説明

電子機器、レポート作成方法及びレポート作成プログラム

【課題】汎用性のあるレポート出力機能を実現することのできる電子機器、レポート作成方法及びレポート作成プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】複数のプログラムを実行可能な電子機器であって、前記プログラムより、レポートの出力対象とされる情報に応じてレポートの仕様が定義された仕様情報の登録を受け付け、管理する仕様管理手段と、前記出力対象とされる情報を取得し、前記仕様情報に従って当該情報に関する前記レポートを作成するレポート作成手段と、前記レポート作成手段によって作成された前記レポートを出力するレポート出力手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、レポート作成方法及びレポート作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、その動作状態等をレポートとして出力する機能(以下「レポート機能」という。)を有する機器が提供されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。特に、ファクシミリ装置から送信履歴や不達レポート等が出力されるのはよく知られている。
【0003】
他方において、近年の画像形成装置の中には、汎用的なコンピュータと同様にCPUを備え、アプリケーションの制御によって各機能が実現されているものもある。更に、その出荷後にアプリケーションの追加(インストール)や削除(アンインストール)等が可能とされ、ユーザの利用環境に適したアプリケーションの実装により、カスタマイズが可能とされているものもある(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開平10−322535号公報
【特許文献2】特開平10−173698号公報
【特許文献3】特開平11−298662号公報
【特許文献4】特開2005−269619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレポート機能は、レポートの対象となる情報が固定的であり、レポートの出力形式も固定的に実装されている。したがって、アプリケーションを追加し、当該アプリケーションに関してレポート機能を実現したい場合は、アプリケーションごとに当該アプリケーションに対応したレポー機能を実装しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、汎用性のあるレポート出力機能を実現することのできる電子機器、レポート作成方法及びレポート作成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、複数のプログラムを実行可能な電子機器であって、前記プログラムより、レポートの出力対象とされる情報に応じてレポートの仕様が定義された仕様情報の登録を受け付け、管理する仕様管理手段と、前記出力対象とされる情報を取得し、前記仕様情報に従って当該情報に関する前記レポートを作成するレポート作成手段と、前記レポート作成手段によって作成された前記レポートを出力するレポート出力手段とを有することを特徴とする。
【0007】
このような電子機器では、汎用性のあるレポート出力機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汎用性のあるレポート出力機能を実現することのできる電子機器、レポート作成方法及びレポート作成プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。ここで、複合機とは、プリンタ、コピー、スキャナ、又はFAX等の複数の機能を一台の筐体において実現する画像形成装置をいう。複合機1のハードウェアとしては、コントローラ201と、オペレーションパネル202と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)203と、撮像部121と、印刷部122が存在する。
【0010】
コントローラ201は、CPU211、ASIC212、NB221、SB222、MEM−P231、MEM−C232、HDD(ハードディスクドライブ)233、メモリカードスロット234、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)241、USBデバイス242、IEEE1394デバイス243、セントロニクスデバイス244により構成される。
【0011】
