説明

電子安定器及び始動方法

電子安定器及びランプフィラメントを有するランプに動作可能に接続された電子安定器を含む始動方法であって、電子安定器は、インバータ制御信号112及び予熱制御信号114を生じさせるタイマ110と、AC電力を受けDC電力122を生じるコンバータ120と、DC電力122を受けランプ電力132をランプに供給する自励発振インバータ130とを有し、自励発振インバータ130はインバータ制御信号112に応答し、電子安定器は、DC電力122を受けかつフィラメント電力142をランプフィラメントに供給するフィラメントプレヒータ140を有し、フィラメントプレヒータ140は予熱制御信号114に応答し、AC電力を最初に印加すると、予熱制御信号114はフィラメントプレヒータ140に指図しフィラメント電力142をランプフィラメントに供給させ、インバータ制御信号112は自励発振インバータ130に指図しランプ電力132をランプに供給しないようする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、電源、特に電子安定器及び始動方法である。
【背景技術】
【0002】
電子安定器は、高周波AC電力を提供して蛍光ランプ(蛍光灯)を点灯させるために使用可能である。電子安定器は、通常、多くの電力関連機能を実行し、かかる機能としては、とりわけ、一次電源からの電力のそれぞれのランプの要件に対応した電圧及び周波数への変換並びにランプへの電流の流れの制限及び制御が挙げられる。残念ながら、ランプシステム又は電子安定器の故障により、故障が是正されなければ又は電子安定器が動作停止されなければ過熱又は発火の恐れが生じる場合がある。
【0003】
電子安定器は、2つの大きなカテゴリ、即ち、プログラムスタート安定器と瞬時スタート安定器に分けられる。プログラムスタート安定器は、点弧前にランプフィラメントを予熱し、典型的には、コントローラ駆動トポロジーを採用している。瞬時スタート安定器は、一定の高い電圧を提供し、従って、ランプは、電力がオンになると直ちに点灯する。瞬時スタート安定器は、典型的には、自励発振トポロジーを採用している。プログラムスタート安定器は、高価であり、始動の際の照明が遅く、多くのランプ設備における独立ランプ動作のために使用することが困難である。瞬時スタート安定器では、切り換えサイクルが少ない。
【0004】
電子安定器に関するもう1つの問題は、遠隔のランプ設置場所におけるホットリランピング(hot re-lamping)である。ランプの設置場所を変えてランプを再び接続して電源投入すると、出力開路電圧は、特にランプが遠隔場所に、例えば電子安定器から約20フィート(6m)以上離れたところに位置している場合、ランプによってはこれらランプを点弧させるほど高くはない。
【0005】
電子安定器に関する更にもう1つの問題は、電子安定器内の種々の回路の電源投入による立ち上げシーケンスである。回路の中には、電力を時期尚早に、即ち、電子安定器が所望の始動シーケンスに従うよう電源投入により立ち上げられる前に電力をランプのところの負荷に印加するものがある。回路の中には、負荷なしで始動するものもある。というのは、電力が供給される回路は、まだ通電されていないからである。かかる問題により、始動時における動作が不安定且つ不確実になる場合がある。
【0006】
上述の欠点を解決する電子安定器及び始動方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一観点は、AC電力を受けると共にランプフィラメントを有するランプに動作可能に接続された電子安定器であって、電子安定器は、インバータ制御信号及び予熱制御信号を生じさせるタイマと、AC電力を受けてDC電力を生じさせるコンバータと、DC電力を受けると共にランプ電力をランプに供給するよう動作できる自励発振インバータとを有し、自励発振インバータは、インバータ制御信号に応答し、電子安定器は、DC電力を受けると共にフィラメント電力をランプフィラメントに供給するよう動作できるフィラメントプレヒータを更に有し、フィラメントプレヒータは、予熱制御信号に応答し、AC電力を最初に印加すると、予熱制御信号は、フィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給するようにし、インバータ制御信号は、自励発振インバータに指図して、この自励発振インバータがランプ電力をランプに供給することがないようにすることを特徴とする電子安定器である。
【0008】
本発明のもう1つの観点は、AC電力を受けると共にランプフィラメントを有するランプに動作可能に接続された電子安定器であって、電子安定器は、コンバータ制御信号及び予熱制御信号を生じさせるタイマと、AC電力を受けてDC電力を生じさせるブースト・バック(boost-buck)コンバータとを有し、ブースト・バックコンバータは、コンバータ制御信号に応答し、電子安定器は、DC電力を受けると共にランプ電圧をランプに供給するよう動作できる自励発振インバータと、自励発振インバータからの電力を受けるよう動作可能に接続されると共にフィラメント電力をランプフィラメントに供給するよう動作できるフィラメントプレヒータを更に有し、フィラメントプレヒータは、予熱制御信号に応答し、AC電力を最初に印加すると、予熱制御信号は、フィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給するようにし、コンバータ制御信号は、ブースト・バックコンバータに指図して、このブースト・バックコンバータがランプ電圧をランプ点弧電圧以下に維持するようDC電力の電圧を設定するようにすることを特徴とする電子安定器である。
【0009】
本発明の上記特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面と関連して現時点において好ましい実施形態の詳細な説明を読むと、一層明らかになろう。詳細な説明及び図面は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及びその均等範囲に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電子安定器のブロック図である。
【図2】本発明の電子安定器の別の実施形態のブロック図である。
【図3】フィラメント検出方式を備えた図1の電子安定器のブロック図である。
【図4】本発明の電子安定器用のフィラメントヒート/センス回路の略図である。
【図5】本発明の電子安定器におけるフィラメント検出のための波形の略図である。
【図6】本発明の電子安定器のためのフィラメント検出方法の流れ図である。
【図7】本発明の電子安定器のためのインバータイネーブル回路の略図である。
【図8】本発明の電子安定器のためのソフトスタート回路の略図である。
【図9】本発明による電子安定器の略図である。
【図10】本発明の電子安定器のための保護回路の略図である。
【図11−1】本発明の電子安定器のための予熱保護方法の流れ図である。
【図11−2】本発明の電子安定器のための予熱保護方法の流れ図である。
【図12−1】本発明の電子安定器のためのフィラメント短絡検出方式による予熱保護方法の流れ図である。
【図12−2】本発明の電子安定器のためのフィラメント短絡検出方式による予熱保護方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の電子安定器のブロック図である。始動時、AC電力が最初に印加されると、電子安定器は、電力をランプに供給しないでランプフィラメントを予熱する。所定の予熱時間後、ランプフィラメントは、消勢され、電力がランプに印加される。電子安定器は、オプションとして、DCバス電圧を増大させてランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させ、次に、DCバス電圧を減少させてランプ電圧を定常状態電圧まで減少させることができる。
