説明

電子写真感光体の梱包用支持体

【課題】中敷を使用せず、中敷と支持体の擦れによる紙粉やクズの発生が防止でき、また、一定体積に搭載できる電子写真感光体の数も多くでき、コストが低減できる、電子写真感光体の梱包用支持体を提供すること。
【解決手段】並列された複数の電子写真感光体の軸方向に対して略垂直に配置され、複数の電子写真感光体の端部を、梱包用支持体に設けられた凹部によって同時に上下から挟んで保持する梱包用支持体であって、該凹部が、上記並列された複数の電子写真感光体の上段又は下段に並列された複数の電子写真感光体の端部をも同時に上下から挟んで保持できるように、梱包用支持体の上部と下部に設けられていることを特徴とする梱包用支持体、それを使用した電子写真感光体の梱包方法、及び、上記の梱包用支持体を用いて電子写真感光体が梱包されている梱包箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体の梱包用支持体及びそれを用いた梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンター、印刷機等の画像形成装置においては、電子写真感光体(以下適宜、単に「感光体」と略記する)が用いられている。この感光体は、通常、円筒形状の感光体ドラムの外周表面に感光層を形成したものとして構成されている。そして、このような感光体を運搬する際に、その表面に傷がつくと、形成される画像の品質が低下するため、運搬時に感光体を保護するための様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1〜8)。
【0003】
また、この感光体ドラムの端部には、画像形成装置又はそのカートリッジに結合させるための、フランジ、ギア、カップリング、ベアリング等の結合部材が設けられている場合があり、その結合部材の外接円の直径が感光体ドラムの直径と異なっていたり、左右の端部で異なった形状をしていたりするので、このような感光体を表面に傷が決してつかないように運搬するには、特殊な技術が必要である。
【0004】
その中でも、図10に記載したように、感光体を運搬する際に、ダンボール紙の容器内に支持体をその両端に配置し、その支持体にて感光体の端部を保持して収納することが広く行なわれてきた(特許文献6参照)。
【0005】
しかしながら、図10のような支持体を使用する方式では、図10に示したようにプレート状の中敷を支持体(2)の下に配置し、その上に受け側の支持体(3)を載せ、受け側に形成された凹部(2−A)に感光体を載せてから、更に、押さえ側支持体(3)に形成された凹部(3−A)の間に挟み、支持体(2)と支持体(3)を安定させてから次の段の支持体を乗せなければならず、部品点数が多くなりコストが上がる一方、部材同士の擦れ等により紙粉やクズが発生して感光体に悪影響を及ぼす場合があった。そして、それを防止する為に、感光体に樹脂の保護材等を巻くことも知られているが、コスト的な観点からは好ましくなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−244326号公報
【特許文献2】特開平9−295665号公報
【特許文献3】特開平10−039567号公報
【特許文献4】特開平10−157763号公報
【特許文献5】特開2002−189321号公報
【特許文献6】特開2002−196511号公報
【特許文献7】特開2002−207278号公報
【特許文献8】特開2005−234428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、今まで必要であった中敷が必要なくなり、コストが低減でき、中敷と支持体の擦れによる紙粉やクズの発生が防止でき、また、一定体積に搭載できる感光体の数も多くできる、電子写真感光体の梱包用支持体を提供することにあり、またそれを用いた梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、上段又は下段に並列された複数の電子写真感光体の端部をも同時に上下から挟んで保持できるように、梱包用支持体の上部と下部に凹部を設けることによって、上記課題が解決できることを見出して本発明を完成するに至った。