説明

電子機器およびその制御方法

【課題】簡単な構成で消費電力を低減でき、正確な時刻を表示することができる電子機器およびその制御方法を提供すること。
【解決手段】電子機器は、第1衛星信号および第2衛星信号を受信するGPS装置10と、制御部20と、週番号特定情報が記憶されるRAM31と、を備える。制御部20は、RAM31に週番号特定情報が記憶されている場合にGPS装置10を第1衛星信号を受信する第1受信モードで制御して時刻情報と第1週番号情報を取得し、RAM31に記憶されている週番号特定情報を用いて第1週番号情報の周期回数を算出した後、現在日時を算出する。また、RAM31に週番号特定情報が記憶されていない場合にGPS装置10を第2衛星信号を受信する第2受信モードで制御して時刻情報と第2週番号情報を取得し、この時刻情報および第2週番号情報に基づいて現在日時を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS衛星等の位置情報衛星から送信される衛星信号を利用した電子機器およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自己位置を測位するためのシステムであるGPS(Global Positioning System)システムでは、地球を周回する軌道を有するGPS衛星が用いられており、このGPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。
【0003】
このGPS衛星の時刻情報(衛星時刻情報)を利用して時刻修正を行う電子時計が提案されている。
このようにGPS衛星の時刻情報(衛星時刻情報)を利用する電子時計において、GPS衛星からの信号(航法メッセージ)を受ける受信機側は、GPS衛星の時刻情報を得るために、GPS衛星からの信号のうち、TOW(Time of Week、GPS時刻、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報で「Zカウント」ともいう)情報およびWN情報(週番号、現在のGPS時刻が含まれる週を表す情報)を受信している。そして、受信したTOW情報およびWN情報に基づいて正確な時刻を算出する。
【0004】
ここで、GPS衛星が送信する信号には複数の種類があり、通常民間用として使用されるのはL1C/A信号である。このL1C/A信号に含まれる航法メッセージのWN情報は、1980年1月6日0時0分0秒を基準とし、約20年の周期で0にリセットされる。したがって、1980年1月6日0時0分0秒から約20年経過した後のWN情報を用いると正確な年月日を求めることができないという課題があった。
このため、外部メディアやインターネットに接続して基準日を取得し、この基準日とGPS衛星から受信したTOW情報とWN情報とに基づいて正確な年月日を求める時計装置が知られている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−228271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように時計装置を外部メディアやインターネットに接続するには、時計装置に接続端子を装備させる必要がある。時計装置には通常防水機能が必要とされるが、このような接続端子を装備させると時計装置の防水機能を確保することが困難となるおそれがある。
【0007】
また、無線LANを介して時計装置をインターネットに接続する構成としたとしても、無線LANを利用すると消費電力が大きくなってしまう。
さらに、外部メディアを利用する場合はユーザーが外部メディアに基準日を書き込む作業が必要であったり、インターネットを利用する場合はインターネットへの接続設定を行う作業が必要であったりするため、ユーザーにとって面倒であり、利便性が損なわれるという問題がある。
【0008】
本発明は、簡単な構成で消費電力を低減でき、正確な年月日データを取得することができる電子機器およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、位置情報衛星から送信される第1衛星信号および第2衛星信号を受信する受信部と、前記受信部の動作を制御する制御部と、週番号特定情報が記憶される揮発性記憶部と、を備え、前記第1衛星信号は、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第1週番号情報とを有し、前記第2衛星信号は、前記時刻情報と前記第1週番号情報よりデータサイズが大きい第2週番号情報とを有し、前記週番号特定情報は、前記第1週番号情報の周期回数を特定可能な情報であり、前記受信部は、前記第1衛星信号を受信する第1受信モードと、前記第2衛星信号を受信する第2受信モードと、を選択可能に構成され、前記制御部は、前記受信部を前記第1受信モードで制御して前記第1衛星信号を受信し、受信した第1衛星信号の時刻情報および第1週番号情報を取得し、前記揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報に基づいて前記取得した第1週番号情報の周期回数を算出し、前記周期回数と前記取得した第1週番号情報と前記取得した時刻情報とに基づいて現在日時を算出する第1時刻算出手段と、前記受信部を前記第2受信モードで制御して前記第2衛星信号を受信し、受信した第2衛星信号の時刻情報および第2週番号情報を取得し、取得した時刻情報および第2週番号情報に基づいて現在日時を算出する第2時刻算出手段と、前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されているか否かを検出する週番号特定情報検出手段と、前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出した場合は、前記第1時刻算出手段を作動し、前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出しない場合は、前記第2時刻算出手段を作動する受信制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、第1衛星信号は、位置情報衛星から送信される衛星信号の一種で、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第1週番号情報とを有している。また、第2衛星信号は、第1衛星信号と同様に、位置情報衛星から送信される衛星信号の一種で、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第2週番号情報とを有している。ただし、第2週番号情報は、第1週番号情報よりデータサイズが大きい。ここで、データサイズとはビット数である。例えば、第1衛星信号をL1C/A信号とした場合、その週番号情報(第1週番号情報)のデータサイズは10ビットであり、第2衛星信号をL2C信号とした場合、その週番号情報(第2週番号情報)のデータサイズは13ビットであり、第2週番号情報が第1週番号情報に比べてデータサイズが大きい。第1週番号情報および第2週番号情報は同じ期間(例えば1週間)ごとにカウントされるため、第2週番号情報の周期が長い。
例えば、10ビットのデータの場合、0〜1023までカウントできる。第1週番号情報が1週間毎に更新されると、1年間は約52週間であるから、第1週番号情報の周期は、1024/52=約20年となる。
一方、13ビットのデータの場合、0〜8191までカウントでき、第2週番号情報も1週間毎に更新されると、第2週番号情報の周期は、8192/52=約157年となる。
