説明

電子機器およびその画面切替方法

【課題】電子機器における表示画面の切り替え設定に関係なく、容易且つ迅速な設定操作を可能とすること。
【解決手段】電子機器1は、ユーザ操作に応じて表示手段42に表示する画面を切り替えて設定画面を表示させるものである。この電子機器1の取得手段56は、マニュアル4を読取手段3で読み取ることにより生成される読取位置情報であって、マニュアル4中の読取位置を示すものを取得する。記憶手段46は、マニュアル4に掲載される記事に対応する設定画面のデータを、マニュアル4の読取位置により選択可能に記憶する。選択手段57は、読取位置情報を用いて、記憶手段46から、読取手段3により読み取られた位置に掲載される記事に対応する設定画面のデータを選択する。制御手段58は、読取手段3によりマニュアル4が読み取られた場合、選択手段57により選択された設定画面を表示手段42に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその画面切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子ペンにより地図帳の地図を読み取り、その読み取られた地図上の地点を目的地などとして利用するナビゲーションシステムを開示する。
【0003】
特許文献2は、電子ペンを用いて指定された用紙上の紙面情報を抽出し、コマンドデータベースを参照して用紙に記入されたコマンドに対応するコマンド実行情報を検索し、編集処理を実行する編集システムを開示する。
【0004】
特許文献3は、問題用紙、カタログ、書籍、マニュアルなどに利用できるマーク用紙を開示する。また、特許文献3には、マーク用紙をマニュアルに利用した場合、マニュアル中の写真や挿絵を電子ペンによりチェックすると、その下に印刷されたID付き送信コマンドが読み取られてパソコンへ送られること、パソコンではそれを識別してその写真や挿絵に関係した動画像を音声付でディスプレイすること、が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−287432号公報(要約、発明の実施の形態など)
【特許文献2】特開2005−346415号公報(要約など)
【特許文献3】特開2005−332351号公報(段落0036、要約など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーナビゲーション装置などの電子機器では、多機能化、汎用化などが著しい。そのため、たとえばカーナビゲーション装置において目的地設定や3D(Dimension)地図の俯瞰角度設定などの、互いに関連性の無い各種の設定操作が容易となるように、電子機器においては、設定項目を分類し、その分類にしたがって設定項目が選択できるようになっている。また、電子機器に付属するマニュアルが辞書並みの厚さとなったり、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの記録媒体によりマニュアルが提供されたりしている。
【0007】
このような環境下では、ユーザは、マニュアルを参照しながら電子機器の表示画面を切り替え、所望の設定画面が表示されるように操作をしなければならない。時に、この所望の設定画面を表示させるための操作は、複雑であり、難解である。また、ユーザによっては、マニュアルが辞書並みの厚さであることに辟易したり、車内に分厚いマニュアルを常備したくなかったりするため、マニュアルを利用することを諦めて、適当に操作して所望の設定画面を探し当てて設定操作をしていることもある。メーカにおいても、表示画面の切り替え操作が直感的に判りやすくなるように工夫をこらしているが、万人にとって判りやすいものであると言い切れる程にはなっていない。
【0008】
そして、いずれの場合においても、ユーザは、ある設定をしようとする場合には、必ず、まず、設定項目の選択画面から所望の項目を選択して、所望の設定画面が表示されるように操作をしなければならない。所望の項目の設定画面が表示されるように、設定項目選択画面の切り替え操作をしなければならない。
【0009】
このような現状に鑑み、本願発明者らは、鋭意研究を重ねた。そして、本願発明者らは、マニュアルを電子ペンにより読み取るようにすることで、電子機器における表示画面の切り替え設定に関係なく設定画面を表示させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
なお、上述した特許文献1のナビゲーションシステムは、地図帳を電子ペンにより読み取ることにより目的地を設定するものであり、特許文献2の編集システムは、指定用紙を電子ペンにより読み取ることにより実行コマンドを設定するものであり、特許文献3は、マニュアルを電子ペンにより読み取ることにより、読み取った写真や挿絵に関係した動画像を音声付でディスプレイするためのものである。すなわち、これらの特許文献は、電子ペンにより各種の設定をすることを開示している。
【0011】
本発明は、電子機器における表示画面の切り替え設定に関係なく、容易且つ迅速な設定操作が可能な電子機器およびその画面切替方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電子機器は、ユーザ操作に応じて表示手段に表示する画面を切り替えて設定画面を表示させるものである。そして、この電子機器は、電子機器のユーザ操作を説明するマニュアルを読取手段で読み取ることにより生成される読取位置情報であって、マニュアル中の読取位置を示すものを取得する取得手段と、マニュアルに掲載される記事に対応する設定画面のデータを、マニュアルの読取位置により選択可能に記憶する記憶手段と、読取位置情報を用いて、記憶手段から、読取手段により読み取られた位置に掲載される記事に対応する設定画面のデータを選択する選択手段と、読取手段によりマニュアルが読み取られた場合、選択手段により選択された設定画面を表示手段に表示させる制御手段と、を有する。
【0013】
