサンプルホールド信号(SH1,SH2))のタイミングあるいはパルス幅を補正して出力する。
さらに、図1の例では、TG55がFPGA43内に取り込まれているが、そうではなくTG55はAFE部42内に取り込まれていてもよい。近年はCCD駆動周波数が画素数の増加に伴い上昇しており、より安定的に相関二重サンプリング処理をさせるためにTG55をAFE部43内に取り込む形態の場合も多いからである。従って、本実施の形態は、このような形態にも適用可能である。
【0051】
図7は、本変形例に係る、CPU44のタイミング信号の補正処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、ここでは、補正値テーブルTBL1の例で説明するが、補正値テーブルTBL2の場合も同様である。
【0052】
CPU44は、まず、EPROM45から補正値テーブルTBL1のデータを読み出して、RAM71へ書き込む(S11)。CPU44は、先端部11aの温度T1すなわち温度センサ24の温度情報を入力する(S12)。そして、EPROM45の補正値テーブルTBL1のデータを参照し(S2)、入力された温度情報に対応するサンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKの各補正値に対応する補正値番号を決定する(S13)。た例えば、図3において、先端部11aの温度T1が45℃であれば、CPU44は、補正値番号は「3」と決定する。
【0053】
そして、CPU44は、決定した補正値番号を、TG部55へ出力する(S14)。TG部55は、入力された補正値番号に対応する各補正値を、RAM71から読み出して、補正したタイミングで各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)を出力する。その結果、先端部11aの温度T1が変化しても、その温度T1に対応する適切なタイミングで、各種タイミング信号がCDS部51及びA/D部53へ供給される。
【0054】
CPU44は、所定時間、例えば5秒、が経過したか否かを判定し(S15)、所定時間が経過しなければ(S15;NO)、処理は何もせず、所定時間が経過したときは(S15;YES)、処理はS1に戻り、上述した処理を繰り返す。
従って、本変形例においても、先端部11aの温度T1に対応して、サンプルホールド信号(SH1,SH2)が適切なタイミングで供給されるので、適切な相関二重サンプリング処理が行われる。
(変形例2)
波形整形回路23の変形例を説明する。
上述した内視鏡装置1では、細長い挿入部11を挿通する信号線を通して先端部11aのCCD22が駆動されるが、CCD22へ入力される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の波形は、先端部11aまで到達すると信号線のRLC成分で鈍ったり、各種信号間のクロストークなどが原因で歪も発生する。これらの歪み等は、挿入部長が長くなるほど大きくなる傾向がある。そのため、特に、水平転送パルスH1,H2は、波形整形手段を用いてエッジの鋭い波形に修正して、CCD22を駆動するようにしている。これは、水平転送パルスH1,H2のクロックは波形のエッジが鋭くないと、CCD22の水平転送効率が落ちてしまい画質が劣化する原因となるためである。
【0055】
上述したように、近年、撮像素子の高画素化により1画素期間Z0が短くなっており、例えば25万画素では1画素期間が約100nsec(ナノ秒)あったの対し、100万画素では1画素期間が約25nsecと約1/4に原理的になってしまう。こうなると、RG信号のパルス信号のエッジも急峻にしないと画質劣化の元になるので、波形整形が必要となる。そこで波形整形はH1だけでなくRGも必要になってきている。
【0056】
波形のなまり、ひずみは、信号線の仕様や長さ、挿入部状況により微妙に変化するため、波形整形回路で波形整形できた場合でも、今度は水平転送パルスH1とH2の間で微妙な位相差が発生する。水平転送パルスH1とH2は、互いに逆相の関係になることで、効率良く撮像素子の電荷を水平転送することが可能となる。これがなんらかの原因で、水平転送パルスH1とH2に微妙な位相差が発生すると、水平転送パルスH1、H2のクロススイッチング特性が悪くなり、撮像素子の電荷転送が効率的にできなくなるなど、画質に支障をきたす。そこで水平転送パルスH1とH2は完全に逆相の関係にあり、位相差が極力発生しないようにすることが重要となる。
【0057】
また、撮像素子の画素数が大きくなると駆動パルス信号(RG,H1,H2)の周波数もより高くなるため、挿入部11を通る長い信号線の伝送ロスや歪がより大きくなる。そのため画素数の大きい撮像素子を用いる場合ほど、信号線を太くする必要があり、今度は挿入部の直径の中に入らないなど設計を難しくする要因になっていた。
【0058】
そこで水平転送パルスH1とH2パルスが逆相になっている点に着眼し、本変形例では挿入部11を通る水平転送パルスH1またはH2の一方のみを伝送し、波形整形回路で位相反転した他方の水平転送パルスH2またはH1を生成するようにした。
【0059】
図8は、本変形例に係る駆動パルス信号(RG,H1,H2)を供給する回路23bの回路図である。本体部12からの各駆動パルスは、RG信号と水平転送パルスH1であり、水平転送パルスH2は、水平転送パルスH1を入力して、所定の閾値との比較結果を出力するコンパレータCMの出力を、位相反転して増幅する増幅器AMPaに入力することによって、生成されている。