したがって、第1週番号情報は周期が短いために、1周期が経過するとその後の周期回数が不明となり現在日時を算出することができなかったが、第2週番号情報は周期が長いことから、第1週番号情報の1周期が経過した後でも第2週番号情報を用いて現在日時を算出することができる。
【0011】
一方、第1衛星信号を受信する第1受信モードは、通常、第2週番号情報を受信する第2受信モードに比べて消費電力が小さい。例えば、第1衛星信号をL1C/A信号とした場合、変調コード(PNコード)サイズが1023chipであり、第2衛星信号をL2C信号とした場合、変調コード(PNコード)サイズが10230chipである。このように変調コードのサイズが小さい第1衛星信号を受信する第1受信モードは、通常、第2受信モードに比べて、消費電力が小さく電力的に有利である。
この発明では、制御部が、受信部を第1受信モードおよび第2受信モードのいずれかを選択して制御する。すなわち、週番号特定情報検出手段により揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されていることが検出された場合、つまり第1週番号情報を用いて現在日時を特定できる場合は、消費電力が小さい第1受信モードを選択し、検出されない場合、消費電力は大きくなるが、週番号特定情報が無くても現在日時を特定できる第2受信モードを選択している。
【0012】
ここで、週番号特定情報とは、第1週番号情報の周期回数を特定可能な情報である。第1週番号情報は周期が短いため、1周期が経過した後は周期回数が不明となり現在日時を算出することができない。例えば、L1C/A信号の週番号は、前述の通り、1980年1月6日の週が「0」であり、1999年8月16日の週が「1023」であり、翌週(1999年8月23日の週に再度「0」に戻る(ロールオーバー)。従って、この週番号を取得しただけでは、1980年から約20年間の周期回数1回目の週を示しているのか、1999年から約20年間の周期回数2回目の週を示しているのかが不明となる。
そこで、揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報を用いて第1週番号情報の周期回数を算出する。このような週番号特定情報としては、取得した週番号が、前述のように、どの周期回数に含まれるものであるのかを特定できるものであればよく、例えば、前記ロールオーバー時にカウントアップされて現在の周期回数を表す数字でもよい。
また、週番号特定情報としては、直近の受信日時でもよい。この場合も、受信した週番号は、直近の受信日時以降の週であると推測できるため、取得した週番号がどの周期回数に含まれるのかも特定できる。
【0013】
第1受信モードでは、第1衛星信号の時刻情報と第1週番号情報を取得し、揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報に基づいて、取得した第1週番号情報の周期回数を算出する。そして、算出した周期回数と、取得した時刻情報と第1週番号情報とに基づいて現在日時を算出する。一方、第2受信モードでは、第2衛星信号の時刻情報と第2週番号情報を取得し、取得した時刻情報と第2週番号情報に基づいて現在日時を算出する。
【0014】
このように、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されていれば、この週番号特定情報を用いて第1週番号情報の周期回数を算出することができ、週番号が1周期を経過した後でも現在日時を算出することができる。したがって、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されている場合は常に第1受信モードで制御することで、消費電力が小さく、省エネルギー化を図ることができる。また、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されていない場合のみ第2受信モードで制御する。第2週番号情報は周期が長いので、第1週番号情報の1周期が経過した後でも現在日時を算出することができる。
これにより、システムリセットなどで揮発性記憶部がリセットされて週番号特定情報が無くなった場合のみ第2受信モードが選択され、それ以外は第1受信モードが選択されるため、トータルの消費電力の増加を抑制でき、かつ、正確な年月日データを取得できる。また、位置情報衛星から送信される第1、2衛星信号を受信して処理することで年月日データを求めることができ、基準日を得るために外部端子を装備させる必要がないので簡単な構成となり、防水機能も維持することができる。そして、外部メディアを利用する必要もなく、インターネットへの接続設定を行う必要もないので、ユーザーにとって利便性が高い。
【0015】
本発明の電子機器において、前記週番号特定情報は、前回の受信制御時に、前記第1時刻算出手段または前記第2時刻算出手段で算出された年月日データであることが好ましい。
すなわち、前回の受信時に算出した年月日データが判明していれば、通常は、受信により取得した週番号の年月日を特定することができる。すなわち、現在の年月日は、前回の受信時に算出した年月日データ以降であるため、週番号から求めた年月日が前回年月日よりも前の日付であれば、1周期後の年月日とすればよく、週番号から求めた年月日が前回年月日以降であれば、その求められた年月日とすればよい。
なお、この週番号特定情報は、衛星信号を受信するたびに揮発性記憶部に記憶される。したがって、電源がリセットされない間は、直近の週番号特定情報が揮発性記憶部に記憶されているため、この週番号特定情報を用いて第1週番号情報の周期回数を算出することができる。
【0016】
本発明によれば、前回の受信制御時に、前記第1時刻算出手段または前記第2時刻算出手段で算出された年月日データを揮発性記憶部に記憶すれば、そのまま週番号特定情報として利用できるため、週番号特定情報を容易に記憶することができる。
【0017】
本発明の電子機器において、時間を計時する計時手段を備え、前記週番号特定情報は、前記計時手段で計時されている年月日データであることが好ましい。
計時手段で計時されている年月日データを週番号特定情報とすれば、取得した週番号の年月日は、計時された現在日時の年月日データとほぼ同じ値になるため、容易に特定することができる。
また、通常は、衛星信号を受信して現在日時を算出する電子機器内部には、計時手段が設けられている。すなわち、計時時刻を前記算出した現在日時で修正するために衛星信号を受信するからである。従って、計時手段の計時時刻を週番号特定情報とする場合には、別途、週番号特定情報を用意する必要もなく、既存の構成を利用できるため、容易に実現できる。
また、受信時に取得した年月日データを週番号特定情報とした場合、仮に、第1週番号情報の周期を超えた長い期間、衛星信号を1度も受信していない場合は、揮発性記憶部に記憶された週番号特定情報は古い情報となるため、周期回数にずれが生じる可能性がある。一方、本発明のように、内部時刻情報を週番号特定情報として用いていれば、このような長期間受信が行われない場合でも、第1週番号情報の正確な周期回数を算出することができる。
【0018】
本発明の電子機器において、前記第1衛星信号はL1C/A信号であり、前記第2衛星信号はL2C信号であることが好ましい。
【0019】
