説明

電子機器、電源制御方法、および電源制御プログラム

【課題】電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能な電子機器等を提供する。
【解決手段】本電子機器は、外部電源2および電池BATから電力を供給される電子機器1であって、電子機器1の最大負荷電流よりも小さい電流容量の外部電源2から供給される電流である外部供給電流の情報を取得する外部供給電流取得部102と、電池BATの電圧を検出する電池電圧検出部103と、電子機器1の副機能を実行する副機能実行部110〜113と、検出された電池BATの電圧から電池BATが完放電状態であるか否かを判定するシステム制御部105と、電池BATが完放電状態であると判定された場合、電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも小さくなるよう、副機能実行部110〜113の動作を制限する切替制御部106〜109と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源および電池から電力を供給される電子機器、電源制御方法、および電源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、USB電源などの外部電源と本体に搭載される電池との双方から電力の供給を受け、その電力により動作することが可能な電子機器が広く普及している。
【0003】
例えば、電池が搭載された電子機器において、USB電源など外部給電容量が小さく、外部給電のみでは電子機器の最大負荷電流を供給できない場合、電池に蓄積された電力を外部給電に加算して負荷に供給する電子機器が知られている(例えば特許文献1参照)。この電子機器では、電池が完放電(完全放電)状態の場合には、外部給電に電池の電力を加算できないので、当該電子機器が駆動するために十分な電力を得ることができなかった。
【0004】
また、電子機器に接続された電池が完放電状態である場合に、電子機器に接続された電力容量の小さな外部電源を介して電池を充電し、本体を起動可能な電圧まで充電した後に、本体を電池の電力で起動する電子機器が知られている(例えば特許文献2参照)。この電子機器によれば、電池が完放電状態の場合であっても、当該電子機器が駆動するために十分な電力を得ることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−151908号公報
【特許文献2】特開2010−206948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の電子機器であっても、充電されて完放電状態を脱するまではシステム起動を待機する。つまり、電池が完放電状態である場合には、電子機器を駆動するまでの時間を短縮することはできるが、その期間をなくすことはできない。したがって、電子機器のユーザの利便性が低下する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能な電子機器、電源制御方法、および電源制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、外部電源および電池から電力を供給される電子機器であって、前記電子機器の最大負荷電流よりも小さい電流容量の前記外部電源から供給される電流である外部供給電流の情報を取得する外部供給電流取得部と、前記電池の電圧の情報を検出する電池電圧検出部と、当該電子機器の副機能を実行する副機能実行部と、前記電池電圧検出部により検出された前記電池の電圧から前記電池が完放電状態であるか否かを判定する電池電圧判定部と、前記電池が完放電状態であると判定された場合、当該電子機器の負荷電流が前記外部供給電流よりも小さくなるよう、前記副機能実行部の動作を制限する動作制御部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、電池が完放電状態の場合には電池から電子機器内の各負荷へ負荷電流を供給できないが、負荷電流を外部電源からの外部供給電流よりも小さくすることで、電子機器を起動するための電流不足を回避することができる。したがって、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能である。
【0010】
本発明の電源制御方法は、外部電源および電池から電力を供給される電子機器の電源制御方法であって、前記電子機器の最大負荷電流よりも小さい電流容量の前記外部電源から供給される電流である外部供給電流の情報を取得するステップと、前記電池の電圧の情報を検出するステップと、前記検出された前記電池の電圧から前記電池が完放電状態であるか否かを判定するステップと、前記電池が完放電状態であると判定された場合、前記電子機器の負荷電流が前記外部供給電流よりも小さくなるよう、前記電子機器の副機能を実行する副機能実行部の動作を制限するステップと、を有する。
【0011】
この方法によれば、電池が完放電状態の場合には電池から電子機器内の各負荷へ負荷電流を供給できないが、負荷電流を外部電源からの外部供給電流よりも小さくすることで、電子機器を起動するための電流不足を回避することができる。したがって、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能である。
【0012】
本発明の電源制御プログラムは、上記電源制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0013】