【0012】
電子安定器100は、AC電力102を受け、この電子安定器は、ランプフィラメント106を備えたランプ104に動作可能に接続されている。電子安定器100は、タイマ110、コンバータ120、自励発振インバータ130及びフィラメントプレヒータ140を有する。コンバータ120は、AC電力102を受けてDC電力122をDCバス上に生じさせる。自励発振インバータ130は、コンバータ120からDC電力122を受け、ランプ電力132をランプ104に供給するよう動作できる。自励発振インバータ130は、タイマ110によって生成されたインバータ制御信号112に応答する。フィラメントプレヒータ140は、コンバータ120からDC電力122を受け、フィラメント電力142をランプフィラメント106に供給するよう動作できる。フィラメントプレヒータ140は、タイマ110によって生成された予熱制御信号114に応答する。本明細書における定義によれば、「ランプ」という用語は、1つ又は多くのランプであって良く、各ランプは、1つ又は多数のフィラメントを有して良い。
【0013】
始動時における動作を説明すると、AC電力102を最初にコンバータ120に印加する。タイマ110からの予熱制御信号114は、フィラメントプレヒータ140に指図して、このフィラメント予熱器がフィラメント電力142をランプフィラメント106に供給するようにする。タイマ110からのインバータ制御信号112は、自励発振インバータ130に指図して、この自励発振インバータがランプ電力132をランプ104に供給することがないようにする。かくして、電力をランプ104に印加しないで予熱のために電力をランプフィラメント106に印加される。所定の予熱時間後、予熱制御信号114は、フィラメントプレヒータ140に指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力142をランプフィラメント106に供給しないようにし、インバータ制御信号112は、自励発振インバータ130に指図して、この自励発振インバータがランプ電力132をランプ104に供給するようにする。かくして、電力ランプフィラメント106に印加しないで点弧及び定常動作のために電力がランプ104に印加される。所定予熱時間は、ランプフィラメント106がランプ104を予熱するのに十分高い温度に達するようにするよう選択されるのが良い。一実施形態では、所定予熱時間は、Rh/Rcが約4.5以上であるように選択され、この場合、Rhは、ランプフィラメント106の高温時抵抗であり、Rcは、ランプフィラメント106の低温時抵抗である。
【0014】
コンバータ120は、AC電力を受けてDC電力を生じさせることができるコンバータであればどのようなコンバータであっても良い。一実施形態では、コンバータ120は、AC電力を受ける電磁干渉(EMI)フィルタを含むのが良く、このEMIフィルタは、全(フル)ブリッジダイオード整流器に動作可能に接続され、この整流器は、力率補正(PFC)コンバータに動作可能に接続され、このPFCコンバータは、DC電力をDCバスに供給する。一実施形態では、フィラメントプレヒータ140は、DCバスから電力供給されるフライバックインバータであるのが良い。タイマ110は、アナログ、デジタル又はマイクロコントローラ利用回路として具体化でき、このタイマには内部電源から電力供給するのが良い。
【0015】
一実施形態では、コンバータ120は、AC電力の最大入力ピーク電圧よりも高い電圧でDC電力を生じさせ、タイマ110によって生成されたコンバータ制御信号116に応答するブーストコンバータであるのが良い。所定予熱時間後の動作を説明すると、コンバータ制御信号116は、ブーストコンバータに指図して、このブーストコンバータがDCバス上のDC電力122の電圧を増大させてランプ電力をランプ点弧電圧以上に増大させ、それによりランプ104を点灯する。所定の点弧時間後、コンバータ制御信号116は、ブーストコンバータに指図して、このブーストコンバータがDCバス上のDC電力122の電圧を減少させてランプ電圧をランプ104の定常動作のための定常状態電圧まで低下させる。一実施例では、所定点弧時間は、約100ミリ秒である。DCバス電圧レベルは、ランプ104が正しいランプ電流で動作するのを維持する。
【0016】
図2は、本発明の電子安定器の別の実施形態のブロック図である。始動時、AC電力を最初に印加すると、電子安定器は、ランプフィラメントを予熱し、他方、ランプ点弧電圧よりも低い低電圧で電力をランプに供給する。所定の予熱時間後、ランプフィラメントを消勢し、電力をランプ点弧電圧より高い電圧でランプに印加する。所定点弧時間後、電力を低い電圧でランプに印加し、この低い電圧は、通常のランプ動作のための定常状態電圧である。
【0017】
電子安定器200は、AC電力202を受け、この電子安定器は、ランプフィラメント206を備えたランプ204に動作可能に接続されている。電子安定器200は、タイマ210、ブースト・バック(boost-buck)コンバータ220、自励発振インバータ230及びフィラメントプレヒータ240を有する。ブースト・バックコンバータ220は、AC電力202を受けてDC電力222をDCバス上に生じさせる。ブースト・バックコンバータ220は、タイマ210によって生成されたコンバータ制御信号216に応答する。自励発振インバータ230は、ブースト・バックコンバータ220からDC電力222を受け、自励発振インバータ230は、ランプ電力232をランプ204に供給するよう動作できる。フィラメントプレヒータ240は、自励発振インバータ230からAC電力234を受け、フィラメント電力242をランプフィラメント206に供給するよう動作できる。フィラメントプレヒータ240は、タイマ210によって生成された予熱制御信号214に応答する。
【0018】
始動時における動作を説明すると、AC電力202を最初にブースト・バックコンバータ220に印加する。タイマ210からの予熱制御信号214は、フィラメントプレヒータ240に指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力242をランプフィラメント206に供給するようにする。コンバータ制御信号216は、ブースト・バックコンバータ220に指図して、このブースト・バックコンバータがランプ電圧をランプ点弧電圧以下に維持するようDC電力222の電圧を設定する。かくして、低電圧をランプ204に印加しながら予熱のために電力がランプフィラメント206に印加される。所定の予熱時間後、予熱制御信号214は、フィラメントプレヒータ240に指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力242をランプフィラメント206に供給することがないようにし、コンバータ制御信号216は、ブースト・バックコンバータ220に指図して、このブースト・バックコンバータがDC電力222の電圧を増大させてランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させる。かくして、電力をランプフィラメント206に印加しないで点弧のために電力がランプ204に印加される。所定予熱時間は、ランプフィラメント206が十分高い温度に達するようにするよう選択されるのが良い。一実施形態では、所定予熱時間は、Rh/Rcが約4.5以上であるように選択され、この場合、Rhは、ランプフィラメント206の高温時抵抗であり、Rcは、ランプフィラメント206の低温時抵抗である。
