電子撮像機器
【課題】レンズあるいはレンズのカバーガラスにおいて一部の可視光を反射させても取り込んだ画像を実際の視感特性と同等の画像として認識することが可能な電子撮像機器を提供すること。
【解決手段】レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、レンズ3a又はレンズ3aの前面に配置されたカバーガラス2の裏面に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにする。これによって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。そして反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正されるため本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【解決手段】レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、レンズ3a又はレンズ3aの前面に配置されたカバーガラス2の裏面に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにする。これによって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。そして反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正されるため本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ付携帯電話、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラのようなレンズを通して取り込んだ画像をイメージセンサによって電子的処理を施した画像データとして保存する電子撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラあるいはビデオカメラのような撮像機器はレンズを通して画像を取り込むようになっている。つまり少なくとも撮影時においてはレンズは筐体の外部位置にかならず露出される外装部品として目視される部品とされる。近年電子工学技術が大幅に進歩し、カラーCCD素子やCMOS素子のようなイメージセンサを使用して取り込んだ画像データを電子化するカメラ付携帯電話、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラのような電子撮像機器が普及してきている。電子化が進んだとしても撮像機器である限り画像取り込みはレンズによって行われるため電子撮像機器でもレンズは必須の光学部品となる。つまり少なくとも撮影時においてはレンズは筐体の外部位置にかならず露出される外装部品として目視される部品とされる。このような電子撮像機器の一例として特許文献1のカメラ付携帯電話を挙げる。
【特許文献1】特開2003−092617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで撮像機器において外観のデザイン化が進み、光学的に透明でなければならないレンズがデザインによっては他の外装部品にいかにもそぐわないといった場合が生じてきている。つまりレンズの存在が撮像機器の設計においては常に外観に露出されるレンズを意識してデザインをしなければならないという意匠設計上の制約となってしまうわけである。一般的にはレンズ部分は必ず黒い穴として外部に現れる構成部品となるためレンズ部分の制約は意匠的見地からはかなり大きなものとなる。このような制約は特に電子撮像機器の普及に伴う特許文献1のようなカメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラのような先進的なデザインを試みる傾向の機種では大きな課題である。
ここに、レンズやレンズを覆うレンズカバーに一部の可視光を鏡面反射させるようなコーティングを施して本来透明であるはずのこれらレンズ等の構成部品にミラー的な外装部品としての役割を付与することで新たな意匠的な貢献をさせることが可能である。
しかし、可視光を反射させることは反射させた波長域の光が欠落した状態で撮像機器内に取り込まれることとなるため取り込まれた画像が実際の視感特性とは大きく異なった画像となってしまう可能性がある。そのため、撮像機器においてレンズに一部の光を反射させたとしても、実際の視感特性を維持した撮影画像を得ることができるような撮像機器が求められることとなる。尚、レンズを覆うカバーガラスが外装部品として配設されている場合にはそのカバーガラスについても同様の課題が発生していた。
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、その目的は、レンズあるいはレンズのカバーガラスにおいて一部の可視光を反射させても取り込んだ画像を実際の視感特性と同等の画像として認識することが可能な電子撮像機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、前記レンズ又は同レンズの前面に配置されたカバーガラスの表面及び裏面の少なくとも一方に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成とすれば、レンズ又はカバーガラスに形成された可視光反射膜によって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。その場合に、反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正して本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【0005】
ここに「誘電体多層薄膜層」は誘電体薄膜の多層構造体である。誘電体薄膜は親水性或いは非親水性の無機化合物であって、例えばTiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZrO2(酸化ジルコン)、Al2O3(酸化アルミニウム)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、SiO2(酸化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)等が挙げられる。誘電体多層薄膜層の各膜厚は一般に数十nm〜数百nmのオーダーとなる。
また、「透過性金属薄膜層」は例えば金、銀、プラチナのような酸化されにくい金属光沢を有する金属のごく薄い膜構造体をいう。一般に透過性を有する金属薄膜層の膜厚は数nm〜数十nmのオーダーとなる。
これら誘電体多層薄膜層及び透過性金属薄膜層の成膜方法に特に限定的な意味はないが一般的には蒸着法やスパッタリング法で成膜されることが好ましい。