本発明に係る電子機器は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、マニュアルの読み取りに基づいて表示手段に表示される設定画面は、ユーザが設定値を入力する操作をするための設定画面である。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、電子機器は、さらに、表示手段に設定画面が表示されている状態において、取得手段が読取手段による軌跡を示す複数の読取位置情報を取得した場合に、その複数の読取位置情報に基づいて特定される設定値を設定する設定手段を有する。
【0015】
本発明に係る電子機器は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、電子機器は、さらに、ユーザによる画面の切替操作があった場合に、所定の画面の切り替え順により表示手段に表示させる画面を切り替える切替指示を制御手段へ入力する入力手段と、読取手段によりマニュアルが読み取られた場合、その読取時の画面から選択手段により選択された設定画面へ順番に切り替えるための1または複数の切替指示を制御手段へ供給する読取指示供給手段と、を有する。そして、制御手段は、読取指示供給手段の複数の切替指示に基づいて表示手段に表示させる画面を複数回切り替え、その切り替わりが終えた時点で、選択手段により選択された設定画面を表示手段に表示させる。
【0016】
本発明に係る電子機器は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、読取指示供給手段による複数の切替指示の処理中には、入力手段による切替指示を無効とする。
【0017】
本発明に係る電子機器の画面切替方法は、ユーザ操作に応じて表示手段に表示する画面を切り替えて設定画面を表示させるものである。そして、この電子機器の画面切替方法では、電子機器のユーザ操作を説明するマニュアルを読取手段で読み取ることにより生成される読取位置情報であって、マニュアル中の読取位置を示すものを取得するステップと、マニュアルに掲載される記事に対応する設定画面のデータを、マニュアルの読取位置により選択可能に記憶する記憶手段から、読取位置情報を用いて、読取手段により読み取られた位置に掲載される記事に対応する設定画面のデータを選択するステップと、読取手段によりマニュアルが読み取られた場合、選択された設定画面を表示手段に表示させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、読取手段によるマニュアルの読み取りに基づいて、読取手段により読み取られた位置に掲載される記事に対応する設定画面を表示手段に表示させる。したがって、本発明では、電子機器における表示画面の切り替え設定に関係なく、容易且つ迅速な設定操作が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る電子機器およびその画面切替方法を、図面に基づいて説明する。電子機器は、カーナビゲーションシステムを例として説明する。電子機器の画面切替方法は、カーナビゲーションシステムにおける動作の一部として説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示すシステム構成図である。カーナビゲーションシステム1は、電子機器の一種であり、ナビゲーション本体2と、ナビゲーション本体2と通信する電子ペン3と、カーナビゲーションシステム1のマニュアル4と、を有する。なお、図1において、電子ペン3とナビゲーション本体2とは通信ケーブル5により接続されているが、電子ペン3とナビゲーション本体2とは無線通信により通信可能となっていてもよい。
【0021】
図2は、図1中のマニュアル4の紙面の説明図である。マニュアル4は、このカーナビゲーションシステム1の操作説明書であり、カーナビゲーションシステム1のすべての機能を詳細に説明したものであっても、主な機能を抜粋して説明したものであってもよい。
【0022】
図2(A)は、図1中のマニュアル4の1枚のページ11を示すものであり、ここではカーナビゲーションシステム1の各種の機能を説明する目次が可読記事として印刷されている。
【0023】
このカーナビゲーションシステム1では、ユーザは、カーナビゲーションシステム1の各種の機能を設定することができる。このような機能の設定項目としては、図2(A)の目次に示されるように、たとえば地図の表示の仕方、車両登録などがある。また、地図の表示の仕方の設定項目としては、詳しくは、地図を三次元で表示するかあるいは二次元で表示するかを設定するための項目や、三次元地図表示における俯角などがある。
【0024】
このようにユーザ設定可能な項目を設けることにより、カーナビゲーションシステム1を各ユーザにとって使いやすいものとすることができ、商品価値を高めることができる。また、ユーザは、このカーナビゲーションシステム1に対して、経路探索機能の目的地を設定したり、経路探索の条件(たとえば距離優先、一般道優先などの条件)を設定したりすることもできる。
【0025】
図2(B)は、図2(A)の目次(可読記事)と重ねてページ11に印刷される、電子ペン3により読取可能なドットパターン12を示す図である。マニュアル4の各紙面には、図2(B)に示すようなドットパターン12がそれぞれのページ11の可読記事(たとえば俯角設定画面63の説明など)と重ねて印刷されている。
【0026】
ドットパターン12は、たとえば赤外線を吸収するインクでシートに印刷され、たとえば6×6個のドットにより紙面中の各位置を示す座標値へ変換可能なものである。この座標値は、たとえば図2での紙面の右上角を基準とした二次元の座標値(x,y)である。
【0027】
なお、図2(A)中において点線枠で示すように、図2(A)中の「地図表示の選択(2D,3D)」の文字の左上角に対応するドットにコード化された座標値は(x11,y11)であり、右下角に対応するドットにコード化された座標値は(x12,y12)である。また、図2(A)中の「俯角設定」の文字の左上角に対応するドットにコード化された座標値は(x21,y21)であり、右下角に対応するドットにコード化された座標値は(x22,y22)である。
【0028】
図3は、図1のカーナビゲーションシステム1の詳細な構成を示すブロック図である。
【0029】
