電子地図データ処理システム
【課題】電子地図と企業等が所有する顧客情報とのマッチング率を向上させることができる電子地図データ処理システムを提供する。
【解決手段】所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、電子地図上の道路縁の座標情報とを用い、顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する。そして、第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って順路データの順路順に基づく所定の方向に第2道路縁リンク座標情報を探索し、探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する第2座標情報を、順路データの順路順に基づいて顧客情報と関連付ける。
【解決手段】所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、電子地図上の道路縁の座標情報とを用い、顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する。そして、第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って順路データの順路順に基づく所定の方向に第2道路縁リンク座標情報を探索し、探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する第2座標情報を、順路データの順路順に基づいて顧客情報と関連付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図データ処理システムに関し、より詳細には、企業等が所有する顧客情報を電子地図に関連付ける電子地図データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から既存の電子地図上に企業等が所有する顧客情報をリンクさせ、企業等が所有する顧客情報を活用する技術がある。具体的には、既存の電子地図上に企業等が所有する顧客情報をリンクさせるためのマッチング処理が行われ、例えば、電子地図上に表示される建物ポリゴンの属性情報として付与されている住所情報や表札情報と企業が所有する顧客情報の住所情報とを関連付けるアドレスマッチング処理(それぞれの住所情報を文字情報ベースで付け合せ、電子地図との関連付けを行う処理)が行われる。
【0003】
図12(a)は、企業等が所有する顧客情報Aの一例、図12(b)は、アドレスマッチング処理後の電子地図データBの一例を示している。また、図13は、アドレスマッチング処理後のコンピュータ上に表示された電子地図の一例を示す図である。
【0004】
図12(b)に示すように、アドレスマッチング処理により企業等が所有する顧客情報Aが電子地図データに関連付けられると、電子地図データBに顧客情報(顧客ID)が付加される。そして、図13に示すように、ディスプレイ装置に表示される電子地図において、ユーザが関連付けられた電子地図上の建物ポリゴンをマウス等でポインティングすると、電子地図上に顧客の氏名等を含む顧客情報が表示される。
【0005】
しかしながら、文字情報ベースでのアドレスマッチング処理は、双方のデータフォーマットが共通化されていない場合や不要な文字データが混在されている場合は、電子地図データの住所情報と企業等が所有する顧客情報の住所情報とをマッチングさせることができない問題がある。そこで、従来は、アドレスマッチング処理のマッチング率を向上させるために、アドレスマッチング処理前に電子地図データの住所情報及び顧客情報の住所情報を共通のデータフォーマット(共通の住所データ体系)に変換したり、住所情報における丁、番、号の数字等のフォーマットを共通化したり、住所情報上の無駄な情報(空白情報等)を削除するなどの前処理(クレンジング処理)を行い、アドレスマッチング処理精度の向上を図っていた。
【0006】
また、特許文献1に記載のように、検索対象の住所に対応する電子地図上の座標データが住所データベースに存在しない場合、検索対象の住所が示す地点の座標を特定するための技術が提案されている。この技術は、街区を複数に区画し、検索対象の住所の座標データが住所データベースに存在しない場合に、検索対象の文字情報ベースの住所情報から区画を特定し、特定された区画内の建物ポリゴンを検索して検索対象の住所に対応する建物ポリゴンを抽出することで、電子地図上の座標を特定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−51596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電子地図上に表示される建物ポリゴン(座標情報)の属性情報として付与されている住所情報が欠落していたり、同一番地に複数世帯の家屋が存在する場合、文字情報ベースのアドレスマッチング処理では、データフォーマット等に関係なく電子地図データと企業等が所有する顧客情報とをマッチングさせることができない。また、電子地図データ又は顧客情報の住所情報が旧住所であったり、住所の表記が通り名などの別名称である場合や、企業等が所有する顧客情報の住所情報が誤っていたり、顧客情報に入力される情報の形式が統一されていない場合なども同様にマッチングさせることができない。
【0009】
このため、従来のアドレスマッチング処理では、事前のクレンジング処理を実施しても、電子地図データと企業等が所有する顧客情報とを70%程度しかマッチングさせることができず、残りは1件1件手作業でマッチングせざるを得なかった。
【0010】
また、上記特許文献1においても文字情報ベースの住所情報を用いた区画特定を行われており、上述のアドレスマッチング処理における問題点を解決することは難しい。
【0011】
そこで、本発明の目的は、電子地図と企業等が所有する顧客情報のマッチング率を向上させることができる電子地図データ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの側面としての電子地図データ処理システムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データを記憶する第1記憶部と、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データを記憶する第2記憶部と、前記電子地図上の道路縁の座標情報を記憶する第3記憶部とを備える。そして、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記座標探索部は、前記順路データの順路順に前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の特定の座標情報に対応する2つの道路縁リンク座標を抽出し、道路縁に沿って前記所定の方向に抽出した2つの道路縁リンク座標間を探索して前記道路縁リンク座標間に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、存在すると判別された場合に前記2つの道路縁リンク座標の一方から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標を探索することができる。
【0014】
また、本発明の他の側面としての電子地図データ処理装置は、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報と、を記憶する記憶部と、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のさらに他の側面としての電子地図データ処理プログラムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報とを用いたコンピュータで実行される電子地図データ処理プログラムであって、前記コンピュータに、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する機能と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する機能と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付ける機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子地図と企業等が所有する顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。
【0017】
すなわち、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁の座標情報を用いることで、住所情報に依存することのない電子地図データと顧客情報とのマッチングを可能とし、電子地図と顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態における企業所有情報の一例を示す図であり、(a)は顧客情報、(b)は順路データである。
【図3】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)はマッチング処理済み電子地図データ、(b)は建物ポリゴンデータである。
【図4】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)は道路縁データ、(b)は道路縁データとして区画ポリゴンが表示された電子地図の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)は道路縁データ、(b)は道路縁データとして道路ポリゴンが表示された電子地図の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における道路縁リンク座標特定処理を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態における道路縁リンク座標探索処理を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態における道路縁マッチング処理を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態における道路縁マッチング処理後の情報を示す図であり、(a)は道路縁マッチング処理済み電子地図データ、(b)は顧客情報である。
【図10】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの処理フローを示したフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの処理フローを示したフローチャートである。
【図12】従来例における顧客情報及び電子地図データを示す図である。
【図13】従来例における顧客情報と電子地図データとが関連付けられた際のGIS等の電子地図表示画面の一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、GIS(Geographic Information System;地理情報システム)等の電子地図に企業等が所有する顧客情報を関連付け、電子地図上に顧客情報を表示させて当該顧客情報を活用する際の、電子地図と顧客情報とのマッチング処理を遂行する電子地図データ処理システム(電子地図データ処理装置)に関する。
【0021】