【0019】
所定点弧時間後、コンバータ制御信号216は、ブースト・バックコンバータ220に指図して、このブースト・バックコンバータがDC電力222の電圧を減少させてランプ電圧を通常のランプ動作のための定常状態電圧まで減少させる。一実施例では、所定点弧時間は、約100ミリ秒である。DCバス電圧レベルは、ランプ204が正しいランプ電流で動作するのを維持する。
【0020】
ブースト・バックコンバータ220は、AC電力を受けてDC電圧をAC電力の最大入力ピーク電圧よりも高い又はこれよりも低い電圧でDC電力を生じさせることができるコンバータであればどのようなコンバータであっても良い。ブースト・バックコンバータ220の例示のトポロジーとしては、カスケードバックブースト、ブースト・バック、シングルエンド一次誘導コンバータ(single-ended primary inductance converter:SEPIC)、低応力SEPIC等が挙げられる。ブースト・バックコンバータ220は、タイマ210によって生成された生じたコンバータ制御信号216に応答する。自励発振インバータ230は、ランプ電力232のための出力電圧を提供することができ、この出力電圧は、DCバス電圧、即ちDC電力222の電圧と直線的に比例する。一例では、自励発振インバータ230は、電流供給半(ハーフ)ブリッジインバータである。フィラメントプレヒータ240が自励発振インバータ230からAC電力234を受ける場合、別個の予熱インバータ、例えばフライバックインバータは不用である。一例では、フィラメントプレヒータ240は、自励発振インバータ230内の変圧器の一次側に接続された直流阻止(DCブロック)キャパシタ(コンデンサ)と直列の変圧器である。タイマ210は、アナログ、デジタル又はマイクロコントローラ利用回路として具体化でき、このタイマには内部電源から電力供給するのが良い。
【0021】
図3(図中、同一の要素は、図1と同一の参照符号で示されている)は、フィラメント検出を備えた図1の電子安定器のブロック図である。フィラメント検出は、取り外された、例えばホットリランピングのための取り外しが行われたランプを電子安定器に再び接続した時点を検出する。フィラメント検出が、ランプが再び接続されたことを検出すると、電子安定器は、始動シーケンスを開始させてランプフィラメントを予熱し、所定予熱時間後、ランプフィラメントへのフィラメント電力をターンオフし、ランプ電力をランプに供給する。一実施形態では、電子安定器は、DC電力の電圧をブーストしてランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させ、そして、所定の点弧時間後、DC電圧の電圧を減少させてランプ電圧を定常状態電圧まで低下させる。ブーストにより、ランプのところの開路電圧が特に遠隔ランピング(remote lamping)用途でのホットリランピング、例えばランプが電子安定器から例えば20フィート(約6m)離れて位置している場合におけるホットリランピングのためにランプを再点弧するようにする。
【0022】
図3の実施形態では、コンバータ120は、力率補正(PFC)制御集積回路(L6562A)123に動作可能に接続された全ブリッジ整流器121を有する。フィラメントプレヒータ140は、フライバックコントローラ(UC3845)である。タイマ110は、フィラメントヒート/センス(heat/sense)回路154及びマイクロコントローラ回路150を有し、このマイクロコントローラ回路は、マイクロコントローラ(ST7)155、トランジスタスイッチ156及びスケール/フィルタ回路157を有する。トランジスタスイッチ156は、コンバータ制御信号116、インバータ制御信号112及び予熱制御信号114をマイクロコントローラ155からの切り換え信号159に応答して切り換える。スケール/フィルタ回路157は、フィラメントヒート/センス回路154からのフィラメントセンス信号148に応答してフィラメント信号158をマイクロコントローラ155に送る。この例では、ランプ104は、4つのランプを含み、フィラメントヒート/センス回路154は、2つのフィラメントセンス信号148を提供する。当業者であれば理解されるように、ランプ及びフィラメントセンス信号の数を特定の用途に合わせて所望に応じて選択することができる。一実施形態では、フィラメントプレヒータ140は、オプションとしての予熱センス信号302を生じさせ、この予熱センス信号は、タイマ110に提供され、例えば、マイクロコントローラ回路150のマイクロコントローラ(ST7)155に提供される。
【0023】
図4は、本発明の電子安定器のためのフィラメントヒート/センス回路の略図である。この例では、1つのフィラメントセンス信号が2つ目毎のランプのために生じる。フィラメントヒート/センス回路154は、ランプを時間平均ランプフィラメント電圧の所定の変化から再び接続した時点を検出する。
【0024】
フィラメントヒート/センス回路154は、各々が電子安定器内の安定化電源からDCバイアス160を受けるフィラメントセンス回路156を含む。ランプ104を設置すると、ランプフィラメント抵抗がフィラメントセンス回路156中に存在し、フィラメントセンス信号148は、ハイ(HIGH)である。ランプ104を取り外すと、ランプフィラメント抵抗がフィラメントセンス回路156中に存在せず、フィラメントセンス信号148は、ロー(LOW)である。ローからハイへのフィラメントセンス信号148の移行を利用すると、ランプ104が再び設置され、電子始動シーケンスが開始されたことが分かる。
【0025】
フィラメントヒート/センス回路154は、電子回路の絶縁境界とクロスする。フィラメントヒート/センス回路は、ピン漏れ試験に合格するほど高いインピーダンスを有し、このピン漏れ試験では、ランプの一方のピンを取り付け具に接続し、即ち、ピンを電子安定器の出力に接続し、ランプの他方のピンをフィラメントヒート/センス回路を介してアースに接続する。ピン漏れ電流は、絶縁変圧器の一次側から二次側への漏れ電流に依存し、従って、DCバイアス回路は、高いインピーダンスのものでなければならない。
【0026】
この実施形態では、2つのフィラメントセンス信号148を生じさせるためにランプ104の各対のためにフィラメントセンス回路156が設けられる。別の実施形態では、4つのフィラメントセンス信号を生じさせるためにランプ104の各々についてフィラメントセンス回路156が設けられる。さらに別の実施形態では、1つのフィラメントセンス信号を生じさせるためにランプ104の全てについて1つのフィラメントセンス回路156が設けられる。フィラメントセンス信号の数は、許容可能な回路の複雑さ(信号が多いと回路の複雑さが増すと共にフィラメントヒート/センス回路の設計上の混乱性が増す)及び必要な信号レベル(信号が多いと、ネットワーク抵抗が増大すると共に信号レベルが低下する)に応じて選択されるのが良い。
【0027】
図5は、本発明の電子安定器におけるフィラメント検出のための波形の略図である。信号レベルは、ランプが設置されるか取り外されるかに応じてローとハイとの間で変化する。
【0028】
フィラメントセンス信号の波形200は、ランプが取り外されるとロー状態202を呈し、ランプが設置されるとハイ状態204を呈する。これら状態の絶対レベルは、特定のハードウェア及び条件につれて変化する場合があり、かかる絶対レベルは、相当大きな振幅、例えば50Hz、60Hzのリップル206又は幹線AC電源から生じる他の周波数リップルを含む場合があり、従って、ランプ検出方法は、絶対レベルしきい値ではなく、フィラメントセンス信号のレベルの変化を利用するようになっている。ランプ検出方法は、リップルをフィルタリング処理するために移動平均、例えば32ステップ移動平均を用いるのが良い。
