説明

電子楽器およびその制御方法を実現するためのプログラム

【課題】少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを再生しながら、これに合わせて演奏する際の音量レベルの調整を自動的に行うことが可能となる電子楽器およびその制御方法を実現するためのプログラムを提供する。
【解決手段】ストリーミング配信サーバは、オーディオ/ビデオデータを配信し、電子鍵盤楽器は、このオーディオ/ビデオデータから当該オーディオデータの音量レベルを検出し、検出したオーディオデータの音量レベルに基づいて演奏用音量レベルの初期値を決定し、決定した演奏用音量レベルを、前記音源・効果回路内に設けられている、演奏用音量レベルが格納されるレジスタに設定する。このようにして音源・効果回路に設定された演奏用音量レベルが当該オーディオ/ビデオデータの再生中に変更されない場合には、演奏用音量レベルの初期値が維持される((a))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを再生しながら、これに合わせて演奏できる電子楽器およびその制御方法を実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオデータを再生しながら、これに合わせて演奏できる電子楽器は、従来から知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−274851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、オーディオデータの音量レベルは楽曲毎に異なるのが一般的である。したがって、オーディオデータを再生しながら、これに合わせて電子楽器を演奏した場合、オーディオデータを再生したときの音量レベルは再生対象のオーディオデータが替わる度に変わるので、オーディオデータを再生したときの音量レベルと電子楽器を演奏したときの音量レベルとが合わないことが多い。
【0004】
この問題に上記従来の電子楽器を用いて対処しようとすると、ユーザは、オーディオデータの再生用の音量レベルおよび電子楽器の演奏用の音量レベルのうち、少なくとも一方を手動で調整しなければならず、面倒であった。
【0005】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを再生しながら、これに合わせて演奏する際の音量レベルの調整を自動的に行うことが可能となる電子楽器およびその制御方法を実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の電子楽器は、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段と、該供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出手段と、該検出手段によって検出された音量レベルに応じて演奏用音量レベルを決定する決定手段と、前記供給された音楽コンテンツを再生する再生手段と、前記決定手段によって決定された音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項2に記載の電子楽器は、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段と、該供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出手段と、演奏用音量レベルを設定する設定手段と、前記検出手段によって検出された音量レベルおよび前記設定手段によって設定された演奏用音量レベルに応じて、前記供給された音楽コンテンツを再生する際の再生用音量レベルを決定する決定手段と、該決定手段によって決定された再生用音量レベルで前記供給された音楽コンテンツを再生する再生手段と、前記設定された演奏用音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項3に記載のプログラムは、請求項1と同様の技術的思想によって実現できる。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項4に記載のプログラムは、請求項2と同様の技術的思想によって実現できる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1または3に記載の発明によれば、供給手段によって供給された、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツの音量レベルが検出され、該検出された音量レベルに応じて演奏用音量レベルが決定され、前記供給された音楽コンテンツが再生されるとともに前記決定された音量レベルで演奏がなされるので、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを再生しながら、これに合わせて演奏する際の音量レベルの調整を自動的に行うことが可能となる。
【0011】
請求項2または4に記載の発明によれば、供給手段によって供給された、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツの音量レベルが検出され、該検出された音量レベルおよび設定された演奏用音量レベルに応じて再生用音量レベルが決定され、該決定された再生用音量レベルで前記供給された音楽コンテンツが再生されるとともに前記設定された音量レベルで演奏がなされるので、少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを再生しながら、これに合わせて演奏する際の音量レベルの調整を自動的に行うことが可能となる。
【0012】
前記設定された演奏用音量レベルで演奏