本発明の電子地図データ処理システムは、電子地図上の特定の座標情報(例えば、建物ポリゴン)と企業等が所有する顧客情報とを関連付けるマッチング処理を遂行し、特に、事前マッチング処理としてクレンジング処理及び文字情報ベースのアドレスマッチングが施されたマッチング処理済み電子地図データにおいて、事前マッチング処理ではマッチングさせることができないアンマッチデータを対象に、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁に関する情報を用いた道路縁マッチング処理を遂行する。
【0022】
また、以下の説明では、事前マッチング処理が施された電子地図データをマッチング処理済み電子地図データ、事前マッチング処理が施されていない電子地図データは単に電子地図データと称して説明する。また、本発明の道路縁マッチング処理が施された電子地図データを道路縁マッチング処理済み電子地図データと称する。なお、これら電子地図データ、マッチング処理済み電子地図データ、及び道路縁マッチング処理済み電子地図データは、基本となる電子地図データが同一であり、各処理を経ることで当該電子地図データが更新されたり、電子地図データに所定のデータが付加された各状態の説明するために個別の名称で説明している。したがって、これら電子地図データは、1つのデータ格納テーブル等で保持・管理することができ、また、各々に対応する複数のテーブルで保持・管理することも可能である。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子地図データ処理システムの構成ブロック図である。図1に示すように、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、記憶装置10、制御装置20、液晶ディスプレイ等の表示装置D、及びマウス、キーボート等の操作入力装置Iを含んで構成される。また、制御装置20は、表示装置Dへの各種情報の表示制御を行う表示制御部や操作入力装置Iの操作入力制御を行う操作入力制御部、プリンタ、スピーカなどの出力手段、スキャナやOCRなどの入力手段等も備えることができる(不図示)。
【0024】
記憶装置10は、企業等が所有する顧客情報を格納する企業所有情報データベース11、及びGIS(Geographic Information System;地理情報システム)等の電子地図情報を構成する電子地図データであって、企業等が所有する顧客情報と事前マッチング処理によって関連付けられたマッチング処理済み電子地図データ12aと、電子地図上に表示される建物ポリゴンの建物ポリゴンデータ12bと、電子地図上の道路縁に関する道路縁データ12dとを備える電子地図情報データベース12を含む。
【0025】
企業所有情報データベース11は、図2(a)に示すように、顧客ID、氏名情報、住所情報、顧客の関連情報を含む顧客情報11aと、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ11bを格納する。また、図2(a)に示すように、顧客情報が電子地図データと関連付けられた場合、該当する顧客情報に電子地図データのポリゴンIDやマッチング結果等を含ませるように構成することができる。顧客情報11a、順路データ11bの各々は、テーブルデータ構造を有し、互いにリレーショナルに格納されている。
【0026】
順路データ11bは、新聞配達、郵便配達等の配達順序、営業活動等における巡回順序の順番を示す情報である。ここでは、郵便配達を一例に説明する。順路データ11bは、任意のシーケンス番号、順路、顧客の氏名及び住所を含み、住所又は/及び氏名をキーに顧客情報11aとリレーショナルに関連付けられている。順路データ11bは、顧客情報が電子地図データと関連付けられた場合、該当するデータに電子地図データのポリゴンIDやマッチング結果等を含むことができる。順路には、複数の家屋(顧客)の配達の順番を数字で示した情報「5,6、7・・・」が登録されている。したがって、顧客情報はこの順番に基づく順序で互いに関連付けられている。
【0027】
つまり、本実施形態の順路データ11bは、複数の家屋(顧客)の配達や巡回等が所定の周回方向に基づいて定められた情報であり、例えば、道路の進行方向に従い、かつ道路を跨がずに所定の領域(区画)内の複数の家屋を配達又は巡回等する順路を指し示す情報である。このため、本実施形態の順路データ11bは、地図上の複数の家屋に対して所定の周回方向に配達又は巡回する順番に付与される情報であり、言い換えれば、順路データから所定の周回方向または巡回方向を特定することができ、また、別途順路データ11bに所定の周回方向または巡回方向に関する情報を含ませることができる。
【0028】
電子地図情報データベース12は、図3(a)に示すように、建物ポリゴンのポリゴンID、住所、マッチング結果、顧客情報の顧客IDを含むマッチング処理済み電子地図データ12aを格納する。マッチング処理済み電子地図データ12aは、建物ポリゴンと住所情報とが関連付けられた電子地図データに、マッチング結果及び顧客IDが追加されたデータである。マッチング結果は、上述のようにアドレスマッチングによる事前マッチング処理によって電子地図上の建物ポリゴンに顧客情報が関連付けられたか否かを示す情報であり、「済(マッチ)」、「未(アンマッチ)」などの識別情報である。また、マッチング結果が「済」である場合、言い換えれば、顧客情報が電子地図上の建物ポリゴンに関連付けられた場合には、対応する電子地図データに顧客情報の顧客IDが格納され、顧客IDをキーに顧客情報11aの顧客情報とリレーショナルに結び付けられる。ポリゴンIDは、各建物ポリゴンデータ12bにユニークに付与される識別情報である。
【0029】
一方、図3(a)において、電子地図データの住所情報が欠落していたり、顧客情報又は電子地図データの住所情報の一方が誤入力(誤登録)により不一致である場合、住所情報同士の付け合わせ処理(アドレスマッチング処理)ができず、また、電子地図データに同じ住所を有する異なる建物ポリゴンが存在する場合は、どちらの建物ポリゴンに顧客情報を関連付けるかを判断することができないため、マッチング結果は「未」となり、顧客IDは格納されていない。
【0030】
本実施形態のポリゴンは、電子地図上に表示される建物ポリゴン、道路ポリゴン、区画ポリゴン等の様々なポリゴンを含み、図3(b)は、建物ポリゴンデータ12bの一例である。ここで、ポリゴンとは、電子地図上の座標系(緯度,経度)に基づく座標情報で構成された当該電子地図上の特定の領域を表す情報であり、複数の座標情報で構成される。例えば、建物ポリゴンが四角形の場合、この建物ポリゴンは、その頂点の4点の座標情報を有するポリゴンデータで構成されている。建物ポリゴンデータ12bは、各建物ポリゴンデータにユニークに付与されるポリゴンID毎に、ポリゴン名称(ビル名、マンション名など)及び建物ポリゴンを構成する複数の座標情報を格納する。
【0031】
したがって、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、建物ポリゴンの所定の座標、例えば、建物ポリゴンの重心座標や中点座標を電子地図上の特定の座標情報として顧客情報と関連付けたり、建物ポリゴンに含まれる全ての座標と顧客情報とを関連付けることができる。
【0032】
なお、事前マッチング処理後のマッチング処理済み電子地図データ12a及び顧客情報11bの各々が、マッチング結果や対応するポリゴンIDを含むように構成することが可能であり、マッチング済み電子地図データ12aと顧客情報11bとの関連付けが維持されれば、マッチング済み電子地図データ12a又は顧客情報11bのどちらか一方がマッチング結果や対応するポリゴンIDを含むように構成することができる。
【0033】
図4及び図5は、道路縁データの一例であり、本実施形態の道路縁データは、1つ又は複数の建物ポリゴンが含まれる一定の領域を有する区画ポリゴン又は道路ポリゴンから特定される電子地図上において道路の連続した縁を表す座標情報である。
【0034】
図4の例では、電子地図上において各区画ポリゴン間の領域が電子地図上の道路として形成されている場合、区画ポリゴンの区画縁の座標情報が道路縁データとなる(図4(b)参照)。図4(a)に示すように、例えば、閉じた領域を形成する区画ポリゴンは建物ポリゴン同様に、区画ポリゴンIDとともに電子地図上の座標情報を保持しており、区画ポリゴンが四角形の場合、4つの各頂点の座標情報を有するポリゴンデータで構成される。なお、区画ポリゴンの各頂点以外の座標情報は、各頂点の座標を結ぶ線分に対応する座標情報から自動的に決定(特定)されることができ、道路縁の連続した座標情報、言い換えれば、道路縁線の線分上の連続した座標情報として本実施形態の道路縁マッチング処理に適用される。
【0035】
また、図5の例では、区画ポリゴンとともに又は個別に、道路ポリゴンが電子地図上に形成される場合、道路ポリゴンの縁の座標情報が道路縁データとなる(図5(b)参照)。例えば、道路ポリゴンは、所定の幅(幅員)を有し、図5(a)に示すように道路幅に基づいて対応する一対の座標情報を保持している。道路ポリゴンの縁に対応する連続した座標情報が道路縁データとなる。
【0036】
また、図5(a)に示すように、道路ポリゴンは、交差点情報を有することができ、例えば、他の道路ポリゴンと交錯する座標情報及び交差する道路ポリゴンのIDを各道路ポリゴンに対して保持するように構成することができる。この場合、図5(b)に示すように道路ポリゴン1及び道路ポリゴン2が交差点情報の座標X2で関連付けられており、道路縁データが複数の道路ポリゴンの道路縁の座標情報で構成されることになる。
【0037】
制御装置20は、マッチング処理済み電子地図データ12a、顧客情報の順路データ11b、及び電子地図上のポリゴンデータ(建物ポリゴンデータ12b及び道路縁データ12d)を用いて、該マッチング処理済み電子地図データ12aに含まれるアンマッチデータ(マッチング結果「未」)と顧客情報とをマッチングさせる道路縁マッチング処理を遂行する。このため、制御装置20は、道路縁マッチング制御部21を含んで構成される。なお、以下の説明において顧客情報と関連付けられたマッチング結果「済」の建物ポリゴンをマッチ建物ポリゴンと、顧客情報と関連付けられていないマッチング結果「未」の建物ポリゴンをアンマッチ建物ポリゴンと称して説明する。
【0038】
本実施形態の道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12aから、各マッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンを抽出し、マッチ建物ポリゴンに対応する道路縁データ上の道路縁リンク座標(第1道路縁リンク座標情報)を特定し、かつアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁データ上の道路縁リンク座標(第2道路縁リンク座標情報)を特定(算出)するリンク特定部(座標特定部)22と、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から該道路縁に沿って順路データの順路順(所定の順序順)に基づく所定の方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する探索部(座標探索部)23と、を含む。
【0039】