このプログラムによれば、電池が完放電状態の場合には電池から電子機器内の各負荷へ負荷電流を供給できないが、負荷電流を外部電源からの外部供給電流よりも小さくすることで、電子機器を起動するための電流不足を回避することができる。したがって、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における電子機器の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における電子機器の電源制御に関する第1動作例を示すフローチャート
【図3】本発明の実施形態における電子機器の輝度制限中の画面表示例を示す図
【図4】本発明の実施形態における電子機器の音声制限中の画面表示例を示す図
【図5】本発明の実施形態における電子機器の電源制御に関する第2動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態における電子機器の構成例を示すブロック図である。図1に示す電子機器1は、充放電制御部101、外部供給電流取得部102、電池電圧検出部103、電源スイッチ104、システム制御部105、切替制御部106〜109、表示部110、音声出力部111、TV機能部(テレビ機能部)112、カメラ機能部113、を有して構成される。
【0018】
電子機器1としては、例えば手軽に携帯可能なカーナビであるポータブルナビ等のナビゲーション装置、携帯電話、携帯情報端末、電子書籍端末、ノートパソコン、ポータブルゲーム機、デジタルカメラ、等が想定される。
【0019】
電子機器1には、外部電源2が接続される。外部電源2の電流容量(許容される電流)は、電子機器1の各負荷が同時に使用する電流の最大値である最大負荷電流よりも小さい。外部電源2の一例としては、USB(Universal Serial Bus)電源、電子機器1のジャックに接続可能な小型の電源、等が想定される。電子機器1は、外部電源2から電力を供給され得る。
【0020】
また、電子機器1には、少なくとも放電可能な電池BATが接続される。本実施形態では、電池BATの一例として充放電可能な二次電池を主に想定する。電子機器1は、電池BATから電力を供給され得る。電池BATは、電子機器1に搭載されてもよいし、電子機器1外部にあるものでもよい。
【0021】
充放電制御部101は、CPU等により構成され、電池BATの充放電制御を行う。例えば、電池BATの電力を電子機器1内の各負荷へ供給するため放電したり、外部電源2からの電力の少なくとも一部を電池BATへ充電したりするための制御を行う。図1に示すように、電池BATから充放電制御部101へ流れる電流は放電電流であり、充放電制御部101から電池BATへ流れる電流は充電電流である。
【0022】
外部供給電流取得部102は、外部電源2から供給される電流である外部供給電流の情報を取得する。外部供給電流の情報とは、外部供給電流の電流値やその他外部供給電流の大きさを認識可能な情報である。外部供給電流の情報は、図1では図示されていない電流センサにより検出されてもよい。また、外部電源2と電子機器1とを接続する電源ケーブル等の有線回線又は無線回線を用いて、外部供給電流の情報を外部電源2から受信してもよい。
【0023】
電池電圧検出部103は、電圧センサであり、電池BATの電圧の情報を検出する。端子間電圧の情報とは、電池BATの端子間電圧の電圧値やその他電池BATの電圧の高さを認識可能な情報である。
【0024】
電源スイッチ104は、電子機器1を起動するための起動指示を与える。電源スイッチ104は、電源ボタンのようにハードウェアで実現しても、ソフトスイッチのようにソフトウェアで実現してもよい。
【0025】
システム制御部105は、CPU等により構成され、電子機器1全体の動作を統括する。例えば、システム制御部105は、電源スイッチ104から起動指示を受けると、電子機器1の各部を起動させる。システム制御部105は、電池電圧検出部103から電池BATの電圧の情報を受け、電池BATが完放電(完全放電)状態か否かを判定する電池電圧判定部としての機能を有する。完放電状態とは、電池BATが完全に放電した状態であり、このとき電池BATの端子間電圧は満充電状態の電圧(例えば4.2V)と比較して所定電圧(例えば3.6V未満)となる。システム制御部105は、電子機器1の負荷電流が外部供給電流以上であるか否かを判定する電流判定部としての機能を有する。
【0026】
システム制御部105は、電子機器1の各種の副機能を実行する各副機能実行部に供給される負荷電流の情報を保持している。副機能実行部としては、例えば表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113、などがある。また、図示しない他のアプリケーションを実行するアプリケーション機能部、電子機器1の起動や主機能に直接影響を与えない他の周辺機能を実現する周辺機能部、等が含まれてもよい。
【0027】
一方、電子機器1の主機能は、電子機器1がナビゲーション装置の場合、電源制御に関する機能やナビゲーションに関する機能である。したがって、充放電制御部101は副機能実行部には含まれない。副機能は、主機能以外の機能を指す。
【0028】
システム制御部105は、例えば表示部110の表示画面の各輝度(明るさ)に対応する各負荷電流の大きさの情報を保持している。また、例えば音声出力部111の各音量に対応する各負荷電流の大きさの情報を保持している。また、TV機能部112の動作時にの負荷電流の大きさの情報を保持している。また、カメラ機能部113の動作時の負荷電流の大きさの情報を保持している。
【0029】