読取手段としての電子ペン3は、図1に示すようにペン形状のハウジングを有する。そのハウジング内には、図3に示すように、赤外線LED(Light Emitting Diode)21、赤外線カメラ22、通信I/F(Inter Face)23、これらが接続されるマイクロコンピュータ24、これらに給電する図示外のバッテリなどを有する。
【0030】
赤外線カメラ22は、たとえば赤外線用のCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサであり、受光した赤外線のパターンデータをマイクロコンピュータ24へ周期的に出力する。そして、赤外線LED21および赤外線カメラ22は、電子ペン3のペン先に向けて配設される。これにより、電子ペン3の赤外線カメラ22は、赤外線LED21がペン先に向けて照射した赤外線の紙面による反射光を受光し、そのペン先付近のドットパターン12を周期的に読取ることができる。
【0031】
通信I/F23は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)I/Fである。USBI/Fは、USBケーブル(通信ケーブル5)により接続された他の機器のUSBI/F(ここではナビゲーション本体2の通信I/F41)との間で通信データを送受信する。なお、通信I/F23は、この他にもたとえばE/N(Ethernet(登録商標))ケーブルなどの通信ケーブル5により他の機器と接続されることにより通信をするものであっても、所謂ブルートゥース、赤外線通信、無線LAN(Local Area Network)などにより他の機器と通信をするものであってもよい。
【0032】
電子ペン3のマイクロコンピュータ24は、時刻や経過時間などを計測するタイマ26、メモリ27、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。メモリ27は、読取データ28などの各種のデータを記憶する。CPUは、メモリ27に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン3のマイクロコンピュータ24には、座標読取部29、送信部30などの機能が実現される。
【0033】
座標読取部29は、赤外線カメラ22から周期的に供給される各パターンデータを解析し、各パターンデータにコード化されている読取座標値を生成する。座標読取部29は、生成した読取座標値に、タイマ26で計測される現在時刻を対応付けてメモリ27へ保存する。これにより、メモリ27には、読取データ28が記憶される。したがって、読取データ28は、座標読取部29が生成した複数の読取座標値からなる筆跡データと、各読取座標値の読取時刻を示す複数の時刻情報とにより構成されている。なお、読取データ28は、この他にも筆圧データなどを有するものであってもよい。
【0034】
送信部30は、電子ペン3の通信I/F23による通信を管理する。送信部30は、メモリ27に記憶させる読取データ28を、送信する通信データとして電子ペン3の通信I/F23へ供給する。
【0035】
ナビゲーション本体2は、自動車などの車両のセンターコンソールやダッシュボードなどに設置されるものである。なお、ナビゲーション本体2は、車両に固定的に設置されるものであっても、車両に対して着脱可能に設置されるものであってもよい。そして、ナビゲーション本体2は、図3に示すように、通信I/F41、表示手段としての液晶デバイス42、タッチパネルなどの入力手段しての入力デバイス43、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信する図示外のGPS受信デバイス、これらが接続されるマイクロコンピュータ44などを有する。
【0036】
ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ44は、記憶手段としてのメモリ46、図示外のCPUなどを有する。メモリ46は、受信データ47、変換テーブル48、画面データベース49、切替テーブル50、設定データ51などのデータを記憶する。CPUは、メモリ46に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ44には、受信部56、変換部57、制御部58などの機能が実現される。
【0037】
なお、上述した電子ペン3のメモリ27に記憶されるプログラムおよびナビゲーション本体2のメモリ46に記憶されるプログラムは、これらの機器の出荷前にメモリ27,46に記憶されたものであっても、これらの機器の出荷後にメモリ27,46に記憶されたものであってもよい。また、メモリ27,46に記憶されるプログラムの一部が、これらの機器の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にメモリ27,46に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0038】
また、ナビゲーション本体2のメモリ46に記憶されるプログラムおよび上述した各種のデータは、その一部あるいは全部が、マイクロコンピュータ44外のたとえばHDDなどの外部記憶デバイスや、ナビゲーション本体2と着脱可能なたとえばメモリカードやCD−ROMなどに記憶されていてもよい。特に、変換テーブル48や変換部57用のプログラムは、マニュアル4の印刷内容と密接に関連するので、ナビゲーション本体2から着脱可能なメモリカードに記憶され、マニュアル4とともにユーザへ提供されるようにしてもよい。
【0039】
設定データ51は、ナビゲーション本体2の各種の設定値を有する。ナビゲーション本体2の各種の設定値としては、たとえば、地図表示を二次元あるいは三次元に指定する設定値、三次元地図表示における俯角の設定値などがある。ナビゲーション本体2は、この設定データ51にしたがって表示処理などを実行する。
【0040】
図4は、図3中の画面データベース49のデータ構造を示す説明図である。画面データベース49は、液晶デバイス42に表示される複数の表示画面のデータを有する。複数の表示画面には、たとえば、設定項目を選択するための設定項目選択画面61、表示する地図を二次元とするかあるいは三次元とするかを選択させるための表示地図設定画面(設定画面)62、三次元地図表示における俯角を設定するための俯角設定画面(設定画面)63などがある。表示地図設定画面62や俯角設定画面63は、設定画面の一種である。なお、設定項目選択画面61は、設定項目を選択するための画面であり、この画面において設定値の設定操作はなされない。また、俯角設定画面63などの設定画面は、ユーザによる設定値入力操作に応じて、画面に表示されている設定項目の設定値の設定(更新)がなされる。