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子楽器を適用した電子鍵盤楽器100の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
同図に示すように、電子鍵盤楽器100は、音高情報を含む演奏情報を入力するための鍵盤を含む演奏操作子1と、各種情報を入力するための複数のスイッチやダイアル、ホイールを含む設定操作子2と、演奏操作子1の操作状態を検出する検出回路3と、設定操作子2の操作状態を検出する検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU5と、該CPU5が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM6と、演奏情報、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、各種情報等を表示する、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置8と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置9と、通信ネットワーク300を介して、ストリーミング配信サーバ200とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)10と、演奏操作子1から入力された演奏情報や、前記記憶装置9に記憶されたいずれかの楽曲データを再生して得られた演奏情報等を楽音信号に変換するとともに、その楽音信号に各種効果を付与するための音源・効果回路11と、該音源・効果回路11からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(digital-to-analog converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム12とにより構成されている。
【0016】
上記構成要素3〜11は、バス13を介して相互に接続され、通信I/F10には通信ネットワーク300が接続され、音源・効果回路11にはサウンドシステム12が接続されている。
【0017】
ストリーミング配信サーバ200は、電子鍵盤楽器100からの配信要求に応じてオーディオ/(または)ビデオデータをストリーミング配信する。これに応じて電子鍵盤楽器100は、受信したオーディオ/ビデオデータをストリーミング再生する。ストリーミング配信サーバ200からオーディオデータが配信されたときには、電子鍵盤楽器100は、そのオーディオデータをストリーミング再生し、再生したオーディオデータを音源・効果回路11に供給する。オーディオデータは通常、圧縮化されており、その上暗号化されているものもあるので、音源・効果回路11には、圧縮化されたオーディオデータを伸長するとともに暗号化されたオーディオデータを解読するデコード回路(図示せず)が含まれている。音源・効果回路11に供給されたオーディオデータが、圧縮化されたものであればデコード回路によって伸長され、暗号化されたものであればデコード回路によって解読された後、後段のサウンドシステム12に供給される。一方、ストリーミング配信サーバ200からビデオデータが配信されたときには、電子鍵盤楽器100は、そのビデオデータをストリーミング再生する。ビデオデータには通常、映像データと音声データ(=オーディオデータ)が含まれているので、ビデオデータの再生によって得られた映像データおよび音声データはそれぞれ表示装置8および音源・効果回路11に供給される。表示装置8は、映像データのデコード回路(図示せず)を含み、供給された映像データをこのデコード回路でデコードして前記LCDに供給する。LCDは、供給された映像データを表示する。これによりLCD上には、動画像が表示される。音源・効果回路11は、供給された音声データを前記オーディオデータと同様に処理する。
【0018】
記憶装置9は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は、駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置9自体が、電子鍵盤楽器100から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置9も着脱不可能であってもよい。なお、記憶装置9(の記憶媒体)には、前述のように、CPU5が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM6に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置9に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM6に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0019】
通信I/F10は、前述のように、たとえばLAN(local area network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク300に接続されており、該通信ネットワーク300を介して、ストリーミング配信サーバ200に接続される。このように本実施の形態では、通信I/F10として、汎用ネットワークI/Fを採用しているが、これに他の種類のI/F、具体的には、MIDI(musical instrument digital interface)信号などの音楽信号を専用に送受信する音楽専用有線I/F、USB(universal serial bus)やIEEE1394(アイトリプルイー1394)などの汎用近距離有線I/F、無線LAN(local area network)やBluetooth(登録商標)などの汎用近距離無線I/Fを加えるようにしてもよい。