システム制御部105は、電池BATが完放電状態である場合、電子機器1の負荷電流(電子機器1における動作中の各部全体の負荷電流)が外部供給電流よりも小さくなるように、各副機能実行部の動作を制限する。動作を制限するとは、副機能実行部の動作を禁止する(副機能実行部の電源をオフする)こと、副機能実行部の負荷電流が小さくなるよう段階的に動作を制限すること、の双方を含む。例えば、表示部110の負荷電流は輝度が低い方が小さくなるので、表示部110の動作を制限するときには輝度を小さくしてもよい。また、例えば、音声出力部111の負荷電流は音量が小さい方が小さくなるので、音声出力部111の動作を制限するときには音量を小さくしてもよい。
【0030】
切替制御部106〜109は、副機能実行部の動作を制限する動作制限モードと制限しない通常モードとを切り替える。切替制御部106は、ハードウェアにより構築して新たな回路、デバイス等を追加してもよいし、CPU等のソフトウェア制御によって構築してもよい。ハードウェアにより構築した場合には、ソフト構成を単純化でき、ソフトウェア制御とした場合には、電子機器1を小型化し、かつコストを低減できる。
【0031】
切替制御部106は、表示部110の動作を制限する動作制限モードと制限しない通常モードとを切り替える。切替制御部106は、動作制限モードに切り替えるとき、表示部110の輝度を小さくする、または表示部110の動作を禁止する。
【0032】
切替制御部107は、音声出力部111の動作を制限する動作制限モードと制限しない通常モードとを切り替える。切替制御部107は、動作制限モードに切り替えるとき、音声出力部111の音量を小さくする、または音声出力部111の動作を禁止する。
【0033】
切替制御部108は、TV機能部112の動作を制限する動作制限モードと制限しない通常モードとを切り替える。切替制御部108は、動作制限モードに切り替えるとき、音TV機能部112の動作を禁止する。
【0034】
切替制御部109は、カメラ機能部113の動作を制限する動作制限モードと制限しない通常モードとを切り替える。切替制御部109は、動作制限モードに切り替えるとき、カメラ機能部113の動作を禁止する。
【0035】
表示部110は、充放電制御部101から供給される電力によって動作する。表示部110は、液晶モニター等および液晶モニター等に画像を表示するための表示制御部を含む。
【0036】
音声出力部111は、充放電制御部101から供給される電力によって動作する。音声出力部111は、スピーカ等およびスピーカ等に音声、音楽、その他の音を出力するための音声出力制御部を含む。
【0037】
TV機能部112は、充放電制御部101から供給される電力によって動作する。TV機能部112は、アンテナを介してテレビ放送信号を受信する受信部、表示部110および音声出力部111を用いて、テレビ放送信号に基づく映像および音声を出力する出力制御部、等を有する他、テレビに関連する各種機能を実行する。
【0038】
カメラ機能部113は、充放電制御部101から供給される電力によって動作する。カメラ機能部113は、被写体を撮像する撮像部、撮像時の動作(ズーム動作等)を制御する撮像制御部、撮像された画像を加工する画像加工部、等を有する他、カメラに関連する各種機能を実行する。
【0039】
図1では、各構成部を結ぶ実線は電流の流れを表しており、点線は制御信号の流れを表している。
【0040】
次に、電子機器1の電源制御に関する動作について説明する。
図2は、電子機器1の電源制御に関する第1動作例を示すフローチャートである。
【0041】
USB電源等の外部電源2が電子機器1に接続された状態(ステップS101)で、電源スイッチ104により電源起動指示がされると(ステップS102)、電池電圧検出部103は電池BATの電圧を検出する。システム制御部105は、電圧を検出された電池BATが完放電状態であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0042】
電池BATが完放電状態である場合、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作モードを動作制限モードに切り替える(ステップS104)。例えば、切替制御部106は、表示部110の輝度の設定可能範囲の上限を所定の輝度までとし、画面の明るさを制限する。例えば、切替制御部107は、音声出力部111の音量の設定可能範囲の上限を所定の音量までに制限する。例えば、切替制御部108は、TV機能部112の動作を禁止する。例えば、切替制御部109は、カメラ機能部113の動作を禁止する。
【0043】
電子機器1が動作制限モードに設定された後、システム制御部105等の電子機器1の各部は、起動する(ステップS105)。起動後、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、動作制限モードで動作する。また、充放電制御部101は、外部電源2からの供給電力に余裕がある場合には、その供給電力の一部を電池BATに蓄積(充電)する(ステップS106)。外部電源2からの供給電力に余裕がある場合とは、外部供給電流がこの時点の電子機器1の各部の負荷電流の総和(単に、電子機器1の負荷電流ともいう)よりも大きい場合を指す。この場合、電池BATに流れる充電電流は、外部供給電流から電子機器1の負荷電流を差し引いたものに相当する。
【0044】
このように、充放電制御部101は、動作制御部としての切替制御部106〜109による副機能実行部の動作の制限中に、電池BATを充電するよう制御する。これにより、動作制限モードを可能な限り早く解除できるようにすることができる。
【0045】