【0041】
また、画面データベース49は、各表示画面のデータと対応付けて、互いの画面を識別するための画面ID(Identify)番号を有する。図4の画面データベース49では、設定項目選択画面61に「100」が対応付けられ、表示地図設定画面62に「110」が対応付けられ、俯角設定画面63に「181」が対応付けられている。
【0042】
図5は、複数の表示画面間の切替関係を示す図である。図5の最上段にある表示画面はナビゲーション画面60である。ナビゲーション画面60には、車両の現在位置マークと地図とが重ねて表示されている。図5の中段にある表示画面は、図4の画面データベース49に記憶される設定項目選択画面61である。図5の中段にある2つの表示画面は、図4の画面データベース49に記憶される表示地図設定画面62および俯角設定画面63である。
【0043】
図3中の切替テーブル50は、図5に示すような、複数の表示画面間の切替関係に関する情報を有する。すなわち、切替テーブル50は、設定ボタン71(図1のナビゲーション本体2の正面右側に配列されるボタンの中の1つのもの)が操作された場合に、表示画面を設定項目選択画面61へ切り替えるための切替関係情報(画面ID番号:100など)や、設定項目選択画面61中の表示地図ボタン72が操作された場合に、表示画面を表示地図設定画面62へ切り替えるための切替関係情報(画面ID番号:111など)や、設定項目選択画面61中の俯角ボタン73が操作された場合に、表示画面を俯角設定画面63へ切り替えるための切替関係情報(画面ID番号:181など)などを有する。
【0044】
制御手段および設定手段としての制御部58は、設定データ51などに基づいて、ナビゲーション本体2の全体の動作を管理し、制御するものである。そして、制御部58は、たとえば、入力デバイス43や変換部57などから表示画面の切替コマンド(切替指示)などが供給されると、それを解釈する。また、制御部58は、切替テーブル50を参酌して、その解釈に応じた表示画面のデータを画面データベース49から選択して読み込み、読み込んだ表示画面のデータによる表示画面を液晶デバイス42に表示させる。この他にもたとえば、制御部58は、入力デバイス43や変換部57から設定値が供給されると、その設定値で設定データ51を更新する。
【0045】
取得手段としての受信部56は、ナビゲーション本体2の通信I/F41による通信を管理する。受信部56は、ナビゲーション本体2の通信I/F41が電子ペン3の通信I/F23からデータを受信すると、そのデータをメモリ46に保存する。これにより、メモリ46には、受信データ47が記憶される。なお、ナビゲーション本体2の通信I/F41が電子ペン3の通信I/F23から読取データ28を受信した場合、メモリ46には、読取データ28と同一内容の受信データ47が記憶されることになる。読取データ28は、読取座標値と読取時刻情報とを有する。
【0046】
図6は、図3中の変換テーブル48のデータ構造を示す説明図である。変換テーブル48は、画面データベース49中の複数の画面ID番号の中の一部を有する。変換テーブル48は、具体的にはたとえば、表示地図設定画面62や俯角設定画面63などの各種の設定画面の画面ID番号を有する。
【0047】
また、変換テーブル48は、各設定画面の画面ID番号と対応付けて、読取座標値の範囲を示す範囲情報を有する。図6の変換テーブル48は、たとえば、表示地図設定画面62に対応する範囲情報として、図2の目次の紙面における座標値範囲「(x11,y11)−(x12,y12)」を有し、俯角設定画面63に対応する範囲情報として、図2の目次の紙面における座標値範囲「(x21,y21)−(x22,y22)」を有する。
【0048】
なお、変換テーブル48において、設定画面の画面ID番号と範囲情報とは、1対多の対応関係であってもよい。すなわち、1つの設定画面の画面ID番号に対して、マニュアル4の複数の紙面の複数の座標値範囲が対応付けられていてもよい。
【0049】
選択手段および読取指示供給手段としての変換部57は、メモリ46に読取データ28としての受信データ47が記憶されている場合に、この受信データ47からコマンドやデータ(たとえば緯度経度値)を生成する。たとえば、変換部57は、メモリ46にマニュアル4を読み取ったときの読取データ28が記憶されている場合、この読取データ28および変換テーブル48を用いてコマンドを生成する。この他にもたとえば、変換部57は、メモリ46に地図帳を読み取ったときの読取データ28が記憶されている場合、この読取データ28から電子ペン3により選択された地点の緯度経度値を生成する。変換部57は、生成したコマンドやデータを制御部58へ供給する。
【0050】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下の説明では、主に、通信ケーブル5により電子ペン3をナビゲーション本体2に接続した状態で、ユーザが電子ペン3によりマニュアル4を読み取り、これによりナビゲーション本体2へ各種の設定を行う場合の動作を説明する。
【0051】
ユーザがUSBケーブルなどの通信ケーブル5により電子ペン3とナビゲーション本体2とを接続すると、電子ペン3の通信I/F23と、ナビゲーション本体2の通信I/F41とは、互いに通信可能になる。
【0052】
また、たとえば、マニュアル4の紙面を電子ペン3によりなぞると、電子ペン3の赤外線カメラ22は、図2の紙面により反射された赤外線を受光し、赤外線のパターンデータを周期的に出力する。赤外線は、図2(B)のドットパターン12により吸収される。座標読取部29は、赤外線カメラ22から周期的に供給されるパターンデータを解析し、電子ペン3が読み取ったドットパターン12をデコードして読取座標値を生成する。座標読取部29は、生成した読取座標値に、タイマ26で計測される現在時刻とを対応付けて、メモリ27に記憶させる。これにより、メモリ27には、電子ペン3により読み取られた位置に印刷されるドットパターン12にコード化された座標値を有する読取データ28が記憶される。