CPU211は、種々の情報処理用のICである。ASIC212は、種々の画像処理用のICである。NB221は、コントローラ201のノースブリッジである。SB222は、コントローラ201のサウスブリッジである。MEM−P231は、複合機1のシステムメモリである。MEM−C232は、複合機1のローカルメモリである。HDD233は、複合機1のストレージである。メモリカードスロット234は、メモリカード235をセットするためのスロットである。NIC241は、MACアドレスによるネットワーク通信用のコントローラである。USBデバイス242は、USB規格の接続端子を提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス243は、IEEE1394規格の接続端子を提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス244は、セントロニクス仕様の接続端子を提供するためのデバイスである。オペレーションパネル202は、オペレータが複合機1に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、オペレータが複合機1から出力を得るためのハードウェア(表示部)である。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態における複合機のソフトウェア構成例を示す図である。図2に示されるソフトウェアは、例えば、MEM−C232に格納され、CPU211によって処理されることによりその機能を複合機に実行させる。
【0013】
図2に示されるように、複合機1におけるソフトウェアは、ユーザインタフェース層10、コントロール層20、アプリケーションロジック層30、デバイスサービス層40、及びデバイス制御層50等より構成される。なお、図中における各層の上下関係は、層間の呼び出し関係に基づいている。すなわち、基本的に図中において上にある層が下の層を呼び出す。
【0014】
ユーザインタフェース層10は、各種サービス(例えば、コピー、印刷、スキャン、FAX送信)の実行要求を受け付けるための機能が実装されている部分であり、例えば、通信サーバ部11及びローカルUI部12等のプログラムが含まれる。通信サーバ部11は、例えば、非図示のクライアントPC(Personal Computer)等からネットワーク経由で要求を受け付ける。ローカルUI部12は、例えば、オペレーションパネル202を介して入力される要求を受け付ける。ユーザインタフェース層10において受け付けられた要求は、コントロール層20に伝えられる。
【0015】
コントロール層20は、要求されたサービスを実現するための処理を制御するための機能が実装されている部分であり、例えば、リクエスト管理部21、機内監視部22及びプラグイン管理部23等のプログラムが含まれる。リクエスト管理部21は、例えば、オペレーションパネル202を介してその実行が要求されたサービスを実現するための処理を制御する。機内監視部22は、複合機1の内部において発生するイベント(状態の変化等)を監視し、当該イベントの検知に応じてサービスを実現するための処理を制御する。プラグイン管理部23は、アプリケーションロジック層30における各種のソフトウェア(プログラム)の管理を行う。当該管理としては、当該各種のソフトウェアのインストール又はアンインストール等が含まれる。
【0016】
アプリケーションロジック層30は、複合機1によって提供されるサービスを実現するアプリケーション又は当該アプリケーションの一部の機能を実現する部品群等が実装されている部分である。
【0017】
複合機1においてサービスを実現するアプリケーションに相当するソフトウェアは、「アクティビティ」と呼ばれる。図中では、アクティビティの一例として、コピーアクティビティ331、プリンタアクティビティ332、及びレポートアクティビティ333等が示されている。各アクティティティは、アプリケーションロジック層30における一つ以上の部品の組み合わせ(接続)によって構成される。本実施の形態では、各部品を「フィルタ」と呼ぶ。これは、複合機1のソフトウェアアーキテクチャが「パイプ&フィルタ」と呼ばれる考え方に基づくことによる。
【0018】
図3は、パイプ&フィルタの概念を説明するための図である。図3において、「F」はフィルタを示し、「P」はパイプを示す。図中に示されるように、各フィルタはパイプによって接続される。フィルタは、入力されたデータに対して変換を施し、その結果を出力する。パイプは、フィルタから出力されたデータを次のフィルタに伝達する。
【0019】
すなわち、本実施の形態における複合機1では、各サービスをドキュメント(画像データ)に対する「変換」の連続として捉える。複合機の各サービスは、ドキュメントの入力、加工、及び出力によって構成されるものとして一般化することができる。そこで「入力」、「加工」、及び「出力」を「変換」として捉え、一つの「変換」を実現するソフトウェア部品がフィルタとして構成される。入力を実現するフィルタを特に「入力フィルタ」という。また、加工を実現するフィルタを特に「加工フィルタ」という。更に、出力を実現するフィルタを特に「出力フィルタ」という。なお、各フィルタは独立しており、フィルタ間における依存関係(呼び出し関係)は基本的に存在しない。したがって、フィルタ単位で追加(インストール)又は削除(アンインストール)が可能とされている。なお、パイプは、例えば、メモリやハードディスク等の記憶領域が用いられる。
【0020】
