説明

電子機器、電子機器の操作方法およびそのプログラム

【課題】スクロール表示のスクロール速度を容易且つ迅速に可変可能な電子機器、電子機器の操作方法およびそのプログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】トラックボール41を有し、当該トラックボール41を少なくとも2方向に操作可能な回転操作部40と、スクロール表示により複数の選択肢Cを表示可能なディスプレイ21と、を備え、トラックボール41の操作方向に応じてスクロール表示のスクロール速度を可変制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール表示により複数の選択肢を表示させて所望の選択肢を選択可能な電子機器、電子機器の操作方法およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スクロール表示のスクロール速度を可変するための操作方法として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、上下方向のスクロール表示に対応した2つのスクロールボタンの押下回数に応じて、スクロール表示枠内におけるスクロールバーの位置を変化させ、当該スクロールバーの位置に応じて上下方向のスクロール速度を可変可能となっている。また、その他、上下または左右方向のスクロール表示を指示可能な十字形状のシーソーボタンの押下回数や押下時間によってスクロール速度を可変する方法や、感圧タイプのトラックホイール(クリックホイール)を指でなぞる速度に応じてスクロール速度を可変する方法も知られている。
【特許文献1】特開2001−356755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に記載の発明やシーソーボタンを用いた方法では、ボタンの押下回数や押下時間によって、スクロール速度を可変するため、指先のアクション回数が増えたり、操作に時間がかかったりするといった問題がある。また、トラックホイールを用いた方法では、指先の動く速度に応じてスクロール速度を可変するため、片手操作ではスクロール速度の調節が困難であり、両手による操作が必要となってしまう。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑み、スクロール表示のスクロール速度を容易且つ迅速に可変可能な電子機器、電子機器の操作方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子機器は、操作子を有し、当該操作子を少なくとも2方向に操作可能な操作手段と、スクロール表示により複数の選択肢を表示可能な表示手段と、操作子の操作に基づいて、表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、を備え、表示制御手段は、操作子の操作方向に応じてスクロール表示のスクロール速度を可変することを特徴とする。
【0006】
本発明の電子機器の操作方法は、操作子を有し、当該操作子を少なくとも2方向に操作可能な操作手段と、スクロール表示により複数の選択肢を表示可能な表示手段と、を有する電子機器の操作方法であって、操作子の操作方向に応じて、スクロール表示のスクロール速度を可変することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、操作子の操作方向を変化させるだけで、スクロール表示のスクロール速度を可変することができる。これにより、ユーザは片手操作で容易且つ迅速にスクロール速度を調節でき、ひいては選択肢の選択操作を快適に行うことができる。
なお、操作子の一例としては、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、マウスおよびシーソーボタン等のポインティングデバイスが挙げられる。
【0008】
上記に記載の電子機器において、2方向は、直交する方向であり、表示制御手段は、2方向のうちのいずれかの方向である第1の方向の操作についてはスクロール速度が低速となるように制御し、2方向のうちの他方の方向である第2の方向の操作についてはスクロール速度が高速となるように制御することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、直交する方向への操作に応じて、スクロール速度を低速と高速とに切り替えられるため、僅かな方向の違いによってスクロール速度を切り替える場合と比較して、操作ミスを軽減できる。また、直交する方向に低速と高速とが割り当てられているため、ユーザは感覚的に操作方法を会得できると共に、使い勝手が良い。
なお、言うまでもないが「高速」とは、「低速」よりも速い速度を指すものである。
【0010】
上記に記載の電子機器において、操作手段は、第1の方向と第2の方向の略中間に位置する第3の方向に操作子を操作可能であり、表示制御手段は、第3の方向の操作についてはスクロール速度が中速となるように制御することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、3段階にスクロール速度を調節することができる。また、「中速」に対応する第3の方向は、「低速」に対応する第1の方向と、「高速」に対応する第2の方向の略中間に位置するため、ユーザは直感的に速度調節を行うことができ、使い勝手が良い。
なお、言うまでもないが「中速」とは、「低速」よりも速く「高速」よりも遅い速度を指すものである。
【0012】