【0053】
メモリ27に新しい読取データ28が記憶されると、電子ペン3の送信部30は、このデータを読み込んで、送信データとして通信I/F23へ供給する。電子ペン3の通信I/F23は、供給された送信データを、通信ケーブル5を介してナビゲーション本体2の通信I/F41へ送信する。ナビゲーション本体2の受信部56は、通信I/F41が受信したデータを取得し、メモリ46に保存する。これにより、ナビゲーション本体2のメモリ46には、電子ペン3において生成された読取データ28と同じデータが、受信データ47として記憶される。
【0054】
図7は、メモリに新しい受信データ47が記憶された場合に、図3中の変換部57が実行する変換処理の流れを示すフローチャートである。なお、変換部57は、たとえば受信部56によるプログラム間通信による呼出しなどに基づいて、図7の処理を開始する。そして、変換部57は、読取データ28が受信データ47としてナビゲーション本体2のメモリ46に記憶されると(ステップST1でYes)、変換処理を開始する。
【0055】
変換処理において、変換部57は、まず、メモリ46に記憶される受信データ47が、マニュアル4を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるか、あるいは、地図帳を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるか、を判断する(ステップST2およびST3)。そして、そのいずれの読取に基づくものでない場合には、変換部57は、変換処理を終了する。
【0056】
なお、たとえばマニュアル4に印刷されるドットパターン12による座標値範囲と、地図帳に印刷されるドットパターン12による座標値範囲とが互いに重ならない場合には、変換部57は、その座標値の絶対値に基づいて、メモリ46に記憶されている受信データ47が、マニュアル4を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるか、あるいは、地図帳を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるかを判断すればよい。この他にもたとえば、変換部57は、ナビゲーション本体2に対する操作に基づいて、メモリ46に記憶されている受信データ47が、マニュアル4を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるか、あるいは、地図帳を電子ペン3により読み取ったことによる読取データ28であるかを判断するようにしてもよい。
【0057】
メモリ46に記憶される受信データ47がマニュアル4を読み取った読取データ28である場合(ステップST2でYes)、変換部57は、受信データ47から読取座標値を取得し、取得した読取座標値を変換テーブル48と照合する。そして、変換テーブル48中に、取得した読取座標値を含む座標値範囲情報が存在する場合、変換部57は、変換テーブル48において、その適合する座標値範囲情報に対応付けられている設定画面の画面ID番号を選択する(ステップST4)。変換部57は、表示画面を、選択した設定画面の画面ID番号の画面へ切り替える切替コマンドを生成し、制御部58へ供給する(ステップST5)。
【0058】
図8は、画面の切替コマンドが供給された場合に図3中の制御部58が実行する表示切替処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
切替コマンドが供給されると(ステップST11でYes)、制御部58は、まず、その切替コマンドが変換部57からのものであるか否かを判断する(ステップST12)。この実施の形態において制御部58へ切替コマンドを供給するものとしては、変換部57と、入力デバイス43とがある。
【0060】
先の図7の処理に基づいて変換部57が制御部58へ切替コマンドを供給した場合(ステップST12でYes)、制御部58は、切替コマンドの供給元が変換部57であると判断し、この切替コマンドに基づく画面の切替処理を開始する。
【0061】
変換部57からの切替コマンドに基づく画面の切替処理において、制御部58は、まず、切替コマンドから画面ID番号を抽出する。次に、制御部58は、画面データベース49から、抽出した画面ID番号に対応付けられている表示画面のデータを読み込む。また、制御部58は、読み込んだ表示画面のデータを、液晶デバイス42へ供給する。これにより、液晶デバイス42には、ユーザが電子ペン3により読み取った位置に印刷されていた記事に対応する表示画面が表示される(ステップST13)。
【0062】
たとえば、ユーザが、図2(A)の目次中の「俯角設定」の文字付近を電子ペン3によりなぞると、電子ペン3の座標読取部29は、その読取位置に印刷されているドットパターン12から読取座標値を生成する。この読取座標値は、読取データ28としてナビゲーション本体2のメモリ46に記憶される。そして、変換部57は、図7のフローチャートにしたがって図6の変換テーブル48から画面ID番号「181」を選択する。また、制御部58は、その画面ID番号「181」を用いて図4の画面データベース49から俯角設定画面63のデータを読み込み、液晶デバイス42に表示させる。
【0063】
これにより、液晶デバイス42には、図5の右下に図示される俯角設定画面63が表示される。液晶デバイス42は、それまでに表示していた画面に関係なく、図5の右下の俯角設定画面63を表示することができる。ナビゲーション本体2に表示される画面は、たとえば、図5の最上段のナビゲーション画面60から、俯角設定画面63へダイレクトに切り替わることになる。
【0064】
これに対して、図8に示すように、入力デバイス43から表示画面の切替コマンドが供給された場合、制御部58は、切替コマンドの供給元が入力デバイス43であると判断し(ステップST12でNo)、この切替コマンドに基づく画面の切替処理を開始する。
【0065】