図2では、入力フィルタとして、読取フィルタ301、保管文書読出フィルタ302、メール受信フィルタ303、FAX受信フィルタ304、PC文書受信フィルタ305、レポートフィルタ306等が含まれている。
【0021】
読取フィルタ301は、スキャナによる画像データの読み取りを制御し、読み取られた画像データを出力する。保管文書読出フィルタ302は、複合機1のHDD233に保管されている文書データ(画像データ)を読み出し、読み出されたデータを出力する。メール受信フィルタ303は、電子メールを受信し、当該電子メールに含まれているデータを出力する。FAX受信フィルタ304は、FAX受信を制御し、受信されたデータを出力する。PC文書受信フィルタ305は、非図示のクライアントPCから画像データを受信し、受信された画像データを出力する。レポートフィルタ306は、複合機1の各種の設定情報や管理情報、及び各ソフトウェアコンポーネントより出力される履歴情報等を、所定の形式に整形されたレポートとして出力する。
【0022】
加工フィルタとしては、文書加工フィルタ311及びマーキング生成フィルタ312等が含まれている。文書加工フィルタ311は、入力されたデータに所定の画像変換処理(集約、拡大、又は縮小等)を施し、出力する。マーキング生成フィルタ312は、画像データに対して合成するバーコード等のマーキングデータを生成する。
【0023】
出力フィルタとしては、印刷フィルタ321、保管文書登録フィルタ322、メール送信フィルタ323、FAX送信フィルタ324、PC文書送信フィルタ325、プレビューフィルタ326、及びマーキング解析フィルタ327等が含まれている。
【0024】
印刷フィルタ321は、入力されたデータをプロッタに出力(印刷)させる。保管文書登録フィルタ322は、入力されたデータを複合機1のHDD233に保存する。メール送信フィルタ323は、入力されたデータを電子メールに添付して送信する。FAX送信フィルタ324は、入力されたデータをFAX送信する。PC文書送信フィルタ325は、入力されたデータをクライアントPCに送信する。プレビューフィルタ326は、入力されたデータを、複合機1のオペレーションパネル202にプレビュー表示させる。マーキング解析フィルタ327は、入力された画像データよりマーキングデータを検出し、当該マーキングデータによって表現されているデータを出力する。
【0025】
上記したように、各アクティティは、これらのフィルタの接続によって構成される。例えば、コピーアクティビティ331は、読み取りフィルタ301、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321の接続によって構成される。したがって、コピーアクティビティ331は、撮像部121に原稿からの画像データの読み取りを実行させ、必要に応じて当該画像データに対して画像処理を実行した後、印刷部122に当該画像データの印刷を実行させる。
【0026】
また、プリンタアクティビティ332は、PC文書受信フィルタ305、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321の接続によって構成される。したがって、プリンタアクティビティ332は、クライアントPCから画像データを受信し、必要に応じて当該画像データに対して画像処理を実行した後、印刷部122に当該画像データの印刷を実行させる。
【0027】
また、レポートアクティビティ333は、図4に示されるように構成される。図4は、レポートアクティビティの構成例を示す図である。図4に示されるように、レポートアクティビティ333は、入力フィルタとしてのレポートフィルタ306と、出力フィルタとの接続によって構成される。図中において、出力フィルタについて特定されていないのは、出力形態によって出力フィルタが異なるからである。例えば、レポートを紙文書として出力する場合は、印刷フィルタ321が出力フィルタとして用いられる。また、レポートをメールによって送信する場合は、メール送信フィルタ323が出力フィルタとして用いられる。斯かる構成によって、レポートアクティビティ333は、複合機1の各種のコンポーネント等に対する設定情報や、各種のコンポーネントによって管理されている管理情報、及び各種のコンポーネント等の処理に応じて記録される履歴情報等をユーザに対して報告するためのレポートを出力するサービス(以下「レポートサービス」という。)を提供する。すなわち、複合機1において、レポートの出力機能は、コンポーネント毎ではなく、レポートアクティビティ333によって統合的に実現される。
【0028】
なお、アプリケーション層30における新たなアクティビティの追加は、フィルタの接続によって実現することができる。また、当該新たなアクティビティに適したフィルタが存在しない場合は、当該フィルタを新たにインストールし、当該フィルタを他のフィルタと接続することで新たなアクティビティの追加を実現することができる。
【0029】