【0020】
なお本実施の形態では、電子楽器の形態として、鍵盤楽器の形態を採用したが、これに限らず、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。
【0021】
ストリーミング配信サーバ200は、電子鍵盤楽器100の上記構成から、演奏操作子1、設定操作子2、検出回路3,4、表示装置8、音源・効果回路11およびサウンドシステム12を除き、その代わりに、キーボード、マウスおよび大型ディスプレイを加えた、通常のサーバ用コンピュータ上に構築される。なおストリーミング配信サーバ200は、本実施の形態では1台によって構成されているが、これに限らず、複数台によって構成されていてもよい。
【0022】
図2は、ネットワーク構成の一例を示す図である。同図に示すように、インターネット等の通信ネットワーク300には、電子鍵盤楽器100と同様に構成された2台の電子鍵盤楽器100aおよび100bと、1台のストリーミング配信サーバ200が接続されている。このように本実施の形態では、1台のストリーミング配信サーバ200が、複数の電子鍵盤楽器のそれぞれに異なったオーディオ/ビデオデータをストリーミング配信できるようになっている。ここで、オーディオデータのストリーミング配信とは、動画像データを含まない音声データのみ(ただし、静止画像データは含まれることがある)をストリーミング配信することを意味し、ビデオデータのストリーミング配信とは、動画像データとともに音声データもストリーミング配信することを意味する。
【0023】
ストリーミング配信する方法には主として、RTP(real-time transport protocol)やRTSP(real time streaming protocol)によるものと、HTTP(hypertext transfer protocol)による擬似的なものとがある。本実施の形態では便宜上、RTSPを採用するが、RTSPを採用しなければならない理由は特にないので、他のプロトコルを採用してもよい。また、本発明の特徴はストリーミング配信する方法にある訳ではなく、さらに上記プロトコルはいずれもよく知られているので、各プロトコルやそれに基づいたストリーミング配信方法についての説明は省略する。
【0024】
図3は、ストリーミング配信サーバ200(の記憶装置)内に記憶されるストリーミング配信用ファイルのフォーマットの一例を示す図であり、同図に示すようにストリーミング配信用ファイルには、タグデータとオーディオ/ビデオデータが含まれている。
【0025】
タグデータには、当該オーディオ/ビデオデータの音楽ジャンルや総再生時間を含む、当該オーディオ/ビデオデータに関する各種情報が記載されている。
【0026】
オーディオ/ビデオデータは、コンサート会場でのライブ演奏を録音/録画したライブ音楽/映像、あるいはプロモーション映像などの音楽コンテンツであり、この音楽や映像を再生しながら、これに合わせてユーザが鍵盤などで演奏を楽しむことを想定したものである。オーディオデータは、アナログオーディオ信号をサンプリングしたデジタル波形データであって、非圧縮のもの、あるいは所定のアルゴリズムで圧縮されたものである。ビデオデータは、オーディオデータに加え、非圧縮、あるいは所定のアルゴリズムで圧縮された動画像データを含むものである。なお、オーディオデータまたはビデオデータ中のオーディオデータは、音楽コンテンツ毎にまちまちの音量レベルで記録されているものとする。
【0027】
以上のように構成された電子鍵盤楽器100が実行する制御処理を、まずその概要を図2〜図4を参照して説明し、次に図5〜図7を参照して詳細に説明する。
【0028】
まず電子鍵盤楽器100(図2では、通信ネットワーク300に2台の電子鍵盤楽器100aおよび100bが接続されているが、そのうちのいずれか1台に相当する)は、ストリーミング配信サーバ200に対して、ストリーミング配信サーバ200がストリーミング配信可能なオーディオ/ビデオデータの、たとえば名称一覧の配信要求を送信する。これに応じてストリーミング配信サーバ200がオーディオ/ビデオデータの名称一覧を配信すると、電子鍵盤楽器100は、このオーディオ/ビデオデータの名称一覧を受信して、前記表示装置8のLCD上に表示する。ユーザが、LCD上に表示されたオーディオ/ビデオデータの名称一覧からいずれかの名称を選択し、その名称のオーディオ/ビデオデータのストリーミング配信を指示すると、電子鍵盤楽器100は、ストリーミング配信サーバ200に対して当該オーディオ/ビデオデータの配信要求を送信する。これに応じてストリーミング配信サーバ200は、電子鍵盤楽器100に対して当該オーディオ/ビデオデータを含むストリーミング配信用ファイルを配信する。
【0029】
ストリーミング配信サーバ200は、自身の記憶装置に記憶されている複数のストリーミング配信用ファイルから、配信要求されたオーディオ/ビデオデータを含むストリーミング配信用ファイルを読み出し、そのストリーミング配信用ファイルに含まれる2種類のデータのうち、まずタグデータを配信し、次にオーディオ/ビデオデータのストリーミング配信を開始する。なお、タグデータは、たとえばTCPを用いたダウンロード配信によって配信されるのに対して、オーディオ/ビデオデータは、前述のようにRTSPを用いたストリーミング配信によって配信されるというように、両者の配信方法は実際には異なるが、タグデータのデータ容量はオーディオ/ビデオデータのデータ容量と比較して無視できるほど小さいので、タグデータはオーディオ/ビデオデータの、たとえば先頭部分に含まれて、オーディオ/ビデオデータの一部としてストリーミング配信されるものとする。