道路縁マッチング制御部21は、探索部23によって探索された当該道路縁リンク座標に対応する顧客情報と関連付けられていないアンマッチ建物ポリゴンを、順路データの順路順に従って当該マッチ建物ポリゴンの次の順番である建物ポリゴンとして特定し、特定されたアンマッチ建物ポリゴンとマッチ建物ポリゴンの顧客情報から順路データの順路順に特定される次の顧客情報とを関連付ける処理を遂行する。
【0040】
リンク特定部22は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照し、電子地図上におけるマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンの重心座標(又は中点座標等の建物ポリゴンを特定する座標情報)を算出し、算出したマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンの各重心座標から近傍の道路縁に対して垂線を引く。つまり、本実施形態のリンク特定部22は、重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を建物ポリゴン毎に抽出し、抽出された道路縁と該直線との交点を求める。そして、この交点をマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴン各々に対応する道路縁リンク座標して特定する。
【0041】
図6は、道路縁リンク座標の特定処理の一例を示す図であり、マッチ建物ポリゴン(A氏)の座標から近傍の道路縁に垂線を引き、交点をマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標として特定することができる。一方、アンマッチ建物ポリゴン(V氏)の座標から近傍の道路縁に垂線を引き、交点をアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標として特定することができる。
【0042】
探索部23は、道路縁リンク座標探索処理を遂行する。まず、順路データ11bを参照して、順路順に基づいて探索方向を決定する。具体的には、上述のようにマッチング結果「済」のデータと、このマッチング結果「済」の建物ポリゴンの座標情報(配置関係)から順路データの順路順に基づいて探索方向を決定することができる。また、予め探索方向として左回り(左方向)や右回り(右方向)などの情報を順路データ11bが保持するように構成し、探索部23が予め保持されている方向情報を参照して探索方向を決定するようにしてもよい。
【0043】
次に、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの各道路縁リンク座標から道路縁の連続する座標に沿って順路データの順路順に基づく所定の探索方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する。具体的には、図7に示すように、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から道路縁データに基づいて連続する座標上を探索し、アンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標があるか否かを探索する(図7の矢印)。
【0044】
すなわち、図8に示すように、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標とアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標とが道路縁データに従う連続する座標上にあるか否かを探索する座標探索処理を遂行し、順路データの順路順に基づく所定の探索方向であってマッチ建物ポリゴンの次に探索されるアンマッチ建物ポリゴンを、道路縁リンク座標を用いて探索する。
【0045】
このとき、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から順路データの順路順に基づいて所定の一方向(例えば、左方向)に探索を行い、逆方向への探索を行わないように制御することができる。また、幅員を有する道路ポリゴンの道路縁データに基づいて探索処理を行う場合、道路を跨った道路縁データに対する探索は行わないように制御することができる。例えば、図5(b)に示すように、探索部23は、道路ポリゴン1の座標A2、B2・・・の道路縁座標上を探索する際に、道路ポリゴン1の交差点情報X2を用いて道路ポリゴン1が他の道路ポリゴン2と交錯する(道路を跨ぐ)か否かを判別し、交差点情報X2に基づいて道路を跨がずに連続する道路ポリゴン2の道路縁座標上を探索するように制御することができる。
【0046】
道路縁マッチング制御部21は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標と同じ道路縁座標上にある探索された道路縁リンク座標に対応するアンマッチ建物ポリゴンに対し、順路データの順路順に基づいて顧客情報とのマッチング処理を遂行する。具体的には、企業所有情報データベース11及び/又は電子地図情報データベース12に格納されている各種データに道路縁マッチング結果を反映させる道路縁マッチング結果反映処理を遂行する。
【0047】
なお、探索部23は、順路データ11bを参照し、順路データの順路順にマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から次のマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標を探索するように、道路縁リンク座標探索処理を遂行することができる。具体的には、順路データ11bを参照し、順路データの順路順に2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を決定し、道路縁に沿って所定の方向に2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間を探索する。そして、この道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、アンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在する場合に、探索の始点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を特定するように処理を遂行する。
【0048】
一方、2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在しない場合には、探索の始点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からの探索処理を行わず、順路データ11bを参照し、探索の終点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から順路データの順路順に次のマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標を探索し、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標が存在する場合にのみ、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を特定するように処理を遂行することができる。
【0049】
図7の例では、建物ポリゴン3と建物ポリゴン4の各道路縁リンク座標間には、アンマッチ建物ポリゴンが存在したいため、探索の始点である建物ポリゴン3からのアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標の探索処理を遂行せず、建物ポリゴン4と建物ポリゴン6の各道路縁リンク座標間には、アンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標が存在するので、探索の始点ある建物ポリゴン4からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する処理を遂行することができる。
【0050】
図9(a)は、道路縁マッチング結果が反映されたマッチング処理済み電子地図データ12aである道路縁マッチング処理済み電子地図データ12cを示す図であり、図9(b)は、道路縁マッチング結果が反映された顧客情報11aを示す図である。なお、順路データ11bにも道路縁マッチング処理によるマッチング結果を反映させることができる。
【0051】
また、道路縁マッチング制御部21は、図3(a)に示すように、建物ポリゴンデータが存在するものの、住所情報が欠落しているマッチング処理済み電子地図データに対しても、図9(a)に示すように顧客情報を関連付けることができ、その場合、関連付けられた顧客情報の住所情報を欠落していたマッチング処理済み電子地図データに反映させる処理を遂行することができる。また、上述のように、道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データとは別途の道路縁マッチングの結果を含む道路縁マッチング済み電子地図データを生成することも可能である。
【0052】
なお、図7の例において、同一住所の建物ポリゴン8及び9のようにアンマッチ建物ポリゴンが連続している場合は、これら連続する複数のアンマッチ建物ポリゴン8及び9の各々に対して道路縁リンク座標を特定し、マッチ建物ポリゴン6から所定の方向に探索処理を遂行することで、アンマッチ建物ポリゴンと所定の順序で関連付けられた顧客情報との関連付けを行うことができる。
【0053】
また、建物ポリゴン7は、顧客情報には含まれていない住所情報を有する電子地図データである。この場合、本実施形態の道路縁マッチング処理では、マッチ建物ポリゴン6からアンマッチ建物ポリゴン7、8、9が探索処理によって特定されるが、ここで道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12a及び順路データ11b(又は顧客情報11a)を参照し、各アンマッチ建物ポリゴンの住所情報が顧客情報に含まれているか否かを判別し、アンマッチ建物ポリゴンの住所情報が顧客情報に含まれていないと判別された場合、そのアンマッチ建物ポリゴンを除外してマッチング処理を遂行する。図9(a)の例のように、探索されたアンマッチ建物ポリゴン7を除外して、アンマッチ建物ポリゴン8、9との住所情報と顧客情報の住所情報とをマッチングし、当該アンマッチ建物ポリゴン8、9を顧客情報と関連付けるようにすることができる。
【0054】
また、道路縁マッチング制御部21は、電子地図データにおける住所情報と顧客情報の住所情報とをマッチング処理し、マッチングの結果、住所情報が互いに相違する場合に表示装置Dにメッセージを表示させたり、警告等を発するようにしてもよい。
【0055】
図10、図11は、本実施形態の電子地図データ処理システムの処理フローを示したフォローチャートである。
【0056】
図10に示すように、道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照して顧客情報11aとのアンマッチデータがあるか否か、言い換えれば、企業等が所有する顧客情報11aが電子地図データと関連付けられていないデータを含んでいるか否かを判別する(ステップS101)。この判別処理は、マッチング処理済み電子地図データ12aのマッチング結果又は顧客IDを参照することで遂行することができる。また、上述のように、顧客情報11aにポリゴンIDが含まれたり、順路データ11bにマッチング結果が含まれる場合には、これら顧客情報11a又は順路データ11bを参照することで、アンマッチデータがあるか否かを判別することができる。