また、特定の形状の凹部を設けることによって、種々の形状の「感光体の端部」に対応し汎用性を持たせることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、並列された複数の電子写真感光体の軸方向に対して略垂直に配置され、複数の電子写真感光体の端部を、梱包用支持体に設けられた凹部によって同時に上下から挟んで保持する梱包用支持体であって、該凹部が、上記並列された複数の電子写真感光体の上段又は下段に並列された複数の電子写真感光体の端部をも同時に上下から挟んで保持できるように、梱包用支持体の上部と下部に設けられていることを特徴とする梱包用支持体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の梱包用支持体を用いることを特徴とする電子写真感光体の梱包方法を提供するものである。また、本発明は、感光体の両端の結合部材に外径差のある感光体を支持する際に、上記梱包用支持体を用いて、1段ずつ交互に感光体の向きを変えて積み重ねることを特徴とする梱包方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記の梱包用支持体を用いて電子写真感光体が梱包されていることを特徴とする梱包箱を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の梱包用支持体を用いることにより、今まで必要であった中敷が必要なくなり、コストが低減するほか、中敷と支持体の擦れによる紙粉やクズの発生が防止でき、感光体のキズや、輸送時のクズ発生等の影響による品質異常の発生をなくすことができる。また、感光体梱包時に、従来よりも包材の部品点数を減らすことが可能となり、種々の形状の感光体端部に対応させることが可能になる。また、一定体積に搭載できる感光体の数も多くでき、場所もとらず運搬等が容易になるほか、感光体を効率よく梱包箱内に充填できるため、包材コストの削減も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0014】
本発明の梱包用支持体は、並列された複数の感光体の軸方向に対して略垂直に配置され、複数の感光体の端部を、梱包用支持体に設けられた凹部によって同時に上下から挟んで保持することを特徴としている。図1は、本発明の梱包用支持体の態様とその使用方法を示す一例である。例えば、図1では、左に4個、右に4個の計8個の本発明の梱包用支持体2を用いて、1段に5本の感光体1が並列しており、その並列された感光体1の端部をそれぞれ挟んで保持している。並列された複数の(図1では5本の)感光体1は、例えば図1では、3段に積み重ねられている。そして、梱包用支持体2の最上部と最下部には、梱包板4がそれぞれ設けられている。そして、これら全ては梱包箱内に収められて移送や輸送される。
【0015】
本発明おいては、梱包板4の上に梱包用支持体2を配置し、その上に更に梱包用支持体2を載せることで、従来のように(図10参照)中敷をドラムの配列1段毎に配置する必要がなくなる上、梱包用支持体2の天面25と底面26に凹部21が形成されているので、感光体1の積み重ね高さを従来のものに比較して低くできるので、同一容積での充填密度が向上し、輸送の効率化が図れる。
【0016】
本発明の梱包用支持体2の一例の斜視図を図2に示す。本発明の梱包用支持体2は、感光体1の軸方向に対して略垂直に配置され、複数の感光体1の端部を、梱包用支持体2に設けられた複数の凹部21によって同時に上下から挟んで保持できるように、凹部21が、梱包用支持体2の上部(21a)と下部(21b)に設けられている。梱包用支持体2の上部に凹部21aが、下部に凹部21bが設けられているのは、並列された複数の感光体1に対して、その上段又は下段に並列された複数の感光体1の端部をも、同じ梱包用支持体2によって挟んで保持できるようにするためである。
【0017】
梱包において、並列された複数の感光体1の本数、すなわち、本発明の梱包用支持体2の上側又は下側に設けられた凹部21の個数は特に限定はなく、人の持ち運びやすい梱包箱のサイズに合わせて適宜設定すればよい。図1〜3、図5〜7においては、5個の凹部21が設けられ、1段に5本の感光体1が保持できるようになっているが、効率の良い梱包や運搬、強固な梱包等ができるように定めればよい。
【0018】