【0029】
当業者であれば理解されるように、フィルタリング処理は、特定の用途に合わせて所望に応じて選択可能である。フィルタリング処理を用いると、マイクロコントローラでアナログ信号を測定する際にノズルを減少させると共に信号を平滑化することができる。フィルタリング処理は、ソフトウェア及び/又はハードウェアによって実施可能である。デジタルフィルタ又は有限長インパルス応答(finite impulse response:FRI)フィルタの中で、移動平均フィルタは、低周波数をほぼ1のゲインで通し、典型的な低域フィルタ特有の高周波数を減衰させる。一実施形態では、フィルタは、比較的迅速なステップ応答を維持した状態でノイズ抑制(雑音抑圧)を達成するよう選択される。フィルタパラメータは、システムパラメータ、例えばリップル周波数を考慮して選択されるのが良い。
【0030】
図6は、本発明の電子安定器のためのフィルタ検出方法の流れ図である。フィルタ検出方法は、フィラメントセンス信号の安定した値を探し求め、ランプの設置を表す変化があるかどうかについてこの安定値をモニタする。安定値は、フィラメントセンス信号の変化がFILAMENT_SENSE_STABLE_TIME値を超える間、FILAMENT_SENSE_STABLE_RANGE値よりも小さい場合に生じる。ランプ設置は、2つの連続した安定値相互間の差がFILAMENT_SENSE_LAMP_THRESHOLD値を超え、フィラメントセンス信号電圧が上昇している場合に検出される。
【0031】
フィラメント検出方法210は、フィラメントセンス信号電圧Vfilaments212の測定で始まる。ステップ214において、差Δをフィラメントセンス信号電圧Vfilamentsと当初ゼロに設定されている記憶変数Vtemp_stableとの差との絶対値から計算する。差ΔをFILAMENT_SENSE_STABLE_RANGE216と比較する。差ΔがFILAMENT_SENSE_STABLE_RANGE以上である場合、TimerStableをFILAMENT_SENSE_STABLE_TIMEと等しいように設定し、Vtemp_stableをフィラメントセンス信号電圧Vfilaments218に等しいよう設定する。一実施形態では、TimerStableを1ミリ秒毎にデクリメントする。次に、フィルタ検出方法210は、次の反復に進む。
【0032】
差ΔがFILAMENT_SENSE_STABLE_RANGE よりも小さい場合、検出電圧は、安定している。TimerStableをゼロと比較する(ステップ220)。TimerStableがゼロではない場合、フィラメント検出方法210は、次の反復に進む。TimerStableがゼロである場合、検出電圧は、所定の時間の間安定しており、ステップ222において、Vtemp_stableを当初ゼロに設定されている記憶変数Vold_stableと比較する。Vtemp_stableがVold_stable以下である場合、TimerStableをFILAMENT_SENSE_STABLE_TIMEに等しいよう設定し(ステップ230)、Vold_stableをVtemp_stableに等しいように設定し(ステップ230)、次に、フィラメント検出方法210は、次の反復に進む。Vtemp_stableがVold_stableよりも大きい場合、検出された電圧が上昇しており、差ΔをVold_stableよりも小さなVtemp_stableに等しいよう設定する(ステップ224)。
【0033】
次に、差ΔをFILAMENT_SENSE_LAMP_THRESHOLDと比較する(ステップ226)。差ΔがFILAMENT_SENSE_LAMP_THRESHOLD以下である場合、TimeStableをFILAMENT_SENSE_STABLE_TIMEと等しいよう設定し(ステップ230)、Vold_stableをVtemp_stableに等しいよう設定し(ステップ230)、次に、フィラメント検出方法210は、次の反復に進む。差ΔがFILAMENT_SENSE_LAMP_THRESHOLDよりも大きい場合、検出電圧は、ランプが設定されたことを示すしきい値よりも高くなっている。フラグLmpinsertedをTRUEに等しいように設定し(ステップ228)、マイクロコントローラは、始動シーケンスを開始することができる。TimerStableをFILAMENT_SENSE_STABLE_TIMEに等しいよう設定し(ステップ230)、Vold_stableをVtemp_stableに等しいよう設定し(ステップ230)、次に、フィラメント検出方法210は、次の反復に進む。
【0034】
図7は、本発明の電子安定器のためのインバータイネーブル回路の略図である。インバータイネーブル回路は、AC電力を最初に印加したときにマイクロコントローラが立ち上がり、次いでインバータ制御信号が自励発振インバータを制御することができるようになるまで、自励発振インバータが始動しないよう自励発振インバータに動作可能に接続されている。
【0035】
インバータイネーブル回路250は、抵抗器R52,R83及びトランジスタQ16を有する。インバータイネーブル信号252は、電子安定器内のマイクロコントローラから得られる。DCバス254に最初に電力が印加されると、トランジスタQ16は、ターンオンされ、それによりトランジスタQ2がターンオンになるのを阻止すると共に、自励発振インバータが始動するのを阻止する。マイクロコントローラが電源投入により立ち上がった後、インバータイネーブル信号252は、トランジスタQ2をイネーブルにし、或いはディスエーブルにすることにより、自励発振インバータをイネーブルにし、或いはディスエーブルにすることができる。抵抗値は、トランジスタQ16が最初にターンオンされるようにするために選択され、マイクロコントローラが電源投入により立ち上がった後切り換えられるのが良い。
【0036】
図8は、本発明の電子安定器のためのソフトスタート回路の略図である。ソフトスタート回路は、AC電力を最初に印加すると、コンバータが始動するのを遅延させるようコンバータに動作可能に接続されている。ソフトスタート回路は、フィラメントプレヒータ及び自励発振インバータをターンオンさせて負荷をコンバータに提供することができ、もしそうでなければ、コンバータは、電圧をオーバーシュートする。というのは、コンバータは、AC電力が最初に電子安定器に印加されると、フィラメントプレヒータ及び自励発振インバータよりも早く始動するからである。ソフトスタート回路が設けられていない場合、電子安定器は、しゃっくりモードで動作する場合がある。
【0037】
ソフトスタート回路260は、ダイオードD22、抵抗器R36及びコンバータ内のPFCコントローラU1の補償COMPピンに動作可能に接続されたキャパシタC43を有する。ソフトスタート回路260は、電子安定器内の安定化電源が基準電圧をタイマ内のマイクロコントローラU3に供給して、フィラメントプレヒータ及び自励発振インバータが動作状態になるまで、キャパシタC20からPFCコントローラU1のアースGNDピンに電圧を流す。安定化電源からの基準電圧は、ダイオードD22のカソードを始動後に基準電圧に保持し、従って、ソフトスタート回路260は、始動後においてはPFCコントローラU1の動作に影響を及ぼさないようになっている。
【0038】
図9は、本発明の電子安定器の略図である。この実施形態では、コンバータは、ブーストコンバータである。電子安定器200は、タイマ210、コンバータ220、自励発振インバータ230及びフィラメントプレヒータ240を有する。