【0057】
道路縁マッチング制御部21は、アンマッチデータがないと判別した場合は、処理を終了させ、アンマッチデータがあると判別した場合には、ステップS102に進み、道路縁マッチング処理を開始する。図11は、図10のステップS102の道路縁マッチング処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0058】
図11に示すように、道路縁マッチング制御部21が顧客情報に電子地図データとのアンマッチデータが存在すると判別した場合には、リンク特定部22は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照し、マッチ建物ポリゴンの重心座標に基づいて、マッチ建物ポリゴンの重心座標から近傍の道路縁に対して垂線を引き、マッチ建物ポリゴン毎に当該重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を特定する。
【0059】
そして、特定された道路縁と該直線との交点を当該マッチ建物ポリゴンに対する各道路縁リンク座標して特定する(ステップS301)。また、リンク特定部22は、同様に、アンマッチ建物ポリゴンの重心座標から近傍の道路縁に垂線を引き、アンマッチ建物ポリゴン毎に当該重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を特定する。そして、特定された道路縁と該直線との交点を当該アンマッチ建物ポリゴンに対する各道路縁リンク座標して特定する(ステップS302)。
【0060】
探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から道路縁に沿って順路データの順路順に基づく所定の方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する(ステップS303)。道路縁マッチング制御部21は、探索部23によって探索された、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標と同じ道路縁座標上にある道路縁リンク座標に対応するアンマッチ建物ポリゴンを特定し(ステップS304)、順路データの順路順に基づいて建物ポリゴンと関連付けられていない顧客情報とのマッチング処理を遂行する(ステップS305)。
【0061】
その後道路縁マッチング制御部21は、さらにマッチング処理済み電子地図データ12aを参照してアンマッチデータがあるか否かを判別し、アンマッチデータ全てに対してステップS301からステップS305の処理を繰り返し遂行する。
【0062】
このように、本実施形態の電子地図データ処理システムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁の座標情報を用いることで、住所情報に依存することのない電子地図データと顧客情報とのマッチングを可能とし、電子地図と顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。つまり、アドレスマッチング処理ではマッチングさせるとこのできなかったアンマッチデータに対して道路縁マッチング処理を補完的に適用することにより、電子地図と企業等が所有する顧客情報のマッチング率を大幅に向上させることが可能となり、電子地図を用いた顧客情報の活用をより好適に提供することができる。
【0063】
特に、本実施形態の道路縁マッチング処理は、顧客情報及び電子地図データのどちらか一方、又は両方の住所情報が欠落していたり、不備がある場合や、同一番地(同一住所情報)に複数建物ポリゴンが関連付けられている場合であっても、好適に顧客情報と建物ポリゴンをマッチングさせることができ、マッチング率を向上させることが可能となる。また、住所情報に依存しないため、顧客情報及び電子地図データの住所情報が旧住所であったり、住所の表記が通り名などの別名称である場合であっても、顧客情報と電子地図データとマッチングさせることができる。
【0064】
また、住所情報が欠落していたり、不備がある場合であっても電子地図データと顧客情報とをマッチングさせることができるため、マッチングした電子地図データ又は顧客情報の住所情報を互いのデータに反映させることができ、データを好適に維持することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態において、顧客情報11aと順路データ11bは、個別のデータとして構成しているが、これらの情報を1つのデータとして構成することも可能である。また、新聞配達、郵便配達等の配達順序や営業活動等における巡回順序を有する顧客情報の場合、複数の配達巡回区画(エリア)別の顧客情報を構成することが可能であり、複数の区画別に顧客情報を構成し、順路データを有する区画別の顧客情報として構成することも可能である。この場合、本実施形態の道路縁マッチング処理は、区画別の顧客情報の各々に対してアンマッチデータがあるか否かを判別し、区画毎に道路縁マッチング処理を適用することが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、GIS等の電子地図上に表示される建物ポリゴン及び道路縁データと、企業等が所有する順路データとを用いた道路縁マッチング処理を行っているが、例えば、建物ポリゴンに対応する特定の座標情報と順路データとを用いて道路縁マッチング処理を遂行することができる。すなわち、建物ポリゴン等のポリゴンデータを有せずに、電子地図上の特定の座標情報と住所情報とが関連付けられた電子地図データであっても、本実施形態の道路縁マッチング処理を適用することができる。
【0067】
また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、アドレスマッチング処理部(クレンジング処理部を含んでもよい)を有するシステムとし構成することが可能であり、アドレスマッチング処理を遂行するシステムに対して、内部的に又は外部的に適用することが可能である。
【0068】
また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、記憶装置10、制御装置20を各々異なるサーバ装置等で実現し、ネットワーク等の通信回線を介して接続したシステムとして構成することもでき、各処理部及び記憶部毎に分散されたシステム構成とすることも可能である。また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、1つのコンピュータ等の情報処理装置で実現することも可能である。すなわち、記憶装置10としての記憶部と制御装置20としての制御部を含む電子地図データ処理装置として構成することができる。
【0069】
なお、本実施形態の道路縁マッチング処理は、図6、図7に示すような電子地図を表示装置Dに表示させることも可能である。また、これらを表示装置Dに表示させないで道路縁マッチング処理を遂行させることもできる。
【0070】
以上、上述の実施形態において制御装置20は、不図示のCPU等の制御部を備えるサーバ等のコンピュータで実現することができ、該制御部が、制御装置20全体(各部)の制御を司るように構成され、記憶装置10から各種データを取得したり、制御装置20で生成したデータを記憶装置10に出力する処理部としての機能を遂行することができる。
【0071】
また、本発明の道路縁マッチング処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして実現することも可能であり、当該プログラムがインストールされたコンピュータは、本発明の道路縁マッチング処理を遂行する情報処理装置として動作することが可能である。例えば、不図示の補助記憶装置に当該プログラムが格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行し、コンピュータに本発明の道路縁マッチング処理を動作させることができる。
【0072】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに適用することも可能であり、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータにダウンロードすることも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0073】
なお、本発明を好適な実施形態に則して説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で当該技術分野の技術に照らし合わせて多様に変形することが可能である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 電子地図データ処理システム
10 記憶装置
11 企業所有情報データベース
11a 顧客情報
11b 順路データ
12 電子地図情報データベース
12a マッチング処理済み電子地図データ
12b 建物ポリゴンデータ
12c 道路縁マッチング処理済データ
12d 道路縁データ
20 制御装置
21 道路縁マッチング制御部
22 リンク特定部
23 探索部
D 表示装置
I 操作入力装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図データ処理システムに関し、より詳細には、企業等が所有する顧客情報を電子地図に関連付ける電子地図データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から既存の電子地図上に企業等が所有する顧客情報をリンクさせ、企業等が所有する顧客情報を活用する技術がある。具体的には、既存の電子地図上に企業等が所有する顧客情報をリンクさせるためのマッチング処理が行われ、例えば、電子地図上に表示される建物ポリゴンの属性情報として付与されている住所情報や表札情報と企業が所有する顧客情報の住所情報とを関連付けるアドレスマッチング処理(それぞれの住所情報を文字情報ベースで付け合せ、電子地図との関連付けを行う処理)が行われる。
【0003】
図12(a)は、企業等が所有する顧客情報Aの一例、図12(b)は、アドレスマッチング処理後の電子地図データBの一例を示している。また、図13は、アドレスマッチング処理後のコンピュータ上に表示された電子地図の一例を示す図である。
【0004】
図12(b)に示すように、アドレスマッチング処理により企業等が所有する顧客情報Aが電子地図データに関連付けられると、電子地図データBに顧客情報(顧客ID)が付加される。そして、図13に示すように、ディスプレイ装置に表示される電子地図において、ユーザが関連付けられた電子地図上の建物ポリゴンをマウス等でポインティングすると、電子地図上に顧客の氏名等を含む顧客情報が表示される。
【0005】
しかしながら、文字情報ベースでのアドレスマッチング処理は、双方のデータフォーマットが共通化されていない場合や不要な文字データが混在されている場合は、電子地図データの住所情報と企業等が所有する顧客情報の住所情報とをマッチングさせることができない問題がある。そこで、従来は、アドレスマッチング処理のマッチング率を向上させるために、アドレスマッチング処理前に電子地図データの住所情報及び顧客情報の住所情報を共通のデータフォーマット(共通の住所データ体系)に変換したり、住所情報における丁、番、号の数字等のフォーマットを共通化したり、住所情報上の無駄な情報(空白情報等)を削除するなどの前処理(クレンジング処理)を行い、アドレスマッチング処理精度の向上を図っていた。