上記に記載の電子機器において、操作手段は、360°全方向に操作子を操作可能であり、表示制御手段は、操作子の操作方向に応じて、スクロール速度を2段階以上に可変することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、360°全方向に操作子を操作可能であるため、操作子の微妙な角度調節が容易であり、ひいてはより快適にスクロール速度を可変することができる。また、多段階の調節が可能であるため、より細やかな速度調節を行うことができる。
【0014】
上記に記載の電子機器において、操作手段には、360°のうち任意の角度を有する不感領域が少なくとも1以上設けられており、表示制御手段は、操作子の操作方向が不感領域に含まれる場合、操作子の操作を無視することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、不感領域の設定によって、当該不感領域の両側に位置する2つの領域の操作内容の違い等を、ユーザに対し直感的に意識させることができる。例えば、スクロール速度の切り替え位置毎に(スクロール速度の異なる2方向間に)不感領域を設けることで、ユーザに対し速度の切り替え位置を意識させることができる。
【0016】
上記に記載の電子機器において、操作手段には、操作子の各操作方向に対応して、前進スクロールまた後退スクロールを含むスクロール方向を特定する機能が割り当てられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、スクロール速度を可変するための操作子を用いて、スクロール方向も特定することができる。
【0018】
上記に記載の電子機器において、操作手段は、略180°異なる正方向および逆方向への操作子の操作に対応して、前進スクロールおよび後退スクロールの機能が割り当てられていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、正逆方向への操作に対応して、前進・後退スクロールを実現できるため、ユーザは感覚的に操作方法を会得できると共に、使い勝手が良い。
【0020】
上記に記載の電子機器において、表示制御手段は、操作手段の操作開始から単位時間ごとに操作方向を検知し、当該単位時間ごとにスクロール速度を可変することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、単位時間が例えば0.05秒である場合、0.05秒ごとに操作方向を検知してスクロール速度を可変するため、目的の選択肢が近づいてきたと認識した時点で操作方向を変えてスクロール速度を遅くするといった操作が可能となる。これにより、目的の選択肢を選択し損ねる(目的の選択肢を通過してしまう)可能性を低くし、より短時間での検索が可能となる。
なお、単位時間を短く設定することで、より細かな速度制御が可能である。
【0022】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の電子機器の操作方法を実現させるためのものであることを特徴とする。
【0023】
このプログラムを用いることにより、スクロール表示のスクロール速度を容易且つ迅速に可変可能な電子機器の操作方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器、電子機器の操作方法およびそのプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、本発明の電子機器等を、楽曲検索機能を有する携帯オーディオ装置に適用した場合を例示する。図1は、携帯オーディオ装置1の簡易ブロック図である。同図に示すように、携帯オーディオ装置1は、ユーザが各種操作を行うための操作手段10と、各種情報を表示する表示手段20と、当該表示手段20の表示制御を行う表示制御手段30と、を主要構成要素としている。
【0025】
操作手段10は、ユーザが直接触れることで操作可能な操作子11を有している。本実施形態では、操作子11として360°全方向に回転自在なトラックボール41(図2参照)を採用しているが、360°全方向に操作可能なものであれば、その他の操作子(トラックパッド、ジョイスティックおよびマウスなど)を採用しても良い。
【0026】
表示手段20は、LCDなど一般的なディスプレイ21(図2参照)を採用可能であり、スクロール表示により複数の選択肢を表示可能となっている。選択肢の一例としては、楽曲名やアーティスト名等が挙げられる。
【0027】
表示制御手段30は、操作子11の操作タイミングや操作方向等に応じて発生する操作信号に基づいて各種表示制御を行うためのコントロール信号を生成し、これを表示手段20に出力する。具体的には、操作子11の操作方向に応じて、スクロール表示のスクロール速度やスクロール方向を可変するなどの表示制御を行う。
【0028】
なお、携帯オーディオ装置1は、これら操作手段10、表示手段20および表示制御手段30以外にも、制御プログラムやユーザによって書き込まれたデータを記憶する記憶手段、楽曲の再生を制御する再生制御手段、イヤホンを含む外部装置とデータの入出力を行うためのインターフェースなどを備えているが(いずれも図示省略)、詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、図2を参照し、操作手段10および表示手段20の一例を説明する。同図は、携帯オーディオ装置1の正面図である。携帯オーディオ装置1は、装置ケース(筺体本体)5の上半部に表示手段20として機能するディスプレイ21を備えると共に、下半部に操作手段10として機能する回転操作部40を備えている。
【0030】
