説明

電子放出源及びそれを応用した電界放出ディスプレイ

【課題】電子放出源及びそれを応用した電界放出ディスプレイの提供。
【解決手段】本発明は電子放出源、及びそれを応用した電界放出ディスプレイに関するものである。電子放出源のDLC薄膜(炭素膜)には薄片構造の特徴を有しており、且つ基板表面に花びらの形になるように配列している。本発明のDLC薄膜(炭素膜)の薄片構造の高さはミクロンメータ単位、厚さはナノメーター単位なので、DLC薄膜(炭素膜)の薄片構造の高さと広さは高い縦幅比である。そのため、良い電界放出が増強できる因子を持ち、電子の放出を容易にし、優れた電子放出源が形成された。且つ、本発明は電子放出源材料を電界放出ディスプレイに応用しており、安定した電子放出源を製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子放出源に関し、且つ上述した電子放出源を含む電界放出ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今、人々の生活において、ディスプレイの重要性はますます増大している。コンピューターやインターネットの他に、テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジカメなども、ディスプレイ制御によってメッセージの伝送が行われている。従来のブラン管ディスプレイに比べ、新世代のフラット・ディスプレイは軽量、コンパクト、人の健康にやさしいという利点を有している。
【0003】
数多くの新規フラットディスプレイ技術において、電界放出ディスプレイ(field emission display,FED)は従来のブラン管の高画質という長所を有している以外にも、LCDディスプレイの欠点、つまり視角が狭い、使用の温度範囲が小さすぎ、反応速度が遅いという点に比べ、電界放出ディスプレイの長所は、高度の発光率、迅速な応答時間、良好な協調ディスプレイ機能、100ftLの高輝度、軽薄な構造、広範な視角、幅広い稼動温度範囲、高度な行動効率などがある。
【0004】
また、FEDは使用時においてバックライトモジュールが必要でないため、日照のあるアウトドアで使用しても、優れた輝度が表現できる。それで、FEDは現在、LCDディスプレイ技術と競う機会があると見られ、さらにそれを取り替える新規ディスプレイ技術になると期待されている。
【0005】
電界ディスプレイの稼動原理は従来のCRTに似ており、10-6 torrの真空環境の下に、電界で陰極先端の電子を引っ張り出し、陽極プレートの正電圧が加速する同時に、陽極プレートの蛍光粉を衝撃させて発光(Luminescence)現象を生成する。一般に、電界放出ディスプレイは、陰極とゲート層との間に印加される電圧差を制御することで、指定時間に各電子放出体に電子を放出させる。
【0006】
電界の陰極を放出するニーズを満たすには、電界放出陰極の仕事函数及び先端の幾何構造は小さいほどが良い。現在の電界放出ディスプレイにおける電子放出体に関する研究方向は、炭素材を中心にしている。主な理由は、金属錐の電子放出部材の寿命が短いし、製作しにくいためである。いまは化学安定性、電の伝導性、または電子親和性を持つ炭素材が多く発展対象とされている。関連の炭素材は無定形の炭素薄膜(Amorphous Carbon Film)、ダイヤ薄膜(Diamond Film)、DLC薄膜(Diamond−like Film)、及びカーボンナノチューブ(carbon nanotube)がある。
【0007】
カーボンナノチューブには高さと広さが高い縦幅比である特徴を持っているため、低い起動電圧と高電流放出密度などの性質を有している。すなわち、良い電界放出の増強因子を持っているため、いまはポピュラーの電界放出電子材料である。
【0008】
一方、カーボンナノチューブは後の部材製造プロセスで応用する際、そのナノ構造が原因で、調製したい電子放出バルブの中に均一に分散できないので、電流分布の不均衡を起こして寿命を減少させてしまうなども問題である。また、ナノ構造は高表面積の物性に伴うので、不安定の要因になってしまう。そのため、カーボンナノチューブは表面に品質の向上が必要であり、それにより電界放出の安定性を増加できる。
【0009】
DLCは主にSP3立体構造とSP2平面構造の無定形炭素から構成される。SP3はマイナス電子親和能と更強い機械性質を持ちやすく、且つSP2はより良い導電性質を持つため、両方が形成するDLC材料は低い電子親和能及び導電性などの特色を有している。
【0010】
現在、良い電界放出増強因子を持つDLCの電子放出材料が極めて必要である。それは、高さと広さが縦幅比になる構造特徴を有している以外にも、低い電子親和力の性質を持っている。さらに、DLCには安定した材料特性があり、後の部材製造に役立ち、より良い電子放出材料になれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は電子放出源に関するもので、主に薄片状の構造を持つDLC薄膜を電子放出用材料として用いる。本発明のDLC薄膜の薄片構造の高さはマイクロメーター単位、厚さはナノメーター単位であるため、本発明のDLC薄膜の薄片構造は、高い縦幅比である。
【0012】
本発明は電子放出源を提供している。それには、基板、そして、基板表面に沈積して薄片構造を持つDLC薄膜が含まれている。中には、DLC薄膜の薄片構造が基板の表面に花びら模様になるように配列しており、その薄片構造の側面高度は0.5μmから4.0μmまでである。
