説明

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】全振れが抑制される電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】軸方向両端部に開口部112を持つ円筒状の導電性基体111であって、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、軸方向両端部の内周面にインロー加工部113を持つ円筒状の導電性基体111と、導電性基体111の外周面上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体本体110を備えると共に、導電性基体111の開口部112に嵌め合わされ、開口部112の径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径の嵌合部122(具体的には、嵌合部本体122A)を有するフランジ120であって、嵌合部122(具体的には、嵌合部本体122A)が導電性基体111の開口部112に圧入されたフランジ120(支持部材120)を備えた電子写真感光体10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、一般的には以下のプロセスを有する。即ち、電子写真感光体表面を帯電手段で定められた極性および電位に帯電させ、帯電後の電子写真感光体表面を、像露光により選択的に除電することで静電潜像を形成させた後、現像手段で該静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像し、該トナー像を転写手段によって記録媒体に転写させて画像形成物として排出させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、「円筒と係合部材とを結合する結合方法において、前記円筒の内面にインロウ加工を施し、次いで前記インロウ加工を施した円筒の内面に係合部材を係合して、次いで前記円筒の複数箇所を切り曲げて前記切り曲げ部分を前記係合部材の有する凹部に係合することを特徴とする結合方法。」について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−264920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、全振れが抑制される電子写真感光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
軸方向両端部に開口部を持つ円筒状の導電性基体であって、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、軸方向両端部の内周面にインロー加工部を持つ円筒状の導電性基体と、導電性基体の外周面上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体本体と、
前記導電性基体の前記開口部に嵌め合わされ、前記開口部の径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径の嵌め合わせ部を有する支持部材であって、前記嵌め合わせ部が前記開口部に圧入された支持部材と、
を具備する電子写真感光体。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記支持部材が、樹脂と、含有量20質量%以上40質量%以下のガラス繊維と、を含んで構成され、
且つ前記支持部材の嵌め合わせ部における前記導電性基体の軸方向両端部の内周面に接触する表面の算術平均粗さRaが、0.5μm以上0.8μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記電子写真感光体本体の最表面層の磨耗量が、前記電子写真感光体本体の1000回転当たり、15nm以下である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【0009】
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0010】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、軸方向両端部の内周面にインロー加工部を持つ円筒状の導電性基体における軸方向両端部の開口部に、開口部の内径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径の嵌め合わせ部を有する支持部材の嵌め合わせ部を圧入させない構成の場合に比べ、全振れが抑制される電子写真感光体を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、支持部材が含有量20質量%以上40質量%以下でガラス繊維を含まず、嵌め合わせ部における軸方向両端部の内周面に接触する表面の算術平均粗さRaが上記範囲外の場合に比べ、全振れが抑制される電子写真感光体を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、繰り返しの画像形成による帯電性の低下が抑制される電子写真感光体を提供できる。
【0012】
請求項4、5に係る発明によれば、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、開口部を持つ軸方向両端部の内周面にインロー加工部に有する円筒状の導電性基体の開口部に、開口部の内径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径を持つ嵌め合わせ部を有する支持部材の嵌め合わせ部を圧入させない構成の電子写真感光体を適用した場合に比べ、全振れに起因する画像濃度ムラが抑制されるプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す分解概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す部分概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す概略部分断面図である。
【図5】他の本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す概略部分断面図である。
【図6】他の本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す概略部分断面図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図8】他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図9】電子写真感光体の全振れを測定する全振れ測定装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0015】
(電子写真感光体)
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す概略側面図である。図2は、本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す分解概略断面図である。図3は、本実施形態に係る電子写真感光体本体を示す部分概略断面図である。
【0016】
本実施形態に係る電子写真感光体10は、図1〜図3に示すように、電子写真感光体本体110と、電子写真感光体10の軸方向両端部をそれぞれ支持する支持部材120(以下、フランジ120と称する)と、を備える。
【0017】
電子写真感光体本体110は、例えば、円筒状の導電性基体111と、導電性基体111の外周面に設けられた感光層(図示省略)と、を備える。
【0018】
導電性基体111は、例えば、軸方向両端部に開口部112を有している。
導電性基体111の軸方向中央部の厚み(肉厚)Tc、具体的には、インロー加工部113以外の部分の厚み(肉厚)Tcは、例えば、2mm以上(望ましくは、2mm以上5mm以下、より望ましくは2mm以上3mm以下)である。