【0030】
ストリーミング配信サーバ200は、タグデータの含まれたオーディオ/ビデオデータを少量ずつパケットデータで配信し、電子鍵盤楽器100は、各パケットデータを、たとえば前記通信I/F10内に設けられた1つの受信バッファ(図示せず)で受信する。そして、受信バッファに所定量のオーディオ/ビデオデータ(のパケット)が溜まると、電子鍵盤楽器100は、この所定量のオーディオ/ビデオデータ(再生開始時のバッファリング部分Tb(図4参照))からその音量レベルを検出し、検出した音量レベルに基づいて演奏用音量レベルの初期値を決定し、決定した演奏用音量レベルを、前記音源・効果回路11内に設けられている、演奏用音量レベルが格納されるレジスタ(図示せず)に設定する。
【0031】
図4は、オーディオ/ビデオデータの再生が開始してから終了するまでの演奏用音量レベルの推移を示す図であり、図中、破線が演奏用音量レベルの推移を示し、実線がオーディオ/ビデオデータが再生されたときの音量レベルの推移を示している。そして図4(a)は、上述のようにして音源・効果回路11に設定された演奏用音量レベルの初期値が当該オーディオ/ビデオデータの再生中に変更されない場合の演奏用音量レベルの推移を示している。
【0032】
なお上記例では、演奏用音量レベルの初期値がオーディオ/ビデオデータの音量レベルに基づいて決定されて設定されるが、逆に現在設定されている演奏用音量レベルに基づいてオーディオデータの再生用音量レベルの初期値を決定し、決定した再生用音量レベルを音源・効果回路11内に設けられている、再生用音量レベルが格納されるレジスタ(図示せず)に設定するようにしてもよい。図4(d)は、このようにして音源・効果回路11に設定された再生用音量レベルの初期値が当該オーディオ/ビデオデータの再生中に変更されない場合の再生用音量レベルの推移を示している。同図(d)中、一点鎖線が変更後の再生用音量レベルでオーディオ/ビデオデータが再生されたときの音量レベルを示し、実線が変更前の再生用音量レベルでオーディオ/ビデオデータが再生されたときの音量レベルを示し、破線が演奏用音量レベルを示している。
【0033】
このように、オーディオ/ビデオデータの再生を開始する際(開始する直前)のバッファリング部分で演奏用音量レベルあるいは再生用音量レベルが決定されて設定されるので、オーディオ/ビデオデータの再生を開始する時点から設定された音量レベルで演奏あるいは再生を行うことができる。
【0034】
演奏用音量レベルが設定されると、電子鍵盤楽器100は、オーディオ/ビデオデータの再生を開始する。そして再生が進み、演奏用音量レベルの設定値とオーディオ/ビデオデータの音量レベルの現在値との乖離幅が大きくなって来ると、電子鍵盤楽器100は、演奏用音量レベルを新たに決定し、演奏用音量レベルの現在の設定値を新たに決定した演奏用音量レベルに徐々に移行させる。図4(b)は、演奏用音量レベルが当該オーディオ/ビデオデータの再生中に変更される場合の演奏用音量レベルの推移を示している。
【0035】
さらに再生が進み、再生終了の所定時間Tf前に至ると、電子鍵盤楽器100は、その後再生が終了するまで、オーディオ/ビデオデータの音量レベルが低下傾向にあるかどうかを常時チェックし、オーディオ/ビデオデータの音量レベルが低下傾向にあれば「オーディオ/ビデオデータがフェードアウトしている」と判定し、演奏用音量レベルを当該オーディオ/ビデオデータの末尾に向かってフェードアウトさせる。図4(c)は、演奏用音量レベルが当該オーディオ/ビデオデータの末尾付近でフェードアウトされる場合の演奏用音量レベルの推移を示している。
【0036】
このように本実施の形態では、オーディオデータを再生しながら、これに合わせて演奏する際の音量レベルの調整を自動的に行うことが可能となる。
【0037】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0038】
ユーザが前記設定操作子2に含まれるモード切替スイッチ(図示せず)を操作することにより、動作モードを他のモードからストリーミング再生モードに切り替えた後、前述のようにストリーミング配信サーバ200に対して、ストリーミング配信可能なオーディオ/ビデオデータの名称一覧の配信を要求すると、ストリーミング配信サーバ200から電子鍵盤楽器100にその名称一覧が送信されて、電子鍵盤楽器100の表示装置8上に表示される。この中からユーザがいずれかの名称を選択して、その名称のオーディオ/ビデオデータのストリーミング配信を指示すると、前記CPU5は、ファイル要求&(および)受信処理を起動する。
【0039】
図5は、このファイル要求&受信処理の手順を示すフローチャートであり、同図には、この処理に応じてストリーミング配信サーバ200が実行するストリーミング配信処理の手順を示すフローチャートも記載されている。
【0040】
本ファイル要求&受信処理が起動されると、まずCPU5は、ユーザによってストリーミング配信が指示されたオーディオ/ビデオデータを含むファイルの配信要求をストリーミング配信サーバ200に送信する(ステップS1)。これに応じてストリーミング配信サーバ200は、配信要求されたファイルをストリーミング配信する(ステップS101)。ストリーミング配信サーバ200は、ストリーミング配信要求されたオーディオ/ビデオデータを含むストリーミング配信用ファイルから、まずタグデータを読み出して配信し、次にオーディオ/ビデオデータを読み出してストリーミング配信する。
【0041】
ストリーミング配信サーバ200から電子鍵盤楽器100に配信されて来たデータ(パケットデータ)は、前述のようにそのデータの種類に拘わらず前記受信バッファに蓄積される(ステップS2)。そして受信バッファへのデータの蓄積は、ストリーミング配信サーバ200からのデータの配信が完了するまでなされる(ステップS3)。ただし受信バッファにデータが所定量溜まると、その溜まったデータは、前記RAM7内に保存されて受信バッファから消去されるか、あるいはストリーミング再生されて再生された分だけ受信バッファから消去されるので、受信したデータが受信バッファから溢れてしまうことはない。