L1C/A信号は、GPS衛星から送信される衛星信号であり、時刻情報および週番号情報を含んでいる。週番号情報は10ビットの週番号(WN)データである。前述したように、週番号は、1980年1月6日00:00:00を起点とし、この起点から始まる週を0として1週間毎にカウントされ、約20年で0にリセットされる。これにより、約20年経過した後の週番号を用いた場合、週番号特定情報を用いないと現在日時を算出できない場合がある。一方、L1C/A信号は、時刻情報の放送周期が6秒間隔と短く、変調コード(PNコード)サイズが1023chipと小さい。chip数が小さいと、受信部で衛星信号を受信する際に行われる相関処理(GPS衛星で使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成し、このローカルコードと受信信号との相関値を算出するする処理)において単位時間当たりの処理量が減少するため、消費電力も小さくなる。また、航法メッセージの放送タイミングを予想することができるので受信部で受信するタイミングを調整することができるとともに、信号強度が強いので受信部での感度が高く、すぐに受信できるため利便性が高い。したがって、通常はL1C/A信号を受信して現在時刻を算出するほうが有利である。
【0020】
L2C信号は、GPS衛星から送信される衛星信号であり、時刻情報および週番号情報を含んでいる。週番号情報は13ビットの週番号(WN)データである。13ビットというサイズでは、約157年後に週番号は0にリセットされるため、L1C/A信号の週番号よりも周期が長い。したがって、L2C信号の週番号を取得することで、L1C/A信号の週番号の周期が経過した後でも正確な現在日時を算出することができる。一方、L2C信号は、時刻情報の放送周期が12秒間隔と長く、変調コード(PNコード)サイズが10230chipと大きいため消費電力が大きい。また、航法メッセージのタイミングを予想することができず、信号強度が弱いので受信部での受信時間が長くなるなど、L2C信号の利用は不便な点も多い。
【0021】
本発明では、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されている場合は常に第1受信モードで制御してL1C/A信号を受信するため、消費電力が小さく、省エネルギー化を図ることができる。また、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されていないときのみ第2受信モードで制御してL2C信号を受信するため、L1C/A信号の週番号の周期が経過した後でも現在日時を算出することができる。
【0022】
本発明の電子機器において、所定期間ごとの稼動日が記憶される不揮発性記憶部をさらに備え、前記第2時刻算出手段は、さらに前記不揮発性記憶部に記憶された稼動日に基づいて現在日時を算出することが好ましい。
【0023】
この発明では、稼動日が不揮発性記憶部に記憶されている。すなわち、電源がリセットされた場合でも稼動日を保持することができる。稼動日は、所定期間ごとにその時点での日付が不揮発性記憶部に記憶され、第2週番号情報の周期回数を算出するために用いられる。例えば、第2週番号情報が約157年経過した後に0にリセットされて次の周期でカウントされている場合、第2週番号情報だけではその周期回数が不明であるが、稼動日を用いて週番号の周期回数を算出することで正確な年月日を算出できる。ここで、所定期間とは1週間、1ヶ月、1年などの期間であり、定期的に稼動日が更新される。
したがって、長期間(157年以上)経過した後であっても現在日時を算出することができる。
なお、この発明では、稼動日を上述の週番号特定情報として用いることもできる。
【0024】
本発明の電子機器において、前記受信部は、前記第1衛星信号および前記第2衛星信号を1つの位置情報衛星から受信する単独受信モードと、前記第1衛星信号および前記第2衛星信号を複数の位置情報衛星から受信する複数受信モードと、を選択可能に構成され、前記制御部は、前記受信部の前記単独受信モードと前記複数受信モードとを切り替える受信モード切替手段をさらに備えたことが好ましい。
【0025】
第1衛星信号および第2衛星信号は、各位置情報衛星から送信されている。1つの位置情報衛星のみから前記衛星信号を受信するように制御した場合は、受信時の消費電力を抑制することができる。一方、複数の位置情報衛星から衛星信号を受信すると、現在日時を算出するために必要な情報を迅速に取得することができる。これは、弱い衛星信号の位置情報衛星を捕捉してしまうと所望の情報を取得できない場合があり、再度位置情報衛星をサーチするのに時間がかかってしまうが、複数の位置情報衛星から衛星信号を受信すれば、いずれかの位置情報衛星から強い信号を受信して所望の情報を取得できる可能性が高いため、再サーチする時間がかからないことによる。特に、上述のL2C信号は、航法メッセージのシーケンスが衛星毎にばらばらであり、受信するタイミングを予想することができない。したがって、複数の位置情報衛星からL2C信号を受信するように制御した場合は、受信時の消費電力は増大するが、週番号情報や時刻情報を送信しているタイミングの衛星信号を受信することもできるようになり、より迅速に必要な情報を取得することができる。
この発明では、1つの位置情報衛星から受信する単独受信モードと複数の位置情報衛星から受信する複数受信モードとを切り替える受信モード切替手段により、例えば電池の電力に余裕があれば複数受信モードを選択し、余裕がない場合には単独受信モードを選択するなど、状況に応じて所望の受信モードを選択することができるため、利便性が高い。
【0026】
本発明の電子機器の制御方法は、位置情報衛星から送信される第1衛星信号および第2衛星信号を受信する受信部と、前記受信部の動作を制御する制御部と、週番号特定情報が記憶される揮発性記憶部と、を備える電子機器の制御方法であって、前記第1衛星信号は、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第1週番号情報とを有し、前記第2衛星信号は、前記時刻情報と前記第1週番号情報よりデータサイズが大きい第2週番号情報とを有し、前記週番号特定情報は、前記第1週番号情報の周期回数を特定可能な情報であり、前記受信部は、前記第1衛星信号を受信する第1受信モードと、前記第2衛星信号を受信する第2受信モードと、を選択可能に構成されており、前記週番号特定情報が前記揮発性記憶部に記憶されているか否かを検出する週番号特定情報検出工程と、前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出した場合は、前記受信部を前記第1受信モードで制御して前記第1衛星信号を受信し、受信した第1衛星信号の時刻情報および週番号情報を取得し、前記揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報に基づいて前記取得した週番号情報の周期回数を算出し、前記周期回数と前記取得した週番号情報と時刻情報とに基づいて現在日時を算出する第1時刻算出工程と、前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出しない場合は、前記受信部を前記第2受信モードで制御して前記第2衛星信号を受信し、受信した第2衛星信号の時刻情報および週番号情報を取得し、取得した時刻情報および週番号情報に基づいて現在日時を算出する第2時刻算出工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
この発明においても、上述の電子機器と同様に、揮発性記憶部に週番号特定情報が記憶されているか否かに応じて、受信モードを制御するので、第1衛星信号の週番号情報の1周期が経過した後でも現在日時を算出することができるとともに、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るGPS付き腕時計を示す概略図である。
【図2】GPS付き腕時計の回路構成を示す概略図である。
【図3】衛星信号L1C/Aの構成を説明する図である。