【0019】
導電性基体111の軸方向両端部の内周面には、例えば、インロー加工部113が設けられている。具体的には、導電性基体111には、例えば、軸方向両端部の内周面と軸方向両端部の内周面との境に、導電性基体111の周方向に沿って段差部113Aを有するように、軸方向両端部の厚み(肉厚)Teを軸方向中央部の厚みTcよりも薄くして、インロー加工部113が設けられている。
この軸方向中央部の厚みTcと軸方向両端部(インロー加工部113)の厚みTeとの差は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下であることがよく、望ましくは0.25mm以上1.0mm以下である
【0020】
ここで、導電性基体111は、例えば、引抜加工により円筒状の素管を得た後、素管の軸方向両端部の内周面にインロー加工を施した後、インロー加工部113を保持し、素管の外周面を切削加工等を施して製造する。
ここで、インロー加工は、各種NC旋盤により作成が可能であり、素管外周面を保持し両端部を同時に加工することにより行われる。
【0021】
一方、フランジ120は、例えば、電子写真感光体本体110の軸方向外側に位置し、導電性基体の外径と同径の円筒状のフランジ本体121と、導電性基体111の開口部112に嵌め合わされる嵌め合わせ部122(以下、嵌合部122と称する)と、を備えている。
【0022】
フランジ本体121と嵌合部122とは、例えば、円板部123を介して同軸上に連続して連結されている。そして、フランジ本体121と嵌合部122との境界部で、フランジ本体121の周方向に沿って段差部121Aが形成されている。
【0023】
フランジ本体121の外径は、例えば、導電性基体111の外径と同径で、フランジ120の嵌合部122が導電性基体111の開口部112に嵌め合わされたとき、導電性基体111の軸と同軸で、導電性基体111の軸方向外側に位置した配置される。そして、フランジ本体121の軸中央部には、例えば、電子写真感光体10を回転支持するための軸芯124が軸方向外側に突出するようにして設けられている。
【0024】
嵌合部122は、例えば、嵌合部本体122Aと、嵌合部本体122Aから導電性基体111の軸方向中央部側に突出して設けられる突出部122Bと、で構成されている。
嵌合部本体122Aは、例えば、導電性基体111の軸方向端部の内周面に接触し、嵌め合わされる部分である、
嵌合部本体122Aと突出部122Bとは、例えば、同軸上に連続して連結されている。そして、嵌合部本体122Aと嵌合部122との境界部で、嵌合部本体122Aの周方向い沿って段差部122Cが形成されている。
【0025】
嵌合部122(具体的には嵌合部本体122A)の外径R1は、例えば、導電性基体111の開口部112の径R2(具体的にはインロー加工部113での導電性基体111の内径)よりも、0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径(望ましくは、0.01mm以上0.08mm以下、より望ましくは0.01mm以上0.06mm以下)を有している。
つまり、嵌合部122(具体的には嵌合部本体122A)の外径R1と導電性基体111の開口部112の径R2(具体的にはインロー加工部113での導電性基体111の内径)との差が、上記範囲となっている。
なお、嵌合部122(つまり嵌合部本体122A)の外径R1は、導電性基体111の開口部112に嵌め合わす前の外径である。
【0026】
ここで、フランジ120は、嵌合部122を導電性基体111の開口部112に挿入し、嵌合部122の嵌合部本体122Aの外周面が導電性基体111の軸方向両端部の内周面(つまりインロー加工部113)と接触するように、嵌め合わせられることで、電子写真感光体本体110(その導電性基体111)と連結されている。
つまり、フランジ120は、導電性基体111の開口部112の径(インロー加工部113での径)よりも大きい外径を持つ嵌合部122の嵌合部本体122Aを、当該導電性基体111の開口部112に圧入することで、導電性基体111の開口部112に嵌め合わせて、電子写真感光体本体110(その導電性基体111)と連結されている。
このとき、導電性基体111の軸方向両端部における段差部113Aと、フランジ120の嵌合部122における段差部122Cと、が接触することとなる。
また、導電性基体111の軸方向両端部における端面と、フランジ120のフランジ本体121における段差部121Aと、が接触することとなる。
【0027】
以上説明した本実施形態に係る電子写真感光体10は、
軸方向両端部に開口部112を持つ円筒状の導電性基体111であって、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、軸方向両端部の内周面にインロー加工部113を持つ円筒状の導電性基体111と、導電性基体111の外周面上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体本体110と、
導電性基体111の開口部112に嵌め合わされ、開口部112の径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径の嵌合部122(具体的には、嵌合部本体122A)を有するフランジ120であって、嵌合部122(具体的には、嵌合部本体122A)が導電性基体111の開口部112に圧入されたフランジ120(支持部材120)と、
を具備して構成されている。
【0028】
ここで、電子写真方式の画像形成装置では、印刷品質並みの高画質を確保するためには、同一濃度の画像ムラ品質を向上させることが重要である。この画像濃度ムラ品質の低下要因の一つが電子写真感光体本体110における導電性基体111とそれを支持するフランジ120(支持部材120)との嵌め合わせにより発生する電子写真感光体10の全振れであることがわかってきた。
検討によると、この電子写真感光体の全振れが生じると、例えば、帯電器・現像器・転写体とのクリアランス・接触圧が変化することにより、画像に画像濃度ムラが発生することが確認された。
この「全振れ」とは、JIS B0621に、データム軸直線を軸とする円筒面を持つべき対象物をデータム軸直線の周りに回転したとき、その表面が指定した方向(半径方向)に変位する大きさをいう、と定義されている。
【0029】
そこで、本実施形態に係る電子写真感光体10では、上記構成とすることで、全振れが抑制されることを見出した。
この理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
【0030】
円筒状の導電性基体111の厚み(軸方向中央部での厚み)を2mm以上と厚肉とすることで、導電性基体111自体の一般的な作成方法である、押し出し・引き抜き方法・表面切削において、導電性基体111の表面切削時の応力開放等により支持体自体の真円度悪化・撓り等の発生が抑制された品質の高いものになると考えられる。
また、この厚みを持つ導電性基体111の軸方向両端部の内周面に、インロー加工を施し、インロー加工部113を設けることにより、フランジ120の嵌合部122(嵌合部本体122A)と導電性基体111の外周面に設ける感光層表面の真直度や、フランジ120の嵌合部122(嵌合部本体122A)の軸方向端面と導電性基体111の軸との直角度が確保されると考えられる。
なお、この厚みを持つ導電性基体111の軸方向両端部の内周面にインロー加工部113を設けた後に、導電性基体111の外面切削した場合、導電性基体支持体の微妙な偏肉による振れの悪化が抑制されると考えられる。
【0031】
そして、このような導電性基体111の開口部112に、この開口部112の径(直径)より0.01mm以上0.1mm以下の差で大きな外径持つ嵌合部122(嵌合部本体122A)を有するフランジ120の当該嵌合部122を圧入することで、圧入後のガタによる全振れの悪化が抑制されると考えられる。