【0042】
図6は、電子鍵盤楽器100、特にCPU5が実行するストリーミング再生制御処理の手順を示すフローチャートである。本ストリーミング再生制御処理は、前記ファイル要求&受信処理が起動されたときに起動される。
【0043】
本ストリーミング再生制御処理は主として、
(1)演奏用音量レベルの初期値を決定して設定する演奏用音量レベルの初期値設定処理(ステップS12)
(2)オーディオ/ビデオデータ再生処理の開始時処理(ステップS13)
によって構成されている。
【0044】
本ストリーミング再生制御処理が起動されると、まずCPU5は、受信バッファに所定量のデータ、つまりタグデータを含むオーディオ/ビデオデータが溜まっているかどうかをチェックし(ステップS11)、受信バッファに所定量のデータが溜まっていなければ溜まるまで待ち、溜まっていれば、処理を前記(1)の演奏用音量レベルの初期値設定処理に進める。なお、この(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理に進む前にCPU5は、受信バッファ内のタグデータを読み出してRAM8の所定位置に確保されたタグデータ保存用バッファ(図示せず)に保存し、そのタグデータを受信バッファから消去しておく。
【0045】
この(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理では、まずCPU5は、受信バッファ内のオーディオ/ビデオデータに基づいてその音量レベルを検出する。なお本発明の特徴は、オーディオ/ビデオデータの複数サンプルからその音量レベルを検出する方法にある訳ではなく、しかもこのような音量レベルの検出は一般に行われており、本発明においてもその周知の検出方法を用いればよいので、音量レベルの検出方法についての説明は省略する。次にCPU5は、たとえば次式により、演奏用音量レベルを決定する。
【0046】
演奏用音量レベル=検出オーディオ音量レベル/基準オーディオ音量レベル×基準演奏用音量レベル
ただし、基準演奏用音量レベルは、基準オーディオ音量レベルに所定の係数K(“1”前後の実数値)を掛けたものとする。したがってこの場合、上記演奏用音量レベルは、次のように変形される。
【0047】
演奏用音量レベル=K×検出オーディオ音量レベル
そしてCPU5は、このようにして決定された(算出された)演奏用音量レベルを音源・効果回路11に設定する。具体的には、CPU5は、演奏パート(本実施の形態では、ピアノパート)に対するコントロールチェンジメッセージ(MIDIチャンネルメッセージの1つ)「ボリューム」または「エクスプレッション」のパラメータ値を決定された演奏用音量レベルとし、このコントロールチェンジメッセージを音源・効果回路11に供給する。これに応じて音源・効果回路11は、供給されたコントロールチェンジメッセージに含まれる演奏用音量レベルを自身の対応するレジスタに格納する。なお音源・効果回路11が、コントロールチェンジメッセージを介さずに直接レジスタに値を書き込むように構成されている場合には、CPU5は、決定した演奏用音量レベルを音源・効果回路11の対応するレジスタに直接書き込むようにすればよい。つまり、音源・効果回路11の構造によって演奏用音量レベルの設定方法も異なる。
【0048】
次にCPU5は、処理を前記(2)のオーディオ/ビデオデータ再生処理の開始時処理に進める。この(2)オーディオ/ビデオデータ再生処理の開始時処理では、CPU5は、オーディオ/ビデオデータ再生処理を開始させる。オーディオ/ビデオデータの再生は、図7を用いて後述するように、所定時間(本実施の形態では、10msec)毎に発生するタイマ割込み信号に応じて起動されるオーディオ/ビデオデータ再生処理によってなされるので、上記「オーディオ/ビデオデータ再生処理を開始させる」とは、タイマ割込み信号の発生を許可することを意味する。
【0049】
本ストリーミング再生制御処理が終了後、演奏用音量レベルが再設定などにより変更されない場合には、演奏用音量レベルの初期値は、前記図4(a)中の破線で示すように当該オーディオ/ビデオデータの再生中、一定のレベルに維持される。
【0050】
なお前記(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理では、演奏用音量レベルの初期値を決定して設定するようにしたが、これに代えて、(1′)再生用音量レベルの初期値を決定して設定する再生用音量レベルの初期値設定処理を設けるようにしてもよい。この(1′)再生用音量レベルの初期値設定処理では、CPU5は、たとえば次式により、再生用音量レベルを決定する。
【0051】
再生用音量レベル=基準オーディオ音量レベル/検出オーディオ音量レベル×設定演奏用音量レベル/基準演奏用音量レベル
ただし、設定演奏用音量レベルは、現在設定されている演奏用音量レベルを示し、検出オーディオ音量レベルおよび基準演奏用音量レベルはそれぞれ、前記(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理における検出オーディオ音量レベルおよび基準演奏用音量レベルと同様である。したがってこの場合、上記再生用音量レベルは、次のように変形される。
【0052】
再生用音量レベル=検出オーディオ音量レベル×設定演奏用音量レベル/K
そしてCPU5は、このようにして決定された(算出された)再生用音量レベルを音源・効果回路11の対応するレジスタに設定する(書き込む)。
【0053】