図2に戻る。デバイスサービス層40は、アプリケーションロジック層30における各フィルタから共通に利用される下位機能が実装されている部分であり、例えば、画像パイプ41、データ管理部42、及びレポート定義部43等が含まれる。画像パイプ41は、上述したパイプの機能を実現する。すなわち、或るフィルタからの出力データを次のフィルタに伝達する。データ管理部42は、例えば、ユーザ情報が登録されたデータベースや、文書又は画像データ等が蓄積されるデータベース等の他、上記の管理情報、設定情報又は履歴情報等の管理を行う。レポート定義部43については後述する。
【0030】
なお、アプリケーションロジック層30は、アクティビティ若しくはフィルタの追加又は削除等の変更が可能な部分であるのに対し、デバイスサービス層40は、少なくともコンポーネントの削除は制限される固定的な部分である。
【0031】
デバイス制御層50は、デバイス(ハードウェア)を制御するドライバと呼ばれるプログラムモジュール群が実装されている部分であり、例えば、スキャナ制御部51、プロッタ制御部52、ストレージ制御部53、FCU制御部54、及びネットワーク制御部55等が含まれる。各制御部は、当該制御部の名前に付けられているデバイスを制御する。
【0032】
複合機1のレポートサービスについて更に詳しく説明する。図5は、レポートサービスに関する各コンポーネントのクラス構成例を示す図である。図5では、アプリケーションロジック層30におけるレポートフィルタ306と、デバイスサービス層40におけるレポート定義部43とのクラス構成が示されている。
【0033】
レポート定義部43は、レポート定義書クラス431、レポートフォーマットクラス432、レポートアイテムクラス433、論理レポートクラス434、及びレポート定義管理クラス435等より構成される。レポート定義書クラス431は、「レポート定義書」を表現するクラスであり、レポート定義書ごとにインスタンス(レポート定義書オブジェクト431I)が生成される。ここで、「レポート定義書」とは、レポートの仕様が定義された情報をいい、レポートの出力対象とされる情報(以下「レポートソース情報」という。)ごとに作成され、レポート定義部43に登録される。換言すれば、レポートサービスを利用するコンポーネントは、当該コンポーネントが所望する仕様を定義したレポート定義書(すなわち、レポート定義書クラス431のインスタンス)を作成し、レポート定義部43に予め登録しておく必要がある。
【0034】
レポート定義書に定義される情報としては、例えば、レポート名、レポートフォーマット、出力方法、出力タイミング、レポートソース情報の保存場所等がある。レポート名は、レポートの名前である。レポートフォーマットは、レポートの出力形式を規定する情報である。レポートフォーマットには、例えば、設定情報や履歴情報等のレポートソース情報とレポートとのマッピング情報が定義される。より詳しくは、レポートソース情報を構成する各項目をレポート上どのような配置(レイアウト)で出力するか等が、例えばXML形式で定義されている。出力方法は、印刷、メール送信、FAX送信の別等、レポートの出力方法(出力先)を規定する情報である。出力タイミングは、レポートを出力するタイミングを規定する情報である。出力タイミングは、例えば、各種のイベント(ユーザによるレポートの出力指示、複合機1の異常発生)の発生や、レポートソース情報の蓄積量が所定量に到達したときといったような条件によって設定される。レポートソース情報の保存場所は、レポートソース情報の保存場所を識別するための情報であり、例えば、ファイル名やURL等が相当する。なお、レポート定義書は、レポートIDによって一意に識別される。したがって、レポート定義書クラス431の各インスタンス(レポート定義書オブジェクト431I)は、レポートIDと関連付けられて管理され、当該レポートIDによって識別される。
【0035】
レポートフォーマットクラス432は、上記におけるレポートフォーマットを表現するクラスであり、レポートフォーマットごとにインスタンス(レポートフォーマットオブジェクト432I)が生成される。レポートアイテムクラス433は、レポートを構成する各項目(アイテム)を表現するクラスであり、当該項目ごとにインスタンス(レポートアイテムオブジェクト433I)が生成される。論理レポートクラス434は、レポートを表現するクラスであり、出力されるレポートごとにそのインスタンス(論理レポートオブジェクト434I)が生成される。論理レポートオブジェクト434Iは、レポート定義書オブジェクト431Iによってレポート定義書に従って生成される。生成された論理レポートオブジェクト434Iは、画像データに変換され、レポート定義書の出力方法に従って出力方法で出力される。
【0036】
レポート定義管理クラス435は、レポート定義書(厳密には、レポート定義書を表現するレポート定義書オブジェクト431I)の登録を受け付け、管理するクラスであり、そのインスタンス(レポート定義管理オブジェクト435I)は、レポート定義部43に一つ存在する。
【0037】