【0060】
よって、本変形例によれば、水平転送パルスH1とH2間に位相差が発生せず、水平転送パルスH1、H2のクロススイッチング特性が良くなり、撮像素子の電荷転送効率を高くすることができる。
さらに、図2や図8の場合は、波形整形回路23のコンパレータCMの片側の電位をDC固定として波形整形しているが、このDC電圧を固定せず、信号線を介して本体部12からDC電圧を送り波形整形をするようにしてもよい。このDC電圧が変化すると、波形整形の動作点が変わるため、コンパレータCM の出力波形のパルス幅を変化させることができる。例えばCPU57からのデジタル出力値を補正値テーブルTBL2に連動するようして、図示しないD/A変換器を通してアナログ電圧値を得て、このアナログ電圧を上記DC電圧として波形整形回路23のDC電圧として送るようにしても良い。すなわち、波形整形回路23内のコンパレータCM の動作点を可変することで、駆動パルス信号(RG,H1,H2)の位相調整を行うようにしても良い。
ところで、前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミング調整を行うとCDS部51を内蔵したAFE部42によっては、タイミング調整時にAFE部42の出力画像にノイズが重畳する場合がある。この画像ノイズは画像品質を落とす。これを回避するためには、駆動パルス信号のタイミング調整をCCD22の出画期間外で行うと効果的に除去することができる。具体的には、前記サンプルホールド信号(SH1,SH2)あるいは前記駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミング調整は映像のブランキング期間に行うようにする。
また、タイミング調整を行うことは、CDS部51でのサンプルホールド動作が微妙に変わることを意味し、画像ノイズだけでなく、明るさが微妙に変わることも意味する。頻繁にタイミング調整を行うと明るさも微小ではあるが頻繁に変化することとなり、画像がちらつき、画像の安定性が失われる原因になりうる。これを回避するためには、補正値テーブルTBL1,TBL2の表で制御対象の番号が頻繁に変わらないようにすればよい。具体的には例えば19℃と20℃の間に仕切りがあるが、仕切り毎に不感帯を設けたり、温度が変化してこの仕切りをまたぐときにヒステリシス特性を持たせるなどして頻繁には制御対象となる番号が変わらないように制御する。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態は、挿入部11の先端部11aの温度に基づいて、各種タイミング信号のタイミングあるいはパルス幅あるいはそれら両方を補正するものであるが、本実施の形態では、先端部11aの温度T1だけでなく、本体部12の温度T2も考慮して、各種タイミング信号のタイミングあるいはパルス幅あるいはそれら両方を補正するものである。
【0061】
本体部12の温度も、ユーザの使用環境によっては、大きく変化する場合がある。例えば、人間が検査を行える氷点下20℃の極寒の環境から45℃の酷暑の環境までであり、内視鏡装置の使用される温度環境の幅は広い。
【0062】
そこで、本実施の形態では、先端部11aの温度T1と本体部12の温度T2の両方を考慮した補正値テーブルを用いて、各種タイミング信号のタイミングあるいはパルス幅あるいはそれら両方を補正する。
【0063】
図9は、本実施の形態に係る内視鏡装置の構成を示す構成図である。図9において図1の構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付し説明は省略して、異なる構成について説明する。
【0064】
図9に示すように、内視鏡装置1AのCCU31には、本体部12の温度を検出するための温度センサ46が設けられている。さらに、CPU44は、A/D部57を含んでいる。A/D部57は、本体部12の温度センサ46からのアナログ信号をデジタル信号に変換して、本体部12の温度データを、CPU44に供給する。CPU44は、温度センサ24と46からの電圧信号を選択的に受信し、その電圧信号のデジタルデータから、それぞれの温度情報を算出する。
温度センサ46は、例えばサーミスタである。CCU31の各種回路は、半導体装置により構成されているため、その半導体装置の近傍に設けることによって、温度センサ46は、本体部12の温度を検出することができる。
【0065】
また、上述した温度センサ46に代えて、特開2007−125111号公報に開示の技術を用いて、インピーダンス変換素子のDC成分から温度を検出する温度検出部を用いてもよい。
【0066】
EPROM45は、2つの温度センサ24,46の温度情報と、TG部55が発生する各種パルスの位相調整時間あるいはパルス幅調整情報をもったテーブルを格納する。CPU44は、EPROM45のデータを参照して、2つの温度情報からそのテーブルを参照して、位相調整値あるいはパルス幅調整値をEPROM45から読み出し、TG部55に出力する。
【0067】
また、CPU44は、温度センサ24,46の温度情報を、LCD13の画面上に温度情報として表示したり、その温度情報に応じて表示される映像の明るさ、色の濃さ、ランダムノイズなどの低減を行うために、FPGA43内の映像信号処理部54や、より後段の画像処理LSI58にも温度情報を通信で送ることができるようになっている。