また、「直接あるいは他のコート層を介して」とは可視光反射膜と基材としてのレンズ又はカバーガラスとの密着性に問題がある場合に密着性を向上させるコート層を介する場合も含む意味である。他のコート層とは例えばレンズ基材表面に形成されたハードコート膜等が該当する。ハードコート膜としてはオルガノシロキサン系ハードコート膜が好ましい。オルガノシロキサン系ハードコート膜はオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子から構成されている。ハードコート膜はコート用のハードコート液に浸漬し、その後公知の方法にて溶媒を蒸発させて形成される。ハードコート液は水又はアルコール系の溶媒にオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子ゾルを混合させた溶液である。
「レンズ」あるいは「カバーガラス」の素材は有機系あるいは無機系の両方を含むものとする。従って「カバーガラス」とあるもののこの概念にはプラスチックも含むものとする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜はレンズ又はガラスの裏面に形成されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、通常の使用状態で可視光反射膜の表面に接触することがないため、可視光反射膜が汚れたり傷ついたりするおそれが無くなる。
また、請求項3に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記レンズ又は前記ガラスの前面には反射防止膜が形成されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、レンズ又は前記ガラスの前面での可視光の反射が低減されることとなり可視光反射膜に達する可視光の総量が増加するため、可視光反射膜での反射光のコントラストが向上することとなる。
【0007】
また、請求項4に記載の発明では請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記色補正機能とはホワイトバランス機能であることをその要旨とする。
ここに、電子撮像機器は色補正機能として一般的にカラーマトリックス回路が組み込まれている。カラーマトリックス回路はR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の三原色を3次元ベクトルの積として表したもので、基準となるRGBに対して所定のパラメータを用いた行列変換によってRGBの値を決定するものである。カラーマトリックス回路では適性なパラメータを設定できれば上記欠落した波長域の可視光を補うような計算が正確にできるため補正後の撮影画像をより実際の視感特性に近いものとすることが可能である。しかし、反射光についてカラーバリエーションを設定する場合には個別にパラメータを機器内に組み込まなければならないという繁雑さがある。
一方、ホワイトバランス機能は色の違いを色温度に基づいて判断するとしたものであって、基準とされる白色の色温度と測定される画像の白色の色温度との違いを比較して色温度の差に基づいて画像の色を補正する比較回路によって実行される機能である。従って、前もってパラメータを設定する必要がなく、カラーバリエーションを設定する場合に対応しやすいというメリットがある。
また、請求項5に記載の発明では請求項4に記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜で反射される可視光域にある光を70%より高い反射率としないようにしたことをその要旨とする。
ホワイトバランス機能では上記のようにパラメータを設定する必要はないものの、測定するデータとしてある波長域の欠落割合があまり大きいとその波長域のデータが不足して白色について正確な補正ができなくなってしまう可能性がある。特に100%の反射率とした波長域が持続する領域を有する設計の可視光反射膜では測定データとしてまったく取り込まれない部分が多いため補正は困難である。また、100%ではなくとも70%程度の反射率、つまり30%程度の透過率ではその傾向が大きい。一方で可視光反射膜としては例えば50%程度の反射率であっても十分反射膜として認識できるため、可視光反射膜の反射率は70%より高くしない設計が好ましい。
また、請求項6に記載の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜は保護膜によって覆われていることをその要旨とする。
保護膜としては上記のようなハードコート膜が想定される。
【発明の効果】
【0008】
上記各請求項に記載の発明によれば、レンズ又はカバーガラスに形成された可視光反射膜によって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。そして反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正されるため本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態として例えば図1に示すようなデジタルスチルカメラ1によって実現される。デジタルスチルカメラ1は最前面にレンズカバー2が配置され、その後方に複数のレンズから構成される光学系3が配置されている。本実施の形態のレンズカバー2はアクリル製とされている。デジタルスチルカメラ1の筐体4内には信号処理回路5、ホワイトバランス回路6、カラーマトリックス回路7が配設されている。本実施の形態では本発明とは直接関係のない記録部、モニター、制御回路等は図示を省略する。
本実施の形態では光学系3の最前列の凸レンズ3aの裏面(筐体側)に対して図2に示すような可視光反射膜5が成膜されている。尚、図2は可視光反射膜5の厚さが誇張されて図示されている。可視光反射膜5は下記実施例のような誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層を既知の方法で成膜させた可視光を鏡面反射させる膜体である。本実施の形態の可視光反射膜5では可視光域の光を部分的に反射させて鏡面としている。
光学系3の後方には視感度補正フィルタ8を介してCCD素子からなるCCDイメージセンサ9が配設されている。視感度補正フィルタ8は分光感度特性を人間の目の特性と同等の色合いとするために配置されている。つまり、取り込んだ光について可視光域の波長域に特化した感度特性に補正するものである。
【0010】
光学系3から取り込まれた画像はCCDイメージセンサ9によって電気信号化され信号処理回路5において画像データとして処理される。CCDイメージセンサ9によって取り込まれた段階でデータはRGBの三原色に色分解されているため、信号処理回路5においては画像データはカラーマトリックス回路7によって基本的な色が再現され、ホワイトバランス回路6によって基準となる白色に対して補正処理がなされより正しい色の再現が実現されることとなっている。
このように構成することによって、一部の可視光を鏡面反射させてCCDイメージセンサ9に達する可視光が一部欠落してもホワイトバランス回路6あるいはカラーマトリックス回路7によって補正して撮影画像と同等の視感特性を維持した画像を得ることが可能である。また可視光反射膜5によって光学系3から筐体4側が目視されることがなく、このような可視光反射膜5を有する凸レンズ3aがデジタルスチルカメラ1全体のデザインに貢献することとなる。