梱包において、並列された複数の感光体1の積み重ねられた段数(以下、「積み段数」と略記する)、すなわち、それは、1つの梱包に要する「本発明の梱包用支持体2の個数」の半分(片側だけの個数)から1を引いた数に等しい。かかる積み段数(個数)には、各段の感光体1の上記本数と同様に特に限定はない。図1においては、3段に「並列された複数の感光体1」が梱包されている。積み段数は、運びやすい梱包箱のサイズに合わせ、効率の良い梱包や運搬、強固な梱包等ができるように定めればよい。
【0019】
本発明の梱包用支持体2を用いた場合、より好適には、積み段数を偶数段とすることによって、梱包箱の積上げ高さ方向に段差ができにくくなって、梱包された感光体1が落下振動に対して、製品のキズの発生やクズの発生を抑えることが可能となる。
【0020】
凹部21の形状は特に限定はなく、図2〜図9に示したように、多角柱又は略円柱をそれらの中心軸を含むように実質的に半分に切ったような形状で窪んでいるか、又は、多角柱又は略円柱を中心軸からずらして中心軸に平行に半分より小さく切ったような形状で窪んでいることが好ましい。このことによって、感光体1の端部を多くの点で支えることができる。
【0021】
上記「略円柱」は円柱であることが特に好ましい。凹部21の形状を規定する略円柱の底面の直径(図2及び図3において、Lで示されている)は、感光体1の直径Mに適応するように決められる。すなわち、ほぼ同じ(L=M)か、後述するように一定長さだけLの方をMより大きく決められる。また、感光体1の端部には、画像形成装置又はカートリッジに結合させるための、フランジ、ギア、カップリング、ベアリング等の結合部材が設けられている場合があるが、その場合には、結合部材の外接円24(以下、この直径も「M」とおく)に対応して、上記したように「略円柱の底面の直径」Lが決められる。
【0022】
凹部21は、図2〜図7では円柱を切った形状をしているが、多角柱を、その多角柱の軸方向に切ったような形状で窪んでいることも、上記した理由で好ましい。この場合であっても、その多角柱の底面の多角形の内接円23の大きさは、上記した略円柱の場合と同様に決められる。上記凹部の内接円23の直径をLとして、上記と同様の内容が適用される。
【0023】
略円柱の場合であっても、多角柱の場合であっても、凹部21の形状は、その中心軸を含むように軸方向に実質的にほぼ半分に切ったような形状で窪んでいることが好ましいが、中心軸から一定の距離pだけずらして中心軸に平行に、すなわち、ちょうど半分より体積が小さくなるように、中心軸に平行に切ったような形状で窪んでいることがより好ましい。
【0024】
すなわち、図3及び図4は梱包用支持体2の長手方向の断面図であるが(図3及び図4では、梱包用支持体2を斜線で示している)、図3に示したように、軸方向に中心軸からpだけずらし、半分より一定距離pだけ浅く切ったような形状で窪んでいることがより好ましい。図3において、pは、凹部21の形状を規定する円柱の底面の円の中心Oから、梱包用支持体2の天面又は底面を形作る面までの距離である。pだけ浅く凹部21を設けることによって、感光体1を凹部21に入れ易く、また凹部21から取り出し易くなる。また、種々の外径の感光体1に対応できるようになり、梱包用支持部体2の汎用性が向上する。
【0025】
p/Lの値は上記効果を奏するならば特に限定はないが、0.6以下が好ましく、0.01〜0.1が特に好ましい。上記範囲であるとき、より安定した梱包が可能となる。
【0026】
上記凹部21の形状について、特に好ましくは、上記凹部21の内接円23が、上記凹部21が保持すべき感光体1の端部の外接円24より大きくなるように上記凹部21が設けられていることである。「凹部の内接円」とは、凹部21の形状が略円柱を半分に切った形状の場合には、その底面の略円の内接円をいい、凹部21の形状が多角柱を半分に切った形状の場合には、その底面の多角形の内接円をいう。また、「感光体の端部の外接円」とは、感光体1が感光体ドラムだけの場合には感光体ドラムの断面の正円そのもの、又は、感光体1の端部に前記結合部材が設けられている場合にあっては、その結合部材の外接円をいう。保持される「感光体ドラムの直径又は感光体1の端部の外径」、すなわち外接円24の直径を、前記した通り「M」とする。
【0027】