【0068】
図10は、EPROM45に格納されるCDSタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。補正値の単位は、例えば、nsec(ナノ秒)である。補正値テーブルTBL3は、先端部11aの温度T1と本体部12の温度T2の組合せに対応して、CDS部51及びA/D部53への各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)の各補正値を格納している。
【0069】
ここでは、先端部11aの温度T1は、−10℃〜19℃と、20℃〜39℃、40℃〜59℃、60℃〜79℃、80℃〜99℃、100℃〜110℃の6つの範囲に分類し、本体部12の温度T2は、−10℃〜19℃、20℃〜39℃、40℃〜40℃の3つの範囲に分類している。そして、これらの分類の組合せの数、ここでは18個のパターンの補正値データが、補正値テーブルTBL3に記憶されている。各補正値は、先端部11aの温度D1と本体部12の温度D2に応じて、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)が適切なタイミングでフィードスルー期間T1等において出力されるようにするための補正値である。
【0070】
例えば、先端部11aの温度T1に対して、本体部12の温度T2が高くなると、AFE部42に入力される画像信号の波形は遅れてくるので、各補正値が小さくなっている。
本実施の形態におけるCPU44の処理は、第1の実施の形態の図5及び図7に示す処理と同様である。図5と図7において、温度センサの温度情報の入力処理では(S1,S12)、2つの温度センサ24と46の温度情報が入力され、CPU44は、その温度の組合せに対応する補正値をEPROM45から読み出して、TG55へ出力する。
【0071】
従って、タイミング調整部であるCPU44は、先端部11aの温度T1と本体部12の温度T2に基づいて、TG部55が発生するサンプルホールド信号(SH1,SH2)と、A/D部53への変換タイミング信号ADCKのタイミングを調整する。
【0072】
なお、本実施の形態においても、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)の位相に代えて、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のパルス幅を補正する補正値を用いて、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングを調整するようにしてもよい。
【0073】
さらになお、本実施の形態においても、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミング(すなわち位相)と共に、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のパルス幅も併せて補正する補正値を用いて、各タイミング信号(SH1,SH2,ADCK)のタイミングを調整するようにしてもよい。
【0074】
さらになお、上述した例は、タイミングパルス信号SH1,SH2,ADCKの補正をする例であるが、第1の実施の形態と同様に、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミング(すなわち位相)の補正をするようにしてもよい。
【0075】
図11は、EPROM45に格納される駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミングの補正値テーブルの例を示す図である。補正値テーブルTBL4は、CCD22へ供給される駆動パルス信号(RG,H1,H2)の各補正値を格納している。
【0076】
図11の補正値テーブルを用いた場合も、第1の実施の形態で説明した処理と同様の処理により、内視鏡装置1Aは、適切な相関二重サンプリング処理を行うことができる。
【0077】
さらに、本実施の形態においても、サンプルホールド信号(SH1,SH2)のタイミング(すなわち位相)又はパルス幅(あるいは位相とパルス幅の両方)と共に、駆動パルス信号(RG,H1,H2)のタイミング(すなわち位相)も併せて調整するようにしてもよい。すなわち、相関二重サンプリング処理が適切に行われるように、サンプルホールド信号(SH1,SH2)と駆動パルス信号(RG,H1,H2)の両方のタイミングを調整するようにしてもよい。
【0078】
従って、本実施の形態によれば、先端部11aと本体部12が離れており、それぞれが異なる温度環境下に置かれて使用されても、CDS部51において相関二重サンプリング処理が適切に行われる内視鏡装置を提供することができる。
【0079】
さらに、第1の実施の形態で説明した変形例1と変形例2の内容は、本実施の形態にも適用可能である。
【0080】
上述した各実施の形態及び各変形例によれば、細長い挿入部を有する電子内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部が種々の温度範囲で使用された場合であっても、相関二重サンプリング処理が適切にできる電子内視鏡装置を実現することができる。