動作制限モードでの動作および充電を行いながら、システム制御部105は、電池電圧検出部103により検出される電池BATが完放電状態であるか否かを定期的に判定する(ステップS107)。電池BATが完放電状態の場合には、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、動作制限モードでの動作を継続し、充放電制御部101は、充電を継続する(ステップS108)。
【0046】
ステップS107において電池BATが完放電状態ではない場合、つまり電池BATが完放電状態から外部供給電力により所定電圧以上に充電された場合(完放電状態を脱した場合)、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作制限モードを解除し、通常モードに切り替える(ステップS109)。例えば、切替制御部106は、表示部110の輝度の設定可能範囲の上限を最大輝度までとする。例えば、切替制御部107は、音声出力部111の音量の設定可能範囲の上限を最大音量までとする。例えば、切替制御部108は、TV機能部112の動作を許可する。例えば、切替制御部109は、カメラ機能部113の動作を許可する。
【0047】
このように、動作制御部としての切替制御部106は、副機能実行部の動作の制限中に、電池BATが完放電状態を脱した場合、副機能実行部の動作の制限を解除する。これにより、副機能実行部の動作が可能になった場合には動作させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0048】
動作制限モードの解除後、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、通常モードで動作する。また、充放電制御部101は、外部電源2からの供給電力の少なくとも一部を電池BATに蓄積(充電)する(ステップS110)。この場合、電池BATに流れる充電電流は、外部供給電流および電池BATの放電電流から電子機器1の負荷電流を差し引いたものに相当する。
【0049】
ステップS103において、電池BATが完放電状態ではない場合、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、動作モードを通常モードに切り替える(ステップS111)。
【0050】
電子機器1が通常モードに設定された後、システム制御部105等の電子機器1の各部は、起動する(ステップS112)。起動後、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、通常モードで動作する。また、充放電制御部101は、外部電源2からの供給電力の少なくとも一部を電池BATに蓄積(充電)する(ステップS110)。
【0051】
このような電子機器1の第1動作例では、動作制御部としての切替制御部106〜109が、電池BATが完放電状態であると判定された場合、電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも小さくなるよう、副機能実行部としての表示部110、音声出力部111、TV機能部112、およびカメラ機能部113のうちの少なくとも1つの動作を制限する。
【0052】
これにより、電池BATが完放電状態である場合に、電子機器1の動作モードを動作制限モードに切り替えるので、電子機器1の負荷電流を小さくすることができる。そのため、電子機器1に電力を供給する電池BATが完放電状態であっても、直ぐに電子機器1を起動することが可能である。したがって、ユーザの利便性が向上する。
【0053】
また、電子機器1がナビゲーション装置等のように使用頻度が低く、久しぶりに電子機器1を使用しようとする場合であっても、外部電源2からの電力供給後、電池BATがある程度充電されるまで待機することなく、直ぐに電子機器1を使用することができる。よって、例えばエンジン始動した後、直ぐにナビゲーション装置において目的地を設定することが可能となる。
【0054】
また、電子機器1の起動中であっても充電を行うことが可能である。また、第1動作例では、電池BATが完放電状態であるか否かを判断するだけであるので、簡単に動作制限モードに移行することができる。
【0055】
なお、図2のステップS106およびS108において、電子機器1が動作制限モードに設定されている場合には、動作制限モードである旨を提示するようにしてもよい。ここでの提示とは、表示部110による表示であってもよいし、音声出力部111による音声出力であってもよいし、他の提示方法であってもよい。
【0056】
図3は表示部110の輝度を制限中である旨のメッセージの表示例を示す図である。図4は音声出力部111の音量を制限中である旨のメッセージの表示例を示す図である。
【0057】
このように、提示部としての表示部110、音声出力部111等が、副機能実行部の動作の制限中に、その旨を提示する。これにより、ユーザは動作制限モードであることを認識できるので、ユーザの利便性が向上する。
【0058】
また、切替制御部106〜109は、動作制限モードの状態となってから所定時間経過したときに、動作制限モードを解除するようにしてもよい。
【0059】
また、電子機器1が動作制限を行う場合には、システム制御部105が優先順位をあらかじめ設定してその情報を保持しておいてもよい。または、システム制御部105が優先順位としてあらかじめ設定された情報を保持しておいてもよい。本実施形態では、(1)表示部110、(2)音声出力部111、(3)TV機能部112およびカメラ機能部113、の順に電流が大きいので、この順に切替制御部106〜109が動作制限するようにしてもよい。
【0060】