また、実施の形態としては図3に示すように、レンズカバー2の裏面に対して可視光反射膜5を成膜するようにしてもよい。レンズカバー2はアクリル製であるため、直接可視光反射膜5を成膜する際の密着性が劣る。そのため、本実施の形態ではハードコート層11を介して可視光反射膜5が成膜されている。尚、図3は可視光反射膜5及びハードコート層11の厚さが誇張されて図示されている。
また、可視光反射膜5は凸レンズ3aの表面あるいはレンズカバー2の表面に成膜させることも可能であるが、その場合には保護層としてハードコート層によって被覆することが好ましい。
【実施例1】
【0011】
実施例1として図4及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例1はライトブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例1によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0012】
【表1】
【実施例2】
【0013】
実施例2として図5及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例1はブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例2によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例3】
【0014】
実施例3として図6及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例3は紫の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。紫は紫系の波長では十分な反射色が得られないため青系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例3によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例4】
【0015】
実施例1として図7及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例4はピンクの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。ピンクも青系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例4によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例5】
【0016】
実施例5として図8及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例5はオレンジの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。オレンジは黄系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例5によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例6】
【0017】
実施例6として図9及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例6は黄色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例6によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例7】
【0018】
実施例7として図10及び表2に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例7はブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。実施例7は特に青色の波長域(400〜500nm)において95%以上の反射率とするとともに青色の波長域において持続的に100%の反射率となる領域ができるように設計した。
この実施例7によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0019】
【表2】
【実施例8】
【0020】
実施例8として図11及び表3に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例8はシルバーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例8によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0021】
【表3】
【実施例9】
【0022】
実施例9として図12及び表4に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例9は青色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例9によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0023】
【表4】
【実施例10】
【0024】
実施例10として図13及び表5に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例10は赤色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例10によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0025】
【表5】
【0026】
表6に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を通した撮影画像についてホワイトバランス機能によって補正を行った結果を示す。
ホワイトバランス機能による画像の補正については実際のデジタルスチルカメラのレンズ前面に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を成膜したフィルターを配置して当該デジタルスチルカメラの自動ホワイトバランス機能を利用した。撮影対象は普通紙にカラープリンターによって印刷したカラー図形を撮影することとした。撮影条件としては蛍光灯と自然光(太陽光)の下での撮影対象の撮影画像を、それぞれ自動ホワイトバランス機能によって補正処理を行った場合を「有」とし、と補正処理を行わない場合を「無」としてその結果を表示した。
確認方法は実際の視感特性を維持できている(変色がない)場合を○、わずかに実際の視感特性とずれがある(わずかな変色)場合を△、実際の視感特性と大きく異なる(変色が大きい)場合を×として表した。
また、表7に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を通した撮影画像についてカラーマトリックス機能によって補正を行った結果を示す。
カラーマトリックス機能による画像の補正については上記と同じデジタルスチルカメラの画像補正機能をすべて解除した状態で撮影した画像をパソコンに取り込み、カラー修正機能を有する画像編集用ソフトを利用してパソコンのモニター上で補正をした。撮影についての各条件は上記と同様である。