【0039】
この実施形態におけるフィラメントプレヒータ240は、内部電源回路270を有し、この内部電源回路は、キャパシタC18、C19、C40、ダイオードD15、D16、D20、抵抗器R28及び電力をフライバックコントローラ(UC3845)U2に供給するトランジスタQ4を有する。コンバータ220内の力率補正(power factor correction:POC)制御集積回路(L6562A)U1は、コンバータ220内のブーストインダクタの補助巻線から電力を受け取る。PFC集積回路U1及びフライバックコントローラU2用の別々の電源の使用により、フライバックコントローラU2は、PFC集積回路U1よりもゆっくりと始動することができる。PFC集積回路U1及びフライバックコントローラU2に同一の電源から電力供給すると、PFC集積回路U1は、フライバックコントローラU2が低い始動電圧を有し、単一の電源から大電流を引き出すことができるので始動することができない。別々の電源が設けられた場合、PFC集積回路U1がまず最初に始動し、次にフライバックコントローラU2が始動する。チャージポンプキャパシタC18及びフィルタキャパシタC19,C40のキャパシタンス値は、PFC集積回路U1が電源投入時の移行中、もし万が一一時的に停止した場合、タイマ210内のマイクロコントローラU3がリセットしないようにするために選択される。タイマ210内のマイクロコントローラU3のための+5V電力をフライバックコントローラ(UC3845)U2の基準出力から得ることができる。当業者であれば理解されるように、種々の電力供給設計及びソースを特定の用途に合わせて所望において選択することができる。
【0040】
図10は、本発明の電子安定器のための保護回路の略図である。保護回路は、頻繁な電力サイクル動作(例えば、故障継電器により生じる頻繁な電力サイクル動作)、頻繁なホットリランピング(例えば、弛んだソケットにより生じる頻繁なホットリランピング等)からの予熱の繰り返しに起因して生じる過剰電力による電子安定器への損傷を阻止することができる。保護回路は又、ランプフィラメントのシャントによる電子安定器への損傷を阻止することができ、かかるランプフィラメントのシャントは、プログラムスタート安定器を瞬時スタート取り付け具内に用いること、過誤により1つ又は多数のランプフィラメントを短絡させること等により生じる場合がある。頻繁な電力サイクル動作及び/又は頻繁なホットリランピングは、ランプフィラメントのシャントを悪化させる場合がある。
【0041】
保護回路300は、ダイオードD32、キャパシタC44及び予熱センス信号302をタイマ内のマイクロコントローラU3155に与え、それにより予熱制御信号114を生じさせるよう動作可能に接続された抵抗器R51を有する。一実施形態では、保護回路300は、マイクロコントローラU3155がオフであるときに電流の流れを減少させるようオプションとしての抵抗器R55を有し、従って、予熱センス信号302を受け取る入力ピンはアースされる。これは、マイクロコントローラU3がオフであるとき、予熱センス信号302を長時間にわたりマイクロコントローラU3155のところに維持する。フライバックコントローラ(UC3845)U2140は、保護回路300が存在していなかった場合と同様な仕方で予熱フィードバック信号304を受け取る。
【0042】
保護回路300は、予熱センス信号302が所定の予熱時間後に減衰するハードウェアタイマとしての役目を果たす。予熱センス信号302は、予熱からの時間を示す。ハードウェアタイマは、電力サイクル動作にもかかわらず予熱センス信号302を維持するのに必要であり、このハードウェアタイマは、マイクロコントローラU3155上に具体化されたソフトウェアタイマをリセットする。動作を説明すると、キャパシタC44を予熱が始動するとすぐに予熱フィードバック信号304の電圧まで充電する。予熱センス信号302は、予熱からの時間を示すために所定予熱時間後に減衰する。タイマのマイクロコントローラU3155は、予熱センス信号302に応答する。予熱からの時間が予熱センス信号302によって示された所定のデッドタイムよりも短い場合、タイマのマイクロコントローラU3155は、予熱制御信号114を遮断する。かくして、予熱は、頻繁すぎるほど起こらないようになる。予熱からの時間が予熱センス信号302によって示された所定のデッドタイムよりも長い場合、タイマのマイクロコントローラU3155により、予熱制御信号114は、予熱を開始させることができる。保護回路300の時定数は、所定のデッドタイムを定め、この所定のデッドタイムは、特定の用途に合わせて所望に応じて選択可能である。
【0043】
図11は、本発明の電子安定器のための予熱保護方法の流れ図である。予熱保護方法は、大抵の場合最後の予熱からの所定のデッドタイムよりも長い予熱を阻止すると共に/或いは単位時間当たりの予熱の所定回数よりも多くの予熱を阻止する。タイマは、予熱制御信号を遮断する。この実施形態では、予熱保護方法700は、予熱検出セグメント400及びランプ始動セグメント500を含む。
【0044】
予熱保護方法700の予熱検出セグメント400は、予熱段階に入るステップ402及びマイクロコントローラのところにPREHEAT_SENSEインプットを作るステップ404で始まる。relamp_timerを所定のリランプ(relamp)時間間隔と比較し(ステップ406)、この所定のリランプ時間間隔は、この例では、25秒である。relamp_timerが所定のリランプ時間間隔以上である場合、単位時間当たりの予熱の所定回数に対する限度を満足しており、その結果、relamp_timerをリセットし、relamp_counterをゼロに設定する(ステップ408)。relamp_timerが所定のリランプ時間間隔未満である場合、マイクロコントローラは、PREHEAT_SENSE値を測定する(ステップ410)。一実施形態では、PREHEAT_SENSEは、上述の図10について説明したハードウェアタイマによって生成された予熱センス信号である。図11を参照すると、PREHEAT_SENSEをsense_thresholdと比較し(ステップ412)、このsense_thresholdは、頻繁すぎる予熱を阻止するための所定のデッドタイムを表している。PREHEAT_SENSEがsense_threshold以上である場合、最後の予熱からの時間が短すぎ、従って、次の予熱を遅延させる。予熱検出セグメント400は、PREHEAT_SENSEがsense_threshold未満になるまで、即ち、所定のデッドタイムが経過するまで、1ミリ秒の間待機し(ステップ414)、PREHEAT_SENSE値を測定し(ステップ410)、そしてPREHEAT_SENSEをsense_thresholdと比較する(ステップ412)、というループを構成する。
【0045】