図4に示したように、凹部21a及び凹部21bを、保持される感光体1の外接円24よりも大きく設計することで、又は、M<Lとなるように設計することで、ドラムの置き易さや取り出し易さが向上し、接触部位が減るためにクズが出にくくなり、感光体1の当てキズの発生を防止することができるので特に好ましい。また、凹部21が、このような形状をしていることによって、感光体1の端部にどのような形状の結合部材が設けられている場合であっても、感光体1がずれないように、梱包用支持部体2に設けられた凹部21aと凹部21bによって上下から挟んで保持することができる。すなわち、L<Mの場合には、感光体1が凹部21に入らない場合があるが、M<Lと設計しておくことで、種々の外径の感光体1に対応でき、金型の種類を減らせることができ、梱包用支持部体2の汎用性が向上する。
【0028】
なお、凹部21は、このように大きめの形状をしていても、梱包用支持体には弾性があるので、少なくとも上下2点で保持できれば充分であり、また、実際は点ではなく上下とも線で保持することになるため、ずれたり不安定になったりすることはない。
【0029】
LとMの相違は上記効果を奏するならば特に限定はないが、(L−M)/Mの値として、0.2以下が好ましく、0.05〜0.1が特に好ましい。
【0030】
梱包用支持体2には、感光体1の軸方向の位置を決めるストッパー部22が設けられていることが好ましい。ストッパー部22は、感光体1を軸方向に押さえ付けて感光体1が動かないように設けられる。ストッパー部22は、図2に示すように、通常は凹部21の内部、特に凹部の「保持される感光体1の軸方向の」最奥部(突き当り部)に設けられる。
【0031】
上記凹部21の形状は、本発明の梱包用支持体2の上部に設けられた凹部21aの全てについては(凹部21a同士については)同一形状であることが好ましい。本発明の梱包用支持体2の下部に設けられた凹部21bについても、同様に全て同一形状であることが、同様の理由で好ましい。
【0032】
凹部21aと凹部21bの形状は同一でも異なっていてもよいが、感光体1の端部の結合部材の形状や質量、又は結合部材の外接円24の直径が大きく異なる場合には、図6に一例を示したように、それに応じて異なっていてもよい。
【0033】
しかしながら、凹部21を前記のような形状にすることで、梱包用支持体2に汎用性を持たせることができるので、その特長を生かすためにも、凹部21aと凹部21bの形状は同一であることが特に好ましい。また、上記凹部21の形状は、全て同一形状であることが特に好ましい。凹部21について、全て同一形状であることにより、本発明の梱包用支持体2を多数の感光体1の品種間で共用することが可能になり、金型の種類を減らせ、梱包用支持体2のイニシャル及びランニング双方のコストの低減が可能となる。
【0034】
本発明の梱包用支持体2を使用して、感光体1の両端の結合部材の外接円24の直径M(結合部材の外形)の異なる感光体1を、梱包箱内に積上げる際に、同一段内において、感光体1の同一端部が同一方向に並ぶように並べ、かつ次の段内において、感光体1の同一端部が前段の方向とは反対の方向に並ぶように積上げることが好ましい。すなわち、感光体1の左右両端部の結合部材に外径差のある感光体1を支持する際に、本発明の梱包用支持体2を用いて、1段ずつ交互に感光体1の左右の向きを変えて梱包する梱包方法が好ましい。そうすることによって、梱包全体の重量のバランスが良くなる、感光体1の接触の可能性が少しでも減らせる、積み重ねた左右の段の積み重ね高さをほぼ同じにできる等の効果がある。
【0035】
また、積み段数を偶数段とすることが特に好ましい。そうすることによって、梱包箱の積上げ高さ方向に段差ができにくくなって、梱包された感光体1が、梱包箱全体の落下振動に対して製品のキズの発生やクズの発生を抑えることが可能となる。
【0036】
梱包用支持体2の天面25と底面26はフラットであり、梱包用支持体2に付属するその他の部位が、該天面25及び該底面26と同等の高さでフラットを保っているか、又は、該天面25及び該底面26を超えない高さしか有さないものであることが好ましい。フラットでないと、梱包用支持体2を積み重ねた時に安定しない場合があり、最下段では中梱包板4に対して不安定になる場合がある。本発明では、中敷を使わなくても梱包用支持体を安定して梱包箱の内部に配置するものであるため、梱包用支持体2の天面25と底面26は、特にフラットであることが好ましい。但し、積み重ねた時に凸部に対して凹部が逃げるような設計になっていればその限りではない。ここで、「その他の部位」としては、梱包用支持体2を固定するための凹凸形状部等が挙げられる。
【0037】