(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理に代えて(1′)再生用音量レベルの初期値設定処理を採用したストリーミング再生制御処理が終了後、再生用音量レベルが再設定などにより変更されない場合には、オーディオ/ビデオデータが再生されたときの音量レベルは、前記図4(d)中の一点鎖線で示すように、再生用音量レベルが変更される前にオーディオ/ビデオデータが再生されたときの音量レベルに対して一定のレベルだけプラス方向に増大されて維持されている。なおこの「一定のレベル」は、常にプラス方向に増大されて維持される訳ではなく、マイナス方向に減少されて維持される場合もあることは言うまでもない。
【0054】
図7は、オーディオ/ビデオデータ再生処理の手順を示すフローチャートであり、本オーディオ/ビデオデータ再生処理は、前述のように10msec毎に発生するタイマ割込みに応じて起動され、実行される。ここでタイマ割込みの周期として10msecを用いたのは、オーディオ/ビデオデータの再生に適当な時間と考えられるからである。したがって、オーディオ/ビデオデータの再生を適正に行うことができれば、10msecに限らない。
【0055】
本オーディオ/ビデオデータ再生処理は主として、
(11)オーディオ/ビデオデータ再生処理(ステップS21)
(12)演奏用音量レベルを更新する演奏用音量レベル更新処理(ステップS22)
(13)演奏用音量レベルをフェードアウトする演奏用音量レベルフェードアウト処理(ステップS24)
(14)オーディオ/ビデオデータ再生処理の終了時処理(ステップS26)
によって構成されている。
【0056】
本オーディオ/ビデオデータ再生処理が起動されると、まずCPU6は、処理を前記(11)のオーディオ/ビデオデータ再生処理に進める。この(11)オーディオ/ビデオデータ再生処理では、CPU5は、前記受信バッファからオーディオ/ビデオデータを読み出して再生する(ステップS21)。このとき、読み出したオーディオ/ビデオデータが暗号化されていればそれを解読し、圧縮化されていればそれを伸長した上で、再生する。なお、読み出したオーディオ/ビデオデータが暗号化されたものであるか圧縮化されたものであるかの情報は、当該データパケットのヘッダに記載されているので、それを利用すればよい。また、この(11)オーディオ/ビデオデータ再生処理に移行すれば常に、オーディオ/ビデオデータが読み出されて再生される訳ではなく、オーディオ/ビデオデータを読み出すタイミングになったときに当該オーディオ/ビデオデータが読み出されて再生される。したがってCPU5は、オーディオ/ビデオデータを読み出すタイミングになったときに、処理を(11)オーディオ/ビデオデータ再生処理に進め、それ以外は(11)オーディオ/ビデオデータ再生処理を迂回するようにしてもよい。
【0057】
次にCPU5は、処理を前記(12)の演奏用音量レベル更新処理に進める。この(12)演奏用音量レベル更新処理では、まずCPU5は、オーディオ/ビデオデータの音量レベルを検出する。ここでの音量レベルの検出も、前記(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理での音量レベルの検出と同様に、音量レベルを検出する際に受信バッファに溜まっているオーディオ/ビデオデータに基づいて行えばよい。ただし受信バッファに溜まっているオーディオ/ビデオデータは、既に再生されたものではなく、これから再生されるものであるので、既に再生されたオーディオ/ビデオデータに基づいて音量レベルを検出したい場合には、現在再生中のオーディオ/ビデオデータのサンプルから所定のサンプル数だけ過去のサンプルまで常に更新させながら保存するようにし、それに基づいて音量レベルの検出を行うようにすればよい。次にCPU5は、検出した音量レベルと現在設定されている演奏用音量レベルを比較し、両音量レベルの乖離幅が所定値より大きいときには、新たな演奏用音量レベルを決定し、その新たな演奏用音量レベルを音源・効果回路11に再設定する。ここで、演奏用音量レベルの決定方法と音源・効果回路11への設定方法は、前記(1)演奏用音量レベルの初期値設定処理で用いた各方法をそのまま用いればよいので、その説明は省略する。なお演奏用音量レベルが頻繁に変わると、ユーザに違和感を生じさせる虞があるので、演奏用音量レベルを変更する際の閾値、つまり前記乖離幅と比較される所定値を適当な値に採り、演奏用音量レベルが頻繁に変わらないようにしておく必要がある。そしてこの場合、演奏用音量レベルが急に大きくあるいは小さく変更されることがあり、これによってもユーザに違和感を生じさせる虞があるので、現在の演奏用音量レベルから徐々に新たな演奏用音量レベルに移行させるようにする。
【0058】
なお図7において、ステップS22の処理の枠が破線で描かれているが、これは、ユーザによって選択的に設定できる処理であることを示している。前記図4(b)は、このステップS22の処理、つまり(12)演奏用音量レベル更新処理が選択されたときの演奏用音量レベルの推移を示す図である。同図(b)に示すように、演奏用音量レベルの初期値が、当該オーディオ/ビデオデータの再生中に時刻t1,t2およびt3で見直され、新たに決定された演奏用音量レベルに徐々に移行している。
【0059】