【0027】
その結果として、ホワイトバランス機能及びカラーマトリックス機能を利用することで概ね可視光反射膜で欠落した波長を補った補正画像を得ることができた。但し、実施の形態7のように反射率100%近い領域を持続的に有する可視光反射膜となっておりホワイトバランス機能及びカラーマトリックス機能の両方の機能によって補正をかけたにも関わらず十分ではなかった。また、実施例8では450nm付近で60%強の反射率となっているため、ホワイトバランス機能での補正は若干十分ではないという知見が得られた。また、実施例9では400nm付近で70%強の反射率となっているためホワイトバランス機能での補正が十分ではなかった。実施例9はカラーマトリックス機能でも太陽光での画像再現は若干十分ではなかった。
また、実施例10では70nm付近で70%の反射率となっているためカラーマトリックス機能での補正が十分ではなかった。
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における実施の形態のデジタルスチルカメラのイメージ図。
【図2】実施の形態においてレンズ裏面に成膜された可視光反射膜を説明するイメージ図。
【図3】実施の形態においてレンズカバー裏面に成膜された可視光反射膜を説明するイメージ図。
【図4】実施例1の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図5】実施例2の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図6】実施例3の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図7】実施例4の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図8】実施例5の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図9】実施例6の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図10】実施例7の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図11】実施例8の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図12】実施例9の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図13】実施例10の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0031】
3a…凸レンズ、2…レンズカバー、5…可視光反射膜。
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ付携帯電話、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラのようなレンズを通して取り込んだ画像をイメージセンサによって電子的処理を施した画像データとして保存する電子撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラあるいはビデオカメラのような撮像機器はレンズを通して画像を取り込むようになっている。つまり少なくとも撮影時においてはレンズは筐体の外部位置にかならず露出される外装部品として目視される部品とされる。近年電子工学技術が大幅に進歩し、カラーCCD素子やCMOS素子のようなイメージセンサを使用して取り込んだ画像データを電子化するカメラ付携帯電話、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラのような電子撮像機器が普及してきている。電子化が進んだとしても撮像機器である限り画像取り込みはレンズによって行われるため電子撮像機器でもレンズは必須の光学部品となる。つまり少なくとも撮影時においてはレンズは筐体の外部位置にかならず露出される外装部品として目視される部品とされる。このような電子撮像機器の一例として特許文献1のカメラ付携帯電話を挙げる。
【特許文献1】特開2003−092617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで撮像機器において外観のデザイン化が進み、光学的に透明でなければならないレンズがデザインによっては他の外装部品にいかにもそぐわないといった場合が生じてきている。つまりレンズの存在が撮像機器の設計においては常に外観に露出されるレンズを意識してデザインをしなければならないという意匠設計上の制約となってしまうわけである。一般的にはレンズ部分は必ず黒い穴として外部に現れる構成部品となるためレンズ部分の制約は意匠的見地からはかなり大きなものとなる。このような制約は特に電子撮像機器の普及に伴う特許文献1のようなカメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラのような先進的なデザインを試みる傾向の機種では大きな課題である。
ここに、レンズやレンズを覆うレンズカバーに一部の可視光を鏡面反射させるようなコーティングを施して本来透明であるはずのこれらレンズ等の構成部品にミラー的な外装部品としての役割を付与することで新たな意匠的な貢献をさせることが可能である。
しかし、可視光を反射させることは反射させた波長域の光が欠落した状態で撮像機器内に取り込まれることとなるため取り込まれた画像が実際の視感特性とは大きく異なった画像となってしまう可能性がある。そのため、撮像機器においてレンズに一部の光を反射させたとしても、実際の視感特性を維持した撮影画像を得ることができるような撮像機器が求められることとなる。尚、レンズを覆うカバーガラスが外装部品として配設されている場合にはそのカバーガラスについても同様の課題が発生していた。
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、その目的は、レンズあるいはレンズのカバーガラスにおいて一部の可視光を反射させても取り込んだ画像を実際の視感特性と同等の画像として認識することが可能な電子撮像機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、前記レンズ又は同レンズの前面に配置されたカバーガラスの表面及び裏面の少なくとも一方に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成とすれば、レンズ又はカバーガラスに形成された可視光反射膜によって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。その場合に、反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正して本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【0005】
