説明

電子回路

【課題】コネクタを接続するランドの配置や形状に変更を加えることなく、静電気による弊害を抑制できる電子回路に関する技術を提供する。
【解決手段】基板上に設けられ、電子部品の端子を該基板上に接続する半田からなるランド部と、前記基板上に設けられる、前記ランド部に帯電されている静電気を受け入れる、基準電位点としてのグランド部と、を備える。前記ランド部は、帯電する静電気を放出する放出部を有し、前記グランド部は、前記放出部から放出される静電気を受け入れる受入部を有し、前記受入部は、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、前記放出部と対向するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
制御回路等に用いられる電子回路では、回路の故障等を防止するため、静電気対策を施す必要がある。例えば、特許文献1には、基板上に設けられたICと、ICを接続する信号線パターンと、信号線パターンと基準電位点線パターンの間に設けた尖頭状静電気放電パターンを備える静電気放電回路に関する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、電子部品間を接続する導体パターンが形成された配線板において、静電気が帯電された物体が近接または接触したときに静電気が印加される導体パターンにインピーダンスを高めた箇所を設け、このインピーダンスを高めた箇所と、この箇所近傍に配線されているGND導体パターンとを近接させて放電経路を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】実開平5−76071号公報
【特許文献2】特開2001−7455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子回路における静電気(ESD:Electro Static Discharge)対策として、電子部品のピンが接続されるランドの形状を、放電し易い形状にする技術が知られている。ここで、図1は、従来の、放電し易いランド形状を有する電子回路の一例を示す。この従来の電子回路では、電子部品のピン201が接続されるランド202に、グランド203側に突出した、放電を促す突出部204が設けられている。また、ランド202から延びる回路パターン206にも、放電を促す突出部205が設けられている。
【0005】
このような従来の電子回路によれば、ランド202や回路パターン206に突出部204、205を設けることで、グランド203への放電を促すことができる。しかしながら、近年の電子回路では、電子回路が実装される製品の品質を確保するため、ランドの形状が予め規定されており、変更が認められない場合も少なくない。また、回路パターンは、特に高周波な回路等では、インピーダンスが制御されており、回路パターンの形状に変更を加えると、インピーダンスが狂う虞がある。
【0006】
本発明では、上記した背景に鑑み、電子部品の端子を接続するランドの配置や形状に変更を加えることなく、静電気による弊害を抑制できる電子回路に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上述した課題を解決するため、ランドから放出される静電気が印加されるグランドに工夫を施し、ランドに帯電されている静電気を効率よくグランドで受け入れるようにした。
【0008】
より詳細には、本発明は、基板上に設けられ、電子部品の端子を該基板上に接続する半田からなるランド部と、前記基板上に設けられ、前記ランド部に帯電されている静電気を受け入れる、基準電位点としてのグランド部と、を備え、前記ランド部は、帯電する静電気を放出する放出部を有し、前記グランド部は、前記放出部から放出される静電気を受け入れる受入部を有し、前記受入部は、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入
れるように、前記放出部と対向するように設けられている、電子回路である。
【0009】
本発明に係る電子回路では、グランド部の受入部が、ランド部の放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように該放出部と対向するように設けられている。従って、ランド部の形状や配置を変更せずに、グランド部に、ランド部やランド部に接続される電子部品の端子に帯電されている静電気を効率よく受け入れることができる。その結果、電子回路における静電気による弊害を抑制することができる。
【0010】
ランド部は、基板上、より具体的には基板上に形成されている配線回路パターン上に電子部品の端子を接続する。ランド部は、放出部を有し、この放出部は、ランド部に帯電される静電気を放出する。ランド部は、半田によって構成することができるが、その形状は特に限定されない。ランド部の形状や配置は、原則として変更する必要はなく、実装される電子部品等に応じて予め規定されている形状や配置とすることができる。ランド部は、例えば、平面視において、矩形状、多角形状、円形状とすることができる。ランド部を矩形状や多角形状とした場合、ランド部は、角部を有することになる。角部のように隣接する領域に対して突出した領域からは、帯電される静電気が外部へ放出され易い。従って、ランド部が、角部を有する場合には、放出部を角部によって構成することができる。但し、このような態様に限定されるものではなく、放出部は、必ずしも隣接する領域に対して突出している必要はない。なお、角部は、尖った形状でもよく、また、先端部分が面取りされた形状でもよい。また、ランド部には、電子回路が実装される製品の品質を確保できる範囲内で、帯電される静電気をより放出し易くするための突出部を設けてもよい。