なお、近年、電子写真感光体は低コスト重視の傾向とオフィス向けの観点から、安価な薄肉の円筒状の導電性基体(厚みが1mm程度の基体)を使用する傾向がある。よって、薄肉の円筒状の導電性基体の開口部の径よりも大きな外径を持つ嵌合部を有するフランジの当該嵌合部を強制的(完全圧入寸法)に嵌め合わせると、導電性基体の変形、又は圧入時のフランジの削れが発生し易くなると考えられる。
【0032】
しかし、上記如く、本実施形態では、円筒状の導電性基体111の厚みを厚肉とした上で、導電性基体111の内周面にインロー加工部113を設けることで、フランジ120の嵌合部122(嵌合部本体122A)を円筒状の導電性基体111の開口部112に完全厚入寸法で厚入して嵌め併せても、上記導電性基体111の変形やフランジの削れが発生し難いものと考えられる。
【0033】
以上から、本実施形態に係る電子写真感光体10では、全振れが抑制されるものと考えられる。
また、本実施形態に係る電子写真感光体10では、全振れの抑制が、長期に渡り維持されると共に、上記如く、簡易な導電性基体111及びフランジ120の構成で実現される。
そして、本実施形態に係る電子写真感光体10を備える画像形成装置、プロセスカートリッジでは、全振れに起因する画像濃度ムラが抑制された画像が得られることとなる
【0034】
以下、本実施形態に係る電子写真感光体10の各構成について詳細に説明する。
【0035】
−フランジ(支持部材)−
フランジ120は、フランジ本体121と嵌合部122とで構成される。
フランジ120は、例えば、樹脂(例えば、エンジニアリングプラスチックと呼ばれる、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂等)等で構成されている。
具体的には、フランジ120は、例えば、上記樹脂を用いた切削加工や、射出成形、押し出し成形等の成形加工により一体成形されている。
【0036】
特に、フランジ120は、樹脂と、ガラス繊維(含有量20質量%以上40質量%以下、望ましくは含有量30質量%以上40質量%以下のガラス繊維)と、を含んで構成され、嵌合部122における嵌合部本体122Aの外周面(嵌め合わせ部における前記軸方向両端部の内周面に接触する表面)の算術平均粗さRaを0.5μm以上0.8μm以下(望ましくは0.6μm以上0.7μm以下とすることがよい。
なお、ガラス繊維の含有量は、樹脂に対する含有量である。
【0037】
ガラス繊維としては、例えば、ガラス繊維の径は、6μm以上15μm以下がよく、望ましくは8μm以上10μm以下である。また、ガラス繊維の繊維長は、1mm以上4mm以下であることがよく、望ましくは2mm以上3mm以下のものが挙げられる。
【0038】
ガラス繊維は、例えば、表面に各種表面処理(例えばエポキシ系処理剤、シリコン系処理剤、アクリル系処理剤等)が施されていてもよい。
【0039】
ここで、フランジ120を構成する樹脂中に、ガラス繊維を上記範囲の量で含ませることで、フランジ120の成形時(例えば切削加工等)により発生する熱変形や歪が抑制され、フランジ120自体の真円度・高同軸度の確保され易くなると共に、長期に渡り使用するにあたり、熱等の環境変動にも強く、形状が維持され易くなると考えられる。
加えて、フランジ120を構成する樹脂中に、ガラス繊維を上記範囲の量で含ませることで、嵌合部122における嵌合部本体122Aの外周面に上記範囲の算術平均粗さRaが付与され易くなると考えられる。
【0040】
そして、フランジ120の嵌合部122における嵌合部本体122Aの外周面を上記範囲の算術平均粗さRaとすることで、フランジ120の嵌合部122を導電性基体111の開口部112に圧入する際、摩擦を低減し、導電性基体やフランジ120(嵌合部122)の変形や破損が抑制されると考えられる。
なお、この算術平均粗さRaが低すぎる場合、フランジ120の嵌合部122を導電性基体111の開口部112に圧入する際、導電性基体111の軸方向両端部の内周面に当該嵌合部122(嵌合部本体122A)の外周面が引っ掛かり、導電性基体やフランジ120(嵌合部122)の変形や破損が生じることがある。一方で、この算術平均粗さRaが高すぎる場合、フランジ120の嵌合部122を導電性基体111の開口部112に圧入する際、当該嵌合部122(嵌合部本体122A)の外周面の削れが発生し易くなり、導電性基体111の軸方向両端部の内周面とフランジ120の嵌合部122(嵌合部本体122A)との間に削れカスが挟まり、最終的に電子写真感光体10の全振れが悪化し易くなることがある。
【0041】
このため、フランジ120を上記構成とすることで、電子写真感光体10の全振れが抑制され易くなると考えられる。また、導電性基体やフランジ120(嵌合部122)の変形や破損が抑制される
【0042】
算術平均表面粗さRaは、触針式表面粗さ測定機(サーフコム1400A:東京精密社製等)を使用して測定した値である。その測定条件としては、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLn=4mm、基準長さL=0.8mm、カットオフ値=0.8mmとしたものである。
【0043】
−電子写真感光体本体−
電子写真感光体本体110は、例えば、円筒状の導電性基体111と、導電性基体111の外周面に設けられた感光層と、を備える。
電子写真感光体本体110は、上記構成であれば、特に制限はなく、感光層の下層に下引層を設けた構成、感光層上にさらに表面保護層を設けた構成等、周知の構成とする。
【0044】
電子写真感光体本体110として具体的には、例えば、図4〜図6に示す電子写真感光体本体が挙げられる。
図4に示す電子写真感光体本体110は、導電性基体111上に下引層1が設けられ、下引層1の上に感光層4として電荷発生層2及び電荷輸送層3が設けられ、さらに最表面層となる表面保護層5が設けられている。
図5に示す電子写真感光体本体110は、図4に示す電子写真感光体本体110と同様に電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された感光層4を備えているが、下引層1の上に電荷輸送層3、電荷発生層2、表面保護層5が順次設けられている。
図6に示す電子写真感光体本体110は、感光層4として、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層、すなわち単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層)に含有し、単層型感光層6の上には表面保護層5が設けられている。
なお、電子写真感光体本体110において、下引層1、表面保護層5は、必要に応じて設けられる層である。
【0045】
ここで、電子写真感光体本体110は、その最表面層の磨耗量が、電子写真感光体本体の1000回転当たり、15nm以下(望ましくは10nm以下、より望ましくは5nm以下)であることがよい。
電子写真感光体本体110は、繰り返しの画像形成によって、磨耗により最表面層が減膜すると、感光層の光感度が変化し、帯電性の低下し易くなる。
このため。電子写真感光体本体110は、最表面層の磨耗量を上記範囲とすることにより、電子写真感光体本体110における、繰り返しの画像形成による帯電性の低下が抑制される。その結果、印刷品質が維持された画像が、繰り返し得られる。
この最表面層の磨耗量を上記範囲とするには、例えば、最表面層として、架橋物(硬化物)を含んで構成された表面保護層5を設けたり、表面保護層5を設けない場合、最表面層となる層(例えば、電荷輸送層、単層型感光層6)を、架橋物(硬化物)を含んで構成された層とすることで実現される。
【0046】
なお、電子写真感光体本体110における、電子写真感光体本体の1000回転当たりの最表面層の磨耗量は、次のようにして測定される値である。
電子写真感光体を画像形成装置に装着し、A3サイズの普通紙を用い黒画像を画像濃度5%にて感光体の回転回数を計測しながら100000枚以上画像形成した前後における電子写真感光体の最表面層の厚さの差を求め、さらに、その値と回転回数とから電子写真感光体1000回転当たりの摩耗量に換算することで求める。