この場合、切替制御部106〜109は、電池BATの電圧に応じて、副機能実行部の動作制限を行っても良い。例えば、電池BATが完放電状態で最も電圧が高い場合には、表示部110のみ動作制限する。2番目に電圧が高い場合には、表示部110および音声出力部111を動作制限する。最も電圧が高い場合に表示部110、音声出力部111、TV機能部112およびカメラ機能部113を動作制限する。
【0061】
このように、動作制御部としての切替制御部106〜109は、電池BATの電圧に応じて、副機能実行部の動作制限を行うか否かを決定する。これにより、動作制限を行う副機能実行部の数を必要最小限に抑えることができる。
【0062】
次に、図5は、電子機器1の電源制御に関する第2動作例を示すフローチャートである。ここでは主に、電子機器1の第1動作例を示した図2と異なる点のみ説明する。
【0063】
電源スイッチ104により電源起動指示がされると(ステップS102)、システム制御部105等の電子機器1の各部は、起動する(ステップS201)。起動後、電池BATが完放電状態であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0064】
ステップS103において電池BATが完放電状態である場合、システム制御部105は、電子機器1の負荷電流が、外部供給電流取得部102により取得された外部供給電流よりも大きいか否かを判定する(ステップS202)。
【0065】
電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも大きい場合、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作モードを動作制限モードに切り替える(ステップS104)。
【0066】
ステップS107において電池BATが完放電状態である場合、システム制御部105は、電子機器1の負荷電流が、外部供給電流取得部102により取得された外部供給電流よりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0067】
電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも大きい場合、表示部110、音声出力部111、TV機能部112、カメラ機能部113等の副機能実行部は、動作制限モードでの動作を継続し、充放電制御部101は、充電を継続する(ステップS108)。
【0068】
ステップS202およびS203において、電子機器1の負荷電流が外部供給電流以下である場合、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作制限モードを一時的に解除し、通常モードに切り替える(ステップS204)。ただし、その後に電池BATが完放電状態であり(ステップS107)、かつ、電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも大きいと判定された場合には(ステップS202)、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作モードを動作制限モードに復帰させる(ステップS108)。
【0069】
ステップS107において電池BATが完放電状態ではない場合、つまり電池BATが完放電状態から外部供給電力により所定電圧以上に充電された場合、切替制御部106〜109は、各副機能実行部の動作制限モードを完全に解除し、通常モードに切り替える(ステップS205)。
【0070】
このように、電子機器1の第2動作例では、動作制御部としての切替制御部106〜109が、電池BATが完放電状態であると判定され、かつ、電子機器1の負荷電流が外部供給電流以上であると判定された場合、電子機器1の負荷電流が外部供給電流よりも小さくなるよう、副機能実行部としての表示部110、音声出力部111、TV機能部112、およびカメラ機能部113のうちの少なくとも1つの動作を制限する。
【0071】
これにより、電池BATが完放電状態であるかどうかとともに、電子機器1の負荷電流が外部供給電流を上回っているか判断するので、電子機器1の各部が負荷電流不足により動作できなくなる場合にのみ、確実に動作制限モードに移行することができる。
【0072】
なお、切替制御部106〜109は、電池BATの電圧とともに、負荷電流と外部供給電流との差に応じて、副機能実行部の動作制限を行っても良い。例えば、負荷電流と外部供給電流との差が最も小さい場合には、表示部110のみ動作制限する。2番目に負荷電流と外部供給電流との差が小さい場合には、表示部110および音声出力部111を動作制限する。最も負荷電流と外部供給電流との差が大きい場合には、表示部110、音声出力部111、TV機能部112およびカメラ機能部113を動作制限する。
【0073】
このように、動作制御部としての切替制御部106〜109は、電池BATの電圧とともに負荷電流と外部供給電流との差に応じて、副機能実行部の動作制限を行うか否かを決定する。これにより、動作制限を行う副機能実行部の数を必要最小限に抑えることができる。
【0074】
また、第2動作例では、外部電源2からの電力の供給中でありながら電池BATの電圧が低下した場合であっても、電子機器1の駆動を継続したまま動作制限モードに遷移することが可能である。したがって、第1動作例で示したような外部供給電流の少なくとも一部を電池BATに蓄積する必要がないので、より大きな負荷電流を必要とする電子機器1を駆動することができる。
【0075】