【0081】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1、1A 内視鏡装置、11 挿入部、11a 先端部、12 本体部、13 LCD、14 記録媒体、21 LED、22 CCD、23 波形整形回路、24、46 温度センサ、31 カメラコントロールユニット、32 記録再生部、33 LEDドライブ回路、34 LCDドライバ回路、35 操作部、41 プリアンプ、42 アナログフロントエンド部、43 FPGA、44 CPU、45 EPROM、51 CDS部、52 AGC部、53、56,57 A/D部、54 映像処理部、55 タイミングジェネレータ、58 画像処理LSI、59 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の先端部に設けられた撮像素子と、
前記先端部の第1の温度を検出する第1の温度検出部と、
前記内視鏡挿入部の基端が接続される本体部に設けられ、前記撮像素子から出力される画像信号から信号成分を取り出すための相関二重サンプリング部と、
前記先端部と前記本体部の間で電気信号を伝送するケーブルと、
前記本体部に設けられ、前記相関二重サンプリング部を動作させるためのサンプルホールド信号及び前記撮像素子を駆動するための駆動パルス信号を発生するタイミング発生部と、
前記第1の温度検出部により検出された前記第1の温度に基づいて、前記タイミング発生部が発生する前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミングを調整するタイミング調整部と、
を有することを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】
前記本体部の第2の温度を検出する第2の温度検出部を有し、
前記タイミング調整部は、前記第1及び前記第2の温度に基づいて、前記タイミング発生部が発生する前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記タイミング調整部は、前記サンプルホールド信号のタイミングを、前記サンプルホールド信号の位相又はパルス幅を変更することによって調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項4】
前記タイミング調整部は、前記駆動パルス信号のタイミングを、前記駆動パルス信号の位相を変更することによって調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項5】
前記タイミング調整部は、前記サンプルホールド信号のタイミングを、前記サンプルホールド信号の位相又はパルス幅を変更することによって調整し、かつ前記駆動パルス信号のタイミングを、前記駆動パルス信号の位相を変更することによって調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項6】
前記相関二重サンプリング部から出力されるアナログ信号の前記画像信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部を有し、
前記タイミング調整部は、前記アナログデジタル変換部へ入力される変換タイミング信号のタイミングも調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電子内視鏡装置。
【請求項7】
前記タイミング調整部は、前記タイミングを補正する補正値を記憶するテーブルを参照して、前記テーブルから読み出された前記第1の温度に対応する補正値を用いて、前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミングを調整することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の電子内視鏡装置。
【請求項8】
前記タイミング調整部は、前記タイミングを補正する補正値を記憶するテーブルを参照して、前記テーブルから読み出された前記第1の温度と前記第2の温度の組合せに対応する補正値を用いて、前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミングを調整することを特徴とする請求項2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項9】
前記第1の温度を表示する温度表示部を有することを特徴とする請求1から8のいずれか1つに記載の電子内視鏡装置。
【請求項10】
前記先端部に設けられ、前記撮像素子へ供給される前記駆動パルス信号の波形を整形する波形整形回路を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の電子内視鏡装置。
【請求項11】
前記サンプルホールド信号あるいは前記駆動パルス信号のタイミング調整は映像のブランキング期間に行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の電子内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−228451(P2012−228451A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99851(P2011−99851)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】