一方、レポートフィルタ306は、レポートフィルタクラス3061、レポートフィルタジョブ3062及びレポート動作条件クラス3063等より構成される。レポートフィルタクラス3061は、レポートフィルタ306を表現するクラスである。レポートフィルタジョブクラス3062は、レポートフィルタ306の処理(ジョブ)の制御を行うクラスである。レポート動作条件クラス3063は、レポートフィルタ306のジョブに関する動作条件を保持するクラスである。例えば、レポート動作条件クラス3063は、処理対象とされるレポートを識別する情報としてレポートIDを保持する。
【0038】
なお、図5において、コンポーネント340は、アプリケーション層30においてレポートサービスを利用するコンポーネント(フィルタ)の一例である。コンポーネント340は、コンクリートレポートアイテムクラス341、コンクリートレポートフォーマットクラス342、及びコンクリートレポート定義書クラス343を含む。これらは、それぞれ、レポートアイテムクラス433、レポートフォーマットクラス432、レポート定義書クラス431を継承したクラスであり、コンポーネント340用に拡張されている。すなわち、レポートアイテムクラス433,レポートフォーマットクラス432、及びレポート定義書クラス431は、レポートサービスを利用するコンポーネントにおいて必要に応じて拡張することが可能である。クラスの拡張によって、レポート定義書によって設定可能な範囲を超えて、レポートの形式等のカスタマイズが可能となる。但し、レポートサービスを利用するコンポーネントにおいて、これらのクラスの継承及び拡張は必ずしも必要ではない。
【0039】
以下、複合機1の処理手順について説明する。図6は、複合機におけるレポートの作成及び出力処理を説明するためのシーケンス図である。図6において、コンポーネント350は、レポートサービスを利用するコンポーネント(プログラム)の一例であり、例えば、アプリケーションロジック層30におけるフィルタであったり、コントロール層20におけるコンポーネントであったりする。コンポーネント350は、その機能を実行するたびに記録される履歴情報、又はその機能を実行するための管理情報若しくは設定情報(レポートソース情報)を所定の形式でデータ管理部42に登録している。データ管理部42は、例えば、当該レポートソース情報をストレージ制御部53を介してHDD233にファイルとして保存する。図6では、係るレポートソース情報に基づいてレポートを作成し、出力するための処理について説明する。
【0040】
例えば、複合機1に電源が投入され、複合機1が起動すると、プラグイン管理部22は、アプリケーションロジック層30における各フィルタ等の初期化を行う。コンポーネント350についても、プラグイン管理部22より初期化が指示される(S101)。初期化の指示に応じ、コンポーネント350は、レポート定義書オブジェクト431Iを生成する(S102)。この際、コンポーネント350は、レポート名、出力方法、及び出力タイミング等をレポート定義書オブジェクト431Iに設定する。
【0041】
続いて、コンポーネント350は、レポートフォーマットオブジェクト432Iを生成する(S103)。この際、コンポーネント350は、レポートソース情報を構成する各項目の配置情報等を含むマッピング情報をレポートフォーマットオブジェクト432Iに登録する。続いて、コンポーネント350は、レポートフォーマットオブジェクト432Iを、レポート定義書オブジェクト431Iに登録した後、レポート定義書オブジェクト431IをそのレポートIDと共にレポート定義管理オブジェクト435Iに登録する(S104)。レポート定義管理オブジェクト435Iは、レポートIDとレポート定義書オブジェクト431Iとを関連付けて管理する。なお、厳密には、レポートソース情報を構成する項目毎にレポートアイテムオブジェクト433Iが生成され、当該レポートアイテムオブジェクト433Iがレポート定義書オブジェクト431Iに登録されるが、図中では便宜上省略されている。
【0042】
以上によって、コンポーネント350のレポート定義書は、レポート定義部43に登録されたことになる。なお、他のフィルタ等についても、レポートサービスを利用するものは、コンポーネント350と同様の処理を実行する。したがって、レポートソース情報に応じて、各種のレポート定義書がレポート定義部43に登録され得る。
【0043】
その後、複合機1が利用される過程において、機器内(のシステム)において何らかのイベントが発生すると、当該イベントはレポートアクティビティ333に通知される(S105−1)。また、オペレーションパネル202を介した操作によって、ユーザから明示的にレポートの出力が要求された場合、その要求イベントはレポートアクティビティ333に通知される(S105−2)。これらのイベントの通知に応じ、レポートアクティビティ333は、通知されたイベントを出力タイミングに関する検索条件として、レポート定義書の検索をレポート定義管理オブジェクト435Iに要求する(S106)。
【0044】