【0047】
以下、代表例として図4に示す電子写真感光体本体110に基づいて、各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。
【0048】
−導電性基体−
導電性基体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属パイプが挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
【0049】
導電性基体として、金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
【0050】
−下引き層−
下引き層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
【0051】
下引き層は、例えば、結着樹脂と、必要に応じてその他添加物とを含んで構成される。
下引き層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
【0052】
下引き層には、シリコン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物等の金属化合物等を含有してもよい。
【0053】
金属化合物と結着樹脂との比率は、特に制限されず、所望する電子写真感光体本体110特性を得られる範囲で任意に設定される。
【0054】
下引き層には、表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等が挙げられる。なお、表面粗さ調整のために下引き層を形成後、その表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
【0055】
ここで、下引き層の構成として、結着樹脂と導電性粒子とを少なくとも含有する構成が挙げられる。なお、導電性粒子は、例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満の導電性を有するものがよい。
【0056】
導電性粒子としては、例えば、金属粒子(アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの粒子)、導電性金属酸化物粒子(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの粒子)、導電性物質粒子(カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末の粒子)等が挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物粒子が好適である。導電性粒子は、2種以上混合して用いてもよい。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0057】
下引き層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた下引き層形成用塗布液が使用される。
また、下引き層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0058】
下引き層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0059】
下引き層の膜厚は、15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。
【0060】
ここで、図示は省略するが、下引き層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど点から好適である。
【0061】
中間層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた中間層形成用塗布液が使用される。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0062】
なお、中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こすことがある。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定することがよい。また、この場合の中間層を下引き層として使用してもよい。
【0063】
−電荷発生層−
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
電荷発生層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、例えば10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
【0065】
電荷発生層の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液が使用される。
【0066】
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電化発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0067】
電荷発生層形成用塗布液を下引き層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0068】
電荷発生層の膜厚は、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
【0069】
−電荷輸送層−
電荷輸送層は、電荷輸送材料と、必要に応じて結着樹脂と、を含んで構成される。そして、電荷輸送層が最表面層に該当する場合、上記如く、電荷輸送層は、上記比表面積を持つフッ素樹脂粒子を含む。
【0070】
電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、及び上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は、例えば10:1乃至1:5が望ましい。
【0072】
電荷輸送層は、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
【0073】
電荷輸送層形成用塗布液中に粒子(例えばフッ素樹脂粒子)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0074】
電荷輸送層層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
【0075】
−表面保護層−
表面保護層は、電子写真感光体本体110における最表面層であり、最表面の磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、且つ、トナーの転写効率を上げるために設けられる層である。
そのため、表面保護層は、架橋物(硬化物)を含んで構成された層を適用することがよく、これら層としては周知の構成としてもよい。
【0076】
特に、表面保護層は、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つ電荷輸送性材料の少なくとも1種と、の硬化膜で構成される。つまり、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基を少なくとも1つ持つ電荷輸送性材料(以下、「特定の電荷輸送性材料」という場合がある。)の少なくとも1種と、を含む塗布液を用いた架橋物を含んで構成されることがよい。
【0077】
まず、グアナミン化合物について説明する。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、1種単独で用いもよいが、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
【0078】
【化1】