本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または上記実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0076】
また、本発明は、上記実施形態の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して電子機器1に供給し、この電子機器1のCPUが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、電子機器に電力を供給する電池が完放電状態であっても、電子機器を直ぐに起動することが可能な電子機器、電源制御方法、電源制御プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 電子機器
2 外部電源
101 充放電制御部
102 外部供給電流取得部
103 電池電圧検出部
104 電源スイッチ
105 システム制御部
106〜109 切替制御部
110 表示部
111 音声出力部
112 TV機能部
113 カメラ機能部
BAT 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源および電池から電力を供給される電子機器であって、
前記電子機器の最大負荷電流よりも小さい電流容量の前記外部電源から供給される電流である外部供給電流の情報を取得する外部供給電流取得部と、
前記電池の電圧の情報を検出する電池電圧検出部と、
当該電子機器の副機能を実行する副機能実行部と、
前記電池電圧検出部により検出された前記電池の電圧から前記電池が完放電状態であるか否かを判定する電池電圧判定部と、
前記電池が完放電状態であると判定された場合、当該電子機器の負荷電流が前記外部供給電流よりも小さくなるよう、前記副機能実行部の動作を制限する動作制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、更に、
当該電子機器の負荷電流が前記外部供給電流取得部により取得された外部供給電流以上であるか否かを判定する電流判定部を備え、
前記動作制御部は、前記電池が完放電状態であると判定され、かつ、当該電子機器の負荷電流が前記外部供給電流以上であると判定された場合、当該電子機器の負荷電流が前記外部供給電流よりも小さくなるよう、前記副機能実行部の動作を制限する電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器であって、
前記動作制御部は、前記電池の電圧に応じて、前記副機能実行部の動作制限を行うか否かを決定する電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記動作制御部は、前記電池の電圧とともに前記負荷電流と前記外部供給電流との差に応じて、前記副機能実行部の動作制限を行うか否かを決定する電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器であって、更に、
前記電池の充放電を制御する充放電制御部を備え、
前記充放電制御部は、前記動作制御部による前記副機能実行部の動作の制限中に、前記電池を充電するよう制御する電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記動作制御部は、前記副機能実行部の動作の制限中に、前記電池が完放電状態を脱した場合、前記副機能実行部の動作の制限を解除する電子機器。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記外部電源は、USB(Universal Serial Bus)電源である電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記副機能は、電源制御およびナビゲーション以外の機能である電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器であって、
前記副機能実行部は、表示画面の輝度を制御する輝度制御部、音出力部の音量を制御する音量制御部、テレビ部、カメラ部の少なくとも1つである電子機器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電子機器であって、更に、
前記副機能実行部の動作の制限中に、その旨を提示する提示部を備える電子機器。
【請求項11】
外部電源および電池から電力を供給される電子機器の電源制御方法であって、
前記電子機器の最大負荷電流よりも小さい電流容量の前記外部電源から供給される電流である外部供給電流の情報を取得するステップと、
前記電池の電圧の情報を検出するステップと、
前記検出された前記電池の電圧から前記電池が完放電状態であるか否かを判定するステップと、
前記電池が完放電状態であると判定された場合、前記電子機器の負荷電流が前記外部供給電流よりも小さくなるよう、前記電子機器の副機能を実行する副機能実行部の動作を制限するステップと、
を有する電源制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電源制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるための電源制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−54505(P2013−54505A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191674(P2011−191674)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】