【図4】衛星信号L2Cの構成を説明する図である。
【図5】本実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図7】GPS付き腕時計の回路構成の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る電子時計であるGPS衛星信号受信装置付き腕時計1(以下「GPS付き腕時計1」という)を示す概略図であり、図2はGPS付き腕時計1の主なハードウェア構成を示す図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計1は、文字板2および指針3からなるアナログ表示装置を備える。文字板2の一部には小時計4が設けられている。
【0031】
指針3は、秒針、分針、時針等を備えて構成され、ステップモーターで歯車を介して駆動される。
小時計4は、分針、時針を備えて構成され、小時計用のステップモーターで歯車を介して駆動される。この小時計4は、例えば、指針3で指示される時刻と異なるタイムゾーンの時刻を表示するためなどに用いられる。すなわち、指針3によって、現在地のローカルタイムを指示し、小時計4で、設定された地域のホームタイムを指示することができる。
【0032】
GPS付き腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信して衛星時刻情報および測位情報を取得し、内部時刻情報を現在地の時刻に修正できるように構成されている。但し、測位情報を取得する測位受信モードは消費電力も大きいため、利用者が測位受信操作を行った場合に実行され、定期的に行われる自動受信処理時には衛星時刻情報のみを取得するように構成されている。
なお、GPS衛星5は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。
また、GPS付き腕時計1には、入力装置(外部操作部材)としてボタン6、リューズ7が設けられている。
【0033】
[GPS付き腕時計の回路構成]
次に、GPS付き腕時計1の回路構成について説明する。
GPS付き腕時計1は、図2に示すように、GPS装置(GPSモジュール)10、制御部(CPU)20、記憶装置30、表示装置40、入力装置50、電源60を備えている。記憶装置30は、揮発性記憶部としてのRAM31および不揮発性記憶部としてのフラッシュROM32を備える。これらの各装置は、データバス70を介してデータを通信している。
【0034】
なお、表示装置40は、時刻や測位情報を表示する前記指針3や小時計4で構成されている。入力装置50は、外部から操作可能な前記ボタン6、リューズ7で構成されている。
また、電源60は、GPS付き腕時計1の電源として機能する。なお、この電源としては一次電池、およびリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池などを使用することができる。なお、二次電池の充電には太陽電池を用いることができる。
【0035】
GPS装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備え、第1アンテナ11および第2アンテナ12を介して衛星信号を受信、処理するものである。
第1アンテナ11および第2アンテナ12は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信するパッチアンテナとなっている。衛星信号には複数の種類があり、それぞれの衛星信号に応じたアンテナを有している。本実施形態では、第1アンテナ11でL1C/A信号を受信し、第2アンテナ12でL2C信号を受信する。
第1アンテナ11および第2アンテナ12は文字板2の裏面側に配置され、GPS付き腕時計1の表面ガラスおよび文字板2を通過した電波を受信するように構成されている。
このため、文字板2および表面ガラスは、GPS衛星5から送信される衛星信号である電波を通す材料で構成されている。例えば、文字板2はプラスチックで構成されている。
【0036】
GPS装置10は、受信する衛星信号の種類に応じて受信モードを変更する。L1C/A信号を受信する場合を第1受信モード、L2C信号を受信する場合を第2受信モードとする。
そして、GPS装置10は、通常のGPS装置と同様に、各受信モードにおいてGPS衛星5から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を行って同期を行うBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)から時刻情報や週番号情報を取得する情報取得部とを備える(図示省略)。
【0037】
RF部は、バンドパスフィルタ、PLL回路、IFフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサ、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。
バンドパスフィルタは、特定の周波数を持つ衛星信号を抜き出すために設けられるものである。本実施形態では、第1受信モードでは第1アンテナ11でL1C/A信号を受信するために、1.5GHzのL1C/A信号を抜き出すバンドパスフィルタを設け、第2受信モードでは第2アンテナ12でL2C信号を受信するために、1.2GHzのL2C信号を抜き出すバンドフィルタを設ける。
そして、それぞれのバンドパスフィルタで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルタを通り、ADC(A/D変換器)でデジタル信号に変換される。
【0038】
BB部は、GPS衛星5で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、前記ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。
そして、前記相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと生成したローカルコードが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、前記ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
【0039】
ここで、航法メッセージについて説明する。航法メッセージには、GPS衛星に関する様々な情報が含まれている。航法メッセージはGPS衛星が送信する衛星信号の種類によってそれぞれ決められている。
第1アンテナ11で受信するL1C/A信号の航法メッセージは、1500ビットのメインフレームデータで構成されている。メインフレームデータは、サブフレーム1、サブフレーム2、…、サブフレーム5の5つのサブフレームで構成され、それぞれ300ビットずつに分割されている。
【0040】
図3に、サブフレーム1の構成を示す。サブフレーム1は10個のワードで構成され、それぞれ30ビットずつに分割されている。図3において、サブフレーム1の上部に示す数値は、サブフレーム1の先頭からのビット数である。先頭のワード1には受信処理時に同期をとるために使用されるTLM(telemetry word)ワードが含まれ、ワード2にはHOW(hand over word)ワードが含まれる。なお、HOWワードには、GPS信号の時刻情報であるTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)データが含まれている。また、ワード3には10ビット(サブフレーム1の先頭からのビット数で61〜70の10ビット)の週番号(WN)データが含まれ、その他のワードには衛星自体の状態を示す衛星健康状態データや、クロック補正係数などの衛星補正データ等が含まれている。