【0013】
本発明は更に一種の電子放出源を提供しており、それには、基板、基板表面に形成した導電層、及び導電層表面に沈積して薄片構造を有するDLC薄膜が含まれている。中には、DLC薄膜の薄片構造が導電層表面に、花びら模様になるように配列している。その薄片構造の側面高度は0.5μmから4.0μmまでである。
【0014】
また、本発明も電界放出ディスプレイを提供している。それには、蛍光粉の層、陽極層上の基板、そして電子放出層と陰極層を含む下基板を包括する。中には、電子放出層は陰極層に密着しており、互いに電気的に接続されている。
【0015】
本発明の構造には、DLC薄膜の薄片構造の側面高度が0.5μmから4.0μmの間でも良いが、0.9μmから2.0μmの間のほうが好ましい。DLC薄膜の薄片構造の厚さには制限がなく、好ましいものは0.005μmから0.1μmの間にあり、0.005μmから0.05μm間のものが最適である。
【0016】
なお、本発明の電子放出源において、基板の材料には制限がない。半導体材料、またはガラス材料はより好ましいものである。
【0017】
好ましい具体の実施例において、本発明の電子放出源が使用する基板はガラスの場合、ガラス基板表面には導電層を塗りつけることにより、薄片構造のDLC薄膜を導電層表面に形成させる。これにより、本発明は、導電層を介し、薄片構造のDLC薄膜に対して電流を提供し、電子放出用に使用される。
【0018】
もう一つの好ましい具体例において、本発明の電子放出源が適用する基板は半導体材料である。基板自体には導電の通性があるため、薄片構造のDLC薄膜は直接に基板表面に形成されて電子放出源になる。また、本発明導電層が適用できる材料はいずれの導電材料でも良いが、好ましいものは酸化インジウム錫、酸化亜鉛、酸化亜鉛・錫、または金属材料である。
【0019】
本発明のDLC薄膜の薄片構造には制限がないが、好ましいものは長い棒状、曲がる薄片状である。薄片状構造の主な特徴は高さと厚さが高度な縦幅比である構造である。そのため、本発明のDLC薄膜には大きい電界放出増強因子、及び低い電子親和力を持つことができ、良好な電子放出用材料になれる。また、本発明の電界放出ディスプレイに、ミクロン単位の薄片構造のDLCは優れた安定性を持っているので、表面の性質を変更する必要なく、良い電子放出用材料として使用できる。
【0020】
本発明の電子放出源は、電子放出技術の分野におけるいずれの需要に応用することができるが、電界放出部材、電界放出ディスプレイ、或いは、平面光源などの冷陰極放出源に応用したほうが好ましいのである。
【0021】
前述した本発明の電界放出ディスプレイはさらに、上基板と下基板との間のゲート層を含むことができる。且つ、本発明のゲート層は、従来の電界放出ディスプレイが適用するゲートのいずれでもよいが、好ましいものは中が空いている孔を有するリング状の複数のゲートである。これにより、本発明のゲート層は指定時間に間違いなく、各電子放出体に電子を精確に放出させることができる。
【0022】
また、本発明の電界放出ディスプレイの上基板はさらに、遮光層を含むことができる。その遮光層は蛍光粉の層に密接でき、漏れる光線を遮断させ、画面の対比を増加させる。
【0023】
従来のカーボンナノチューブに比べると、本発明が使用するミクロン単位の構造であるDLC材料はそのまま基板表面に形成している。故に、製造プロセスの応用には役立つ。また、本発明は、高周波スパッタリング法を用いて基板表面にDLC薄膜を沈積することができる。そのため、大面積化の製造プロセスを実現でき、装備時間と製造コストを低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
請求項1の発明は、基板、及びそれは基板表面に沈積している薄片構造のDLC薄膜、 そのDLC薄膜の薄片構造は基板表面に、花びら模様に配列し、薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間であることを特徴とする電子放出源としている。
請求項2の発明は、当該基板は半導体材料、金属材料、絶縁材料またはガラス材料であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源としている。
請求項3の発明は、当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の電子放出源としている
請求項4の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源としている。
請求項5の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項4記載の電子放出源としている。
請求項6の発明は、当該薄片構造の側面高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源としている。
請求項7の発明は、基板、
基板表面に形成している導電層、及び
導電層表面に沈積した薄片構造のDLC薄膜を含み、
当該DLC薄膜の薄片構造は、導電層表面に花びら模様になるように配列し、且つ当該薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間であることを特徴とする電子放出源としている。