ここに「誘電体多層薄膜層」は誘電体薄膜の多層構造体である。誘電体薄膜は親水性或いは非親水性の無機化合物であって、例えばTiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZrO2(酸化ジルコン)、Al2O3(酸化アルミニウム)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、SiO2(酸化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)等が挙げられる。誘電体多層薄膜層の各膜厚は一般に数十nm〜数百nmのオーダーとなる。
また、「透過性金属薄膜層」は例えば金、銀、プラチナのような酸化されにくい金属光沢を有する金属のごく薄い膜構造体をいう。一般に透過性を有する金属薄膜層の膜厚は数nm〜数十nmのオーダーとなる。
これら誘電体多層薄膜層及び透過性金属薄膜層の成膜方法に特に限定的な意味はないが一般的には蒸着法やスパッタリング法で成膜されることが好ましい。
また、「直接あるいは他のコート層を介して」とは可視光反射膜と基材としてのレンズ又はカバーガラスとの密着性に問題がある場合に密着性を向上させるコート層を介する場合も含む意味である。他のコート層とは例えばレンズ基材表面に形成されたハードコート膜等が該当する。ハードコート膜としてはオルガノシロキサン系ハードコート膜が好ましい。オルガノシロキサン系ハードコート膜はオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子から構成されている。ハードコート膜はコート用のハードコート液に浸漬し、その後公知の方法にて溶媒を蒸発させて形成される。ハードコート液は水又はアルコール系の溶媒にオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子ゾルを混合させた溶液である。
「レンズ」あるいは「カバーガラス」の素材は有機系あるいは無機系の両方を含むものとする。従って「カバーガラス」とあるもののこの概念にはプラスチックも含むものとする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜はレンズ又はガラスの裏面に形成されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、通常の使用状態で可視光反射膜の表面に接触することがないため、可視光反射膜が汚れたり傷ついたりするおそれが無くなる。
また、請求項3に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記レンズ又は前記ガラスの前面には反射防止膜が形成されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、レンズ又は前記ガラスの前面での可視光の反射が低減されることとなり可視光反射膜に達する可視光の総量が増加するため、可視光反射膜での反射光のコントラストが向上することとなる。
【0007】
また、請求項4に記載の発明では請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記色補正機能とはホワイトバランス機能であることをその要旨とする。
ここに、電子撮像機器は色補正機能として一般的にカラーマトリックス回路が組み込まれている。カラーマトリックス回路はR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の三原色を3次元ベクトルの積として表したもので、基準となるRGBに対して所定のパラメータを用いた行列変換によってRGBの値を決定するものである。カラーマトリックス回路では適性なパラメータを設定できれば上記欠落した波長域の可視光を補うような計算が正確にできるため補正後の撮影画像をより実際の視感特性に近いものとすることが可能である。しかし、反射光についてカラーバリエーションを設定する場合には個別にパラメータを機器内に組み込まなければならないという繁雑さがある。
一方、ホワイトバランス機能は色の違いを色温度に基づいて判断するとしたものであって、基準とされる白色の色温度と測定される画像の白色の色温度との違いを比較して色温度の差に基づいて画像の色を補正する比較回路によって実行される機能である。従って、前もってパラメータを設定する必要がなく、カラーバリエーションを設定する場合に対応しやすいというメリットがある。
また、請求項5に記載の発明では請求項4に記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜で反射される可視光域にある光を70%より高い反射率としないようにしたことをその要旨とする。
ホワイトバランス機能では上記のようにパラメータを設定する必要はないものの、測定するデータとしてある波長域の欠落割合があまり大きいとその波長域のデータが不足して白色について正確な補正ができなくなってしまう可能性がある。特に100%の反射率とした波長域が持続する領域を有する設計の可視光反射膜では測定データとしてまったく取り込まれない部分が多いため補正は困難である。また、100%ではなくとも70%程度の反射率、つまり30%程度の透過率ではその傾向が大きい。一方で可視光反射膜としては例えば50%程度の反射率であっても十分反射膜として認識できるため、可視光反射膜の反射率は70%より高くしない設計が好ましい。
また、請求項6に記載の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記可視光反射膜は保護膜によって覆われていることをその要旨とする。
保護膜としては上記のようなハードコート膜が想定される。
【発明の効果】
【0008】
上記各請求項に記載の発明によれば、レンズ又はカバーガラスに形成された可視光反射膜によって可視光の一部を反射させて所望の可視光の反射色とすることができる。そして反射させることで欠落する波長域の可視光は電子撮像機器内部の色補正機能によって補正されるため本来の可視光を反射させていない場合の撮影画像と同等の視感特性を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態として例えば図1に示すようなデジタルスチルカメラ1によって実現される。デジタルスチルカメラ1は最前面にレンズカバー2が配置され、その後方に複数のレンズから構成される光学系3が配置されている。本実施の形態のレンズカバー2はアクリル製とされている。デジタルスチルカメラ1の筐体4内には信号処理回路5、ホワイトバランス回路6、カラーマトリックス回路7が配設されている。本実施の形態では本発明とは直接関係のない記録部、モニター、制御回路等は図示を省略する。
本実施の形態では光学系3の最前列の凸レンズ3aの裏面(筐体側)に対して図2に示すような可視光反射膜5が成膜されている。尚、図2は可視光反射膜5の厚さが誇張されて図示されている。可視光反射膜5は下記実施例のような誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層を既知の方法で成膜させた可視光を鏡面反射させる膜体である。本実施の形態の可視光反射膜5では可視光域の光を部分的に反射させて鏡面としている。