梱包用支持体2の上部と下部に設けられた上記凹部21は、上部の凹部21aと下部の凹部21bで、図2〜4、6、7のように、互い違いにずれて並列して設けられていても、図5のように、互い違いにずれていることなく上下同じ位置に、並列して設けられていてもよいが、1つの梱包箱に梱包できる感光体1の本数を多くし、作業性、コスト等の点で、凹部21aと凹部21bは、互い違いにずれて並列して設けられていることが好ましい。このように積み重ねることで、一定体積に対する梱包本数を、従来の方法に比較して約1.5倍にすることができる。
【0038】
上記凹部21は、図2、5、6、9に示したように、梱包用支持体2の片側だけに設けられていてもよいが、図7及び図8に一例を示したように両側に設けられていることも好ましい。図8は、図4、図7の断面図である。図7及び図8のように凹部21が両側に設けられていると、感光体1を右側から保持するための梱包用支持体2と左側から保持するための梱包用支持体2とを区別することなく、同一形状のものが左右両方に使用できるので、梱包部品の種類の削減、それに伴うコストの削減が可能になる。
【0039】
本発明の梱包用支持体2においては、図3に示したように、上記凹部21の内接円23間の最短距離qが5mm以上となるように、上記凹部21同士の間隔をとって上記凹部21が設けられていることが好ましい。すなわち、上記凹部21が、隣の凹部21との最短距離qが5mm以上となるように凹部同士の間隔をとって設けられていることが好ましい。上記qは、5〜8mmが特に好ましい。
【0040】
qを5mm以上にしておけば、その結果、支持される感光体1の外周間距離も5mm以上となるため、感光体1同士の接触の危険性を回避でき、感光体1の取り扱いによるキズが発生し難い。qが小さ過ぎるということは、支持される感光体1同士の間隔が狭くなることを意味し、特に人手を介して感光体1の出し入れをする場合に、作業ミスにより感光体1の表面にキズを付けることが多くなる場合がある。一方、qが大き過ぎると、1つの梱包箱に梱包できる感光体1の本数が少なくなり、作業性、コスト等の点で好ましくない場合がある。
【0041】
凹部21の形状は、汎用性を考慮すると前記したものが好ましいが、図9に示したように、感光体1の端部に設けられた結合部材の形状に実質的に一致するように窪んでいてもよい。
【0042】
梱包用支持体2の材質は特に限定はないが、紙、ダンボール又は樹脂であることが、コスト面等の点で好ましい。また、緩衝性を有する材料であることが、梱包された感光体1が、落下振動等の各種耐輸送条件に十分耐えることが可能となる点で特に好ましい。
【0043】
梱包用支持体2で保持された感光体1は、要すれば図1のように梱包板4を用いて、全体を梱包箱に梱包され、輸送、移送等される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の梱包用支持体と梱包方法は、中敷の必要がないため中敷と支持体の擦れによる紙粉やクズの発生が防止でき、輸送時につく感光体のキズによる品質異常をなくすことができ、包材の部品点数を減らすことができ、種々の形状の感光体端部に対応させることができ、搭載できる感光体の数を多くできるため、流通過程での輸送、工場間での輸送をはじめ、工場内での移送等にも広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の梱包用支持体を使用して感光体を梱包した一例の全体図である。
【図2】本発明の梱包用支持体の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の梱包用支持体における凹部の大きさと位置関係の一例を示す縦方向の断面図である。
【図4】本発明における感光体と凹部との好ましい関係を示す縦方向の断面図である。
【図5】本発明の梱包用支持体の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の梱包用支持体の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の梱包用支持体の一例を示す斜視図である。
【図8】図4、図7に示す本発明の梱包用支持体の一例の横方向の断面図である。 (a)図4におけるB断面図 (b)図4におけるA断面図
【図9】本発明における凹部の一例を示す斜視図である。
【図10】比較の支持体及び中敷とそれを使用して感光体を梱包した全体図である。
【符号の説明】
【0046】
1 電子写真感光体