入力デバイス43からの切替コマンドに基づく画面の切替処理において、制御部58は、まず、たとえば表示画面中のどのボタン(たとえば図5中段の設定項目選択画面61における俯角ボタン73)が選択されたのかを特定する。そして、制御部58は、特定したボタンを切替テーブル50に照合し、その特定したボタンに対応付けられている表示画面のデータ(画面ID番号:181など)を読み込み、液晶デバイス42に表示させる(ステップST14)。
【0066】
このように入力デバイス43による表示切替においては、制御部58は、図5に示すように切替テーブル50において予め設定された切替順で表示画面を切り替える。ナビゲーション本体2に表示される画面は、たとえば、図5の最上段のナビゲーション画面60の表示中に設定ボタン71が操作され、さらに設定項目選択画面61において俯角ボタン73が操作されることで、俯角設定画面63へ切り替わる。
【0067】
そして、俯角設定画面63が表示されている状態において、ユーザが入力デバイス43に対して俯角の設定値(たとえば「60」度)を入力すると、入力デバイス43は、この操作に対応する入力データを制御部58へ供給する。制御部58は、この入力データに基づいて俯角60度の設定値を生成し、メモリ46に記憶される設定データ51を更新する。これにより、メモリ46中の設定データ51には俯角60度の設定値が設定され、制御部58は、次の三次元のナビゲーション画面60を生成する際にこの設定データ51を参照し、俯角60度で俯瞰するナビゲーション画面60を生成する。
【0068】
図7の変換部57の処理フローの説明に戻る。メモリ46に記憶される受信データ47が地図帳を読み取った読取データ28である場合(ステップST3でYes)、変換部57は、受信データ47から読取座標値を取得し、取得した読取座標値を、電子ペン3により読み取られた地点の緯度経度値へ変換する(ステップST6)。変換部57は、変換により生成した緯度経度値を制御部58へ供給する(ステップST7)。
【0069】
緯度経度値が供給されると、制御部58は、その緯度経度値をたとえば経路探索の目的地の緯度経度値として用いて案内経路を探索する。制御部58は、たとえば現在地からその緯度経度値の地点までに至る案内経路を、設定データ51に含まれる探索条件にしたがって探索する。また、制御部58は、探索した案内経路を液晶デバイス42に表示させる。
【0070】
その後、ナビゲーション本体2が設置された車両が移動を開始したり、あるいは、ナビゲーション本体2の入力デバイス43に対して所定の案内開始操作がなされたりすると、制御部58は、探索済みの案内経路による経路案内を開始する。制御部58は、探索済みの案内経路と、車両の現在位置と、地図とを重ね合わせたナビゲーション画像を生成し、液晶デバイス42に表示させる。また、制御部58は、車両の現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。制御部58は、案内経路の終点に到達したと判断すると、経路案内を終了する。
【0071】
以上のように、この実施の形態のカーナビゲーションシステム1は、入力デバイス43に対するユーザ操作に応じて液晶デバイス42に表示する画面を切り替える。そして、マニュアル4が電子ペン3により読み取られると、受信部56は、その読取位置を示す読取座標値を受信し、変換部57は、メモリ46に記憶される変換テーブル48を参照してその読取位置に掲載される記事に対応する設定画面のデータを選択し、さらに、制御部58は、その選択された設定画面を液晶デバイス42に表示させる。
【0072】
したがって、ユーザは、電子ペン3によりマニュアル4中の記事を選択するだけで、その記事の設定画面を表示させ、その設定画面において設定値を入力するための操作をすることができる。ユーザは、カーナビゲーションシステム1において、その記事に係る所望の項目の設定画面が表示されるように、液晶デバイス42の表示画面を切り替える操作をする必要がない。ユーザは、カーナビゲーションシステム1における表示画面の切り替え設定に関係なく、容易且つ迅速に画面を切り替えて設定操作をすることができる。
【0073】
つまり、カーナビゲーションシステム1には互いに関連性の無い各種の設定が可能であるが、ユーザは、各設定項目を容易且つ迅速に設定することができる。ユーザは、マニュアル4を参照しながらカーナビゲーションシステム1の表示画面を切り替える操作をすることなく、容易且つ迅速に画面を切り替えて設定操作をすることができる。
【0074】
また、カーナビゲーションシステム1に付属するマニュアル4には、実際の設定項目についての解説のみを掲載すればよく、マニュアル4において、各設定項目を表示させるための操作などを掲載する必要が無くなる。その結果、マニュアル4を設定項目の説明のみとして、その厚さを薄くすることができる。ユーザにとってマニュアル4が参照し易くなり、車内に常備しやすくなる。
【0075】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0076】
上記実施の形態では、制御部58は、液晶デバイス42に設定画面が表示されている状態において、入力デバイス43からの入力データに基づいて設定値を生成している。この他にもたとえば、制御部58は、液晶デバイス42に設定画面が表示されている状態において、受信部56が受信した受信データ47に基づいて設定値を生成するようにしてもよい。
【0077】
図9は、マニュアル4に掲載される俯角の設定ページ11の可読記事を示す説明図である。この俯角の設定ページ11では、この可読記事と重ねてドットパターン12が印刷される。図9の俯角の設定ページ11の上段には、2マスの数値記入欄81が印刷されている。ユーザは、電子ペン3を用いてこの数値記入欄81に俯角の値を書き込む。また、設定ページ11の中段には、俯角の程度を選択するための「ライト」、「ミドル」および「ディープ」の文字列82が印刷されている。ユーザは、電子ペン3を用いてこの3つの文字列82の中の1つを丸で囲む。さらに、設定ページ11の下段には、俯角の方向を記入する図形入力欄83が印刷されている。ユーザは、電子ペン3を用いて図形入力欄83内に俯角の方向を示す矢印などを記入する。
【0078】