レポート定義管理オブジェクト435Iは、登録されているレポート定義書オブジェクト431Iの中から、検索条件に指定されたイベントを出力タイミングとするものを検索する(S107)。例えば、ステップS105−1において発生したイベントが「FAX送信の完了」であり、コンポーネント350によって登録されたレポート定義書オブジェクト431Iに係る出力タイミングが「FAX送信の完了」である場合、当該レポート定義書オブジェクト431Iが検索される。また、コンポーネント350によって登録されたレポート定義書オブジェクト431Iに係る出力タイミングが「FAX送信の10件分の完了」である場合、今回のFAX送信が、前回のレポートの出力後から10件目であれば当該レポート定義書オブジェクト431Iが検索される。
【0045】
また、ステップS105−2において、ユーザから明示的に出力対象とするレポートが指定された場合、ステップS107では、当該指定されたレポートに係るレポート定義書431Iが検索される。
【0046】
いずれの場合も、レポート定義管理オブジェクト435Iは、検索されたレポート定義書オブジェクト431Iに関連付けられているレポートIDをレポートアクティビティ333に返却する。なお、該当するレポート定義書オブジェクト431Iが存在しなかった場合は、その旨が返却され、その後の処理(レポートの作成及び出力)は実行されない。
【0047】
レポート定義管理オブジェクト435IよりレポートIDが返却されると、レポートアクティビティ333は、当該レポートIDを指定してレポート作成処理の実行を、レポートフィルタ306に要求する(S109)。当該要求に指定されたレポートIDは、レポートフィルタ306のレポート動作条件オブジェクト3063Iに登録される。
【0048】
レポートフィルタ306は、レポートIDを指定して、レポートの作成をレポート定義管理オブジェクト435Iに要求する(S110)。レポート定義管理オブジェクト435Iは、指定されたレポートIDに関連付けられているレポート定義書オブジェクト431Iに対し、レポートの作成を要求する(S111)。レポート定義書オブジェクト431Iは、レポート定義書を構成する情報として自らに設定されている「レポートソース情報の保存場所」を指定して、レポートソース情報の取得をデータ管理部42に要求する(S112)。データ管理部42は、指定された保存場所(ファイル等)よりレポートソース情報(例えば、FAX送信フィルタ224によって蓄積されている送信履歴)を取得し、レポート定義書オブジェクト431に返却する(S113)。
【0049】
レポートソース情報を入手したレポート定義書オブジェクト431Iは、当該レポートソース情報を、自らに登録されているレポートフォーマットオブジェクト432Iに設定する(S114)。続いて、レポート定義書オブジェクト431Iは、コンポーネントごとに任意の形式によるレポートソース情報を、レポートフォーマットオブジェクト432Iに定義されたフォーマットに変換(整形)する(S115)。具体的には、レポートソース情報にレポートフォーマットオブジェクト432Iに定義されたフォーマットを適用した結果として、論理レポートオブジェクト434Iを生成する(S116)。したがって、生成された論理レポートオブジェクト434Iは、レポートとして出力する項目毎にその値と、配置位置等を示す情報(以下「レポート情報」という。)を保持する。
【0050】
続いて、レポートフィルタ306は、論理レポートオブジェクト434Iに対し、画像データへの変換を指示する(S117)。論理レポートオブジェクト434Iは、自らに設定されているレポート情報に基づいて、レポートの画像データを生成する(S118)。レポートフィルタ306は、生成された画像データを画像パイプ41に出力する(S119)。
【0051】
出力フィルタ320は、画像パイプ41への画像データの入力を検知すると、当該画像データを画像パイプ41より読み込み(S120)、出力する(S121)。例えば、出力フィルタ320が、印刷フィルタ321である場合、画像データは、印刷部122によって印刷される。なお、出力フィルタは、レポート定義書における出力方法に応じて選択される。
【0052】
図7は、レポートの出力イメージの第一の例を示す図である。図7では、複合機1で管理されているアドレス帳の内容がレポートとして出力された例が示されている。当該レポートでは、アドレス帳に登録されているレコードごとに、登録番号、ユーザ名、ファクス番号又はメールアドレス等が出力されている。これは、アドレス帳として所定の形式で記録されている情報が、当該アドレス帳に対応するレポート定義書のフォーマットに従って出力されたものである。
【0053】
図8は、レポートの出力イメージの第二の例を示す図である。図8の例では、印刷フィルタ321が、画像データの印刷の際に発生したエラー情報を記録したエラー履歴が出力された例が示されている。当該レポートでは、エラーが発生したジョブごとに、ID、ユーザID又はユーザ名、文書名、作成日時/開始日時が出力されている。これは、エラー履歴として所定の形式で記録されている情報が、当該エラー履歴に対応するレポート定義書のフォーマットに従って出力されたものである。
【0054】