次にCPU5は、処理をステップS23進め、オーディオ/ビデオデータの現在の再生位置がファイル末尾付近にあり、かつそのときのオーディオ/ビデオデータの音量レベルが下がっているかどうかを判別する。ここで、ファイル末尾付近とは、当該オーディオ/ビデオデータの末尾から、たとえば20sec程度である。前述のようにタグデータには、当該オーディオ/ビデオデータの総再生時間が記載されているので、当該オーディオ/ビデオデータの再生が終了する時刻から20sec前の時刻は直ぐに算出できる。ステップS23の判別の結果、現在の再生位置がファイル末尾付近にあり、かつそのときのオーディオ/ビデオデータの音量レベルが下がっている場合には、CPU5は、処理を前記(13)の演奏用音量レベルフェードアウト処理に進める。この(13)演奏用音量レベルフェードアウト処理では、CPU5は、演奏用音量レベルをフェードアウト状態に設定する。具体的には、オーディオ/ビデオデータの再生が当該オーディオ/ビデオデータの末尾に進むに従って、演奏用音量レベルが徐々に“0”レベルに近づくように演奏用音量レベルを決定して設定する。
【0060】
なお図7において、ステップS23およびS24の各処理の枠が一点鎖線で描かれているが、これは、ユーザによって選択的に設定できる処理であることを示している。前記図4(c)は、このステップS24の処理、つまり(13)演奏用音量レベルフェードアウト処理が選択されたときの演奏用音量レベルの推移を示す図である。同図(c)に示すように、オーディオ/ビデオデータの再生位置が末尾から時間Tbに至ったときを起点にして、演奏用音量レベルの設定値はフェードアウトされている。
【0061】
次にCPU5は、現在の再生位置が当該オーディオ/ビデオデータの末尾に到達したかどうかを判別し(ステップS25)、末尾に到達したときには、処理を前記(14)のオーディオ/ビデオデータ再生処理の終了時処理に進める。この(14)オーディオ/ビデオデータ再生処理の終了時処理では、CPU5は、タイマ割込み信号の発生を不許可にすることで、本オーディオ/ビデオデータ再生処理を終了させる。
【0062】
図8は、電子鍵盤楽器100、特にCPU5が実行する演奏処理の手順を示すフローチャートである。
【0063】
同図に示すようにCPU5は、検出回路3からキーオン/オフが出力されたかどうかを常時チェックし(ステップS31)、キーオンが出力されたとき、つまり鍵盤に対する押鍵があったときには、音源・効果回路11にそのキーオンに応じた音高の楽音が発生するように発音を指示し、キーオフが出力されたとき、つまり鍵盤に対する離鍵があったときには、音源・効果回路11にそのキーオフに応じた音高の楽音が消音するように消音を指示する(ステップS32)。一方、検出回路3からキーオン/オフが出力されないときには、CPU5は何もせず直ちに、本演奏処理を終了する。
【0064】
なお本実施の形態では、前記(12)演奏用音量レベル更新処理と前記(13)演奏用音量レベルフェードアウト処理をユーザが任意に選択して実行できるようにしたが、両処理を同時に選択した場合の処理結果については、図4には示されていなかった。両処理を同時に選択した場合、その処理結果は、図4(b)の処理結果と図4(c)の処理結果を加えた結果、つまり、演奏用音量レベルの初期値が、当該オーディオ/ビデオデータの再生途中に見直され、新たに決定された演奏用音量レベルに徐々に移行し、さらに再生位置が末尾付近に至ったときに、徐々にフェードアウトして行くという結果になる。また、前記(1′)再生用音量レベルの初期値設定処理と(13)演奏用音量レベルフェードアウト処理を組み合わせた場合、その処理結果は、図4(d)の処理結果と図4(c)の処理結果を加えた結果、つまり、基本的には演奏用音量レベルの設定値に合わせて再生用音量レベルを変更するが、オーディオ/ビデオデータの末尾付近のフェードアウト部分では、演奏用音量レベルを変更するという結果になる。
【0065】
また、オーディオ/ビデオデータの先頭部分で徐々に音量レベルが挙がっていることを検出した場合には、フェードインと判別し、演奏用音量レベルを徐々に増大させるようにしてもよい。
【0066】
なお本実施の形態では、係数Kは固定値としたが、演奏パートの種類に応じて変更するようにしてもよい。たとえば、メロディパートやドラムパートをユーザが演奏する場合には係数Kの値を大きくし、その他の伴奏パートを演奏する場合には係数Kの値を小さくするというようにである。あるいは、演奏する際の音色や、オーディオ/ビデオデータの音楽ジャンル(前述のようにタグデータ内に記載されている)に応じて係数Kの値を変更するようにしてもよい。また、ユーザが係数Kの値を任意に設定可能にしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態の中で用いた演奏用音量レベルあるいは再生用音量レベルを算出するための計算式は、あくまでも例示に過ぎず、他の計算式を用いてもよい。
【0068】
なお本実施の形態では、ビデオデータがストリーミング配信され、これをストリーミング再生する場合に、その映像(動画像)を電子鍵盤楽器100に設けた表示装置8(のLCD)に表示するようにしたが、これに限らず、電子鍵盤楽器100にディスプレイを外部接続し、このディスプレイ上に映像を表示するようにしてもよい。
【0069】
また本実施の形態では、オーディオ/ビデオデータのストリーミング再生も鍵盤の演奏も電子鍵盤楽器100内で行うようにしたが、これに限らず、本発明をPC(パーソナルコンピュータ)とそれにMIDI接続した鍵盤によって構成し、PC側でオーディオ/ビデオデータのストリーミング再生を行わせ、演奏は外部の鍵盤を用いて行うようにしてもよい。この場合、音源・効果回路11も外部接続されたものを用いるようにしてもよい。さらに、オーディオデータのストリーミング再生を行う場合には、PCに代えて通信ネットワークに接続可能なオーディオ機器を採用してもよいし、ビデオデータのストリーミング再生を行う場合には、PCに代えて通信ネットワークに接続可能なTV装置を採用してもよい。
【0070】