光学系3の後方には視感度補正フィルタ8を介してCCD素子からなるCCDイメージセンサ9が配設されている。視感度補正フィルタ8は分光感度特性を人間の目の特性と同等の色合いとするために配置されている。つまり、取り込んだ光について可視光域の波長域に特化した感度特性に補正するものである。
【0010】
光学系3から取り込まれた画像はCCDイメージセンサ9によって電気信号化され信号処理回路5において画像データとして処理される。CCDイメージセンサ9によって取り込まれた段階でデータはRGBの三原色に色分解されているため、信号処理回路5においては画像データはカラーマトリックス回路7によって基本的な色が再現され、ホワイトバランス回路6によって基準となる白色に対して補正処理がなされより正しい色の再現が実現されることとなっている。
このように構成することによって、一部の可視光を鏡面反射させてCCDイメージセンサ9に達する可視光が一部欠落してもホワイトバランス回路6あるいはカラーマトリックス回路7によって補正して撮影画像と同等の視感特性を維持した画像を得ることが可能である。また可視光反射膜5によって光学系3から筐体4側が目視されることがなく、このような可視光反射膜5を有する凸レンズ3aがデジタルスチルカメラ1全体のデザインに貢献することとなる。
また、実施の形態としては図3に示すように、レンズカバー2の裏面に対して可視光反射膜5を成膜するようにしてもよい。レンズカバー2はアクリル製であるため、直接可視光反射膜5を成膜する際の密着性が劣る。そのため、本実施の形態ではハードコート層11を介して可視光反射膜5が成膜されている。尚、図3は可視光反射膜5及びハードコート層11の厚さが誇張されて図示されている。
また、可視光反射膜5は凸レンズ3aの表面あるいはレンズカバー2の表面に成膜させることも可能であるが、その場合には保護層としてハードコート層によって被覆することが好ましい。
【実施例1】
【0011】
実施例1として図4及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例1はライトブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例1によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0012】
【表1】
【実施例2】
【0013】
実施例2として図5及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例1はブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例2によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例3】
【0014】
実施例3として図6及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例3は紫の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。紫は紫系の波長では十分な反射色が得られないため青系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例3によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例4】
【0015】
実施例1として図7及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例4はピンクの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。ピンクも青系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例4によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例5】
【0016】
実施例5として図8及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例5はオレンジの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。オレンジは黄系と赤系の波長を混ぜることで発色させている。
この実施例5によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例6】
【0017】
実施例6として図9及び表1に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例6は黄色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例6によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【実施例7】
【0018】
実施例7として図10及び表2に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例7はブルーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。実施例7は特に青色の波長域(400〜500nm)において95%以上の反射率とするとともに青色の波長域において持続的に100%の反射率となる領域ができるように設計した。
この実施例7によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0019】
【表2】
【実施例8】
【0020】
実施例8として図11及び表3に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例8はシルバーの鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例8によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0021】
【表3】
【実施例9】
【0022】
実施例9として図12及び表4に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例9は青色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例9によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0023】
【表4】
【実施例10】
【0024】
実施例10として図13及び表5に上記実施の形態に適用可能な誘電体多層薄膜層からなる可視光反射膜の設計例を示す。実施例10は赤色の鏡面反射を呈するように設計された可視光反射膜である。
この実施例10によってシミュレーションした結果を表6及び表7に示す。
【0025】
【表5】
【0026】
表6に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を通した撮影画像についてホワイトバランス機能によって補正を行った結果を示す。