【0079】
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。RからRは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、又は−CH−O−Rを示す。Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基を示す。
一般式(A)において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数が6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、RからRを示す「−CH−O−R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0080】
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、RからRがそれぞれ独立に−CH−O−Rを示す化合物である。また、Rは、メチル基又はn−ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、日本化学会編、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例として例示化合物:(A)−1から例示化合物:(A)−42を示すが、本実施形態はこれらに限られるわけではない。また、以下の具体例は単量体であるが、これら単量体を構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。尚、以下の例示化合物において、「Me」はメチル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基をそれぞれ示す。
【0081】
【化2】

【0082】
【化3】

【0083】
【化4】

【0084】
【化5】

【0085】
また、一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上大日本インキ社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0086】
次に、メラミン化合物について説明する。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
【0087】
【化6】

【0088】
一般式(B)中、RからR11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R12、−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法で合成される(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例として例示化合物:(B)−1から例示化合物:(B)−8を示すが、本実施形態はこれらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
【0089】
【化7】



【0090】
一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学社製)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業社製)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0091】
次に、特定の電荷輸送性材料について説明する。特定の電荷輸送性材料としては、例えば、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つものが好適に挙げられる。特に、特定の電荷輸送性材料としては、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つ電荷輸送性材料が好適に挙げられる。この如く、特定の電荷輸送性材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にブレード部材等の異物除去部材を用いた際の電子写真感光体本体の回転トルクが低減され、異物除去部材の摩耗の抑制や、電子写真感光体本体の磨耗が抑制される。この理由の詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られることから、電子写真感光体本体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材の表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
【0092】
特定の電荷輸送性材料としては、異物除去部材の摩耗の抑制や、電子写真感光体本体の磨耗を抑制する観点から、下記一般式(I)で示される化合物であることが望ましい。
F−((−R13−X)n1(R14n2−Y)n3 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が好適に挙げられる。
そして、一般式(I)で示される化合物は、下記一般式(II)で示される化合物であることが望ましい。一般式(II)で示される化合物は、特に、電荷移動度、酸化などに対する安定性等に優れる。
【0093】
【化8】

【0094】
一般式(II)中、ArからArは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R13−X)n1(R14n2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
一般式(II)中、Dを示す「−(−R13−X)n1(R14n2−Y」は、一般式(I)と同様であり、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基である。また、n1として望ましくは、1である。また、n2として望ましくは、1である。また、Xとして望ましくは、酸素である。また、Yとして望ましくは水酸基である。
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn3に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。
また、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を一分子中に2以上4以下、望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特に異物除去用のブレード部材を用いた際の電子写真感光体本体の回転トルクが低減され、ブレード部材の摩耗の抑制や、電子写真感光体本体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、前述したように、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体本体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材の表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
【0095】
一般式(II)中、ArからArとしては、下記式(1)から(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)から(7)は、各ArからArに連結され得る「−(D)」と共に示す。
【0096】
【化9】