請求項8の発明は、当該基板は半導体材料、金属材料またはガラス材料であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている。
請求項9の発明は、当該導電層は酸化インジウム錫、酸化亜鉛、酸化亜鉛・錫、または金属材料、合金材料であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている。
請求項10の発明は、当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている。
請求項11の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている。
請求項12の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている。
請求項13の発明は、当該薄片構造の側面高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源としている
請求項14の発明は、蛍光粉の層と陽極層の上基板、及び
密接に隣接している電子放出の層と陽極層の下基板を含み、
当該電子放出の層は複数のミクロン単位の薄片構造を持つDLC、その薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間であり、且つ当該薄片構造のDLCは基板表面に花びら模様に配列していることを特徴とする電界放出ディスプレイとしている。
請求項15の発明は、当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
請求項16の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
請求項17の発明は、当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
請求項18の発明は、当該薄片構造の高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
請求項19の発明は、さらにゲート層を含み、陰極板と陽極板との間に入っており、且つゲート層は複数のゲートであることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
請求項20の発明は、当該上基板はさらに遮光層を含み、且つ当該遮光層は蛍光粉の層と密接であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイとしている。
【発明の効果】
【0025】
本発明はミクロン単位の薄片構造のDLCを製作することができる。このミクロン単位の薄片構造には高さと厚さが縦幅比になる特徴を持っているため、良好な電子放出材料になれ、電界放出部材、電界放出ディスプレイ、或いは平面光源などの冷陰極放出源に応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下の内容は本発明について好ましい具体の実施例でDLC薄膜の製造方法を説明するものである。
【0027】
図1を合わせて参照してください。図1は本実施例でDLC薄膜を製造する際に用いるスパッタリング反応室100の表示図。
【0028】
まず、スパッタリング用の反応室100を提供する。当該反応室100には、基板1を加熱する加熱器10、基板1を載せるローディング台11、目的材料12に電圧を与える電源13、及び反応ガスを提供する複数のガス供給ユニットA、B、Cが含まれている。ここで注意が必要なのは、本発明でDLC薄膜を製作する際に、ガス供給ユニットは、本実施例で述べられる設備に限らず、製造プロセスに需要なガス条件によって増減することができる。
【0029】
それから、基板1の表面をきれいにし、それを反応室100のローディング台11に載せて固定する。その中、本実施例で採用した基板1は半導体材のシリコンウエハーであり、真空装置14を用いて反応室100を1×10=5 torr以下に真空にし、そして加熱器10を利用して基板1を400℃までに加熱する。
【0030】
続いて、ガス供給ユニットA、B、Cを通して必要なガスを提供し、マスフローコントローラ(Mass Flow Controller、図示には表示されていない)を利用してそれぞれのガスが反応室100に流れる量を制御する。本実施例でのガス供給ユニットA、B、Cはアルゴン、メタン、水素ガスの供給元である。且つ、本実施例は各ガス供給バルブa1、b1、c1を使って製造プロセスの条件に従い、三種類のガスを反応室100に導入するか否かをコントロールする。反応室100に導入するガスにはアルゴン、メタン、水素ガスが含まれ、そのガスの割合は2:1:1である。
【0031】
本実施例において、反応ガスが反応室100に導入された後、反応室内の圧力は9・-10-3 torr程度にコントロールされる。もちろん、本発明のスパッタリング反応の環境圧力は本実施例の内容に限らず、製造プロセスの需要にあわせて調製できる。
【0032】
それからはすぐ、200Wの高周波で石墨の目的材料12に対して30分のプレ・スパッタリング(Pre−sputtered)反応を行い、目的材料12表面に存在する汚染物を除去する。そして、遮蔽ボード111を開き、基板1表面に70分のスパッタリング反応を行い、基板1表面にDLC薄膜を形成させる。
【0033】