ディスプレイ21には、複数の選択肢Cが縦方向に列記されており、反転表示部は、その時点において選択対象となっている対象選択肢C0を示している。
【0031】
回転操作部40は、トラックボール41と、その周囲に配置された操作案内部42と、から成る。トラックボール41は、その回転方向に応じてスクロール速度(高速、中速および低速)およびスクロール方向(前進スクロールまたは後退スクロール)の両者を決定できるようになっている。また、トラックボール41は、直下方向に押圧可能となっており、押圧によって対象選択肢C0を選択(選択対象として決定)することができる。一方、操作案内部42には、ユーザに対してトラックボール41の操作支援を行うための表記が為されている。具体的には、山括弧マーク(不等号マーク)の重ね数と向きによって、スクロール速度およびスクロール方向を示している。
【0032】
ここで、図3を参照し、回転操作部40によって操作されるスクロール速度およびスクロール方向について、詳細に説明する。同図に示すように、トラックボール41を矢印D1aの方向(図示下方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を低速で前進させることができる。すなわち、携帯オーディオ装置1がスクロール速度をV1、V2およびV3(V1:低速、V2:高速,V3:中速)の3段階に制御できるものとすると、1秒間にV1*N個(但し、NはN>0となる定数)の割合で、対象選択肢C0を下方向にインクリメントしていくことができる。
【0033】
また、トラックボール41を矢印D2aの方向(図示右方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を高速で前進させることができる。すなわち、1秒間にV2*N個(但し、V2はV2>V1となる速度)の割合で、対象選択肢C0を下方向にインクリメントしていくことができる。さらに、トラックボール41を矢印D3aの方向(図示右下方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を中速で前進させることができる。すなわち、1秒間にV3*N個(但し、V3はV2>V3>V1となる速度)の割合で、対象選択肢C0を下方向にインクリメントしていくことができる。
【0034】
逆に、トラックボール41を矢印D1bの方向(図示上方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を低速で後退させる(1秒間にV1*N個の割合で、対象選択肢C0を上方向にインクリメントしていく)ことができる。また、トラックボール41を矢印D2bの方向(図示左方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を高速で後退させる(1秒間にV2*N個の割合で、対象選択肢C0を上方向にインクリメントしていく)ことができる。さらに、トラックボール41を矢印D3bの方向(図示左上方向)に回転させると、ディスプレイ21に表示されるスクロール表示を中速で後退させる(1秒間にV3*N個の割合で、対象選択肢C0を上方向にインクリメントしていく)ことができる。
【0035】
但し、トラックボール41を点線で示す矢印Dnの方向(図示右上方向および左下方向,以下、「不感領域En」と称する,図4参照)に回転させた場合、表示制御手段30はその操作を無視する(表示手段20への表示に反映させない)。このように、所定方向において操作を無視することにより、正確な方向への操作をユーザに促すことができ、より操作性を向上させることができる。
【0036】
ここで、図4を参照し、各操作方向(トラックボール41の回転方向)と、操作結果の関係について、更に詳細に説明する。同図は、各操作方向に対応する操作結果を分かり易く示すため、トラックボール41の操作領域を円(以下、「仮想円50」と称する)で示したものである。
【0037】
仮想円50は、操作結果毎に、操作開始位置となる規準点(以下、「仮想基準点51」と称する)を中心に、内角45°を有する8つの扇形領域に分割されている。例えば、領域E1bは、「スクロール速度:低速,スクロール方向:後退」の操作結果に対応する領域であり、仮想基準点51から矢印52〜55のいずれの方向に操作された場合でも、同様の操作結果が得られることを示している。つまり、操作方向が領域E1b内に含まれる場合、「スクロール速度:低速,スクロール方向:後退」の操作結果となるように、スクロール制御を行う。
【0038】
また、8つの扇形領域のうち、2つの領域は不感領域Enとして割り当てられており、同図では斜線部に相当する。これら2つの不感領域Enは、仮想基準点51を中心にして対向する位置(略180°異なる位置)に配置されている。
【0039】
その他、並んで配置される3つの領域E2a,E3a,E1aは、いずれも「スクロール方向:前進」に対応する領域であり、それぞれ「スクロール速度:高速,中速,低速」に対応している。また、上記の3つの領域E2a,E3a,E1aとは、2つの不感領域Enによって隔てられる3つの領域E2b,E3b,E1bは、いずれも「スクロール方向:後退」に対応する領域であり、それぞれ「スクロール速度:高速,中速,低速」に対応している。
【0040】
このように、スクロール方向を、対向する位置に配置された2つの不感領域Enで隔離することで、当該不感領域Enの両側に位置する2つの領域(領域E2a,E3a,E1aと、領域E2b,E3b,E1b)の操作結果の違いを、ユーザに対して直感的に意識させることができる。
【0041】
また、略180°異なる正方向および逆方向へのトラックボール41の操作(回転)に対応して、同速度の前進スクロールおよび後退スクロールの機能が割り当てられているため、ユーザは感覚的に操作方法を会得できると共に、使い勝手が良い。