また、図示しないが、その他のサブフレームには、TLM、HOWの他、各GPS衛星5の詳細な軌道情報(エフェメリス)やアルマナック(全GPS衛星5の概略軌道情報)など全衛星に関係する情報が格納されている。
第2アンテナ12で受信するL2C信号の航法メッセージの一例を図4に示す。図4にはメッセージタイプ10のデータ構成が示されており、先頭からプリアンブルデータ、PRNコード、メッセージタイプ、TOWデータ、および13ビットの週番号データが格納されている。その他の領域には衛星補正データ等が含まれる。図4において、メッセージタイプ10の上部に示す数値は、メッセージタイプ10の先頭からのビット数であり、週番号データは先頭からのビット数で39〜51の13ビットのデータである。
【0041】
ここで、L1C/A信号とL2C信号とを比較する。
L1C/A信号は信号強度が強いためGPS装置10での受信の感度が高く、時刻情報の放送周期が短いため、受信しやすい。また、L1C/A信号を受信する第1受信モードでは消費電力が少ない。一方、週番号データのサイズが小さいため、週番号の1周期が経過した後にL1C/A信号の週番号データを用いると正確な現在日時を算出できない。
L2C信号は、航法メッセージの放送タイミングを予想できないうえに、時刻情報の放送周期が長いため、受信時間が長くなる場合があり利便性が低い。また、変調コード(PNコード)サイズが大きいため、L2C信号を受信する第2受信モードでは、消費電力が大きくなってしまう。一方、週番号データのサイズが大きいため週番号の周期が長い。したがって、L2C信号の週番号データを用いるとL1C/A信号の週番号データの周期よりも長い期間にわたって現在日時を算出することができる。
【0042】
TOWデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報であり、Zカウントと言われ、GPS装置10が現在時刻を知る手がかりともなっている。すなわち、毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。
週番号データは、現在のTOWデータが含まれる週を表す情報である。すなわち、GPS時刻の起点はUTS(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。そして、週番号と経過時間(TOW)のデータを取得することで、受信側は衛星時刻情報を取得できる構成となっている。
【0043】
上述のL1C/A信号およびL2C信号のいずれにも週番号(WN)データは含まれているが、データサイズがそれぞれ異なっている。L1C/A信号のWNデータは10ビットであるため、1980年1月6日00:00:00の週から一週間毎にカウントされると約20年後には0にリセットされる。一方、L2C信号のWNデータは13ビットであるため、約157年後に0にリセットされる。
【0044】
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出し、TOWデータ、週番号データおよび位置情報等を取得する。
本実施形態では、GPS装置10によって受信部が構成され、L1C/A信号とL2C信号のどちらを受信するかは、後述の制御部20によって制御される。
【0045】
制御部20は、位置情報(緯度および経度)を取得すると、この位置情報に対応する時差(日本であれば+9時間)を記憶装置30から取得し、受信した時刻情報(GPS時刻)にUTCオフセットを加算してUTCを求め、さらに取得した時差を加算することで、現在地の時刻を算出できる。したがって、算出した現在値の時刻に指針3を修正することで、タイムゾーンを跨いで移動した場合でも、現在地の時間を正確に表示できる。
【0046】
制御部20は、フラッシュROM32に記憶されたプログラムにより各種制御を行う。このため、制御部20は、図5に示すように、週番号特定情報検出手段21、受信制御手段22、第1時刻算出手段23、第2時刻算出手段24、週番号特定情報格納手段25、稼動日格納手段26を備える。
【0047】
週番号特定情報検出手段21は、予め設定された受信時刻になった場合や、ボタン6やリューズ7などの入力装置によって受信操作が行われた場合、または電源60がONに入力された場合に、RAM31に週番号特定情報が記憶されているか否かを検出する。なお、本実施形態では、週番号特定情報として、前回の受信で算出した日時がRAM31に記憶されている。
受信制御手段22は、週番号特定情報検出手段21によってRAM31に週番号特定情報が記憶されていることが検出されると、第1受信モードでGPS装置10を制御し、L1C/A信号を受信する。一方、RAM31に週番号特定情報が記憶されていることを検出できない場合は、第2受信モードでGPS装置10を制御し、L2C信号を受信する。
通常は、週番号特定情報として前回の受信で算出した現在日時がRAM31に記憶されているが、一度電源がリセットされると、RAM31に記憶された週番号特定情報は消去され、RAM31に週番号特定情報が記憶されていない状態となる場合がある。このため、受信制御手段22によってGPS装置10の受信モードを制御する。
【0048】
第1時刻算出手段23は、第1受信モードで受信したL1C/A信号の航法メッセージからTOWデータや週番号データを取得する。そして、取得した週番号データの周期回数を、RAM31に記憶された週番号特定情報に基づいて算出し、この周期回数と取得した週番号データと取得したTOWデータに基づいて現在日時を算出する。
第2時刻算出手段24は、第2受信モードで受信したL2C信号の航法メッセージからTOWデータと週番号データを取得する。そして、取得したTOWデータと週番号データに基づいて時刻を算出する。なお、必要に応じてフラッシュROM32に記憶された稼動日データを取得し、この稼動日データから週番号データの周期回数を求めて正確な現在日時を算出してもよい。
【0049】
週番号特定情報格納手段25は、第1時刻算出手段23または第2時刻算出手段24により算出した日時をRAM31に記憶させる。ここで、RAM31には、算出した日時のほか、受信により取得したTOWデータ、週番号データ、閏秒情報および位置情報などのデータが記憶される。RAM31は揮発性であるため、電源60がリセットされるとRAM31内に記憶されたデータは消去される。
稼動日格納手段26は、所定期間ごとに現在の稼動日をフラッシュROM32に記憶させる。所定期間とは、1週間、1ヶ月、1年の単位など、状況に応じて適宜選択すればよい。ここで、フラッシュROM32には、稼動日のほか、制御部20で実行するプログラム等が記憶される。フラッシュROM32は不揮発性であるため、電源がリセットされた場合でも稼動日を保持する。
なお、図示しない時刻修正手段により、指針3や小時計4等の表示装置40の時刻表示を算出した時刻に修正する。
【0050】
[時刻表示処理]
次に、GPS付き腕時計1の時刻表示処理を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
図6に示す時刻表示処理は、所定の受信モードで衛星信号を受信し、受信した衛星信号の航法メッセージから時刻算出に必要な情報を取得し、これらの情報に基づいて現在日時を算出して表示させるものである。
すなわち、図6の時刻表示処理が開始されると、制御部20は、GPS装置10を駆動し、受信を開始する(S11)。
まず、週番号特定情報検出手段21は、RAM31に週番号特定情報が記憶されているか否かを検出する(S12)。