図2と図3を参照すること。図2は本実施例で製作した表面にDLC薄膜を持つ基板の正面を走査電子顕微鏡(SEM)でとった写真で、図3は本実施例で製作した表面にDLC薄膜を持つ基板の側面を走査電子顕微鏡(SEM)でとった写真である。
【0034】
図2と図3が示すように、本実施例で製作したDLC薄膜は曲がる薄片状、または長い薄片状の構造であり、これらの薄片状構造は基板1表面に、花びら模様に配列している。また、本実施例の薄片状構造の平均高さは1μm、各薄片構造の平均厚さは10nmから20nmの間程度である。
【0035】
ゆえに、本実施例で製作したDLC薄膜には高さと厚さが高い縦幅比である特徴がある。また、本実施例で使用した基板は、導電できる半導体材料であるため、直接に電子放出源用に応用できる。
【0036】
電界放出試験:本実施例で製作したDLC薄膜のある基板1を長さと広さが8mmのテストシート3に切断し、電界放出試験用に使う。図4は本実施例で電界放出試験の効果をテストするダイオード装置の表示図である。本実施例の電界放出試験において、DLC薄膜31を有するテストシート3を陰極プレート301として使いながら、導電層33を持つ基板32を陽極プレート302として使う。その導電層33は酸化インジウム錫(ITO)を使っている。
【0037】
まず、陰極プレート301を凹槽35に置き、凹槽35の上に陽極プレート302で覆う。この凹槽を真空容器内に置き、1×10-6 torr以下に真空にし、両極プレート301、302の間に電圧を印加して陰極プレート301の電子放出源が発射する電流量を測定する。
【0038】
実施例3〜実施例7は実施例1で述べられた内容と同じく、DLC薄膜の製作に関するものである。スパッタリングの製造プロセスで利用されるガスの条件が異なる以外に、他の製造プロセスのパラメータと手順は実施例1の内容に似ている。その中、各実施例で導入された水素ガスの割合は、DLC薄膜の薄片構造の疎密度をコントロールすることに応じて異なっている。
【0039】
実施例3〜実施例7に導入された各ガスの割合を示している。
【表1】

【0040】
図5は実施例3〜実施例7で製作されたDLC薄膜のラマン(Raman)分光スペクトルの例を示している。図5によれば、本発明で製作したDLC薄膜はSP3立体構造及びSP2平面構造によって構成されるため、1332cm-1の四面ダイヤ構造の吸収ピーク、及び1580cm-1の平面石墨構造の吸収ピークを持っている
【0041】
電界放出試験:実施例3〜実施例7で製作したDLC薄膜を持つ基板に対し、実施例1と同じダイオード方式の測定法で、この基板の電界放出効果を測定する。測定結果は図6に表示されている。
【0042】
図の中のx軸は両電極板の間に与えられた電界値(V/um)で、y軸はDLC薄膜が放出した電流密度(uA/cm2)である。結果により、スパッタリングの製造プロセスにおいて、エッチングによる薄片状のカーボン薄膜のための水素ガス濃度を増加すれば、配列密度の低い薄片構造ができ、より良い放出効果が得られる。
【0043】
本実施例の電界放出ディスプレイにおいて、下基板表面には陰極層としてモリブデン/チタンが含まれており、また、本例で使用する基板はガラス材である。その以外、本例の陰極層表面には、図案化である絶縁層とゲート層があり、部分の陰極層を露出している。その絶縁層は陰極層とゲート層との間に入っており、電気的に阻隔することに用いられる。
【0044】
以上の下基板構造をスパッタリング反応室に置き、実施例1で述べられたスパッタリング反応を行うと、露出している陰極表面にDLC薄膜の電子放出層が形成される。最後に、ゲート表面に沈積したDLC薄膜を除去すれば、本例の電界放出ディスプレイの下基板構造が得られる。ここで、本実施例のDLC薄膜が有する構造の特徴はすべて、実施例1のDLC薄膜構造と類似している。
【0045】
図7には本例の電界放出結果を示している。両極板間の電界が大きくなるにつれ、電子放出源の電流密度も高くなる。また、図7からは、陰極層とゲート層との間に与えられた電圧差が10Vから35Vに上がる時に、電界効果を大幅に増加することができると分かった。ただし、この与えられた電圧差には限界がある。部材が負荷できる範囲を超えれば、例えば、陰極層とゲート層との間に40Vと50Vの電圧差の場合、多数の電子はゲートに引かれて逆効果になってしまう。
【0046】
以上をまとめると、本発明はミクロン単位の薄片構造のDLCを製作することができる。このミクロン単位の薄片構造には高さと厚さが縦幅比になる特徴を持っているため、良好な電子放出材料になれ、電界放出部材、電界放出ディスプレイ、或いは平面光源などの冷陰極放出源に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の好ましい実施例でDLC薄膜を製作したスパッタリング反応室の表示図である。
【図2】本発明の好ましい実施例で製作した表面にDLC薄膜を持つ基板正面の走査電子顕微鏡(SEM)による写真図である。
【図3】本発明の好ましい実施例で製作した表面にDLC薄膜を持つ基板側面の走査電子顕微鏡(SEM)による写真図である。
【図4】本発明の好ましい実施例で電界放出効果を測定するダイオード方式装置の表示図である。
【図5】実施例3〜実施例7で製作したDLC薄膜のラマン(Raman)分光スペクトルである。
【図6】実施例3〜実施例7で製作したDLC薄膜を有する基板の電界放出を測定した結果を示す図である。