【0042】
さらに、直交する方向(領域E1aとE2a,領域E1bとE2bに向かう方向)への操作に応じて、スクロール速度を低速と高速とに切り替えられるため、僅かな方向の違いによってスクロール速度を切り替える場合と比較して、操作ミスを軽減できる。また、直交する方向に低速と高速とが割り当てられているため、操作方法の会得が容易である。さらに、「中速」に対応する第3の方向(領域E3a,E3bに向かう方向)は、「低速」に対応する第1の方向(領域E1a,E1bに向かう方向)と、「高速」に対応する第2の方向(領域E2a,E2bに含まれる方向)の略中間に位置するため、ユーザは直感的に速度調節を行うことができ、操作性が良い。
【0043】
なお、上記の例では、スクロール方向の違いをユーザに意識させるために2つの不感領域Enを設けたが、図5に示すように、スクロール方向だけでなくスクロール速度の異なる部分にも不感領域Enを設けるようにしても良い。この場合、仮想円50が、仮想基準点51を中心に、内角45°を有する8つの扇形領域に分割されており、上部から時計回りに、「スクロール速度:低速,スクロール方向:後退」の操作結果に対応する領域E1b、不感領域En、「スクロール速度:高速,スクロール方向:前進」の操作結果に対応する領域E2a、不感領域En、「スクロール速度:低速,スクロール方向:前進」の操作結果に対応する領域E1a、不感領域En、「スクロール速度:高速,スクロール方向:後退」の操作結果に対応する領域E2b、不感領域En、の順に配置されている。
【0044】
このように、不感領域Enをスクロール方向またはスクロール速度の異なる部分にそれぞれ配置することで、各領域に対応する操作結果の違いをユーザに明確に意識させることができると共に操作ミスを軽減できる。
【0045】
なお、図4および図5の例に共通して言えることであるが、各扇形領域は全て同じ面積を有する必要はなく、異なる内角度を有していても良い。また、不感領域Enは内角度を10°程度に設定するなど、その他の領域よりも内角度を小さめに設定するようにしても良い。
【0046】
また、スクロール速度毎に領域を設けるといった考え方ではなく、微妙な角度調節で多段階にスクロール速度を可変可能としても良い。図6は、多段階にスクロール速度を可変させる場合の仮想円50の一例を示したものである。同図の例は、対向する位置に配置された不感領域Enによって、スクロール方向の違いをユーザに意識させる点では、図4に示した例と同様であるが、これら2つの不感領域Enによって、前進スクロール領域Eaと後退スクロール領域Ebとの2つの領域に大別され、各領域Ea,Eb内でスクロール速度が多段階に可変できる点で異なる。
【0047】
前進スクロール領域Eaでは、仮想基準点51から図示下側に向かってトラックボール41を回転させた場合は、スクロール速度を最も低速とし、仮想基準点51から回転させる方向が右側(上側)に向かうにつれて(矢印61から矢印66に向かうほど)、スクロール速度を高速とするように設定されている。また、後退スクロール領域Ebでは、仮想基準点51から図示上側に向かってトラックボール41を回転させた場合は、スクロール速度を最も低速とし、仮想基準点51から回転させる方向が左側(下側)に向かうにつれて、スクロール速度を高速とするように設定されている。
【0048】
このように、仮想円50における、不感領域Enの位置や数、その他の領域の位置や分割数などは任意に設定可能である。
【0049】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、トラックボール41の操作方向を変化させるだけで、スクロール表示のスクロール速度を可変することができる。これにより、ユーザは片手操作で容易且つ迅速にスクロール速度を調節でき、ひいては選択肢の選択操作を快適に行うことができる。また、トラックボール41を採用したことにより、360°全方向に操作可能であるため、微妙な角度調節が容易であり、より快適にスクロール速度を可変することができる。
【0050】
なお、上記の実施形態では、操作手段10として、360°全方向に操作可能な回転操作部40を例示したが、シーソーボタン等、少なくとも2方向に操作可能なポインティングデバイスであれば、本発明を適用可能である。例えば、上下に操作可能なシーソーボタンの場合、上方向の押下で高速スクロール、下方向の押下で低速スクロールを実現することが可能である。また、操作子11としてトラックパッドを用いることも可能である。この場合は指先が最初に触れた場所を仮想基準点51とし、指先がなぞる方向を感知することで、スクロール速度およびスクロール方向を制御することができる。
【0051】
また、操作方向の検知は、操作手段10の操作開始から単位時間ごとに行い、当該単位時間ごとにスクロール速度を可変することが好ましい。この構成によれば、単位時間を例えば0.05秒と設定した場合、表示制御手段30は0.05秒ごとに操作方向を検知してスクロール速度を可変するため、目的の選択肢が近づいてきたと認識した時点で操作方向を変えることによりスクロール速度を遅くすることができる。これにより、目的の選択肢を選択し損ねる(目的の選択肢を通過してしまう)可能性を低くし、より短時間での検索が可能となる。
【0052】
また、スクロール方向と操作結果の対応付けや、不感領域Enの位置および数をどうするかなど、ユーザの好みに応じてカスタマイズできるように設定手段を携帯オーディオ装置1に設けても良い。なお、当該カスタマイズ手段を実現するためのプログラムは、携帯オーディオ装置1内部に組み込んで操作手段10の操作によって設定できるようにしても良いし、コンピュータ等の外部装置に組み込んで、外部装置から設定できるようにしても良い。