S12で「Yes」と判定されてRAM31に週番号特定情報が記憶されていることを検出した場合、受信制御手段22は、第1受信モードでGPS衛星5を制御する(S21)。
一方、S12で「No」と判定されてRAM31に週番号特定情報が記憶されていることを検出できない場合、受信制御手段22は、第2受信モードでGPS衛星5を制御する(S31)。
【0051】
S21でGPS装置10が第1受信モードで制御されると、第1アンテナ11でL1C/A信号を受信する(S22)。次に、第1時刻算出手段23は、L1C/A信号の航法メッセージからTOWデータ、週番号データ、閏秒情報および位置情報を取得する(S23)。
ここで、週番号データは、1980年1月6日を「0」とし、1週間ごとにカウントアップされる数値である。L1C/A信号の週番号データは10ビットというデータサイズであることから、1999年8月23日の週に再度「0」に戻る(ロールオーバー)。したがって、この週番号データだけでは、1980年から約20年間の周期回数1回目の週を示しているのか、1999年から約20年間の周期回数2回目の週を示しているのかが不明となる。
そこで、第1時刻算出手段23は、RAM31に記憶されている週番号特定情報を取得し、この週番号特定情報を用いて週番号データの周期回数を特定し、取得した週番号データとTOWデータとに基づいて現在日時であるGPS時刻を算出する(S24)。
【0052】
具体的には、まず、週番号特定情報として記憶されている前回の受信で算出した日時の年月日を基準日とし、この基準日における週番号データの周期回数を特定する。例えば、基準日が2007年1月20日である場合は、週番号データのカウント開始日(1980年1月6日)から約27年経過しているため、基準日における週番号データの周期回数を2回目と特定することができる。そして、今回受信した現在日時の年月日は通常は基準日以降の週であることから、今回受信した週番号データの周期回数も2回目であると推測する。そして、推測された周期回数と取得した週番号データに基づいて得られる年月日(週番号データで特定される週の日曜日の日付)が、基準日よりも前の年月日であれば、今回受信した週番号データの周期回数は基準日の周期回数より1周期後、すなわち周期回数3回目と特定する。一方、推測された周期回数と取得した週番号データに基づいて得られる年月日が、基準日以降の年月日であれば、今回受信した週番号データの周期回数は2回目と特定する。
このようにして特定された周期回数と取得した週番号データにより、その週番号データで特定される週の日曜日の日付(年月日)が判明し、さらに、取得したTOWデータのZカウントにより、日曜日の午前0時からの経過時間が分かるため、現在の年月日時分秒(GPS時刻)を得ることができる。
【0053】
さらに、時刻の算出において必要な他のデータ、例えば閏秒情報および位置情報を航法メッセージから同時に取得しておき、閏秒情報から得られるUTCオフセットをGPS時刻に加算してUTC(協定世界時)を求める。また、位置情報(緯度および経度)に対応する時差を記憶装置30に記憶させておき、取得した位置情報に対応する時差をUTCに加算して現在地の時刻(現在日時)を算出する。
【0054】
一方、S31でGPS装置10が第2受信モードで制御されると、第2アンテナ12でL2C信号を受信する(S32)。次に、第2時刻算出手段24は、L2C信号の航法メッセージからTOWデータ、週番号データ、閏秒情報および位置情報を取得する(S33)。
次に、第2時刻算出手段24は、フラッシュROM32に記憶されている稼動日データを取得し(S34)、TOWデータ、週番号データ、稼動日データに基づいて現在日時を算出する(S35)。
【0055】
具体的には、まず、L2C信号の週番号データだけでは、周期回数1回目(約157年)が経過した後はその周期回数が不明となるため、稼動日データを用いて周期回数を特定する。特定する方法としては、第1時刻算出手段23で行った特定方法と同様に、稼動日データの年月日を基準日とし、この基準日における週番号データの周期回数を特定する。そして、今回受信した現在日時の年月日は通常は基準日以降の週であることから、今回受信した週番号データの周期回数は基準日における周期回数であると推測する。そして、推測された周期回数と取得した週番号データに基づいて得られる年月日が、基準日よりも前の年月日であれば、今回受信した週番号データの周期回数は基準日の周期回数より1周期後の周期回数であると特定する。一方、推測された周期回数と取得した週番号データに基づいて得られる年月日が、基準日以降の年月日であれば、今回受信した週番号データの周期回数は基準日の周期回数と同じであるとする。このようにして特定された周期回数と取得した週番号データにより、その週番号データで特定される週の日曜日の日付(年月日)が判明し、さらに、取得したTOWデータのZカウントにより、日曜日の午前0時からの経過時間が分かるため、現在の年月日時分秒(GPS時刻)を得ることができる。
【0056】
さらに、第1時刻算出手段23と同様に、取得した閏秒情報から得られるUTCオフセットをGPS時刻に加算してUTC(協定世界時)を求める。また、取得した位置情報に対応する時差をUTCに加算して現在地の時刻(現在日時)を算出する。
【0057】
そして、週番号特定情報格納手段25は、算出した現在日時を週番号特定情報としてRAM31に記憶させるとともに、算出された時刻に基づいて指針3の指示が修正される。(S13)。
次に、稼動日格納手段26は、稼動日データがフラッシュROM32に最後に記憶されてから所定期間経過しているか否かを判断する(S14)。所定期間とは、1週間、1ヶ月、1年などの期間である。この稼動日データは、前述の通り、第2受信モードにおいてL2C信号の週番号データの周期回数を算出するために用いられる。
【0058】
S14で「Yes」と判定されて所定期間経過している場合、稼動日格納手段26は、フラッシュROM32に現在の年月日を稼動日データとして記憶させる(S15)。
一方、S14で「No」と判定されて所定期間が経過していない場合は、処理を行わない。
以上により受信処理を終了する。そして、本実施形態では、週番号特定情報検出工程は、週番号特定情報検出手段21によって実施されるS12の処理によって構成される。また、第1時刻情報算出工程は、受信制御手段22および第1時刻算出手段23によって実施されるS21〜S24の各処理によって構成される。さらに、第2時刻情報算出工程は、受信制御手段22および第2時刻算出手段24によって実施されるS31〜S35の各処理によって構成される。そして、週番号特定情報格納工程は、週番号特定情報格納手段25によって実施されるS13の処理の一部によって構成される。
【0059】
[第1実施形態の効果]
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
制御部20は、RAM31に週番号特定情報が記憶されているか否かに応じて、GPS装置10の受信モードを切り替えている。GPS衛星5から放送されている信号のうちL1C/A信号とL2C信号の航法メッセージにはそれぞれTOWデータと週番号データが含まれている。しかしながら、これらの週番号は同じ期間でカウントされる一方、週番号データのサイズが異なるために、週番号が0にリセットされるまでの周期が大きく異なる。L1C/A信号は約20年で0に戻るのに対し、L2C信号は約157年で0に戻る。すなわち、L1C/A信号を受信した場合、約20年という短い期間が経過した後の週番号データを取得すると週番号の周期回数が分からなくなるため、周期回数を算出するために週番号特定情報が必要であるのに対し、L2C信号の週番号は約157年という長い周期であるため週番号特定情報がなくても長い期間にわたって現在日時を算出することができる。