上述したように、本発明の実施の形態における複合機1は、レポートサービスを利用する各コンポーネント(プログラム)にレポート定義書を登録させ、当該レポート定義書に従ってレポートを作成することのできる汎用的なレポート作成機能を有する。したがって、各コンポーネントは、レポート定義書を定義すればよく、コンポーネントごとにレポートを作成及び出力するためのロジックを実装する必要はない。斯かる事情は、新たに追加されるコンポーネントについても同様であり、新たなコンポーネントの追加に対しても柔軟に対応することができる。
【0055】
また、レポート定義書にはレポートのフォーマットが定義され、当該フォーマットに従ってレポートが作成されるため、汎用的でありながら、レポートソース情報に応じて異なったフォーマットでレポートを出力することができる。
【0056】
また、アプリケーションロジック層30におけるレポートフィルタ306は、アンインストールが可能であるところ、複合機1においてレポート定義書の登録及び管理を行うためのコンポーネント(レポート定義部43)は、レポートフィルタ306内ではなく、固定的な部分であるデバイスサービス層40に実装されている。したがって、各コンポーネントはレポートフィルタ306に対して依存関係を持つことなくレポートサービスを利用することができる。よって、レポートフィルタ306がアンインストールされた場合であっても、各コンポーネントの動作に不具合が発生したり、各コンポーネントのソースコードのコンパイルが通らなくなったりすることを回避することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、複合機(画像形成装置)を電子機器の一例として説明したが、画像形成装置以外でも、複数のプログラムを実行可能であり、レポートソース情報が記録されるような電子機器であれば本発明を有効に適用することができる。
【0058】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態における複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における複合機のソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】パイプ&フィルタの概念を説明するための図である。
【図4】レポートアクティビティの構成例を示す図である。
【図5】レポートサービスに関する各コンポーネントのクラス構成例を示す図である。
【図6】複合機におけるレポートの作成及び出力処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】レポートの出力イメージの第一の例を示す図である。
【図8】レポートの出力イメージの第二の例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 複合機
10 ユーザインタフェース層
11 通信サーバ部
12 ローカルUI部
20 コントロール層
21 リクエスト管理部
22 機内監視部
23 プラグイン管理部
30 アプリケーションロジック層
40 デバイスサービス層
41 画像パイプ
42 データ管理部
43 レポート定義部
50 デバイス制御層
51 スキャナ制御部
52 プロッタ制御部
53 ストレージ制御部
54 FCU制御部
55 ネットワーク制御部
201 コントローラ
202 オペレーションパネル
203 ファクシミリコントロールユニット
211 CPU
212 ASIC
221 NB
222 SB
231 MEM−P
232 MEM−C
233 HDD
234 メモリカードスロット
235 メモリカード
241 NIC
242 USBデバイス
243 IEEE1394デバイス
244 セントロニクスデバイス
301 読取フィルタ
302 保管文書読出フィルタ
303 メール受信フィルタ
304 FAX受信フィルタ
305 PC文書受信フィルタ
306 レポートフィルタ
311 文書加工フィルタ
312 マーキング生成フィルタ
321 印刷フィルタ
322 保管文書登録フィルタ
323 メール送信フィルタ
324 FAX送信フィルタ
325 PC文書送信フィルタ
326 プレビューフィルタ
327 マーキング解析フィルタ
431 レポート定義書クラス
432 レポートフォーマットクラス
433 レポートアイテムクラス
434 論理レポートクラス
435 レポート定義管理クラス
3061 レポートフィルタクラス
3062 レポートフィルタジョブ
3036 レポート動作条件クラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプログラムを実行可能な電子機器であって、
前記プログラムより、レポートの出力対象とされる情報に応じてレポートの仕様が定義された仕様情報の登録を受け付け、管理する仕様管理手段と、
前記出力対象とされる情報を取得し、前記仕様情報に従って当該情報に関する前記レポートを作成するレポート作成手段と、
前記レポート作成手段によって作成された前記レポートを出力するレポート出力手段とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記仕様情報は、前記レポートのフォーマットを規定するフォーマット情報を含み、