【0006】
また、特許文献1に記載のように、検索対象の住所に対応する電子地図上の座標データが住所データベースに存在しない場合、検索対象の住所が示す地点の座標を特定するための技術が提案されている。この技術は、街区を複数に区画し、検索対象の住所の座標データが住所データベースに存在しない場合に、検索対象の文字情報ベースの住所情報から区画を特定し、特定された区画内の建物ポリゴンを検索して検索対象の住所に対応する建物ポリゴンを抽出することで、電子地図上の座標を特定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−51596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電子地図上に表示される建物ポリゴン(座標情報)の属性情報として付与されている住所情報が欠落していたり、同一番地に複数世帯の家屋が存在する場合、文字情報ベースのアドレスマッチング処理では、データフォーマット等に関係なく電子地図データと企業等が所有する顧客情報とをマッチングさせることができない。また、電子地図データ又は顧客情報の住所情報が旧住所であったり、住所の表記が通り名などの別名称である場合や、企業等が所有する顧客情報の住所情報が誤っていたり、顧客情報に入力される情報の形式が統一されていない場合なども同様にマッチングさせることができない。
【0009】
このため、従来のアドレスマッチング処理では、事前のクレンジング処理を実施しても、電子地図データと企業等が所有する顧客情報とを70%程度しかマッチングさせることができず、残りは1件1件手作業でマッチングせざるを得なかった。
【0010】
また、上記特許文献1においても文字情報ベースの住所情報を用いた区画特定を行われており、上述のアドレスマッチング処理における問題点を解決することは難しい。
【0011】
そこで、本発明の目的は、電子地図と企業等が所有する顧客情報のマッチング率を向上させることができる電子地図データ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの側面としての電子地図データ処理システムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データを記憶する第1記憶部と、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データを記憶する第2記憶部と、前記電子地図上の道路縁の座標情報を記憶する第3記憶部とを備える。そして、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記座標探索部は、前記順路データの順路順に前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の特定の座標情報に対応する2つの道路縁リンク座標を抽出し、道路縁に沿って前記所定の方向に抽出した2つの道路縁リンク座標間を探索して前記道路縁リンク座標間に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、存在すると判別された場合に前記2つの道路縁リンク座標の一方から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標を探索することができる。
【0014】
また、本発明の他の側面としての電子地図データ処理装置は、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報と、を記憶する記憶部と、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のさらに他の側面としての電子地図データ処理プログラムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報とを用いたコンピュータで実行される電子地図データ処理プログラムであって、前記コンピュータに、前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する機能と、前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する機能と、前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付ける機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子地図と企業等が所有する顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。
【0017】
すなわち、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁の座標情報を用いることで、住所情報に依存することのない電子地図データと顧客情報とのマッチングを可能とし、電子地図と顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態における企業所有情報の一例を示す図であり、(a)は顧客情報、(b)は順路データである。
【図3】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)はマッチング処理済み電子地図データ、(b)は建物ポリゴンデータである。
【図4】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)は道路縁データ、(b)は道路縁データとして区画ポリゴンが表示された電子地図の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における電子地図情報の一例を示す図であり、(a)は道路縁データ、(b)は道路縁データとして道路ポリゴンが表示された電子地図の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における道路縁リンク座標特定処理を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態における道路縁リンク座標探索処理を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態における道路縁マッチング処理を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態における道路縁マッチング処理後の情報を示す図であり、(a)は道路縁マッチング処理済み電子地図データ、(b)は顧客情報である。
【図10】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの処理フローを示したフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態における電子地図データ処理システムの処理フローを示したフローチャートである。
【図12】従来例における顧客情報及び電子地図データを示す図である。
【図13】従来例における顧客情報と電子地図データとが関連付けられた際のGIS等の電子地図表示画面の一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、GIS(Geographic Information System;地理情報システム)等の電子地図に企業等が所有する顧客情報を関連付け、電子地図上に顧客情報を表示させて当該顧客情報を活用する際の、電子地図と顧客情報とのマッチング処理を遂行する電子地図データ処理システム(電子地図データ処理装置)に関する。
【0021】
本発明の電子地図データ処理システムは、電子地図上の特定の座標情報(例えば、建物ポリゴン)と企業等が所有する顧客情報とを関連付けるマッチング処理を遂行し、特に、事前マッチング処理としてクレンジング処理及び文字情報ベースのアドレスマッチングが施されたマッチング処理済み電子地図データにおいて、事前マッチング処理ではマッチングさせることができないアンマッチデータを対象に、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁に関する情報を用いた道路縁マッチング処理を遂行する。
【0022】
また、以下の説明では、事前マッチング処理が施された電子地図データをマッチング処理済み電子地図データ、事前マッチング処理が施されていない電子地図データは単に電子地図データと称して説明する。また、本発明の道路縁マッチング処理が施された電子地図データを道路縁マッチング処理済み電子地図データと称する。なお、これら電子地図データ、マッチング処理済み電子地図データ、及び道路縁マッチング処理済み電子地図データは、基本となる電子地図データが同一であり、各処理を経ることで当該電子地図データが更新されたり、電子地図データに所定のデータが付加された各状態の説明するために個別の名称で説明している。したがって、これら電子地図データは、1つのデータ格納テーブル等で保持・管理することができ、また、各々に対応する複数のテーブルで保持・管理することも可能である。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子地図データ処理システムの構成ブロック図である。図1に示すように、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、記憶装置10、制御装置20、液晶ディスプレイ等の表示装置D、及びマウス、キーボート等の操作入力装置Iを含んで構成される。また、制御装置20は、表示装置Dへの各種情報の表示制御を行う表示制御部や操作入力装置Iの操作入力制御を行う操作入力制御部、プリンタ、スピーカなどの出力手段、スキャナやOCRなどの入力手段等も備えることができる(不図示)。
【0024】
記憶装置10は、企業等が所有する顧客情報を格納する企業所有情報データベース11、及びGIS(Geographic Information System;地理情報システム)等の電子地図情報を構成する電子地図データであって、企業等が所有する顧客情報と事前マッチング処理によって関連付けられたマッチング処理済み電子地図データ12aと、電子地図上に表示される建物ポリゴンの建物ポリゴンデータ12bと、電子地図上の道路縁に関する道路縁データ12dとを備える電子地図情報データベース12を含む。
【0025】
企業所有情報データベース11は、図2(a)に示すように、顧客ID、氏名情報、住所情報、顧客の関連情報を含む顧客情報11aと、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ11bを格納する。また、図2(a)に示すように、顧客情報が電子地図データと関連付けられた場合、該当する顧客情報に電子地図データのポリゴンIDやマッチング結果等を含ませるように構成することができる。顧客情報11a、順路データ11bの各々は、テーブルデータ構造を有し、互いにリレーショナルに格納されている。
【0026】
順路データ11bは、新聞配達、郵便配達等の配達順序、営業活動等における巡回順序の順番を示す情報である。ここでは、郵便配達を一例に説明する。順路データ11bは、任意のシーケンス番号、順路、顧客の氏名及び住所を含み、住所又は/及び氏名をキーに顧客情報11aとリレーショナルに関連付けられている。順路データ11bは、顧客情報が電子地図データと関連付けられた場合、該当するデータに電子地図データのポリゴンIDやマッチング結果等を含むことができる。順路には、複数の家屋(顧客)の配達の順番を数字で示した情報「5,6、7・・・」が登録されている。したがって、顧客情報はこの順番に基づく順序で互いに関連付けられている。