したがって、RAM31に週番号特定情報が記憶されていない場合は、L2C信号の航法メッセージに含まれる週番号データを利用することにより、L1C/A信号の週番号データの周期が経過した後でも現在日時を算出することができる。
【0060】
また、RAM31に週番号特定情報が記憶されている場合は、GPS装置10を第1受信モードで制御する。L1C/A信号の受信はL2C信号の受信に比べて消費電力が小さいので、RAM31に週番号データが記憶されている場合は常に第1受信モードで受信することにより省エネルギー化を図ることができる。
また、L2C信号はL1C/A信号と比較して、時刻情報の航法メッセージの放送周期が長く、航法メッセージの到達タイミングの予想が困難であるという点からも、できるだけL1C/A信号を利用するほうが利便性が高い。本実施形態では、通常は第1受信モードでL1C/A信号を受信し、RAM31に週番号特定情報が記憶されていない場合のみ第2受信モードでL2C信号を受信することとしたので、消費電力を抑えることができるとともに、常に正確な現在日時を算出することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、フラッシュROM32に所定期間ごとの稼動日データを記憶させることとした。これは、L2C信号の航法メッセージに含まれる週番号データが約157年経過した後に0にリセットされた後であっても、フラッシュROM32に記憶された稼動日データから週番号データの周期回数を求めることができるため、L2C信号の週番号の1周期が経過した後でも現在日時を算出することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、週番号特定情報として腕時計1の内部で計時される内部時刻情報を用いたこと以外は第1実施形態と同様の構成であるので、図面を省略する。すなわち、第2実施形態では、腕時計1は図示しない計時手段を有し、この計時手段により計時された内部時刻情報がRAM31に記憶されている。
したがって、第1週番号情報の周期回数を算出する際には、この内部時刻情報の年月日データを基準日とし、第1実施形態と同様の方法で周期回数を算出した上で、現在日時を得ることができる。すなわち、内部時刻情報から現在の年月日を把握できるため、現在の週番号データの周期回数も特定できる。従って、特定した周期回数と、取得した週番号データおよびZカウントで現在の年月日時分秒を得ることができる。
【0063】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果がある。
内部時刻情報を基準日として現在日時の算出を行うため、別途、週番号特定情報を用意する必要もなく、既存の構成を利用できるため、容易に実現することができる。
また、第1週番号情報の周期を超えた長い期間、衛星信号を1度も受信していない場合でも、第1週番号情報の正確な周期回数を算出することができる。
なお、システムリセットなどで内部時刻情報が無くなった場合は、第2受信モードで制御され、L2C信号の週番号情報を取得することにより、現在日時を算出することができる。
【0064】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図7に基づいて説明する。なお、前述した他の実施形態と同一または同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、GPS装置10はアンテナとして第3アンテナ13のみを備え、さらに制御部20の受信制御手段22により選択された受信モードに応じたバンドパスフィルタを第3アンテナ13に配置する受信信号切替部(図示しない)を備えている。
第3アンテナ13は、受信信号切替部の切替によりGPS衛星5から放送されるL1C/A信号またはL2C信号を受信することができる。
【0065】
[第3実施形態の効果]
このような第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果がある。
2種類の衛星信号を受信するアンテナを1つとしたので、設備の小型化および経費節減を図ることができる。
【0066】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、GPS装置10は、衛星信号を受信する際に、一つのGPS衛星から受信する単独受信モードと、複数のGPS衛星から受信する複数受信モードと、を選択可能に構成される。
単独受信モードでは、GPS装置10は、一つのGPS衛星5を探索し、一つのGPS衛星5を捕捉すると、一つのGPS衛星5から放送される第1衛星信号または第2衛星信号を、そのときの受信モードに応じて受信する。このような第1受信形態では、消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0067】
複数受信モードでは、GPS装置10は、複数のGPS装置5を探索し、所望のデータを送信しているGPS衛星5を捕捉し、捕捉したGPS衛星5から送信される第1衛星信号または第2衛星信号を、そのときの受信モードに応じて受信する。第2受信形態では、特に、L2C信号のようにGPS衛星5毎に航法メッセージのシーケンスや放送周期が異なる場合は、複数のGPS衛星5から探索することでより早く所望のデータを得ることができる。
【0068】
制御部20は、上述の単独受信モードと複数受信モードとを切り替える受信モード切替手段を有している。受信モード切替手段は、状況に応じて受信モードを切り替えることができ、例えば、単独受信モードでGPS衛星5の探索時間が長くなった場合などに、複数受信モードに切り替えたり、通常は単独受信モードで消費電力を抑えながら、L2C信号を受信するときのみ複数受信モードに切り替えたりすることができる。
【0069】
[第4実施形態の効果]
このような第4実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果がある。
衛星信号の受信状況に応じて受信モードを切り替えることができるので、例えば電力消費を抑えたい場合は単独受信モードとし、情報を早く得たい場合は複数受信モードとすることができ、利便性が高い。
【0070】
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記実施形態では、週番号特定情報として第1時刻算出手段または第2時刻算出手段で算出した現在日時を用いたが、L1C/A信号の週番号データの周期回数を特定できる情報であればこれに限られない。例えば、第1時刻算出手段で取得した週番号データと算出した現在日時におけるその周期回数とを週番号特定情報としてもよい。また、フラッシュROM32に記憶されている稼動日データを週番号特定情報として用いてもよい。
また、上記実施形態では、第2受信モードにおいて稼動日データを用いてL2C信号の週番号データの周期回数を特定しているが、フラッシュROM32に記憶されL2C信号の週番号データの周期回数を特定できるものであれば稼動日データに限られない。
さらに、L2C信号の週番号データの周期回数を特定しないで現在日時を算出してもよい。L2C信号の週番号データは周期が約157年と長い期間であるため、週番号データの周期回数は常に1回目であることを前提として日時を算出することができる。これによれば、稼動日データをフラッシュROM32に記憶させる必要がないので、システムの簡素化を図ることができる。
【0071】
上記実施形態では、第1衛星信号としてL1C/A信号、第2衛星信号としてL2C信号を用いたが、週番号データを有する衛星信号であればこれらに限られない。位置情報衛星から送信される他の衛星信号(L5信号等)を用いてもよい。