【図7】実施例6で製作したDLC薄膜を有する基板の電界放出を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1、7、32、75 基板
3 テストシート
10 加熱器
11 ローディング台
12 目的材料
13 電源
A、B、C ガス供給ユニット
a1、b1、c1 ガス供給バルブ
31 DLC薄膜
33、76 陽極層
35 凹槽
71 陰極層
73 絶縁層
74 ゲート層
111 遮蔽ボード
301、701 陰極プレート
302、702 陽極プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、及びそれは基板表面に沈積している薄片構造のDLC薄膜、
そのDLC薄膜の薄片構造は基板表面に、花びら模様に配列し、薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間であることを特徴とする電子放出源。
【請求項2】
当該基板は半導体材料、金属材料、絶縁材料またはガラス材料であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源。
【請求項3】
当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の電子放出源。
【請求項4】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源。
【請求項5】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項4記載の電子放出源。
【請求項6】
当該薄片構造の側面高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項1記載の電子放出源。
【請求項7】
基板、
基板表面に形成している導電層、及び
導電層表面に沈積した薄片構造のDLC薄膜を含み、
当該DLC薄膜の薄片構造は、導電層表面に花びら模様になるように配列し、且つ当該薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間であることを特徴とする電子放出源。
【請求項8】
当該基板は半導体材料、金属材料またはガラス材料であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項9】
当該導電層は酸化インジウム錫、酸化亜鉛、酸化亜鉛・錫、または金属材料、合金材料であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項10】
当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項11】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項12】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項13】
当該薄片構造の側面高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項7記載の電子放出源。
【請求項14】
蛍光粉の層と陽極層の上基板、及び
密接に隣接している電子放出の層と陽極層の下基板を含み、
当該電子放出の層は複数のミクロン単位の薄片構造を持つDLC、その薄片構造の側面高さは0.5μmから4.0μmの間にあり、且つ当該薄片構造のDLCは基板表面に花びら模様に配列していることを特徴とする電界放出ディスプレイ。
【請求項15】
当該薄片構造は曲がる構造、長い棒状構造、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。
【請求項16】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.1μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。
【請求項17】
当該薄片構造の厚さは0.005μmから0.05μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。
【請求項18】
当該薄片構造の高さは0.9μmから2.0μmの間であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。
【請求項19】
さらにゲート層を含み、陰極板と陽極板との間に入っており、且つゲート層は複数のゲートであることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。
【請求項20】
当該上基板はさらに遮光層を含み、且つ当該遮光層は蛍光粉の層と密接であることを特徴とする請求項14記載の電界放出ディスプレイ。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−335388(P2007−335388A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214583(P2006−214583)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(396008783)大同股▲ふん▼有限公司 (76)
【Fターム(参考)】