【0097】
式(1)から(7)中、R15は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R16からR18はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、D及びcは一般式(II)における「D」、「c」と同様であり、sはそれぞれ0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
【0098】
【化10】

【0099】
式(8)から(9)中、R19及びR20はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)から(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
【0100】
【化11】

【0101】
式(10)から(17)中、R21及びR22はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
上記式(16)から(17)中のWとしては、下記(18)から(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
【0102】
【化12】

【0103】
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはArからArの説明で例示された上記(1)から(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)から(7)のアリール基から水素原子を除いたアリーレン基である。
【0104】
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
【0105】
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物I−1乃至I−34が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
【0106】
【化13】

【0107】
【化14】

【0108】
【化15】

【0109】
【化16】

【0110】
【化17】

【0111】
【化18】

【0112】
【化19】

【0113】
ここで、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の含有量(塗布液における固形分濃度)は、0.1質量%以上5質量%以下であり、望ましくは1質量%以上3質量%以下である。この固形分濃度が、0.1質量%未満であると、緻密な膜となりにくいため十分な強度が得られ難く、5質量%を超えると電気特性や耐ゴースト(画像履歴による濃度ムラ)性が悪化することがある。
一方、特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種の含有量(塗布液における固形分濃度)は、90質量%以上であり、望ましくは94質量%以上である。この固形分濃度が90質量%未満であると電気特性が悪化するおそれがある。なお、この固形分濃度の上限は、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種や、他の添加剤が有効に機能する限り限定されるものではなく、多いほうが望ましい。
【0114】
以下、表面保護層についてさらに詳細に説明する。
表面保護層には、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送性材料(一般式(I)で示される化合物)との架橋物と共に、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを混合して用いてもよい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」、味の素ファインテクノ(株)製)など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
【0115】
また、表面保護層には、放電生成ガスを吸着しすぎないように添加することで放電生成ガスによる酸化を効果的に抑制する目的から、フェノール樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
また、表面保護層には界面活性剤を添加することが望ましく、用いる界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも1種類以上の構造を含む界面活性剤であれば特に制限はないが、上記構造を複数有するものが電荷輸送性有機化合物との親和性・相溶性が高く表面保護層用塗布液の成膜性が向上し、表面保護層のシワ・ムラが抑制されるため、好適に挙げられる。
【0116】
また、表面保護層には、さらに、膜の成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、カップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。この化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
【0117】
また、表面保護層の放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度制御、トルク低減、磨耗量制御、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
ここで、アルコールに可溶な樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。
【0118】
表面保護層には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが望ましい。電子写真感光体本体表面の機械的強度を高め、電子写真感光体本体が長寿命になると、電子写真感光体本体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系又はヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
【0119】
更に、表面保護層には、残留電位を下げる目的、又は強度を向上させる目的で、各種粒子を添加してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。
また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
また、表面保護層には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。
【0120】
表面保護層は、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種とを、酸触媒を用いて硬化させた硬化膜が望ましい。酸触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、及び芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。
【0121】
ここで、触媒の配合量は、上記グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の量(塗布液における固形分濃度)に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが望ましく、特に10質量%以上30質量%以下が望ましい。この配合量が上記範囲未満であると、触媒活性が低すぎることがあり、上記範囲を超えると耐光性が悪くなることがある。なお、耐光性とは、感光層が室内光などの外界からの光にさらされたときに、照射された部分が濃度低下を起こす現象のことを言う。原因は、明らかではないが、特開平5−099737号公報にあるように、光メモリー効果と同様の現象が起こっているためであると推定される。
【0122】
以上の構成の表面保護層は、上記成分を混合した表面保護層形成用塗布液を用いて形成される。表面保護層形成用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じて溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用されるが、望ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
【0123】
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、室温(例えば25℃)以上100℃以下、望ましくは、30℃以上80℃以下で10分以上100時間以下、望ましくは1時間以上50時間以下加温しても良い。また、この際に超音波を照射することも望ましい。これにより、恐らく部分的な反応が進行し、塗膜欠陥が少なく、厚さのバラツキが少ない膜が得られやすくなる。
そして、表面保護層形成用塗布液を、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、表面保護層が得られる。
【0124】
以上、機能分離型の電子写真感光体本体を例に説明したが、例えば図6に示す単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)を形成する場合は、電荷発生材料の含有量は10質量%以上85質量%以下程度が望ましく、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。単層型感光層の厚さは5μm以上50μm以下程度が望ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに望ましい。
【0125】
(画像形成装置・プロセスカートリッジ)
図7は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図7に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(被転写媒体)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(トナー除去手段の一例)とを備える。そして、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60が設けられている。
【0126】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0127】
−帯電装置−
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
【0128】
−露光装置−
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
【0129】
−現像装置−
現像装置40は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置された現像ロール41が備えられた構成が挙げられる。現像装置40としては、トナーからなる一成分現像剤により現像する装置であっても、トナーとキャリアを含む二成分現像剤により現像する装置であってよく、周知の構成が採用される。
【0130】
−転写装置−
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0131】
(クリーニング装置)
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシ73と、を含んで構成されている。また、クリーニングブラシ73には、例えば、固形状の潤滑剤74が接触して配置されている。
【0132】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
【0133】
帯電装置20によって表面が負に帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に潜像が形成される。
【0134】
電子写真感光体10における潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40(現像ロール41)により、潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0135】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印aに方向にさらに回転すると、転写装置50によりトナー像は記録紙Pに転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0136】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置60でトナー像が定着される。
【0137】
なお、本実施形態に係る画像形成装置101は、例えば、図8に示すように、筐体11内に、電子写真感光体10、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、及びクリーニング装置70を一体に収容させたプロセスカートリッジ101Aを備えた形態であってもよい。このプロセスカートリッジ101Aは、複数の部材を一体的に収容し、画像形成装置101に脱着させるものである。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
【0138】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、転写装置50よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置20よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体10の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
【0139】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限れず、周知の構成、例えば、電子写真感光体10に形成したトナー像を中間転写体に転写した後、記録紙Pに転写する中間転写方式の画像形成装置を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0140】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0141】
[電子写真感光体本体の作製]
−電子写真感光体本体(1)−
・導電性基体の準備
次のようにして、円筒状の導電性基体として円筒状のアルミニウム基体を製造した。
まず、Al−Mg系アルミニウム合金(JIS A5056合金)を引抜装置により、パイプの引抜加工を行い、素管を製造した。
次に、素管の軸方向両端部の内周面(端部から10mm軸方向内側までの内周面)に対して、精密NC旋盤によりインロー加工を施し、インロー加工部を形成した。
そして、インロー加工を施した素管の外周面を切削加工を施した。
上記工程を経て、外径84mm、全長340mm、インロー加工部以外の肉厚2.0mm、インロー加工部の肉厚1.75mm、開口部の径80.50mmの円筒状のアルミニウム基体(導電性基体)を製造した。
【0142】
・電子写真感光体本体の製造
次のようにして、電子写真感光体本体を製造した。
まず、酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
【0143】
次に、表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
【0144】
次に、このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン :25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
【0145】
次に、得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製):45質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に塗布し、190℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
【0146】
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)を1質量部、及び酢酸n−ブチルを100質量部混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.10μmの電荷発生層を形成した。
【0147】
次に、下記式(CT−1)で示される電荷輸送材料42質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製 Z800)58質量部とをテトロヒドロフラン280質量部及びトルエン120質量部に十分に溶解混合した塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃、40分で乾燥することにより、膜厚23μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電子写真感光体本体(1)を製造した。
【0148】
【化20】