【0011】
グランド部は、ランド部に帯電されている静電気を受け入れる。グランド部は、接地され、基準電位点として機能する。本発明に係る電子回路では、このグランド部の配置や形状が、ランド部に合わせて、より効率よく静電気を受け入れるように工夫されていることを特徴とする。グランド部は、放出部から放出される静電気を受け入れる受入部を有し、この受入部が放出部と対向するように設けられることで、放出部から放出される静電気が効率よく受入部に受け入れられる。換言すると、ランド部から放電される静電気が、効率よくグランド部に印加される。その結果、ランド部の形状や配置等に変更を加えることなく、本発明に係る電子回路が実装される電気部品の静電気による弊害を抑制することができる。
【0012】
本発明における受入部とは、放出部から放出される静電気を受け入れる部分であり、その形状等は、特に限定されない。突出部は、例えば、ランド部側に突出したグランド部側突出部とすることで、放出部から放出される静電気をより効率よく受け入れることができる。但し、突出部は、このような態様に限定されるものでなく、グランド部が角部を有する場合には、この角部を受入部とし、放出部と対向させればよい。角部からなる受入部が放出部と対向することで、効率よく放出される静電気を受け入れることが可能となる。なお、角部は、尖形状でもよく、また、先端部分が面取りされた形状でもよい。
【0013】
また、受入部は、角部や突出部といったように隣接する領域に対して突出した形状である必要はなく、直線状の端部(例えば、グランド部が平面視において矩形状である場合における、一辺)であってもよい。このような態様の場合には、放出部から放出される静電気の出力方向に対する直線状の端部の向きを、直線状の端部からなる受入部が、静電気を効率よく受け入れられるように工夫すればよい。具体的には、前記グランド部を、前記受入部が直線状の端部である場合、該端部が、前記放出部から放出される静電気の出力方向を示す出力基準線と略直交するにように設ければよい。これにより、放出部と受入部までの距離が最短となり、グランド部は、効率よく放出される静電気を受け入れることが可能となる。
【0014】
ここで、本発明に係る電子回路は、前記基板の表面を被覆する薄膜状のレジスト部を更に備える構成とすることができる。また、前記レジスト部は、前記受入部が、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、該放出部と該受入部との間が取り除かれているようにしてもよい。放出部と受入部との間、すなわち静電気の通り道となる部分のレジストを除去することで、より効率よく放出される静電気を、受入部が受け入れることができる。なお、レジストは、ランド部の端部と接触する部分では、ランド部を構成する半田が流れ出すことを規制する機能を持つ場合がある。そこで、このような半田が流れ出すことを規制する機能を確保し、かつ、放出部から放出される静電気を、受入部が効率よく受け入れるようにレジスト部を取り除くようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る電子回路は、ランド部から延びる電気信号が流れるライン状の配線回路パターン部を更に備える構成とすることができる。そして、この場合には、配線回路パターン部に帯電されている静電気を効率よく受け入れるように、角部若しくは突出部からなる受入部を備えるグランド部を、配線回路パターンの近傍に設けるようにしてもよい。配線回路パターン部からの静電気を受け入れるグランド部を設ける位置は、電子回路が実装される製品の品質を確保できるよう設ければよい。本発明によれば、配線回路パターン部の形状に変更を加える必要がないので、配線回路パターン部のインピーダンスが狂うといった事態を抑制することができる。
【0016】
なお、本発明は、上述した電子回路の設計方法、上述した電子回路を備える電子部品、または、上述した電子回路を備える電子部品の製造方法としてもよい。例えば、電子部品の製造方法であれば、基板上に設けられ、電子部品の端子を該基板上に接続する半田からなるランド部と、前記基板上に設けられる、前記ランド部に帯電されている静電気を受け入れる、基準電位点としてのグランド部と、を備える電子回路を有する電子部品の製造方法であって、前記グランド部に、ランドに設けられているランドに帯電する静電気を放出する前記放出部から放出される静電気を受け入れる受入部を設け、前記受入部は、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、前記放出部と対向するように設ける電子回路を備える電子部品の製造方法とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子部品の端子を接続するランドの配置や形状に変更を加えることなく、静電気による弊害を抑制できる電子回路に関する技術を提供するができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る電子回路の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