前記レポート作成手段は、前記フォーマット情報が規定するフォーマットに従って前記レポートを作成することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記仕様情報には前記レポートを出力するタイミングが規定されており、
前記仕様管理手段は、当該電子機器において発生するイベントに応じ、管理されている前記仕様情報の中から前記タイミングが当該イベントに対応する仕様情報を検索し、
前記レポート作成手段は、検索された仕様情報に係るレポートを作成することを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記仕様情報には前記レポートの出力方法が規定されており、
前記出力手段は、前記出力方法に対応する出力先に前記レポートを出力することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
前記仕様情報には前記出力対象とされる情報の保存場所が示されており、
前記レポート作成手段は、前記保存場所より前記出力対象とされる情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の電子機器。
【請求項6】
複数のプログラムを実行可能な電子機器が実行するレポート作成方法であって、
前記プログラムより、レポートの出力対象とされる情報に応じてレポートの仕様が定義された仕様情報の登録を受け付け、管理する仕様管理手順と、
前記出力対象とされる情報を取得し、前記仕様情報に従って当該情報に関する前記レポートを作成するレポート作成手順と、
前記レポート作成手順において作成された前記レポートを出力するレポート出力手順とを有することを特徴とするレポート作成方法。
【請求項7】
前記仕様情報は、前記レポートのフォーマットを規定するフォーマット情報を含み、
前記レポート作成手順は、前記フォーマット情報が規定するフォーマットに従って前記レポートを作成することを特徴とする請求項6記載のレポート作成方法。
【請求項8】
前記仕様情報には前記レポートを出力するタイミングが規定されており、
前記仕様管理手順は、当該電子機器において発生するイベントに応じ、管理されている前記仕様情報の中から前記タイミングが当該イベントに対応する仕様情報を検索し、
前記レポート作成手順は、検索された仕様情報に係るレポートを作成することを特徴とする請求項6又は7記載のレポート作成方法。
【請求項9】
前記仕様情報には前記レポートの出力方法が規定されており、
前記出力手順は、前記出力方法に対応する出力先に前記レポートを出力することを特徴とする請求項6乃至8いずれか一項記載のレポート作成方法。
【請求項10】
前記仕様情報には前記出力対象とされる情報の保存場所が示されており、
前記レポート作成手順は、前記保存場所より前記出力対象とされる情報を取得することを特徴とする請求項6乃至9いずれか一項記載のレポート作成方法。
【請求項11】
複数のプログラムを実行可能な電子機器に、
前記プログラムより、レポートの出力対象とされる情報に応じてレポートの仕様が定義された仕様情報の登録を受け付け、管理する仕様管理手順と、
前記出力対象とされる情報を取得し、前記仕様情報に従って当該情報に関する前記レポートを作成するレポート作成手順と、
前記レポート作成手順において作成された前記レポートを出力するレポート出力手順とを実行させるためのレポート作成プログラム。
【請求項12】
前記仕様情報は、前記レポートのフォーマットを規定するフォーマット情報を含み、
前記レポート作成手順は、前記フォーマット情報が規定するフォーマットに従って前記レポートを作成することを特徴とする請求項11記載のレポート作成プログラム。
【請求項13】
前記仕様情報には前記レポートを出力するタイミングが規定されており、
前記仕様管理手順は、当該電子機器において発生するイベントに応じ、管理されている前記仕様情報の中から前記タイミングが当該イベントに対応する仕様情報を検索し、
前記レポート作成手順は、検索された仕様情報に係るレポートを作成することを特徴とする請求項11又は12記載のレポート作成プログラム。
【請求項14】
前記仕様情報には前記レポートの出力方法が規定されており、
前記出力手順は、前記出力方法に対応する出力先に前記レポートを出力することを特徴とする請求項11乃至13いずれか一項記載のレポート作成プログラム。
【請求項15】
前記仕様情報には前記出力対象とされる情報の保存場所が示されており、
前記レポート作成手順は、前記保存場所より前記出力対象とされる情報を取得することを特徴とする請求項11乃至14いずれか一項記載のレポート作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−147874(P2008−147874A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330927(P2006−330927)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】