【0149】
―電子写真感光体本体(2)―
グアナミン樹脂「ニカラックMW−30(日本カーバイト社製)」0.09質量部、電荷輸送材料として上記例示化合物(I−30)99質量部、及びp−トルエンスルホン酸触媒0.15質量部、をシクロペンタノールに溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。
電子写真感光体本体(1)上(つまり、その電荷輸送層上)に、得られた保護層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した。その後、145℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚8.0μmの表面保護層を形成した。
このようにして、電子写真感光体本体(2)を製造した。
【0150】
[フランジの製造]
−フランジ(1)−
樹脂(種類テイジン化成株式会社製 ガラス繊維入り樹脂パンライト)を用いてガラス繊維を30質量%で混練した樹脂組成物を用いて、射出成形により、フランジ本体の外径84.00mm、嵌合部(嵌合部本体)の外径80.490mm、嵌合部(嵌合部本体)の表面の算術表面粗さRa0.75μmのフランジ(1)を製造した(図2、図3参照)
【0151】
−フランジ(2)〜(15)−
表1に従って、フランジ本体の外径及び嵌合部(嵌合部本体)の外径の寸法と、ガラス繊維の含有量と、必要に応じて表面加工を行い算術表面粗さRaと、を調整した以外は、フランジ(1)と同様にして、フランジ(2)〜(15)を製造した(図2、図3参照)
【0152】
[実施例1〜13、比較例1〜4]
表2に従って、製造した、電子写真感光体本体とフランジとを組み合わせ、電子写真感光体本体の導電性基体における軸方向両端部の開口部に、フランジの嵌合物を嵌め合わせ、電子写真感光体を得た。
【0153】
[評価]
得られた電子写真感光体について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0154】
−全振れ−
電子写真感光体の全振れについて、次のようにして測定し、評価した。
全振れの測定は、図9に示す全振れ測定装置によって実施した。図9に示すように、被測定物である電子写真感光体Aの軸芯B(フランジの軸芯)を通し、VブロックC上に静かに載せる。電子写真感光体Aの軸芯Bは、回転装置Dに連結しており、これによって電子写真感光体Aは回転する。電子写真感光体Aの回転数は、駆動制御装置(図示していない)によって適切な回転数に調整した。回転数は3rpmで行った。
振れを測定するセンサとしては、透過式レーザーであるキーエンス社製LS−3100を使用し、レーザー発光部Eとレーザー受光部Fにて、電子写真感光体Aの回転に合わせて円周方向の振れのサンプリングを行った。これらの出力信号は、専用線(図示していない)によって電気信号として出力され、演算装置(図示していない)に入力される。電子写真感光体Aの1回転におけるサンプリング数は演算装置によって任意に設定され得るが、30ポイントで測定した。
レーザー発光部Eとレーザー受光部Fは、受台Gの上に載っており、受台GはリニアガイドHを介して定盤Lに固定されている。レーザー発光部Eとレーザー受光部Fは、駆動装置Jを駆動させることにより、ボールねじ受けKによって支持されているボールねじIが回転し、ボールねじIが連結している受台Gが電子写真感光体Aの軸方向(矢印方向)に往復動する。駆動装置Jは、駆動制御装置(図示していない)によって、オン/オフの状態になり、軸方向の任意の位置に停止できるようになっている。そして、軸方向の9か所に移動、停止するように設定し、それぞれの位置における振れの測定を行った。
上記の方法によって測定した振れは、RS232Cケーブルを介してデータ処理装置(NEC社製、98NOTE SX/E)によって演算し、全振れを算出した。
【0155】
−画像濃度ムラ−
得られた電子写真感光体を画像形成装置(富士ゼロックス社製「DocuCentre 1257GA」)に装着し、一般環境(22℃、50%RH)の環境下、A3用紙(C2紙 富士ゼロックス社製)で黒のハーフトーン画像(画像濃度45%)を出力し、出力画像について画像濃度ムラを評価(初期画像濃度ムラ評価)した。
そして、同環境下、エリアカバレッジ(画像1枚当たりの画像存在率)5% で、400000枚出力後、A3用紙でハーフトーン画像(画像濃度45%)を出力し、出力画像について画像濃度ムラを評価(長期画像濃度ムラ評価)した。
画像濃度ムラの評価基準は、以下の通りである。
◎:画像濃度ムラの発生は無く、さらに高画質領域での使用上で問題ない
○:画像濃度ムラの軽微な発生は有るが、実使用上問題ない
△:濃画像度ムラの発生が多数有り、問題が確認される
×:画像濃度ムラの発生が全体に有り、実使用上耐えられない
【0156】
−電子写真感光体の最表面層の磨耗量−
電子写真感光体の最表面層の磨耗量(電子写真感光体1000回転当たりの磨耗量)は、上述の画像濃度ムラ試験前後における電子写真感光体の最表面層の厚さを測定し、その差から400000枚印字における摩耗量を求め、その値と感光体の回転回数とから電子写真感光体1000回転あたりの摩耗量に換算して求めた。
【0157】
【表1】