PREHEAT_SENSEがsense_threshold未満である場合、予熱がリランピング予熱であるかどうかを判定する(ステップ416)。予熱がリランピング予熱ではない場合、即ち、予熱が初期始動予熱である場合、予熱をイネーブルにし(予熱制御信号がフィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給するようにする)、relamp_counterをゼロに設定し、preheat_timeをリセットし(ステップ418)、予熱保護方法700は、ランプ始動セグメント500に入る。予熱がリランプ予熱である場合、relamp_counterを所定のリランプ数と比較する(ステップ420)、この所定のリランプ数は、この例では、5回のリランプである。所定のリランプ時間間隔及び所定のリランプ数は、許容される単位時間当たりの予熱の所定の回数を定める。relamp_counterが所定のリランプ数以上である場合、予熱検出セグメント400は、1ミリ秒待機し(ステップ424)、そして戻ってrelamp_timerを所定のリランプ時間間隔と比較する(ステップ406)というループを構成し、というのは、許容される単位時間当たりの予熱の所定の回数を超えているからである。relamp_counterが所定のリランプ数未満である場合、予熱をイネーブルにし、relamp_counterを1だけインクリメント(増分)し、preheat_timeをリセットし(ステップ422)、予熱保護方法700は、ランプ始動セグメント500に入る。
【0046】
ランプ始動セグメント500は、preheat_timeをpreheat_duration、即ち、所定の予熱時間と比較する(ステップ502)で始まる。preheat_timeがpreheat_durationよりも大きくなく又はこれに等しくもない場合、ランプ始動セグメント500は、preheat_timeがpreheat_durationよりも大きく又はこれに等しくなるまで、即ち、所定の予熱時間が経過まで、1ミリ秒待機し(ステップ506)、そしてpreheat_timeをpreheat_durationと比較する(ステップ502)、というループを構成する。
【0047】
preheat_timeがpreheat_durationよりも長く又はこれに等しい場合、予熱をディスエーブルにし(予熱制御信号がフィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給しないようにする)、点弧をイネーブルにし(インバータ制御信号が自励発振インバータに指図して、この自励発振インバータがランプ電力をランプに供給するようにし)、ignition_timeをリセットする(ステップ504)。一実施形態では、ランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させる。ignition_timeをignition_duration、即ち、所定の点弧時間と比較する(ステップ508)。ignition_timeがignition_durationよりも大きくなく又はこれに等しくもない場合、ランプ始動セグメント500は、ignition_timeがignition_durationよりも大きく又はこれに等しくなるまで、即ち、所定のignition_timeが経過するまで、1ミリ秒待機し(ステップ510)、そしてignition_timeをignition_durationと比較する(ステップ508)、というループを構成する。
【0048】
ignition_timeがignition_durationよりも長く又はこれに等しい場合、点弧をディスエーブルにし、バーン(burn)をイネーブルにし(ステップ512)、定常動作を開始させる。一実施形態では、ランプ電圧をランプ点弧電圧よりも高い電圧から定常状態電圧に低下させる。burn_timeをリセットし(ステップ514)、burn_timeをdischarge_durationと比較する(ステップ516)。burn_timeがdischarge_durationより大きくなく又はこれに等しくない場合、ランプ始動セグメント500は、burn_timeがdischarge_durationより大きく又はこれに等しくなるまで、1秒間待機し(ステップ518)、そしてburn_timeをdischarge_durationと比較する(ステップ516)、というループを構成する。放電持続時間ループにより、PREHEAT_SENSE、即ち、予熱センス信号をマイクロコントローラを通って放出することができ、リランピングに起因する次の予熱の際に生じる場合のあるPREHEAT_SENSEをsense_thresholdと比較したとき(ステップ412)、PREHEAT_SENSEの不正確な値を回避する。burn_timeがdischarge_durationよりも大きく又はこれに等しい場合、PREHEAT_SENSEをマイクロコントローラのところでOUTPUT0にし、(ステップ520)、予熱保護方法700のランプ始動セグメント500は、リランピング(もしあれば)が生じるまでバーンを続行するステップ522で終わる。
【0049】
図12は、本発明の電子安定器のためのフィラメント短絡保護方式による予熱保護方法の流れ図である。フィラメント短絡保護方式の予熱保護方法は、フィラメント短絡が予熱センス信号によって示されているように検出された場合、電子安定器を瞬時スタート動作に切り換える。予熱制御信号は、フィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給することがないようにし、インバータ制御信号は、自励発振インバータに指図して、この自励発振インバータがランプ電力をランプに供給するようにする。この実施形態では、予熱保護方法800は、予熱検出セグメント400及びランプ始動セグメント600を含む。予熱検出セグメント400は上記図11について説明している。
【0050】
図12を参照すると、予熱保護方法800のランプ始動セグメント600は、preheat_timeを所定の遅延時間と比較する(ステップ602)ことによって開始し、この所定の遅延時間は、この例では、40ミリ秒である。所定の遅延時間は、予熱の際に早期にフィラメント短絡があるかどうかをチェックするのを可能にするよう選択可能である。preheat_timeが所定の遅延時間に等しくない場合、ランプ始動セグメント600は、preheat_timeが所定の遅延時間に等しくなるまで、即ち、所定の遅延時間が経過するまで、1秒間待機し(ステップ604)、そしてpreheat_timeを所定の遅延時間と比較する(ステップ602)、というループを構成する。
【0051】
preheat_timeが所定の遅延時間に等しい場合、マイクロコントローラは、PREHEAT_SENSE値を測定する(ステップ606)。PREHEAT_SENSEを所定のフィラメント短絡限度と比較する(ステップ608)。PREHEAT_SENSEが所定のフィラメント短絡限度以上である場合、フィラメント短絡が生じておらず、通常のランプ始動が続行することができる。PREHEAT_SENSEが所定のフィラメント短絡限度未満である場合、フィラメント短絡が生じており、ランプ始動を瞬時スタート動作に切り換えるのが良い。
【0052】
PREHEAT_SENSEが所定のフィラメント短絡限度以上である場合、ランプ始動セグメント600は、1秒間待機し(ステップ610)、そしてpreheat_timeをpreheat_duration、即ち、所定の予熱時間と比較する(ステップ612)。preheat_timeがpreheat_durationよりも大きくなく又はこれに等しくもない場合、ランプ始動セグメント600は、preheat_timeがpreheat_durationよりも大きく又はこれに等しくなるまで、即ち、所定の予熱時間が経過するまで、1ミリ秒待機し(ステップ610)、そしてpreheat_timeをpreheat_durationと比較する(ステップ612)、というループを構成する。
【0053】