【0027】
つまり、本実施形態の順路データ11bは、複数の家屋(顧客)の配達や巡回等が所定の周回方向に基づいて定められた情報であり、例えば、道路の進行方向に従い、かつ道路を跨がずに所定の領域(区画)内の複数の家屋を配達又は巡回等する順路を指し示す情報である。このため、本実施形態の順路データ11bは、地図上の複数の家屋に対して所定の周回方向に配達又は巡回する順番に付与される情報であり、言い換えれば、順路データから所定の周回方向または巡回方向を特定することができ、また、別途順路データ11bに所定の周回方向または巡回方向に関する情報を含ませることができる。
【0028】
電子地図情報データベース12は、図3(a)に示すように、建物ポリゴンのポリゴンID、住所、マッチング結果、顧客情報の顧客IDを含むマッチング処理済み電子地図データ12aを格納する。マッチング処理済み電子地図データ12aは、建物ポリゴンと住所情報とが関連付けられた電子地図データに、マッチング結果及び顧客IDが追加されたデータである。マッチング結果は、上述のようにアドレスマッチングによる事前マッチング処理によって電子地図上の建物ポリゴンに顧客情報が関連付けられたか否かを示す情報であり、「済(マッチ)」、「未(アンマッチ)」などの識別情報である。また、マッチング結果が「済」である場合、言い換えれば、顧客情報が電子地図上の建物ポリゴンに関連付けられた場合には、対応する電子地図データに顧客情報の顧客IDが格納され、顧客IDをキーに顧客情報11aの顧客情報とリレーショナルに結び付けられる。ポリゴンIDは、各建物ポリゴンデータ12bにユニークに付与される識別情報である。
【0029】
一方、図3(a)において、電子地図データの住所情報が欠落していたり、顧客情報又は電子地図データの住所情報の一方が誤入力(誤登録)により不一致である場合、住所情報同士の付け合わせ処理(アドレスマッチング処理)ができず、また、電子地図データに同じ住所を有する異なる建物ポリゴンが存在する場合は、どちらの建物ポリゴンに顧客情報を関連付けるかを判断することができないため、マッチング結果は「未」となり、顧客IDは格納されていない。
【0030】
本実施形態のポリゴンは、電子地図上に表示される建物ポリゴン、道路ポリゴン、区画ポリゴン等の様々なポリゴンを含み、図3(b)は、建物ポリゴンデータ12bの一例である。ここで、ポリゴンとは、電子地図上の座標系(緯度,経度)に基づく座標情報で構成された当該電子地図上の特定の領域を表す情報であり、複数の座標情報で構成される。例えば、建物ポリゴンが四角形の場合、この建物ポリゴンは、その頂点の4点の座標情報を有するポリゴンデータで構成されている。建物ポリゴンデータ12bは、各建物ポリゴンデータにユニークに付与されるポリゴンID毎に、ポリゴン名称(ビル名、マンション名など)及び建物ポリゴンを構成する複数の座標情報を格納する。
【0031】
したがって、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、建物ポリゴンの所定の座標、例えば、建物ポリゴンの重心座標や中点座標を電子地図上の特定の座標情報として顧客情報と関連付けたり、建物ポリゴンに含まれる全ての座標と顧客情報とを関連付けることができる。
【0032】
なお、事前マッチング処理後のマッチング処理済み電子地図データ12a及び顧客情報11bの各々が、マッチング結果や対応するポリゴンIDを含むように構成することが可能であり、マッチング済み電子地図データ12aと顧客情報11bとの関連付けが維持されれば、マッチング済み電子地図データ12a又は顧客情報11bのどちらか一方がマッチング結果や対応するポリゴンIDを含むように構成することができる。
【0033】
図4及び図5は、道路縁データの一例であり、本実施形態の道路縁データは、1つ又は複数の建物ポリゴンが含まれる一定の領域を有する区画ポリゴン又は道路ポリゴンから特定される電子地図上において道路の連続した縁を表す座標情報である。
【0034】
図4の例では、電子地図上において各区画ポリゴン間の領域が電子地図上の道路として形成されている場合、区画ポリゴンの区画縁の座標情報が道路縁データとなる(図4(b)参照)。図4(a)に示すように、例えば、閉じた領域を形成する区画ポリゴンは建物ポリゴン同様に、区画ポリゴンIDとともに電子地図上の座標情報を保持しており、区画ポリゴンが四角形の場合、4つの各頂点の座標情報を有するポリゴンデータで構成される。なお、区画ポリゴンの各頂点以外の座標情報は、各頂点の座標を結ぶ線分に対応する座標情報から自動的に決定(特定)されることができ、道路縁の連続した座標情報、言い換えれば、道路縁線の線分上の連続した座標情報として本実施形態の道路縁マッチング処理に適用される。
【0035】
また、図5の例では、区画ポリゴンとともに又は個別に、道路ポリゴンが電子地図上に形成される場合、道路ポリゴンの縁の座標情報が道路縁データとなる(図5(b)参照)。例えば、道路ポリゴンは、所定の幅(幅員)を有し、図5(a)に示すように道路幅に基づいて対応する一対の座標情報を保持している。道路ポリゴンの縁に対応する連続した座標情報が道路縁データとなる。
【0036】
また、図5(a)に示すように、道路ポリゴンは、交差点情報を有することができ、例えば、他の道路ポリゴンと交錯する座標情報及び交差する道路ポリゴンのIDを各道路ポリゴンに対して保持するように構成することができる。この場合、図5(b)に示すように道路ポリゴン1及び道路ポリゴン2が交差点情報の座標X2で関連付けられており、道路縁データが複数の道路ポリゴンの道路縁の座標情報で構成されることになる。
【0037】
制御装置20は、マッチング処理済み電子地図データ12a、顧客情報の順路データ11b、及び電子地図上のポリゴンデータ(建物ポリゴンデータ12b及び道路縁データ12d)を用いて、該マッチング処理済み電子地図データ12aに含まれるアンマッチデータ(マッチング結果「未」)と顧客情報とをマッチングさせる道路縁マッチング処理を遂行する。このため、制御装置20は、道路縁マッチング制御部21を含んで構成される。なお、以下の説明において顧客情報と関連付けられたマッチング結果「済」の建物ポリゴンをマッチ建物ポリゴンと、顧客情報と関連付けられていないマッチング結果「未」の建物ポリゴンをアンマッチ建物ポリゴンと称して説明する。
【0038】
本実施形態の道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12aから、各マッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンを抽出し、マッチ建物ポリゴンに対応する道路縁データ上の道路縁リンク座標(第1道路縁リンク座標情報)を特定し、かつアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁データ上の道路縁リンク座標(第2道路縁リンク座標情報)を特定(算出)するリンク特定部(座標特定部)22と、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から該道路縁に沿って順路データの順路順(所定の順序順)に基づく所定の方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する探索部(座標探索部)23と、を含む。
【0039】
道路縁マッチング制御部21は、探索部23によって探索された当該道路縁リンク座標に対応する顧客情報と関連付けられていないアンマッチ建物ポリゴンを、順路データの順路順に従って当該マッチ建物ポリゴンの次の順番である建物ポリゴンとして特定し、特定されたアンマッチ建物ポリゴンとマッチ建物ポリゴンの顧客情報から順路データの順路順に特定される次の顧客情報とを関連付ける処理を遂行する。
【0040】
リンク特定部22は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照し、電子地図上におけるマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンの重心座標(又は中点座標等の建物ポリゴンを特定する座標情報)を算出し、算出したマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴンの各重心座標から近傍の道路縁に対して垂線を引く。つまり、本実施形態のリンク特定部22は、重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を建物ポリゴン毎に抽出し、抽出された道路縁と該直線との交点を求める。そして、この交点をマッチ建物ポリゴン及びアンマッチ建物ポリゴン各々に対応する道路縁リンク座標して特定する。
【0041】
図6は、道路縁リンク座標の特定処理の一例を示す図であり、マッチ建物ポリゴン(A氏)の座標から近傍の道路縁に垂線を引き、交点をマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標として特定することができる。一方、アンマッチ建物ポリゴン(V氏)の座標から近傍の道路縁に垂線を引き、交点をアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標として特定することができる。
【0042】
探索部23は、道路縁リンク座標探索処理を遂行する。まず、順路データ11bを参照して、順路順に基づいて探索方向を決定する。具体的には、上述のようにマッチング結果「済」のデータと、このマッチング結果「済」の建物ポリゴンの座標情報(配置関係)から順路データの順路順に基づいて探索方向を決定することができる。また、予め探索方向として左回り(左方向)や右回り(右方向)などの情報を順路データ11bが保持するように構成し、探索部23が予め保持されている方向情報を参照して探索方向を決定するようにしてもよい。
【0043】
次に、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの各道路縁リンク座標から道路縁の連続する座標に沿って順路データの順路順に基づく所定の探索方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する。具体的には、図7に示すように、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から道路縁データに基づいて連続する座標上を探索し、アンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標があるか否かを探索する(図7の矢印)。
【0044】
すなわち、図8に示すように、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標とアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標とが道路縁データに従う連続する座標上にあるか否かを探索する座標探索処理を遂行し、順路データの順路順に基づく所定の探索方向であってマッチ建物ポリゴンの次に探索されるアンマッチ建物ポリゴンを、道路縁リンク座標を用いて探索する。
【0045】