【0158】
【表2】

【0159】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、電子写真感光体の全振れが抑制されていると共に、初期、長期いずれの画像濃度ムラ評価も良好となっていることがわかる。
【符号の説明】
【0160】
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 感光層、5 表面保護層、6 単層型感光層、10 電子写真感光体、11 筐体、20 帯電装置、30 露光装置、40 現像装置、41 現像ロール、50 転写装置、60 定着装置、70 クリーニング装置、71 筐体、72 クリーニングブレード、73 クリーニングブラシ、74 潤滑剤、101A プロセスカートリッジ、101 画像形成装置、110 電子写真感光体本体、111 導電性基体、112 開口部、113 インロー加工部、113A 段差部、120 フランジ(支持部材)、121 フランジ本体、121A 段差部、122 嵌合部、122A 嵌合部本体、122B 突出部
122C 段差部、123 円板部、124 軸芯、A 電子写真感光体、B 軸芯、C ブロック、D 回転装置、E レーザー発光部、F レーザー受光部、G 受台、H リニアガイド、J 駆動装置、L 定盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向両端部に開口部を持つ円筒状の導電性基体であって、軸方向中央部の厚みが2mm以上で、軸方向両端部の内周面にインロー加工部を持つ円筒状の導電性基体と、導電性基体の外周面上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体本体と、
前記導電性基体の前記開口部に嵌め合わされ、前記開口部の径よりも0.01mm以上0.1mm以下の範囲で大きい外径の嵌め合わせ部を有する支持部材であって、前記嵌め合わせ部が前記開口部に圧入された支持部材と、
を具備する電子写真感光体。
【請求項2】
前記支持部材が、樹脂と、含有量20質量%以上40質量%以下のガラス繊維と、を含んで構成され、
且つ前記支持部材の嵌め合わせ部における前記導電性基体の軸方向両端部の内周面に接触する表面の算術平均粗さRaが、0.5μm以上0.8μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記電子写真感光体本体の最表面層の磨耗量が、前記電子写真感光体本体の1000回転当たり、15nm以下である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−103473(P2012−103473A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251800(P2010−251800)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】