<第一実施形態>
図2は、第一実施形態に係る電子回路の平面図を示す。図3は、図2におけるAA断面を示す。第一実施形態に係る電子回路は、絶縁基板11、電子部品のピン2、ランド3、グランド4によって構成されている。第一実施形態に係る電子回路は、例えば、車両の各種電子制御を行うECU(Electric Control Unit)に用いられる電子部品に用いること
ができる。
【0020】
絶縁基板11上には、銅箔部からなる所定の配線回路パターン12と、銅箔部からなるグランド4が設けられ、プリント基板1を構成している。このプリント基板1の表面には、図2では省略するが、スクリーン印刷処理等によってレジスト処理が施されることでレジスト5が被覆されている。このレジスト5は、通常、電子部品のピン(以下、単にピンとも言う。)2が接続される部分、すなわちランド3が設けられる領域を残してプリント基板1の表面を被覆する。
【0021】
ランド3は、銅箔部からなる配線回路パターン12上であって、電子部品のピン2が接続される部分に設けられている。ランド3は、半田によって構成され、配線回路パターン12とピン2とを電気的に接続する。第一実施形態に係るランド3は、平面視において略矩形状であり、ピン2を安定的に載置できるよう、ランド3の表面積が、ピン2の接続面の面積よりも大きく設計されている。本実施形態に係るランド3は、略矩形であることから四つの角部を有しているが、グランド側の角部41と対向する角部31(以下、ランド側の角部と称する。)が、本発明における放出部に相当する。従って、この本発明の放出部に相当するランド側の角部31から、ランド3に帯電、若しくはピン2に帯電されている静電気が、グランド側の角部41に向けて放出(放電)される。
【0022】
なお、ランド3は、従来の方法により形成することができる。すなわち、レジスト5を被覆する際、ランド3が設けられる領域(本態様では矩形状の領域)を残して被覆し、このランド3が設けられる領域にクリーム半田を例えばスクリーン印刷等により塗付する。このクリーム半田の上にピン2を載置して仮固着した後、クリーム半田に熱を加え(リフローし)、ピン2を配線回路パターン12上に固着する。これにより、ランド3の形成及びピン2の接続が完了する。
【0023】
グランド(GND)4は、ランド側の角部31から放出される静電気を受け入れる。グランド4は、プリント基板1を構成する、銅箔部からなる配線回路パターンの一部を構成するが、実施形態においては、説明上グランド側の配線回路パターン12と区別するため、グランドと称することとする。グランド4は、接地される(図示せず)ことで、基準電位点として機能する。本実施形態に係るグランド4は、グランド側の角部41を有しており、更に、このグランド側の角部41が、ランド側の角部31と対向するように設けられている。なお、グランド側の角部41は、本発明の受入部に相当する。このようにグランド側の角部41がランド側の角部31と対向するように設けられることで、ランド3に帯電されている静電気が効率よくグランド側の角部41を介してグランド4に印加される。
【0024】
以上説明した第一実施形態に係る電子回路によれば、グランド4に設けられているグランド側の角部41がランド側の角部31と対向するように設けられているので、グランド4が、ランド3に帯電されている静電気を効率よく受け入れることができる。すなわち、ランド3に帯電されている静電気が効率よくグランド4に印加される。その結果、電子回路における静電気による弊害を抑制することができる。そして、本実施形態に係る電子回路では、ランド3の配置や形状には変更を加えず、グランド4の配置と形状を工夫するだけで、静電気が効率よくグランド4に印加される。ランド3の形状や配置に変更を加えると、電子回路が実装される製品の品質を確保できない虞があり、また、このような事態を回避するためには、再度綿密な設計を行う必要が生じる。しかしながら、本実施形態に係る電子回路によれば、このような事態も防止することができる。つまり、電子回路が実装される製品の品質を確保することができ、また、再度綿密な設計を行う必要もない。
【0025】
<第二実施形態>
次に第二実施形態に係る電子回路について説明する。なお、第一実施形態に係る電子回路と同様の構成については、同一符号を付すことでその説明は省略する。
【0026】
図4は、第二実施形態に係る電子回路の断面図を示す。第二実施形態に係る電子回路は、ランド3とグランド4との間のレジストが取り除かれている点で、第一実施形態に係る電子回路と異なる。上述したように第一実施形態に係る電子回路では、ランド3が設けられる領域以外は、プリント基板1の表面がレジスト5によって被覆されていた。これに対し、第二実施形態に係る電子回路では、ランド3とグランド4との間、換言すると、ランド側の角部31からグランド側の角部41に印加される静電気の通り道のレジストが取り除かれている。第一実施形態に係る電子回路では、ランド3とグランド4との間にレジス