また、上記実施形態では、フラッシュROM32(不揮発性記憶部)に稼動日を記憶させ、この稼動日を現在日時の算出に用いることとしたが、フラッシュROM32を設けない構成としてもよい。これによれば、設備の小型化を図ることができる。
さらに、第1実施形態では、常に複数のGPS衛星5から受信する構成とし、第3実施形態では、受信状況に応じて単独受信モードと複数受信モードとを切り替える構成としたが、常に単独のGPS衛星5から受信する構成としてもよい。これによれば、常に消費電力を抑えることができる。
【0072】
そして、上記実施形態では電子機器として腕時計を例示して説明したが、これに限られない。例えば、車載用GPSレーダー、ナビゲーション機能を持つPND(Personal Navigation Device)、移動した場所の位置情報を記録するGPSロガー、GPS受信機能を搭載したデジタルカメラ等の電子機器にも適用することができる。このような電子機器は、パソコンなどの外部の機器に接続して日時情報を取得しなくても、衛星信号を受信することで正確な日時を得ることができ、特に携帯して用いる場合に利便性が高い。
【符号の説明】
【0073】
1…GPS付き腕時計、3…指針、4…小時計、5…GPS衛星、10…GPS装置、20…制御部、21…週番号特定情報検出手段、22…受信制御手段、23…第1時刻算出手段、24…第2時刻算出手段、25…週番号特定情報格納手段、26…稼動日格納手段、30…記憶装置、31…RAM、32…フラッシュROM、40…表示装置、50…入力装置、60…電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から送信される第1衛星信号および第2衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部の動作を制御する制御部と、
週番号特定情報が記憶される揮発性記憶部と、を備え、
前記第1衛星信号は、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第1週番号情報とを有し、
前記第2衛星信号は、前記時刻情報と前記第1週番号情報よりデータサイズが大きい第2週番号情報とを有し、
前記週番号特定情報は、前記第1週番号情報の周期回数を特定可能な情報であり、
前記受信部は、
前記第1衛星信号を受信する第1受信モードと、
前記第2衛星信号を受信する第2受信モードと、を選択可能に構成され、
前記制御部は、
前記受信部を前記第1受信モードで制御して前記第1衛星信号を受信し、受信した第1衛星信号の時刻情報および第1週番号情報を取得し、前記揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報に基づいて前記取得した第1週番号情報の周期回数を算出し、前記周期回数と前記取得した第1週番号情報と前記取得した時刻情報とに基づいて現在日時を算出する第1時刻算出手段と、
前記受信部を前記第2受信モードで制御して前記第2衛星信号を受信し、受信した第2衛星信号の時刻情報および第2週番号情報を取得し、取得した時刻情報および第2週番号情報に基づいて現在日時を算出する第2時刻算出手段と、
前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されているか否かを検出する週番号特定情報検出手段と、
前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出した場合は、前記第1時刻算出手段を作動し、前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出しない場合は、前記第2時刻算出手段を作動する受信制御手段と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記週番号特定情報は、前回の受信制御時に、前記第1時刻算出手段または前記第2時刻算出手段で算出された年月日データであることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
時間を計時する計時手段を備え、
前記週番号特定情報は、前記計時手段で計時されている年月日データであることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子機器において、
前記第1衛星信号はL1C/A信号であり、
前記第2衛星信号はL2C信号である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
所定期間ごとの稼動日が記憶される不揮発性記憶部をさらに備え、
前記第2時刻算出手段は、さらに前記不揮発性記憶部に記憶された稼動日に基づいて現在日時を算出する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信部は、
前記第1衛星信号および前記第2衛星信号を1つの位置情報衛星から受信する単独受信モードと、
前記第1衛星信号および前記第2衛星信号を複数の位置情報衛星から受信する複数受信モードと、を選択可能に構成され、
前記制御部は、
前記受信部の前記単独受信モードと前記複数受信モードとを切り替える受信モード切替手段をさらに備えた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
位置情報衛星から送信される第1衛星信号および第2衛星信号を受信する受信部と、前記受信部の動作を制御する制御部と、週番号特定情報が記憶される揮発性記憶部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記第1衛星信号は、時分秒を表す時刻情報と所定日から所定期間ごとにカウントされ所定周期ごとにリセットされる第1週番号情報とを有し、
前記第2衛星信号は、前記時刻情報と前記第1週番号情報よりデータサイズが大きい第2週番号情報とを有し、
前記週番号特定情報は、前記第1週番号情報の周期回数を特定可能な情報であり、
前記受信部は、
前記第1衛星信号を受信する第1受信モードと、
前記第2衛星信号を受信する第2受信モードと、を選択可能に構成されており、
前記週番号特定情報が前記揮発性記憶部に記憶されているか否かを検出する週番号特定情報検出工程と、
前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出した場合は、前記受信部を前記第1受信モードで制御して前記第1衛星信号を受信し、受信した第1衛星信号の時刻情報および週番号情報を取得し、前記揮発性記憶部に記憶されている週番号特定情報に基づいて前記取得した週番号情報の周期回数を算出し、前記周期回数と前記取得した週番号情報と時刻情報とに基づいて現在日時を算出する第1時刻算出工程と、
前記週番号特定情報検出手段が前記揮発性記憶部に前記週番号特定情報が記憶されていることを検出しない場合は、前記受信部を前記第2受信モードで制御して前記第2衛星信号を受信し、受信した第2衛星信号の時刻情報および週番号情報を取得し、取得した時刻情報および週番号情報に基づいて現在日時を算出する第2時刻算出工程と、を有する
ことを特徴とする電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−216999(P2010−216999A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64314(P2009−64314)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】