preheat_timeがpreheat_durationよりも長く又はこれに等しい場合、予熱をディスエーブルにし(予熱制御信号がフィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力ランプフィラメントに供給することがないようにし)、点弧をイネーブルにし(インバータ制御信号が自励発振インバータに指図して、この自励発振インバータがランプ電力をランプに供給するようにし)、ignition_timeをリセットする(ステップ614)。一実施形態では、ランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させる。ignition_timeをignition_duration、即ち所定の点弧時間と比較する(ステップ616)。ignition_timeがignition_durationよりも大きくなく又はこれに等しいもない場合、ランプ始動セグメント600は、ignition_timeがignition_durationよりも大きく又はこれに等しくなるまで、即ち、所定の点弧時間が経過するまで、1秒間待機し(ステップ618)、そしてignition_timeをignition_durationと比較する(ステップ616)、というループを構成する。
【0054】
ignition_timeがignition_durationよりも長く又はこれに等しい場合、点弧をディスエーブルにし、バーン(burn)をイネーブルにし(ステップ620)、定常動作を開始させる。一実施形態では、ランプ電圧をランプ点弧電圧よりも高い電圧から定常状態電圧に低下させる。burn_timeをリセットし(ステップ624)、burn_timeをdischarge_durationと比較する(ステップ626)。burn_timeがdischarge_durationより大きくなく又はこれに等しいもない場合、ランプ始動セグメント600は、burn_timeがdischarge_durationよりも大きく又はこれに等しくなるまで、1秒間待機し(ステップ628)、そしてburn_timeをdischarge_durationと比較する(ステップ626)、というループを構成する。放電持続時間ループにより、PREHEAT_SENSE、即ち、予熱センス信号をマイクロコントローラを通って放出することができ、それによりリランピングに起因する次の予熱の際に生じる場合のあるPREHEAT_SENSEをsense_thresholdと比較したとき(ステップ412)、PREHEAT_SENSEの不正確な値を回避する。burn_timeがdischarge_durationよりも大きく又はこれに等しい場合、PREHEAT_SENSEをマイクロコントローラのところでOUTPUT0にし、(ステップ630)、予熱保護方法800のランプ始動セグメント600は、リランピング(もしあれば)が生じるまでバーンを続行するステップ632で終わる。
【0055】
PREHEAT_SENSEと所定のフィラメント短絡限度の比較(ステップ608)に戻ると、PREHEAT_SENSEが所定のフィラメント短絡限度未満である場合、予熱をディスエーブルにし(予熱制御信号がフィラメントプレヒータに指図して、このフィラメントプレヒータがフィラメント電力をランプフィラメントに供給することがないようにし)、バーンをイネーブルにし(ステップ622)、それによりランプ電圧が定常状態電圧である状態で電子安定器を瞬時スタート動作に切り換える。burn_timeをリセットし(ステップ624)、ランプ始動セグメント600は、リランピング(もしあれば)が生じるまでバーンを続行するステップ632で終わる予熱保護方法800を続行する。
【0056】
当業者であれば理解されるように、図10〜図12に示された保護方法をランプフィラメントの予熱が用いられる任意の電子安定器に利用することができる。フライバックインバータドライバUC3845及びマイクロコントローラをこの例に設けることができるが、保護方法を他の集積回路及び/又は別個のアナログ回路及びタイマを備えた状態で具体化できる。
【0057】
本明細書において開示した本発明の実施形態は、現時点において好ましいと考えられるが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更及び改造を行うことができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲に示されており、特許請求の範囲の文言及び均等範囲に属する全ての変更は、本発明に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電力を受けると共にランプフィラメントを有するランプに動作可能に接続された電子安定器であって、
インバータ制御信号及び予熱制御信号を生じさせるタイマを有し、
前記AC電力を受けてDC電力を生じさせるコンバータを有し、
前記DC電力を受けると共にランプ電力を前記ランプに供給するよう動作できる自励発振インバータを有し、前記自励発振インバータは、前記インバータ制御信号に応答し、
前記DC電力を受けると共にフィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するよう動作できるフィラメントプレヒータを有し、前記フィラメントプレヒータは、前記予熱制御信号に応答し、
前記AC電力を最初に印加すると、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するようにし、前記インバータ制御信号は、前記自励発振インバータに指図して、該自励発振インバータが前記ランプ電力を前記ランプに供給することがないようにする、電子安定器。
【請求項2】
所定予熱時間後、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記インバータ制御信号は、前記自励発振インバータに指図して、該自励発振インバータが前記ランプ電力を前記ランプに供給するようにする、請求項1記載の電子安定器。
【請求項3】
前記コンバータは、コンバータ制御信号に応答するブーストコンバータであり、
前記タイマは、前記コンバータ制御信号を生じさせ、
前記所定予熱時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブーストコンバータに指図して、該ブーストコンバータが前記DC電力の電圧を増大させてランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させるようにする、請求項2記載の電子安定器。
【請求項4】
所定点弧時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブーストコンバータに指図して、該ブーストコンバータが前記DC電力の電圧を減少させて前記ランプ電圧を定常状態電圧まで低下させるようにする、請求項3記載の電子安定器。
【請求項5】
前記フィラメントプレヒータに動作可能に接続されたフィラメントヒート/センス回路を更に有し、前記フィラメントヒート/センス回路は、フィラメントセンス信号を生じさせ、前記フィラメントプレヒータは、前記フィラメントセンス信号に応答する、請求項1記載の電子安定器。
【請求項6】
前記フィラメントヒート/センス回路が、前記ランプが再接続されたことを検出すると、前記フィラメントセンス信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するようにする、請求項5記載の電子安定器。
【請求項7】
前記フィラメントヒート/センス回路は、時間平均ランプフィラメント電圧の所定の変化から前記ランプが再接続されたことを検出する、請求項6記載の電子安定器。
【請求項8】
所定予熱時間後、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記インバータ制御信号は、前記自励発振インバータに指図して、該自励発振インバータに指図して、該自励発振インバータが前記ランプ電力を前記ランプに供給するようにする、請求項6記載の電子安定器。