ホワイトバランス機能による画像の補正については実際のデジタルスチルカメラのレンズ前面に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を成膜したフィルターを配置して当該デジタルスチルカメラの自動ホワイトバランス機能を利用した。撮影対象は普通紙にカラープリンターによって印刷したカラー図形を撮影することとした。撮影条件としては蛍光灯と自然光(太陽光)の下での撮影対象の撮影画像を、それぞれ自動ホワイトバランス機能によって補正処理を行った場合を「有」とし、と補正処理を行わない場合を「無」としてその結果を表示した。
確認方法は実際の視感特性を維持できている(変色がない)場合を○、わずかに実際の視感特性とずれがある(わずかな変色)場合を△、実際の視感特性と大きく異なる(変色が大きい)場合を×として表した。
また、表7に実施例1〜実施例10の可視光反射膜を通した撮影画像についてカラーマトリックス機能によって補正を行った結果を示す。
カラーマトリックス機能による画像の補正については上記と同じデジタルスチルカメラの画像補正機能をすべて解除した状態で撮影した画像をパソコンに取り込み、カラー修正機能を有する画像編集用ソフトを利用してパソコンのモニター上で補正をした。撮影についての各条件は上記と同様である。
【0027】
その結果として、ホワイトバランス機能及びカラーマトリックス機能を利用することで概ね可視光反射膜で欠落した波長を補った補正画像を得ることができた。但し、実施の形態7のように反射率100%近い領域を持続的に有する可視光反射膜となっておりホワイトバランス機能及びカラーマトリックス機能の両方の機能によって補正をかけたにも関わらず十分ではなかった。また、実施例8では450nm付近で60%強の反射率となっているため、ホワイトバランス機能での補正は若干十分ではないという知見が得られた。また、実施例9では400nm付近で70%強の反射率となっているためホワイトバランス機能での補正が十分ではなかった。実施例9はカラーマトリックス機能でも太陽光での画像再現は若干十分ではなかった。
また、実施例10では70nm付近で70%の反射率となっているためカラーマトリックス機能での補正が十分ではなかった。
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における実施の形態のデジタルスチルカメラのイメージ図。
【図2】実施の形態においてレンズ裏面に成膜された可視光反射膜を説明するイメージ図。
【図3】実施の形態においてレンズカバー裏面に成膜された可視光反射膜を説明するイメージ図。
【図4】実施例1の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図5】実施例2の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図6】実施例3の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図7】実施例4の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図8】実施例5の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図9】実施例6の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図10】実施例7の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図11】実施例8の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図12】実施例9の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【図13】実施例10の可視光反射膜反射特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0031】
3a…凸レンズ、2…レンズカバー、5…可視光反射膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、前記レンズ又は同レンズの前面に配置されたカバーガラスの表面及び裏面の少なくとも一方に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにしたことを特徴とする電子撮像機器。
【請求項2】
前記可視光反射膜は前記レンズ又は前記ガラスの裏面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子撮像機器。
【請求項3】
前記レンズ又は前記ガラスの前面には反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子撮像機器。
【請求項4】
前記色補正機能とはホワイトバランス機能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子撮像機器。
【請求項5】
前記可視光反射膜で反射される可視光域にある光は70%より高い反射率としないことを特徴とする請求項4に記載の電子撮像機器。
【請求項6】
前記可視光反射膜は保護膜によって覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子撮像機器。
【請求項1】
レンズを通して撮影した画像を撮影環境に対応した適正な色状態に補正する色補正機能を備えた電子撮像機器であって、前記レンズ又は同レンズの前面に配置されたカバーガラスの表面及び裏面の少なくとも一方に直接あるいは他のコート層を介して誘電体多層薄膜層又は透過性金属薄膜層からなる可視光反射膜を形成し、可視光の一部を反射させるようにしたことを特徴とする電子撮像機器。
【請求項2】
前記可視光反射膜は前記レンズ又は前記ガラスの裏面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子撮像機器。
【請求項3】
前記レンズ又は前記ガラスの前面には反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子撮像機器。
【請求項4】
前記色補正機能とはホワイトバランス機能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子撮像機器。
【請求項5】
前記可視光反射膜で反射される可視光域にある光は70%より高い反射率としないことを特徴とする請求項4に記載の電子撮像機器。
【請求項6】
前記可視光反射膜は保護膜によって覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子撮像機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−117945(P2009−117945A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285989(P2007−285989)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
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