ト5が存在することから、ランド側の角部31から放出される静電気がレジストの上側を回り込んで、グランド側の角部41に印加される(図3において矢印で示す。)つまり、第一実施形態に係る電子回路では、静電気の通り道が湾曲している。これに対し、第二実施形態に係る電子回路では、ランド側の角部31からグランド側の角部41に印加される静電気の通り道が直線的となる(図4において矢印で示す)。その結果、第二実施形態に係る電子回路によれば、より効率よくランド3に帯電されている静電気をグランド4で受け入れることが可能となる。
【0027】
なお、レジストは、ランド3を設ける際に、ランド3を構成する半田がグランド側にはみ出さないように規制する機能、換言するとランド3の外形を整える機能を有している。そこで、上述した以外の態様として、電子回路は、このようなレジストの機能を確保し、かつ、静電気の通り道をより短くするように構成されたものとしてもよい。ここで、図5は、第二実施形態に係る電子回路の変形例の断面図を示す。変形例に係る電子回路は、基本的には第一実施形態に係る電子回路と同様の構成を有するが、ランド3とグランド4との間に介在するレジスト5aの断面形状が、第一実施形態に係る電子回路のレジスト5と異なっている。
【0028】
具体的には、レジスト5aのランド3と接する側がピン2が載置される回路パターンを形成する銅箔よりも高く設計され、レジスト5aのランド3と接する側からレジスト5aのグランド4と接する側へ向けて高さが徐々に低くなるように設計されている。レジスト5aのランド3側の高さは、ランド3を構成する半田がはみ出るのを規制できる高さを有していればよい。一方、レジスト5aのグランド4側の高さは、静電気がより効率よくグランド4に受け入れられるようにグランド4を構成する銅箔の高さと同じか、これより低い高さとすることが好ましい。このように、ランド3とグランド4との間に介在するレジスト5aの形状を工夫することで、レジスト5aが有するランド3の成形機能を確保するとともに、ランド3から放出される静電気をより効率よくグランドに印加することが可能となる。
【0029】
<第三実施形態>
次に第三実施形態に係る電子回路について説明する。なお、上述した実施形態に係る電子回路と同様の構成については、同一符号を付すことでその説明は省略する。
【0030】
図6は、第三実施形態に係る電子回路の平面図を示す。第三実施形態に係る電子回路は、ランド側の角部31と対向する位置に、ランド側の角部31から放出される静電気を効率よく受け入れるための突出部6が設けられている点で、第一実施形態に係る電子回路の構成と異なる。
【0031】
より具体的には、第三実施形態に係る電子回路では、ランド3側の直線的な端部42が、ランド側の角部31から放出される静電気の放出方向を示す基準線(図6において点線で示す。)と直交するように設計されている。そして、グランド4のランド側の直線的な端部42には、放出方向を示す基準線と交わる部分、換言すると、ランド側の角部31との間隔が最短となる部分に、ランド側の角部31から放出される静電気を効率よく受け入れるための突出部6が設けられている。
【0032】
第三実施形態に係る電子回路によれば、グランド4に設けられている突出部6がランド側の角部31と対向するように設けられているので、グランド4が、ランド3に帯電されている静電気を効率よく受け入れることができる。すなわち、ランド3に帯電されている静電気が効率よくグランド4に印加される。そして、本実施形態に係る電子回路においても、ランド3の配置や形状には変更を加えず、グランド4の配置と形状を工夫することだけで、静電気が効率よくグランド4に印加されるので、電子回路に起こりうる静電気によ
る弊害を抑制することができる。
【0033】
なお、本実施形態に係る電子回路では、グランド4のランド側の直線的な端部42に突出部6を設けた。但し、このような突出部6を設けず、ランド3側の直線的な端部42が、ランド側の角部31から放出される静電気の放出方向を示す基準線と単に直交するように設計してもよい。ここで、図7は、第三実施形態に係る電子回路の変形例の平面図を示す。同図に示すように、この態様に係る電子回路では、突出部6は設けられておらず、ランド3側の直線的な端部42が、ランド側の角部31から放出される静電気の放出方向を示す基準線(図7において点線で示す。)と単に直交するように設計されている。
【0034】
ここで、例えば、図8における比較例のように、グランド4の直線状の端部42がランド3の端部と平行して配置されていると、ランド側の角部31から放出される静電気の一部が、グランド4で受け入れ難くなる。すなわち、図8に示す比較例では、符号Lで示す矢印で表される静電気の通り道が長くなり、かつ、符号Lで示される静電気のグランド4の端部42に対する入力方向が直交しなくなっている。その結果、ランド3側の直線的な端部42が、ランド側の角部31から放出される静電気の放出方向を示す基準線と直交する場合と比べて、静電気がグランド4へ印加され難くなる。従って、変形例の電子回路のように、グランド4の直線状の端部42をランド側の角部31から放出される静電気の放出方向を示す基準線と直交させることでも、端部42の向きが考慮されていない電子回路と比較するとグランドへの印加率を向上させることができる。