このとき、探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から順路データの順路順に基づいて所定の一方向(例えば、左方向)に探索を行い、逆方向への探索を行わないように制御することができる。また、幅員を有する道路ポリゴンの道路縁データに基づいて探索処理を行う場合、道路を跨った道路縁データに対する探索は行わないように制御することができる。例えば、図5(b)に示すように、探索部23は、道路ポリゴン1の座標A2、B2・・・の道路縁座標上を探索する際に、道路ポリゴン1の交差点情報X2を用いて道路ポリゴン1が他の道路ポリゴン2と交錯する(道路を跨ぐ)か否かを判別し、交差点情報X2に基づいて道路を跨がずに連続する道路ポリゴン2の道路縁座標上を探索するように制御することができる。
【0046】
道路縁マッチング制御部21は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標と同じ道路縁座標上にある探索された道路縁リンク座標に対応するアンマッチ建物ポリゴンに対し、順路データの順路順に基づいて顧客情報とのマッチング処理を遂行する。具体的には、企業所有情報データベース11及び/又は電子地図情報データベース12に格納されている各種データに道路縁マッチング結果を反映させる道路縁マッチング結果反映処理を遂行する。
【0047】
なお、探索部23は、順路データ11bを参照し、順路データの順路順にマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から次のマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標を探索するように、道路縁リンク座標探索処理を遂行することができる。具体的には、順路データ11bを参照し、順路データの順路順に2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を決定し、道路縁に沿って所定の方向に2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間を探索する。そして、この道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、アンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在する場合に、探索の始点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を特定するように処理を遂行する。
【0048】
一方、2つのマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標が存在しない場合には、探索の始点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からの探索処理を行わず、順路データ11bを参照し、探索の終点であるマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から順路データの順路順に次のマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標を探索し、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標間にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標が存在する場合にのみ、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を特定するように処理を遂行することができる。
【0049】
図7の例では、建物ポリゴン3と建物ポリゴン4の各道路縁リンク座標間には、アンマッチ建物ポリゴンが存在したいため、探索の始点である建物ポリゴン3からのアンマッチ建物ポリゴンに対応する道路縁リンク座標の探索処理を遂行せず、建物ポリゴン4と建物ポリゴン6の各道路縁リンク座標間には、アンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標が存在するので、探索の始点ある建物ポリゴン4からアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する処理を遂行することができる。
【0050】
図9(a)は、道路縁マッチング結果が反映されたマッチング処理済み電子地図データ12aである道路縁マッチング処理済み電子地図データ12cを示す図であり、図9(b)は、道路縁マッチング結果が反映された顧客情報11aを示す図である。なお、順路データ11bにも道路縁マッチング処理によるマッチング結果を反映させることができる。
【0051】
また、道路縁マッチング制御部21は、図3(a)に示すように、建物ポリゴンデータが存在するものの、住所情報が欠落しているマッチング処理済み電子地図データに対しても、図9(a)に示すように顧客情報を関連付けることができ、その場合、関連付けられた顧客情報の住所情報を欠落していたマッチング処理済み電子地図データに反映させる処理を遂行することができる。また、上述のように、道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データとは別途の道路縁マッチングの結果を含む道路縁マッチング済み電子地図データを生成することも可能である。
【0052】
なお、図7の例において、同一住所の建物ポリゴン8及び9のようにアンマッチ建物ポリゴンが連続している場合は、これら連続する複数のアンマッチ建物ポリゴン8及び9の各々に対して道路縁リンク座標を特定し、マッチ建物ポリゴン6から所定の方向に探索処理を遂行することで、アンマッチ建物ポリゴンと所定の順序で関連付けられた顧客情報との関連付けを行うことができる。
【0053】
また、建物ポリゴン7は、顧客情報には含まれていない住所情報を有する電子地図データである。この場合、本実施形態の道路縁マッチング処理では、マッチ建物ポリゴン6からアンマッチ建物ポリゴン7、8、9が探索処理によって特定されるが、ここで道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12a及び順路データ11b(又は顧客情報11a)を参照し、各アンマッチ建物ポリゴンの住所情報が顧客情報に含まれているか否かを判別し、アンマッチ建物ポリゴンの住所情報が顧客情報に含まれていないと判別された場合、そのアンマッチ建物ポリゴンを除外してマッチング処理を遂行する。図9(a)の例のように、探索されたアンマッチ建物ポリゴン7を除外して、アンマッチ建物ポリゴン8、9との住所情報と顧客情報の住所情報とをマッチングし、当該アンマッチ建物ポリゴン8、9を顧客情報と関連付けるようにすることができる。
【0054】
また、道路縁マッチング制御部21は、電子地図データにおける住所情報と顧客情報の住所情報とをマッチング処理し、マッチングの結果、住所情報が互いに相違する場合に表示装置Dにメッセージを表示させたり、警告等を発するようにしてもよい。
【0055】
図10、図11は、本実施形態の電子地図データ処理システムの処理フローを示したフォローチャートである。
【0056】
図10に示すように、道路縁マッチング制御部21は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照して顧客情報11aとのアンマッチデータがあるか否か、言い換えれば、企業等が所有する顧客情報11aが電子地図データと関連付けられていないデータを含んでいるか否かを判別する(ステップS101)。この判別処理は、マッチング処理済み電子地図データ12aのマッチング結果又は顧客IDを参照することで遂行することができる。また、上述のように、顧客情報11aにポリゴンIDが含まれたり、順路データ11bにマッチング結果が含まれる場合には、これら顧客情報11a又は順路データ11bを参照することで、アンマッチデータがあるか否かを判別することができる。
【0057】
道路縁マッチング制御部21は、アンマッチデータがないと判別した場合は、処理を終了させ、アンマッチデータがあると判別した場合には、ステップS102に進み、道路縁マッチング処理を開始する。図11は、図10のステップS102の道路縁マッチング処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0058】
図11に示すように、道路縁マッチング制御部21が顧客情報に電子地図データとのアンマッチデータが存在すると判別した場合には、リンク特定部22は、マッチング処理済み電子地図データ12aを参照し、マッチ建物ポリゴンの重心座標に基づいて、マッチ建物ポリゴンの重心座標から近傍の道路縁に対して垂線を引き、マッチ建物ポリゴン毎に当該重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を特定する。
【0059】
そして、特定された道路縁と該直線との交点を当該マッチ建物ポリゴンに対する各道路縁リンク座標して特定する(ステップS301)。また、リンク特定部22は、同様に、アンマッチ建物ポリゴンの重心座標から近傍の道路縁に垂線を引き、アンマッチ建物ポリゴン毎に当該重心座標から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を特定する。そして、特定された道路縁と該直線との交点を当該アンマッチ建物ポリゴンに対する各道路縁リンク座標して特定する(ステップS302)。
【0060】
探索部23は、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標から道路縁に沿って順路データの順路順に基づく所定の方向にアンマッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標を探索する(ステップS303)。道路縁マッチング制御部21は、探索部23によって探索された、マッチ建物ポリゴンの道路縁リンク座標と同じ道路縁座標上にある道路縁リンク座標に対応するアンマッチ建物ポリゴンを特定し(ステップS304)、順路データの順路順に基づいて建物ポリゴンと関連付けられていない顧客情報とのマッチング処理を遂行する(ステップS305)。
【0061】
その後道路縁マッチング制御部21は、さらにマッチング処理済み電子地図データ12aを参照してアンマッチデータがあるか否かを判別し、アンマッチデータ全てに対してステップS301からステップS305の処理を繰り返し遂行する。
【0062】
このように、本実施形態の電子地図データ処理システムは、所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データ及び電子地図上の道路縁の座標情報を用いることで、住所情報に依存することのない電子地図データと顧客情報とのマッチングを可能とし、電子地図と顧客情報とのマッチング率を向上させることが可能となる。つまり、アドレスマッチング処理ではマッチングさせるとこのできなかったアンマッチデータに対して道路縁マッチング処理を補完的に適用することにより、電子地図と企業等が所有する顧客情報のマッチング率を大幅に向上させることが可能となり、電子地図を用いた顧客情報の活用をより好適に提供することができる。
【0063】
特に、本実施形態の道路縁マッチング処理は、顧客情報及び電子地図データのどちらか一方、又は両方の住所情報が欠落していたり、不備がある場合や、同一番地(同一住所情報)に複数建物ポリゴンが関連付けられている場合であっても、好適に顧客情報と建物ポリゴンをマッチングさせることができ、マッチング率を向上させることが可能となる。また、住所情報に依存しないため、顧客情報及び電子地図データの住所情報が旧住所であったり、住所の表記が通り名などの別名称である場合であっても、顧客情報と電子地図データとマッチングさせることができる。