電子ペン3を用いてこのいずれかの欄への書き込みがなされると、電子ペン3の座標読取部29は、この文字の筆跡(軌跡)を示す複数の読取座標値を有する読取データ28を生成し、送信部30は、この読取データ28をナビゲーション本体2の受信部56へ送信する。これにより、ナビゲーション本体2には、設定値を指定する文字の筆跡(軌跡)を示す読取データ28が受信データ47として記憶される。
【0079】
また、ナビゲーション本体2の変換部57は、受信データ47が設定値を指定する文字の軌跡であると判断し、複数の読取座標値を仮想二次元空間にマッピングすることでその文字を再現し、その再現筆跡から設定値を特定する。制御部58は、この変換部57により特定された設定値により、メモリ46に記憶される設定データ51を更新する。
【0080】
なお、変換部57は、たとえば受信データ47がマニュアル4を読み取ったものであり、且つ、変換テーブル48中に対応する座標値範囲が無い場合に、設定値を指定する文字の軌跡であると判断すればよい。
【0081】
この変形例の場合、ユーザは電子ペン3のみを用いて設定操作を効率良く行うことができる。たとえば、ユーザは、マニュアル4で1つの設定項目を選択し、その設定値をマニュアル4に書込み、さらに次の設定項目を選択する操作を不断に(連続的に)実行することができる。ユーザは、マニュアル4と電子ペン3とを用いることにより、関連性の無い複数の設定項目に対して連続的な操作により、設定値を設定することができる。
【0082】
上記実施の形態では、変換部57は、受信データ47および変換テーブル48を用いて、電子ペン3により読み取られた記事に対応する設定画面の画面ID番号を選択すると、その画面ID番号の設定画面を表示させるための切替コマンド(切替指示)を制御部58へ供給している。この他にもたとえば、変換部57は、設定画面の画面ID番号を選択した後、切替テーブル50にしたがって現在の表示画面からその画面ID番号の設定画面へ順番に切り替えるための1または複数の切替コマンド(切替指示)を制御部58へ供給するようにしてもよい。
【0083】
たとえば、変換部57は、画面ID番号「181」を選択した後、図5の最上段のナビゲーション画面60から右下の俯角設定画面63まで切り替えるための2つの切替コマンドを制御部58へ供給するようにしてもよい。この場合、制御部58は、液晶デバイス42の表示画面を、まず、図5の最上段のナビゲーション画面60から中段の設定項目選択画面61へ切り替え、次に、設定項目選択画面61から俯角設定画面63へ切り替えることになる。
【0084】
すなわち、制御部58は、変換部57の複数の切替コマンドに基づいて液晶デバイス42に表示させる画面を複数回切り替え、その切り替わりが終えた時点で、変換部57により選択された設定画面を液晶デバイス42に表示させることになる。
【0085】
この変形例の場合、制御部58は、切替テーブル50に基づいて画面を切り替えるものとすることができる。したがって、切替テーブル50に基づいて画面を切り替える制御部58を有する従来のカーナビゲーションシステム1に対して、変換部57などを追加することで、電子ペン3によるマニュアル4の読取操作に基づく画面切替を実現することができる。
【0086】
さらにこの変形例において、制御部58は、変換部57による複数の切替指示の処理中には、入力デバイス43による切替指示を無効とするようにしてもよい。この更なる変形例の場合、ユーザが、電子ペン3による切替操作に続けて入力デバイス43に対して操作をしたとしても、それらの操作後に最終的に表示される画面を、電子ペン3による切替操作により指定した設定画面とすることができる。
【0087】
上記実施の形態では、制御部58は、入力デバイス43から画面の切替コマンドが供給された場合、切替テーブル50を参照して切替後の表示画面を特定し、さらにその表示画面を画面データベース49から読み込んで、液晶デバイス42に表示させている。この他にもたとえば、画面データベース49において各画面中に表示する各ボタンに対して、そのボタンが操作された場合に表示すべき他の表示画面へのリンク情報(たとえば画面ID番号など)を付加し、制御部58は、この付加されたリンク情報を用いて切替後の表示画面を特定するようにしてもよい。また、画面ID番号の替わりに、各表示画面のデータを格納するファイル名などをリンク情報として使用するようにしてもよい。
【0088】
上記実施の形態では、ユーザによる設定値入力を、設定画面による所定の位置への設定値入力としたが、電子ペン3に設ける切り替えのためのスイッチや、マニュアル4に設けられたモードに対応付けられたのドットパターンによる切り替えなどにより、マニュアル4における設定画面呼び出し及び設定値入力とのモードを切り替えても良い。このように切り換えた場合、設定値の入力は設定画面の所定位置に限らず、ドットパターン12を有し電子ペン3による軌跡情報を得ることができれば、マニュアルのどの位置でも構わず、さらには他の入力用シートなどを用いてもよい。
【0089】
上記実施の形態では、紙面中の位置を示す座標値は、ドットパターン12にコード化されている。この他にもたとえば、紙面中の位置を示す座標値は、QR(Quick Response)コード、バーコードなどにコード化されていてもよい。また、これら電子ペン3で読取可能なパターンには、複数ページにおいて共通する1つの座標系での座標値がコード化されていてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、マニュアル4などに印刷されたドットパターン12は、電子ペン3により読み取られている。この他にもたとえば、マニュアル4などに印刷されたパターンは、カメラ付きの携帯電話端末や携帯情報端末などの読取手段により読み取られるようにしてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、変換テーブル48などは、ナビゲーション本体2のメモリ46に記憶され、変換部57などは、ナビゲーション本体2において実現されている。これらは、電子ペン3、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、あるいはナビゲーション本体2と通信可能な別体のユニットなどに設けられていてもよい。また、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどは、ドットパターン12などを読み取る機能を兼ね備えていてもよい。