2 梱包用支持体
21 凹部
21a 上の凹部
21b 下の凹部
22 ストッパー部
23 凹部21の内接円
24 電子写真感光体1の(結合部材の)外接円
25 梱包用支持体2の天面
26 梱包用支持体2の底面
4 梱包板
O 凹部21の形状を規定する円柱の底面の円の中心
L 内接円23の直径
M 外接円24の直径
p Oから、梱包用支持体2の天面25又は底面26を形作る面までの距離
q 内接円23間の最短距離(隣の凹部との最短距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された複数の電子写真感光体の軸方向に対して略垂直に配置され、複数の電子写真感光体の端部を、梱包用支持体に設けられた凹部によって同時に上下から挟んで保持する梱包用支持体であって、該凹部が、上記並列された複数の電子写真感光体の上段又は下段に並列された複数の電子写真感光体の端部をも同時に上下から挟んで保持できるように、梱包用支持体の上部と下部に設けられていることを特徴とする梱包用支持体。
【請求項2】
梱包用支持体の上部と下部に設けられた上記凹部が、上部と下部で互い違いに並列して設けられている請求項1記載の梱包用支持体。
【請求項3】
上記凹部が、多角柱又は略円柱をそれらの中心軸を含むように実質的に半分に切ったような形状で窪んでいるか、又は、多角柱又は略円柱を中心軸からずらして中心軸に平行に半分より小さく切ったような形状で窪んでいる請求項1又は請求項2記載の梱包用支持体。
【請求項4】
上記凹部の内接円が、上記凹部が保持すべき電子写真感光体の端部の外接円より大きくなるように上記凹部が設けられている請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項5】
上記凹部の形状が全て同一形状である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項6】
上記凹部が、隣の凹部との最短距離が5mm以上となるように凹部同士の間隔をとって設けられている請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項7】
上記凹部に電子写真感光体の軸方向の位置を決めるストッパー部を有している請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項8】
梱包用支持体の天面と底面はフラットであり、梱包用支持体に付属するその他の部位が、該天面及び該底面と同等の高さでフラットを保っているか、又は、該天面及び該底面を超えない高さしか有さないものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項9】
梱包用支持体の材質が、紙、ダンボール又は樹脂である請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項10】
梱包用支持体の材質が、緩衝性を有する材料である請求項1ないし請求項9の何れかの請求項記載の梱包用支持体。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の梱包用支持体を用いることを特徴とする電子写真感光体の梱包方法。
【請求項12】
電子写真感光体の左右両端部の結合部材に外径差のある電子写真感光体を支持する際に、請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の梱包用支持体を用いて、1段ずつ交互に電子写真感光体の左右の向きを変えて梱包する請求項11記載の電子写真感光体の梱包方法。
【請求項13】
電子写真感光体の積み段数が偶数段である請求項11又は請求項12記載の電子写真感光体の梱包方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の梱包用支持体を用いて電子写真感光体が梱包されていることを特徴とする梱包箱。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−248987(P2009−248987A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97351(P2008−97351)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】