【0064】
また、住所情報が欠落していたり、不備がある場合であっても電子地図データと顧客情報とをマッチングさせることができるため、マッチングした電子地図データ又は顧客情報の住所情報を互いのデータに反映させることができ、データを好適に維持することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態において、顧客情報11aと順路データ11bは、個別のデータとして構成しているが、これらの情報を1つのデータとして構成することも可能である。また、新聞配達、郵便配達等の配達順序や営業活動等における巡回順序を有する顧客情報の場合、複数の配達巡回区画(エリア)別の顧客情報を構成することが可能であり、複数の区画別に顧客情報を構成し、順路データを有する区画別の顧客情報として構成することも可能である。この場合、本実施形態の道路縁マッチング処理は、区画別の顧客情報の各々に対してアンマッチデータがあるか否かを判別し、区画毎に道路縁マッチング処理を適用することが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、GIS等の電子地図上に表示される建物ポリゴン及び道路縁データと、企業等が所有する順路データとを用いた道路縁マッチング処理を行っているが、例えば、建物ポリゴンに対応する特定の座標情報と順路データとを用いて道路縁マッチング処理を遂行することができる。すなわち、建物ポリゴン等のポリゴンデータを有せずに、電子地図上の特定の座標情報と住所情報とが関連付けられた電子地図データであっても、本実施形態の道路縁マッチング処理を適用することができる。
【0067】
また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、アドレスマッチング処理部(クレンジング処理部を含んでもよい)を有するシステムとし構成することが可能であり、アドレスマッチング処理を遂行するシステムに対して、内部的に又は外部的に適用することが可能である。
【0068】
また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、記憶装置10、制御装置20を各々異なるサーバ装置等で実現し、ネットワーク等の通信回線を介して接続したシステムとして構成することもでき、各処理部及び記憶部毎に分散されたシステム構成とすることも可能である。また、本実施形態の電子地図データ処理システム1は、1つのコンピュータ等の情報処理装置で実現することも可能である。すなわち、記憶装置10としての記憶部と制御装置20としての制御部を含む電子地図データ処理装置として構成することができる。
【0069】
なお、本実施形態の道路縁マッチング処理は、図6、図7に示すような電子地図を表示装置Dに表示させることも可能である。また、これらを表示装置Dに表示させないで道路縁マッチング処理を遂行させることもできる。
【0070】
以上、上述の実施形態において制御装置20は、不図示のCPU等の制御部を備えるサーバ等のコンピュータで実現することができ、該制御部が、制御装置20全体(各部)の制御を司るように構成され、記憶装置10から各種データを取得したり、制御装置20で生成したデータを記憶装置10に出力する処理部としての機能を遂行することができる。
【0071】
また、本発明の道路縁マッチング処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして実現することも可能であり、当該プログラムがインストールされたコンピュータは、本発明の道路縁マッチング処理を遂行する情報処理装置として動作することが可能である。例えば、不図示の補助記憶装置に当該プログラムが格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行し、コンピュータに本発明の道路縁マッチング処理を動作させることができる。
【0072】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに適用することも可能であり、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータにダウンロードすることも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0073】
なお、本発明を好適な実施形態に則して説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で当該技術分野の技術に照らし合わせて多様に変形することが可能である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 電子地図データ処理システム
10 記憶装置
11 企業所有情報データベース
11a 顧客情報
11b 順路データ
12 電子地図情報データベース
12a マッチング処理済み電子地図データ
12b 建物ポリゴンデータ
12c 道路縁マッチング処理済データ
12d 道路縁データ
20 制御装置
21 道路縁マッチング制御部
22 リンク特定部
23 探索部
D 表示装置
I 操作入力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データを記憶する第1記憶部と、
電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データを記憶する第2記憶部と、
前記電子地図上の道路縁の座標情報を記憶する第3記憶部と、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、
を備えることを特徴とする電子地図データ処理システム。
【請求項2】
前記座標探索部は、前記順路データの順路順に前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の特定の座標情報に対応する2つの道路縁リンク座標を抽出し、道路縁に沿って前記所定の方向に抽出した2つの道路縁リンク座標間を探索して前記道路縁リンク座標間に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、存在すると判別された場合に前記2つの道路縁リンク座標の一方から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標を探索することを特徴とする電子地図データ処理システム。
【請求項3】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報と、を記憶する記憶部と、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、
を備えることを特徴とする電子地図データ処理装置。
【請求項4】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報とを用いたコンピュータで実行される電子地図データ処理プログラムであって、前記コンピュータに、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する機能と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する機能と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付ける機能と、を実現させる電子地図データ処理プログラム。
【請求項1】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データを記憶する第1記憶部と、
電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データを記憶する第2記憶部と、
前記電子地図上の道路縁の座標情報を記憶する第3記憶部と、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、
を備えることを特徴とする電子地図データ処理システム。
【請求項2】
前記座標探索部は、前記順路データの順路順に前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の特定の座標情報に対応する2つの道路縁リンク座標を抽出し、道路縁に沿って前記所定の方向に抽出した2つの道路縁リンク座標間を探索して前記道路縁リンク座標間に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標が存在するか否かを判別し、存在すると判別された場合に前記2つの道路縁リンク座標の一方から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の特定の座標に対応する道路縁リンク座標を探索することを特徴とする電子地図データ処理システム。
【請求項3】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報と、を記憶する記憶部と、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する座標特定部と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する座標探索部と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付けるマッチング制御部と、
を備えることを特徴とする電子地図データ処理装置。
【請求項4】
所定の順序で顧客情報を関連付けた順路データと、電子地図上の特定の座標情報と前記顧客情報とがマッチング処理により関連付けられたマッチング処理済み電子地図データと、前記電子地図上の道路縁の座標情報とを用いたコンピュータで実行される電子地図データ処理プログラムであって、前記コンピュータに、
前記電子地図上の特定の座標情報から延びる直線に対して最短距離にある道路縁を抽出し、前記抽出された道路縁と前記直線との交点を求め、前記交点を前記特定の座標情報に対応する道路縁リンク座標として特定する処理を遂行し、前記顧客情報と関連付けられている電子地図上の第1座標情報に対応する第1道路縁リンク座標情報及び前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の第2座標情報に対応する第2道路縁リンク座標情報を特定する機能と、
前記第1道路縁リンク座標情報から道路縁に沿って前記順路データの順路順に基づく所定の方向に前記第2道路縁リンク座標情報を探索する機能と、
前記探索された第2道路縁リンク座標情報に対応する前記顧客情報と関連付けられていない電子地図上の前記第2座標情報を、前記順路データの順路順に基づいて前記電子地図上の特定の座標情報に関連付けられていない前記顧客情報と関連付ける機能と、を実現させる電子地図データ処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−39203(P2011−39203A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185253(P2009−185253)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]