【0092】
上記実施の形態では、カーナビゲーションシステム1のマニュアル4を電子ペン3で読み取り、設定画面へのダイレクトな切り替えを実現している。この他にもたとえば、マニュアル4は、携帯電話機、ポータブルプレーヤ、AV(Audio Visual)機器、通信機器、ネットワーク機器、セットアップ済みのコンピュータ端末などのものであり、電子ペン3は、これらのマニュアル4を読み取り、各種の設定画面へのダイレクトな切り替えを実現するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、多機能なカーナビゲーションシステムの設定値を変更する際などにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図2は、図1中のマニュアルの目次ページの説明図である。
【図3】図3は、図1のカーナビゲーションシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3中の画面データベースのデータ構造を示す説明図である。
【図5】図5は、複数の表示画面間の切替関係を示す図である。
【図6】図6は、図3中の変換テーブルのデータ構造を示す説明図である。
【図7】図7は、図3中の変換部が実行する変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、図3中の制御部が実行する表示切替処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、マニュアルの俯角設定ページの説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 カーナビゲーションシステム(電子機器)
3 電子ペン(読取手段)
4 マニュアル
42 液晶デバイス(表示手段)
43 入力デバイス(入力手段)
46 メモリ(記憶手段)
56 受信部(取得手段)
57 変換部(選択手段、読取指示供給手段)
58 制御部(制御手段、設定手段)
62 表示地図設定画面(設定画面)
63 俯角設定画面(設定画面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作に応じて表示手段に表示する画面を切り替えて設定画面を表示させる電子機器であって、
上記電子機器のユーザ操作を説明するマニュアルを読取手段で読み取ることにより生成される読取位置情報であって、上記マニュアル中の読取位置を示すものを取得する取得手段と、
上記マニュアルに掲載される記事に対応する上記設定画面のデータを、上記マニュアルの読取位置により選択可能に記憶する記憶手段と、
上記読取位置情報を用いて、上記記憶手段から、上記読取手段により読み取られた位置に掲載される記事に対応する上記設定画面のデータを選択する選択手段と、
上記読取手段により上記マニュアルが読み取られた場合、上記選択手段により選択された設定画面を上記表示手段に表示させる制御手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記マニュアルの読み取りに基づいて前記表示手段に表示される前記設定画面は、ユーザが設定値を入力する操作をするための設定画面であること、を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示手段に前記設定画面が表示されている状態において、前記取得手段が前記読取手段による軌跡を示す複数の読取位置情報を取得した場合に、その複数の読取位置情報に基づいて特定される設定値を設定する設定手段を有すること、
を特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
ユーザによる画面の切替操作があった場合に、所定の画面の切り替え順により前記表示手段に表示させる画面を切り替える切替指示を前記制御手段へ入力する入力手段と、
前記読取手段により前記マニュアルが読み取られた場合、その読取時の画面から前記選択手段により選択された設定画面へ順番に切り替えるための1または複数の切替指示を前記制御手段へ供給する読取指示供給手段と、を有し、
前記制御手段は、上記読取指示供給手段の複数の切替指示に基づいて前記表示手段に表示させる画面を複数回切り替え、その切り替わりが終えた時点で、前記選択手段により選択された設定画面を前記表示手段に表示させること、
を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記読取指示供給手段による複数の切替指示の処理中には、前記入力手段による切替指示を無効とすること、
を特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
ユーザ操作に応じて表示手段に表示する画面を切り替えて設定画面を表示させる電子機器の画面切替方法であって、
上記電子機器のユーザ操作を説明するマニュアルを読取手段で読み取ることにより生成される読取位置情報であって、上記マニュアル中の読取位置を示すものを取得するステップと、
上記マニュアルに掲載される記事に対応する上記設定画面のデータを、上記マニュアルの読取位置により選択可能に記憶する記憶手段から、上記読取位置情報を用いて、上記読取手段により読み取られた位置に掲載される記事に対応する上記設定画面のデータを選択するステップと、
上記読取手段により上記マニュアルが読み取られた場合、選択された上記設定画面を上記表示手段に表示させるステップと、
を有することを特徴とする電子機器の画面切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−299469(P2008−299469A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142907(P2007−142907)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】