【請求項9】
前記コンバータは、コンバータ制御信号に応答するブーストコンバータであり、
前記タイマは、前記コンバータ制御信号を生じさせ、
前記所定予熱時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブーストコンバータに指図して、該ブーストコンバータが前記DC電力の電圧を増大させてランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させるようにする、請求項8記載の電子安定器。
【請求項10】
所定点弧時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブーストコンバータに指図して、該ブーストコンバータが前記DC電力の電圧を減少させて前記ランプ電圧を定常状態電圧まで低下させるようにする、請求項9記載の電子安定器。
【請求項11】
前記AC電力を最初に印加したときに前記自励発振インバータが始動するのを阻止するよう前記自励発振インバータに動作可能に接続されたインバータイネーブル回路を更に有する、請求項1記載の電子安定器。
【請求項12】
前記AC電力を最初に印加したときに前記コンバータが始動するのを遅延させるよう前記コンバータに動作可能に接続されたソフトスタート回路を更に有する、請求項1記載の電子安定器。
【請求項13】
前記フィラメントプレヒータは、予熱からの時間を示す予熱センス信号を生じさせ、前記タイマは、前記予熱センス信号に応答し、予熱からの時間が所定のデッドタイムよりも短い場合、前記タイマは、前記予熱制御信号を遮断する、請求項1記載の電子安定器。
【請求項14】
単位時間当たりの予熱の所定回数を超えると、前記タイマは、前記予熱制御信号を遮断する、請求項13記載の電子安定器。
【請求項15】
前記予熱センス信号が前記ランプフィラメントのところの短絡を示した場合、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記インバータ制御信号は、前記自励発振インバータに指図して、該自励発振インバータが前記ランプ電力を前記ランプに供給するようにする、請求項13記載の電子安定器。
【請求項16】
AC電力を受けると共にランプフィラメントを有するランプに動作可能に接続された電子安定器であって、
コンバータ制御信号及び予熱制御信号を生じさせるタイマを有し、
前記AC電力を受けてDC電力を生じさせるブースト・バックコンバータを有し、前記ブースト・バックコンバータは、前記コンバータ制御信号に応答し、
前記DC電力を受けると共にランプ電圧を前記ランプに供給するよう動作できる自励発振インバータを有し、
前記自励発振インバータからの電力を受けるよう動作可能に接続されると共にフィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するよう動作できるフィラメントプレヒータを有し、前記フィラメントプレヒータは、前記予熱制御信号に応答し、
前記AC電力を最初に印加すると、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するようにし、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータがランプ電圧をランプ点弧電圧以下に維持するよう前記DC電力の電圧を設定するようにする、電子安定器。
【請求項17】
所定予熱時間後、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータが前記DC電力の電圧を増大させて前記ランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させるようにする、請求項16記載の電子安定器。
【請求項18】
所定点弧時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータが前記DC電力の電圧を低下させて前記ランプ電圧を定常状態電圧まで低下させるようにする、請求項17記載の電子安定器。
【請求項19】
前記フィラメントプレヒータに動作可能に接続されたフィラメントヒート/センス回路を更に有し、前記フィラメントヒート/センス回路は、フィラメントセンス信号を生じさせ、前記フィラメントプレヒータは、前記フィラメントセンス信号に応答する、請求項16記載の電子安定器。
【請求項20】
前記フィラメントヒート/センス回路が、前記ランプが再接続されたことを検出すると、前記フィラメントセンス信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給するようにする、請求項19記載の電子安定器。
【請求項21】
前記フィラメントヒート/センス回路は、時間平均ランプフィラメント電圧の所定の変化から前記ランプが再接続されたことを検出する、請求項20記載の電子安定器。
【請求項22】
所定予熱時間後、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータが前記DC電力の電圧を増大させて前記ランプ電圧をランプ点弧電圧以上に増大させるようにする、請求項20記載の電子安定器。
【請求項23】
所定点弧時間後、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータが前記DC電力の電圧を低下させて前記ランプ電圧を定常状態電圧まで低下させるようにする、請求項22記載の電子安定器。
【請求項24】
前記AC電力を最初に印加したときに前記自励発振インバータが始動しないよう前記自励発振インバータに動作可能に接続されたインバータイネーブル回路を更に有する、請求項16記載の電子安定器。
【請求項25】
前記AC電力を最初に印加したときに前記コンバータが始動するのを遅延させるよう前記コンバータに動作可能に接続されたソフトスタート回路を更に有する、請求項16記載の電子安定器。
【請求項26】
前記フィラメントプレヒータは、予熱からの時間を示す予熱センス信号を生じさせ、前記タイマは、前記予熱センス信号に応答し、予熱からの時間が所定のデッドタイムよりも短い場合、前記タイマは、前記予熱制御信号を遮断する、請求項16記載の電子安定器。
【請求項27】
単位時間当たりの予熱の所定回数を超えると、前記タイマは、前記予熱制御信号を遮断する、請求項26記載の電子安定器。
【請求項28】
前記予熱センス信号が前記ランプフィラメントのところの短絡を示した場合、前記予熱制御信号は、前記フィラメントプレヒータに指図して、該フィラメントプレヒータが前記フィラメント電力を前記ランプフィラメントに供給することがないようにし、前記コンバータ制御信号は、前記ブースト・バックコンバータに指図して、該ブースト・バックコンバータが前記ランプ電圧を定常状態電圧に維持するよう前記DC電力の電圧を設定する、請求項26記載の電子安定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【公表番号】特表2012−533841(P2012−533841A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520131(P2012−520131)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052991
【国際公開番号】WO2011/007283
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】