【0035】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る電子回路はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、上述した実施形態における角部(ランド側の角部、グランド側の角部)や突出部の先端は、尖形状とすることでより集中的に静電気の放出又は受け入れを実現できるが、面取りされた形状や曲線状であってもよい。また、上述した実施形態に係る電子回路では、平面視において略矩形状のランド3を例に説明したが、ランド3の形状は、多角形状、円形状等であってもよい。また、上述した実施形態では、ランド3に帯電されている静電気を放出させる場合について説明したが、配線回路パターンに帯電されている静電気をより効率よく放出できるよう、配線回路パターンの近傍に、突出部6やグランド側の角部41を設けるようにしてもよい。更に、電子回路が実装される製品の品質を確保できる範囲内、又は、配線回路パターンのインピーダンスに狂いを生じさせない範囲であれば、静電気がより効率よくグランドに向けて放出できるよう、ランドや配線回路パターン側に突出部等を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の、放電し易いランド形状を有する電子回路の一例を示す。
【図2】第一実施形態に係る電子回路の平面図を示す。
【図3】図2におけるAA断面を示す。
【図4】第二実施形態に係る電子回路の断面図を示す。
【図5】第二実施形態に係る電子回路の変形例の断面図を示す。
【図6】第三実施形態に係る電子回路の平面図を示す。
【図7】第三実施形態に係る電子回路の変形例の平面図を示す。
【図8】比較例としての電子回路の一部を示す。
【符号の説明】
【0037】
1・・・プリント基板
2・・・ピン
3・・・ランド
4・・・グランド
5・・・レジスト
6・・・突出部
11・・・絶縁基板
12・・・配線回路パターン
31・・・ランド側の角部
41・・・グランド側の角部
42・・・端部
<従来例>
201・・・ピン
202・・・ランド
203・・・グランド
204、205・・・突出部
205・・・パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられ、電子部品の端子を該基板上に接続する半田からなるランド部と、
前記基板上に設けられ、前記ランド部に帯電されている静電気を受け入れる、基準電位点としてのグランド部と、を備え、
前記ランド部は、帯電する静電気を放出する放出部を有し、
前記グランド部は、前記放出部から放出される静電気を受け入れる受入部を有し、
前記受入部は、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、前記放出部と対向するように設けられている、電子回路。
【請求項2】
前記ランド部は、角部を有し、前記放出部は、該ランド部側の角部からなり、
前記受入部は、前記ランド部側の角部からなる放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、前記ランド部側の角部からなる放出部と対向するように設けられている、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記グランド部は、角部を有し、前記受入部は、該グランド部側の角部からなる、請求項1又は請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記受入部は、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、該放出部の近傍に設けられ、かつ、前記ランド部側に突出した突出部である、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の電子回路。
【請求項5】
前記グランド部は、前記受入部が直線状の端部である場合、該端部が、前記放出部から放出される静電気の出力方向を示す出力基準線と略直交するにように設けられている、請求項1に記載の電子回路。
【請求項6】
前記基板の表面を被覆する薄膜状のレジスト部を更に備え、
前記レジスト部は、前記受入部が、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れるように、該放出部と該受入部との間が取り除かれている、請求項1から請求項5のいずれか一に記載の電子回路。
【請求項7】
前記基板の表面を被覆する薄膜状のレジスト部を更に備え、
前記レジスト部は、前記受入部が、前記放出部から放出される静電気を効率よく受け入れ、かつ、ランド部を構成する半田が前記グランド部側に流れるのを抑制するように形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一に記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−16050(P2010−16050A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172544(P2008−172544)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】