【0053】
また、本発明を適用した装置の一例として携帯オーディオ装置1を挙げたが、複数の選択肢をスクロール表示可能な表示手段と、操作子を少なくとも2方向に操作可能な操作手段と、を有する装置であれば、選択肢の内容や装置形態を問わず、種々の電子機器(例えば、操作リモコン、カーオーディオ装置、カーナビ装置、携帯電話など)に本発明を適用可能である。
【0054】
また、上記の例に示した携帯オーディオ装置1における各部および各機能をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、本実施形態における携帯オーディオ装置1の各構成要素(各機能)をプログラム化したもの、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0055】
その他、上記の実施形態によらず、携帯オーディオ装置1の装置構成や処理工程について、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯オーディオ装置の簡易ブロック図である。
【図2】携帯オーディオ装置の正面図である。
【図3】回転操作部によって操作されるスクロール速度およびスクロール方向を示す図である。
【図4】各操作方向と操作結果との関係を仮想円で示す図である。
【図5】図4とは異なる、仮想円の一例を示す図である。
【図6】多段階にスクロール速度を可変させる場合の仮想円の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1:携帯オーディオ装置,10:操作手段,20:表示手段,21:ディスプレイ,30:表示制御手段,40:回転操作部,41:トラックボール,50:仮想円,51:仮想基準点,C:選択肢,C0:対象選択肢,En:不感領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子を有し、当該操作子を少なくとも2方向に操作可能な操作手段と、
スクロール表示により複数の選択肢を表示可能な表示手段と、
前記操作子の操作に基づいて、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記操作子の操作方向に応じて前記スクロール表示のスクロール速度を可変することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記2方向は、直交する方向であり、
前記表示制御手段は、前記2方向のうちのいずれかの方向である第1の方向の操作については前記スクロール速度が低速となるように制御し、前記2方向のうちの他方の方向である第2の方向の操作については前記スクロール速度が高速となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作手段は、前記第1の方向と前記第2の方向の略中間に位置する第3の方向に前記操作子を操作可能であり、
前記表示制御手段は、前記第3の方向の操作については前記スクロール速度が中速となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作手段は、360°全方向に前記操作子を操作可能であり、
前記表示制御手段は、前記操作子の操作方向に応じて、前記スクロール速度を2段階以上に可変することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記操作手段には、前記360°のうち任意の角度を有する不感領域が少なくとも1以上設けられており、
前記表示制御手段は、前記操作子の操作方向が前記不感領域に含まれる場合、前記操作子の操作を無視することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記操作手段には、前記操作子の各操作方向に対応して、前進スクロールまた後退スクロールを含むスクロール方向を特定する機能が割り当てられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記操作手段は、略180°異なる正方向および逆方向への前記操作子の操作に対応して、前記前進スクロールおよび前記後退スクロールの機能が割り当てられていることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記操作手段の操作開始から単位時間ごとに前記操作方向を検知し、当該単位時間ごとに前記スクロール速度を可変することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
操作子を有し、当該操作子を少なくとも2方向に操作可能な操作手段と、
スクロール表示により複数の選択肢を表示可能な表示手段と、を有する電子機器の操作方法であって、
前記操作子の操作方向に応じて、前記スクロール表示のスクロール速度を可変することを特徴とする電子機器の操作方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の電子機器の操作方法を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−176548(P2008−176548A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9142(P2007−9142)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】