また本実施の形態では、オーディオ/ビデオデータは、ストリーミング配信サーバからストリーミング配信されたものを用いたが、これに限らず、ダウンロード配信されたものでもよいし、着脱可能な記憶媒体から読み取ったものでもよいし、近距離有線I/F経由で他の装置から受信したものでもよい。あるいは、デモンストレーション用に、元々電子鍵盤楽器100内に記憶されていたものでもよい。ストリーミング配信以外によって取得したオーディオ/ビデオデータの場合には、バッファリングされた部分の音量レベルの検出に代えて、オーディオ/ビデオデータの任意の一部または全体に基づいてその音量レベルを検出するようにすればよい。
【0071】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0072】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードおよび該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0073】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0074】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0075】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子楽器を適用した電子鍵盤楽器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図3】図1中のストリーミング配信サーバがストリーミング配信可能な複数種類のデータのフォーマットを示す図である。
【図4】オーディオ/ビデオデータの再生が開始してから終了するまでの演奏用音量レベルの推移を示す図である。
【図5】図1の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行するファイル要求&受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行するストリーミング再生制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行するオーディオ/ビデオデータ再生処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図1の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行する演奏処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
5…CPU(検出手段、決定手段、再生手段、制御手段、設定手段),10…通信I/F(供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段と、
該供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出手段と、
該検出手段によって検出された音量レベルに応じて演奏用音量レベルを決定する決定手段と、
前記供給された音楽コンテンツを再生する再生手段と、
前記決定手段によって決定された音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御手段と
を有することを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段と、
該供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出手段と、
演奏用音量レベルを設定する設定手段と、
前記検出手段によって検出された音量レベルおよび前記設定手段によって設定された演奏用音量レベルに応じて、前記供給された音楽コンテンツを再生する際の再生用音量レベルを決定する決定手段と、
該決定手段によって決定された再生用音量レベルで前記供給された音楽コンテンツを再生する再生手段と、
前記設定された演奏用音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御手段と
を有することを特徴とする電子楽器。
【請求項3】
少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段を備えた電子楽器を制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出ステップと、
該検出ステップによって検出された音量レベルに応じて演奏用音量レベルを決定する決定ステップと、
前記供給された音楽コンテンツを再生する再生ステップと、
前記決定ステップによって決定された音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項4】
少なくともオーディオデータを含む音楽コンテンツを供給する供給手段を備えた電子楽器を制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記供給手段によって供給された音楽コンテンツの音量レベルを検出する検出ステップと、
演奏用音量レベルを設定する設定ステップと、
前記検出ステップによって検出された音量レベルおよび前記設定ステップによって設定された演奏用音量レベルに応じて、前記供給された音楽コンテンツを再生する際の再生用音量レベルを決定する決定ステップと、
該決定ステップによって決定された再生用音量レベルで前記供給された音楽コンテンツを再生する再生ステップと、
前記設定された演奏用音量レベルで演奏できるように演奏用音量を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−151937(P2010−151937A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327673(P2008−327673)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】